シンジサイド。
旧NERV本部、地下深くの司令室は、重苦しい静寂に包まれていた。
ゲンドウ「来たか……早速だが、数日後に彼と12号機に乗ってもらう」。
シンジは父の背中を見つめながら、自分の胸に湧き上がる感情の正体を掴めずにいた。
この場所に戻ってきたのは、いつ以来なのだろう。
恐怖も拒絶も、あまりに久しぶりで輪郭が曖昧だった。
視線を動かすと、司令室の奥に白髪の少年が立っている。
静かで、どこか世界から浮いているような存在感だった。
カヲル「僕は渚カヲル。君に会うために生まれてきたんだ」。
その言葉と同時に向けられた、あまりにも穏やかで悲しげな笑顔が、シンジの胸を深く刺した。
理由のわからない痛みが走る。
シンジ「父さん、何で僕はここに連れてこられたのですか?」。
問いかけに対し、ゲンドウはわずかに口元を歪めただけだった。
答えは返ってこない。
次の瞬間、照明が落ち、闇の中へとゲンドウの姿は溶けるように消えていった。
取り残されたシンジとカヲルの間に、言葉にできない緊張が流れる。
その頃。
ヴィレ側の駆逐艦ヴンダーと、ピースギア所属アリス艦を中心とした合同艦隊は、旧NERV本部近海の港に静かに停泊していた。
海は穏やかだが、艦内には嵐の前の空気が満ちている。
イズモ「多分、数日後に動きがある。それまで待機しよう」。
艦橋で状況を見渡しながら、イズモは淡々と告げた。
経験から来る直感が、嫌な予感をはっきりと訴えている。
カエデ「そうね。シンジさんを取り戻してから動きましょう!」。
明るく言い切るカエデの声には、迷いよりも決意があった。
イズモたちはそのまま艦で一夜を過ごした。
誰もが眠りにつきながら、心のどこかで「その時」を待っていた。
数日後、大きな異変が起きる。
セントラルドグマ深部で、エヴァ12号機が起動したという報告が入ったのだ。
同時に、巨大な反応が地下へ向かって降下を始める。
イズモは即座に決断した。
イズモはピースギア製エヴァンゲリオン、全範囲攻撃可能対宇宙戦艦用決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン核融合搭載型typeSPACE、イズモ仕様X号機に搭乗する。
アスカは弐号機、マリは8号機へとそれぞれ乗り込み、シンジの後を追った。
アスカ「反応はどうだ?全部言いなさい!」。
通信越しの声には焦りと苛立ちが混じっている。
12号機はしつこく、まるでこちらを嘲笑うかのように動き回り、ヴィレ艦隊を撹乱しながらコアを刺激していた。
やがて本部に到達したのか、反応は一時的に潜伏状態へ移行する。
その直後、艦内に艦長命令が響いた。
最終決戦準備。
誰もが理解していた。
ここが正念場だと。
三機のエヴァは別々の位置から包囲し、エヴァ12号機へ主砲を集中させる。
だが、装甲表面が焼け焦げるだけで、致命的な損傷には至らない。
イズモ「12号機を破壊するだけなら容易いけど、無力化となるとこのタイプはむずいね」。
冷静な分析の裏で、焦りがじわじわと広がる。
アスカ「出たとこ勝負じゃ勝てないでしょ!さっさと意見言いなさいよ!」。
イズモ「最優先はインパクトの阻止でしょ?」。
その瞬間、12号機の通信回線にカヲルの声が割り込んだ。
カヲル「もう一度、あれを使う気か?君にはもう絶対無理だ」。
ミサトとアスカは無言で視線を交わす。
やはり、あの少年はシンジと深く関わっている。
イズモ「ただインパクトを止めるだけなら、これでいい」。
イズモのX号機が、ゆっくりとレールガンをリリスへ向ける。
アスカ「何をする気!?」。
カヲル「君は優しい人なんだろう?あの姿は悪いが、今のレイちゃんを作り出した醜い人間の結果だよ。そんなものを破壊するための力を手に入れて、満足なのか?」。
12号機はリリスに取り付き、ロンギヌスの槍を引き抜こうと登り始める。
イズモ「予想通りだ」。
マリ「言ったでしょ。そんなことしても意味ないって」。
イズモ「撃てぇぇぇっっっっっ!!」。
レールガンが放たれる。
通常ならATフィールドを貫通するはずの一撃は、不可解な反発によって弾かれた。
その瞬間、地下から巨大な要塞が浮上する。
同時に12号機は槍を引き抜き、擬似シン化を開始した。
アスカ「どうせ予想通りなんだから、あんな天に柱立てたのよ!」。
アスカは苛立ちを隠さない。
想定と違う展開、そしてインパクトが起きる気配すらない現状に、怒りが向けられていた。
イズモ「カヲルくんは死なせない」。
イズモは即座に射出信号弾を放ち、カヲルとシンジのエントリープラグを強制射出する。
だがプラグは要塞に吸い寄せられるように飛び、表面に着地した。
謎の要塞はそのまま進路を南極へと向ける。
イズモ「俺らのエヴァを回収してくれ」。
指示と同時に各機体は回収され、飛来した戦艦へと収容された。
マリ「カエデ、いくらアリスがオーパーツでも、その火力じゃ厳しくない?」。
カエデ「いやー、どうだろ。あのサイズ相手は戦艦数十隻でしか戦ったことないから、たった四隻じゃデータないのよ」。
イズモ「しかも新造艦で戦歴ゼロだからなぁ」。
一方。
カヲル「南極に着くよ。あれは、セントラルドグマの門だ」。
そこはマイナス宇宙、エヴァンゲリオンイマジナリーが存在するとされる禁忌の地だった。
アリス艦サイド。
カエデ「素直に来るかしら?」。
マリ「多分ね。彼、作戦も何もなくて、負けそうになるととりあえず死を選んじゃう子かも」。
三人は南極に到達する。
だが、誰も姿を現さない。
五分ほど経過したその時、黒い波が群れを成して接近してきた。
しかし、攻撃の気配はない。
カヲル「新しい生命を感じる。多分、迎えに来たようだ」。
二人は手を取り合い、出現したワームホールへと身を投じる。
マイナス宇宙へのダイブ。
それに続いて、アリス艦とヴンダーも突入した。
イズモ「なんか、ここ来たことあるなぁ」。
カヲル「あなたは、なぜここを知っている?」。
イズモ「ポータルは11次元を利用した転移装置でさ。それ使って一回、世界救ったことがあるんだよね」。
カヲル「君、何者だ?」。
イズモ「パラレルワールド管理組織ピースギア、アリス艦艦長、最上イズモ。3佐待遇でよろしく」。
カヲル「パラレルワールドという概念は信じるが、ピースギアとやらは聞いたことがない。信じていいものか。それに、君の支配下に入るなど不本意極まりない」。
カエデ「はいはい。それは今は考えなくていいから。ゲンドウたちのところへ案内してくれればそれでいいの。全部終わったら教えてあげる、約束の経緯も含めてね。多分みんな巻き込むけど、死にはしないと思う。ただ人理超えた力扱うだけだから。私はなるべく守るよ。あんたも隠してきたことあるでしょ。ふざけないでね」。
イズモ「それじゃ、この空間での行動は自分に任せてね」。