超次元ゲイムネプテューヌ Origins Unknown 作:シモツキ
天界にある『街』への突入作戦。言葉にすれば簡単だけど、大きい…重い意味を持つ、その成否にイリゼさんの命が掛かっていると言っても過言じゃない作戦。それを実行に移す日が…やってくる。
「こほん。ブリーフィングを開始します」
「おー!」
「おー(ぱちぱち)」
「いや、ブリーフィングってそんな、『よっ、待ってました!』みたいな反応するものじゃないわよ…?」
ぐるり、と会議室に集まった全員の事を見回して、わたしが切り出す。…早速ラムちゃんとロムちゃんが変な反応をした事で、雰囲気も変な感じになっちゃったけど…そこはまあ、気を取り直す。
「これは言うまでもない事だとは思いますが、場所は天界にある『街』、その中への突入です。お姉ちゃんに向こうから連絡を取ってきて以降動向の掴めない、お姉ちゃんの姿をした存在を引き摺り出す為に、敢えて街に突入を仕掛ける事がこの作戦の目的です。向こうに何か裏があるんじゃ…と慎重な判断をされない為、そして罠や障害があってもそれを真正面から打ち破れるようにする為、全員で一丸になって突入していく…つまりは小細工なしの、正面突破です」
説明に合わせて、会議室の大型モニターに図を映し出す。でも実際のところ、ここまでの説明での『動き』は「全員で真っ直ぐ突っ込む」…ってだけだから、実はあんまりモニターの意味はないっていうか、表示するまでもなかったり…。…だ、だからってやっちゃ駄目な訳でもないんですけどね。視覚的に分かり易くするのって大事ですしっ。
「突入後は、脱出の為の扉の場所とまだあるかどうかの確認を兼ねて、街の中の教会に強襲。何もなければ動き回って、その中で隙を見せる事で向こうの動きを誘います。注意すべきは特殊なモンスターの存在と、イリゼさんが女神化を控えていた…控える必要があったんだって事ですが、モンスターの方は戦力に問題ないと考えられます。そして女神化についても、女神化自体が不可能ではなかった事を踏まえて、可能な限り女神化を維持。何か危険を感じた場合は、その時点で離脱を優先する…こんなところですね。皆さん、協力を宜しくお願いします」
最後まで概要を説明し切って、最後にぺこり、と頭を下げる。わたしが説明を担当したのは、こういう時にいつも説明しているいーすんさんが今は…っていうか、暫く神生オデッセフィアに留まっているから。で、代理を頼まれて張り切った結果…なんかちょっと、必要以上に硬くなっちゃった気がする……。
「ネプギアちゃん、説明ありがとうございますわ。…改めて考えると、本当にシンプルというか、ざっくりした作戦ですわね…割と向こうの出方次第な部分も大きいですし……」
「まあ、仕方ないわね。急がば回れとは言うけど、私達が手をこまねいている間も向こうは自由に動ける訳だし、時間を掛ければ何とかなるようなものでもないし」
「それに何より、イリゼがいつまでも大丈夫だっていう保証はないわ。勿論イリゼがそう簡単にやられる訳はないけど、だとしてもわたしは姉として、イリゼを待たせる訳にはいかない。…うん、だから協力を頼むべきはネプギアじゃなくてわたしよね。…皆、お願い」
「もっちろんよ!わたしたちに任せてよね!」
「イリゼさん、たすける…(ぐっ)」
「うん。でも二人共、この作戦はイリゼさんを助ける事が目的じゃないからね?勿論そのチャンスがあれば全力を尽くすけど、一番の目的はお姉ちゃんの姿をした存在を誘き寄せる事…それを忘れないでね?」
めらめらとやる気を燃やす二人に頼もしいなぁと思いつつも、わたしは念の為に言っておく。ベールさんが言った通り、ざっくりした作戦になっている…ならざるを得ない状態だからこそ、本来の目的を見失ったり、変に欲を出したりする訳にはいかない。ロムちゃんとラムちゃんに注意をする形で言いはしたけど、これは自分自身に言い聞かせてる面もあって……
「…ねぇネプギア。今思ったんだけど、向こうにこっちの目的を悟らせない為には、むしろ二人にはイリゼさんを助けるつもりでいてもらった方が良かったんじゃない…?向こうからすれば、そっちの方が『自然』に思える理由でしょうし…」
「あっ……」
気付いた時にはもう遅し。苦笑いするユニちゃんの前で、小さく肩を落とすわたしだった。
「イリゼがどうして女神化を控えているのか…出来る事ならここははっきりさせておきたいところだけど、それが分かるイリゼは行方知れず。…もしかすると、これがわたし達にとって最大の賭けになるかもしれないわね」
「同感よ。でも、人の姿でいる間は特に何かある訳でも、焦ってる様子もなかったって話だし、最悪女神化を解けば何とかなる可能性もあるわ。…戦力の大幅低下に目を瞑れば、だけどね」
何故控えていたか分からない。分からないからどんな影響があるのかも分からないし、女神化を避ける事は、当然わたし達にとっては大きな縛り。その部分を上げた上で、ブランさんとセイツさんはわたし達をぐるりと見回す。
それは、確認であるように思えた。そういう場所、そういう環境に踏み込むんだって事を理解しているか、覚悟しているかっていう、確認の様に。そしてその視線に、わたしは頷く。
危険だったとしても、不明瞭だとしても、それを理由にわたしは躊躇ったりしない。イリゼさんの為、お姉ちゃんの為…それを思えば、怖くなんてない。
「…やっぱり、それも含めて速攻…徹頭徹尾、スピード重視で動いた方が良さそうですね。例えばもし、女神の姿だとシェアエナジーを吸収される仕組みに街の中がなっていたとしても、速攻で目的を達成して離脱まで行ければ、被害は最小限で済みますし」
「その通りよ。速攻で事を進められれば危険は減るし、逆にもたついていれば向こうが立て直してくる可能性もあるわ。兵は拙速を尊ぶ…これは本来善は急げみたいな意味だけど、この作戦においては全ての場面でスピードが重要となる…私はそう思っているわ」
ユニちゃんとノワールさんの言葉にも頷く。皆も頷いて、そこでここまで続いていたやり取りが途切れる。
話に詰まった訳じゃない。これは、言うべき事、確認するべき事は全て出尽くした…って状態になったからこその、沈黙。全員それを感じているようで…誰からともなく、視線がお姉ちゃんの方を向く。
「そういえば、今日はやけに静かですわね」
「おなかいたいの?」
「いたいの…?」
「…ううん、そういう訳じゃないよ。ただ……」
『ただ?』
「この流れでわたしが口を挟んでも、脱線して時間が無駄になるだけかなぁ、ってね。それに折角ネプギアが、張り切って始めてくれた訳だしさ」
「ネプテューヌがそんな気を遣うだなんて…もう随分長い付き合いだけど、貴女も漸く成長したのね…」
「けど、それはそれでちょっとネプテューヌらしくないというか、気持ち悪いわね…。そんな気はつかわず空気も読まず、好き勝手にふざけるのがネプテューヌ…って、普段はそれに困らされてるのに、なんで今は『それがないと味気ない』みたいに言ってるのよ私は……っ!」
「お、お姉ちゃん……」
自分で自分に突っ込み(?)を入れて頭を抱えるノワールさんの姿に、ユニちゃんが何とも言えない表情を浮かべる。その二人の様子に、わたしはちょっぴり苦笑…したんだけど、実はわたしも「確かにちょっと味気ない…」って思ってたり…。
「あはは…まあでも実際、わたしが何か言わなきゃ不味いような状況は特になかったでしょ?…あ、でも…それなら最後に、一つ良いかな」
「…うん。何かな、お姉ちゃん」
「多分だけど、順調にいってもいかなくても、これは大変な作戦になると思う。だけど、思うようにいけば、思ったようにいければ、きっと上手くいく…わたしはそう信じてる。だから…頑張ろう、皆」
意見でも、忠告でもない、ただの思い。予想と、掛け声。でもそれは、お姉ちゃんらしい言葉で…もう一度、わたし達は全員で頷いた。きっと上手くいく…そう信じるのが、大事だよね。信じなくちゃ、しっかりと前に進む事なんて出来ないから。信じる事で、より強く、しっかり踏み締めて進めるようになる筈だから。
「それじゃ、行くとしましょ。皆、準備はいい?」
「勿論です。元々今のブリーフィングも、最終確認でしたしね」
「何があるか分からない場所に、とにかく突っ込む。相手を誘い出す為に、当たって砕ける覚悟で向かう。…誇れはしないけど、嫌いじゃないわ」
「……?けがしちゃったら、わたしがなおしてあげる、ね」
「わたしも手伝うから、あんしんしてよね!」
「ブランの言う、当たって砕けるというのはそういう事ではないのですが…うふふ、癒されますわ〜♪」
立ち上がったセイツさんに、ユニちゃんが続く。ブランさんの発言を勘違いしたロムちゃんラムちゃんの言葉でちょっと雰囲気が緩んで…程々に余裕のある、良い空気感でわたし達は会議室を後にする。
会議室から、シェアクリスタルの間へ。入ったところでセイツさんが携帯端末を取り出して、少し操作した後「うん、概ね時間通りね」と言う。
「ネプギア、どうする?わたしが開いてもいいけど……」
「ううん、わたしに任せて」
シェアクリスタルの前に立って、両手を軽く突き出す。意識を集中して、天界へと繋がる扉を作る。
予想出来ない事が多い中で、少しでも想定外を減らせるよう、街への突入はイリゼさんが入ったのと同じ場所から…という事になった。それだって、同じ場所から入れば必ず同じ位置に飛ばされる…と決まってる訳じゃないし、寸分狂わずイリゼさんと同じ地点、同じ角度から入るのは困難だけど…そこはもう、割り切るしかない。
「…よし。皆さん、行けます」
その場で反転をして、全員を見回す。こくり、と皆からの頷きを受けて、まずはわたしが扉を潜る。最初に入った、天界に移ったわたしが振り向けば、皆も続々と移ってきて…最後にお姉ちゃんが来たところで、わたしは扉を閉める。そして全員で女神化をして、街のある場所へと飛び立つ。
(流石に、緊張してきたな…。でも……)
ちらりとお姉ちゃんを、セイツさんを見る。わたしと同じように、ユニちゃん達も緊張感を抱いている事は、雰囲気から何となく伝わってきて…道中は何も起こる事なく、街のある大地の付近まで到着。その場所を斜めに見下ろせる位置で、わたし達は一旦停止。
「…ここからは、時間との勝負に、隙なんて見せられない戦いになるわ。行くわよ、皆!」
はっきりとした、凛としたお姉ちゃんの声。それにわたしは、わたし達はそれぞれの言葉で応じて、再び動き出す。降下からの低空飛行に移り……街へと、突入する。
*
天界にある街は、人がいない事と、特定の場所に近付く事でモンスターが湧き出す事を除けば、特に変な点はない街…という話を受けていた。その除いた要素が凄く大きい訳だけど、街全体が巨大な迷路になってるとか、至る所に防衛機構があって妨害される…みたいな事がないのは、わたし達にとっては凄く助かる。
その街へと、わたし達は突入した。一瞬前までは普通だった光景が、その地点を超えた瞬間一変し、それまではなかった街が現れた。…ううん、違う。移ったんだ。わたし達が、街の中へと。
「情報通りの街ね…静か過ぎて不気味だわ」
ここが街の中だと認識した直後、ユニちゃんの声が聞こえてきた。わたし達が今いるのは、街の一角、どこかの路上で、確かに全く人気がない。軽く飛んで上から見回してみても、やっぱりわたし達以外の姿は見えない。
「人のいない、街だけがある空間…神生オデッセフィアにもこういう場所はあるけど、またちょっと感じが違うわね」
「それは建物や街並みから分かる、技術レベルの話でして?」
「それで言うと、この街は現代レベルね。…って、今それは重要じゃないか…」
「だな。もたもたしてる時間はねぇ、教会を探すぞ」
軽く首を横に振ったノワールさんに首肯して、ブランさんが言う。わたし達は一気に高度を上げて、教会を…街の中央側を探す。大体の見当を付けて、そこへ向けて飛んでいく。
人がいない。人がいないから、施設も機械も何も動いていない。まるで巨大な、実物大の建物の模型。この街は、そんな感じで…だけど、それで合っているのかもしれない。ただ、閉じ込める為だけのものなら、模型の様にただあるだけの、実用性のない空間で十分なんだから。
(…あれ?そういえば…何もない、よね…?)
飛行する中ふと思い出すのは、ブリーフィングの時も触れた懸念事項の一つ。イリゼさんは、何かしらの理由で女神化する事を控えていて…けれど女神の姿で突入した今、わたしはそれらしいものを全く感じていない。皆も違和感を抱いていたり、調子悪そうにしている様子はない。
誰も、何もない。それは良い事…なんだけど、そうはいかないつもりで来たものだから、正直何もないのには拍子抜け。…イリゼさんが来た時と今とは、何か違う状況になってる…って事…?
「情報通りなら、教会に近付いたところでモンスターは押し寄せてくる筈よ。皆、戦闘準備を!」
「はい!ロム、ラム、別に殲滅する必要はないわ。押し寄せてきたら、アタシ達で穴を開けるわよ!」
「まかせて。…でも……」
「別にセンメツしちゃっても、かまわないでしょ?」
「倒しても倒しても出てくるって話なんだから、それこそ『構ってる』場合じゃないっての!」
突っ込みを入れながら、ユニちゃんが前へ。その左右に分かれる形でロムちゃんとラムちゃんも出て、わたしは三人の後ろに着く。
もう教会…だと思う建物は見えている。まだ多少の距離はあるけど、今の飛行速度で行けば、すぐに近くにまで到達する。そうなれば、即座に戦端は開かれる。
もう少し、という距離でわたしはM.P.B.Lを取り出して、感覚を確かめるように軽く握って緩めて…を数度繰り返す。そしてわたしは、教会を見据え……次の瞬間、瞬く間にモンスターが現れる。
「来た…!ロム、ラム!」
「うん…っ!せー……」
「のッ!」
X.M.B.の砲身を展開するユニちゃんと、掲げた杖から魔法陣を出現させるロムちゃんとラムちゃん。銃口と魔法陣、その両方から強いシェアエナジーの光が放たれ…次の瞬間、収束された三条の光芒が空を駆ける。
放たれた光芒は、三人の狙い通り飛行するモンスターの群れの真ん中を貫く。一瞬で奥まで貫いて、余波で周辺のモンスターも蹴散らす。
「三人は、そのままお願いッ!」
先制の攻撃を免れたモンスターは、激しく動揺しながらもわたし達に突っ込んでこようとする。そのモンスターの迎撃は、わたしの担当。三人にはそのまま穴の維持と拡大を頼んで、わたしが逃れた個体を銃撃で片付ける。
女神四人の攻撃。普通なら大きい群れが相手でも、簡単に決着は付く。でも次から次へと、教会に近付けば近付く程に現れるモンスターは瞬間的な圧倒は出来てもやっぱり殲滅はし切れない。ブランさんが魔力弾で、セイツさんが圧縮シェアエナジー弾で支援をしてくれるけど、それでも完全に押し切る事は出来なくて…だからわたし達は、頷き合う。
「ま、想定通りね。突っ込むわよ!」
「先陣はわたくしに任せて下さいな。殿は……」
「わたしが引き受けるわ。皆、先に行って!」
射出したトルネードソードで複数のモンスターを纏めて吹き飛ばしたノワールさんの言葉に応えて、ベールさんが突出。ランスチャージをするように、ユニちゃん達が開いた穴へと飛び込んでいって、わたし達もそれに続く。穴の中を通りながら外に向けて攻撃を放ち、穴が塞がっていくのを阻む。
射撃と魔法で薙ぎ払っていたユニちゃん達も、後続チームとして突入。三人で回りながら、撃ちながら突き進むユニちゃん達を、殿のお姉ちゃんが直掩で守る。段々と穴は小さくなっていくけど、追い付かれる事なくお姉ちゃん達も進んでいって…わたし達は、抜ける。
「ふ……ッ!」
先頭のベールさんは、急降下から教会の正面出入り口へと肉薄をして、その勢いを一切殺さず扉へと後ろ蹴り。ベールさんの長い脚が刺突の様に突き出されて、扉は一瞬で開け放たれる。中へとわたしは飛び込んで、中から追い掛けてくるモンスターを撃つ。
ベールさんに続いて突入したノワールさんとセイツさんは、分かれて両開きの扉を掴む。わたし、ブランさん、ユニちゃんロムちゃんラムちゃんと続いて、最後にお姉ちゃんが全速力で通り過ぎる。ブレーキなしで駆け抜けていって…直後に構えていたお二人が、扉を閉める。閉めた直後も、当然わたし達は外に、周辺に警戒を続けていて……けれど、モンスターが扉や窓を破って入ってくる事はなかった。
「…ふぅ。ここまでは順調、ですね」
「予想通りに事が進んでるしな。けど、本番はこっからだ」
戦斧を肩に担いだブランさんが、視線を教会の奥に向ける。まだここまでは道中、今後戦いがあるとするなら、今の群れの突破は前哨戦に過ぎない…そう思うと、否が応でも気が引き締まる。
ぐるりと聖堂の中を見回して、おかしなものや何かの気配がない事を確認した後、わたし達は浮いた状態で教会の奥へ。滑るようにして、奥へ奥へと進んでいく。
「…ところで、この街の作りですけれど…どこか覚えがあるように感じますわ。貴女達はどうでして?」
「わたしもだ。どっかで見た事あるような気がするっつーか……」
「でも、はっきりここだ…って言えるような場所は、どうにも浮かんでこないのよね。もやもやするわ…」
聞いていた情報を元に、教会内の廊下を進む。各部屋を調べる…という事はしないで、大部屋があるらしい場所に真っ直ぐ向かう。
その道中での、ベールさん達のやり取り。わたしもその感覚はあって…でも今は、それを考える状況じゃない。
「…あ…あそこ、なんだかちがう…」
「あれが話に聞いていた大部屋ね…何かあるとすれば、ここからよ…!」
指を差し、ほんの少し視線を鋭くさせたロムちゃんの言葉に、わたしは小さく頷く。続けてセイツさんが、覇気を籠らせた声を発して…わたし達は、一気に加速。全員で大部屋の中に飛び込んで、円を作るようにしながら構える。
「……っ!…って……」
「…なにも、いない?」
背中を預け合う、全員で円を作る陣形。即座に戦闘が始まる位の覚悟でわたしは飛び込んでいて……けれど、何も起こらない。そこにあったのは、ただ広いだけの大部屋で、思わずわたしは声を漏らす。わたしと同じように、ラムちゃんも意外そうな声を上げる。
数秒経っても、何もない。いっそ逆に不安になる位、大部屋の中は静かなまま。
「…まさか、もうここにはいないとか…?アタシ達の動きを、事前に察知していたとかで……」
「いや、そんな事は…ない、と思う…けど……」
警戒の雰囲気を保ったまま、ちらりとセイツさんがお姉ちゃんを見る。この作戦…敢えて街に飛び込んで誘き寄せるって作戦を提案したのはお姉ちゃんで、立ち直ったとはいえ、この前までお姉ちゃんは自分で自分が信じられない位の状態だった…それを思えば、何か意見を求めたくなるのも無理はない。側から見れば、そんな風に思える視線を、お姉ちゃんに向ける。
「…まだ、分からないわ。ここにいないならいないで、この更に奥にあるっていう扉がまだ使えるかどうかの確認を……」
その視線に気付いた様子のお姉ちゃんは、ゆっくりと首を横に振る。焦りも動揺もない、落ち着いた声音でセイツさんへと言葉を返す……その時だった。
ぐにゃり、と一瞬歪んだように見えた壁。普通じゃないその変化に、反射的にわたしが壁へと目を凝らした直後、そこからモンスターが現れる。教会に近付いた事で現れたのと同じようなモンスターが、壁から…四方を囲う壁の全てから姿を現す。
『な……っ!?』
お姉ちゃんの姿をした存在から逃げる中で、教会の中にもモンスターが侵入してきた…という話も、セイツさん経由で聞いていた。でもまさか、こんな形で現れるなんて微塵も思っていなくて、愕然とするわたし達。その間に…ううん。現れた時点で、モンスターの群れはわたし達を包囲していて、モンスターの群れは走って、飛んで、一斉に襲い掛かってくる。
「くッ…ユニ、援護を!」
「ロムラム、まずは押し返す!吹っ飛ばす準備しとけ!」
「であればわたくしは外から…!ネプギアちゃん、付いてこられるのならお供をお願いしますわ!」
驚きで一瞬反応が遅れたわたし達だけど、身体は本能的に動いてくれる。考えるより先に指がトリガーを引いて、正面から来るモンスターを撃ち抜く。
そしてそれは、皆さんも同じ。接近される前に自分から跳んで肉薄したノワールさんは、大きく大剣を振る事で攻撃と牽制を同時に行い、足の止まったモンスターはユニちゃんが悉く狙い撃つ。言葉通り戦斧でモンスターの突進を受け止め押し返したブランさんは、そこからわざと隙を見せる事で複数のモンスターを誘導し、飛んで避けると同時にロムちゃんとラムちゃんの爆裂魔法が誘われたモンスターを纏めて一網打尽にする。わたしもベールさんの呼び掛けに応えて、突進するベールさんの後ろに追従。包囲を抜けた後、直線機動と鋭い方向転換を組み合わせたヒットアンドアウェイで切り崩す事に専念するベールさんが動き易いよう、弾をばら撒いて徹底的に反撃を阻む。
「なんかちがうカンジだけど、わたしたちの敵じゃないわね!それそれそーれっ!」
「でも、中々へらない…!」
「減らないんじゃなくて、ひっきりなしに雪崩れ込んで来てるのよ…!ぐるっと一周薙ぎ払いたいところだけど……」
「流石にそれじゃ教会が崩れちゃうよ…!……あ、でもそれならそれで、今いるモンスターは一網打尽に出来るかな…」
「自分達は崩壊に巻き込まれても問題ない前提なんですのね、ネプギアちゃん…」
「まあそれはそうなんだが、ネプギアも大分女神らしくなったっつーか、大胆な思考をするようになったな……」
何だかちょっと聞こえたベールさんとブランさんの会話は流して、M.P.B.Lを撃ちながら横に振る。刀身で飛び掛かってきたモンスターを両断し、即座にエネルギーを刃に集中。返すようにしてもう一度振り、ビームの斬撃を飛ばして遠距離からモンスターを纏めて斬り裂く。
こっちは女神が九人もいるから、現れた側から悉くモンスターは倒されていく。戦力差は歴然。だけど、モンスターの出現も止まらない。倒しても倒しても、何体何十体と撃破しても、次の瞬間にはもう撃破した分が埋められている。このままじゃ、埒が開かない。
「ちッ…このままだと無駄に消耗するだけね!この状況を一回何とかしてみるか、この場を離れるかを提案するわ!」
「何とかって…どうやって!?」
「私達が『全力』を出せば、どうとでもなるわ!もう少し温存しておきたいところではあるけどね…ッ!」
今のままただ戦うのは良くない…そう思ったのはノワールさんも同じみたいで、この状況を変える事を全員に提案。方法を訊くセイツさんに、ノワールさんは抽象的な…でも、わたし達にはよく分かる表現で言葉を返す。
確かにわたし達のビヨンドフォームやお姉ちゃん達のネクストフォームを使えば、今以上の速度で…それこそ一瞬で、モンスターを殲滅するのも無理じゃない。…けれど、少し不安もある。確かに殲滅は出来るだろうけど、モンスターの方も何らかの方法で無限に湧いてくるなら、その元を立たない限り、殲滅しても終わりにはならない。多分それはノワールさんも分かっていて…その上で、あくまで今の状況を変える手段の一つとして、全力での殲滅を挙げたんだと、思う。
「今の状況だったら、取るべきは後者だな!そもそもここでどんだけモンスターを倒しても、わたし達の目的にゃ繋がらねぇだろ!」
「離れるのであれば、どちらにせよ調べておきたい奥に行く方が良さそうですわね!またわたくしが先陣を……」
この場を変化させる事より、自分達のいる場所を変化させた方が良い。そんな判断の下、ブランさんとベールさんはノワールさんの提案の内の後者を選ぶ。わたしもユニちゃん達も同じ考えで、すぐにこの場での迎撃から、ここからの離脱へ意識を移す。
ユニちゃんとアイコンタクトを取って、わたしはベールさんの側へ。わたしは近くから、ユニちゃんは離れた位置から支援が出来る位置に付いて、突撃を仕掛ける構えのベールさんの助力を図る。打ち合わせなんて必要ない。この位の事なら、目配せ一つで全員がその場に応じた動きを取れる。それだけ沢山の戦いを、わたし達は力を合わせて潜り抜けている。
即座に準備を整えたベールさんの左右に迫っていたモンスターを、わたしとユニちゃんでそれぞれ撃つ。直後にベールさんは床を踏み締めて、道を開くべく突撃を行う……その時だった。
「──ううん、その必要はないわ。ここで、貴女達の目的は果たされるもの」
不意に後ろから聞こえた、涼やかな声。落ち着いた、落ち着き払った…だからこそ冷たさすら感じる声。その声が聞こえた次の瞬間……大部屋の中が、一変する。何かが部屋の中に、わたしの中に流れ込む。
「……っ!これ、って……」
強烈な違和感。上手く言葉に出来ない、だけど本能的に危険を感じる何かが、流れ込んで内側で渦巻く。
思い出すのは、セイツさんから聞いていた話。街の中に入った時点であるものだと思っていて、でもそんな事はなくて、いつの間にか忘れていた、イリゼさんが女神化を控えていた何らかの要因。これまでは何故なのか、何がそうさせていたのか分からなかったけど…その理由は、今感じている『何か』で間違いない。
…今はまだ、激しい違和感を感じているだけ。でも、多分…このままこの状態が続くのは、凄く不味い…!
(……って、あれ…?…今の、声って……)
突如として襲いかかった感覚に意識が持っていかれていたせいで、声の主に対しては考えるのが一瞬遅くなっていた。
だけど…考えるまでもない。聞き覚えがあるとか、確かこの声は…とか、そんな思考は一切必要なかった。瞬時に分かった、即座に分かってしまった。だって、それは…その声の主は……
「…お姉、ちゃん……?」
振り向いたわたしの前で、プロセッサの翼を広げて宙に立つ一人の存在。二つの三つ編みで編んだ紫の髪に、深い水色の瞳。間違える訳がない。分からない筈がない。それはわたしの姉……パープルハートの姿の、お姉ちゃんだったんだから。
「ぅ…気持ち、わるい…」
「何これ、すごくもやもやする…」
「ネプテューヌ…?…今のは、どういう意味よ……」
感じているのはわたしだけじゃない。皆も同じように感じていて、ノワールさんが困惑の…微かに疑念も孕んだような声を上げる。
当然、その間もモンスターは絶え間なく襲ってくる。何とか躱して、受け止めて、反撃してはいるけど、これまでのようにはいかない。内側で渦巻く違和感が、お姉ちゃんの言葉が、目の前の戦闘への集中を阻む。
「言葉通りの意味よ、
「言葉通りって…貴女、まさか……」
「……っ…そういう事かよ…!」
涼やかな、冷ややかな声のまま返すお姉ちゃんの言葉に、ベールさんとブランさんも反応する。お二人共何かに気付いたようで、声に緊張の色が滲む。
悠然と、宙に立ったままのお姉ちゃん。そのお姉ちゃんは、お姉ちゃんだけは…モンスターに、襲われていない。
「相手を誘い出す為に、わざと相手の罠も同然な場所へ乗り込む…それを提案したのも誘導したのもわたしだけど、もう少し策や備えを用意しておくべきじゃないかしら?貴女達はもう少し頭が回ると思っていたけど…懸念するだけで実際にはそのまま来ちゃったんだから、どうやらわたしの思い違いだったようね」
見下ろすお姉ちゃんの視線の先にいるのは、ノワールさん達守護女神。声にも視線にも、いつもの優しさや親しみが一切なくて……分からない。どうしてお姉ちゃんが、そんな声で、そんな視線で、そんな事を言っているのかが。
分からない。分からない。…落ち着けば、落ち着いて考えれば、きっとすぐに分かる気がするけど…わたしの心が、それを拒む。
「お、お姉ちゃん…?急に、どうしちゃったの…?目的地が果たされるって…わたし達の、目的は……」
「別のわたしを…貴女達の知る『ネプテューヌ』とは違う存在を誘い出す。そうでしょう?」
ノワールさん達に向いていた視線が、わたしへと向けられる。お姉ちゃんの声が、わたしの中で木霊する。
そう。お姉ちゃんの言う通り、わたし達の目的は、お姉ちゃんの姿をした存在を誘い出す事。そしてお姉ちゃんは、ここで目的が果たされるとも言った。つまりそれは、ここにお姉ちゃんの姿をした存在が現れるって事。或いは……もう既に、現れてるって事。
「で、でも…ここには、お姉ちゃんしか…お姉ちゃんの、姿しか……」
「えぇ、そうね。…どうしたの?しっかり者のネプギアなら、この位分からない筈がないでしょう?」
じっとわたしを見つめる、お姉ちゃんの瞳。わたしのよく知る…なのに今は『違う』と思える、思ってしまう、わたしへ向けられたお姉ちゃんの眼差し。
あぁ、駄目だ。理解したくなくても、分かってしまう。もう答えは出ているも同然で、考えなくても答えが理解出来てしまう。言葉が、状況が、全部答えに繋がっている。お姉ちゃんは…ここにいるお姉ちゃんは…今、わたしを見ているお姉ちゃんが……
「…貴女、なのね…神生オデッセフィアに現れて、わたしを誘ったのも…クロワールと何かを画策してたのも…イリゼを襲ったのも…全部…ッ!」
怒りを孕んだ声で、セイツさんが叫ぶ。…それが、答え。今の今まで、一緒にいたお姉ちゃんが──お姉ちゃんの姿をした『誰か』なんだ。
「何のつもりかは知らないけど…現れたなら、倒すまで…ッ!」
「前と同じように戦えると思っているの?今の、この状態で」
周囲のモンスターを無視して、セイツさんは跳躍。大剣状態の連結剣をお姉ちゃんの姿をした存在に振り出し…それをお姉ちゃんの姿をした存在は、大太刀で受け止める。余裕の表情で、セイツさんを押し返す。
「く、ぅ……ッ!」
「貴女は一体何者なの!?どうして、ネプテューヌの姿を…それに、貴女がネプテューヌじゃないなら、ネプテューヌはどこ!?」
「質問ばかりね。さっきは答えてあげたけど、だからって訊けば何でも答えてもらえるなんて……いや、貴女達が味方だと思っていた『ネプテューヌ』なら、そうかもしれないわね。…でも、わたしは違うわ。それに…そんな悠長に訊いている暇があるのかしら?」
弾き返されたセイツさんは着地後また飛び込もうとするけど、四方八方から襲ってくるモンスターに阻まれる。今度はノワールさんが迫るモンスターを迎撃しながら声を上げて、お姉ちゃんを睨め付ける。
その声に滲むのは、動揺と怒りと…不安。きっと、お姉ちゃんに対する思い。でもお姉ちゃんの姿をした存在はそれに答えず、代わりに更にモンスターを差し向ける。
モンスターは、お姉ちゃんだけは襲わない。お姉ちゃんが操っている様子もないのに、わたし達だけを襲ってくる。そのお姉ちゃん自身は戦闘に参加していなくて、一人減ってもこっちは女神が八人もいるんだから、それだけなら劣勢になったりはしない筈だけど…雪崩れ込む違和感が、それを許してくれない。
「ちょっと、動きが止まってるわよネプギア!」
「動揺するのは分かりますわ。けれど今は、この場を乗り切る事を考えなさい…!」
散弾による弾幕形成と、大槍の薙ぎ払いがわたしの近くで巻き起こる。ユニちゃんとベールさんが、わたしに叱咤の声を掛けてくれる。
分かってる。二人の言う通りだって事は。ここで動きを止めても、何にもならないって事は。…だけど、分かっていても、心がそれに着いてこない。目の前の事実に、着いていけない。その間も、モンスターは待ってなんかくれないのに。
「くそッ…何しやがった、テメェ……!」
「その様子だと、彼女はここでの事を貴女達に伝えられていないようね。まあ、当然の事だけど」
「……ッ…!」
「セイツさんも落ち着いて下さい!気持ちは分かります、でも……」
「…えぇ、分かってるわ……ッ!」
一本調子で返すお姉ちゃんの姿をした存在の言葉に、セイツさんの放つ、怒りの雰囲気が一段階増す。落ち着くようユニちゃんが言えば、セイツさんは分かっていると返していたけど、雰囲気そのものは変わらない。
わたしも何とか心の中に渦巻く気持ちと違和感を隅に追いやって、モンスターの迎撃に意識を向ける。向けようとする。でも…すぐに、自分自身で分かってしまう。今の自分が、全然いつものようには動けていない、って。
(落ち着かなきゃ、戦いに集中しなきゃ…ここでやられたら、イリゼさんを助ける事が出来なくなる…お姉ちゃんの事だって、分からないままになる…!)
戦わなきゃいけない、乗り切らなきゃいけない理由を思い浮かべて、自分を鼓舞する。踏み込んで、撃って、斬り付ける。皆だって戦ってる。万全の状態で戦えないのも、動揺してるのも、わたしだけじゃない。だから、頑張らなくちゃ…!
「何もせずに見下ろすだけとは、随分と余裕ですわね…!まあ、女神八人が相手では臆してしまうのも無理はありませんけれど…!」
「分かり易い挑発ね。けど、その通りよ。流石に女神八人を相手に、正面から向かっていって勝てるだなんて思ってないもの。だからこのまま、無理せず勝てる方法を取らせてもらうわ」
「はッ、ネプテューヌならまず言わねぇような発言だな…!そっくりなのは、見た目だけかよ…!」
「心外ね。ホワイトハートこそ…いいえ、貴女達こそ、群れて集団で仕掛けるのが女神として誇れる姿だとでも思っているの?」
「騙すわ罠を仕掛けるわした側の癖に、よく言うわね…!」
声を上げるノワールさん達は、モンスター迎撃の中で生まれる僅かな隙間を取り零す事なく、その瞬間を用いてお姉ちゃんの姿をした存在へと攻撃を放つ。けれど静観と防御に達するお姉ちゃんの姿をした存在には、複数人でも散発的な攻撃じゃ全く通用しなくて、次の攻撃をする前にはもう別のモンスターが仕掛けてきている。それだけなら何の脅威でもなかったモンスターの大群が、状況と状態の変化で、一気にわたし達の戦いに響く。
「ラムちゃん、こっち…!ユニちゃんも…!」
「そうね…一旦固まって、とにかく立て直すわよ…!」
「うん…!ほらっ、もっとしっかりしてよね、ネプギア!」
更に戦闘が続く中、ロムちゃんの呼び掛けで、ユニちゃん達三人がわたしの側に。ラムちゃんにも叱咤されて、わたしも三人の連携の中に入る。
ユニちゃんが点と線の攻撃を、ロムちゃんとラムちゃんが面の攻撃を叩き込んで、取り零しや近距離まで迫ってきた相手はわたしか着実に片付ける。それは女神候補生組で大群と戦う時の基本戦法の一つで、慣れた戦法だからこそ、いつものように動けない今でもある程度は戦える。身体が動いてくれる。わたしの状態を考えてなのか、自分達も違和感で調子が崩れているのを踏まえてなのかは分からないけど、その戦法を選んでくれた事自体がわたしへのサポート。だからわたしは三人に感謝して、M.P.B.Lを握り締める。…でも……
「はぁ、はぁ…ぐ、ぅっ……!」
急降下してきたモンスターを、何とか寸前で受け止めて横に逸らす。蹴り飛ばして、ビームを照射して、倒す。
戦法自体は、今の状況に合ったものだった。それでも、戦況を覆せる程のものじゃなくて…全く尽きないモンスターの増援に、遂にわたし達は押され始める。疲労が、消耗が、じわじわと響く。
まるで、底無し沼に嵌ったような、そんな心境。焦れば焦る程、不要な消費をして余計に状態が悪くなる。でもだからって、何もしないでいても、少しずつ更に悪くなるだけ。沼なら落ち着いて、ゆっくりじっくり適切に動けば何とかなるらしいけど…絶え間なく襲ってくるモンスター相手に、ゆっくりじっくり動くなんて出来る筈がない。
(ビヨンドフォームなら…いや、駄目…!分からない、分からないけど…今ビヨンドフォームを使うのは、危険過ぎる……!)
頭に浮かんだ選択の一つを否定する。はっきり言える事なんて何もないけど、駄目な気がする。わたしの本能が、やっちゃ駄目だと叫んでいる。
だけど、ならどうする?ビヨンドフォームを…わたし達の全力を出さないまま、この状況を乗り切る方法なんて……本当に、あるの…?
「中々耐えるわね。ネプギアに強さを聞いておいて良かったわ」
「もう勝った気でいるなんて、随分と調子に乗ってくれるじゃない…!」
「別に、もう勝った気でいる訳じゃないわ。この調子のまま、確実に勝つつもりなだけよ」
放たれた圧縮シェアエナジーの弾頭を宙での大きなステップで躱して、お姉ちゃんの姿をした存在は言葉を返す。その上方、天井付近からも…モンスターは、襲ってくる。
「このまま終わるというなら、貴女達はそれまでだったというだけの話。せめて美しく残酷に、この場所で倒れるといいわ」
前からも後ろからも、左からも右からも上からも、モンスターは迫り続ける。倒しても倒しても尽きない、削れていくのはわたし達の余裕だけ。そしてそんなわたし達を見下ろし続ける、お姉ちゃんの姿をした存在の瞳は…その奥に感じるものは…酷く冷たい、酷く澱んだ光だった。
今回のパロディ解説
・「〜〜こんなところですね。皆さん、協力を宜しくお願いします」
ARMORED COREシリーズにおける、GAグループ及びアーキバスのブリーフィングの締めのパロディ。後者は分かり辛いですね。そして後者はV.Ⅷペイターの台詞のパロディとも言えます。
・「別にセンメツしちゃっても、かまわないでしょ?」
Fateシリーズの登場キャラの一人、エミヤの名台詞の一つのパロディ。この台詞自体はフラグとしてよく扱われますが、これはパロディです。別にフラグじゃありません。多分。
・「〜〜美しく残酷に、この場所で倒れるといいわ」
東方project作品に登場するキャラの一人、八雲紫の台詞の一つのパロディ。紫繋がりのネタ…のつもりです。紫といっても、こちらは「ゆかり」ですけども。