先生「いつかミサキが毎日元気に笑うところが見たいなあ」   作:極みかにそ点心丸参式

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「気は進まないが先生の願いとあっては仕方ないね」

先生、よく来てくれた。そうだね。現状が把握できていないようだし、とりあえず説明するとしよう。

 

まず100人の戒野ミサキを用意し、50人ずつ2つのグループに分ける。片方のグループには軍事訓練に沿って指示を与え、命令を拒む者、出来が悪い者、警句を唱えない者に罰を与える。もう片方のグループにはトリニティの教育プログラムに沿って指示を与え、交流を拒む者、感情を表現する努力が見られない者、警句を唱えた者に罰を与える。また、どちらのグループについても指示に従わない者に対しては厳罰を与える。

 

この取り組みの結果、最後に残った1人が今あそこで遊んでいる生徒、戒野ミサキだよ。彼女は実に行動的で、明るい女の子にだ。友達も沢山いて、毎日仲良くお弁当を食べている。罰を受ける者を冷たい目で見下ろしていたのが嘘のような変わりようだ。挨拶しに行くならちょうどここに熊のぬいぐるみがある。彼女が大好きなブランドのもので、値が張るために彼女が購入を諦めたものだよ。渡してあげるといい。今は1サイズ小さなものを買うためにバイトを頑張っているそうだが、本当はフルコンプしたいようでね。夜な夜なカタログと睨めっこして唸っているからきっと喜んでくれるはずだよ。

 

もう片方のグループ?うん。そちらも最後の1人まで絞り込めたよ。彼女も連れて来るつもりだったんだが、ちょっとばかり都合がつかなくなってしまってね。ほら、同じ人物が2人もいれば混乱が起きるのは想像に難くないだろう?だからまずは顔合わせをしようと思ったんだが、トリニティの自治区に入ってからどうも様子がおかしくなってしまったんだ。昨日お互いの事を教えた時はいつもと変わらない様子だったんだが。錯乱していたから取り押さえて、今は救護騎士団のベッドで寝かせて……なんだって?聞いていなかったのかい?会話ができるような状態じゃないんだ。錯乱した理由も分からない。いつ暴れ出すかも知れないのに連れてこられる訳がないじゃないか。こちらから行く分には構わないが今は面会謝絶だし、許可を取ったところできっと入口で止められるよ。

 

……まあ先生がそう言うならナギサにでも頼んで救護騎士団に話を通しておいてもらおう。まずは面会が可能かどうか問い合わせるから少し待っていてくれ。

 

もしもし?うん。その件だよ。これから先生が面会謝絶の患者に会いに行きたいとの事でね。うん、うん?そうか。分かった。そうだね。手続きの方はよろしくお願いするよ。じゃあ。

 

先生。残念だが無駄足になる。向こうの戒野ミサキは病室から飛び降りて死んだそうだ。すまないが私はここで失礼するよ。現場を見られてしまったようでね。戒野ミサキが死んだという誤解が広まる前に死体を回収しなければならない。事情を知る者が指揮を取らなければね。

 

……やめてくれ先生。本当に急いでいるんだ。葬式?できる訳がないだろう。アリウスの共同墓地に埋めるのが精々といったところだ。それじゃ、今度こそ失礼するよ。いやはや、本当に忙しくなりそうだ。

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