超次元ゲイムネプテューヌ Origins Unknown   作:シモツキ

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第四十一話 突入、再び

 アルテューヌさんが呼び出している、普通じゃないモンスターはどこから来るのか。どうしてモンスターがアルテューヌさんに従っているのか。天界の街、その教会で感じた違和感と同じように、この事も気になっていた。汚染モンスターみたいに、何かの力が作用しているのかもしれない…そんな風にも思ったけど、その『何かの力』が全く分からなかった。

 そんな中で知った、カオスエナジーの存在。ひょっとして、と思ったわたしは訊いて…答えを得る。わたしが予想した通りの答えを。

 

「ふぅ、緊張したぁ…」

 

 天界のモンスターにカオスの力を打ち込む為の支援と、そこからの誘導。それをアルテューヌさんと済ませたわたしは、終わったところで息を吐く。

 

「緊張?あの程度のモンスター、ネプギアの敵じゃないでしょ?」

「モンスターの群れを連れていく、なんてした事ないから緊張するよ…お姉ちゃんの力を疑う訳じゃないけど、やっぱり襲ってくるんじゃ…って不安は抜けないし…」

「心配性ね、と言いたいところだけど…考えてみれば、ネプギアは付いてきてるだけだものね」

 

 そういう事、とわたしはアルテューヌさんに頷いて返す。アルテューヌさんは自分の力…カオスの力でモンスターを変化させている訳だから自信っていうか、上手くいったかどうかが感覚的に分かるんだろうけど、わたしは変化そのものには全く関わっていないから、アルテューヌさんと同じようには思えない。

 

「…けど、モンスターを操れるなんて、凄いねカオスエナジーって」

「えぇ、けど操るのとは少し違うわ」

「そうなの?わたしには、そう見えたけど……」

 

 小首を傾げてわたしが訊けば、アルテューヌさんはわたしを見返してくる。何も言わずにわたしが待てば、アルテューヌさんは微かに吐息を漏らして…答えてくれる。

 

「今はただ、カオスの力が影響しているだけよ。カオスエナジーでモンスターの本能を刺激して、同じ力を持つ…そしてあのモンスター達より遥かに強いわたしを本能的に認めさせる事で、従属させている…ざっくり言えば、カオスを介してわたしが群れの一番上に立っているようなものだから、わたしに従いはするけど、意のままに操れる訳じゃないの。従う事に関しても、わたしはモンスターと話せる訳じゃないから、細かい指示なんて出しようがないし」

「そっか、動きが何か変だったのも、本能が刺激されてたから…。…つまり、カオス自体にモンスターを操る…ううん、従わせる力がある訳じゃなくて、カオスエナジーの『呼び起こす力』を上手く応用する事で、モンスターの方から自分に従うよう仕向けてる…って事?」

「流石ネプギア、理解が早くて助かるわ」

「ふふっ、ありがと。けどこれも、お姉ちゃんの説明のおかげだよ」

 

 満足そうに頬を緩めるアルテューヌさんへ、わたしも笑みを浮かべて返す。その笑みは、なんだか自然なものに見えて…けど数秒後、仕切り直すようにアルテューヌさんはこほんと一つ咳払い。

 

「今言った通り、細かい指示なんて出せないから単純な戦闘、物量ではそれなりに役に立つけど、戦術的に運用するってなると難しいのが実際のところよ。それにカオスの影響も永続的なものじゃないから、長時間経つと元に戻っちゃうしね」

「それは、込めるカオスエナジーの量によって変化するの?」

「そんなところよ。それか……」

「…お姉ちゃん?」

 

 途中まで言いかけて、不意に言葉を止めるアルテューヌさん。どうしたんだろう、とわたしが思う中、アルテューヌさんはまたわたしをじっと見つめる。少しの間、静かにわたしを見つめていて…それから目を逸らす事なく、言う。

 

「ねぇ、ネプギア。貴女の事は、信じていいのよね?」

「え?」

 

 探るような、アルテューヌさんからの問い。そこに籠もっているのは、わたしへの疑いか、それともわたしを信じたいって思ってくれているのか…或いは、両方か。…今はまだ、分からない。分からないから…わたしはわたしの思いを、そのまま返す。

 

「…わたしは、お姉ちゃんに信じてほしいと思ってる。信じてほしいし…お姉ちゃんの、力になりたい」

 

 じっと見つめ返して、わたしはわたしの思いを言う。…嘘は、ない。信じてほしいって気持ちも、力になりたいって気持ちも、どっちも本物。だから、わたしは止めるつもりなんてない。たとえそれが、アルテューヌさんの望む形とは違ったとしても。

 

「…そうね、そうだったわね。……話を戻すわ。込めるカオスエナジーを増やせばその分持続するけど、あくまで時間が伸びるだけ。永続的なものにしたいのなら、『核』を打ち込むしかないわ」

「核?…って、いうと…エネルギーじゃなくて、その生成機関そのものを用意する…みたいな意味?」

「本当にネプギアは理解が早いわね。あくまで便宜的な表現…というか考え方だけど、ほぼそういう事よ。自らカオスエナジーを賄えるようになれば、取り敢えず時間の問題は解決するわ。取り敢えずはね」

「…何か、別の問題があるみたいな言い方だね」

 

 取り敢えずは、とアルテューヌさんは重ねて言う。もしかして、とわたしが触れれば、アルテューヌさんは首肯をする。

 

「あるわ。第一に、核になり得るだけの力を用意するのはわたしとしても大変なの。カオスエナジーを与えたところでモンスターはモンスターだし、正直割に合わない結果になる気しかしないの」

「それは、確かに…汚染モンスターとかもそうだけど、カオスの影響を受けてるモンスター…カオスモンスターって言えばいいのかな?…も元のモンスターから飛躍的に強くなってる感じはないもんね」

「でしょう?加えて核を与えるという事は、『わたしからの力で』という形から、『自分の力で』って形に変わるって事でもあるの。勿論その核はわたしからのものではあるけど、完全に一方的だった形からは変わる。一つ目の理由でも挙げたけど、カオスモンスターには元から『個』としての質なんて求めてないから、影響力が薄れたり、想定外の行動をされたりするリスクを背負うのは望ましくないわ」

「そっか。わざわざ大変な思いをしてまで核を与えたのに、その結果が言う事をちゃんと聞かなくなりました…じゃ、本当に割に合わないよね。…単純な話じゃないんだなぁ…」

「…ネプギアは聞き上手ね。これまでは話す相手なんてクロワールしかいなかったから、ネプギアとの会話は全然感じるものが違うわ」

「あはは…確かに会話が弾みそうな感じはないね…」

 

 頬を緩めながらのアルテューヌさんの言葉に、苦笑しつつ肩を竦める。そういえばクロワールさんの方も似たような事言ってたし、アルテューヌさんとクロワールさんじゃ本当に合わないんだろうなぁ…。…けど、大きいお姉ちゃんには文句言いつつも普通に話してた気がするし、やっぱり同じ『ネプテューヌ』でも、ちょっとしたところから少しずつ違ってくる…って事なのかな。

 

「…こほん。立て続けに二つ理由を挙げたけど、理由はもう一つ…それも、最大のものが残ってるわ」

「最大……」

「最大の理由。それは……実際にはやった事がないから、何がどうなるか分からない、って事よ」

「…えっ?や、やった事ないの?」

「ないわ。ネプギアが言った通り、割に合わない結果になる可能性が結構あるもの」

「それなら、ここまでの説明って……」

「感覚的に理解してる事とか、こうなんだろうって感じてる事を話したまでよ」

(…あー……)

 

 さも当然の事のように、平然とした様子で言うアルテューヌさん。そんなアルテューヌさんを見て、わたしは思った。あ、これはわたしの知ってる『お姉ちゃん』だ、って。この、なんか抜けてるっていうかズレてる感じは、完全にお姉ちゃんのそれだって。

 

「さてと、ここまでの話は理解出来たかしら?」

「うん。教えてくれてありがとね」

「この位気にする事はないわ。…それよりも…ネプギア。貴女はわたしに信じてほしい、力になりたいと思ってる。そう言ったわね」

「…うん」

「なら…わたしに、信じさせてくれる?もっとわたしの力に、なってくれる?」

「……っ…!」

 

 ふっ、と緩んだ空気が霧散する。アルテューヌさんの雰囲気が変わる中、わたしは頷く。それを見た、受けたアルテューヌさんは、更に澄んだ…研ぎ澄まされたような雰囲気になって、片手を上げる。その手に、カオスエナジーを漂わせる。それは、それが意味する事は──。

 

「…なんてね。冗談よ」

「…じょ、冗談…?」

「何かを強いる事で信用を見定めるなんて、わたしは好まないわ。カオスエナジー自体、好き好んで使っている訳でもないし。…それに……」

「それに?」

「…貴女に下手な事をしたら、とんでもないしっぺ返しを受けそうだもの」

「あっ…ち、違うからね…!?わたしそんな、腹黒いタイプとかじゃないからね…!?」

 

 治りつつある肩に手を触れて、からかうように笑うアルテューヌさん。治癒をした直後の事を思い出したわたしは、慌ててあれがわたしの本性だとかじゃない事を弁明しようとして、更にアルテューヌさんに笑われてしまう。

 

「うぅ…絶対わざとでしょ…絶対分かってて言ったよね…?」

「さて、それはどうかしらね。まあ、安心して頂戴。貴女が望まない限り、わたしもするつもりなんてないわ。…たとえ貴女の真意が、どこにあったとしても…ね」

「…そっか」

 

 少し真剣な雰囲気に戻って、アルテューヌさんは言う。そこに込められている思いを感じ取って…わたしは静かに、短く返す。

 冗談だと、そういう事は好まないと言ったアルテューヌさんだけど、今のがわたしに対する探りだった事は間違いない。その言葉で、わたしの反応で、わたしを試そうとしていた…そういう事なんだと思う。そして、わたしの反応がアルテューヌさんの目にどう映ったのかは、分からない。わたしの反応は、アルテューヌさんにとって予想の範疇だったのか、もしわたしが受け入れてたとしたらどうしていたのか…分からない事は、幾つもある。たとえアルテューヌさん…もう一人のお姉ちゃんだとしても、分からない事なんて沢山ある。

…ううん、違う。これがお姉ちゃんだったとしても、やっぱり分からない事は多い。わたしはお姉ちゃんの事を色々知ってるつもりだけど…なんでもは知らない。知っているのは、知っている事だけ。本当に分かっているって言えるのは、お姉ちゃんの事も、アルテューヌさんの事も、きっと一部、一部分だけで……けれどそれでも、確かな事だってある。今だって一つ…目の前に、ある。

 

「…ね、お姉ちゃん」

「何かしら、ネプギア」

「お姉ちゃん、段々わたしに笑ってくれるようになったね」

「え?」

 

 わたしの言葉に、アルテューヌさんは目を丸くする。驚いたような、思いもしなかったと言うような表情を浮かべて、わたしを見つめる。そして次にアルテューヌさんが浮かべたのは…酷く、複雑そうな顔。

 

「…そうね。そうかも、しれないわ」

 

 呟くような、口から漏れるようなアルテューヌさんの声。…そこにある思いも、やっぱり分からない。でも…今さっき、自然な感じにわたしへと見せてくれた笑顔は、絶対に嘘なんかじゃない。…わたしはそう、信じている。

 

 

 

 

 天界にてネプギアとアルテューヌが、カオスの影響下に置いたモンスターの誘導を完了してから数十分後。ネプギアと別れたアルテューヌは、クロワールへと呼び掛けた。

 

「…貴女、何をしているの?」

「何って、観察だよ観察。よく考えたら、カオスの影響を受けてるモンスターをじっくり見た事なんてなかったからな」

 

 一見何をするでもなく、ただ宙に浮いているようなクロワールの姿。そのクロワールにアルテューヌが声を掛けると、クロワールは振り返る。

 

「なんでまた、そんな事を…」

「そりゃ、知っておくに越した事はねーからな。知らねーってのは、分からねぇのと同じ事だ。分からねぇだけならまだいいが、知らねーせいで無意識の内に勘違いしてる事だってある。それが原因で何か失敗したり、面白い展開を見逃したりするのは嫌だろ?」

「ふぅん…」

 

 暇潰しか、と思ったアルテューヌだったが、返ってきたのは意外にも真面目な解答。面白い展開を、と言う辺りはやはりクロワールらしいものの、中々どうして抜かりがない…と、クロワールに対しアルテューヌは思う。

 

「んで、なんだよ。まさか、何してるか気になっただけ…なんて事はねぇんだろ?」

「…そうね。貴女に相談があるわ」

「相談?」

 

 相談、という言葉に怪訝な表情を見せるクロワール。訊き返し、聞く姿勢を見せるクロワールへ、アルテューヌは話し始める。

 

「今わたし達は、待ちの姿勢を取っているわ。悠長に構えていられないのは向こうの方だし、わたしの怪我もあったもの」

「そうだな。俺としちゃ詰まらねーが、判断としては理解してるさ」

「わたしも怪我を治療してもらった手前、大した理由もなく突っ撥ねる訳にはいかなかったし、実際ネプギアの提案は理に適っているものだったから、ここまでわたしは怪我を治す事を優先していたけど……」

「やっぱりそういう事は性に合わない、悠長にしていたくないのは自分も同じ…ってか。妹にゃいい顔しておいて、内心じゃ賛成してないだなんて、中々良い性格してんじゃねぇか」

「…別に、賛成していない訳じゃないわ。ただ、怪我の状態がまだ良くない時と、大分治ってきている今とじゃ、既に状況が違うというだけよ。それに、ネプギアは……わたしの妹じゃ、ないわ」

 

 にやり、と口の端を吊り上げるクロワールの反応に、アルテューヌは面白くなさそうな表情を浮かべる。そして更に、一拍置き…クロワールの言った『妹』という言葉も、否定をする。

 そちらまで否定されるとは思っていなかったのか、クロワールは目を丸くする。しかしそれについてクロワールが触れる前に、アルテューヌは次なる言葉を紡ぐ。

 

「…だから、わたしは向こうの動きを待つんじゃなくて、こっちから大きく動こうと…いいえ、勝負を決めようと思っているわ」

「勝負を決める?…また大きく出たな、何か秘策でもあるのかよ」

「あるから言ったのよ。──原天界帰を、いーすん無しで出来るとしたら、ね」

 

 満を持して、とばかりに言ったアルテューヌの言葉に、再びクロワールは目を見開く。

 それもその筈、原天界帰はイストワールの記録者としての力を前提にした、彼女ありきの疑似時間遡行。『今』に『過去』を上書きする、次元の改変。もしそれをイストワール無しで出来るというのなら、それは話が根幹からひっくり返るのであり…そんな事など出来ないからこそ、今の状況に至っていると言っても過言ではない。その筈、だったのである。

 されどアルテューヌに、冗談を言っているような素振りはない。そもそもの話として、アルテューヌはクロワールに、そんな冗談など言ったりはしない。

 

「…どういう事だよ。それが出来るなら、イストワールを狙う必要なんかなかっただろ?それとも何か?原天界帰の真の絡繰り…なんてものがあるかどうかは知らねーが…にでも気付いたのか?」

「気付いたのは、可能性よ。…前にネプギアと話した時、オリジンハートのリバースフォームについても少し聞いたわ。その時の話と、直接戦っての感覚からして、彼女は過去からシェアエナジーを受けている。シェアエナジーが、時間を超えて流れ込んでいる。…それはつまり、彼女には時間に干渉する力があるって事でしょう?」

「それは…そうだな。けどまさか、だからイリゼも原天界帰の鍵になれるだなんて言う気か?確かに時間干渉ではあるんだろうが、イリゼも信次元のイストワールも原初の女神が創り出した以上、リバースフォームと原天界帰に関連性があってもおかしくはないんだろうが…幾ら何でも、そりゃ都合よく考え過ぎってもんだろ」

 

 アルテューヌの考えに、クロワールは懐疑的。根拠の薄さから否定的な言葉を返す。しかしアルテューヌもそう言われる事は予想していたのか、彼女の指摘に黙って頷く。そしてその上で、アルテューヌは話を続ける。

 

「そうね、貴女の言う通りよ。だからわたしも、それで全てを望もうだなんて思っていないわ。ただ、ほんの少し戻れればいいだけ。数日戻る事が出来れば、それだけで十分よ」

「数日?…ははぁ、そういう事か。あくまで狙いはイストワールによる原天界帰、その為の絶好のチャンス…神次元のイストワールと入れ替わっていたタイミングを狙う訳だな?」

「そのタイミングだと、いーすんは神次元にいる。当然安全な場所にいるんでしょうけど、だからこそ…万が一に備えた策を講じているからこそ、無意識の油断が必ずある筈よ。本来それは、突く事の出来ない油断だけど……」

「そういう策があるって分かっているなら、突く事が出来る、か。派手さも痛快さもねぇ考えだが、まあやりてぇ事は分かった。けどよ、それじゃ答えとしちゃ不十分じゃねーのか?」

「不十分?」

「数日だろうが数秒だろうが、端から出来ねー事は出来ねー。俺は、やれるのかって訊いてんだよ」

 

 言葉の節々で軽い調子や不真面目さを滲ませながらも、クロワールは問いを重ねる。出来るか否か、その見込みはあるのか…それを問い正すように彼女は言う。

 面白いものを見られれば何でも良い。その為なら道義も倫理も知った事ではない…というスタンスの割には、本当に根の真面目さというか、しっかり者の面が隠し切れていない。或いはこれが素で、本人としても気付いていないのかもしれない。…そんな風に思いながらも、アルテューヌは返す。自ら答えを口に出す。

 

「出来る筈よ。カオスエナジーの呼び起こす力と、ネプギアの力によるサポートで、強引にオリジンハートから時間干渉能力を引き出せば…そしてそれを、貴女が制御してくれればね」

「…はぁ?いや、ちょっと待てお前…俺が制御?なんでそうなるんだよ」

「貴女だって、ただのいーすんの…記録者である『イストワール』のそっくりさんって訳じゃないでしょ?だったら出来る筈よ。…まぁ、印象的にはそっくりどころかいーすんとはかけ離れてるけど」

「あのなぁ…ったく、根拠があるみたいな雰囲気で言ってやがるが、内容としちゃすっかすかだからな?なんでそういうところだけネプテューヌと似てやがるんだよ。後、都合の良い時だけ俺に変な期待すんのも似るんじゃねぇ」

「…つまり、何?自分には出来ないって事?」

「知るか。出来るかどうかなんざ、やった事もねーんだから分かる訳ねぇっつの。ほんと、なんでこう……」

 

 ぶつくさと文句を零すクロワール。暫しクロワールは一人で呟き…溜め息を吐いたかと思えば、それに続けて咳払い。

 

「つーか、お前分かってんのか?仮にイリゼを使った時間遡行…いや、原天界帰と同系統なら上書きか?…が出来たとしても、そっから先はネプギアの協力を得られねーんだぞ?油断を突くにしても、ネプギアなしで神次元側の防御を突破しなきゃならねー事には変わりねーんだからな?」

「……その場合は元に戻るだけよ、元々ネプギアは味方だった訳じゃないんだから。それに失敗したとしても、その時は今現在と同じ状態になれるよう立ち回って、もう一度過去に飛べば良いだけよ。繰り返す事が出来るのなら、失敗を『次』じゃなくて『今』に活かせる。そして何度失敗したとしても、たった一度成功する事が出来れば…わたしの、勝ちよ」

「わたしの勝ちよ、って…お前は某狂気のマッドサイエンティストとか、クローゼットがタイムマシンになってる生徒会執行部かよ。…ネプギアが毎回協力してくれるって断言出来るのか?」

「えぇ。ネプギアなら、協力してくれる。彼女は…そういう子だもの」

「はッ、そーかい。そこまで言うんなら、俺も試してやるさ。あんまり面白くはなさそうだがな」

 

 幾つもの質問、その全てにアルテューヌは答えた。全て聞き終えたクロワールの顔は、決して機嫌の良いものではなく…しかしアルテューヌの提案に、肯定を示す。

 ならば、とより具体的な話を、これからの事を口にしようとするアルテューヌ。だがそれよりも早く、先んじるようにしてクロワールは告げる。

 

「にしても、ネプギアも大したもんだよな。いや、お前が大した事ねーのか?」

「…何の話よ」

「何って…明らかにお前、ネプギアに心許してるじゃねーか。何度だって協力してくれる、って信じちまう位にはよ」

 

 にぃ、と愉快そうにクロワールは口元を歪める。表情から、言葉から、そこに籠る感情から、アルテューヌの心を見透かすように言う。

 

「…からかっているの?だとしたら……」

「あぁそうだよ、茶化してんだよ。けど、否定出来ねーだろ?お前自身が、ネプギアなら…って言ったんだからな」

「それは……」

 

 性格の悪い笑みを浮かべながらも、クロワールはアルテューヌの反論を封じる。実際アルテューヌは口籠もり、次の言葉を出せずにいる。

 アルテューヌは、否定するつもりだった。そう見えるのだとしたら勘違いだと、悪い冗談だと返そうとした。だが、言葉が出てこない。クロワールが根拠とした、つい先程の自分自身の発言もあるが…それだけでなく、それを指摘された事で、アルテューヌ自身が自覚をしてしまっていた。それは、その言葉は、確かに相手を信用していなければ出ない筈のものだ、と。

 

(わたしが、ネプギアに心を許してる…?…馬鹿を言わないで、そんな訳ないじゃない。向こうから力を貸してくれると言ったから、それがわたしにとって都合が良かったってだけの事。ネプギアはもう一人のわたしの…過去を捨てたわたしの妹に過ぎないわ。それに何より…ネプギアには、ネプギアの意図がある。本心から協力してくれている訳なんてない。そんな相手を、信用するなんて…心を許してる筈なんて……)

 

 抱いた疑念を、今度こそ自分自身で否定する。心を許すも何も、信用出来ない理由が幾つもあるのだと、むしろ疑うべき存在なのだと…だから利用しているだけだと、アルテューヌは自分に対して説き伏せる。

 その内容は、間違っていない。間違っている事など、何もない筈。…なのに、心の中にわだかまる気持ちが、迷いを生む。そして、アルテューヌは思い出す。ネプギアからの、わたしに笑ってくれるようになったという言葉を。その時アルテューヌは…否、それ以前からもアルテューヌは、ネプギアへ演技などしていなかった。ネプギアから信用を得ようなどという事は思っておらず、故に笑う必要などもなかった。笑っている自覚もなかった。だがしかし、アルテューヌに向けて、ネプギアは言った。自分も今し方、ネプギアへの信用を示すような言葉を、自然と言ってしまっていた。…そう、それが事実。否定などしようのない…確かな事。

 

「…絆されたとでも、言うの…?…だとしたら、わたしは……」

「んー?なんだよ、急に黙り込んだかと思ったら、今度はいきなり呟きやがって。それよりもよ、アルテューヌ。俺はお前が、おもしれーもんを見せてくれると思って力を貸したんだ。けど今んところ、それなりに良いものは見せてもらっても、心底心が躍るようなものは見せてもらっちゃいねぇ。いい加減、そういうもんを見せてくれないと……」

 

 無意識の内に、拳を握り締めるアルテューヌ。その様子に眉を顰めるクロワール。続けてクロワールはその表情に、更には声にも不満の色を孕ませる。まだ自分が力を貸した借りを返してもらっていない、とアルテューヌに詰め寄ろうとし……

 

「お姉ちゃん、ちょっといい?」

「…ネプギア?どうか、したの?」

「それが…って、あ。クロワールさんもいたんですね」

「おいこら、人をついでみたいに言うんじゃねぇよ。…で、何だよ。その様子じゃ、雑談しに来た訳じゃねぇんだろ?」

 

 呼び掛けられ、振り返ったアルテューヌが見たのは、ネプギアの真面目な面持ち。ネプギアからはアルテューヌを挟んで反対側にいたクロワールも顔を出し、何事かとネプギアに問う。

 二人の問いに、ネプギアは首肯。その上で再び二人の事を見やり、答える。

 

「ユニちゃん達が、ここに来たよ。しかも、女神の全員で」

「全員で…?…って事は、偶々じゃなくて、ここにわたし達がいると分かった上での可能性が高いわね…一体、どうして……」

「当てずっぽうじゃねぇのか?少なくともここは、絶対に疑われない場所なんかじゃねぇだろ?」

 

 顎に指を当てて考えるアルテューヌに対し、クロワールは本の上で胡座をかきながら言う。アルテューヌもネプギアも、その発言を否定する事はなく…数秒後、アルテューヌは指を離す。

 

「…何にせよ、対応しない訳にはいかないわね。行くわよ、ネプギア」

「うん。…けど、どうするの?正面から迎え撃つのは流石に厳しいと思うよ?」 

「分かっているわ。だから考えなくちゃいけないわね。この状況に対して、どう対応するべきか」

 

 そう言って、アルテューヌは歩いていく。その後にネプギアは続き、クロワールもまた移動をする。

 黙り、静かにアルテューヌは進む。頭の中にあるのは、どう対応すべきかという思考。だが心の中にあるのは…依然として渦巻く、自らへの迷い。

 

(わたしが、ネプギアに心を許しているのだとしたら…そうなり始めてるんだとしたら、わたしは……)

 

 雑念は、振るう刃を鈍らせる。それがどんな思考、どんな感情であろうと、戦いにおいては仇となる。アルテューヌもそれは理解していたが、理解していても、雑念は消そうとして消せるものではない。だからこそアルテューヌは、雑念を…迷いを抱えたままの自分に、歯噛みをするのだった。

 

 

 

 

 アルテューヌの力で変化したモンスターが消えた場所。そこは、外からは見えない天界の街…それがある場所だった。

 思えば、ここは疑うべきだった。ここは明らかに怪しい、現にアルテューヌ達が利用をしていた場所なんだから。この場所自体がアルテューヌ達の用意したものなのか、元から存在していたのを利用してるだけなのかはまだ分からないけど、ここは拠点にするにはどう考えても都合の良い空間なんだから。

 それを疑わなかったのは、その時も、その後も色々あり過ぎたからだと思う。調査に行った結果あったのが罠だったから、そこでもう『探す場所』としては無意識の内に外してしまっていた…というのも、あるかもしれない。ただ、それについて今考えても仕方ないし…結果的には、こうしてまたここに来ている。だから今考えるべきは、これまでじゃなくて…ここからの事。

 

「やっぱり、ここに繋がってるんですね…」

「広さ的にも、やっぱ単に見えなくなってるんじゃなくて、ここの空間が歪んでいるとか、別の場所に転移しているとかなんだろうな」

 

 天界の街…に繋がる場所の前に行き着いたわたし達は話し合い、入るのは容易でも出るのは難しい事、外と中とじゃ通信が出来ない事、それにここがアルテューヌ達の本拠地なら前と同じかそれ以上の激戦になる可能性も高い事から、女神だけで突入する事に決めた。勿論、他の皆の実力が信用出来ない訳じゃない。むしろ信用出来るからこそ、皆には残ってもらう事にした。だって、もし外で…下界で何かあっても、わたし達には分からないし、教えてもらう事も出来ないから。

 でもきっと、皆がいてくれれば大丈夫。そう思うからこそ、半端に何人か残って…とかじゃなくて、女神全員で突入する事にした。

 

「今のところ、例の感覚はありませんわね。こちらとしては、好都合ですけども……」

「まあ仮にあっても、そん時はまた俺達がシェアリングフィールドを展開するだけだ」

「向こうが対シェアリングフィールドの手段を用意していたら、そうもいかなくなるが…これについては出たとこ勝負、向こうにそれがない事を願うしかないね」

「最悪の場合、わたしの力で強引に脱出する手もあるわ。上手くいくかどうかは分からないけど、ね」

 

 ぐるりと見回した後、地面を蹴って飛翔する。女神化に時間制限のあるくろめはわたしが、うずめはセイツがそれぞれ運ぶ形で、街の空を飛んでいく。

 当然、カオスの影響は考えなきゃいけない。それへの対応策の一つが、もうその効果を実証済みなシェアリングフィールドで、うずめとくろめが女神化していないのは、アルテューヌ達に遭遇した時にはもう女神状態での活動限界で…とならない為。そしてもう一つが、わたしのネクストフォームによる強行突破。単に空間が歪んでいるだけなら、わたしの力で空間を断ち切って脱出するだけ。カオスの力が充満している中でネクストフォームになるのは、リスクがあるけど…大丈夫。わたしのネクストフォームの力は、破壊の極致。仮にカオスが阻もうとするなら、それすらも斬り裂いてみせる。

 

「で、どうする?このまま全員で、教会に突入する?」

「それが良いと思うわ。街全体を調べていたらキリがないし、まずは怪しい所から調べないと」

 

 セイツの言葉に返すノワールに、わたし達も頷く。一直線に街の中心付近、教会がある場所へと飛んでいって…後少しの距離まで来たところで、わたしは皆に止まってもらう。

 

「皆、念の為確認したい事があるわ。教会に近付くと、モンスターが現れるのよね?」

「そうですわ。…しかし、何故そんな事の確認を?」

「今言った通り、念の為…よ。その時一緒にいたのは、わたしであってわたしじゃなかったんだもの」

 

 あの時確かにわたしもいた。でも、あの時のわたしの意識は、アルテューヌのものだった。だからもしかしたら、何か誤解しているかもしれない、認識がズレている部分があるかもしれないと思って、わたしは訊いた。

 そんなわたしに、皆は気遣うような視線を向けてくれる。ノワールが、大丈夫か問うようにわたしの名前を呼ぶ。だからわたしは皆に心配を掛けないよう、微笑んで返した。…ついでにノワールにちょっとウインクをしてみたら、ノワールにはぷいっとそっぽを向かれた(でもちょっぴり顔は赤くなっていた)。…あ、どうしよう…ちょっとショックだわ…ふざけたのはわたしの方だから、自業自得ではあるけど……。

 

「もし前と同じなら、まずはモンスターを突破しないとですよね。前回と同じようにやりますか?」

「変に捻った事をするよりは、正面突破を選んだ方が良い場合も多い、が…毎回馬鹿正直に迎撃に付き合うのも、芸がないっちゃないんだよな…」

「…じゃあ、わたしとラムちゃんで、教会どかんってしちゃう…?」

「わたしとロムちゃんなら、そのくらいよゆーよね!ここからでもふっとばせちゃうわよ?みじこっぱに出来ちゃうわよ?」

『みじこっぱ…?』

「ちょっ、止めて頂戴…!確かに教会を拠点にしてるなら、その拠点ごと吹っ飛ばしたくなる気持ちは分かるけど、あそこにはイリゼもいるかもしれないのよ!?」

 

 みじこっぱ?…木っ端微塵?と疑問が浮かぶ中、ブランの妹らしく容赦ない方法を提案したロムちゃんとラムちゃんに対し、セイツが慌てて制止をかける。それもそうだ、と二人は理解してくれたようで、セイツはその場でほっと一息。

 

「はは、俺もそういう豪快なのは嫌いじゃねーけどな。…ところで、向こうはモンスターを『補充』してたよな?って事は、無限にいる訳じゃねぇんだよな?じゃあ…敢えて突入せずに、湧いてくるモンスターを倒し続けりゃ、向こうの戦力を大きく削れるんじゃねぇのか?」

「それは…確かにそうね。少人数でそれをやるのは危険だけど、今はこっちの戦力も十分だし、もし危なくなっても退けばモンスターの出現も止まる…突入を目的にするなら邪魔だけど、戦力削りにはむしろ都合が良いんじゃないかしら」

「そりゃ、今が余裕のある状態で、ここも敵陣の真っ只中じゃないとかならね」

「無限という訳じゃない、と判断するのも早計だね。確かに完全な無限ではないんだろうけど、前に教会内で行った戦闘の事を考えると、条件付きの無限や、同じく特定状況下での高速蘇生の様な、倒せば倒した分だけ減る…という常識が通用しない可能性もある。そもそも削り目的で来た訳じゃないんだから、片手間でやれる事でもないならあまりリソースを割くべきではないと思うね」

『あ……』

 

 一拍起き、次なる提案をしたのはうずめ。一体一体は大した脅威じゃないけど、物量で攻められるのはやっぱり厄介だし、その戦力を大きく削っておけるならやる価値はある、とわたしもそれに同意を示し…たものの、即座にノワールとくろめに見通しの甘さを指摘される。

 言われてみれば、その通り。わたし達はこの街を熟知してる訳じゃないし、アルテューヌ達ももうわたし達の存在に気付いているかもしれない。そんな中で、モンスターばかり力や時間を向けるというのは…確かに、良くない。

 

「それじゃあけっきょくどーするの?」

「ま、前回と同じが一番無難って事になるな。って訳で、初手は頼むぜ、ロム、ラム」

「任せて…!(ぐっ)」

「あ…でも、ネプギアが抜けた穴は……」

「その分は、わたくし達で補う他ありませんわね」

 

 ほんの少し表情を曇らせたユニちゃんに、ベールが答える。それにユニちゃんは小さく頷いて…表情を、引き締める。

 

「んじゃ、運んでもらうのはここまでだな。万が一足手纏いになりそうなら、俺達の事は置いてってくれ」

「そうはいかないわ。シェアリングフィールドは切り札の一つだし…そうでなくとも、置き去りにするなんてわたしの選択肢の中にはないもの」

「ふふっ…なら、足手纏いにならないよう、全力を尽くす他ないね」

 

 うずめとくろめ、二人は降りて後列に付く。反対にユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんは前に出て、それぞれの武器を構える。そしてわたし達は頷き合い…突入、開始。教会に近付き、モンスターを出現させる。教会への侵入を阻む存在を、カオスの力によって変化している…倒しても倒しても出てくるモンスターを、一気に駆け抜けるべき障害を……

 

…………。

 

……………。

 

………………。

 

 

『……って、あれ…?』

 

 教会の目前。後数歩で敷地内へと入れる距離。そこでわたし達は、困惑する。それ以前からも怪訝には思っていたけど…いよいよ訳が分からず立ち止まる。……モンスターが、出てこない。

 

「…ど、どういう事?モンスター、現れるのよね…?」

「その筈よ。筈、なんだけど……」

 

 振り返って尋ねるわたしへ、ノワールが答える…けど、ノワールも訳が分からないといった様子。全員似たような顔をしていて、困惑ばかりが広がっていく。

 

「オレ達が来た事に気付いていて、教会内へ誘い込もうとしている…?或いは逆に気付いていなくて、オレ達がいるなんて思っていないから、防衛のモンスターを配置していない…?」

「どちらもあり得ますし、それ以外かもしれませんわね…ただ何れにせよ、予想していた迎撃がなさそうなのは事実ですわ」

「確かに、事実としちゃそうだな。…突入、するか?」

 

 ブランの言葉で訪れる、一瞬の沈黙。迎撃がないなら、苦労も消耗もせずに教会内へ入れるって事で、これはわたし達にとって間違いなく好都合。でもくろめの言うように、誘い込む為の罠だったとしたら、このまま突入するのは危険。…でも、分からない。迎撃のない理由は、どうしたって分からないまま。

 だから、一瞬の後わたし達は頷く。確かに罠があるかもしれない。だけど、罠があるとしてもわたし達のやるべき事は変わらない。

 

「…中も、静かね」

「うん…前の時も、大部屋に行くまではモンスターも現れなかったとはいえ、少し違和感があるよね…」

「違和感と言えば、わたしも感じているわ。わたしが後衛、それもユニ達に守られるようなポジションなのは流石におかしいんじゃないかしら…」

「怪我人は黙ってなさい、プレイステーション5が出るまで」

「既にproが目前なんだけど…!?」

 

 足音以外はまるでしない、教会の中。ノワールとユニちゃんのやり取りは、多分皆が思っていた事で…さっきの時点、まだ突入の際にモンスターとの戦闘があると思っていた時点では怪我が治り切っていないのに普通に戦う気だったセイツには、いーすんに代わってわたしからチクリと刺しておく。状況次第では怪我人のセイツも頼らなきゃいけないとはいえ、積極的に戦ってもらおうとは、誰も思っていないんだから。

 

(…けど、本当に静かね…これじゃ逆に、警戒心を煽るようなものなのに……)

 

 もしもわたしが罠を仕掛けるなら、教会に入った直後みたいにもっと早い段階にするか、適度にモンスターに襲わせて、罠の存在から気を逸らすとか、そういう事を考える。少なくともこんな、身構えさせるような状態にはしない。だから、余計に向こうの意図が分からない。まさか、本当に気付いていないっていうの…?

 

「…大部屋、か。もし何かあるとすりゃ、ここだわな」

 

 奥へ進み、大部屋の前まで来る。ここで何か仕掛けていたら、捻りがなさ過ぎる気もするけど…うずめの言う通り、可能性的に一番高いと思えるのもここ。

 だとしても、今更…ううん、最初から引き返す選択肢なんてわたし達にはない。何かあるなら、それを真正面から乗り越えるだけ。そうしてまた、わたし達は頷き合って…一気に大部屋の中へと入る。

 

『……ッ!』

 

 即座に出入り口を抜け、陣形を組みつつ展開する。どこからでも掛かってこいとばかりに、大太刀を構える。でも……

 

「ここも、もぬけの殻…?」

 

 何も、ない。何も、起こらない。そこにあったのは、ただの静かな大部屋だけで…待っていても、変わらないまま。

 いっそ拍子抜けな程、何も起こらない教会内。ならば更に奥か、それとも他の部屋かとわたし達は探し回るけど、やっぱり何も起こらない。何かある筈、仕掛けてくる筈、そう思うわたし達の警戒に反して……教会の外も、中も、何一つとして……誰一人として、いなかった。




今回のパロディ解説

・なんでもは知らない。知っているのは、知っている事だけ。
物語シリーズのヒロインの一人、羽川翼の代名詞的な台詞の一つのパロディ。結構前にもパロネタにした気がします。そして、今回は割と自然に組み込めたように思います。

・「〜〜某狂気のマッドサイエンティスト〜〜」
STEINS;GATEシリーズの主人公、岡部倫太郎の事。タイムリープ物における代表的なキャラ(作品)と言えばまず彼ですね。他には時をかける少女やリゼロ、東リベ辺りでしょうか。

・「〜〜クローゼットがタイムマシン〜〜生徒会執行部〜〜」
アンジュ・リリンクの主人公の事。机の引き出しではなくクローゼットです。まあそれはともかく私もクローゼットに入って、リリンクがサ終しないよう未来をやり直さないとですね…。

・「怪我人は黙って〜〜5が出るまで」
生徒会の一存シリーズのヒロインの一人、桜野くりむの台詞の一つのパロディ。元ネタが出た頃はまだ4も発売されていなかったのに、今や5のproが出る段階…時の流れを感じますね。
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