転生したら陰実の世界にいた件   作:リベリオンβ

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pixivの方そろそろ復帰しようかな……。

※この回はpixivで既に投稿した回を少し再編集しています。


気を紛らわすには甘いもの

 

 

 

真夜中のミドガル王国内の路地裏にて、1人の男が逃げていた。

 

それを追うのは黒コートの人物、その人物は逃げている男を追い詰める。

 

 

 

ミドガル国民「あ、ああ……あぁあ!?」

 

 

 

そしてその男は黒コートの人物に剣を向けられ、恐怖に陥る。

 

 

 

黒コートの人物「           」

 

 

 

黒コートの人物は口を開ける。

 

が、何故か声を発する事はなかった。

 

その人物は口を開けたまま、その剣を振り下ろそうとする。

 

しかし次の瞬間――――――――

 

 

 

青髪の騎士「させるかっ!」

 

 

 

青い髪の騎士……紅の騎士団員の1人である『マルコ・グレンジャー』が黒コートの人物の持っていた剣を弾く。

 

そしてすかさずその人物の剣を持っていた腕をバッサリと斬った。

 

 

 

黒コートの人物「――――!?」

 

マルコ「はぁあぁぁあ!」

 

黒コートの人物「―――――っ……」

 

 

 

マルコは追撃の一撃を、その人物の片足向けて放つ。

 

その一撃は見事にその人物の右足を切断した。

 

これで逃げる事は出来ない、マルコは黒コートの人物を起こして格好を確認する。

 

するとご丁寧にその人物は教団の紋章がついていた。

 

 

 

マルコ「これは……レベリオ殿が見せた紋章……!

……やはり、《ディアボロス教団》が……」

 

ミドガル国民「き、騎士団の方ですか……?」

 

マルコ「怪我はありませんか?」

 

ミドガル国民「は、はい!助かりました……!」

 

マルコ「これで8人目……主犯を早く見つけないと……」

 

 

 

マルコは倒した人物の教団の紋章を握りしめながら、呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同時刻、時計塔にて。

 

分身体のウルティオが、繊細な魔力を使い何かの技を放っていた。

 

 

 

ウルティオ「ああ、可哀想に。

ただでさえ精神操作をされているのに、何も喋れないなんて……まあ、弱い奴が悪いんだけどなぁあ!w」

※オリ主

 

 

 

ウルティオは嘲笑いながら、真夜中の王都を見下ろしていた。

 

人が◯ミのようだwと言わんばかりの如くである。

 

 

 

「まだだ……まだだぞ?言葉を喋れなくする技だと思い込ませ、痺れを切らして襲撃した時、貴様は《教団》の存在を公にするという大失態を犯すのだ!

それまで精々無駄な思考を重ねろ!フハハハハハ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………虚しい」

 

 

 

が、途中で何故か虚しいと呟いていた。

 

そう、ここの所、原作なんて知ったこっちゃないが如く《教団》の企みを先回りして阻止し、逆に利用しているが、どうも俺は何か虚しさを感じずにはいられなかった。

 

最近ウルティオは、自分のやりたい事について悩んでいた。

 

そしてそのやりたい事の候補として、娯楽である悪者の処罰に白羽の矢が立っていた。

 

《教団》の人間を筆頭とした悪い人間達を自分流に罰する、これは昔からの彼の娯楽なのだが、それが自分の本当にやりたい事なのかというとそれはまた別の話。

 

とはいえただの娯楽として割り切るにしても、自分のやりたい事にしても、何らかのキッカケがないと、永遠に実行した後の虚しさは続く。

 

俺はため息をつきながら、未だ悩んでいた。

 

 

 

「……今の俺は、ただ強くなりつつ、流れに乗って生きてるだけに過ぎないんだよな……。

……はたして、このままでいいのか……」

 

 

 

夜が明けても、その悩みは解決することはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

夏の季節が近づく頃……。

 

僕は食堂でヒョロとジャガに興味津々な表情で詰め寄られていた。

 

こういう時、いつもはそれにレベリオが乗っかる筈なのだが……何故か僕の隣で静かに超お金持ち貴族コースの料理を食べていた。

 

 

 

ヒョロ「んで、アレクシア王女とはどうなったのよ?」

 

ジャガ「うんうんっ」

 

レベリオ「………」モグモグ

 

シド「だから、別れてそれっきりだって」

(ついでに殺されかけた)

 

 

 

僕は食堂の格安のうどんを啜って食べながら言う。

 

普段はレベリオから超お金持ち貴族コースの料理を頂いていいか聞いて食べているのだが、何故か今朝から殆ど喋らないのと、ヒョロとジャガからアレクシアとどうなったのかを詰め寄られて今日は諦めて食堂のうどんを食してる訳だ。

 

 

 

ジャガ「チューもしてないんですか?

チューも?」

 

ヒョロ&ジャガ「「んーー………」」

 

レベリオ「………」モグモグ

 

シド「ないない」

 

ヒョロ&ジャガ「「はぁー、もったいない……」」

 

ジャガ「レベリオ君の方は絶賛交際中かつやる事はやってるのに……」

 

レベリオ「………」モグモグ

 

ヒョロ「ったく、仕方ねぇな。

俺がいい店紹介してやるから元気出せよ」

 

ジャガ「い、いい店!?!」

 

レベリオ「………」モグモグ

 

 

 

ヒョロの「いい店」という単語に反応してジャガが鼻息を荒くしながら言う。

 

うーん、そっち系の店に行ってもなー、美人とかはアルファ達で見慣れてるんだよね。

 

ましてや僕性欲とか捨てちゃってるし。

 

……ていうか、そろそろツッコミ入れてもいい筈なのにレベリオどうしたんだろ、さっきからずっと黙々と食べ続けてる。

 

っていうか食べるの早っ、何も喋らずに食事するとあんな感じなんだろうか。

 

コースの料理もう殆ど残ってないじゃん。

 

 

 

ヒョロ「そっちの店じゃねえよ、最近話題の『ミツゴシ商会』だ!

何でも、見たことない商品ばっか扱ってるらしくて、チョコだかいうお菓子がクソうまいらしい!」

 

ジャガ「お菓子ですか、いいですねぇ」

 

ヒョロ「バッカ!自分で食ってどうすんだよ。

女にプレゼントするんだよ、女なんて、甘いもんやっとけばちょろいもんさ」

 

ジャガ「な、成る程。

流石はヒョロ君です、勉強になりますねぇ」

 

ヒョロ「だろだろ。

行こうぜシド、レベリオ!」

 

ジャガ「行きましょうシド君!レベリオ君!」

 

レベリオ「……すまん、俺はパスで」

 

ヒョロ&ジャガ「「えっ!?」」

 

 

 

ヒョロとジャガが、僕とレベリオを『ミツゴシ商会』という所に誘おうとすると、丁度コースの料理を全て食べ終えたレベリオが席を立って誘いを断った。

 

 

 

ジャガ「な、何でですか?」

 

レベリオ「今日はそういう気分じゃないんだ。

……また今度誘ってくれ」

 

ヒョロ「しゃあねぇなぁ……まっ、そういう事もあるか」

 

レベリオ「すまない、じゃあお先」

 

 

 

そしてレベリオは食器全てを持って先に食堂を出ていった。

 

元々レベリオは、普段そこまで明るいタイプじゃない、かと言って暗いタイプというわけじゃないけど、今日は流石に元気がなさ過ぎる、何かあったのかな?

 

……あ、そういえば、『陰の実力者』コレクションを一緒に飾った時、何になりたいかで悩んでた事があったっけ。

 

あの様子だと、まだ解決してないみたいだ。

 

まあ相談されてない以上僕から口を出すのも違う気がする。

 

ここは様子を見るしかない、相談してきたなら、らしい事を言えばいい。

 

 

 

シド(まあ、僕も『陰の実力者』としてどうしたいか悩んだ時期があったからね〜。

気持ちはわかるよ、レベリオ)

 

ヒョロ「レベリオは誘えなかったが……」

 

ジャガ「シド君は行きますよね!」

 

シド「………わかった、行くよ」

 

 

 

目を輝かせている2人を見て、僕はため息をつきながら答えた。

 

レベリオの事は一旦様子を見るとして、この世界のチョコとやらにも少し興味がある。

 

僕はヒョロとジャガに連れられて、『ミツゴシ商会』に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ

 

 

 

夕方になり、1人下校するレベリオ。

 

彼は端から見たらミドガル王都内を当てもなくトボトボと歩いている様だった。

 

 

 

レベリオ「………………」

(いつの間にか、もう夕方か……。

これからどうしよっかな……このまま帰る気にもならないし……あ、そういえばヒョロのやつ、確かチョコがどうこう言っていたような………。

……疲れた時には甘い物、か、とはいったものの、普通に買って食べるというのはあれだし……そうだ、久しぶりに作ってみるか、イプシロンみたいに上手くはいかないだろうが……気を紛らわすには丁度いい。

そうと決まれば………あ)

 

 

 

すると俺は、気付いた。

 

材料もそうだが、何処でチョコを作ればいいのかと言う事に。

 

そして彼が思い至った場所は……たった1つだけだった。

 

 

 

「………やっぱ、あそこしかないよなぁ。

ホント、俺は門限無くて良かったよ。

そうと決まれば…3人とバッタリ会ってもアレだし、ゆっくり行くとするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

一方、シドの方はというと、突然1人だけアンケートをお願いされて、ヒョロジャガの2人を置いて先に店内へと向かう。

 

そしてアンケートをお願いしてきた女性の案内にて、まだ商会内の奥へと歩いている最中であった。

 

やがて辿り着き案内されると、そこは巨大なホールの空間だった。

 

ギリシャ神話のような円柱が並び、大理石の床は輝いている。

 

そして奥へと続くレッドカーペットの左右に美しい女性達がずらりと並んでいた。

 

僕が一歩室内に入った瞬間、彼女達は一斉に礼をした。

 

部屋の最奥に、巨大な椅子があった。

 

繊細な芸術品のようなその椅子には天窓からあかね色の夕日が降り注いでいた。

 

そこにはまだ、誰も座っていない。

 

椅子の隣に、藍色の髪の美しいエルフがいた。

 

モデルのようなスタイルに、妖艶な黒いドレス姿の洗練された女性、僕は彼女の顔に見覚えがあった。

 

彼女は《シャドウガーデン》の七陰第三席『ガンマ』である。

 

 

 

ガンマ「ご来店を、長らくお待ちしておりました、主様」

 

シド「ガンマ……。

……じゃあここ、君の店なんだ」

 

ガンマ「はい。

主様よりお聞きした神の如き知識のほんの一部を微力ながら再現させて頂きました」

 

シド「なるほどね」

 

 

 

そしてガンマが階段を降りていく。

 

昔ならあの階段ですら転んで落ちる程だったのだが、そこはレベリオの度重なる訓練によって転ばず降りれたり登ったり出来るようになった。

 

これにより運動神経は普通並にはなったが、戦闘センスの無さは改善されず、レベリオが何か新しい戦術を与えたとか。

 

確かあの頃は………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、まだイプシロンが《シャドウガーデン》に入って少し経った頃……。

 

僕が当時訓練場にしていた廃村に来た時の事だ。

 

 

 

シド「おはようベータ」

 

ベータ「あっ、主様!おはようございます」

 

レベリオ「ほらほらガンマ、足だけじゃなくて身体も動かして」

 

ガンマ「わわっ!?ま、待ってください!?ウルティオ様!?」

 

レベリオ「そこから1、2、3、1、2、3――っと」

 

 

 

レベリオがガンマに踊りを教えている最中、彼女の足がレベリオの足を踏んでしまった。

 

まあ、初心者が練習する時によくあるミスだね。

 

取り敢えずベータに2人が何をしてるのか聞いてみよう、まあ見る限り聞くまでも無いんだけど。

 

 

 

ガンマ「も、申し訳ありません!ウルティオ様!」

 

レベリオ「俺の事より、まずは動きをしっかり覚えて。

頭の良いガンマなら覚えられる筈だから、おK?」

 

ガンマ「は、はいっ!」

 

シド「ベータ、レベリオとガンマは何やってるの?」

 

ベータ「多分、ガンマに新しい訓練をしてるのではないでしょうか。

ガンマもだいぶ転ばずに走れるようになりましたので……」

 

シド「あれは……訓練というより……」

 

 

 

どう見ても、レベリオがガンマに舞踏会で踊るような踊りを教えてるようにしか見えない。

 

そういえば確か何日か前にガンマがデルタと戦った時も、デルタには勝てなかったけど殆ど転ばずに善戦してたなぁ、ガンマ。

 

でもあの戦いを見る限り戦闘センスの無さは相変わらずだ。

 

 

 

「……そうか、だからレベリオはガンマに新しい戦術を……」

 

ベータ「!?シャドウ様はウルティオ様がガンマにしている訓練をもう理解したのですか!?」

 

シド「うん、中々面白そうだよね、踊るように戦うというのも。

それに、ガンマの運動神経を鍛えるのにも丁度いい」

 

ベータ「シャドウ様……!流石です!

それに、ウルティオ様も……!」

 

シド(まっ、とはいっても……)

 

ガンマ「わわっ!?」

 

レベリオ「おっとっと」

 

 

 

ガンマがバランスを崩して、レベリオに抱き着くように倒れていく。

 

これは、割と骨が折れそうだね……レベリオ、上手く教えられるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしいなぁ、それから1週間後、レベリオが舞踏会の招待を前から受けていたらしくて、それでガンマを連れていったわけだ。

 

その後もさらに同じ訓練をこなして、かなりの日にちが経った頃だったかな、まさか本当に踊りながら戦う戦闘スタイルを身につけるとは、ガンマがデルタを相手にあそこまで戦えるようになるとは思わなかったよ。

 

それにしても、ガンマもデルタも2人共重大な問題を抱えていたのに、レベリオは面倒見が良いというか、なんというか。

 

戦闘センスが良くてもアホの子過ぎて何を言っても無駄だったデルタ、頭が良くても戦闘センスが最悪過ぎて何を言っても無駄だったガンマ。

 

だからこそ僕は『魔力をいっぱい込めて叩き斬れ』と、僕の大嫌いなフィジカルでぶん殴るスタイルを指導するしかなかった。

 

だが、途中1人で訓練した時期もあったとはいえ、レベリオはどれだけの日にちをかけても、根気よく2人を訓練しまくった、デルタの戦闘センス、野生の感といった長所をさらに伸ばしつつ、動きの小さいコンパクトな攻撃を身振り手振りで教え、ガンマには歩行訓練から始めて舞踏訓練までいき、ついにはスライムダガー2本で踊りながら戦うスタイルを叩き込み教えたのだ。

 

この事実を知った途端、僕は始めてレベリオに負けた気がした。

 

何故なら僕の信念はガンマとデルタに敗北したのに、レベリオの信念は彼女達2人に勝利したからである。

 

まあ、僕の陰の実力者ムーヴにしても、「こうするとそれっぽいんじゃないか?」とか言って今でもよく付き合ってくれてるから、面倒見の良さではレベリオの勝ちと言っていいだろう。

 

……そういえば、始めて会った頃のレベリオも、魔力のコントロールの上達は凄かったけど、接近戦での技巧の伸びはイマイチだったかな。

 

それでも根気よく、レベリオは訓練し続け、ついには今の僕の最強の剣まで扱えるようになった。

 

それはまるで、魔力を求めて日々修行してた、前世の僕を彷彿とさせたのだ。

 

 

 

ガンマ「……主様?」

 

シド「ん?おっと、ごめんごめん」

 

 

 

現実のガンマの言葉に僕は我に帰った。

 

いけないいけない、せっかくもてなしてくれてるのに。

 

レベリオの面倒見の良さをついつい思い出してしまった。

 

僕はガンマに案内されるがまま、巨大な椅子に座る。

 

巨大な吹きぬけ空間、天窓から降り注ぐあかね色の日、ひざまづく美女たち。

 

 

 

「………………」

(いい……いいぞこれ。

まさに王……陰の実力者になった気分だ。

ガンマもよくこんなに金のかかったセットを……)

 

 

 

僕は感動に心を震わせた。

 

そして右の掌に青紫の魔力を集め、天に放った。

 

青紫の光は天井近くまで打ち上がり、そこから無数に分裂して降り注ぐ。

 

 

 

「褒美だ、受け取れ……」

 

SG構成員達『…………』

 

 

 

それは光の雨、雨はひざまづく彼女達に当たり、その身体を一時青紫に染めた。

 

 

 

(まあ、疲労回復とか、魔力の巡りが良くなったりとか、軽い傷を治したりとか、その程度の効果しか無いんだけどね)

 

ガンマ「主様……。

思い出します……。

私を絶望と苦痛から救い上げてくれた、美しい命の光……。」

 

 

 

ガンマもかつては悪魔憑きとなり、いずれ朽ち果てる運命だった。

 

だが、そんな彼女を助けたのがシャドウだ。

 

その時の彼が放った青紫の光……忘れるはずもない。

 

彼女はあの日から生まれ変わった、新たな生を彼に、シャドウガーデンに捧げると。

 

しかしその思いとは裏腹に、彼女は七陰の中で最底辺の立場にいた。

 

どれだけ努力しても、後から加入するデルタ、イプシロン、ゼータ、イータ……彼女達に先を越されていた。

 

やがてはシャドウからの戦闘指導も『魔力をいっぱい込めて叩き斬れ』というのが最後となった。

 

それから少しした後、彼から『陰の叡智』を授かった。

 

その結果、『陰の叡智』を含めた知力の力と、今この場にはいないが、唯一ウルティオからの独特の戦闘指導を経てやっと、デルタやゼータとある程度戦える程になった。

 

 

 

「身に余る光栄、今日というこの日を生涯の宝にします」

 

シド「よくやった、ガンマ。

ところで、この商会について聞きたいんだが」

 

ガンマ「なんなりとお聞きください」

 

シド「この商会の事は、ウルティオと七陰の皆は知っているのか?」

 

ガンマ「はい、勿論でございます。

特にウルティオ様からはご贔屓にされています」

 

シド(つまりあれだ。

これ僕だけハブられたパターンだ。

いやね?レベリオも知らなければ僕も男だから女性の輪に入れづらいって事で納得行くよ?

でもレベリオも知ってるって事はつまり……)

「そ、それで?この店結構稼いでる感じ?」

 

ガンマ「はいっ。

現在国内外の主要都市に店舗を展開しており、順調に拡大しております。

今となっては、新しい試み以外でウルティオ様からの支援金も必要無い程に。

しかし重要なのは、商会の展開に紛れてどれだけ陰に根を張れるかです。

活動資金も、30億ゼニー程は……ウルティオ様がよく支援やご贔屓にしてくださったお陰です」

 

シド「さんじゅっ……!?」

 

ガンマ「っ!?少なかったでしょうか……!?」

 

シド「いや……」

(つまり……つまりだ、レベリオと彼女達は僕を除け者にして、僕の知識を元ネタにしてガッポリ稼いだってわけだ。

そこにさらにレベリオの知識も注入して……!

レベリオはまあ……学園の超お金持ち貴族コースをほぼいつも分けてくれたり、その他にも色々と金銭以外で分け前をくれるから許すとして……彼女達も僕にほんの少しくらいの分け前をくれれば……!

僕は地べたに這いつくばって金貨を拾ったり、犬のフリして金貨を追いかけたりする必要もなかったのだ。

……いや、でもいいさ。

こんな大規模なセットを用意してくれたんだ。

それで十分……いやでも、こんなに儲けてるなら……いや……ダメだ、これを借りパクしたら流石にマズイ。

今はあれだが、レベリオに知られたら物凄く怒られる……!)

 

ガンマ「主様が来訪された理由は察しています。

例の事件についてですね?」

 

シド「え?ああ……」

(何の事件だっけ?)

 

ガンマ「現在ウルティオ様が捜査して、《教団》の手の者という所までは判明しておりますが……」

 

シド(何だってっ!?レベリオ!?なる気は無いって言ってたのにまたしても『陰の実力者』ムーヴやってるじゃん!?

まさか…いや、そうだ!やりたい事に悩んでいたのは……『陰の悪役』じゃない!僕と同じ『陰の実力者』になりたいから!?

僕をフォローするのに疲れて、自分が陰の実力者になろうか悩んでいたのか!?

だとしたら今朝から殆ど喋らずに考え事をしていたのも納得がいく!)

「……成る程、だからウルティオはどうするか悩み、考えていたのか……」

 

ガンマ「ウルティオ様が悩んでいたと……?」

 

シド(いくらレベリオでも、僕以外の陰の実力者は認められない……!何故なら、それを許せば、僕は陰の実力者では無くなってしまう………!

いや待て、まだレベリオが陰の実力者になりたいと決まったわけじゃない。

すぐに決めつけるのは早計だ。

仮にそうだとしても、レベリオは僕に陰の実力者はこうした方がいいと色々アドバイスしてくれた、なら!仮にレベリオが陰の実力者に、もしなりたくて、それを実行してるなら……?

よし、ならどうするか少しだけ見せてもらおう…!お手並み拝見だね)

「……この件はウルティオに任せよう、奴にも考えあっての事だ、我は気長に待つ」

 

ガンマ「!?」

(やはり、主様はウルティオ様を信頼している……!その上で、ウルティオ様にこの一件を任せた……!?)

「畏まりました」

 

 

 

そろそろ帰ろうと僕は席を立った。

 

その後チョコの事を思い出して、僕はガンマにチョコを買いたいと言った、3人分。

 

するとガンマが最高級のチョコを10割引で用意すると言い出した。

 

それを聞いて僕はラッキーと思いつつ、スライムに全神経を集中し、金貨を頂こうとしたのだが……何処からともなくレベリオの視線を感じたのでやめた。

 

まあ、金貨なんて盗賊から奪えばいいからね。

 

金貨を頂くのは諦めて、僕はチョコを実質頂いて帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ

 

 

 

シドがミツゴシ商会を出て少しした後……。

 

レベリオは、ミツゴシ商会に並んでいる行列に自分も並んでいた。

 

 

 

レベリオ「流石ミツゴシ、相変わらず混んでるなぁ。

……まあ、下校直後よりはマシか……?」

 

 

 

俺は行列に並びながら呟く。

 

するとダークブラウンの長髪の、ミツゴシの女性店員……その正体はシャドウガーデンのナンバーズの1人『ニュー』がこちらに近づいてきた。

 

 

 

ニュー「お客様、失礼ですが少しお時間頂けますか」

 

レベリオ「……構わんが」

 

ニュー「ありがとうございます。

すぐに済みますので、アンケートにご協力をお願いします」

 

レベリオ「ん」

 

 

 

こうして俺はニューの案内の下、ミツゴシ商会へと入っていった。

 

相変わらず品揃えが豊富だ、シドの前世の知識…あいつは『陰の叡智』等と大層な事を言っていたが、これ程見事に再現されるとは。

 

ここならチョコの材料も豊富にある、あとは商会内の調理場等を借りて作ればいい。

 

シドと違って俺は勿論お代は払う、そしてそのお代はイータの研究費に回すようガンマにも伝えてある。

 

俺のお金がガンマを通してイータに行く事により、ミツゴシの利益がイータの研究費にされるのを少なく出来る。

 

さらに、俺の魔力なんてとても真似出来はしないが、俺の偽物対策にもバッチリだ。

 

おっと、話を戻そう、ミツゴシ商会内の奥へと入っていった俺はニューに話しかける。

 

 

 

「最近のミツゴシはどうだ?俺も来るのは1ヶ月ぶりでな……」

 

ニュー「お陰様で、大繁盛です。

活動資金も30億ゼニーに上がりました、ウルティオ様が良くご贔屓にしてくださるお陰です」

 

レベリオ「そうか……」

 

ニュー「……やはり、何か悩んでいるのですね?」

 

レベリオ「……知っていたのか」

 

ニュー「はい、シャドウ様が、ウルティオ様が悩み考えていたと……」

 

レベリオ(え、ちょい待って?何この勘違い展開!?

………いや、せっかくの陰実世界なんだ、このムーヴに乗っかるべきだろ俺!)

「……やはりシャドウにはお見通し、か」

 

ニュー「ええ、ですがシャドウ様は例の事件、ウルティオ様に任せるとの事です。

……ウルティオ様、人斬りとして現れた《教団》をどう蹂躙するか悩んでいたのですか?」

 

レベリオ(悩んでるのは何になりたいか、なんだけどな。

見事に勘違いが進んでいやがる)

「まあ、ね。

ほら、大体俺が蹂躙する時って、俺の新しい技の実験台にしたり、奴等の作った錠剤を奴等に飲ませたり、奴等が扱う自強化型のアーティファクトに魔力を与えたりと色んな事をしているが……いかんせんマンネリ、というやつでな。

終わった後、虚しさが来るのだよ」

 

ニュー「お悩みとあらば、拷問という手もございますが……」

 

レベリオ「生憎それも間に合ってるんだよね……イータに色んな拷問器具作らせてやってるけど……どうも、満たされなくてな」

 

ニュー「ウルティオ様程のお方がそこまで深刻に悩まされてるとは……」

(《教団》め、許しませんね)

 

レベリオ「まあ、幸いまだ人斬りの主犯は出てきていない。

雑魚共をじっくり蹂躙しながら考えるさ。

それより……これ何処まで行くんだ?」

 

ニュー「シャドウ様だけでなく、ウルティオ様専用にお作りした広間がありますので、そちらのご案内に……」

 

レベリオ(マジか、ということはあのデカい椅子と似たようなものがあるのか………?)

「そうか」

 

ニュー「こちらです」

 

 

 

そして俺はニューが案内した広間の扉の前へ向かう。

 

彼女がその扉を開くと、そこは原作陰実にてシドが案内された広間と引けを取らない程に整っており、専用の椅子も用意されていた。

 

椅子の装飾も、黒や紫の色の物が多く使われており、まさしく俺専用と言ったところか。

 

まあスライムロングコートのラインの色も決めてるから構成員達も拘りがあると思ってしまうのだろう。

 

そしてまあ…うん、レッドカーペットとか多数の構成員とか、椅子の近くにガンマがいるとか、うん、違いが椅子の装飾くらいしか変わんないな、俺シド=シャドウじゃないんだけど?

 

…まあいい、俺の預かり知らぬ、ということにしておこう。

 

などと考えていると、ガンマが話しかけてくる。

 

 

 

ガンマ「一月ぶりのご来店ありがとうございます、ウルティオ様」

 

レベリオ「うむ。

…シャドウも来たらしいな、ニューから聞いている」

 

ガンマ「はい。

それと今回の事件、ウルティオ様に任せると、シャドウ様がおっしゃいました」

 

レベリオ「……そうか」

(あいつにしては珍しいな、こういうの聞いたら真っ先に食いつきそうなんだが……。

……あれ?じゃあもしかしてアレクシア危険じゃね?日もそろそろ落ちてきてる、分身に行かせるしかないな)

「…となると、分身をしっかり動かさなければならんな。

……俺はやることがある、椅子に座ってゆっくりする暇はない」

 

ガンマ「やはり、例の事件ですか?」

 

レベリオ「いや、主犯が現れるまでは、人斬りは分身に任せるとして……ガンマ、チョコの材料をいくつか買いたいのだが……オススメはあるか?」

 

ガンマ「え、ええっ!?もしかして…ウルティオ様が、チョコを作るのですか!?」

 

レベリオ「…確かにイプシロン程上手くは作れないとは思うが……ダメか?」

 

ガンマ「い、いえっ!そんな事はありません!いくつかオススメをお運びいたします!

お代は頂いたら、いつもの流れで……?」

 

レベリオ「ああ、その方がイータにとってもいいだろう。

…オススメを沢山持ってきてくれ、しこたま買うぞ」

 

 

 

そう言って俺は多数の金貨を取り出した。

 

ざっと、超お金持ち貴族コースの100倍……1000万ゼニーだ。

 

所詮は旅の途中に盗賊やら教団の連中やら、あとは『テンプラー』の連中から奪い取った金貨だ、何も惜しくはない、また奪えばいいだけの事だ。

 

というか、絶賛分身の1人が他の国に遠征して盗賊狩りまくっている。

 

そもそもお父様やクラウス国王からもお小遣いで金貨貰っているが……俺は何も言っていないぞ?

 

金貨が重くないかって?この程度で重かったらかつてシドとあれほど戦えてないよ。

 

俺は各店員達に分配して金貨を渡していく。

 

 

 

ガンマ「ありがとうございます!では……」

 

レベリオ「あ、それと調理場も借りれるか?」

 

ガンマ「勿論でございます、ニュー、案内してください」

 

ニュー「畏まりました。

ウルティオ様、こちらへ」

 

 

 

こうして俺はミツゴシ商会の調理場でチョコを作ることにした。

 

さてさて……久しぶりに作るとしようかね。

 

イプシロンみたいに上手くは作れないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ウルティオ(分身)

 

 

 

 

そして日が落ちそうになる頃……。

 

分身体の俺は、上空から夜の街を歩くアレクシアを監視していた。

 

 

 

ウルティオ「……近くにシドの気配がない……まだアレクシアは1人のようだが……やっぱ俺が行くしか無いな……って言った先から……教団員が、現れた!」

 

教団員A「われ――――――」

 

ウルティオ(おっとさせるか、『単語殺し(ワードキラー)』)

 

教団員A「          」

 

アレクシア「!?

何か言ったかしら……?」

 

 

 

言った先から3人の教団員がアレクシアに接触し、「我らはシャドウガーデン」と言おうとする。

 

危ない危ない、まだ『単語殺し』を受けてなかった構成員がいたのか、最近弛んでるなぁ、俺。

 

あそこで言われたら今までの行為全てがムダになってしまう。

 

気を引き締めないとなぁ。

 

さて、普段ならすぐに行くところだが……アレクシアのお手並み拝見と行こうか。

 

 

 

「はぁあぁ!」

 

教団員A「―――!」

 

 

 

俺が殺した単語は『我らはシャドウガーデン』だけだからそれ以外の単語は普通に言葉として発する事が出来る。

 

『単語殺し』は相手の魔力と精神に干渉し、特定の好きな単語をその相手の内部から殺す技だ、魔力は相手のを勝手に使えばいいから自分の魔力は必要ない、相手の魔力を操れる程の魔力制御力のみあればいい。

 

自分の魔力を使ってもいいが、魔力痕跡を消すという手間がかかるからバレるという意味では逆効果だ。

 

さて、教団員が何も喋らない所を見ると……また『3rd』か。

 

懲りないねぇ、主犯も。

 

しかしアレクシア、普通の人間の割に凄いなぁ、1人を簡単に袈裟斬りしやがった。

 

俺アレクシアには禄に剣を教えてないんだけどなぁ。

 

残りの教団員2人が彼女に襲いかかる。

 

 

 

アレクシア「か弱い乙女に3人がかり……!?」

 

ウルティオ(いや、1人を簡単に袈裟斬りしといて何言ってんだ、あれ結構深いぞ……?って、あの傷でまだ動けたのかあいつ…ヤバイ、アレクシア気づいてねぇ)

 

アレクシア「…ッ!」

 

 

 

かなり深手にも関わらず教団員の1人がアレクシアの左腕を斬る。

 

彼女は慌てて傷を抑えてしゃがむ。

 

……まさか、コミック版と同じ……?

 

 

 

「ううっ、痛みで力が入らない。

お願い、やめて、殺さないでぇ!!!」

 

ウルティオ(何を言ってるんだコイツは……ほらやっぱし)

 

アレクシア「なんて言うわけないでしょ。

まんまと飛び込んで来たわね、お馬鹿さん」

 

ウルティオ(いや、あれでひっかかる普通の奴はいないぞ、多分)

 

 

 

命乞いと見せかけて、アレクシアが教団員の傷部分を蹴る。

 

そして追撃の斬撃を与える、流石にあれは…と、思ったら……。

 

そろそろ行くか。

 

 

 

アレクシア「さあ次はどなた!?」

(…大丈夫…剣の腕は私の方がまだ上、傷も魔力で治せる程度、1人ずつ倒せば問題ない……!)

「!?嘘でしょ、まだ動けたの!?」

 

ウルティオ「……」(飛び降りる)

 

 

 

俺は飛び降りてアレクシアに襲いかかった教団員の1人を刺し殺した。

 

流石に今度こそ死んだろう、俺は残りの2人を左手のスライムクローを伸ばして刺し貫く。

 

そしてその2人にクロー越しに『E・B・P』を注入した、もう逃げられないな。

 

俺はスライムクローとソードを元のスライムに戻して収納し、その場を去ろうとする。

 

 

 

教団員2人「「―――――!―――――!」」

 

アレクシア「ま、待ちなさいウルティオ!」

 

ウルティオ「……何か用かな?アレクシア・ミドガル」

 

アレクシア「あ、あれからずっと貴方達を探していたの、貴方の目的は何……?その強大な力を何の為に振るっているの……!?」

 

ウルティオ「生憎だが、今日それを話す気分ではない。

それに、貴様1人に喋っても何の意味もない」

 

アレクシア「それでも…国の為にも知っておかなければいけないの!!貴方は味方なのか……それとも……!!

……!?」

 

 

 

あまりにしつこいので俺はアレクシアに剣を向ける。

 

彼女は一瞬怯んだが表情を変えることはなかった。

 

 

 

ウルティオ「3度は言わない……今日それを話す気分ではない」

 

アレクシア「………くっ…」

 

ウルティオ「まあそう焦るなアレクシア・ミドガル。

話す条件が整ってないだけの話だ、近い内、貴様とアイリス・ミドガルが一緒にいる時にまた現れるだろう」

 

アレクシア「……本当でしょうね?」

 

ウルティオ「この状況で嘘をつくメリットが俺にはない、さて……」

 

ニュー「……お見事です、ウルティオ様」

 

 

 

俺が話を切り上げようとすると、スライムスーツ姿で仮面をつけているニューが現れた。

 

……これ以上ここにいてもアレクシアがしつこく聞いてくるからな、後は任せよう。

 

 

 

ウルティオ「ニュー、後は任せてもいいか?

……どうせなら、さらにじわじわと嬲り殺してくれるとありがたいが」

 

ニュー「勿論でございます、後はお任せを」

 

ウルティオ「うむ……」

(……本体が眠りそうだ…こっちで自立行動モードを……)

 

アレクシア「ま、待ちなさいっ!」

 

ニュー「…止まりなさい、アレクシア王女。

それ以上邪魔をするなら私が相手になりますが」

 

アレクシア「くっ……。

……わかったわよ、今日は引き上げるわ」

 

 

 

アレクシアがウルティオを追おうとすると、ニューが立ち塞がる。

 

彼女も勘でわかる、シャドウやウルティオ程ではないが、目の前の女性もかなりの手練れだと。

 

まだ傷を治してない状態で彼女と戦うのは分が悪い、ウルティオがまた現れ目的を話す事を信じるしかない。

 

アレクシアは諦めてその場を去った。

 

アレクシアが去ると、ニューは『E・B・P』でもがき苦しんでる教団員2人に視線を向ける。

 

洗脳や精神操作で操られた《教団》のただの戦闘員『3rd』の2人は声も上げられずただ苦しんでいた。

 

 

 

教団員2人「「―――――!―――――!」」

 

ニュー「さて、ウルティオ様の技を受けて苦しんではいるようですが……。

嬲り殺す、私もいい考えだと思います……さしあたり、全身を徐々に斬り刻んで差し上げましょうか」

 

 

 

そしてミドガル王都のとある路地裏で、観客のいないニューの惨殺ショーが行われたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ガンマ

 

 

 

深夜になり、ミツゴシ商会を閉店した後、ガンマは商会内の調理場へと向かっていた。

 

無論、チョコを作っているであろうウルティオの様子を見に行く為である。

 

ミツゴシ商会に来ていたウルティオだったが、ガンマから見るとやはり何か思い詰めたような表情をしていた。

 

かつてシャドウが『陰の叡智』として、疲れた時には甘い物と言っていたから、ウルティオが材料を買いたいと言い、そして作ると言うことはその後自分で作ったチョコを食べると言う事か。

 

それなら買って食べればいいと普通なら思うが、ウルティオも考えあっての事だろうとガンマは認識していた。

 

そして彼女は調理場の扉を開ける。

 

 

 

ガンマ「ウルティオ様、チョコ作りの方はいかがですか……!?

ウ、ウルティオ様ッ!?」

 

 

 

するとそこには冷蔵庫の近くに倒れているウルティオ様がいたではありませんか!

 

倒れているウルティオ様に私は急いて駆けつけました。

 

何かあったのかと思いうつ伏せから仰向けにすると、ウルティオ様の口から静かな寝息が聞こえました。

 

やはり相当思い詰めていたのでしょう、数日前、アルファ様は散々言っていましたのに、私は……!

 

他の者を呼んでもいいのですが、ウルティオ様が倒れたと聞いて混乱させるわけにもいかず、私が近くの部屋のベッドに運ぶ事にしました。

 

 

 

「…これではアルファ様の言った通り、本当に私達はお荷物ですわね……。

せめて、気持ちよく寝れるように……ウルティオ様、失礼します……」

 

 

 

私はベッドに正座して、ウルティオ様に膝枕をしました。

 

そして今回の件を反省するべく私はそのままの姿勢で眠ることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ

 

 

 

 

……なんだか、後頭部が柔らかい。

 

……おかしいな、俺は沢山作ったチョコを冷蔵庫に入れて……それから……どうしたんだっけ?

 

いかん、その後の記憶がない。

 

取り敢えず目を覚ますか………んっ!?

 

 

 

ガンマ「あっ、おはようございます、ウルティオ様」

 

レベリオ「・・・ガンマ?」

 

 

 

起きると何故か目の前にガンマの顔があった。

 

そして見渡すと自分はベッドの上にいた。

 

……だけならいいのだが、ガンマの顔が目の前にある、そして自分の視点の左側に彼女の身体がある……。

 

 

 

「……!?これは……膝枕っ!?」

 

ガンマ「はい、ウルティオ様が倒れていたので、この部屋に連れて私が膝枕を……」

 

レベリオ「…すまんな、手間をかけた。

その……気持ちよく寝れた」

 

ガンマ「いえいえ、ウルティオ様のお役に立てて何よりです」

(それに……これを言ってはいけませんが、ウルティオ様の寝顔……とても可愛かったですから)

 

レベリオ「……今何時だ?」

 

ガンマ「朝の5時でございます」

 

レベリオ(ここからなら問題ないが、家に帰って学園に行く時間はないな)

「…わかった、俺はそろそろ学園に行く」

 

ガンマ「はい、行ってらっしゃいませ、ウルティオ様」

 

 

 

俺はベッドからゆっくり起き上がって部屋を出ようとする。

 

調理場に鞄を置きっぱなしだったが、冷蔵庫の自分が作ったチョコをいくつか持っていきたいから丁度いい。

 

夏が近いが、そこは魔力を使って冷やせば特に問題ないだろう。

 

そして俺は部屋を出る前にガンマに話しかける。

 

 

 

レベリオ「ああ、そうだガンマ」

 

ガンマ「何でしょうか?」

 

レベリオ「冷蔵庫にいくつか俺の作ったチョコがあるから七陰の皆と分けて食べるといい。

余ったら商会にいる子にでも渡してやれ」

 

ガンマ「えっ!?ウルティオ様の…手作りチョコを!?」

 

レベリオ「……言っとくが味はそんなに期待するなよ?

イプシロンみたいに、上手く作れたか自信ないからな?

あと、ビター味はないからな?」

 

ガンマ「い、いえっ!とんでもございません!」

 

レベリオ「それじゃあ俺はもう行くからな」

 

 

 

そして俺は部屋を出ていった。

 

部屋には正座したまま、唖然としたガンマだけが残された。

 

 

 

ガンマ「チョコを作ったのは自分で食べるんじゃなくて、私達の為に……!?

ああ、何て光栄な……昨日に続いて、今日も生涯の宝が……!

しかもミツゴシの調理場で作ってくれたということは、真っ先に私に食べてもらうつもりだった……?

これが、これがウルティオ様の……愛情……!?」

※違います

 

 

 

レベリオの発言と行動に、ガンマの勘違いは加速していった……。

 

そして、それがガンマの、レベリオへの愛情が深くなる事を、レベリオは知らずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 







レベリオ・ヴェンデッタ
ウルティオ


人斬りをして、《シャドウガーデン》の名を語ろうとする《教団》の刺客に『単語殺し』を使い弄ぼうとするも、後から来る虚しさを解決するべく、チョコの材料を買って自分で作るためにミツゴシ商会に来た、黒紫の髪と瞳を持つ転生者オリ主

気を紛らわそうとミツゴシ商会に行ってチョコの材料を買い、ガンマに頼んで商会内の調理場で多数のチョコを作り、冷蔵庫に入れた後、分身体を常に操作していた肉体面と、何をやりたいか決まらない精神面での疲れが原因か、冷蔵庫の前に倒れてしまう。

幸いなのが冷蔵庫に入れる前に各分身体を自立行動モードにしていた事であった。

朝起きた後に学園へ向かおうと部屋を出る前にガンマに言った事が、思わぬ勘違いを生み出す事になるとは本人も知らない。



レベリオ「まさか倒れてしまうとは……ガンマ、だらしないNo.2ですまない……」

ガンマ「だ、だらしないなんて、そんな事はありません!ウルティオ様……!
寧ろ、こんなに甘くて美味しいチョコを作ってくださってありがとうございます……!」




シド・カゲノー


ヒョロとジャガに誘われてミツゴシ商会に行くも、このシリーズでは人斬りと聞いておらず、ガンマからチョコを実質頂いてそのまま帰った原作主人公

このシリーズでは何になりたいか悩んでいるウルティオが、もしかして『陰の実力者』になりたいんじゃないかと思いこんでいたが、決めつけるのは早計と考え、様子見を決めているのと、ガンマから『人斬り』という単語を聞いていない為にチョコを実質頂いて帰った。

本人はなる気がない事を知らずに、内心レベリオが陰の実力者になる事は認められないとは言っても、レベリオならどんなムーヴをするか少し見たい為に様子見をする事にした。



ガンマ


表向きはミツゴシ商会会長『ルーナ』として活動し、活動資金を集めつつ表裏両方の世界の情報を集める七陰第三席

過去にレベリオ=ウルティオから度重なる訓練を受けたことにより、原作と違って階段から転ぶという事が無くなった。

シド来店から途中までは原作通りだが、シド=シャドウがミツゴシに来た理由を例の事件について聞くものと思い、既にウルティオが捜査していると報告すると、シドの方はレベリオが陰の実力者になりたいか悩んでいると勘違いしたが故にウルティオの話題を出し、ウルティオに事件を任せると言われ、人斬り事件から一先ず手を引いた。

そしてチョコを購入したシドを見送って少しした後レベリオまで来店している事を知りニューを使いに出してシドと同じようにレベリオを迎える。

そしてレベリオがチョコの材料を買う為に1000万ゼニーを出し、彼女も相応の材料を用意して、SG構成員にレベリオが出した1000万ゼニーをイータの研究費に宛てた。

その後レベリオが調理場に向かい、ミツゴシの閉店作業を終えた後様子を見に来ると、レベリオが調理場の冷蔵庫の近くで倒れていたのを発見し、寝ていた事に安堵するも、数日前にアルファに言われた事を反省し、レベリオを近くの部屋に送り、自身への戒めとしてレベリオが目を覚ますまで彼に膝枕をした。

その後レベリオが目を覚まし、学園に向かう前に彼に冷蔵庫のチョコを七陰の皆と分けて食べてと言われた事で彼女はそれをレベリオからの愛情と勘違いしてしまう。



単語殺し(ワードキラー)


相手の魔力と精神を操作して特定の単語を言えなくする、レベリオ=ウルティオ曰く『呪い』技

相手の魔力を捜査する為に、自分の魔力は一切使わず、相手の魔力を使う為に普段使っている自分の魔力と使い勝手が違う為に魔力制御力をかなり必要とする。

が、慣れれば相手に自分の魔力痕跡を付ける事なくこの技を使える。

また、この技だが、相手が言えなくなった単語を言おうとすればするほどその相手の魔力が減り、レベリオが旅の途中に『3rd』の構成員を1人捕えこの技を使った後、その構成員は言えない単語を言い続けられて魔力が尽きて死んだらしい。

ちなみに、レベリオ曰くこれの派生・上位技も使えるらしいが……?



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