超次元ゲイムネプテューヌ Origins Unknown 作:シモツキ
お姉ちゃんがこれまで覚えていなかった事、突然思い浮かぶ形で思い出した事を皆に向けて話してくれた時、お姉ちゃんには全然元気がなかった。思い出せてすっきり…みたいな感じは全然なくて、むしろ色んな思いがのしかかっているような…何かに憑かれているような、暗さを引き摺った様子だった。
元気になったと思ってた。励ませたと思ってた。でも、違った。あの時の、あれからのお姉ちゃんを見ていれば、分かる。大切な事なのに、覚えてなかった…そういう事を差し引いても、お姉ちゃんはわたしが思っていたよりもずっと…思い詰めていた。
「ごめんなさい、ノワールさん…気にしておいてって、前の時に言われていたのに……」
普段の仕事に大博覧会本番の準備、それと並行して未開領域に向かったイリゼさん達に連絡を取る手段を探っている中で起きた、お姉ちゃんの突然の行動。突然お姉ちゃんは、天界に行かなきゃって言って、そのまま天界に行っちゃって…神生オデッセフィアからアヴァラスが戻った事、でもイリゼさんだけが戻らなかった事の連絡が来たのは、その後だった。
それからセイツさん達が来て、お姉ちゃん達だけで緊急会議をする事になって……その中で起きた事を、わたしは聞いた。どんな話をして、何が起きて…どうなったのかを。
「気にしないで頂戴。確かに前に話した時、ネプテューヌが先に出ていったタイミングで、出来るだけ気にしておいてとは言ったけど、あれはただの、個人的なお願いよ。ネプギアだって忙しかったでしょうし、貴女が責任を感じる必要は全くないわ」
「そもそもネプギアは妹だしね。支えるとか協力するんじゃなく、姉を気に掛けておく…っていうのも変な話なんだから、出来る範囲の事をしていたなら、それで十分だと思うわ」
「それに今日の事は、気に掛けて何とかなる話でもありませんわ。何せ会議の直前にあった事も、その…話し合いどころではない事態になった要因ですし…」
謝るわたしに対し、ノワールさん達は気遣いの言葉を返してくれる。そう言ってもらえるのはありがたいけど…やっぱり、気持ちは晴れない。
今は一人になりたい、っていう気持ちも汲んで、お姉ちゃんには部屋で休んでもらっている。お姉ちゃんが思い詰めていて、元気じゃないってだけでも辛いのに、イリゼさんが…ずっとお世話になってきた人も帰ってこなくて、しかも会議の中でお姉ちゃんとセイツさんが喧嘩なんてレベルじゃない状態になっちゃったなんて…正直今でも、まだちょっと信じられない。何かの間違いじゃ、誤解があるんじゃないかって…そう思っている、自分がいる。
「…ただ、でも…今のネプテューヌは、本当に気に掛けておく必要があるわね。今さっき、姉を気に掛けておくっていうのも…って言ったわたしが言うのもアレではあるけど……」
「わ、分かってます。今度こそ、お姉ちゃんをちゃんと気に掛けて…ううん、お姉ちゃんの力になってみせます…!少しでも、ちょっとでも…!」
「ふふ、流石はネプギアちゃんですわ」
「あ、今回はわたくしの妹、とか言わないのね…」
「わたくしだって、この流れで言ったりはしませんわよ?」
にこりと笑うベールさんに、ブランさんが目を瞬かせる。その反応に、流石にそれは…とベールさんが返す。それもそうか、とブランさん…それにノワールさんも肩を竦めて…急に始まった気の抜けるやり取りに、思わずわたしはちょっぴり笑ってしまった。
「ふふっ…あ、すみません…」
「今は会議中じゃないんだから、別に笑ったっていいのよ?…けどほんとに、気に掛けてあげて頂戴。本当は妹の貴女に頼る前に、自分達がって話なんだけど…」
「大丈夫です、分かってます。皆さんも、ずっとプラネテューヌにいる訳にはいかないですもんね」
真剣な…真摯な眼差しを向けてくるノワールさんに、しっかりと頷く。頼まれたんだから頑張ろう…って気持ちは勿論ある。でも、頼まれていなくても、きっとわたしは同じ思いになっていた。だってお姉ちゃんは、わたしの大切なお姉ちゃんだから。今のままで良い訳なんて、絶対にないんだから。
「本当にネプギアちゃんは頼もしいですわね。…けれど、それはそれとして、わたくし達も今後どうするか、どうしていくべきか…考えなければなりませんわね」
「どう、って…天界調査の事ですか?確かに今のままじゃ協力して調査するのは難しいと思いますし、完全な別行動だとしても、わたし達で天界調査をしていると知られたら、セイツさんの機嫌はもっと悪くなっちゃうかもしれませんもんね……」
「それもそうですが…そうではありませんわ。……ネプギアちゃん、はっきり言いますわね。…今のネプテューヌは、わたくしからしても信用が出来ませんわ」
「……っ…!」
目配せするように、ノワールさんとブランさんへと視線を送ったベールさん。そしてベールさんは言う。お姉ちゃんが、信用出来ないと。
ズバッと言う事もそれなりにあるノワールさんやブランさんと違って、ベールさんは本当に温厚で、妹の事もあってかわたしの味方になってくれる事も多い。そんなベールさんからの、はっきりとした信用出来ないって言葉は、わたしの心に突き刺さる。
「ごめんなさいね、ネプギアちゃん。わたくしも、ネプテューヌを疑っている訳ではありませんわ。ただ……」
「今のネプテューヌの発言は、信用出来ない。だって、他でもないネプテューヌ自身が、自分を信じられていないんだから。…そういう事よ」
言葉を引き継ぐ形で、ブランさんも言う。自分自身を信じられていない人の発言を、信じる事は出来ない…って。
分かる。ブランさんの言った理由は理解出来るものだし、会議の中でお姉ちゃんは、自分の記憶が自分のものじゃない気がする、って内容の発言もしていた…って言うのを聞いているから、それはこの前の話で言った事の否定でもあるんだから、そんな事を言われたら「じゃあ、他の発言は?」…ってなっちゃうのも、当然だと思う。…うん、そう。ベールさん達の意見は、何も間違っていない。…でも……
「…………」
言葉が、出てこない。きっとベールさんは、わたしを一人の女神として認めて、はっきりと言ってくれたんだと思う。ブランさんも、変に取り繕わず、その上で言葉を選んでくれた筈。だからわたしも、お二人の気持ちに応えてしっかりと言葉を返さなきゃいけないのに…どうしても言葉が、出てきてくれない。
それでも何とか絞り出したのは、謝罪の言葉。ごめんなさい、とわたしは返す。お姉ちゃんの事なのか、ちゃんと受け止め切れてない自分の事なのか、自分自身でもよく分からなくて…気付けば目の前に、お三人が立っていた。
「あ……」
「大丈夫よ。私も二人と同意見だけど、今のネプテューヌは信じられないけど…『私達の知っているネプテューヌ』の事は、ちゃんと信じてるわ。それだけの積み重ねが、ネプテューヌにはあるんだもの。だから、これまでのネプテューヌを信じているように、これからのネプテューヌも信じているわ。ちゃんとネプテューヌが、いつもみたいに能天気で、楽観的で…真っ直ぐ前向きなネプテューヌになって戻ってくるのをね」
「ノワールさん……」
「すぐには難しいかもしれないけど、時間がかかるかもだけど、待ってるわ。待つし、出来る事を出来る限りするつもりよ。それに…ネプギアの事も、信じてるしね」
そう言って、ノワールさんはわたしの肩に手を置く。にこりと、明るい笑みを見せてくれる。その左右では、ベールさんとブランさんも頷いて、それからノワールさんと同じように笑みを浮かべて…そんなお三人の顔を見て、わたしも理解する。今のお姉ちゃんの言葉は信じられなくても、お姉ちゃんそのものを信じる気持ちは、全く変わってないんだって。わたしより遥かに長い付き合いだからこそ、分かるものが…確かに信じられるものが、あるんだって。
…ほっとした。その言葉を聞けた事で、皆さんの気持ちを知れた事で、心の中が晴れていった。そして…改めて、思った。それだけ思われているお姉ちゃんが、いつものお姉ちゃんに戻れるよう、目一杯支えようと。
「うふふ、やっぱりノワールはネプテューヌの事となると熱いですわねぇ」
「しかも、ちゃっかり美味しいところを持っていってるし、強かね。いや、強かというか、狡い…かしら」
「それもただの狡いではなく、小狡い…とびきり小狡いではないかしら?」
「そうね。ノワール、貴女に次元一小狡い女神の称号を進呈するわ」
「要らないわよ!人が折角良い事言ってるんだから、変な茶々入れないでよね!?」
「では、代わりに奇面族の幼馴染の方を……」
「そのチャチャじゃないっての!あーもうっ!そうやって茶化すなら、貴女達が今のネプテューヌと同じような状態になっても、信じてなんかあげないんだから!」
「という事は、基本はわたし達でも信じてくれるのね。それは素直に嬉しいわ、ありがとう」
「あ、う、うん…って違ぁぁぁぁうっ!そういう話じゃなーいッ!」
突然始まった、まるで全員別人と入れ替わったんじゃないかって位愉快で軽快なお三人のやり取り。ぷんすか怒るノワールさんと、そのノワールさんを見て面白そうにするベールさんとブランさんという光景に、わたしはぽかーんとしてしまって…何秒かしてから、思った。やっぱり、ここには…こういう楽しそうな輪には、お姉ちゃんもいてほしいな、って。
*
会議において、冷静さは重要。会議に限らず、冷静さが要らない場面なんて世の中にはそうそうない。心は熱く、頭は冷静に…なんて表現もある通り、追い付いた思考と昂る感情とは決してトレードオフの関係じゃないんだから、基本冷静でいられるなら冷静でいた方がいい。
…と、頭では分かっている。理解してるし、普段は常に意識している…とは言えないけど、出来るだけそう在れるよう努めてはいる。…その、筈だったけど……。
「…何なのよ…何でこうなるのよ……」
顔を埋めているクッションへ、拳をぶつける。ぼふり、という音と共に、柔らかい感触が手に伝わる。…けど、それだけ。何か起こる訳でもなければ、気持ちが晴れる事もない。
プラネテューヌでの会議を一方的に打ち切って、そのまま神生オデッセフィアへと戻ってきた。駆け引きも合理性も皆無な、あの場における有用性なんかこれっぽっちもない感情的で短絡的な行動のままに、帰ってきてしまった。…これじゃあ、喧嘩してその場を逃げ去る子供と変わらない。いやそれどころか、一方的に感情をぶつけた挙句周りとの対話も投げてるんだから、より一層始末に負えない。
(…分かってる、分かってるわよそんな事は…でも、でも……っ)
女神の姿で飛んできたとはいえ、プラネテューヌから神生オデッセフィアまで移動をすれば、その間に否が応でも頭は冷えてくる。自分の取った行動が、あの場における最悪レベルのものだったなんて事は、誰に言われるまでもなく分かってる。
だけど、ならどうしろと言うのか。最後まで冷静さを失わず、ネプテューヌを慮り、自らを律して会議を続ける事…怒りって言葉だけじゃ表せない、自分でも形容し難い程の感情の濁流を完璧に堰き止め押さえ込む事…それが出来ないから、そんな事考えられない位辛くて辛くて辛かったんだから、どうしようもないじゃない…!
「……っ、〜〜〜〜っっ!」
何度も何度も、クッションを叩く。頭もぶつける。ソファにうつ伏せになったまま、膝から下で座面を幾度も幾度も蹴り付ける。これに何の意味もない事だって分かってる。でも今は、こうして感情をどこかにぶつけなければ気が済まなくて、けれどぶつけたところですっきりなんか何もしなくて……自分でも、どれだけクッションとソファに八つ当たりをしたか分からない。どれだけ時間が経ったか分からない。ただひたすら、無意味で無益な、何も進む事のない暗澹とした心のままでわたしは過ごし……
「セイツさん」
不意に、呼び掛けられた。名前を、呼ばれた。プラネテューヌにいた筈の、イストワールに。
「…イストワール…いつの間に…?」
「つい先程です。事の次第は、皆さんから聞いています」
顔を上げれば、やっぱりそこにいたのはイストワール。どうやらイストワールは、何があったか聞いてここへとやってきたみたいで…声を掛けられるまで、本当に全く気が付かなかった。敵意ある存在じゃないから、本能的に気付く事が出来なかった、という面もあるだろうけど…だとしても、普通なら気付けるものに気付けない状態というのは、女神として非常に良くない。
「……イストワールも大博覧会の事で忙しい筈なんだから、わざわざ直接来る事なんてないのに…。…って、それをわたしが言うのは違うわね…ごめんなさい、迷惑かけるわ」
「む……」
身体も起こして、ソファにちゃんと座り直した後にわたしは謝罪の言葉を口にする。今はネプテューヌがあんな状態な以上、ネプギアは勿論イストワールも大変だろうし、そんな中なのに申し訳ない。わたしが謝ったのは、それが理由で…けれどわたしの謝罪を受けたイストワールは、ぴくりと震わせた。
「…セイツさん、少し教会の方に聞きましたが…一連の事柄に対する対応は、適切なものだと思います。イリゼさんの事は、今暫くの間秘匿しておくべきでしょう。隠し事をされて喜ぶ人はいませんが…だからといって、今の状況で真実をそのまま国民へ伝えても、不安を煽るだけですから」
「…分かってるわ。だから、皆が不審がる程の長期間になる前に、イリゼは見つけ出す。わたしが、絶対に、見つけ出してみせる…」
さっきまで何度も叩いていたクッションを胸の前で抱えて、そうするつもりだとイストワールに答える。続けてわたしは、わたしが見つけ出すんだと、声に力を込めて言う。
そう。イリゼを見つけ出す、連れて帰るのがわたしの使命。神生オデッセフィアの女神であり…イリゼの姉であるわたしの、誰にも譲りはしない気持ち。
「…そう、心配する事はありませんよ。セイツさんも分かっているとは思いますが、イリゼさんなら大丈夫です」
「…それは、調べた結果?」
「いいえ、何も調べてなどはいません。ですが、断言出来ます。イリゼさんは、大丈夫です」
「…どうして、言い切れるの…?」
わたしの正面、視線の先で、本に腰掛けイストワールは浮いている。イリゼは大丈夫だと、断言をする。
それは、わたしもこれまで言ってきた事。イリゼは大丈夫、信じてほしいと、わたしだって言ってきた。だけど、信じていても、不安な気持ちはどうしてもあって…まるでそれを感じていないような、確たる理由を持っているようなイストワールの姿を前に、思わず訊いてしまう。大丈夫だと言ってきたわたしがこれを訊くのは駄目だって分かっているのに、ここには他に誰もいない事もあって、イストワールへと尋ねてしまう。すると、イストワールは小さく笑って…言う。
「イリゼさんには、実績がありますからね。これまで何度も、幾度も、同じように窮地に陥って、或いは自ら飛び込んで行って、側から見れば無茶としか思えないような事もして…それでもしっかり、どれだけぼろぼろになったとしても、ちゃんと帰ってきた実績が。マジェコンヌさんと魔王を相手取っての戦い、負のシェアの柱への突入、犯罪組織四天王との一騎討ち…少し前で言えば、負のシェアの城の核を破壊…いえ、解放した時もそうでしたし、しばしばイリゼさんは別次元や特異な空間に飛ばされながらも、新たな繋がりを紡いで帰ってきているんですから、信頼出来るのも当然の事です」
勿論、無事で帰ってくる事ばかりではないので、結局ヒヤヒヤするんですけどね、とイストワールは肩を竦める。世話の焼ける妹だ、とばかりに穏やかな表情を浮かべる。
今イストワールが言った事の内、後半は知っている。わたしがイリゼと出会ってからの事なんだから、当然知っている。だけど…それより前の事は知らない。今も知識として知っただけで、そこに体験は伴わない。
「…流石イストワール、イリゼの事をよく知ってるし、よく分かってるわね。わたしも見習わなくちゃ」
「見習うも何も、セイツさんもイリゼさんの事をよく分かっていると思いますよ?」
「…そんな事、ないわよ。わたしは、イストワールより全然イリゼの事を知らない…イリゼの姉なのに、皆よりずっと短い時間しか同じ時を過ごしていないんだから…」
ゆっくりと、首を横に振る。これは謙遜でも、卑下でもない。わたしがまだイリゼの事を全然知らないのは、純然たる事実。それに今も、イストワールにはない不安を、イリゼの姉としてわたしよりずっと長い時間を積み重ねてきているイストワールは抱いていない気持ちを、わたしは抱えているんだから。
「…イストワール。貴女には、イリゼの姉として過ごしてきた沢山の時間がある。信次元の皆も、沢山の日々を、幾つもの戦いをイリゼと一緒に重ねてきてる。わたしより付き合いの長い信仰者だって、一人や二人なんかじゃない。…超えられないわよね。だって、時間は誰でも等しく、同じように進むんだもの」
「セイツさん、それは……」
「繋がりは時間じゃない、って?…えぇそうね、長い時間を一緒に過ごすばかりが繋がりじゃないし、短い付き合いだとしても、深い繋がりを築く事は出来る。…そんなの分かってるわ、当然の事だと思うわ。…でも……」
「──そうじゃ、ない…そうじゃないのよ…だって、イリゼは…イリゼはずっと知らなかった、やっと出会えた、わたしの家族…妹なのよ…?イリゼが妹だと知って…ううん、知る前からずっと、自分でも理解出来ないままでも嬉しくて、愛おしくて、ずっとずっと一人だったわたしにとってイリゼと過ごす時間は全部が宝物で……だから羨むに決まってるじゃない…っ!そんなイリゼとの時間を、わたしよりずっと長く過ごしてる皆を…!怖いに、不安になるに決まってるじゃない…!わたしは皆よりもずっと、信じた通りだったって思えた瞬間が少ないんだもの…っ!」
一度は落ち着いていた、落ち着いたと思っていた感情がまた湧き上がる。プラネタワーでは怒りから始まっていた激情が、今は恐れと悲しみが核になってわたしの心から溢れていく。
これをイストワールにぶつけたって、何もならない事は理解してる。してるけど、一度溢れ出した思いは止まらない。止められない。
「分かってる、分かってる、分かってるわよ…っ!ネプテューヌに怒ったって何の意味もない事は…っ!ネプテューヌがそんな卑劣な女神じゃない事は…っ!冷静に皆と協力した方がいい事も、こんなんじゃイリゼを探すどころか神生オデッセフィアの統治にも支障が出るって事も、イストワールの言う通り…わたしの思っている通り、イリゼなら大丈夫だって事も…っ!だけどっ、でもっ、分かっていても……心は考えた通りにはいられない、いてくれないのよ……っ!」
じわり、と涙が滲み出る。情けない。凄く凄く、情けない。プラネタワーで感情任せに怒った時も今も、全く以ってわたしらしくない、女神らしくない事ばっかりしてしまっている。それだって分かっているのに、どうする事も出来ない。
だけどこれは、わたしの問題。わたしの中の気持ちは、渦巻くものは、全て誰のせいでもない、わたしが収めなきゃいけないもの。そしてイリゼを思うならこそ、何も生む事のないこの停滞は、早く終わらせなきゃいけない。終わらせて、本当にイリゼの為になる事をしなきゃいけない。だってわたしは、だってそれが、イリゼの姉の……
「──よく、頑張りましたね。ここまで、これまで、イリゼさんの姉として、よく頑張りました。姉として立派ですよ、セイツさん」
──その瞬間、ふわり…と頭に温もりが触れる。小さな、あまりにも小さな…けれど確かに温かな手が。
顔を上げる。自分でも気付かぬ内に下がっていた、俯いていた顔を上げ…わたしの視界に、イストワールの姿が映る。
「イリゼさんの事を全然知らない…そんな事はありませんよ。勿論セイツさんの言った通り、セイツさんよりわたしの方が、信次元で共に過ごしてきた皆さんの方が、より多くの姿を見ているでしょう。嘗てのイリゼさんの事を、当事者として知る事はもう出来ない…それもまた、確かな事実です。…けれど、同時にセイツさんしか知らないイリゼさん、セイツさんにしか見せないイリゼさんの姿というものも、きっとある筈です。姉であり、女神であり、今は共に神生オデッセフィアを治める…今のイリゼさんにとって最も身近で、最も頼れるセイツさんだけが知る、セイツさんだけのイリゼさんが」
ゆっくりと頭を撫でながら、撫でてくれながら、優しい声でイストワールは語る。小さな手なのに、はっきりと分かる。温もりも、柔らかさも、伝わってくる。
皆の知らない、わたしだけが知るイリゼ。…言われるまで、そんな事思いもしなかった。考えてみれば、そんなのないなんて、それこそないのに、これまでこれっぽっちも思い浮かぶ事はなかった。
「…だけど、それは…イストワールだって……」
「そうですね。わたしだけが知るイリゼさんもある筈です。けれどやっぱり、セイツさんだけが知るイリゼさんは、セイツさんだけのものです。だって、わたしとセイツさんは違いますから。わたしは女神ではありませんし、そうでなくとも色々違いますから。同じ姉であっても、わたしへの思いと、セイツさんへの思いは違う、だから見せてくれる姿も違う…わたしはそう思います。セイツさんは、どう思いますか?」
「……わたし、も…そう、思う…」
相手が違えば、見せる姿も違う。家族にしか見せない顔や、友達だからこそ見せられる姿があるように、同じ姉妹でも、同じ自分を見せるなんて事はない。同じ部分も勿論あるだろうけど…絶対に、違う部分だってある。
それだって、少し考えれば分かる事。それを今、漸くわたしは気付いて…わたしの理解を察したように、イストワールはふふっと笑って更に続ける。
「それに、セイツさんの思いは何ら恥じるものではありません。心配するのも、不安になるのも、怒るのも全て、イリゼさんを…妹を思うが故の事なんですから。冷静な、適切な行動が取れなかった事と、イリゼさんへの思いは別のものです。…勿論、だから何も悪くない、とは言いませんけどね」
いつの間にか頭から手を離していたイストワールは、その手の人差し指をぴっと立てる。その様子に、どんな事を言ってもやっぱり外見のせいで可愛らしく見えてしまうイストワールに、わたしもほんの少しだけ笑って……それと共に、悲しくもなる。悲しく、情けなく、不甲斐なくなって…わたしは、自嘲。
「…凄いわね、イストワールは。こんなに凄くて、こんなにちゃんとした姉なんだから、イリゼが慕うのも当然だわ。…これも、経験の差かしら…それとも、わたしは姉に向いていないだけなのかしら…同じイリゼの姉なのに、わたしとイストワールでこんなにも……」
「…はぁ。イリゼさんもですが、セイツさんも中々にしっかりしてるようでしっかりしていないというか、変なところで本当に世話がかかるというか……」
「え…イストワール…?それは、一体……」
「わたし、少し前にも言いましたよね?もう忘れてしまったんですか?わたしはセイツさんと同じ、イリゼさんの姉ですが──同時にセイツさんの『姉』でもあるんですよ?」
「あ……」
これまでとは打って変わって呆れた表情を見せたイストワールに、思わずその意味を訊こうとするわたし。けど、わたしが言い切るより先に、イストワールは言う。自分はイリゼだけの姉ではないと。わたしの、姉でもあるんだと。
そう。それはイリゼが未開領域に行ってから少ししたところで、イストワールとのやり取りの中で言われた言葉。あの時わたしは、その言葉に、その事実に、温かな気持ちを覚えて……なのに、忘れていた。目の前にいるのが姉だと…わたしは姉であると共に、妹でもあるのだという事が、分かっているのに見えなくなっていた。
「セイツさんの責任感は立派です。妹を思う気持ちも分かります、だってわたしも姉ですから。…だけど、セイツさんが今抱えているものは、飲み込もうとしているものは、一人で抱えなくちゃいけないものですか?…そんな事は、ない筈です。そんな訳、絶対にありません」
「…イスト、ワール……」
「事が事ですから、誰にでも話せるものではない…という事はあるでしょう。セイツさんも女神です、他の女神の皆さんに全て吐き出すというのも、恥ずかしさやプライドが壁になってしまう…なんて事もあるかもしれません。…でも、中々話せない、打ち明けられないと思う事でも…お姉ちゃんになら、打ち明けられませんか?それとも…わたしは、姉として頼りなかったですか?」
頬に、手が触れる。寄り添うように、イストワールの手が頬を撫でる。覗き込むように、イストワールの瞳がわたしを見つめる。
抱え込むだなんて、そんなつもりはなかった。考えてもいなかった。…だけど、そうかもしれない。女神だから、姉だから…そういう思いがわたしから、ある筈の考えを、選択肢を隠していたのかもしれない。そして、気付いた今はもう違う…とも言えない。イストワールの言う通り、わたしにだってプライドがある。イリゼの姉としての、プライドが。
完全に、イストワールには見抜かれていた。イストワールの言った事は、全てわたしに刺さる、すっと入り込む言葉だった。何より…イストワールはずっとわたしの事を見て、案じてくれていた。だから前も言葉をかけてくれたんだろうし、今もこうして来てくれた。わたしはイリゼの事、妹の事ばかりを考えていて、イストワールの気持ちに感謝はしていても、まるで頼って…頼ろうとしていなかった。それなのに、それでも、またイストワールは手を差し伸べてくれた。わたしを撫でて、わたしを妹として寄り添おうとしてくれた。そんなの、そんなの……
「…頼りない、訳ない…イストワールは、頼りなくなんか…ない……っ!」
「そう言ってもらえて、嬉しいです。…大丈夫、大丈夫ですよセイツさん。わたしがちゃんと、ここにいます。不安になっても、辛くなっても良いんです。今は頑張らなくって、抱え込まなくて良いんです。…一緒に、わたしも抱えてあげますから。イリゼさんの前では頼れる姉で、皆さんの前では神生オデッセフィアの女神の一人としての自分でいたいのなら、わたしと二人の時は、肩肘張らずに『妹』でいて良いんです。迷惑なんかじゃありません。負担なんかじゃありません。だからもっと、わたしを頼って…いえ、違いますね。──わたしをお姉ちゃんだって、思って下さい。セイツさんは、セイツさんも……わたしの可愛い、かけがえのない妹なんですから」
「…ぁ、うぁ…イスト、ワール…イストワール…お姉、ちゃん……っ!」
涙が溢れ出す。堰を切ったように、ぽろぽろと溢れ流れて頬を伝っていく。さっきとは違う。さっきは蓋をしていたものが、抑え切れずに滲み出た涙。だけど今は、自分からもう蓋をするのは止めた。心の前に、感情のままに溢れた思いが、涙と共に流れ落ちる。
それをイストワールが…お姉ちゃんが、掬ってくれる。指で救い、拭って受け止めてくれる。泣いて、泣いて、泣きじゃくるわたしを、何も言わずに撫でてくれる。それが凄く、凄く凄く、温かくて心地良い。家族の温もりが、わたしの心を優しく包む。
堪えるのを止めたのは、曝け出したのは、イストワールがお姉ちゃんだから。今やっと、今度こそやっと、本当の意味でわたしはお姉ちゃんをお姉ちゃんだと思えた…わたしの心が、お姉ちゃんの妹になれたから。涙は中々止まらない。嗚咽が、しゃくり上げが止まらない。だけど代わりに、そうして涙を流す分だけ、受け止めてもらっている分だけ、心が軽くなっていっているような気がする。姉妹であっても、流石に子供みたいに泣くのを見られるのは恥ずかしい。恥ずかしいけど……今だけは、これで良かった。このまま全部、受け止めてほしくて…受け止めて、もらった。全部、全部。
「ぐすっ…ふぇ、んっ……」
「…もう、十分泣けましたか?」
「…うん。でも…もうちょっと、こうしてて……」
「ふふっ。セイツさんは、イリゼさんよりも甘えん坊さんかもしれませんね」
柔らかく微笑むイストワールを握る…抱き締める手に、苦しくならないように気をつけながら少しだけ力を込める。泣いている間ずっとイストワールは撫でてくれていて、そのイストワールを胸の前でずっと抱き締めていた。甘えん坊と言われるのは不服だけど…もう少しでいいから、こうしていてほしかった。
そうしてもう暫くの間、わたしはイストワールに撫でてもらい…涙を、出し切る。渦巻く気持ちを、涙と共に全て出し切って…顔を、上げる。
「…ありがとう、イストワール。もう、大丈夫よ」
「そうですか?さっきはわたしから訊きましたが…今は気が済むまで、こうしていていいんですよ?」
「もう十分泣いて、気が済んだもの。だから今度は、強くて頼もしい妹をイストワールに見せる番よ。…まぁ、散々泣いておいて強くて頼もしいも何も、って話でしょうけどね」
「確かに、泣き腫らした顔でそれを言われても、あんまり実態が伴っている感じはないですね」
「うっ…否定出来ないけど、それは言わないで……」
恥ずかしくて顔を逸らすと、わたしが手を離した事でまた本に乗って浮かぶイストワールはちょっぴり笑う。…わたしもイリゼを弄りたくなる時があるし、そういう時のイリゼの反応って可愛いから、つい楽しんじゃうけど…ひょっとして今のイストワールも同じような気持ちなのかしら…。
「…あ、ところでですけど…もう『お姉ちゃん』って呼んでくれないんですね」
「それは…その、しっくりこないっていうか…お姉ちゃん、って呼ぶのが嫌な訳じゃないけど、基本はイストワールって呼びたい感じがあって……」
「ですよね、大丈夫です。わたしも妹に対してずっとさん付けをしていますし、お互い様です。…そういえば……」
「そういえば?」
「いえ、イリゼさんとも同じようなやり取りをしたな、と思っただけです。やっぱり姉妹は似るんですかね」
かもしれない、とわたしはイストワールに小さく頷く。それからわたしは大きく深呼吸をし…イストワールへ向き直る。
「ありがとう、イストワール。おかげで元気になったし、すっきりしたわ。…わたしは妹にも、姉にも恵まれてるわね」
「その言葉が聞けて安心しました。もしまた『迷惑をかけて申し訳ない』なんて言おうものなら、今度は姉としてお説教をするつもりでしたが…セイツさんが良い妹で、そういう意味でも安心です
(*´∀`*)」
「も、もう、それはわたしを見くびり過ぎってものよ?(あ、最初にわたしが迷惑をかけるって言った時の反応は、怒りによるものだったのね…危なかった……)」
言葉を選んで「ありがとう」と言った訳じゃないから、お説教ルートになっていた可能性も多分ある。そう思い、内心でほっとするわたし。
と、そこでイストワールが今日初めて顔文字を付けた事に気付く。そしてわたしは、イストワールが顔文字を付けるのは意図的なもので、心から伝えたい事がある時や、切羽詰まっている時は付けないんだって事も聞いている。そんなイストワールは、ここまでずっと顔文字を付けていなかった…その意味は、きっと……。
(…お姉ちゃんとしては、やっぱりまだまだイストワールが先を行ってるわね…)
さっきは話の流れが変わった事で肯定も否定もされなかったけど、わたしとイストワールとじゃ姉として全然違う。格が違うというか、なんというか…でも今はそれを、情けないとも不甲斐ないとも思わない。別にそれでもいいと思う。だって、実際にイストワールはわたしの姉なんだから。妹のわたしと姉のイストワールで、姉としての格が違うなんて、むしろ当たり前の事だし…そのイストワールがイリゼの姉でもある事は、安心でもあるんだから。…勿論、わたしもイリゼの姉として、まだまだ成長していくつもりではあるけど。
それに、わたしは同じ女神としてイリゼに共感出来る事もあれば、一緒に戦う事も出来る。イストワールもそれなりに強いと思うけど、女神と同じように…って事は出来ないし、多分イストワール自身、普段は一緒に戦う事が自分に出来る協力だなんて思っていないんじゃないかと思う。わたしは神次元の女神でもあるから神次元とのやり取りにおいては中心になれるし、情報収集なら言うまでもなくイストワールが頼りになる。さっきイストワールは、同じ姉でもわたしとイストワールとでイリゼが見せてくれる姿は違う筈と言ったけど、逆にわたしとイストワールとで、イリゼにしてあげられる…自分が出来る事だって違う。…だから、それでいいんだ。大切なのは、上か下かじゃなくて…何が出来るか、何をしてあげられるかなんだから。誰かと比べる必要はなくて、自分に出来る精一杯をすれば良いだけなんだから。
「…よし。もう散々泣いたし、抱えてたものは全部吐き出した。だからここからは、立ち上がって走り出すだけね」
「その意気です。わたしも協力…じゃ、ないですね。姉妹で力を合わせて、わたし達の妹を探しましょう(`・∀・´)」
「勿論!…っと、それもだけど…三人の件も、改めてお願いね?次元移動に関しては、ほんとにイストワールだけが頼りだから」
「はい、お任せ下さい。……あ、お姉ちゃんに、って付けた方が良かったですか?腕捲りとかもして( ̄∇ ̄)」
「それはその…多分、イストワールがやっても姉オーラが微塵も出ないんじゃないかしら……」
「そ、そうですよね……」
分かっていた、というように返答するも何か悲しそうなイストワールに、わたしも何とも言えない気持ちになる。ほんと、見た目がね…中身は紛れもない『姉』なんだけど、見た目だけが、ね……。
「…それと…やっぱり、天界調査に関しては皆に、他国に待ったをかけておきたいわ。ネプテューヌの夢云々もあるけど、そうでなくとも今回の件はまだ色々と見えてないもの」
「見えてない、ですか…(。-_-。)」
「ネプテューヌがイリゼを嵌めた、なんてもう思ってないわ。だからこそ、今のネプテューヌの状態は不可解そのものだし、クロワールと行動を共にする存在がネプテューヌの姿をしていた理由も分かってないし、何の為にイリゼを襲ったのかについても不明。分からない事だらけの中で、皆で動くのはリスクが大きいし…ここで皆して天界の調査に行くなんて、何も考えなくても思い付くレベルの行動でしょ?」
「…つまり、イリゼさんを襲った存在は、わたし達がそうする事も想定している…或いは、そうしてくる事を狙っている可能性がある、という事ですか。確かにそれは、十分考えられますね( ̄^ ̄)」
「だから、皆には慎重になってほしいの。…とはいえ、天界に軍の大部隊を展開するのも難しいし、向こうがシンプルに神生オデッセフィアを潰そうと考えてる可能性もあるから、防衛力の低下は避けたいわ。だから、頼れるとしたらパーティーの皆かしらね…消去法で選ぶみたいなやり方は皆に申し訳ないし、皆はあくまで善意でこれまで協力してきてくれた訳だから、力を貸してくれるかどうかはわたし次第って話だけど……」
「皆さんならきっと、力を貸してくれると思いますよ。…ですが、そういう事であればわたしからも一つ提案を。元々は、セイツさんが皆さんの協力を強情に拒否した場合を考慮しての事だったのですが…ある方達に、協力をお願いしておきましたd(^_^o)」
そう言って、イストワールは部屋を出ていく。なんでもその人達と一緒にイストワールは来たらしくて、今まではわたし達に気を遣って別室で待機をしていてくれたんだとか。
女神であるわたしに話を通す事なく人を招いたり部屋を使ったり出来るのは、建国初期にわたしやイリゼと共に建国の中心を担った、わたしとイリゼの姉でもあるイストワールだからこその事。
(協力って、誰かしら…まさか、別次元や別世界の皆?)
流石にそれはない…とも言い切れないわね、と思いつつわたしは待つ。途中でふと自分が泣き腫らした顔をしている事を思い出して、慌てて顔を洗うだけ洗う。そしてわたしがソファに戻ったところで、イストワールもまた戻ってきた。
「お待たせしました。わたしが協力を頼んだのは、彼女達です( ´∀`)」
部屋に入ったイストワールは、道を開けるようにして横へ。そして廊下から、イストワールの呼んだ人達が…姿を現す。
「よっ。何があったのかはざっくり聞いてるが…その様子じゃ、もう心配はなさそうだな」
「イリゼには向こうで色々と世話になったしな。セイツが嫌じゃないなら、協力させてくれ」
「どこかの国の所属という訳ではない、立場的に色々気にする事もない、戦力的にもまぁそこそこはある…何よりそれぞれに協力したいって思いや、恩義に報いたい理由があるオレ達なら、今回の件にぴったりだろう?」
髪の色や服装は違えど、容姿はそっくりな二人の少女と、二人の間に立つ少年。うずめに、くろめに、ウィード。過去の信次元にルーツを持つ…今は在り方そのものがかなり特殊な存在である、イリゼから引き継ぐ形で新たな特務監査官となった三人が、イストワールの言う協力者だった。
「皆……えぇ、勿論よ。皆が協力してくれるって言うなら、心からお願いするわ」
「よっしゃ、だったら何も問題はねぇな。んじゃ、早速色々と話を……と、言いたいところなんだが…」
『……?』
早速、と言いつつも自ら流れへと待ったを掛ける。それにわたしとイストワールが顔を見合わせクエスチョンマークを浮かべる中、ウィードは何か分かっている…恐らく同感している様子でうんうんと頷き、くろめは何かちょっと呆れた顔をし…うずめは、言う。
「…その前に、腹減ったから何か食べたいなー…って…」
「あ、あー…」
「す、すみません。考えてみればそもそも神生オデッセフィアに来て頂いた時点で微妙な時間でしたし、その後も暫く待って頂いていたのですから、お茶菓子だけでは足りませんでしたよね…( ̄▽ ̄;)」
そういう訳で、天界調査に関して話をする前に、食事をしよう、という事になるのだった。…ま、まぁわたしも結構お腹空いてきたし…ね。
「あぁそうだ、イストワール」
「……?なんですか?セイツさん(・・?)」
三人はお客なんだから、という事でわたしはイストワールと食事の準備をする事にする。取り敢えず台所に移動して、大声を出さなきゃ三人に聞かれる事はない、と思える所まで来たところで、わたしはイストワールに呼び掛けて…伝えるのだった。
「これからも、これまで以上に──姉妹として、宜しくね」
「はい。こちらこそ、宜しくお願いしますね(≧∀≦)」
この件は、イリゼに起きた事は、何も良くなんかない。もし起こらずに済んだのなら、避ける事が出来たのなら、そっちの方が絶対に良い。でも…結果的には、この件があったからこそ、わたしは妹として、姉妹として、イストワールとの距離を縮める事が出来た。だから…次は、イリゼを取り戻す。探して、見つける。わたし達の、大事な妹を。その為に…ううん、それが済んだ後だって、ずっとずっと…これからも宜しくね、イストワール。
今回のパロディ解説
・「〜〜次元一小狡い女神〜〜」
プロレスラー、タイチこと牧太一郎さんのニックネームの一つのパロディ。ただ、厳密には「嘗て呼ばれていたニックネームの一つ」と表現する方が適切かもしれませんね。
・「〜〜奇面族の幼馴染〜〜」
モンスターハンター3Gに登場するキャラクターの一人(一体)、カヤンバの事。チャチャが駄目ならカヤンバを…という事ですね。チャチャというと、やはりモンハンのチャチャを連想します。
・「〜〜お姉ちゃんに、って〜〜腕捲りとかもして( ̄∇ ̄) 」
ご注文はうさぎですか?の主人公、保登ココア(心愛)及び、保登モカの決めポーズの事。セイツも言っていますが、イストワールがこれをやっても可愛らしいなぁ、となるだけでしょうね。