烏間先生と相談してから数日が経ち、テスト返却の日が迎えた。
「テストの範囲変更か…ホントやってくれたな」
やはり仕掛けたなあの理事長は、しかもテスト2日前に。
「……先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。天野君の忠告を聞いていればまた結果は違っていたのかもしれません。申し訳ない、先生は君達に顔向けできません」
殺せんせーが落ち込んでいる中、カルマがナイフを殺せんせーを殺す気で投げる。
「ニュヤ!?」
「いいの〜?顔向けできなかったら俺が殺しに来るのも見えないよ?」
「カルマ君!先生は今、落ち込んで…ニュ!?」
「俺、問題変わっても関係ないし。」
そう言ってカルマは教卓の上に答案用紙を置く。
赤羽業
国語:98
数学:100
理科:99
社会:99
英語:98
総合:494
学年6位
「「「「おお…!」」」」
「数学100点かよ…」
「俺の成績に合わせてさぁ〜アンタが余計な範囲まで教えたからだよ。だから、出題範囲が変更されても対処できた。まあ、他にも後2人いるみたいだけど?」
そう言ってカルマは俺と渚の方を向く。気付いてたのかよコイツ、変に勘が鋭いというか何というか……
「あはは…僕は燈志君の忠告を聞いて範囲外もやってたからなんとかって感じだったかな」
「へっ、そう言う事…ほら」
そう言って俺と渚も解答用紙を出す。
「ニュヤ!?」
「「「「「ええっ!?」」」」」
天野燈志
国語:100
数学:85
理科:91
社会:90
英語:84
総合:460
学年25位
潮田渚
国語:74
数学:85
理科:69
社会:82
英語:89
399点
総合47位
「すげー...」
「天野は国語が100点、カルマほどじゃないけど殆どが高得点だぞ...」
「俺はこのクラスは出る気ないよ。本校舎に戻るより暗殺の方が楽しいしそれとも殺せんせー、クラス全員が50位以内に入らなかった理由でここから尻尾巻いて逃げちゃうの?それって結局さぁ〜殺されんのが怖いだけなんじゃないの?そう思わない燈志君?」
「言ってやるなカルマ、その言い方だと殺せんせーが可哀想だろ?」
「ニュヤ!?そ、そんなことありません!」
「なーんだ殺せんせー怖かっただけなのかぁ〜」
「それなら早く言ってくれれば良かったのに〜」
「ね〜」
カルマと俺が言い出したことを切っ掛けにクラスの人達が次々と殺せんせーを挑発し始めた。それで殺せんせーは
「ニュヤーー!!逃げるわけには行きません!!期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!!」
「「「「「ははははは!!!!!」」」」」
教室中で笑いが起きた。
「ニュヤ!?何がそんなにおかしいんですか!?」
〜♪
「……」
突如メッセージが受信され内容を見る。俺は烏間先生に一言連絡を入れ、送った直後に殺せんせーは細い触手を俺に触れ触手を「行ってきなさい」とスマホに文字を入れ伝える。
それだけ確認して、俺は教室を一旦後にする。
旧校舎から割と離れた森の中。旧校舎周辺は山に囲まれ自然豊かな場所でもあり、そんな山の森の中に、1人怪しげな人間が居た。
「ヒヒヒっ、賞金100億、邪魔する奴は手段は問わず…今俺が殺してやるからよ」
コートに細身でそして顔は帽子と黒いマスクで隠しており見るからに怪しい奴だが、更には男の纏う異質な雰囲気、そして堂々と手に持ってる刃物、普通ではないのは明らかだった。
「五条悟じゃない呪術師など取るに足らん。それにいい奴がいたらヤるのもわるくねぇ「誰が誰をヤるって?」っ⁈」
男は突如背後から聞こえてきた声に驚き振り向く。だが、男の視界には誰も映らず、そして次に感じたのは腕への痛みと衝撃だった。
「ぐぁっ……だ、誰だ……テメェっ!(な、なんだコイツ、気配をまるで感じられなかった⁈)」
「呪術師だ…ただし(仮)が付くがな…そう言うオッサンは呪詛師って事でいいんだな?」
男の腕にはいつの間にか刃渡りが長い短刀が刺さり血が流れていた。男は気付かぬうちに刺されたことよりも腕が切られた事に驚きの声を上げるが、それもつかの間今度は脚に熱い痛みが走る。
「ぎゃああ!!お、俺の脚がぁぁ!!」
脚に刺さったのは刀。あまりには瞬く間に血が流れる。男は激痛に声を上げ蹲るが、今度は顔に衝撃が走り軽い脳震盪が起こる。
「言ったはずだオッサン……呪詛師かと……で、誰を殺すって?」
「あ”っ……(ど、どうなってやがるんだコイツ!全然気配が感じられねぇ!いや、呪力が全く感じられん!!)」
呪詛師は痛みに苦しみながらもどうにか逃げ出そうともがく。だが、再び男の声が聞こえたかと思うとまたしても足に熱さを感じた。それと同時に背中にも熱を感じ全身に熱い痛みを感じた。
「ア”ァ”ア”ァ”ァ”!!!」
「逃げんなよ……まずは俺の質問に答えてもら……「ヒィっ!く、くるなぁああああ!」」
男は両手のナイフを振り回しながら呪詛師は悲鳴を上げながら距離を取る。だが、そんな姿を見ても俺はただ一切顔色を変えず淡々と視線で続ける。
「何してんだ?そんな振り方じゃ当てることなんざ出来るわけねぇだろ?子どもかテメェは」
俺は一歩を踏み出し一瞬にして距離を詰める。
「(は、速い⁈な、なんなんだコイツ!!)」
「まぁいいや……っと、その前に」
「(ま、マズイ!殺されるっ!!)」
「俺は呪術師(仮)だが、アンタをどうするかは任せられてる。こな意味…わかるか?おっさん」
「ヒィっ!!」
「はぁ……めんどくせぇな。今のとこアンタに決定権はない、だから……」
俺は短刀を振りかざした。呪詛師は殺される恐怖から脚が震えナイフで防ぐことも出来ずただ見つめることしか出来なかった。そして、無慈悲にも呪詛師の男の身体に短刀が振り翳さられる……
事はなかった。その刃先は呪詛師の真横に突き刺さり衝撃で地面にヒビが入る。
「あ………あ」
男は白目を剥き口から泡を吹き出しながらその場に倒れる。
「急所は外した……流石に今は人を殺すつもりはねぇよ。今は…な」
スマホを取り出しある人物へと連絡を入れた。
『もしもーし!グッドルッキングガイ五条悟でーす!』
「(ウゼェ…)五条さん?燈志っすけど、呪詛師を無力化したんでその報告っす」
『さっすが!仕事が早いね!僕が見込んだだけの事はある!んで、その呪詛師はどうしたの?』
「一般人が怪我しないようこっちで対処しましたんで、無力化はしましたけど殺してはないです」
『よくやったね!おつかれさまんさー!』
「んで、こいつはどうする?流石にこのままにする訳にもいかねぇだろ?呪霊はともかく、ハクは生きている人間は収納出来ねぇからな?」
『んー、それじゃあ燈志が戦った場所と呪詛師の容姿を写真で送ってくれる?こっちで後処理はしとくから』
「了解っす。んじゃ、俺は教室に戻るからな。まだ授業も残ってから」
『はーい!あっ、バイト代もイロも付けて振り込んどくから確認しといてね♪』
「了解。んじゃ、また……」
そう言って燈志は電話を切ろうとしたが、そこでスマホから五条の声が聞こえた。
『ああ!そうそう!今度機会があったら僕とも手合わせしない?未登録の特級も祓った経験もあるんだし』
「それに関しては運が良かっただだ」
『そういわないでよー!絶対いい線いくと思うんだ〜』
「嫌だ。めんどくせぇ(呪術知識ゼロの俺にどう相手にしろと?)」
それだけ言うと今度こそ切ろうと通話終了ボタンを押す。
『ちょっ……』ブチッ!
「さて、戻るか……」
そして、燈志は意識のない呪詛師をそのまま放置し、スマホをしまい教室に足を進めるのだった。クラスメイトからはどこに行っていた?と怒られるハメになったのは言うまでもない。