イズモ「まず11次元は、ここに来た原因を解決しない限り、時間を無限に引き伸ばされた人間が知覚できない謎の空間に永遠に取り残される」。
静かな声だが、その言葉の重みが空間そのものを縛り付けているようだった。
イズモ「そして今回は、シンジくんかゲンドウ、そのどちらかが新世界の創造権を勝ち取り、世界を再構築する。それが元に戻れる唯一の鍵だ」。
カヲル「創造権を取るだけなら容易だよ。だってここはシンジくんの望んだ世界なんだから。たとえゲンドウと一騎打ちに挑んだとしても、余裕でしょ?」。
イズモ「この世界は想像力がそのまま創造力になる。だから想いの強い方が勝つ。もちろん、知識も必要だけどね」。
カヲルは静かに周囲を見回した。
無限に広がる虚無と、かすかに残る人の気配。
カヲル「これは信用せざるを得ないね。僕らがここを去ったあと、この世界は消えるのかい?」。
イズモ「結論から言うと、俺たちが認識できなくなるだけで、存在自体は続く。ただしアディショナルインパクト後は分からない」。
イズモ「そんな終わり方を経験したことがないからね。多分、消滅する可能性もある」。
一瞬の沈黙が落ちる。
イズモ「まあ、彼らの戦いに俺たちは邪魔だな」。
アスカ「私も別なところ行く!」。
マリ「まあ、カバーくらいならね」。
カエデ「……イエスマンなの?」。
その言葉に、場の空気がわずかに緩む。
二十分後。
イズモ「そろそろか」。
四人とカヲルは、シンジのもとへと向かい、ついにその場へ辿り着いた。
シンジは膝をつき、震える声で語り出す。
シンジ「ここは、僕の望んだ世界……そういうことだったんだね。僕は誰かに選ばれるために作られた、強欲な罪人だから」。
言葉が止まらない。
抑えていた感情が、一気に溢れ出す。
シンジ「誰にもバレないように、都合のいい存在になろうとして、ゲンドウに取り入って……こんなことが起こったんだ。僕が来なかったら、これ、起こらなかったかもしれない。ごめんね、マリもアスカも、全部僕のせいだ。本当に、ごめ……」。
???「はぁぁぁぁ!」。
次の瞬間。
三人分の蹴りが、同時にシンジに炸裂した。
シンジ「グハッ!!!」。
床を転がるシンジを見下ろしながら、イズモが肩をすくめる。
イズモ「なあ。そうやって悲観的になるの、やめた方がいいと思うよ」。
カエデ「まあ、これが来たってことは、あちらよ」。
そう言って、カヲルを指差す。
アスカ「ほら。私をまた選んでくれた」。
アスカは一歩前に出て、シンジを真っ直ぐ見据える。
アスカ「いずれ向こうへ行くとしても、まだすぐじゃない。もっと変えなきゃ、強くしなきゃ」。
アスカ「槍、借りるわ。これも込み合うし」。
そう言いながら、軽く振り返る。
アスカ「横のあなた。強くなりたいなら相談にのってあげるから。二人でいる時は、何でも聞いてみなさい」。
アスカ「ほいっと」。
その瞬間、空間に歪みが生まれ、謎の扉が姿を現した。
扉の向こうに広がっていたのは、崩壊する前の第三新東京市だった。
見慣れた街並み。
失われたはずの、あの日常。
イズモ「再構築、完了したみたいだね」。
イズモは静かに息を吐く。
イズモ「ってことは、そろそろ元の世界に帰る時間ってことか」。
イズモ「過去はやり直せないかもしれない。でも、そこから前に進むことはできる」。
イズモ「シンジくん、そしてみんな。また今度、俺に会ったらよろしくね」。
シンジは立ち上がり、涙をこらえながら力強く頷いた。
シンジ「うん!!」。
その後、イズモたちはアリアに乗り込み、アリス艦へ帰還する。
修理を終えたポータルが起動し、彼らは元いたピースギアの世界へと転移していった。