※『旅をしたいだけなのにマジでどうしてこうなった』
まで読んでから読むのを推奨
少しでもアイリスを強くしよう
これは、レベリオの旅の幕間、アイリスとの約束で定期的にミドガル王国に来て彼女と会う話………。
アイリス「!?」
レベリオ「………」
(さて、まずは原作でシドが彼女にやったフェイントからだ。
これに耐性つけてくれないと相当精神に参るからな、アイリスは)
まずは旅を初めて1ヶ月後、改めてアイリスと軽く挨拶、話をした後にレベリオが訓練を提案し、彼女もそれを快諾して現在訓練中。
レベリオは自分が使える戦闘スタイルの1つを見せるといい、早速それをお見舞いして、現在首に手を当てているアイリスと訓練中だ。
それは、原作にてシド(ジミナ)がアイリスにやった時のフェイントと同じである。
取り敢えずこれに慣れてもらわなければいけないのだ、でなければまともにシド(ジミナ=シャドウ)と戦うどころか剣で鍔迫り合いになることすらないだろう。
ちなみに、アイリスとアレクシアのいずれかと一緒、もしくは両方いる時のみ、レベリオは普段の言葉で会話している、限定的だが婚約者の特権だ。
アイリス「っ……!?」
(今……確かに、レベリオ君に首を斬られた……?)
レベリオ「どうしたの?アイリス?」
(まあ、初見だとやっぱりそうなるよな)
アイリス「今の……今のは、一体……?」
レベリオ「『ブシン祭』の俺の試合を見てくれたなら、少しは見当がつくんじゃないかな?
これは予選の4回戦、クイントンという男相手にやったものだよ。
……斬られた、と思ったでしょ?」
アイリス「た、確かに彼も突然倒れたりしましたが、そ、そんな事が……!?」
レベリオ「そういうフェイント技術もあるってこと。
アイリス、世界は広いんだ、『ブシン祭』でも色んな戦闘スタイルを見せたけど、中にはこういった戦い方をする者もいる。
はっきり言って、世間で流行り過ぎている王都ブシン流だけで、この先未知の相手と戦うのはほぼ無理だ。」
(1つの流派を極めればいいってもんじゃないからね)
「さぁ、続きをやってみよっか」
アイリス「ええ、行きますよ!
……!?」
訓練を続行しようとすると、アイリスがまた一瞬止まり、今度は前方に転んでしまう。
レベリオは先程説明したフェイントで、アイリスの左足を斬ったと錯覚させたのだ。
彼女は左足を抑えながら、レベリオに向き合う。
「………っ!」
(落ち着け……落ち着きなさい…!これは、先程レベリオ君が説明してくれた、フェイント技術……!)
レベリオ「うーん、取り敢えずこれに慣れるところ、かな?今日は」
こうしてアイリスにシドのフェイント技術耐性をつけるべく彼女と数時間訓練したのであった。
そしてその夜。
彼女が住む家に……
レベリオ「………」
アイリス「どうしましたか?レベリオ君?紅茶の味は合いませんでしたか?」
レベリオ「いや、それはない、それより……。
アイリスの性格を考慮すると、いきなり同棲は無いものだと思っていたが……」
アイリス「お、お父様が言ったんです!
婚約した後、レベリオ君と同棲するようにと!
……レベリオ君は、嫌、でしたか?」
何故か、レベリオが住み、そしてアイリスと同棲していたのだ。
答えは勿論、アイリスの父親、『クラウス・ミドガル』の差し金である。
……あのー?クラウスさん?貴方こんな事させて大丈夫なんですかー?
自分の娘が襲われても知りませんよー?
と言われても文句を言えない、まあゆっくり関係築いて後に襲って虜にしてやるんだけどw
部屋にある多数の可愛いぬいぐるみ達の視線が、2人を見る。
レベリオ「ううん、嫌じゃないよ、アイリス」
アイリス「あっ……///」
彼女の問いに答えて、レベリオはアイリスの手を繋ぐ。
繋ぐ、そう、それだけでも色恋に免疫の無いアイリスは顔を赤くするのだ。
彼女がどれだけ純粋かは、前世でアニメを見て判っている。
レベリオ「嫌だった?」
アイリス「い、いえ……!突然の事で、驚いて……」
レベリオ「………」
(今日は手を繋ぐまでにしよう。
うぶなアイリス相手に、いきなりキスは早すぎる。
もう少し関係を深めていかないと)
アイリス「うぅう……///」
(私より5つも年下のはずなのに、何故か年上を相手にしている気分……レベリオ君、本当にアレクシアと同じ歳なんですか……?)
その日、手を繋いだだけであるにも関わらず、朝になるまでアイリスの顔は赤いままだったとか。
ブシン祭から3ヶ月目
2ヶ月目にデートをしていたレベリオとアイリスは、3ヶ月目は訓練をしていた。
が、訓練はいつもの剣での訓練ではなく………。
レベリオ「ふっ!」
アイリス「あっ……!?」
武術の訓練であった。
これはレベリオがアイリスに「どんな時でも剣を使えるとは限らない。
武術もある程度出来るようにしないといけません。
ちなみに、普段剣を片手で持っているのも、開いた左手を即座に受け身、武術に使えるからです」と言い、彼女も納得してこの訓練を受けていた。
そしてなによりシドは剣術より武術が得意な方である為、ここでも少し慣れておかないといけない。
限られた時間の中で、尚且つあちらは圧倒的に研鑽を積み重ねているが、経験があるのと無いのとは違う物だからである。
知識を与えておけば、後はアイリス1人でも誰か適当な……後に『紅の騎士団』の副団長となるグレン辺りにでも訓練相手に選んで訓練するだろう。
せめて受け身は確実に出来、出来た後その場からすぐに離れる、ということが出来なければ、致命傷を受けるのはほぼ確定だからだ。
が、普段剣を扱っての訓練の為、慣れないアイリスはレベリオの武術を受け続け疲労が見えていた。
「はぁ…はぁ…あたた……」
レベリオ「少し休憩しましょうか、アイリス」
アイリス「そ、そうですね……」
1時間以上訓練を続けているために、ここらで休憩をしようと言うレベリオの提案に乗るアイリス。
慣れない鍛錬で、やはり1ヶ月目よりも疲労が出ているのだろう、彼女から女性の匂いがむんむんする。
それに勘づいたのか、アイリスが声をかける。
アイリス「あ、あの……レベリオ君…?」
レベリオ「なんですか?」
アイリス「もう少し……その、距離を置いて頂ければと。
その……私、汗をかいていらっしゃるので…」
レベリオ「ん?あぁ……それは失礼」
アイリスもそれに気づいたか、レベリオに少しだけ距離を取るように言う。
彼も納得してほんの少しだけ距離を取る。
アイリス「ふぅ……」
レベリオ「やはり、疲れましたか?」
アイリス「ええ、今まで剣での鍛錬だったので、慣れない武術をやるというのは少々……」
レベリオ「ですが、あまりのんびりしている暇は無いんですよ。
蓄えられる技術は沢山つけなければ。
いつの日か……このミドガル王国に魔の手が迫る」
アイリス「魔の手……ですか?」
レベリオ「ええ。
今はまだ大人しくしていますが、着々と力と勢力を高め、やがてはこの国を巻き込むことになるでしょう」
アイリス「それは……やはり、旅の途中で、何か危険な組織が動いている、と?」
レベリオ「そうです。
……クラウス国王は密かに対抗する準備をしているようですが」
アイリス「お、お父様が!?でもそんな話は……」
レベリオ「国王からすれば実の娘達を巻き込むわけにはいかないのでしょう
でも、隠してもいずれ奴らは来る、そして、ある国と同じ様に、このミドガル王国も……!」
(口だけじゃなくて、身体でもこういう素振りしておけば、信憑性が上がる。
ただでさえ旅もしてるからね)
アイリス「レベリオ君……」
どこか悔しそうに右手を握りしめるレベリオを見ながら、アイリスは心配そうに彼を見る。
ミドガル王国に魔の手だなんて、とても信じられない話だ。
だが、その魔の手が原因でレベリオが旅をしているのであれば、彼女も少しは納得出来る。
現にそれに対抗するための力をつけていたのか、『ブシン祭』で戦った時より力強く感じている。
最早彼はアイリスの師匠ポジションにいるも当然だった。
レベリオ「話しすぎたな。
取り敢えず、せめてアイリスには必ず受け身を取ってその場からすぐに離脱出来るようにしないといけない。
そろそろ続きを始めましょうか」
アイリス「そうですね、でも、必ず受け身とまで言わずに、レベリオ君に数発入れられるくらいにはなりますよ。
私、こう見えて負けず嫌いですから」
レベリオ「いい意気だ、では続けましょう」
一時の休憩後、レベリオはアイリスに武術の特訓を再びすることになった。
取り敢えず基本さえ教えれば、あとは一人でも何とか身に着けようとするだろうと信じながら………。
ブシン祭から6ヶ月目
今日はアイリスの魔力の扱いの訓練をするつもりだった、が…………。
レベリオ「アレクシア王女?何故ここに?」
アレクシア「姉様は少し遅れると仰っているので、その間レベリオ君に剣の訓練でも付き合ってもらおうかと」
何故か彼女の妹のアレクシア・ミドガルがそこにいた。
しかも、ただアイリスが遅れることを伝えるだけならまだしも、彼女はレベリオに剣の訓練に付き合ってもらおうとしていたのだ。
そしてレベリオはその過程で、彼女が自身の弱点やら欠点やらを探るつもりだと思っている。
無論、レベリオはそれらをある程度知られてもそこまで困ることはないが、このまま普通に自身の悪性部分を見せても面白くないので、ほんの少しだけ、捻りのきいたものを仕込むことにした。
レベリオ「……私の問題に答えられたらいいですよ、アレクシア王女。」
アレクシア「アレクシアでいいわ。
……って問題???」
一方、アレクシアも付き合ってもらえるのかそうでないのかの2択だと思っていたのだが、ここに来てレベリオから少しだけ予想外の言葉が出てくる。
そう、それは彼の問題に答えられたら訓練に付き合ってもいいとのことであった。
レベリオはゆる~く言いながら彼女に問題を出す。
レベリオ「はい、というわけで物凄く簡単な問題です、私が言われると、私が凄く怒る言葉が2つありますが、それは『天才』と、もう一つはなんでしょうか?」
アレクシア「えっ!?『天才』と……もう一つ???」
(な、なんか言葉も緩くなってる……?普段だとこんな感じなのかしら???)
レベリオ「あっ、時間は無制限でいいから、ゆっくり考えてくれればいいから。
ただし間違えたら訓練の付き合いはなしで」
アレクシア「じゃ、じゃあ……ゆっくり考えるわね」
(『天才』は判っているんだけど、もう一つ???『天才の剣』……なわけないわよね、『天才』と被るわけだし。
じゃあ……)
「もしかして……『最強』?」
レベリオ「……正解」
アレクシア(ふぅ、良かった、当たってた)
「……ねぇ、『ブシン祭』の時から思ってたんだけど、聞いてもいい?」
レベリオ「……何か?」
アレクシア「……貴方は何処まで強くなるの?」
レベリオの問題に答え正解した後、アレクシアは質問する。
その質問とは彼が何処まで強くなるのかであった。
レベリオ「何処までも」
アレクシア「ど、何処までもっ…て……」
レベリオ「生物の命に天井はあるが、強さに天井というものは存在しない。
例え『天才』と『凡人』の違いがあろうとも」
アレクシア「……!それは……」
レベリオ「『凡人』は『天才』と始めから差がついている、だからと言って、『凡人』が『天才』を越えられないとは限らない。
どちらも研鑽を止めてしまえば、やがては片方に先を越されるからだ。」
アレクシア「…………」
レベリオ「だからこそ俺は、戦う相手によって自身の性格が良くなったり、最悪になったりする」
アレクシア「………へ?」
途中までいい感じの話になったのに、ここに来て何故かレベリオが、戦う相手によって自身の性格が良かったり悪かったりと述べる。
その発言はアレクシアの頭をピコピコハンマーで叩いたかのようなものであった。
彼女は一瞬思考停止、そして我に返ってレベリオのその言葉の意味を問う。
「え?ま、待って?戦う相手によって…性格が最悪???」
レベリオ「そう。
俺のその性格が最悪になる相手の例がこうだ……始めに散々こちらにああだこうだ、自分は天才だの最強だの言っておいて、こちらがいざその相手を倒した後、俺は倒れた所に挑発するなり悪口を言うなりなんなりして、相手の中に眠る力を引き出させる。
そして俺はその力を持った相手と戦うんだ。
……最も、引き出せ無ければ『何だその程度か、最強とか言ってたくせに(笑)』とか言ってそいつを嘲笑うなり見下すなり憐れんだりするんだ。
どうだ?最悪だろう?」(ドヤ顔)
と、この様に自身の悪性部分をアレクシアに解説して少し悪めのドヤ顔を披露するレベリオ。
彼女は彼の意外過ぎる一面を聞いて見て、その表情から笑みが止まらなくなる。
アレクシア「………ぷっ!ぷぷっ!アハハハハハハ!何それ!確かに最悪ね!その例の相手もだけど!
でも意外、レベリオ君ってそんなとこあったんだ、てっきり努力を積み重ねるだけの優等生かと思ったわ」
レベリオ「悪い部分や弱点、欠点のない人間はいない……違うかな?」
アレクシア「!?
……そ、そうね、レベリオ君のその片鱗も見れたし……」
(な、私がレベリオ君のそれを探ってたのを感づかれた……!?)
アイリス「レベリオ君!あ、アレクシアも」
アレクシア「あ、姉様」
レベリオ「もういいのか?アイリス?」
アレクシアと話をしていると、アイリスが遅れて2人がいる場所に歩いてくる。
アイリス「ええ、ごめんなさいレベリオ君、アレクシアに付き合わせて」
アレクシア「ね、姉様!?私はレベリオ君と話をしていただけですよ!?
そうよね?レベリオ君?」
レベリオ「……ええ、まあ。」
アイリス「本当ですか?レベリオ君?」
アレクシア「あら、姉様はレベリオ君を信じられないのですか?婚約者なのに」
アイリス「そ、それは……勿論信じて…」
レベリオ「まあまあ、話をしていただけですからもういいじゃないですか。
それより、今日も訓練しますよ、勿論、アレクシアもするよね?」
(本当はアイリスの魔力を使った肉体強化とかを教えたかったけど、今日は無理そうだなぁ)
アレクシア「ええ、お手柔らかに」
アイリス「アレクシア、後で何を話していたか聞かせてもらいますからね」
アレクシア「う」
こうして今日は3人で剣の訓練をすることになったのであった。
ブシン祭から1年目
今日はアイリスの魔力を使用した肉体強化の成果を見るため、ミドガル王国の訓練場彼女と普通に剣の訓練をしていた。
アイリス「ふっ!」
(レベリオ君を押してる!?これなら…!)
レベリオ「くっ……」
(4ヶ月で剣戟結構重くなったな、だが……)
「甘ーい!!!」
アイリス「うわぁっ!?」
鍔迫り合いとなり、一瞬アイリスが押したと思ったところでレベリオがさらに力を込め彼女に競り勝つ。
そして勢い余ってアイリスを少し突き飛ばしたのである。
「あたた……」
(押したと思ったのに……)
レベリオ(……他の訓練と平行してやっているとはいえ、まだまだ『お遊び』レベルで鍔迫り合いが長く持つ程度、『普通』レベルに変えたらこれか、これではジミナとなるシャドウ相手に全然手も足も出ない。
もっとアイリスを強化したいところだが……『青』はともかく、『紫』と『黒』の魔力を彼女に与えるわけにはいかないしな……。
次の『ブシン祭』まであと2年もない、肉体強化の成果は判った、なら次は……)
「ふぅ……『ブシン祭』の時と比べて力はついた方ですか」
アイリス「…簡単に言いますね、レベリオ君…。
余裕で突き飛ばしてくれて……」
レベリオ「あはは、まだまだアイリスには負けられないよ。
でも、魔力を使っての肉体強化、しっかり出来てるね」
アイリス「レベリオ君の教え方が上手かっただけですよ。
私はその教えを聞いて、こなしているだけです」
レベリオ「まあ、魔力を使っての肉体強化は序の口ですけどね」
アイリス「ま、まだあるのですか!?」
レベリオ「え?そうですよ?
魔力のコントロールは当たり前として、自身の魔力回路を強くして魔力の密度を高めたり、後は……」
アイリスに説明の途中、レベリオは手を上げ人差し指を上に向ける。
すると彼の全身から『赤』の魔力が纏わりその魔力が指先へと走り、彼の指先の少し上に火の玉が出現する。
その玉は、急激に大きくなり、鉄の剣の半分くらいの全長を持つ大きさとなった。
アイリス「えっ!?ええっ!?ま、魔力でそんな事が……!?」
レベリオ「はい、こんな感じに」
そしてレベリオはその火の玉を適当に2人から離れたところに投げつける。
すると投げつけられた火の玉は霧散することなく爆発して、落下地点に投げた火の玉と同じサイズの穴を開ける。
その光景を見てアイリスが驚愕する。
アイリス「こ、こんな事が……!?魔力は……魔力は、人体から離れたらコントロールが難しくなる筈……!?」
レベリオ「でも、出来ないとは言っていない。
まあ、流石にこれをいきなりやれるようにとは言いませんけど」
アイリス「あ、あ……」
レベリオの魔力に関する知識、そして魔力で産み出し投げた火の玉の威力を見てアイリスは絶句する。
それはそうだ、これまで剣に魔力を流して戦う事しか出来なかった彼女にとって、彼の行動、訓練はあまりにも未知で、自身の常識から外れたものだったからだ。
レベリオ「ほらほらアイリス、この程度で絶句していてはいけませんよ。
あれよりも、もっと凄い事が出来るのが魔力、魔力は無限の可能性を秘めていますから。
今までの常識で図っていては、いつか今と同じ事になり、その隙を突かれて死ぬんですから」
アイリス「……はっ!え、ええ!そうですね……!
……それでは、続け―――――――」
レベリオ「はいストップ、アイリスの肉体強化の成果はもう見たので、今度は別の訓練にしましょうか」
アイリス「ま、魔力のコントロール、そして魔力回路の強化、さらに先程の火の玉でしょうか?」
レベリオ「いや、火の玉はいいですって。
取り敢えず魔力回路から鍛えましょうか。
魔力のコントロールもそうですし、今度はそこを鍛えていかないと。
魔力が多いだけでは何の意味もありませんから」
アイリス「そ、そうですね……ではレベリオ君、よろしくお願いしますね」
レベリオ「ん、じゃあまずは魔力回路の強化から――――――――――」
肉体強化の成果を確認したレベリオは、今度はアイリスの魔力回路の強化と魔力のコントロールを教える事にしたのであった。
そしてその日の夜……。
アイリス「Zzz……Zzz………」
レベリオ(さてと、アイリスも眠った事だし、俺も魔力を使っての肉体強化と魔力回路の強化をしないと。
『魂喰らい』で相当魔力を得たからな、有効活用しなければ)
隣でアイリスが眠っているのを確認したレベリオはベッドから出ようとする。
すると彼の寝間着が、眠っているアイリスに引っ張られる。
「おろ?」
アイリス「Zzz………れべりおくん………Zzz………まけませんから………Zzz………」
レベリオ「………」
(なんだ寝言か……しかし嬉しいものだねぇ、夢の中でも俺と訓練してる感じか……。
……仕方ない、上の寝間着は脱ぐしかなさそうだ。)
流石に寝間着を引っ張っているアイリスを起こすわけにはいかないために、レベリオは上の寝間着を脱いで部屋を出て、別室で魔力を扱う肉体強化と魔力回路の強化をすることになった。
ブシン祭から1年半目。
そろそろレベリオの旅が終わる頃……
アイリス「――――――はぁあっ!!!」
アイリスが、魔力を込めた『黒鉄の剣』をミスリル製の的目掛けて突き出した。
すると彼女の剣先から、魔力で出来た赤い光の剣の刃が射出され、30m離れたミスリル製の的をギリギリだが貫通する。
これは短いながらレベリオの訓練による、魔力を扱う肉体強化、魔力回路の強化、魔力のコントロールの成果であった。
ちなみにアイリスが持っている『黒鉄の剣』は、レベリオが『雪狐商会』で購入した後、さらに剣の内部にスライムを少量注入した為、彼が購入し、名前を与えた黒鉄の剣『アパラージタ』より魔力伝達率が高い。
レベリオ(こっちで独自に作ったミスリル製の的を、ギリギリとはいえ貫けるようになったか……やはり、魔力関連の修行方法を教えておけばアイリスは伸びると思った)
「ほう、この距離からミスリル製の的を貫けるようになるか……」
アイリス「どうですレベリオ君、少しは私も強くなりましたよね?」
レベリオ「ですね、ほんの少しだけ。
じゃあ今度はもう少し距離を離すので同じ事をしてみましょうか」
アイリス「えっ?…はい、わかりました」
(やはり、レベリオ君は訓練になると手厳しいですね……)
レベリオが2つ目のミスリル製の的を、アイリスから50m離れた所に設置して彼女の下に戻って来る。
レベリオ「さて、じゃあ今度はこの距離から同じ事をやってみましょうか」
アイリス「……今度はざっと50mと言ったところですか。
では、いきますね」
そして同じ事をやって見るように言われるとアイリスは魔力を籠めた剣を構え、先程と同じくミスリルの的目掛けて剣を突き出す。
すると35m辺りで赤い光の剣の刃が徐々に小さくなり、40m辺りで霧散して消滅してしまう。
「あっ……」
レベリオ「ふむ、やはり30mがギリギリと言った所か」
アイリス「やはり、そう簡単にはいきませんか……」
レベリオ「ですね。
出来ればこれを予備動作なしに、かつ剣に魔力を籠めるのは一瞬で……ねっと!」
そしてレベリオが、予備動作もなしに突然『アパラージタ』をミスリルの的目掛けて剣を突き出す。
するとアイリスよりもかなり速く、赤い光の剣の刃がミスリルの的へと届き貫通して訓練場の壁を貫いていく。
「おっと、やりすぎてしまった」
アイリス(い、今のを予備動作もなく一瞬、しかも訓練場の壁まで突き破った……?)
「…も、もうあんまり驚かなくなってきましたね……レベリオ君を見ても」
レベリオ「何度も言いましたけど、未知の戦法に驚いたり理解出来なかったりで時間をかけてたら、本当に死にますからね」
アイリス「……そうですね。
もしレベリオ君が敵でしたら私は何回死んでいるのでしょうか」
レベリオ「はっはっは。
何回どころじゃないかもしれませんよ?」
アイリス「笑い事じゃありません!
……私の目標が、さらに遠くなった気分ですよ…」
レベリオ「じゃあ、アイリスは訓練やめるの?
『私、負けず嫌いですから』って言ってたのに、あれは嘘だったのかな〜?」
アイリス「……っ!」
レベリオの圧倒的な例を見て少し落ち気味になったアイリスを煽るように彼は語る。
彼女は拳を握りしめ、悔しがるような顔をする。
……が、これも彼の『アイリス強化計画』の内だった。
レベリオ(・・・煽り耐性も上げておかないとね☆
アニメでシャドウに嘲笑されて煽られて、冷静に戦えないんじゃどうしようもない。
ただでさえ実力差が圧倒的だからせめてほんの少しはまともに戦えないと。
あっ、後、驚き?耐性もかな?ただでさえシャドウがスライムソードをスライムバールに変えた時、『ばっ……!?』って驚いてたから)
アイリス「………いいでしょう!レベリオ君!今日は朝になるまで訓練に付き合ってもらいますからね!!
倒れても知りませんよ!!!」
レベリオ「倒れるのはアイリスだと思うけど、その意気いいですね。
じゃあ、今度は魔力回路、肉体強化の成果の確認として、ガチで剣の訓練をしましょうか」
アイリス「望むところです!行きますよ!」
レベリオ(……後1年でこの煽り耐性の無さをどう鍛えようかな……?)
アイリス相手に、その日は朝まで訓練することになったレベリオであった。
ちなみに、日が落ちた頃にアイリスは倒れ、彼女の疲労を『治療魔法』で治した後、本当に朝までやったのは言うまでもない。
魔剣士学園入学まであと1ヶ月
アイリス「あ、あの……レベリオ、君…?」
レベリオ「なんですか?アイリス」
アイリス「い、イメージチェンジですか……?髪の色が変わってるような……。
それに、目の色も少し黒っぽく……まるで、黒紫色に……」
魔剣士学園まであと1ヶ月、アイリスに会いに来ていたレベリオだが、彼の髪の色、そして目の色が黒紫色になっていた。
これは今から1ヶ月前、彼がウルティオとしてシャドウと戦かった事がきっかけである魔力が覚醒し、その影響で彼の髪、そして目の色も黒紫に染まってしまったのである。
元々ルックスも良いため、目の色が前と同じ紫色で、口の右下に黒子があれば、見た目だけならまさに災厄の魔女『アウロラ』の男版である。
アイリスは1ヶ月前から今までレベリオに何があったのか、彼の髪と目の色の変化を指摘する。
流石にシャドウと戦っていた事を話すわけにはいかない、レベリオはこう答える。
レベリオ「とある強敵との戦いでなんかこうなっちゃいました」
アイリス「ええっ!?一体何をどうしたらそうなるんです!?」
レベリオ(事実を述べたけどやはり漠然とし過ぎて納得出来ないか……)
「……まあ取り敢えず、俺もまだまだ強くならないといけないということです。
……約2年、修行の旅をしても、あれだけの強敵に苦戦するのですから」
アイリス「……レベリオ君…一体誰と戦ったのですか……?」
レベリオ「……いずれわかる、そう遠くない未来に……。」
アイリス「………」
レベリオ「……なんて、少し気を重くしてしまいましたね。
折角です、何処か出かけませんか?」
アイリス「え?そ、そうですね……レベリオ君も、もうそろそろ魔剣士学園入学ですし……。
それに、たまには息抜きも大事ですから」
こうして、息抜きという建前で2人はデートをすることになったのであった。
ミドガル王国 ミツゴシ商会の店
アイリス「それにしても凄いですよね、『ミツゴシ商会』は。
色んな物が揃っています」
レベリオ「ああ、衣服や甘い物、何でもござれだな」
アイリス「ただ、珈琲というものがあるのですが、あれをそのまま飲むのは苦くて……」
レベリオ「あぁ、わかる、砂糖とミルク入れるんだよね。
たまに入れる量を少しだけにしてちょっと苦味を抑える程度にして飲むことはありますけど」
アイリス「レベリオ君もでしたか、私もそうなんです。
砂糖とミルクを沢山入れて逆に甘く……」
レベリオ(どれだけ沢山入れてるのか知らないけどそれは珈琲
と言えるのか………)
???「あら?レベリオ様」
レベリオ「ん?あ」
アイリスと一緒に色んな店に回り、今度は『ミツゴシ商会』の店を回っていると、そこに藍色の髪を背筋以上に伸ばし、その髪の色と同じドレスコードを身に纏うエルフがレベリオを見かけて声を掛ける。
彼女の名前はルーナ、『ミツゴシ商会』の会長であり、その正体は《シャドウガーデン》『七陰』の第三席『ガンマ』である。
どうやら彼に気づいてこちらに話しかけて来たようだ。
「久しぶりルーナ、儲かってる?」
ルーナ「はい、レベリオ様が支援してくださったお陰で『ミツゴシ』も大繁盛です」
レベリオ「何を言ってるんだ、俺は創立当初から『ミツゴシ』が新しい事業と、損失が出た時のみ資金面で支援しただけ、後は全部ルーナの手腕がよかったんだろ」
ルーナ「いえ、そのような……」
アイリス「レベリオ君、『ミツゴシ商会』の会長…ルーナさんとお知り合いで?」
レベリオ「知り合いも何も……俺は『ミツゴシ』のパトロンなのよ」
アイリス「ええっ!?そうだったんですか!?」
ルーナ「はい、レベリオ様は『ミツゴシ』創立からずっと経済的に支援していただいているのです。
とはいえ、ご覧の通り繁盛しておりまして、資金援助は緊急時のみとなっておりますが」
アイリス「な、成る程…」
レベリオ「別にそこまで驚く事じゃないでしょアイリス。
まがりなりにも2年前までは《伯爵》、現《侯爵》なんだから、1つや2つの団体を支援してる事はよくあるって」
(お父様も数年前から『雪狐商会』のパトロンになってたからなぁ)
レベリオはルーナことガンマが『ミツゴシ』創立から今までの事を思い出していた。
ガンマが如何に利益を出せるデータを揃えて想定通りの利益を稼げるかどうか未知の領域に踏み込んで、その新しい事業と、万一損失が出ても彼が資金面で全てバックアップしていた。
最も損失は滅多に出ることは無く、彼女の想定通りに利益を出せている事が殆どの為そこまで支援に金は使用していない。
こういった所は流石ガンマ、原作通りの彼女の才覚あってのものだろう。
また、原作にて『ミツゴシ』の利益がイータの研究費に使われる事が多々あったが、そこもレベリオが支援することで『ミツゴシ』の利益をある程度守っている。
寧ろ『ミツゴシ』の支援よりもイータの研究費でレベリオが支援してる事の方が多い。
尚、これが原因でイータがさらにレベリオに甘えてくるのは言うまでもない。
後はレベリオの訓練で運動音痴はほぼ解消されたものの、戦闘センスさえどうにか出来れば間違いなく『七陰』の中で上位の実力になる。
流石に戦闘センスは彼ではどうしようもない為、ある戦闘技術をガンマに吹き込んで教えてそこはカバーしているものの、それでもゼータに匹敵する程度で彼女には勝てない。
閑話休題
それからしばらく、ルーナからオススメの甘い物を勧められたアイリスが多数購入したり、レベリオが新しい衣服を購入しつつもルーナと雑談しながら、1時間を過ごしていた。
そして店を出てしばらく歩いていると……。
アイリス「…レベリオ君…?」
レベリオ「ん?どうしたの?アイリス?」
アイリスが、少しご機嫌斜めな顔でこちらを見て話しかける。
アイリス「レベリオ君は……その……ルーナさんみたいな方がいいのですか…?」
レベリオ「え?ルーナみたいって?」
アイリス「ですから、その…箱入りの王女である私なんかよりも、ルーナさんの方がいいのかと……。
彼女と話をしてる時、かなり仲良さそうでしたし……しかも、一緒に踊った仲だとか…」
レベリオ「ああ、彼女とはあくまでも商会の会長とそのパトロンという関係だけですよ。
彼女と踊っていたのも、貴族達の集まりの時だけですし」
(ガンマが好きなのはシャドウ……シドの筈だからな……うん、アルファは俺が好きなのは判るけど、『七陰』の大半は『シャドウ』スキー❨好き❩になってる筈)
アイリス「……本当ですか?」
レベリオ「ええ、本当です」
アイリス「では……その……証明、してください…」
アイリスが自身の不安をレベリオに取り除いて貰うかのように目を閉じる。
彼女のその行動は即ち………
レベリオ「んっ……チュ……」
アイリス「チュッ……んんっ……」
キスの合図であった。
夜に行為をする時もこうして目を閉じて彼女とキスをすることはよくある話だ。
というか、互いに目を開けた状態でするのは早々ない。
そこはまだまだアイリスが初心な故であろう。
「んっ……レベリオ君……もっと……ンチュ……」
レベリオ「いいよ、アイリスが望むなら……」
公共の場であるにも関わらず、2人は互いに暫く唇を重ね続けていた。
side ガンマ
ミツゴシ商会のとある部屋
ガンマ「……ウルティオ様の作戦というのは判ってはいるのですが……」
一方、ミツゴシ商会のとある部屋にて、ガンマが1人商会の売り上げを確認しながら、陰を含むような表情をしていた。
その原因は勿論、『ミツゴシ』店内でイチャつき気味になっていたレベリオとアイリスを見たからである。
彼が何らかの作戦で『ブシン祭』に優勝してアイリスの婚約者となり、周りから怪しまれないように彼女と深い関わりになっているのは理解出来る。
※旅の条件が『ブシン祭』優勝だっただけです。
だが……
「……嗚呼、ウルティオ様……失礼ながら、その愛情をどうか私にも……」
レベリオによって歩行、走行訓練を施されて転ばなくなり、挙げ句の果てに新しい戦術の訓練として幼年時代彼と舞踏の如く踊り続けた彼女にとっては耐え難い事であった。
そう、ガンマは彼に愛情を向けていたのであった。
レベリオの知らない所で………。
レベリオ・ヴェンデッタ
旅の合間にアイリスの約束を活用して絶賛アイリス強化訓練している紫の瞳の転生者オリ主。
※魔剣士学園入学まであと1ヶ月の所では髪の色と瞳の色が黒紫色になっている、髪の色がもうアウロラと同じなのね
アイリスとの約束で旅の途中に1ヶ月に1回帰省しては彼女に魔力での肉体、魔力回路の強化及び改造、魔力のコントロールの鍛錬を主に教えている。
ちなみに、少しずつアレやコレをして既に彼女とやることはヤッてる。
この節操なしめ、どうやら原作通りに行くつもりのようだが、もし原作変更お構い無しのつもりだったらアレクシアとも……。
レベリオ「やめい」
余談だが、アイリスとラムダに『赤』の魔力を、アルファとアンネローゼに『青』の魔力をそれぞれ極限まで渡している。
さらに彼が最強と言う言葉に興味もなく、嫌いというのはアレクシアにも言った通り、強さに天井と言うものはなく、彼にとっての最強とは『古の時代に生きて、1番強かった人間が勝手に決めた【限界】という言葉そのもの』だと思っている。
アイリス・ミドガル
ブシン祭終了直後にレベリオに旅の条件として1ヶ月に1度会いに来るように約束させ、約束の日に彼と訓練したりデートしたり同棲したりナニしたりと大人の階段上りまくりのオリ主ヒロイン候補キャラ。
当然、初同棲では顔真っ赤になりまくりで彼とナニをするのもブシン祭8ヶ月目と日にちがかかった。
レベリオの魔剣士学園入学3ヶ月前まで1ヶ月に1度しか会ってない為にブシン祭終了から1年半後に『驚き、煽り耐性上昇の訓練』の一環として挑発されたことで自身の『負けず嫌い』を刺激されヒートアップしたことで朝まで訓練することになった。
※ガチです
この様な事があってもレベリオの事は大事な師匠兼恋人兼超えるべき目標だと認識している。
(まあ、レベリオから『赤』の魔力しか渡されてないんで超えられる日は……来ないですね❨酷い❩)
アレクシア・ミドガル
レベリオがアイリスに会う日を狙って彼の悪性部分を探ろうとした、後にある人物と出会って精神面で大きく成長するキャラ
レベリオとそれなりに関わりを持ち会話をするのだが、彼が彼女と親しくし過ぎると原作から外れる可能性を忌避してブシン祭から7ヶ月目に本人から「自分ではアレクシアを遥かに超える『凡人の剣』を見せることは出来ない。
でもいつか必ず、君よりも遥かに強い『凡人の剣』の使い手と君は出会うことになる」と告げられた事で何のことだかと思いつつ記憶に残していく。
そのため大して期待しないまま、自身の『凡人の剣』に大しての嫌悪感は少し残ったままとなった。
レベリオ「おいおい、ヒロインじゃないからってこんな解説だけでいいのか……?」
ガンマ
※『ミツゴシ商会』ではルーナ
『ミツゴシ商会』会長にして《シャドウガーデン》の『七陰』第三席、さらにレベリオの知らない所で彼のヒロイン候補になりつつあるキャラ。
幼年時代、シドからはその運動音痴っぷりに彼から『魔力をいっぱい込めて叩き斬れ』というかなり雑な指導をされてしまうも、レベリオによってまずは度重なる歩行、走行訓練をされて走らなくても転ばなくなるようになった。
その後は新たな戦術として彼と舞踏会で踊るような踊りをすることとなって彼女の戦闘スタイルが2種類になり、スライムの大太刀で原作通りの『シュシュシュシュ……!』斬りの戦闘スタイルとスライムダガー二刀流での戦闘スタイルとなった。
※レベリオ自身が手数の多さを好むというのもあって後者の戦闘スタイルを教えこんだ。
これにより原作と比べて戦闘能力は向上したものの、戦闘センスの無さは相変わらず故にデルタやゼータといい勝負は出来ても勝つには至らない。
幼年時代彼と長らく舞踏会等で踊るような踊りを踊っていた事から彼に対してシドよりも好意を向けている。
また、『ミツゴシ商会』設立当初、店に寄ったレベリオから「ここでは売り買いする関係、故にちゃんと店の人、客として接しないと怪しまれる」と言われてちゃんとした考えだと理解しての上で彼からしっかりとお代を頂いている。
※流石に裏で割引はさせてくださいと彼女は言ってレベリオも渋々同意してるが、大半はイータの研究費に当ててやれと彼に言われている。