転生したら陰実の世界にいた件   作:リベリオンβ

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Pixivに投稿したのより、少しだけ、ほんの少しオリ主のセリフを盛っています。

そして、面白いと思った方、是非とも高評価宜しくお願いしまっす!


殴って斬って、飲ませて遊んで、最後は…?

 

 

ゼノンとアレクシアの前に……2人の漆黒のロングコートを纏う……『シャドウ』と『ウルティオ』とそれぞれ名乗る者が現れた。

 

ゼノンとアレクシアは、その2人を見てそれぞれ口を開く。

 

 

 

アレクシア「シャドウ……?ウルティオ……?」

 

ゼノン「漆黒を纏いし2人組……。

成る程、君達が近頃教団に噛みついてくる野良犬共か」

 

ウルティオ「『教団』の飼犬如きに犬って言われたくないんだけど。

あ、そうだ、ラウンズ第五席のフェンリルは元気ー?お前はラウンズの第十二席目を狙っているようだが、今はアイツの部下だろ?」

 

ゼノン「……!」

 

 

 

歩いてシャドウとゼノンの間に入ったウルティオが言い放った『ラウンズ第五席』という単語を聞いてゼノンは顔には出さないものの驚いていた。

 

元々《シャドウガーデン》の事は聞いていた、特に『ウルティオ』という男は幹部を殺す直前に『ラウンズ』という単語を口にしていたと部下から報告を受けていた。

 

故に『ラウンズ』という単語だけなら驚くことはなかったが、『第五席』と、フェンリルの席まで知っていること、そしてまるでフェンリル本人に“会っていた”かの様に物を言って聞かせている彼にゼノンは少し驚いていたのである。

 

 

 

「……そこまで知っているとは。

でもその様子だと『教団』の主力がいる拠点は見つかっていないようだね、だからこそ小規模拠点を潰していい気になっているだけ……違うかな?」

 

ウルティオ「えっ?じゃあ今からリンドブルムかオリアナ王国、どっちかに行ってもいーい?

第十一席の『ジャック』……第九席の『モードレッド』……どっちかの斬った生首を君に見せてあげてもいーよー?」

 

ゼノン「なっ……!?」

アレクシア「!?」

(オリアナ王国と言えば、ローズ先輩の……!?

……いいえ、それよりも、この癖のある、緩い喋り方は……)

シャドウ(え?待って?そんな如何にも強くて悪そうな名前の盗賊の居場所知ってるなら教えて欲しかったんだけど?レベリオ?)

 

 

 

ゼノンの挑発じみた言葉を同じく挑発じみた言葉で返したウルティオの発言にゼノンとアレクシア、そして内心ではあるもののシャドウも

驚愕した。

 

ゼノンは当然、そこまで『ラウンズ』の情報を知っているのかということに。

 

アレクシアはウルティオから『オリアナ王国』という、ローズが住んでいた国の名前が出たことに。

 

シャドウはシャドウで、ウルティオが強くて悪そうな盗賊の名前と居場所を知っていることにである。

※シャドウは『教団』が実在してることを知りません

 

しかも、アレクシアはウルティオの癖のある緩い喋り方に、少し思い当たる所を見つけていた。

 

驚きつつもゼノンは自分に勝てると思っているのかと不敵に笑いながら剣を構える。

 

 

 

ゼノン「クックック……やれるものならやってみるといい。

君達は私には勝てないのだからっ!」

 

 

 

そうしてゼノンがウルティオ目掛けて、アレクシアと戦った時よりも比にならない程の速い剣を振るう。

 

が、その剣は彼に当たることなく、彼を斬る筈だったゼノンの剣が空を斬る。

 

 

 

「なっ!?」

 

ウルティオ「立てる?アレクシア王女?」

 

アレクシア「え?ええ……」

(ゼノンの剣を避けて一瞬で私の所に移動した……!?)

 

ゼノン「!?いつの間に!?」

(私の剣を避けただけじゃなくアレクシアの傍に!?)

 

シャドウ「……フッ」

 

 

 

そして当のウルティオはいつの間にかアレクシアの傍にいて、彼女に手を差し出していた。

 

ただ剣を避けただけでなく、一瞬にして彼女の所へ移動したその事実にゼノンは衝撃を受けていた。

 

シャドウは「あの程度の剣速なら避けて当然だ」の如く鼻で笑っていた。

 

アレクシアはウルティオの手を取って、彼と一緒に下水から上がる。

 

 

 

ゼノン「勝手な真似はさせないよ!」

 

ウルティオ「……やれやれ……」

 

 

 

斬るのが避けられるなら突きだと判断したゼノンはウルティオ目掛けて今放てる最速の突きを放つ。

 

うーんなんだその鈍さは、そんなもん、指2本で充分なんだよ。

 

俺は左手の人差し指と中指で、その剣の切先を挟んで受け止める。

 

別になる気はないけど、この方が『陰の実力者』っぽいだろ?

 

戦いは全部シャドウに任せて、俺は少し遊ぶつもりだったが、こっちに仕掛けるんじゃしょうがないよね。

 

 

 

ゼノン「ば、馬鹿なっ!?」

 

アレクシア「ゆ、指で……挟んで受け止めた!?」

 

シャドウ(えー、レベリオずるーい、ならないって言ってたくせに僕より『陰の実力者』っぽくなってるじゃん。

まあこっちに手を出してこないゼノン先生がいけないんだけど)

 

ウルティオ「フン」

 

ゼノン「っ!?引っ張られっ!?」

 

 

 

ゼノンの剣を指で挟んで受け止めた後、直ぐ様ウルティオは剣を握って強く引っ張りゼノンを引き寄せる。

 

そして素早く剣を握った手を離して左手で拳を作りゼノンの顔を裏拳で殴り飛ばした。

 

右手で取ったアレクシアの手を離すことなくだ。

 

彼はそのまま少し前のアレクシアの様に、シャドウから近い位置の下水に身体を突っ込んだ。

 

 

 

「ガハッ!?」

 

アレクシア(嘘……剣を引っ張って引き寄せて、すぐに反撃した……!?

この人……強い!)

 

ウルティオ「……(のろ)いな、剣を使うまでもない。

その程度じゃ全力を出したところで、程度が知れている」

 

ゼノン「ぐぅっ…!この私が鈍いだと……!?」

 

ウルティオ「あぁそうだ。

……それより、俺にだけ意識を向けている場合じゃあ…ないんじゃないか?」

 

ゼノン「何……!?」

 

シャドウ「我の存在を忘れてはいないか?」

(やれやれ、やっと僕の出番だよ、余っ程レベリオと戦いたかったんだね)

 

ゼノン「くっ……!?」

 

ウルティオ「あぁ安心して、俺からは基本手を出さないから。

2対1じゃ卑怯だし、何より隙を見てアレクシア王女攫われても困るし」

 

ゼノン「舐めた事を……!

(シャドウに向き直る)

いいだろう、ならまずは貴様からだッ!

相方が1度剣を受け止めたくらいでいい気になるなっ!」

 

アレクシア「……離して」

 

ウルティオ「ん?ああすまん。

それより見ているといい、君よりも圧倒的に強く、美しい『凡人の剣』を」

 

アレクシア「…え?」

 

 

 

俺からそう告げられたアレクシアは、共にシャドウvsゼノンを見る事になる。

 

一方、ゼノンが魔力を底上げしてシャドウに襲いかかりその剣を力任せに斬り続ける。

 

それは俺に放った突きよりも速く重い、これまでに見せなかった、ゼノン・グリフィの全力の連撃。

 

しかしそれらは全てシャドウによって簡単に弾かれる。

 

ゼノンとアレクシアからは表情は見えないが、シャドウの身体全体から余裕の雰囲気を感じ取れる。

 

まあウルティオが指で簡単に受け止められるならこんなものだろうと、シャドウは思っていた。

 

 

 

シャドウ「軽いな、次期ラウンズの剣はこの程度か?」

 

ゼノン「な、なんだとっ!?」

 

シャドウ「その様子では、どうやら本当にこの程度らしい、残念だ」

 

ゼノン「舐めるなァァァァァァア!!!」

 

ウルティオ(お?まだドーピングド◯ッグは使わないのか?それとも余程目の前に起きてる現実が信じられないのか?)

 

 

 

ゼノンが咆哮と共にシャドウに剣を向け再び襲いかかる。

 

が、その剣は無慈悲にも当たることはない。

 

まさに大人(シャドウ)子供(ゼノン)に稽古を教えているような光景である。

 

アレクシアはその光景を衝撃と共に見ていた。

 

先程ウルティオによって剣を受けとめられ反撃の裏拳を受けて吹っ飛ばされた時もそうだが、未だかつてあのゼノンがこんな姿を晒すことがあっただろうか。

 

今日ここでゼノンが自分に会うまでの仮の自分を全て脱ぎ捨てても尚、ゼノンの剣はシャドウに全く届かない。

 

彼女の姉のアイリスですらも、恐らくここまで圧倒しないだろう。

 

彼女の知ってるレベリオですら、同じ光景は見れるかもしれないがシャドウ程の余裕は見せないと思われる。

 

漆黒の剣と白刃が描くその光景に彼女は魅入っていた。

 

白刃を圧倒せし漆黒の剣に魅入られ、目が離せないでいた、何故ならそれは………。

 

 

 

アレクシア「……『凡人の剣』……」

 

 

 

先程ウルティオが言った、アレクシアの剣の、その先の姿だからである。

 

自分よりも圧倒的に先に行っている『凡人の剣』が、彼女から見て天才であろうゼノンを圧倒していた。

 

そしてシャドウから始めて放った剣が、ゼノンの身体を捉える。

 

 

 

ゼノン「がっっっっ!」

 

 

 

ゼノンは傷を抑え膝をつく。

 

そして荒い息を吐きながらシャドウを睨みつける。

 

彼のその瞳はこの現実を受け入れられずにいた。

 

 

 

「き、貴様ら……!一体何者だ……!

それだけの強さがありながら、何故正体を隠す!」

 

 

 

シャドウとウルティオ、この2人の強さなら富も名誉も思うがまま。

 

下手をすれば『教団』を潰す可能性を秘めているかもしれない程。

 

しかし《シャドウガーデン》の人間以外、誰もシャドウの剣を知らない。

 

ウルティオに至っては剣すら抜いていないにも関わらず、ゼノンの突きを指で挟んで受け止める程の強さである。

 

剣を持ってない為ウルティオの剣は知らなくて当然だが、シャドウの剣は1度でも見れば、例え顔を隠していてもその剣筋を忘れることはない。

 

が、ゼノンもアレクシアも、これ程の強さを持ち、これ程の剣を使う存在を今日初めて知った。

 

 

 

シャドウ&ウルティオ

「「我らは《シャドウガーデン》」」

 

シャドウ「陰に潜み、陰を狩る者」

ウルティオ「陰より現れ、他の陰を殲滅せし者」

 

シャドウ&ウルティオ

「「我らはただ、その為だけにある」」

 

ゼノン「――!?正気か、貴様らッ…!」

 

ウルティオ「ていうかさ、『ラウンズ』も似たようなモンじゃね?

だからこそ、1つの一派の小規模拠点を集中攻撃してるわけ。

君を含めたフェンリル派の奴らの企みを全て潰せば、フェンリルの『ラウンズ』の地位はガタ落ち。

そうなればいやでもフェンリルは出てくる、名誉挽回の一発逆転の為に、ね?」

 

ゼノン「―――――――!?」

 

シャドウ(最初はたまに出てくる中ボスを倒しながら弱い奴を倒していって、本命の強い奴を炙り出すやつだね)

 

 

 

シャドウとウルティオの正気とも言えないような言葉を聞いたゼノン。

 

そんな彼に俺はダメ押しするようにものを言う。

 

これまで同じフェンリル派の小規模拠点を潰していたのはそういう事だったのかと、この時初めてゼノンは理解していた。

 

ゼノンがシャドウとウルティオにそれぞれ視線を向けていく。

 

 

 

アレクシア「『教団』は少し聞いてたけど……シャドウガーデン……?」

 

ウルティオ「ひそひそ……」

(数年前、シャドウと俺、そして今この場にはいないがアルファの3人で作った、『教団』に対抗する為の組織だ)

 

アレクシア「!」

 

 

 

蚊帳の外に置かれていたアレクシアにこっそり説明をする。

 

いくつかキーワードは聞いていたが、もし彼の言う事が本当なら、世界の裏側でとんでもない事が起きているのは間違いない。

 

シャドウの剣、『シャドウガーデン』と『教団』それも気になったが、やはりアレクシアは先程からウルティオの声を聞いて何か引っかかっていた。

 

 

 

アレクシア(ウルティオのこの声……低いけど、まさか………)

 

ゼノン「……いいだろう。

貴様らが本気だと言うのなら、私もそれに応えようじゃないか」

 

ウルティオ(来るか?ドーピングド◯ッグ!

大体飲まれる前に盗んでばっかだったから、飲んだ所見た事ないんだよなぁ。

ていうか貴様らって言ってるけど俺は手を出してきたから応戦しただけ、今戦ってるのはシャドウじゃん)

 

 

 

ゼノンが懐から赤い錠剤が入った瓶を取り出す。

 

ようやく飲む所を見られるのかとウルティオはわざとらしくわくわくしていた。

 

 

 

ゼノン「これによって、人は人を超えた『覚醒者』となる。

常人が使えば、その圧倒的な力に耐えきれず、死に至るが……」

 

ウルティオ(おっ!飲んだ飲んだ!)

 

 

 

そして一気にその錠剤を飲みほしていった。

 

するとアレクシアに斬られた頬の傷も、ウルティオに殴られた傷も、シャドウから受けた傷も全て一瞬で治り、彼の身体から魔力が暴風の如く吹き荒れ、筋肉は締まり、瞳は充血し、毛細血管が浮き出る。

 

先程までのゼノンのスマートな体系が一気に醜いゴリマッチョメンの如き体系となってしまった。

 

 

 

ゼノン「『覚醒者3rd』……。

この力を制御出来る者こそが選ばれし者!ラウンズの資格を得るのだ!!!」

 

ウルティオ(………俺の知る限り、その薬に頼るラウンズなんて見た事も聞いた事もないんだけどなぁ)

 

ゼノン「最強の力を……見せてやろう!!!」

 

 

 

内心ゼノンの言葉にウルティオが呆れながらも、ゼノンが三度シャドウに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ(分身体)

 

 

 

 

レベリオ「ふっ!」

 

デルタ「ぎゃん!?」

 

 

 

一方、『レベリオ・ヴェンデッタ』とデルタの戦闘してる場所……。

 

そこでは、ウルティオとしての力を出していないものの、デルタに対して分身体のレベリオが少し優勢に戦っていた。

 

最初こちらは加減していたものの、デルタもウルティオと何度も訓練していて理解しているのか、彼女は普段と違って極力大振りな攻撃はせずに人体で避けにくい箇所を次々と小刻みに狙って攻撃していた。

 

にも関わらず分身体のレベリオは、スライムが使えず、『赤』の魔力しか使えない状況下で、そこまで本気を出さないように、デルタの攻撃をしっかり避けながら戦っていた。

 

如何に戦い方を変えても、デルタの攻撃は単純、しかもその戦い方は俺が教えたものだ、教えた通りにやるだけではアルファや俺、シャドウには到底勝てない。

 

 

 

「くぅう……!」

(やっぱり、ウルティオ様は強いのです!しかも、少し疲れてるように見えますが、あれは演技なのです!)

 

レベリオ「ふぅ……」

 

ウルティオA「ふむ……」

(……避難はまだか?アルファ?ベータ?ガンマ?イプシロン?)

 

デルタ「ギャウゥゥゥウ!!!」

 

レベリオ「まだやるか……!」

(急いでくれよ、4人とも……!)

 

 

 

デルタの爪が振るわれ、彼女の体術が繰り出されるもレベリオはそれらを全て避けていく。

 

レベリオの自作自演が起こした戦いは、まだまだ続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ウルティオ

 

 

 

一方、地下水道にて、シャドウが赤い錠剤を飲みまくって肉体と魔力を大幅に上げたゼノンを……フルボッコにしていた。

 

俺とアレクシアはそれをただ見てるだけである。

 

俺はまだ動く時ではないと思っていた。

 

 

 

ゼノン「ぐっ……くそっ……!」

 

ウルティオ(あーあ、何が最強の力だか、魔力を大きくし、その魔力で肉体を急激に強化しただけで全然扱いこなせてないじゃん。

これならまだドーピングド◯ッグ飲む前の方がマシ……ってどっちも一緒か)

 

ゼノン「うぐっ!がはぁっ!?」

 

 

 

シャドウの武術の連撃を受け、ゼノンは倒れ伏す。

 

倒れ伏した彼にシャドウは容赦なく追撃をかける。

 

 

 

シャドウ「『借り物の力』で最強に至る道は……ないっ!」

 

ゼノン「ぐはぁっ!?

………!?」

 

 

 

踵落としがゼノンの身体に直撃する。

 

それとほぼ同時、これまで殆ど使っていなかったシャドウの魔力が高まり、地下水道全体が彼の魔力の色に染まっていく。

 

その超緻密な魔力に青紫の線が多数表した。

 

細い、細い、幾筋の線。

 

それが稲妻のように、血管のように彼を取り巻き、美しき光の模様を描いていた。

 

いや、ちょっと待てやコラ。

 

何勢い余って『アレ』を使おうとしてんだよ!

 

まだ合図送ってねーよ!?

 

馬鹿たれっ!

 

ばかたれぇぇぇぇぇぇぇえ!!?

 

 

 

 

シャドウ「遊びは終わりだ」

 

ウルティオ(……何が、『遊びは終わりだ』だぁぁぁぁあ!?

待て待て待て待て!?まだ合図出してないのに使おうとしてんじゃねーよ!?)

 

アレクシア「―――!」

 

ゼノン「なんだ、これは……!?

これが魔力なのか!?だが、こんな……個人の魔力でこんな……!?」

 

ウルティオ(待てぇー!?おぉいー!?

今まだそれを放たれるわけにはいかないんだって!?)

 

 

 

シャドウが「かつて核に挑んだ男がいた」の話をしている最中、ウルティオはシャドウの『アレ』を今撃たせては不味いと思った。

 

まだ地上にいる分身体から完全避難の報告を受けていないからである。

 

それが受けていない以上、今シャドウが『アレ』を放ったら死者が出るかもしれない。

 

故に、今それを放たれるわけにはいかないのだ!

 

 

 

ゼノン「クッ、この―――――」

 

「狂人がァァァァァァア!!!」

ウルティオ(バカがァァァァァァア!!!)

 

 

 

ウルティオが内心叫び、ゼノンが叫びながら剣を振るうと、その剣はいとも簡単に砕かれた。

 

これによりゼノンは戦意喪失しへたり込む、そしてシャドウが剣を掲げる。

 

 

 

シャドウ「真の最強を、その身に刻め。

これぞ我が最強……」

 

ウルティオ(じゃねーよ!?今放たれるわけにはいかねーんだよこの大馬鹿!?しゃーない……!戦った時に防ぐことは出来た、だが抑えて留められるか……!?やるしかない!)

 

アレクシア「あ、貴方……何を……!?」

 

 

 

ウルティオはシャドウの『アレ』を止めるべく、黒紫色の魔力を超高速で、練り込む。

 

魔力の練る速度を急激に速めて使う、これが、かつてシャドウと戦った時、黒紫色の魔力を覚醒させ、それを扱い自分に関わる全ての現象の『超加速』を可能とした、今の彼の力の1つである。

 

アレクシアもウルティオの方を見て、彼もまた魔力を練っての同時攻撃をしようとしているのか、それとも別の手段があるのか、判らずだった。

 

そんな彼女の内心など知らず、ウルティオはシャドウを止めるべく更に魔力を練り出す。

 

その魔力はシャドウと違って、地下水道にその色を染めることはない、彼の目的はあくまでシャドウが放とうとしている技を阻止するためだ。

 

 

 

シャドウ「アイ……、アム……」

 

ウルティオ(よし……!いける!) 

 

シャドウ「……アトミ―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルティオ「『球体拘束(スフィア・ロック)』!!!」

 

シャドウ「―――ック?」

(え?ちょっ、レベリオ待っ――――――――)

 

 

 

それは、シャドウにとっては予想GUYの展開。

 

彼の周りに、ウルティオが放った魔力の球体が出現した。

 

同時に地下水道全体を照らしたシャドウの青紫色の魔力の光が、球体内部以外消えていく。

 

そして、シャドウは既に技を放つ直前、故に今更止めることは出来ない。

 

 

 

 

 

ドゴオォォォォォォオン!!!

 

 

 

 

 

ゼノン「くうっ!?」

 

アレクシア「きゃあっ!?」

 

ウルティオ「んぎぎぎぎぎぎぎ……!!!」

(この……このっ!勢い馬鹿があぁぁぁぁぁぁあ!!!)

 

 

 

ウルティオは必死にシャドウの周囲に展開した魔力の球体、『球体拘束』を維持し、シャドウの究極奥義『アイ・アム・アトミック』を、98%抑え留めたのであった。

 

残りの2%の、攻撃の衝撃が風となりゼノンとアレクシアに向けて吹き荒ぶ。

 

『アイ・アム・アトミック』は迎撃技として作られたとはいえ……シャドウは今の自分の技で少しダメージを受けていた。

 

究極奥義の技の威力がほぼ全て『球体拘束』で押し留められた故である。

 

 

 

「はぁ〜………」

(今のでえらい魔力使わされた……防いだ時の何倍もだ……クソッタレ……。

防ぐよりも抑え留めるのかなりキツイんだよ、全力じゃなくてこれなんだから恐れ入る……)

 

シャドウ「うぉお……な、何をする、我が相棒……?」

(まさか、自分の技を本体の自分で喰らう日が来るなんて……)

 

 

 

 

ブチン

 

 

 

 

それを聞いた途端俺の堪忍袋がブチ切れた。

 

誰のせいでこんな事をしていると思っているのかねぇ!?

 

もう、ブチ切れよ?

 

ガチで!!!

 

瞬時にシャドウの傍に移動する。

 

 

 

ウルティオ「何をする、じゃねーわ!!この勢い馬鹿がー!!!」

 

シャドウ「あだっ!?」

 

 

 

俺は魔力を込めた拳をシャドウの頭の頂点にぶつける。

 

シャドウにとっては余りに想定外を突かれ、その直撃を避けきれずに受けてしまい、素の声が出てしまう。

 

その光景にゼノンとアレクシアが呆然と見つめていた。

 

 

 

ウルティオ「まだ合図出してないのになんでそれを使うんじゃあ!?あのドーピングバカはどーでもいーが、地上にいる人間の何人か死ぬかもしれないんだぞ!?避難完了の合図くらい待てっ!」

 

シャドウ「フッ、つい勢いで、な……」

(あー、そういえばここに来る途中そんな事言ってたねー。

すっかり忘れてたよ、ゼノンがこれで最強って言うもんだから、つい、って言ったらもっと怒りそうだから黙っておこう)

 

ウルティオ「はぁ…まあいい。

遊びはもういいってんなら俺にも遊ばせろ、まだ地上の避難は完了してないんだからな」

 

シャドウ「好きにするがいい、我はもう遊ぶ気にならん」

(はぁ……しょーがない、か。

話を忘れてた僕がいけないし……嗚呼、そのせいで『陰の実力者』ムーブが綺麗に決まらなかった〜!!!

ちゃんと話聞いとけばよかった……)(´・ω・`)

※自業自得

 

ウルティオ「よし…結構魔力を消費したが……弄ぶくらいわけはない。

さあ、蹂躙を始めようか」

 

アレクシア(……あれ?ウルティオの声が変わった……?

しかも、この声……)

 

 

 

そうして俺はスライムロングコートから安物のミスリルの剣を取り出してゼノンに投げつける。

 

これは『教団』の1人を殺した後奪っていった物だ。

 

ゼノンの剣はシャドウに斬ろうとした時に折れてしまったのだから、無抵抗で蹂躙しても面白くないもんね☆

 

そして蹂躙の開始宣言を、声を変えてするウルティオ。

 

アレクシアはその声に既知感を感じていた。

 

 

 

ゼノン「ぐっ……何のつもりだ…!?」

 

ウルティオ「死にたくなけりゃあ足掻いてみせろってことだ。

……貴様は最強なのだろう?ならその力を示してみるといい」

 

ゼノン「ぬかせえぇぇぇぇえ!!!」

 

シャドウ(さて……レベリオ、今度はどんな蹂躙をする気かな……?

なーんか声まで変えちゃってるけど)

 

 

 

ウルティオの投げた剣を拾ってゼノンは彼に斬りかかる。

 

俺はそれを避けたり振るわれる剣を素手で弾いたりしていく。

 

確かにゼノンの力と速さと魔力はしっかり上がっているが、俺やシャドウから見ればその分攻撃が単調になってしまっている。

 

自分よりも遥かに強い存在を信じられないという精神的ダメージというのもあるだろう。

 

悲しいかな、いくら早くなってもそんな単調で感情剥き出しの攻撃では俺等に傷1つつけられねぇ!足りねぇんだよぉ技術がぁ!

 

何なら『超加速』を生かした俺の剣を味あわせたいわ!

 

と、内心思いながら反撃の拳をゼノンにぶちかます。

 

 

 

ゼノン「がっ!」

 

ウルティオ「よっと……さてさて、君に1つ質問だ」

 

ゼノン「うぅ……!?」

 

 

 

倒れたゼノンに馬乗りになり、俺は質問する。

 

 

 

ウルティオ「さっき飲んだ君の錠剤だが……もしかして、もっと飲めば強くなったりするかね?」

 

シャドウ(……ん?レベリオ何を言ってるんだ?)

 

ゼノン「くっ……!当たり前だ!あの量よりももっとあれば……!貴様ら等よりも遥かに強い!最強の力を得られる!!!」

 

ウルティオ「そうかそうか。

なら、私がその錠剤をたんと与えてやろう」

 

アレクシア「なっ…!?えぇ…!?」

 

 

 

ゼノンからの返答を聞くと、ウルティオはスライムロングコートから、ゼノンが飲んていた錠剤の瓶を2つ取り出す。

 

これらはいずれも旅の途中やらシャドウや『七陰』の皆と共に『教団』を潰して回り、オルバやゼノンと同じ幹部からぶん取った物だ。

 

その粗悪品っぷりにイータは科学への冒涜などと言っている程、結局かつてクレアが誘拐された時に渡して実験してそれ程日が立たない内にすぐ用済みとなった。

 

後に彼女がこの薬に代わる新たな薬を開発、捕えた『教団』の構成員やその他の闇の組織の人間を次々と実験台にしていっては、その実験台となった者が用済みとなった途端に大抵デルタが殺るというのは定番である。

 

成功だろうが失敗だろうが元より強くはなっているので始末に困る、その為暇を持て余し、尚且つ狩りや強い相手を倒すのが好きなデルタに処分を任せている。

 

ウルティオが持っているのは、『教団』幹部から盗んでそのまま保管していた物である。

 

既にこの薬の実験が終わってる上に俺やシャドウは勿論、《シャドウガーデン》の人間が飲む事がない以上表に出すことは全く無いからだ。

 

その為相手に飲ませまくって逆にもがき苦しむ姿を見て楽しむ為以外に使うことはない。

 

閑話休題。

 

彼の予想もしない言葉にアレクシアは驚き、シャドウは彼が何をしようとしたか察した。

 

 

 

シャドウ(あ〜成る程、“そういう”蹂躙の仕方か。

これまで同じような奴らからあの錠剤を盗んだのはそういう事か、それを飲んだ相手に更に同じ物を飲ませて逆に苦しめる……レベリオが好きそうなやり方だ。

……あれ?レベリオ『陰の悪役』が似合ってるんじゃないかな?それになってくれれば、常に高みを目指す『陰の実力者』と『陰の悪役』が何度も戦うシチュエーション!うん!これは中々いいんじゃないかな。

うーん、でもそうなると僕の相棒じゃなくなっちゃうか……難しいところだよね、だからレベリオも悩んでるんだ)

※違います

 

ウルティオ「さあ飲むといい、そして手に入れろ、紛い物の『最強』の力を……な!」

 

ゼノン「がぼぼぼぼぼぼぼ!?」

 

アレクシア「なっ!?ちょっと!?何を考えてるのよ!?」

 

ゼノン「がぼぼっ!?うぐっ!?グオォォォォォォ!?」

 

 

 

ゼノンの飲んだ錠剤の瓶2本分の蓋を開けて、それを強引にゼノンに飲ませていく。

 

さあ、どんどん追い詰めてやろうか♪俺の蹂躙はまだまだここからだぜ?

 

この程度飲んだくらいで死んでくれるなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

一方……地上でのレベリオvsデルタ……。

 

自作自演の戦いをしていたレベリオとデルタ、彼は彼女相手に優勢に立ち回り、徐々に消耗させていった。

 

 

 

デルタ「はぁ…はぁ…まだ、まだやれるのです!」

(まだウルティオ様に一撃しか与えられてないのです!)

 

レベリオ「ふぅ……」

(こんな所、かな、デルタの攻撃を躱したと見せかけて当たり、かすり傷を受ける……)

 

分身ウルティオ「デルタを相手にかすり傷、一息つくだけか……流石はレベリオ・ヴェンデッタと言うべきか……ん?」

 

レベリオ「!?」

 

 

 

分身ウルティオがレベリオを称賛すると、フードを被ったベータ、ガンマ、イプシロンが現れた。

 

ここは俺も驚いたフリをした。

 

 

 

ベータ「ウルティオ様、構成員の撤退が完了致しました」

 

イプシロン「あとは主様が決めるだけですわ」

 

ガンマ「その男の実力を図るのはもう充分では……?」

 

分身ウルティオ「確かにな。

……では私は先にポイントCで待つ、後は任せるぞ」

 

 

 

3人からの報告を聞くと、ウルティオが撤退していく。

 

普通の奴なら「待て!」と言う所だが、デルタとほぼ同レベルの相手が3人も現れた、が、俺は言わない。

 

今ここにいる俺は、アイリスの妹アレクシアを助けるただのレベリオ・ヴェンデッタなのだから。

 

そして分身ウルティオを引かせても、この場に『七陰』がいる限り俺の自作自演はまだ終わってないのだ。

 

 

 

デルタ「えー!?もう撤退なのです!?デルタ、まだやれるのです!」

 

ベータ「ウルティオ様が言った事ですよデルタ」

 

ガンマ「そうです、主様とウルティオ様の命令は絶対ですよ」

 

イプシロン「ウルティオ様が今いないから反対してもいいけど、いくらデルタでも私達3人相手には勝てないわよね?」

 

デルタ「ひきょーなのですイプシロン!」

 

アイリス「レベリオ君!」

 

 

 

デルタが駄々をこねていると、レベリオが交戦していると報告を受けていたアイリスが駆けつける。

 

彼女が見ると、彼だけでなく、そこにはアルファと同じボディースーツを着た4人の人物がいた。

 

 

 

レベリオ「アイリス……。

すまん、俺がついていながら、1人死なせてしまった……残りの2人も重症だ……」

 

アイリス「なっ……!?まさか、彼女達が……!?」

 

レベリオ「俺は手を出すなと言ったが、早とちりして指示を無視して突撃した結果この様だ……。

彼女達に落ち度はない」

(こう言わないとアイリスが《シャドウガーデン》に明確に敵意を向けてしまうからな……。

現に重症の騎士2人が俺の指示を無視して突っ込んだのは事実だし)

 

ベータ「その通りです。

そちらから手を出さなければ、我らは『教団』の刺客を殺すだけで済んだ。

そちらの方は理解していた様ですが」

 

アイリス「くっ……!」

 

レベリオ「……俺としては、早い所アレクシアを助けたいんだがな……」

 

ガンマ「ご安心を、我々も後は撤退するだけですので」

 

イプシロン「利害の一致、ですわね。

それでは、ご機嫌よう……」

 

 

 

そうして、ベータとガンマ、デルタとイプシロンも撤収していく。

 

その場に残ったのは、レベリオとアイリスだけとなった。

 

 

 

レベリオ「引いてくれた、か……」

 

アイリス「ウルティオといい……アルファといい、そして彼女達4人……彼らは一体……?」

 

レベリオ「それを考えるのは後にしよう、大分時間を喰った、急がなければ……」

 

アイリス「えっ、レベリオ君!?ちょっと!?」

 

 

 

アイリスをお姫様抱っこして、魔力を練り始める。

 

するとレベリオの背中から、赤い魔力の翼が6枚展開される。

 

ちなみに本来これを使う必要はない、レベリオ・ヴェンデッタとしての自分が飛ぶ為に必要であって、本来ならこんなもんなくても自由に飛べる。

 

 

 

レベリオ「一気に飛ばす、掴まっててくれ」

 

アイリス「まっ―――ひゃあぁ!?」

 

 

 

アイリスをお姫様抱っこしたまま、宙に浮いて飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ウルティオ

 

 

 

 

約3分前……

 

 

 

ゼノン「ガァァァァァァァア!!!」

 

ウルティオ「…フハハハ…!自らが最強と信じた『借り物の力』を過剰摂取した結果、更にその姿を変容していく……見てて醜すぎると思わないか?シャドウ?」

 

シャドウ「ああ、本当に醜い、何故あれを最強と言うのか理解出来ん」

 

アレクシア「あれは……流石に醜すぎるわね……」

 

 

 

ゼノンに錠剤を瓶2本分を一気に飲ませた結果、更に彼の魔力と肉体を強くしていく。

 

全身が更に大きく、黒くなり、血管が物凄く浮き上がり、肩から角が生えたりと、とても元が普通の人間とは言い難いものであった。

 

合計3本分の瓶の錠剤を飲まされたゼノンだが、それでも尚馬乗りになっている俺を退かすことは出来なかった。

 

俺はフード越しの顔に魔力とスライムを使って細工しながら、ゼノンの言葉を待つ。

 

 

 

ゼノン「クソォォォォォオ!!!ナゼダッ!?ナゼキサマヲドカセナイッ!?」

 

ウルティオ(さぁて、そろそろ始めるか、ここからが蹂躙のメインディッシュだ!)

「……嗚呼、何と醜い姿か。

これが、ただひたすらに、最強を目指していた“私”の姿とは……」 

 

ゼノン「!?」

 

アレクシア「え…?この声……!?」

 

シャドウ「成る程、力尽くでは行かない戦法か……悪くない」

(こういう戦わずに、頭を使って相手を叩きのめすのもアリだよね。

相手が使っている物を利用してのカウンター、流石だレベリオ)

 

 

 

今の俺の声に、シャドウはこれから俺が何をするかわかっているかのようなセリフを吐き、残りの2人は驚愕する。

 

 

 

ウルティオ「ああ、そう言えば私やシャドウの正体を何故隠すか、言っていたね。

シャドウは見せられないが……私は違うよ、今見せてあげよう」

 

ゼノン「……ナッ!?」

 

アレクシア「う……嘘……っ!?」

 

 

 

ゼノンとアレクシアが、フードを外したウルティオの顔を見て更なる驚愕の表情を見せる。

 

それは……この騒動が起こる前の『ゼノン・グリフィ』の顔だったからだ。

 

顔の形、目の形や色、輪郭、髪の色、長さまで何もかも、しっかり本人と同じである。

 

フードの中から顔を弄っていたのは、スライムと魔力を使ってゼノンと全く同じ顔、髪にする為だったのだ。

 

 

 

ゼノン「ナッ……!?キッ!キサマハナニモノダアァァァァァ!!!?」

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「何を言ってるんだい?

見ての通り、私は君……ゼノン・グリフィだよ」

(プクク……ッwやっぱりそう反応するよねっw)

 

アレクシア「う、嘘よっ!?だって……ゼノンはそこにいるでしょ!?」

 

シャドウ(うわー、相手の顔と全く同じになれるとか……普通なら持っている潜在魔力でバレバレなんだけど、こういった状況ならアリか)

 

 

 

ゼノンの顔をした俺がゼノンと同じ声で答える。

 

あまりの衝撃的、あり得ない状況でアレクシアは馬乗りされているゼノンに指を指す。

 

先程までいたゼノン・グリフィ……というか、同一人物が2人もいるなどあり得ない話であるからだ。

 

 

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「ああ、正確には……『教団』に入らなかった私と言った方がいいか」

 

ゼノン「ナッ……ナンダトッッッッ!?」

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「『ディアボロス教団』等という臆病な組織に入らずとも……常日頃研鑽を重ね、精進すればこれ程の力が手に入る……。

(錠剤の瓶を取り出す)

こんな紛い物に頼らずともね」

 

ゼノン「アリエナイッ……アリエナイィィィィ!!!」

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「でもどうやら君はアイリス王女や、かの『剣聖』ベアトリクスといった強い存在のせいで、自分で限界を作ってしまったようだ。

だから、かつて自分が目指した最強の目標を偽り『教団』に入ってしまい、本来自分が目指そうとした最強の道を踏み出してしまった……」

 

ゼノン「ヤメロ……!ヤメロッッッ!!ソレイジョウイウナァァァァァァァア!!!」

 

 

 

割と何処にでもある適当な話を並べて俺は言う。

 

平常時のゼノンであれば、自分と全く同じ顔、声を持つ人間相手でも余裕を持って言い返せていただろう。

 

だが俺やシャドウといった自分よりも遥かに強い存在によって、完膚なきまで叩きのめされていた事で彼の余裕は大きく無くしていた。

 

 

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「だがこんな物に頼ってでも強くなりたい気持ちはわかるよ。

君は私で、私は君なんだから」

(まっ、演技で言ってるだけだけどね)

 

シャドウ(だけどそんな簡易的な物で強くはなれないんだよねー。

なれたとしてもそれは一時的な物、すぐに無くなって戦うのがよりつまらなくなる。

レベリオはあくまで演技で言ってるだけ。

そんな物に頼ってまで強くなろうとする人の気持ちなんて理解できないよ、僕もレベリオも)

 

ゼノン「グゥウ……!!!」

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「さぁ…強くなりたいんだったね?もっと飲ませてあげよう」

 

アレクシア「え、待って?それ以上飲ませたら……!?」

(ゼノンの言ってた事が本当なら、確か死ぬ可能性もある筈……!?)

 

ゼノン「ヤメロッッッ!ソレイジョウソレヲノマセルナッッッッ!!!」

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「酷い物言いだな、これを飲み強くなるのを望んだのは君じゃないか。

君は他の強い人間よりも弱い自分を憎み、侮蔑していた。

『教団』の力に縋ってまで、最強という名の幻想を目指した。

だから私が来た、君の望み……最強の力を得るという願望を満たすために、だ」

(割と適当に言ってるけど、今のゼノンには充分効くんだよねこれ。

後、そんな願望、生かして少しでも満たすつもりは1ミリもない)

 

ゼノン「ウソダ……ッ!ワタシハ、ソンナニソレヲノンデツヨクナルノヲノゾンデハイナイ……!

ラウンズニハイッテ……トミモ゙メイヨモオモウガママニシタイト……」

 

 

 

その言葉を聞いて、俺は嘆いた。

 

なんて愚かなやつだ、紛い物の力とはいえ、瓶1本分丸ごと飲んでいたくせに、今更になって怖気づき、保身を、私利私欲を優先したというのか。

 

それでは………何千年生きても、俺やシャドウには勝てない!

 

どうせ果てるなら、最後まで『極限の果て』を目指して果てろ!

 

こういう奴を見ていると、かつて努力するのが無駄と言い訳していた転生前の自分を見ているようでイラッとする。

 

 

 

ゼノン❨ウルティオ❩

「ああ……何という矛盾、限界を超えることを恐れ、私利私欲を優先してしまい、かつて自分が信じて突き進んだ最強への道を大きく踏み外してしまうとは……。

あくまでも今が正しいと言うか、ならばっ……!」

 

 

 

俺は右手でフードを被って、その後左手に持っていた4本目の錠剤が入った瓶の蓋を開けゼノンの口に突っ込ませる。

 

次から次へと、錠剤がゼノンの喉へ通っていく。

 

 

 

ゼノン「ウゴッ!?ヤ、ヤ゛メ゛ロ゛ボボボボボボボボボ!!!!!?!?!?!?

 

ウルティオ「自らが最強と信じた物をさらに口にするといいっ!

良かったなぁ?これでお前はラウンズになった後、そのラウンズの中でもかなり強くなれるぞ?

教団に与えられた力を制御しラウンズになる!貴様が望んだ事だ!

『やめろ』?違うだろう?ここはもっと強くなれると喜ぶところだろうっ!もっと喜べ!!矛盾しているぞっ!!!フハハハハハハハハ!!!!」

 

アレクシア(……この相手によって最悪となる性格、ゼノンの顔を晒す前の声……やっぱり!)

 

シャドウ(おおー4本目、え、確か沢山飲んだら死ぬとか言ってなかったっけ?やめてよ?死んだら『陰の実力者』ムーブ出来なくなっちゃうじゃん?)

 

 

 

ゼノンの顔にした顔をフード越しに元に戻しながら、俺は高笑いする。

 

嗚呼、悪い奴を、罪ある者をこんな風に罰する!何という愉悦感!

 

その愉悦感に浸りながら、ゼノンに錠剤を飲ませながら嗤い続ける。

 

アレクシアは、その様子を見てこちらの正体を感づいたようだ。

 

……ならそろそろおしまいにしよっか、こいつも限界っぽいし。

 

 

 

ゼノン「ヲヲヲヲォォォォォォォォッ!!!

(やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!)

 

ウルティオ「あーあ、更に狂暴になっちゃって、言葉話せるかなぁ?」

 

ゼノン「ウゴオォォォォォォオ!!!

(貴様あぁぁぁぁぁぁあ!!!)

 

ウルティオ「そんな醜い状態になって、まともに喋れなくなる程になってまで強くなりたいだなんて……憐れですねぇ……『ゼノン先生』っ!」

 

ゼノン「ゴッ!?」

(なっ!?)

 

 

 

ゼノンに精神面でトドメを刺す為に俺は『ゼノン先生』と高らかに言う。

 

半日前にも聞いた単語と声を聞いて、ゼノンは全てを察してしまった。

 

目の前にいる男の正体を……。

 

だが、その正体に気づいてももう遅い、ゼノンはもう、人の言葉をまともに喋れなくなってしまったのだから。

 

察した事に意識が向いて、スライムで身体を拘束されたことにゼノンは気づくことはなかった。

 

俺はゼノンをいつもの憐れんだ目で見ながら立ち上がり、アレクシアの傍へと歩く。

 

やはり瓶4本分の錠剤は荷が重すぎたのか、ゼノンは苦しみながら、ウルティオを見て喚く。

 

一方、アレクシアは先程のウルティオの発言によって、その正体に確信がついていた。

 

 

 

アレクシア「・・・」

(やっぱり……ウルティオは……レベリオ君!)

 

ゼノン「ウゴゴゴォオオォ……!ウゴゴゴッ!ウゴゴゴゴッゴゴッオォォォォォォォオ!!!」

(貴様だったのか……!レベリオッ!レベリオ・ヴェンデッタァァァァァァァア!!!)

 

ウルティオ(!撤収は完了したようだな、いいタイミングだ)

「もう飽きちゃった、シャドウ、いいよやっちゃって」

 

シャドウ(はぁ……やっと出番だよ。

次からはちゃんと話を聞こう、じゃないと『陰の実力者』ムーブが躓いちゃう)

「うむ、しっかり防げよ?我の一撃を」

 

ウルティオ「安心しろ、お前の『アトミック』を防げなくなる程魔力は使っていない」

 

シャドウ「いいだろう、では、改めて―――――」

(Take2はちょっとカッコ悪いけど、仕方ないか)

 

 

 

俺の合図を聞いたシャドウは、再び青紫色の魔力を練り込む。

 

すると地下水道全体がその魔力に包まれ、多数の線が表す。

 

ウルティオもアレクシアの前に立ってシャドウの技を完全防御するべく魔力を高速で練り込む。

 

 

 

「―――真の最強を、その身に刻め。

これぞ我が最強」

 

ウルティオ「……」

(後は防ぐだけ……)

 

アレクシア「また……この魔力の……!」

 

ゼノン「ゴォオォォォォォオ!!!」

(クッソォォォォォオ!!!)

 

シャドウ「アイ……、アム……」

 

ウルティオ「――――三重……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャドウ「……アトミック」

ウルティオ「防御結界!」

 

 

 

瞬間。

 

ウルティオが黒紫色の魔力の防壁を展開し、同時にシャドウが剣を振り下ろすと、青紫色の光の奔流が地下水道全体も、地上の大地も、雲も、ウルティオの魔力の防壁から内側以外の全てを吹き飛ばし爆ぜて王都に青紫色の大きい光の柱が出現した。

 

それを受けた原作よりも醜い姿のゼノン・グリフィは蒸発した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アレクシア

 

 

 

 

アレクシア「…………」

 

 

 

光が消えた時、彼女の前にいたシャドウとウルティオは既に姿を消していた。

 

シャドウの技によって空けられた大穴は、地上にまで繋がっていた。

 

足元にあったひび割れた剣をアレクシアは拾い上げ、構える。

 

そしてその剣を振った直後だった。

 

 

 

レベリオ「アレクシア!何処だー!?」

 

アイリス「アレクシアー!」

 

アレクシア「!」

 

 

 

遠くから、レベリオ君とアイリスの2人が息を切らして叫ぶ声が聞こえた。

 

そして2人が私を見つけて駆けつけてくる。

 

 

 

アレクシア「アイリス姉様!レベリオ君!」

 

アイリス「アレクシア………!!」

 

アレクシア「―――!」

 

レベリオ「無事だったか…」

 

 

 

有無を言わされず、私はアイリス姉様に抱きしめられた。

 

姉様の身体はびしょ濡れで冷たいけど、温かい。

 

 

 

アイリス「無事でよかった……本当に……」

 

アレクシア「……っ!」

 

アイリス「ごめんなさい、冷たいでしょう」

 

アレクシア「ありがとう……アイリス姉様。

そして……レベリオ君も」

 

レベリオ「俺は探しただけなんだが―――――」

 

???「フッフッフッフッフッ……」

 

レベリオ&アイリス&アレクシア

「「「!?」」」

 

 

 

3人が再会して、アレクシアがレベリオに礼を言って、レベリオがその返事をした直後、笑い声が聞こえてきた。

 

3人は一斉に、その声の主の方へと向く。

 

そこには、宙に浮いているウルティオの姿があった。

 

彼だけはシャドウと違いコートのラインの色が違うからわかりやすい。

 

が、この時の私はレベリオ君とウルティオを交互に見ていた。

 

 

 

レベリオ&アイリス

「「……ウルティオ……!」」

 

アレクシア「えっ……?」

(嘘でしょ!?レベリオ君と、ウルティオがこの場にいる!?

てっきりウルティオがレベリオ君だと思っていたのに……!?)

 

 

 

私の頭の中は不思議で一杯だった。

 

過去のレベリオ君の言葉と、ウルティオのこれまでの行動からして、2人は同一人物だと思っていた。

 

だけど、2人はこの場にいた、それは即ち、ウルティオはレベリオ君ではないという事になる。

 

シャドウもそうだけど、ウルティオについては謎だらけだった。

 

 

 

ウルティオ「アイリス・ミドガル。

アレクシア・ミドガル。

レベリオ・ヴェンデッタ。

……また会おう……」

 

アイリス「なっ……!?」

 

 

 

また会おうと言って、ウルティオはその姿を黒い炎に包んで消えていった。

 

私よりも圧倒的に強い『凡人の剣』と魔力を扱うシャドウ……。

 

シャドウの魔力を扱った攻撃を抑えこみ防ぐ程の防御力、相手と同じ顔になったり口撃と言った、力技以外のやり方で相手を追い詰めるウルティオ……彼らは一体……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ

 

 

 

 

レベリオ「ふぁあ……流石に寝不足か……」

 

 

 

あの事件の後、俺は負傷者を魔力で治療して回っていった。

 

その結果禄に寝れず、欠伸をしながらこうして学園を過ごすことになったのである。

 

 

 

???「……たり……と……」

 

レベリオ「昨日はホント酷い目にあった、『アレ』を抑えるのにも、怪我人を治療するのにかなり魔力使ったし禄に寝れてないし……。

とはいえ、表向き治さないわけにはいかないしなぁ……。

やはりブシン祭でアイリス治したのはまずかったか―――――」

 

???「わぁっ!?」

 

レベリオ「おっと」

 

 

 

そうして独り言を呟いてる最中、誰かにぶつかったようだ。

 

視線を向けると、ぶつかった途端に多数の本を落としたであろう桃色の髪の少女がいた。

 

 

 

???「いったた……」

 

レベリオ「すまん、大丈夫だったか?」

 

???「えっ……?ああ……!?」

 

 

 

レベリオによって声を掛けられ手を差し出されると、その少女がこちらを向く。

 

彼女は差し出された手を取った。

 

 

 

レベリオ(………って、あれ!?この子……『シェリー・バーネット』じゃないか!?

あの『Enga◯e Ki◯s』のキ◯ラと中の人が同じ!可愛いのよホント!

……あれ?そういえば原作だとぶつかるのはシドだったような……あ、やっちゃったァァァァァァァア!!!やっちゃったこれえぇぇぇぇェェェェ!!!?!?!!?!?)

 

 

 

レベリオは内心、またも原作を変えてしまったと嘆いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







ウルティオ
レベリオ・ヴェンデッタ


シャドウが『アイ・アム・アトミック』を放つ前に『球体拘束』で何とか囲んで技を抑え留め、その後自分の顔をスライムと魔力を使ってゼノンと同じ顔にして、ゼノンを蹂躙した黒紫の髪と目を持つ転生者オリ主

やはり勢いでいくシャドウがこちらの合図を待たずに『アトミック』を使おうとしていた為に、確信はしていても怒りが抑えられなかった。

事件の翌日、原作だとシドがぶつかるはずが、自分がシェリーとぶつかってしまって内心やってしまったと言っている。



シャドウ


『陰の実力者』ムーブをすべく勢いで何もかも解決しようとするイカれた原作主人公。

案の定勢いで『アイ・アム・アトミック』を使おうとしたところをウルティオの『球体拘束』で阻止されて怒られた。

後にウルティオがゼノンを弄って遊ぶのに飽きて、彼からの合図を受けると改めて地下水道全体に魔力を通して原作よりも攻撃範囲の広い『アイ・アム・アトミック』を放った。

ウルティオは完全に防げるので攻撃範囲に彼がいても安心して放てる。



シド「全力でやればよかったかな?6割くらいの力で放ったけど、全力てやってもウルティオ防げそうだったし」



アレクシア・ミドガル



シャドウとウルティオが、それぞれゼノンを圧倒するところを目の当たりにしたこの回では驚いてばっかりのシドのヒロイン候補キャラ?

自身よりも圧倒的に先へ行っているシャドウの『凡人の剣』に原作通り魅入られる。

ウルティオの正体をレベリオと看破したと思ったらアイリスとレベリオの登場、その後少ししてウルティオが再登場したことで彼女の中のウルティオ=レベリオ説がひっくり返されてしまった。



ゼノン・グリフィ


シャドウとウルティオに散々弄って弄ばれた後、シャドウの『アイ・アム・アトミック』で殺られるかと思いきや、それを止めたウルティオに錠剤漬けにされてもはや獣と化し禄に人の言葉を喋れないほど醜くなった状態で、結局最後はシャドウの2度目の『アイ・アム・アトミック』を受けて死んだ愚かなKa☆Ma☆Seキャラ。

最後にウルティオの正体に気づくも禄に言葉を話すことは出来ずに原作よりも酷い状態でシャドウに蒸発されてしまった。



『球体拘束』(スフィア・ロック)


対象を酸素すら入らない魔力の球体に閉じ込める技。

ただ閉じ込めるだけでなく、大半の内部から放たれる攻撃を98%〜100%抑え留めたり、外部からE・B・P等を注入したりして対象を殺す事ができる。

ウルティオはこの『球体拘束』に相当な魔力を消費して、全力ではないもののシャドウの『アイ・アム・アトミック』をほぼ完全に抑え留めた。



レベリオ「大分魔力使わされた……流石はシドの究極奥義『アイ・アム・アトミック』……」


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