暗殺教室 呪力から脱却した暗殺者   作:狼ルプス

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始まりの時間

 

俺にとって家族は母親以外はどうでも良かった。

生まれた時から父親には俺の事なんざどうでもいい様に扱われ、父が毎日の様に怒鳴り散らし、母には暴力を振るい、その矛先に俺も巻き込まれた。母さんが身を挺して庇っていたが、いない時はよく暴力を振るわれた。不思議と、生まれつきなのか頑丈な身体を持っていたお陰で怪我すること無くその場を凌いでいた。

 

ある時、父が包丁を持ち母を殺そうとしたところを目撃し、それを見た瞬間俺は無我夢中に父に殴りかかった。その後のことは覚えていない…気が付いたら母さんが泣きながら俺を止めていて、落ち着くと俺の手は血塗れだった。

 

その後騒動を聞いたのか近所の人々が警察を呼んでくれたお陰で早々に収まることが出来た。その後、父は当然逮捕され、警察やその他諸々の話を聞かされて…俺がやった事は正当防衛として扱われ、しばらくは精神科医に通うこととなった。当時この事を俺がやった事を話したら警官は驚かれた。到底小さい子供ができるような事じゃなかったから当然の反応だった。

 

それから母さんと父…いや、あのゴミとは勿論離婚し、その後は裁判やら色々とあり慰謝料やらその他色々と請求し勝ち取る事ができた。

勿論住んでいた場所も引越し、今はまともな暮らしもでき母さんも笑う事が増えてきた。

 

 

『燈志、お母さんはね…燈志と一緒に過ごせているのがなによりの幸せなの。私は…あなたを産んだ事を後悔した事なんて一度もない。燈志を愛してる』

 

俺はこの言葉を聞いて大声を出して泣いた。それを母さんは優しく抱きしめて泣き止むまで背中をさすってくれた。

 

 

 

 

 

 

あれから数年…俺は中学3年…すまない、自己紹介がまだだったな。俺の名前は天野燈志、椚ヶ丘中学に通う中学生だ。今年の4月に3年生となったばかりだ。

 

 

『… ¥€〆<$……… ¥€〆<$』

 

それから俺には物心がついた頃から普通には見えないものが見える。ずっと見てきたお陰かもう見慣れている。

路地裏にいるのを見つけ首に巻きついている白蛇に話しかける

 

 

「ハク…」

 

この白蛇は小さい時公園で遊んでいた頃に出会った俺にしか見えない幽霊の蛇だ。当然母さんに見えないし他の人にも見えない。

 

それに白蛇は縁起の良い動物でもあり、実際ハクと過ごし始めてからは母さんの仕事がうまく行くようになったりと本当に幸運を呼ぶ白蛇として、家族として一緒に過ごしている。勿論母さんにも俺が見えないものが見えると話しても変わらず接してくれる。ハクの事が見えなくて残念、と言うくらいだが、ハクみたいな幽霊が特別で後は気持ち悪い見た目の幽霊しか見た事がない。

 

それとハクは色々な物を飲み込んで収納出来る特徴を持っている。

 

吐き出されたのは短剣、それを手に取り幽霊に気づかれない速さで振るい斬り裂く。

 

「(こういう場所にはよくいるな…最近わかった事だが、心霊スポットとか学校、病院とか多いな、でかいのもいるし…強い幽霊もいたけど)」

 

後、俺が見る幽霊はそこらの武器になるものを使ったり、殴っても殺す事はできず、ハクが出してくる武器を使うと幽霊を倒す事ができる。ただその武器は全て本物であり刀やら槍やら色んな武器を収納していた。しかも殆どの武器に何かただならぬ何かを感じ、普通の武器ではない事は触ってわかった。

 

「帰ろう…」

 

俺は幽霊を倒した後ハクに短剣を飲み込ませて帰ろうと帰路に着く。 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん可愛いねぇ。俺たちと一緒に遊ばない?」

 

「俺と一緒に楽しいことしようぜ、ぐへへ」

 

ぐへへって。あれは絶対にヤバい人が言う台詞だ。と言うか俺はこの距離でも何言ってるか聞こえるしなんとなくだが放置したらまずいと俺の五感がそう告げている。

 

「ご、ごめんなさい。これから用事があって……」

 

ヤンキー2人組に絡まれてる女の子は明らかに避けていた。ていうかあの制服、俺と同じ学校の生徒だな。用事というのもおそらく嘘じゃないし、何か訳ありのようにも聞こえる。それに近くには病院がある、おそらく誰かのお見舞いに行くのか行った後の帰りなのか、そして運悪くあのヤンキーに絡まれたって事か。

 

「いいから来いって言ったんだよ!」

 

「い、嫌っ、やめてよ‼︎」

 

そんな事を考えていたら、ヤンキーは女の子の手を掴んで連れて行こうとしていた。

 

「だっ誰か……」

 

女の子の目尻には涙が浮かんでいた。それを助けようとする人もいない。

 

 

 

「ああ…くそっ」

 

俺の足は自然とヤンキー達の所へと向かっていた。俺は近くにあった石を拾いそれを女の子の手を掴んでいるヤンキーの手に向けて投げ飛ばす。当然加減はする。

 

 

 

 

「イッテェ⁈な、なんだ!」

 

掴んでいたてに激痛が走り女の子に掴んでいた手を離し、当たった箇所を押さえていた。

 

 

「はい、そこまで…」

 

「あんっ!誰だてめぇ?」

 

突然現れた俺にヤンキー達は俺に視線を向ける。

 

「あ?ああ…知り合いじゃないがそこの子と同じ学校のもんだ。ナンパすんのいいが、嫌がる女の子を力尽くで連れていくのはダセェぞあんたら」

 

「同じ学校?だからといって人の色恋に口出しすんのは頂けねぇなぁ。俺たちが色男だからって嫉妬しちゃいけねぇよぉ?」

 

ハッキリ思う。何言ってんだこいつ?

 

 

「あんたらが色男だったらその子も付いだかもしれねぇけど、拒否られて誘拐未遂をした奴が色男どころか男としても見て貰えないんじゃないっすか?それとなんだ、あんたら発情期か?だとしたら引くわー」

 

 

 

「誰が発情期だ⁈こんのガキ、黙って聞いてりゃいい気になりやがって!!」

 

目の前にいたヤンキーその一が右ストレートをかまそうとした。

 

 

 

「おせぇんだよ」

 

俺はその右ストレートを難なく避けて、振り向きざまに頭を鷲掴みにして地面に叩きつける。

 

「ぐは!?」

 

叩きつけた後ヤンキーは気絶したのか白目を向いていた。多分これで1人リタイア、しかも周りは何が起きたのかわからず茫然としていた。気がついたらいつのまにか仲間が地面に叩きつけられたら驚くのも無理はないだろう。生まれつき体が丈夫だが、俺は身体能力も五感も異常と言えるほどいい方だ。

 

 

「テメぇよくもやりやがったな!」

 

もう1人のヤンキーが俺に殴りかかってきたが、それを避けてデコピンを喰らわす。デコピンを食らったヤンキーは額を抑えながら痛みに悶絶する。

 

「ギャァァァァァアアアアアアア!!!」

 

「ば、馬鹿野郎!!」

 

仲間がやられたのを見てビビったヤンキーは俺に背を向けて逃げ出そうとする。

 

「ホイット」

 

丁度近くにあった空き缶をヤンキー目掛けて投げる。

 

「うぎゃ!」

 

「よし、ストライク」

 

 

空き缶はヤンキーの頭に命中してノックアウトに成功する。さて……問題はこの2人、どうしようかな……一応警察にでも連絡を……っ!?

 

「うおっ!」

 

俺がケータイを取り出して通報しようと操作をしていた時、気絶していたはずのヤンキーが立ち上がりナイフを持っていた。

 

「クソガキが、舐めやがって!!ぶっ殺してやる!」

 

こいつ、怒りで我を忘れてマジだな。こいつら以上にヤバい存在と戦ってきてるからどうって事はないが、はぁ…めんどくさ

 

「へっ!死ねや!」

 

俺はナイフを持って突っ込んできたヤンキーの攻撃を避けて足を掛け転ばせる。

 

「クソッ!」

 

倒れながらも、諦めずに俺にナイフを振り下ろすが、それも避けて腕を掴んで押さえつける。

 

「離せコラァ!」

 

なるほど、そこそこ鍛えているのがわかるが、俺には遠く及ばない。俺は力を入れてヤンキーの腕に力を入れる。ミシミシと腕の骨にひびが入る音が鳴り響く。流石にまずいと思ったのか振りほどこうと力を入れるが、俺は更に力を入れて抑え込む。

 

「ぐあ!」

 

痛みでナイフを手放したヤンキーを抑え込み地面に叩きつける。これで気絶するだろ……次に女の子の方を見ると、腰を抜かして座り込んでいた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「う、うん… …」

 

 

コクコクと頷きながら返事をする。とりあえず俺は女の子に近寄ろうとする。その時倒れていたヤンキーが起き上がってきた。

 

「テメェよくもやりやがったな!ぶっ殺してやる!」

 

もう1人のヤンキーが倒れている仲間のナイフを拾い俺に向かって突っ込んできた。俺はその攻撃をかわしてナイフを持っている手を掴み捻り上げる。

 

「ギャァァァア!」

 

悲鳴を上げるヤンキーは逃れようと必死に抵抗するが、俺はそれを逃がさないように更に力を込めて動きを完全に封じた。

 

「もうやめておけ、それ以上暴れたら手の骨を折ることになるぞ?」

 

「うるせぇ!やってやるよクソガァア!!」

 

「お前らじゃあ俺には敵わねぇよ。大人しくすればこれ以上の痛みは与えないでやる」

 

少し殺気を込めて言うとヤンキーは突然大人しくなり戦意損失したのか掴んでいたナイフを放す。

敵意がない事を確認した俺はヤンキーから離れナンパされていた女の子に駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「あっ、はい、ありがとうございます」

 

戦意損失したヤンキーを除いて他は完全に伸びているが、またいつ目覚めるとも限らないし、これ以上面倒な事にはなりたくないのでやる事はただ一つ

 

「ズラかるぞ」

 

「え、あ…」

 

ガシッと女の子の手を握るとその場から走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまで来ればいいだろう」

 

それから5分ほど走った所で安全を確認しつつ俺たちは止まった。

 

「怪我はないか?」

 

「あっはい、大丈夫です。えっと……その…」

 

女の子は何やら言いたそうな様子だった。あぁ、そういえば名前を言ってなかったな。

 

「俺は天野燈志、お前と同じ椚ヶ丘中学に通う3年生だ」

 

「同じ学校で同じ年だったんだね!私は矢田桃花、さっきは助けてくれてありがとう!」

 

「気にするな。ただ今後は人気のない場所は1人で通るな。他の奴と一緒に行動するか、防犯ブザーを持つ事をお勧めする。だが、同じ学校の同じ学年の筈だが、見覚えがないのは何故だ?」

 

「あっ、それは私がE組にいるからだと思うな、E組は校舎が離れた所にあるから……」

 

 

「すまない。余計な事聞いてしまったか?」

 

「ううん、知らなかった事だからしょうがないよ。ところで、さっきの人にナイフに斬りかかれたけど、怪我はないの?」

 

「あ?そんなやわな鍛え方してないから問題はな「あっ!!」な、なんだ?」

 

彼女が驚いた声を出したので何事かと見ていると、俺の右手に触れる。見ると手の甲に切りき傷ができていた。あの程度の攻撃で血が出るとは、俺もまだまだって事か。

 

「ちょっと待ってて」

 

「?」

 

傷を見るや否や彼女は持っていた学生カバンから消毒液とガーゼを取り出した。この子、準備がいいな。

 

「これくらい平気だ。唾をつけとけばすぐに治る」

 

「駄目だよ、ちゃんと消毒しないと悪くなっちゃうよ」

 

「いや、別に問題は「駄目!!」………ハイ」

 

断ろうとした矢先に一喝を受けてしまう。これは逆らったら余計に面倒なので素直に手当を受けることにする。

 

その後、彼女は慣れた手つきで俺の腕の処置をしてくれた。

 

「これで良しっと」

 

そうこうしている内に腕の処置も終わる。中々手際が良く動きにも支障は全くない。

 

「悪いな、お礼と言っちゃなんだが、このまま送ってやるよ」

 

「え、そ、そんな!助けてもらったのにわざわざ悪いよ」

 

「そんなこと言える状況か?さっきの事もあるだろう?」

 

「うっ……じゃあ、お願いしようかな」

 

「おう。んで、どっちだ?」

 

その後の帰り道は夕陽に照らされた自分の影を踏みながら帰路へとつく。

 

「もうこの近くだから大丈夫だよ、送ってくれてありがとう!」

 

夕陽も落ち、辺りに夜を告げる電気が各家につき始めた頃、彼女の家の近くについたようだ。

 

「そうか。まぁ、その……なんだ、傷の手当ありがとうな。また会えたらよろしく」

 

「うんっ!今日は本当にありがとう!またね天野くん!」

 

「おう」

 

そう言って背中を向けた彼女であった。

 

 

「さてと、帰ろうかハク」

 

服の中に隠れていたハクは返事をするように『シャ』と言う。俺は家の屋根まで飛び上がり、そのまま最短の距離で家まで帰る。

 





燈志君はまだ呪いやら呪術の知識は全くの0の状態です。
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