超次元ゲイムネプテューヌ Origins Unknown 作:シモツキ
偽者である事は分かっていた。偽者である事しか分からなかった。ネプテューヌの姿をした、ネプテューヌではない存在。姿を偽っている、何故偽っているのか分からない、どうしてネプテューヌなのかもはっきりしない、不明である事ばかりの存在。情報を集める中で、戦う中で、少しずつ見えてきたものもあったけど、だとしてもまだ答えには至れていなかった。まだ遠かった。
だけど…わたし達は、難しく考え過ぎていた。至って常識的な、だからこそ初めに…考えるまでもなく可能性から除外していた事が、通常なら『あり得ない』事こそが、答えだった。あぁ、そうだ。きっと初めから、ネプテューヌは──二人いた。
「ふふ、ふふふっ、ふふふふふふっ…」
倒れ伏すネプテューヌと、宙に立つネプテューヌ。確かにそこにいる、二人のパープルハート。それに、その姿に、わたし達は言葉を失い…沈黙していた宙のネプテューヌが、笑い始める。嘲りではない、不敵でもない…喜びを感じさせる声と共に、表情を綻ばせる。
「…貴女は…誰、なの……?」
悪意は感じられない、感じられないからこそ余計に不気味な笑いを前に、ノワールが呟くようにして言う。
一体何者なのか。それは何度もアルテューヌにぶつけてきた問い。これまで一度もはっきりとした答えを得られなかった疑問。だけど今の声は、今わたし達の心に渦巻いているのは、それまでのものとは少し違う。ネプテューヌの姿をした存在、アルテューヌが一体『誰』なのかではなく…今目の前で笑う存在は、一体『何』なのかという、その存在そのものに対する懐疑。
「誰?誰って、言ったでしょう?わたしはわたしだって。ネプテューヌだって」
「……ッ、いい加減言葉遊びは飽きたんだよ!答えるつもりがねぇってなら……」
「…いや、待ちなさいな。彼女からは、ネプテューヌの気配を感じますわ…いいえ、違いますわね。これまでもずっと…アルテューヌから、ネプテューヌの気配は感じていましたわ。…姿も動きもネプテューヌそのものだったせいで、気にも留めていませんでしたけど……」
暫くの間笑っていたネプテューヌは、ノワールに対してこれまでと同じような雰囲気で返す。それにブランが感情を剥き出しにし…ベールが制する。アルテューヌにも、今正対しているネプテューヌにも、わたし達の知る『ネプテューヌ』の気配が感じられると、険しい表情を浮かべて話す。
そう。このネプテューヌが何なのかは分からないけど…十中八九、アルテューヌと同一の存在である事は間違いない。そして、思い返せばわたしもアルテューヌに対してネプテューヌの気配を感じていた。見た目や戦い方から気配を誤認していたとかじゃなく、今思い返してもアルテューヌはネプテューヌの気配を纏っていた。
「姿や動きだけじゃなくて、気配や雰囲気までも偽装していた…?…って、訳じゃないみたいね…何がどうなってるのか分からないけど、まんまとしてやられたわ。腹立たしくて仕方ないけど、追い詰めたつもりがこっちの用意した切り札を上手く利用されたのは認めざるを得ないわ。…だからそろそろ、こっちの問いにちゃんと答えてくれてもいいんじゃない?」
「そうね。この空間の、シェアリングフィールドの使い手を手引きしてくれた貴女には感謝してるし、答えてもいいわ。けど…答えるまでもなく、貴女達は…三人は知っている筈よ。だって、わたしと貴女達は初対面なんかじゃないんだもの」
「初対面じゃない?…突入前から一緒にいた、だから初対面じゃないなんていう、しょーもねぇ意味じゃねぇだろうな?」
まさか、とブランの返しにネプテューヌは…いや、アルテューヌは肩を竦める。そうでないのなら、言葉通り三人…視線からしてノワール、ベール、ブランの三人は以前にもアルテューヌと会っているという事になって、その三人は顔を見合わせる。それは一体誰なのか、そういう表情を三人は浮かべる。
「分からない?何度も戦ってきたっていうのに、嫌と言う程顔を付き合わせてきたのに、わたしの事が分からない?」
「何度も…?…貴女はノワール達の宿敵か何かだとでも言うの?それとも……」
「宿敵よ、だけど貴女が思っているようなものじゃないわ。そもそも出自が全く違う、この信次元においては新参の貴女が分かるような関係じゃ……」
答えてもいいと言いつつ言おうとしないアルテューヌは、まるで三人に気付かせようとしているかのよう。宿敵だけど、わたしが思っているようなものじゃない。そう言われてもわたしには全く分からず、本当に彼女の言う通り、わたしには分かりようのない、分かる筈のない関係、存在なのかもしれない。
そんな中、不意に言葉を途切れさせるアルテューヌ。一瞬目を見開いたアルテューヌは、そこから左手を額に当てがう。
「……っ…まだ、馴染んでいない…?結果的にとはいえ、かなり強引な形になったから…?」
こちらに聞かせるつもりなんてないんだろう、小さな呟き。その意味は分からない。分からないけど、言葉からしてアルテューヌも何かに困惑をしている様子。けどそこから引き摺る事はなく、すぐに額から左手を離す。
「…ふぅ。少し、意地の悪い言い方をしてしまったわね。分からなくても無理はないわ。だってわたしは、わたしからしてもあり得ない存在だもの。ここにいるわたしは、存在しない筈のわたしだもの。…だけど、ここにいる。わたしはわたしとして、存在している。それが事実で、真実よ。そう、わたしはここにいる…今も、ここにいるわ…!」
気を取り直すような吐息の後、アルテューヌは少しだけ語る。わたし達になのか、自分に対してなのか、それともこの信次元に向けてなのか…分からないけど、確かに自分の存在を伝える。
その最中のアルテューヌは、無防備だった。はっきり言って、隙だらけだった。なのにわたし達の誰も、その隙を突けなかったのは、突こうとしなかったのは…きっとそれだけ、アルテューヌが空気を支配していたから。
「…漸く、わたしはここまで来た…予定とは大分違う形になったけど、まずは『わたし』を取り戻した…だから次は、わたしの道を取り戻す番よ」
『……!』
「…と、言いたいところだけど…今日はここまでよ。今も数でかなり不利なのに、向こうの面々にまで合流されたら、流石に勝てる気がしないもの」
「ここまでって…結局逃げる気!?」
「そうよ。わたしは昔から戦いに目がない貴女達と違って欲張ったりはしないし、今回は自分を取り戻せた喜びを噛み締めておく事にするわ。…待たせたわね、クロワール」
ふっ…と形相を変えるアルテューヌの雰囲気。反射的に身構えるわたし達。けれどアルテューヌは仕掛けてくる事なく、むしろ戦闘の意思を解くようにして肩を竦める。それに食ってかかるノワールの勢いも意に介さず、逆に軽く皮肉で返して…クロワールの、名前を呼ぶ。
次の瞬間、ふわりと姿を現す小さな人影。開いた本に腰掛けた素足の少女、クロワール。これまで一度も姿を見せなかった、だから今はいないものだと思っていた彼女の出現に、わたし達には緊張が走り…直後、クロワールは次元の扉を開く。
「ふぁーぁ…良かったなー、自分を取り戻せて。けどそれはそれとして、待たせ過ぎだっつーの」
「悪かったわね、わたしも色々してやられて大変だったのよ。…早くしてほしかったなら、加勢してくれても良かったのに」
「馬鹿言え、俺が加勢したら視聴者参加型になっちまうだろうが。そういうのはdボタンだけで満足してるんだよ」
((あ、一応やってはいるんだ……))
クロワールは双方向番組に参加するタイプだった、という意外な事実が発覚し、思わずわたしも皆もぽかんとしてしまう。けど、流石に今はそこを追求するような状況じゃない。
既に次元の扉は開いている。その扉は、アルテューヌの近くにある。つまり…もう、アルテューヌはいつでも逃げられる。
(この状況じゃ、扉に入る前に取り押さえるのはほぼ不可能。推力最大で突っ込んでも、潜られる前にせいぜい一撃届くかどうか。何か向こうの気を引けるものが、一瞬でも思考をを鈍らせられるものがあれば……)
雑に逃げようとすれば、乾坤一擲の攻撃が届くかもしれない。それはアルテューヌも分かっているようで、互いに相手の出方を伺う、ほんの僅かでも隙があればその隙を突かんとする沈黙が、わたし達とアルテューヌを包む。
訳が分からない状況だけど、向こうは大きな成果を上げた状態。対してわたし達は、実質何も得られていない。それどころか、ここまで隠してきた「ネプテューヌへの疑念と策」を明かし、切り札として使ってしまった以上、ここで逃げられたら完敗以外の何物でもない。
だからこそ、ただ逃がす訳にはいかない。絶対に、何もなしになんて逃がさない。何か一つでも、何か……そうわたしが思考をフル回転させる中、ゆっくりと背を向けながら、流し目のようにこちらへ視線を向けながら、アルテューヌは言った。
「──わたしの事は、そこのわたしが知っているわ。貴女達が本物だと思っている…貴女達にとっての『本物』の、ネプテューヌがね」
『……!?』
何かしてくる。それは分かっていた。分かっていたのに、それでもアルテューヌのその言葉に、わたし達は一瞬気を取られてしまった。意味に、言葉選びに、そちらに思考が向いてしまった。
刹那の様な、けれど致命的な隙。それを晒したわたし達の前で、アルテューヌとクロワールは次元の扉の中へと入り……消える。
「……くッ!」
なりふり構わず飛び出し、伸ばした手が空を切る。一瞬前まではアルテューヌがいた、次元の扉があった場所。だけどもう、何もない。
「……っ…お姉ちゃん…!」
わたしが飛び出した直後、ネプギアも動いていた。けど向かう先はわたしと同じじゃない。ネプギアが飛び出した先にいるのはネプテューヌで、そこにノワールが続く。振り向いたわたしと目の合ったベールとブランは苦々しげな表情を浮かべて…わたし達も、ネプギア達の下に向かう。
「お姉ちゃん、大丈夫!?お姉ちゃん!」
「ネプテューヌ…!」
横たわるネプテューヌの肩を抱え上げたネプギアと、その反対側に膝を突いたノワールがネプテューヌへと声を掛ける。
一瞬、頭に浮かぶのは最悪の可能性。だけどネプテューヌの胸元が、微かに上下している事に気付いて一先ずは安堵。
「…クソが、結局アルテューヌの一人勝ちかよ……」
「付き合いの長いわたくし達や、同じ屋根の下で暮らすネプギアちゃんですら気付かないとは、本当にアルテューヌは何者ですの…?」
そう。逃げるのを止められず、その時に何も得られなかった以上、わたし達の敗北は否定しようのない事実。それもただ負けた訳じゃなく、策を披露し手の内を晒した上での、手痛い敗北。更に、もうアルテューヌを誘い出す策略は、「罠だと分かっても行くしかない」レベルの何かを用意出来ない限り、ほぼほぼ通用しないと見る他ない。尤もその点に関しては、今回の突入作戦自体がそもそもネプテューヌの振りをしていたアルテューヌの発案だった時点で、どんな結果になろうとも端から通用しないだろうけど、何であれ痛いものは痛い。痛過ぎる。
…ただ、本当に何もないのかといえば、マイナスのみの結果に終わったかといえば…それはまだ確定していない。戦闘での、攻防での、駆け引きでの結果はマイナスのみだとしても、もし最後にアルテューヌの言った言葉が嘘やわたし達を愚弄する為のものじゃなかったとするならば……
「……ぅ…」
「お姉ちゃん!」
『ネプテューヌ!』
ぴくりと震え、ゆっくりと開くネプテューヌの瞼。反射的に上げたわたし達の声に、ネプテューヌはぼうっとした表情を返し…呟く。
「ここは…?」
「あ…こ、ここは天界の街だよ!わたし達は、ここにアルテューヌ…えぇと、お姉ちゃんの姿をした存在を誘い出す為に突入作戦を考えて、でも……」
ぽつりと零れたネプテューヌの言葉に、わたわたと慌ててネプギアが返す。それを途中までネプテューヌは聞き…制止するように、ネプギアへと掌を見せる。
「ありがとう、ネプギア…うん、段々思い出してきたわ…。…いや、思い出してきた…で、合っているのかしら……」
「…どういう事?」
意識がはっきりしてきた様子のネプテューヌは、考え込むような素振りを見せる。思い出した、で合っているのか…その発言にわたしが言葉を返せば、ネプテューヌはわたしの方を見て小さく頷く。
「…わたしは、ずっと彼女に…わたしじゃないわたしに、乗っ取られていた…イリゼの存在を餌に誘き出されて、返り討ちに遭ってから、ずっと……」
「…という事は、セイツの見立ては当たっていたんですのね…」
「情けないわ…あの時は完全に頭に血が登っていて、冷静さなんて全くなくて…あんなまともに戦える訳ない状態で突っ込んでいったなんて……」
「お姉ちゃん……」
情けない、と表情を歪めるネプテューヌ。…気持ちは、分かる。わたしだって、イリゼ絡みで冷静さを失うどころかかなぐり捨てた経験はこれまでにもあるし、プラネタワーでネプテューヌに声を荒げてしまったのだって、その内の一つ。
それと共に、思う。イリゼの携帯端末を利用してアルテューヌが連絡を掛けてきたのは、話を聞く限りわたしがネプテューヌに連絡をした…電話越しに「ごめんね」と伝えてから、そう時間は経っていないタイミングの筈。だからもし、わたしがもう少し後で掛けていれば、アルテューヌからの連絡より後であったなら、ネプテューヌを止められたかもしれないし…一人ではなく二人なら、その時点でアルテューヌを倒し、イリゼを奪還出来たかもしれない、と。
でも、そうはならなかった。ならなかったのよ、わたし。だから……この『もしも』は、これで終わり。
「ネプテューヌ、それを責めるつもりはないわ。だから…教えて頂戴。アルテューヌの…貴女を乗っ取っていた存在の、正体を」
じっとネプテューヌの事を見つめ、わたしは言う。わたしからの視線を受けたネプテューヌは、ゆっくりと頷き、立ち上がる。そして口を開こうとし……次の瞬間、周囲の状況が一変する。
「…え?…シェアリングフィールドが、切れた…?」
これまでずっと感じていたシェアエナジーが、シェアエナジーに溢れる空間が、突如として消失する。周囲に溶けていくようにして、薄れて消える。
突然の消失に、わたし達は驚き周囲を見回す。何か起きたのか、どうして急に消失したのか、それを考えながら見回し…けど、おかしなものは何もない。
「どういう事だ、こりゃ…まさか、向こうで何かあったのか…?」
全員が困惑の表情を浮かべる中、ブランが表情を険しくしながら可能性の一つを口にする。
シェアリングフィールドそのものが何かの攻撃や影響を受けたんじゃなく、その発生源であるうずめとくろめに何かがあったのかもしれない。ブランの口にした可能性は、当然あり得るもので…一気にわたし達は、不安に駆られる。モンスターにやられるとは思えない。だから誰かの襲撃を受けたのか、それともアルテューヌが撤退したと見せ掛けて向こうに強襲を仕掛けたのか、そんな悪い想像ばかりが膨らんでいって…数秒後、わたし達のいる部屋に声が響く。
「おねーちゃーん!」
「……!ラム!それに、ロムも…!」
「アタシもいます!」
ばっと振り返ったわたしの目に最初に映ったのは、こちらに飛んでくるラムちゃんの姿。その後ろにはロムちゃん、更に後ろにはユニもいて、三人はわたし達の側で着地をする。
「…ネプテューヌ、さん……?」
「あ…えぇ、そうよ。…皆、ごめんなさい。また、迷惑を掛けちゃって…」
「そんなの…いや、今はそれより先に確かめる事があるわ。ユニ、そっちで何かあったの?どうして貴女達はこっちに?」
「何かって…あ、シェアリングフィールドの事なら大丈夫。うずめさん達が、単に解除しただけだと思うから」
戸惑いの顔を見せるロムちゃんにネプテューヌが返し、ノワールがユニに問う。質問からユニは、その意図を理解してくれて、ここに来た経緯を話してくれる。
どうやら向こうでは、急にモンスターの増援が止まったらしい。完全にゼロになった訳じゃなくて、外から雪崩れ込んでくるモンスターはそのままだったって話だけど、中で現れるモンスターはゼロになって、その事からこっち…わたし達の側で状況が変わったんだろうと判断したんだとか。加えてその時点でうずめもくろめも限界が近いようだったから、皆はその場からの離脱を選択。確認も兼ねて、ユニ達三人は先行してこっちに来た…っていうのが、事のあらまし。
「モンスターの発生が止まったタイミング…お互いちゃんと時間を確認してる訳じゃないから大体になっちゃうけど、アルテューヌが分離してから逃げるまでのどこか…って見るのが固そうね。屋内で発生させた事といい、わたし達のみを狙ってきた事といい、どこまでモンスターを掌握してるのかしら…」
「うずめ達は、大丈夫…?」
「は、はい。シェアリングフィールド展開以降はずっとアタシ達が有利でしたし、さっき言った通り、アタシとロムとラムがうずめさん達と分かれたのは、あの場から離脱して奥に進んでからの事なので」
ネプテューヌに問われて答えるユニだけど、その表情は少し固い。それにわたし達は一瞬困惑するも、すぐにこっちでの事情を話していなかったからだと気付き、端的に説明。こっちからはほぼ何も得るものがないまま、結局逃げられてしまった事を伝えると、三人は表情を曇らせる。
「ごめん、皆…折角送り出してくれたのに……」
「ネプギアちゃん…。…ううん、だいじょうぶ。ほんもの…?…のネプテューヌさんは、取り返せたんでしょ…?」
「そーそー。けど、それじゃあアルテューヌってなにものなの?ほんとの名前はミストネプテューヌとかだったりするの?」
「だとしたら黒幕…というか、真に倒すべき存在はまだいるって事になっちまうだろうが…。……考えたくないな、そういう可能性は…」
首を傾げながら言うラムちゃんに、ブランが半眼で返し…ただでさえこれだけの戦力で突っ込んで倒せなかったアルテューヌの他にもまだ倒すべき存在がいたとしたら、と軽く首を横に振る。
ただ、でも…わたしはロムちゃんの言葉に、気付かされた。完全な敗北、ネプテューヌからの情報を除けば消耗し、手の内を晒しただけ…そう思っていたわたしだけど、確かに『ネプテューヌの奪還』は出来たのだと。見方を変えれば、ネプテューヌを乗っ取っていたアルテューヌを、ネプテューヌの身体から引き摺り出す事が出来たとも言える、と。
「…一度、うずめ達とも合流した方が良さそうですわね。あちらもわたくし達がどうなったか気にしているでしょうし」
シェアリングフィールドの消失で中断する形となった、ネプテューヌの話。それは気になるところだけど、ベールの言う事も一理ある。
皆も同じように判断し、行動開始。来た道を引き返すようにして、部屋を後にし…けれどうずめ達もこちらに向かってくれていたようで、すぐにわたし達は合流する。
「あっ、ねぷてぬ!こんどは知ってるねぷてぬ!おっきいねぷてぬと、ふつーのねぷてぬー!」
「ぐふぅ…!…ぴ、ぴー子とぷるるんも、わざわざ来てくれてありがとう…本当に、迷惑をかけて申し訳ないわ……」
「あら、確かに今度はあたしの知ってるねぷちゃんみたいねぇ。それに、皆のその冴えない顔…何となく、どうなったのかは理解したわ」
「…プルルート、本当にちゃんと分かってる?」
「言ったでしょう?何となくって」
タックルの如き抱き付きを受けて身体がくの字に曲がった後、感謝と謝罪を伝えるネプテューヌ。それを受けて頷いたプルルートにわたしが問えば、「今言ったばかりなのに聞いてなかったの?」…とばかりの顔をして、プルルートが言葉を返してくる。…読んでる皆は騙されちゃ駄目よ?プルルート、全部察したような雰囲気出してるけど、こういう時って本当にふわっとしたレベルしか理解してないから。それなのに天然だからか、余裕たっぷりに言うのがプルルートだから。…というか、これまでわたしは殆どこうして語りかけるような事がなかった気が……こほん。
合流した事で、わたし達はうずめ達にも分かれてからの事を伝える。クロワールが現れた事も話すと、うずめ共々女神化を解いていたくろめと大きいネプテューヌがぴくりと肩を震わせ…次に浮かべたのは複雑な顔。
「クロちゃん、今回の事もずっとどこかで見てたのかな…」
「まあ、ずっと見ていた…いや、観戦していたんだろうね。…しかし、人であるねぷっちでも、別次元のねぷっちでもない、もう一人のねぷっち、か……」
「俺達とは全然違う存在なんだろうが、他人事とは思えねぇな…」
「…で、そのネプテューヌ…もとい、アルテューヌってのは……」
話を進める、その為の問いを口にするウィードにネプテューヌは頷く。それまでずっと寄り添っていたネプギアから離れて、わたし達全員を見るようにして向き直る。
「…正直、わたしもまだ信じられないわ。もし彼女…アルテューヌがわたしに誤認をさせていただけで、実は嘘だと言ってきたら、やっぱりそうかとすぐに思いそうな位には、わたしにとっても信じ難い…そういう存在よ」
「そこまで言わせる存在って…ミラテューヌとは違う、本当に未来の信次元から来たネプテューヌとか、仮想世界形成装置内の、データに過ぎなかった筈のネプテューヌが実体を持ったとか、そういうレベルの話?」
「ひょっとして、主人公アピールより正義の味方アピールをよくしてた頃のねぷちゃんだったりするのかしら?」
「ある意味それ以上かもしれないわ、セイツ。…で…ぷるるんの方は、逆に行き過ぎというか…前に感想欄で予想された案の一つをパロネタに絡めて出すとか、ぷるるんも中々凄い事をしてくるわね……」
「うふふ、そっち方面は超次元のねぷちゃんと毎日一緒に過ごす中で、自然と鍛えられたのよ。正に手取り足取り、身体に直接教え込まれたって感じかもしれないわぁ」
「ロムとラムの前で変な表現するんじゃねーっての。…で、結局なんなんだよ」
半眼をプルルートに向けたブランは、視線をネプテューヌへと戻す。わたし達も、ネプテューヌの次の言葉を待つ。そしてネプテューヌは、一度眼を閉じ…それから開いて、言った。
「アルテューヌ。彼女は、本物のわたしよ。わたし自身よ。──わたしが記憶を失う前の、わたしが取り戻す事をしなかった…過去の、ね」
*
お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんの姿をした存在…アルテューヌさんだと分かってから、ずっとわたしはちゃんと戦えなかった。ずっと上手く動けていなかったし、何から何まで駄目駄目だった。
そんなアルテューヌさんの正体が、お姉ちゃんであってお姉ちゃんじゃない…わたしのお姉ちゃんじゃないのに、お姉ちゃんそのものなんだって…わたしの知らない頃の、過去のお姉ちゃんだったなんて、思いもしなかった。わたしも、皆さんも…お姉ちゃん、自身も。
「まずは、皆さんお疲れ様でした。一先ず、皆さんが全員帰ってきてくれて、安心しています( ̄▽ ̄)」
あれからわたし達は、次元の扉を介して信次元に戻ってきた。正確に言うと、次元の扉は名前通り別次元や別世界と繋がるものだから、神次元のいーすんさんに協力してもらって、まず神次元と天界とを繋がる扉を作り、神次元経由で信次元へと戻ってきた。
それも、セイツさんが予め打ち合わせをしていた事。セイツさんはお姉ちゃんのフリをしていたアルテューヌさんを疑っていたからこそ、色々と用意が出来ていた。プルルートさん達の増援や、シェアリングフィールドの存在と、同じように。
「帰って来られたのは、彼女達の協力があっての事ですし、セイツが色々と動いていてくれたおかげですわ。わたくし達だけなら、どうなっていた事か……」
「わたしが色々動けたのは、状況とかそれまでの経緯的に、動き易い状態になっていたのが大きいわ。言い方はアレだけど、一人でこそこそやっていても、皆に『今は仕方ない』って思ってもらえる中だったからこそ上手く動けた訳だし。というか…むしろ、悪かったわ。アルテューヌに悟られない為とはいえ、皆にはまるっと秘密にしてたし、ネプギアに関しては黙ってるどころか騙してたようなものだし…」
「そんな…気にしないで下さい、セイツさん。それが必要な事だったっていうのは、わたしも理解してますから」
申し訳ない、と視線を向けてくるセイツさんに、そんな事はないと首を横に振る。確かに予想外の事で、聞いた時は驚いたけど…今は勿論、その時だって怒りはちっとも湧かなかった。それよりむしろ、ずっと側にいたのに、思い返せばおかしなところもあったのに、それを見過ごしてしまった自分への不甲斐なさの方が強かった。
わたしからの返答を受けて、セイツさんは表情を緩める。だけどそれから一度黙り込んで…呟くようにして、言う。
「…けど、イリゼを取り戻せなかった…皆に黙って立ち回ったのに、今回打てる手は出し惜しみなく打ったのに、イリゼには掠りもしなかった……」
「セイツさん…」
悔しげな、セイツさんの声。そのセイツさんの側に、いーすんさんはゆっくりと向かって肩に手を置く。置かれた手にセイツさんは指先で触れて、大丈夫よ、と言葉を返す。
そう。わたし達はアルテューヌさんに負けた。同時にそれは、イリゼさんを取り戻すチャンスを逃してしまったという事。しかもここ…プラネタワーに戻ってくるまでに聞いたけど、お姉ちゃんが見た時のイリゼさんは、重傷を負っているらしくて…一層の不甲斐なさが、心に募る。
「…せいつ。気持ちは分かるけど、今はそれより話す事、考える事がある筈でしょ。…せいつや信次元の皆程、ぴぃはいりぜと深い付き合いじゃないから割り切れるんだ、って言われたら、返す言葉はないけど……」
「…ううん、貴女の言う通りよピーシェ。ありがとう、ちゃんと言ってくれて」
「ピーシェちゃん、優しいね〜」
「ちゃ、茶化さないでよぷるると…」
「はは…本当に、彼女の言う通りだね。オレ達は、考えなきゃいけない。アルテューヌ…過去のねぷっちの事を。でなければ、いりっちを取り戻す事はきっと出来ない」
真面目な顔をしたピーシェさんと、くろめさんの言葉。二人の言葉で空気は引き締まり、天界の街、その中での教会の時と同じように、またお姉ちゃんに視線が集まる。
「根本的な話ですけど、過去のネプテューヌさん…っていうのは、勘違いではないんですか?…あ、いや、勿論ネプテューヌさんを疑ってる訳じゃないですけど…」
「それは俺も思ったな。俺みたいに、何らかの理由で本物の…ってか、本来のネプテューヌとは別物として発生した存在…みたいな感じなのか?まぁ、俺の場合は本来の自分がもう過去のもので、アルテューヌとは逆みたいなもんだが」
ユニちゃんの問いに、ウィードさんが続く。その部分が気になるのはわたしも同じで…お姉ちゃんの言っていた、「自分もまだ信じられない」って発言は凄く理解出来る。だって、記憶喪失のままでいたら、記憶喪失になる前の自分が現れたなんて、どう考えてもあり得ない事だから。
「勘違いではない…と、思う。ウィードくんの言う通り、何かの力で普通はあり得ない存在として、『過去のわたし』が形を持ったんだと思う。でもその、細かい話をするのは難しいっていうか、わたしの中でもぼんやりしてるっていうか…」
「それって、どーゆー事?ちっちゃいわたしにとってもまだよく理解出来てない的な?」
「ううん、そうじゃなくて…こう、アルテューヌに乗っ取られてた間の記憶とは別に、アルテューヌに関わる事柄が頭の中で跡みたいに残ってる感じ…みたいな……」
「事柄?跡?記憶が共有されてるとか、そういう感じでもねーのか?」
そういう訳じゃない、とお姉ちゃんはうずめさんの質問に否定で返す。何だろう、この感じ…こういうのって……
「…夢の内容を、断片的に何となーく覚えてるとか、そんな感じ?」
「あ…それが一番近いかも」
「夢の記憶か…それなら追求しても中々はっきりとした情報は出てきそうにないわね……」
うーん、とノワールさんが首を捻る。他に何か分かっている事、アルテューヌさんに関する情報は何かないかとわたし達は訊いて、お姉ちゃんは思い付く限りの事を言ってくれるけど、やっぱり「これは…!」って感じのものは出てこなくて、一度会話が止まってしまう。
「何というか…こうなるとねぷっちがアルテューヌの正体についてははっきり分かっているのも、彼女が意図的にそう仕向けた可能性が高いね」
「んん?どういう事だ、【オレ】」
「自分が何者なのかねぷっちに、そして全員かどうかは分からないにせよ、オレ達に知らせたかった…って事さ。分からせたかった、思い知らせたかった…と言う方が正確なのかもしれないが」
「思い知らせたかった…だとしたら、わたし達の問いにはやけに勿体ぶってたのは何故かしら。結局アルテューヌ自身は、自分からは言わなかった訳だし」
「自分から教えるのと、相手に気付かせる、相手側に説明させるのとじゃ感じ方が変わってくる…とかだろうね。無論、ここまで言った事は全て、オレの想像に過ぎないけど」
確証はない、と言うように締め括るくろめさんだけど、その内容には説得力があった。本当にそうかどうかは分からないけど、そう思えるだけの内容だった。…アルテューヌさんは、わたし達に知らせたかった…自分は過去のネプテューヌなんだって、お姉ちゃんが記憶を失う前のお姉ちゃんなんだって、わたし達に理解させたかった……。
「…あの、皆さん。昔の…記憶喪失になる前のお姉ちゃんって、どんな人…どんな女神だったんですか…?」
少しの間考えた…というより、色んな思いが心の中で駆け巡ったわたしは、顔を上げていーすんさん、それにノワールさん達に訊く。わたしが女神として生まれる前、お姉ちゃんが記憶喪失になる前から知っている皆さんに、お姉ちゃんの事を尋ねる。
それに、お姉ちゃんはぴくりと肩を揺らす。浮かんでいる表情は、自分もそれを訊きたかったって感じで、でも聞きたくないように思っている風でもあって…いーすんさんも、そんなお姉ちゃんの表情に気付く。
「…ネプテューヌさん。わたしは、ネプギアさんの質問に答えようと思いますが……」
「…うん、大丈夫だよ。わたしは皆と争ってた過去の自分の記憶より、皆と仲良くなれた今の自分の方が大事だと思って、記憶を戻さないって決めたけど…今は、皆でアルテューヌの事を少しでも知っておく方が大事だもん、ね」
小さく、ゆっくり頷いたお姉ちゃんは、きっと過去のお姉ちゃんを知っている皆さんに対して答える。やっぱりお姉ちゃんも、今は複雑な気持ちみたいで…だけど声で分かる。今お姉ちゃんは、無理して大丈夫と言った訳じゃなくて、本当にちゃんと心を決めた上での返答をしたんだって。
お姉ちゃんからの返答を受けたノワールさん達は、顔を見合わせる。それからノワールさん達も心を決めたように、言う。
「…前のネプテューヌは…今のネプテューヌより冷静、いえ…冷徹だったわ。容赦がなかったとも言えるわね。流石に別人レベルではないし、今と比較したら…の話だけど」
「わたくしもそう思いますわ。ただ…実のところ、わたくしも前のネプテューヌの事を、よく知っている訳ではありませんの。何度も矛を交えはしましたけれど、逆に言えば戦闘以外での付き合いはほぼありませんでしたし、実際人としての姿も碌に知らなかったんですもの」
「そうね。だから、冷徹だった…っていうのには、『わたし達に対しては』が前に付くわ。というかわたしも、その頃は三人に対してもっとキツく当たってた気がするし。…ベールもいちいち煽ってきたしな」
「あら、そうでしたっけ?うふふ、そういえば最近はそういう事もあまりしていなかった気がしますわね」
「だからって腕に胸乗っけて見せ付けんじゃねぇ、脛砕くぞ」
冷徹だった。初めに印象、雰囲気について触れるノワールさん。それにはベールさんもブランさんも同意するけど…そこから続いたのは、追加の情報じゃなくて補足。それも、冷徹だったというのが絶対的なものとは限らないっていう、お三人も詳しく知ってる訳じゃないんだと示す発言。
…因みにベールさんとブランさんのやり取りの後、お二人の身体は小さく揺れていた。…多分だけど、テーブルの下では脚での攻防戦が起きてるんだと思う…丁度お二人は、隣に座ってる訳だし…。
「じゃあ、イストワールさんはどうですか?イストワールさんは、お姉ちゃん達より色々知ってます…よね?」
「はい。ただ、性格の話で言うと…微細なレベルでの違いはあれど、全体像としては今のネプテューヌさんとそう変わりませんでした。…昔から、何かと理由を付けて仕事をさぼろうとしたり、エキセントリックな発言が目立ったりする方だったので……(-_-;)」
「そ、そうなんだ…。…その…今も昔も、色々お世話になってます…」
遠い目をするいーすんさんの言葉に、申し訳ない…って雰囲気全開でお姉ちゃんは謝罪。対するいーすんさんも、何とも言えない顔をしていて…でもそこから、いーすんさんの表情は真面目なものへと戻る。
「…だからこそ、皆さんの話には違和感があります。過去のネプテューヌさんは、良くも悪くも今と大きく違うような性格や思考をしている方ではなかった。そんな過去のネプテューヌさんが、どうしてこんな事をするのでしょう……(。-_-。)」
「それは、私も思ったわ。さっき冷徹とは言ったけど、姑息な手や卑怯な策を使ってくる事はなかったし、アルテューヌはネプテューヌらしくないっていうか……」
「やっぱりほんとはネプテューヌちゃんじゃないんじゃないのー?」
「ネプテューヌさんも、わたしたちと同じだったり…しない…?」
「同じ?…あ、双子って事?それはないと思うけど……わたし主人公だし、生き別れた双子の妹とか姉とかいてもおかしくはないのかなぁ…」
「ねぷてぬ、それは真面目に考えてるの…?ふざけてるの…?」
真剣なんだかそうじゃないのか分からないお姉ちゃんの言葉、それに対するピーシェさんの突っ込みに、恐らく全員が内心で同意。…ま、まあそれはともかくとして…少し、その可能性も気になってくる。お姉ちゃんは、過去の自分自身だって言っているけど…それを、そのまま受け取っていいのかな、と。
「お姉ちゃん。アルテューヌさんが過去のお姉ちゃん自身だったとしても、やっぱりそれって普通はあり得ない事…だよね?…クロワールさんが、何かしてるのかな……」
「そういえば、いりっちは膨大なシェアエナジー同士をぶつけ合わせて天界と下界を繋げたと言っていたね。そして状況からして、その際のいりっちのものではないシェアエナジーは、クロワールが奪い去ったというレイのものである可能性が高い。…彼女の力は規格外だ。その力で何かしていてもおかしくはないさ」
「でも、それもなんかふわっとしてるっていうか、じゃあ具体的には何をしたの?って話だよねぇ。なんかもうこうなると、実は本当はちっちゃいわたしじゃありませんでしたパターンもあるんじゃない?こう、整形と睡眠学習でアルテューヌ自身に『自分はネプテューヌだ』って思わせてるだけで、実は全然違う人とか……」
「そんな、某傭兵組織のボスみたいな事はないと思いますけれど…。…一旦は、あまり可能性を広げるべきではないと思いますわ。勿論、こうだろう…と決め付けるのはよくありませんけれど、考え出したらキリがありませんもの。ここはネプテューヌの話…いえ、認識を正しいものとして、その方向で考えてみるべきですわ」
待ったを掛けるベールさん。確かにそれはその通りで…わたしだって、お姉ちゃんの認識を疑ってる訳じゃない。ただ…うん、そう。わたしは、不安なんだ。今もまだ、分からない事が多いのが。見えてこない事ばっかりなのが。
「他に何か、何か……あ。…そういえば、だけど…アルテューヌって、前のネプテューヌのプロセッサを纏ってなかった?」
「言われてみると、確かにそうだった気がするわ。昔のプロセッサを纏ってるのも、アルテューヌが前のネプテューヌだとする判断材料の一つにはなりそうね」
「だけど、それはアルテューヌが前のネプテューヌだって話の補強にはなっても、それ以外には特には役に立ちそうにないっていうか…。…はぁ…何だかちょっと、頭が痛くなってきたわ……」
「…今日は、ここまでにしておきましょうか。皆さんもかなり消耗してる筈ですし…皆さんの感じていた違和感、それの検査はきちんとやっておかなくてはいけませんから( ̄^ ̄)」
指先で頭を押さえるセイツさんを見て、いーすんさんが今日はこれで打ち切ろうと切り出す。その必要はない、まだ大丈夫…そう言いたいところだったけど、わたしは大丈夫でも、ちゃんと動けていなかったわたしより精一杯戦ってた皆の方がより疲労してるだろうし…そんな皆から、お姉ちゃん共々わたしは視線を向けられている。休んだ方が良い…そんな視線を、皆から感じる。
それにいーすんさんの言う通り、あの違和感は無視出来ない。シェアリングフィールドのおかげで感じなくなって、フィールドが切れた後ももう違和感はないままだったとはいえ、だから気にしなくてもいいとはならない。
(…お姉ちゃん…アルテューヌさん……)
正直、わたしはほっとしている。お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃなくてアルテューヌさんだった事には愕然としたけど、その後にちゃんとお姉ちゃんと再会出来て、一緒に戻ってこられて、安心している。…だけどそんな事、言えない。イリゼさんを…妹を取り戻せないままのセイツさんの前でそんな事言えないし、わたしも安心はしてるけど、イリゼさんを取り戻すまでは…本当の意味では、喜べない。
そして…今でもわたしの中では、渦巻いている。あるテューヌさんは、わたしの考えるお姉ちゃんじゃなくて、敢えて言うなら「紛いもの」のお姉ちゃんの筈なのに…そんなアルテューヌさんから向けられた視線、言葉、アルテューヌさんと過ごした時間に対する、怒りではない感情が。多分きっと、多分ずっと、戦っている間もそれは渦巻いていた。…わたしがそう思うのは、お姉ちゃんの存在を偽って、お姉ちゃんやイリゼさん達に酷い事をしたのに怒り以外の感情も抱くのは、外見は同じだから?偽者、っていう訳じゃないから?それとも──。
今回のパロディ解説
・ネプテューヌは──二人いた。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風に登場するキャラの一人、ブローノ・ブチャラティの台詞の一つのパロディ。これも意外と分かり辛いパロディですね。いた、じゃなくてあった、ならもう少し良かったかもです。
・でも、そうはならなかった〜〜これで終わり。
BLACK LAGOONに登場するキャラの一人、ベニーの名台詞の一つのパロディ。こちらは非常に分かり易いパロディになったと思いますが…このネタ自体は、使えるタイミングがそんなに多くはないですね。
・「〜〜主人公アピールより〜〜頃のねぷちゃん〜〜」
原作シリーズの内の一つ、超次元ゲイムネプテューヌ(一作目)におけるネプテューヌの事。当然OriginsシリーズはRe1から始まっているので、そちらのネプテューヌは無関係です。
・「〜〜某傭兵組織のボス〜〜」
メタルギアシリーズに登場する主人公の一人、ビッグ・ボスの事。ただ、その直前の台詞からも分かる通り、厳密にはヴェノム・スネークの事です。