やぁみんな、僕だよ。
本来なら続かない予定だったんだけど········しおりが付いたなら書くしかないよなぁ!!?
てことで一旦おまけ、というか幕間?みたいなヤツをどぞ。エデン編読み終わったら続きを投稿するので良かったら待っててください!
感想&評価お待ちしています!!
ホシノ奪還から二日後の朝。ようやくゴタゴタが片付き、いつも通り定例会議を始めようと思った矢先の出来事だった。
『やっほー』『みんな元気ー?』
「「「!?!!?」」」
文芸室かのような対策委員会部室兼生徒会室の扉が勢いよく開き、軽薄な声と共に学ランを身に纏った少年が入室してきた。もちろんアポなしだ。
「球磨川先輩、お久しぶりです☆」
『久しぶりー。』『ノノミちゃんだっけ?』
「はい、あの時はありがとうございます」
『いいよいいよ。』『ホシノちゃん救出のついでだったし』
この言葉については本当である。
偶々ホシノの位置を知り、偶々道中でカイザーと戦闘していた対策委員会メンバーと出くわした。ただそれだけの話である。
「え、えっと今日はどういったご要件で·······?」
『ご要件もなにも僕はアビドスの副会長だぜ?』『二日もサボってちゃ面子が潰れちゃうよ』
「うへ〜、意外だね〜。球磨川先輩に面子とかあったんだ〜」
とは言え、二年ぶりに訪れたアビドス高等学園は伽藍堂としており全生徒が球磨川含め6名となってしまっていたが·········それでも来るのがこの男。
「生徒会は潰れたよ、球磨川先輩。それにもう二年経ってるんだから卒業扱いになってるかもね〜」
『え···········』『ほんと?』
「ほんともなにも実際に二年経ってんだから当然でしょ。これまでアビドスから離れてたんじゃないの?」
「もしかしたら退学扱いかも········」
アビドスから去ったと聞いていたシロコとセリカにとっては球磨川の言動は甚だ疑問だ。
彼女らにとってアビドス復興を諦めて去っていった生徒の同類としてその目に映っている。
まぁ、そんな評価など彼にとってはどうでもよく生徒会が潰れた、という事実にショックを受けているようだが。
『「先輩がいない間独りで頑張ってましたー」』『とかじゃないの?』
「おじさんには生徒会長は荷が重いかな〜」
『おじさん·······。』『なるほど』『それじゃあ仕方ないね。』『ユメ先輩が戻ってきた時のように残しておこっか』
「!!········生きてるの?」
ユメ先輩、その言葉が余程衝撃的だったのか眠気をぶっ飛ばして球磨川へと詰め寄るホシノ。
その問いに球磨川は不思議そうに首を傾げて答える。
『約束は守る男だぜ』『僕は。』『と言っても』『まだ希望がある。』『ぐらいの話だけどね』
「そっ、かぁ〜·········」
安心したのか、落胆したのかはわからないが球磨川から離れ、元々座っていた席に戻りぐでぇ〜と溶ける。
「あ、あの今の話って········」
『なにかな?』
「二年前まであった生徒会は学園から去ったから廃部したのではなく、もしかして········生徒会長がお亡くなりになったから廃部したんですか?」
『去った·······?』『それ、どこ情報?』
「確か·········」
「ホシノ先輩よ」
名指しを受け眠る体勢を取っていたホシノが顔を伏せながらビクッと反応する。
『·········』『あっ』『そゆこと』
そんな姿を見て一人納得する球磨川。
丸くなり、ゆる〜くやっている後輩。その立ち位置を脅かす程球磨川はマイナスではない。彼はいたって普通な後輩思いの優しい先輩である。
これ以上の追求を止め方向転換へと図る。
「どうかしましたか?」
『なにもないよ。』『それより』『なんか話し合ってたんじゃないの?』『悩み事なら』『この全校生徒から慕われていた僕に話すのが』『筋』『ってもんだよ』
「胡散臭いけど········一理あるわね。それじゃあ球磨川先輩、聞くけど」
『うんうん』
実際の所、後輩達からは高い頻度で相談を受けていた。童顔で話しかけやすかった為か、はたまな球磨川がそういう質なのかはわからない。
「莫大な借金はどう返せばいいのかしら?」
『借金?』『ああ、あれね。』『あれだったら』『カイザー君がなかったことにするって』
「はぁ!!?」
「カイザー君、って·······いつの間に親しくなっていたんですか?」
『ちょこっとお話してあげただけだよ。』『そしたら』『借金をチャラにしてくれたんだ。』『優しい大人』『ってのはああいう人だよね』
彼女達は悟った。
絶対、脅してますやん、と。そうでなければ9億という馬鹿げた桁の借金を0にする訳がない。
だが、どんな方法であっても借金が0になったことは事実。これからは返済に追われることはない。それはありがたい事だが········
「·········この後は何をすべき?」
そう、人というものは唐突にゴールすると思考が止まる。それが途方もない労力を伴うものであれば尚更のこと。
「えっと、それは········」
「住人を戻す、暫くはそれでいいと思うよ。活気がないと寂しいからね〜」
吶るアヤネに助け舟を出すように隣からホシノが提案する。スクールバスのハイジャックを提案した人物とは思えない程まともな案だ。
「それだったら、まずは砂の撤去をしないといけませんかね?」
「交通の便を機能させるにはそうするしかないですね。まずはお金を貯めてシャベルカーを購入する。それか業者の方を呼んで·········」
「いやいや、そんな事しないで大丈夫だよ。ね、球磨川先輩?」
『ん?』『·········』『ああ』『僕の
【砂】という括りで消すと全世界の砂が消える可能性があるが、【視認している物】のみに限れば安全に消すことが可能だ。
だが、ここで重要なのは可能か不可能ではない。するかしないかだ。しかし、彼は一言もするとは言っていない。それはつまり―――
『ただし』『暫くの間、僕は目立てない。』『だから』『砂の撤去は出来ない』
「なんで?」
『なんでもだよ。』『でも』『安心して欲しい。』『必ず砂は撤去するし』『手を貸すよ』
どうやら理由を話す気にはならないようだ。というか砂を撤去以前にかなり目立っていると思われるが·········
「うーん·······まぁ、今すぐしないといけない、っていう問題じゃない後回しでも構わないけど········また何か悪巧みしてる感じ?」
『中々辛辣だね』『ホシノちゃん。』『こんな正直者』『世界広しと言えど僕一人だと思うぜ』
「それは嘘。息つくように嘘ついてる」
『あれ?』『そんなつもりはないんだけど』
「あはは······」
一先ず定例会議は終了。各々いつものようにそれぞれの作業へと移る。ほとんどが外での活動な為か、文芸室に残ったのはアヤネと球磨川の二名のみだった。
「·········」
非常に気まずい。
男性、それもあまり素性が判明していない者という事もありどうすればいいのか解らない。どんな行動が彼の地雷を踏み抜くのか、それ以外考えられない。
そんな雰囲気の中、当の本人は何処から取り出したのかわからない少年誌であるジャンプを読んでいる。
が、何かを思い出しのか顔を上げアヤネへと視線を向ける。
『アヤネちゃーん』『ちょっといい?』
「はっ、はい!なんでしょうか······?」
『シャーレの先生に連絡したいんだけど』『連絡先とか知ってる?』
「シャーレの先生に、ですか。それなら·······」
球磨川の問いかけに応じ、引き出しの中から一冊のノートを取り出し球磨川の前へと置く。
「確か········これがシャーレの先生の電話番号です。ですが、シャーレの先生は忙しいので―――」
メールでのやり取りを、と言い終わる前に球磨川の手は既に先生の番号を打ち終わっていった。
数コール後、優しい声で電話に応じる声が電話越しに聞こえた。
『········』『久しぶりー』『球磨川だよ。』『元気してた?』
そんな軽い調子で先生へと問いかける。まるで旧友の仲のようだ。
『いや』『今の所はなにもないよ。』『ただ······』『個人的に先生には用があってね。』『近頃会いに行くから待っててよ。』
『え?』『あははは』『そんな遠慮しないでよ。』『ちょっと話するだけだから。』『それじゃ』
会話をぶつ切りにすらかのように電話を切る。そして、何事もなかったようにジャンプを手にした。
そんな光景を眺めていたアヤネは、先生にお詫びしなくては、とスマホを起動した。
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