転生したらとんでもねー魔力持ってた件
この世に望んで生まれてきたわけでもないのに生きている。
自分が本当に望む物が無いのにも関わらず生きている。
どれだけ努力しても本当に望む物は手に入らないのに生きている。
特に、親……家族と暮らしてたときは尚更だった、望む物を得る手段がかなり限られていたからだ。
そしてそれは一人暮らしを始めてもそこまで変わらなかった。
はっきり言って生まれる世界を間違えたといっても過言じゃない。
自分が生きてる世界、国は平和だからいいだろって?
確かに平和だ、でも裏を返せばそれだけ。
二次元にあるような魔物との戦い、魔力を持ってあらゆることが出来る、みたいなものはこの世界にはない。
そういった物は全て漫画やゲーム等の二次元の世界だけしかない。
他に望む物がこの世に無い以上、この世で努力をしても無意味だと悟った俺は、ただ漫画やゲーム等で時間を潰して生きてるだけの人形も同然だった。
せめて自分だけでも膨大な魔力があれば、自分の望む事をして、せめてこの平和な世界をのんびり暮らすことは出来たのだが。
無いものねだりをしても仕方のないことだ。
そんなこんなで虚無人生を送り、虚無な仕事を終えて自転車で帰る帰り道………。
「……もう少しで家、か」
家までの最後の信号が青になると、そう呟きながら俺は自転車を走らせ始める。
赤信号側の道路の方から急にトラックがこちらに向かって来たことに気づかず──────
(……あれ、何が起こった……?
身体……動かねぇや……)
彼はそのトラックに轢かれた。
トラックに轢かれたと気づいた時には、もう口を開けることが出来ずにいた。
(あーあ……せめて膨大な魔力があれば……こんなつまんない世界を少しでも楽しく生きていけたかもしれないのにな……)
そう思いながらこの世に未練を残すことなく、俺は、この世を去っていった。
トラックに轢かれて死んで、俺はあの世に行くものと思われた。
だがあの世にしてはやけに温かすぎる、天国に行けるような良いことは微塵もしてないにも関わらずであった。
???「まだ眠ってるのかしら?」
???「まさか……死んだなんてことはない……よな?
ようやく産まれた初めての子供なんだぞ……?」
2つの声が聴こえて、俺は目を覚ます。
すると、自分の知らない大人が良くない事が起こったような顔をしていた。
が、こちらが目を覚ますとその表情は一気にひっくり返った。
???「おお、おお!よーしよし、ぱぱでちゅよー♪」
???「ああ、よかった!わたしがままでちゅよー♪」
そして自分の知らない筈の2人の夫婦らしき人がこちらを産まれた赤子のように話しかけてくる。
その表情は自分の両親が見せたことのない、嬉しそうな表情だった。
が、突然知らない夫婦の2人の顔を見て、その赤子は思考する。
(え?何これ?どゆこと?
……まさかとは思うが……俺、転生、したのか?)
突然の自体に困惑する。
が、周りを見てみると自分が死ぬ前に肉眼で見れなかった物がチラホラとあった。
そして彼は自覚した、自分は転生したのだと。
母と思わしき人「でも……変ね、全然泣かないわ」
父と思わしき人「ん〜?ん……?」
??? (あ、そうか、産まれたばっかの赤子って泣いてるのがよくあるパターンか。
…そりゃ怪しまれるわなぁ……仕方ない)
「オギャー!オギャー!」
父と思わしき人「おお!元気な泣きgうえぇ!?」
母と思わしき人「え!?何…!?この魔力!?」
赤子 (え?魔力?これが?
そしてこの二人は何をそんなに驚いているんだ?)
赤子に転生した彼が泣き声を敢えて出した途端、彼に魔力が纏われる。
この場にいた3人が瞬時に驚き、夫妻の方はその後怯えたような顔をしていた。
父と思わしき人「まさか、いきなり悪魔憑きに…!?」
母と思わしき人「そんな!?やっと腹を痛めて産まれた子なのに!?」
父と思わしき人「とにかく調べよう!」
赤子 (悪魔憑き!?特に特別苦しい感じはないけど…)
「オギャー!オギャー!」
こうして悪魔憑きになってしまったのか疑われた子供はその父らしき人によって裸にされていく。
その人が身体を隅々までした後、安心したような顔をした。
父と思わしき人「ふぅ…それっぽいのはないな…」
母と思わしき人「本当!?よかったわ…。
…でもこの魔力の量は一体…?」
赤子 (貴族っぽい格好…魔力…そして悪魔憑き…?何処の世界に該当するんだ…?)
夫妻の安堵を気にする事なく、彼は自分の身に起こった事を考えていたのであった。
俺が転生した世界は、どうやら『陰の実力者になりたくて!』というアニメの世界であった。
そのアニメは、『陰の実力者』となり、魔力を求めた『影野 実』という人物が死亡してこの世界に転生、『シド・カゲノー』もとい、『シャドウ』がこの世界で改めて『陰の実力者』となるべく、《シャドウガーデン》を結成しては陰の実力者ムーブをする努力型主人公最強✕厨二病✕勘違いが巻き起こす異世界ファンタジー&シリアスコメディというものだ。
まさか自分がそんなアニメの世界に転生することになろうとは思いもしなかった。
ちなみに、俺のこの世界での名前は『レベリオ・ヴェンデッタ』。
伯爵貴族ヴェンデッタ家の1人息子である。
伯爵より爵位の高い貴族は1番浮かびやすいものといえば《公爵》と《侯爵》、低い貴族は《子爵》と《男爵》が浮かばれる。
一応《公爵》より上、《男爵》より下の爵位はあるが《伯爵》は貴族ではまあ中の中といった爵位だろう。
ていうか、転生後の名前にツッコんでいいか?
転生前の世界の特定の国の言葉じゃ割と物騒な意味になってるんだけど!?
…もっとツッコみたいが話を陰実の世界に転生した事について戻そう、己が努力のみで陰で俺Tueeeeしてる彼と違ってこちらは原作知識と他の多数のアニメの知識、その他転生前に得た知識と、転生直後からどのくらいあるかわからないが相当な量の魔力がある程度だ。
何やら身体にとんでもねー、この世界での自分の親に最初『悪魔憑き』と疑われる、もしくはそんなレベルではない魔力がある、みたいな事を言われてるが所詮魔力が多いだけでシド・カゲノーのように使い方をしっかりしていなければ、そんじょそこらの敵ネームドキャラは倒せてもこの世界で味方か敵になるかわからない彼に…なんなら後に彼の配下となる『七陰』に勝つのは難しいだろう。
まずは歩けるようになるというところから初め、2歳になってから歩けるようになった俺は、まずこの世界の文字の読み書きと、貴族としてのあらゆるマナー、そして誰もいないところでの素人なりに基礎的なトレーニングと、魔力の扱いの実験から始めた。
常識や力を付けつつこの世界の文字やらなにやらを知っておかないとことには転生した意味はないからだ。
幸い『陰の実力者になりたくて!』の主要人物の情報の大半は頭の中に残っており、彼は『シド・カゲノー』がこの世界でやったトレーニングや自身の魔力の実験をすることにした。
まあこちらはアニメやコミック、ゲームの知識のみしかないため、前世でも鍛えていたあちらとの差は歴然だが、それでもやらなければそれこそ差は広がってしまうものだ。
当然スライムからスライムゼリーを生成し、それを扱ってのスライムスーツにスライムソードも用意している。
この世界での俺の父と母…お父様とお母様に「欲しいものはあるか?」と問われたときに、スライムと言った後、5歳の誕生日にそれを授かった。
何故スライムか?と無論問われたが、スライムの魔力伝達はかなりの物、だからこそ少しでも魔力の扱いを学びたいと言ったら喜んでくれた。
最も魔力が多すぎるから決して変な風に扱っては行けないと釘を刺されたが、まあそれは当然の心配だろう。
が、それ以上詮索されることはなかった、元々2歳から読み書きを覚え始め、この世界のありとあらゆる本を読んでいた為に、何故そんなことを知っているのかと問われることは無かった。
魔力を高密度に練る練習を重ね、スライム攻撃、防御実験を盗賊相手に行い、強敵でない者と戦う時は6歳の誕生日に親からプレゼントで貰ったミスリルの剣を使用していた。
スライムソードに比べれば魔力の伝達は半減する、だが彼は彼なりの“我”を通す為その剣を使うことにしていた。
ここまで来るとミスリルの剣以外はもはやシド・カゲノーの二番煎じではあるが、それだけでは足りないと認識していた彼は後の戦いに備えてあらゆるものを用意していった。
全て説明するとめんどいのでそこは省いて後々説明するけどね。
それから数年の月日が経ち…彼は、夜遅くこっそり屋敷を抜け出して盗賊相手に略奪をしていた。
レベリオ「…シッ!」
盗賊A「えっ…がっ…!?」
ミスリルの剣で隙だらけの盗賊の急所を突いていく。
それも予備動作なく、瞬時に刺した為に盗賊の1人は悲鳴をあげる事なく倒れていく。
彼はシド・カゲノーと違ってクレア・カゲノーといった姉がいない。
自身の防御力の底上げは自傷することで可能だが、産まれた後も弟妹が出来なかった為剣術や魔力を扱った戦いは盗賊相手に試すしかなかった。
が、盗賊狩りをして数ヶ月程で、彼はこうして即座に相手の急所や戦闘続行がしにくい部位を狙ってつくことが出来ていた。
盗賊B「な、何者だテメェ!?一体何をしtガッ…!」
2人目の盗賊が喋ってる最中にレベリオは盗賊の身体を剣ごと真っ二つに斬り裂く。
後は相手が言い終わる前に細切れにしたり急所を突いたりの繰り返し。
もはや並の盗賊相手では、スライムの防御壁を展開するまでもなく、新しい武器を使うまでもなかった。
盗賊C「ちょっとはやるみてぇだが…ミスリルの剣を使っていい気になってるだけだ!俺は王都b」
レベリオ「黙れ」
最後の盗賊が現れ、剣を抜き何か言い終える前にレベリオのミスリルの剣によって喉元を突き刺されてしまう。
7歳から盗賊を訓練の人形扱いしてる彼にとってもう盗賊程度では試しようが無い為、相手が何か言い終わる前に瞬殺することがザラだった。
「いちいち何か言わないと戦えないのかホントに。
もう少し強い奴がいれば色々試せたのだが…まあいい、今日も金貨と物資を回収するか」
そうして今日も彼は盗賊を殺したついでに盗賊達が盗んだ金貨と物資を回収していく。
「大分家から遠い所まで来てしまった、収納出来るとはいえ持ち運びが大変だな…」
だがこの時彼は気づいていなかった。
自分が盗賊狩りをしていた場所が、ある貴族の領地の近くであるということに……。
そしてその貴族の一人もまた彼と同じく盗賊狩りをしていることに……。
???「さてと、今日も盗賊狩りに行くとしよっか」
一方その頃、ここにもう一人、盗賊狩りをしようとしている者がいた。
彼の名前はシド・カゲノー、カゲノー男爵家の長男にして、『陰の実力者』になるために度重なる努力をし、魔力を求めて事故って死んだ転生者である。
無論、転生後も『陰の実力者』となるべく表向きは彼なりのモブに徹し、裏ではまず盗賊狩りをしてはその設備を整え、ゆくゆくは『陰の実力者』として本格的に活動しようとしている。
そして彼は事前に突き止めた盗賊達の集落へとたどり着く。
シド「ヒャッハー!!!てめえら金目の物を出s…あれ?」
今日も盗賊狩りに精を出し、お決まりのセリフを行っては飛び出したシドだったが、そこにあったのは既に死体となった盗賊達と、金貨と物資を持ち出されてもぬけの殻となった複数の木箱のみだった。
シドは木箱を全て調べた後、今度は盗賊達の遺体を調べる。
(どの盗賊も致命傷、急所を的確に貫かれている。
切り口も綺麗だし魔力痕跡もない…これ魔力の有無に問わず相当強い人がやったなー)
そりゃそうだ、これをやった本人は魔力を微塵も使っていないのだから。
「まっいっか、なんかすぐに会えそうな気がするし。
もし戦うとしたら、こいつらより色々試せそうかな。
あ、でもノリがよかったら、相棒か右腕にしようかな。
前世じゃいなかったけどここなら見つかるような気がするしねー、『陰の実力者』の相棒か右腕」