転生したら陰実の世界にいた件   作:リベリオンβ

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小さめのお話なので後書きはありまっせん


アイリスをわからせ!

 

 

 

 

アイリス「……全く、無茶をしてはいけないと言って数日で……」

 

アレクシア「申し訳ありません、姉様」

 

 

 

もうそろそろ日付が変わる頃、アイリスの家にて、左腕を負傷して療養していたアレクシアが、アイリスから注意を受けていた。

 

ちなみに彼女の左腕はアイリスが治した、アレクシア自身もこのくらい治すのは訳なかったが、負傷した所を目撃されて怒られたと同時に治されたのだ。

 

 

 

アイリス「……とにかく無事でよかった……。

それで、通り魔と交戦中にウルティオと出会ったのね?」

 

アレクシア「はい、私でも手こずる相手を一瞬で戦闘不能に……。

まあ、彼はゼノンを一方的にいたぶっていたので、かなりの実力を持っていたのは知っていましたが……」

 

アイリス「ウルティオ……ね。

結局、レベリオ君からの情報以上の報告もなく、実態も掴めないまま……。

どの報告も、組織の戦闘力が極めて高い、ただそれだけ……《シャドウガーデン》の目的すらわからない」

 

アレクシア(……今は姉様と一緒にいるけど……やっぱり今日は現れないの……?)

「シャドウとウルティオは《ディアボロス教団》と敵対していました。

彼らの目的は教団にあるのでは?」

 

アイリス「やはり、手がかりはそこか…。

シェリーさんに頼んだアーティファクトの解読で、何か掴めるかもしれない。

魔人ディアボロスを信仰する……もしくはその力を私物化するただの宗教団体かと思ったけど、想像以上に根が深いわ」

(レベリオ君はあれ程の組織を1人で……)

 

アレクシア「例の放火事件ですか」

 

アイリス「それもあるけれど、実は『紅の騎士団』の予算案が通らないの。

レベリオ君が忠告したにも関わらずに、3人の団員が過剰に魔力を使用して死んだ影響もあるでしょうね。

レベリオ君が『ヴェンデッタ家』の総力を持って支援するとは言ってくれてるけど……このまま彼に甘えてばかりではいられないし……」

 

 

 

その発言を聞いてアレクシアは眉をひそめた。

 

 

 

アレクシア「やはり、騎士団以外にも教団の人間が……」

 

アイリス「そうかもしれないわね。

レベリオ君が、ミドガル王国内の教団の刺客を既に何十人も闇討ちしてると言っても、実際にどれだけ潜伏してるか定かじゃないから……。

とはいえ、仮に文官にも教団の人間がいたとしても、騎士団の設立を強引にしてしまったから、私も強く言えないのだけどね」

 

アレクシア「お金なら私も出します。

レベリオ君ばかりに甘えるわけにはいかないのでしょう?」

 

アイリス「気持ちだけでいいわ。

それをレベリオ君が聞いたら、彼はもっと無茶をすることになるから」

 

アレクシア「……そうでしたね。

となると、後は人数ですか、3人もレベリオ君の魔力を過剰に使って死んだ結果、『紅の騎士団』は私を入れてもたったの7人……正式な騎士団員ではないけどレベリオ君を入れても8人…」

 

アイリス「とはいえ、今大きくしても仕方ないわ。

まだ誰が敵か味方かわからないもの」

 

アレクシア「姉様、あの……。

姉様、シャドウとウルティオとは戦ってはいけません」

 

アイリス「アレクシア、貴方までレベリオ君と同じ事を……」

 

アレクシア「姉様は2人を知らないからそんな事が言えるのです。

特にシャドウの……あの、王都の夜を染めた一撃を姉様も見たはずです!」

 

アイリス「あれはアーティファクトの暴走と言う事で結論が出たはずよ」

 

アレクシア「そんなっ!私は確かにシャドウが放つのを見ました!」

 

アイリス「あれは人間が放てる威力ではないの。

そう、レベリオ君ですらあれ程の力を放って見せた事はなかった。

あなたは何日も監禁されて記憶が曖昧だった。

それに変な薬で幻覚を見ていたかもしれない。

私はあなたが嘘をついているなんて思ってないの。

ただ少し……疲れていただけよ。」

 

アレクシア「姉様っ!」

 

アイリス「それに、例えあれがシャドウという男が放ったとしても……レベリオ君がウルティオに勝てないとしても……逃げるわけにはいかないわ。

例え、私がレベリオ君より弱くても…私が逃げ出したら、誰がこの国を守るの?」

 

アレクシア「姉様の敵は《シャドウガーデン》と《ディアボロス教団》どちらだと?」

 

アイリス「………………。

両方よ、この国で、勝手なことは許さない」

 

???「クックックックック………ハーハッハッハッハッハ!!!

それは、我らへの宣戦布告と受け取ってもいいのかな?」

 

アイリス&アレクシア

「「!?」」

 

 

 

アイリスが2つの組織を敵と言った途端、部屋中が黒い霧に包まれる。

 

そしてその黒い霧は徐々に集約され、人の形を保ち、やがては人の姿となった。

 

そして2人の目の前に、ウルティオが現れたのであった。

 

 

 

アレクシア「ウルティオ……!?

あなた、どうやってここへ……!?」

 

ウルティオ「おいおい、一部始終を見ただろう?

この身体を黒霧に変化させれば、建物の隙間から侵入することなど容易い事だ」

 

アイリス「こんな所まで来て……戦うつもりですか…!」

 

 

 

アイリスが直ぐ様剣を抜き俺に向ける。

 

やれやれ、こっちはアンタの妹さんが目的を聞きたいって言ったから姿を見せたってのに、酷いもんだ。

 

これではまるでデルタと大して変わらん。

 

俺は両手を上げてそのまま会話を続ける。

 

 

 

ウルティオ「やめ、やめ、酷いものだな、俺はそっちのアレクシア王女が目的を聞きたいって言ったから、こうして1人丸腰で現れたというのに……。

それとも何かアイリス・ミドガル?アンタは国の脅威となる者はすぐに力ずくで対処する事しか脳がないのか?」

 

アイリス「貴様っ……!」

 

アレクシア「待ってください姉様!」

 

アイリス「アレクシアっ!邪魔をしないでっ!」

 

アレクシア「姉様、ウルティオは目的を話すと言っています、なのに今ここで敵対し戦えば、完全に《シャドウガーデン》を敵に回す事になります!

2つの組織に板挟みにされたら、この国は終わりです!」

 

アイリス「……っ!」

(……確かに、アレクシアの言う通り……。

ただでさえ教団もいるのに、ここでシャドウガーデンまで完全に敵に回したら…。

シャドウのあの一撃がアーティファクトの暴走だったとしても……あんなのを何度もやられてはこの国が滅ぶ……!

しかも、レベリオ君でも勝てる保証のない相手に私が勝てるの……?)

 

 

 

 

ズキン

 

 

 

 

ウルティオ(……まただ、なんだ……?この胸から来る痛みは……?)

「……どうやら、アレクシア王女の方は話を聞く気はあるようだな。

ククク……陽の当たる世界で生きているにも関わらず、力ずくでしか解決しようとしないアイリス王女とは大違いだ」

 

アイリス「貴様……!まだ言うかっ!」

 

 

 

アイリスが俺の首に剣を近づけてくる。

 

そしてそれと同時、俺の胸が痛んでくる。

 

……なんだこの痛みは?アイリスが原因なのか?

 

……いや、今考えるのはよそう、取り敢えずわからせない事には自分達が相手にしているのがどんな奴等かわからんからな。

 

どうにも、レベリオとして忠告したのがあまり効いていないらしい。

 

 

 

ウルティオ「おお、おお、相当お怒りの様で。

どうぞ遠慮なく斬っても構いませんよ、別に私は手を出すつもりはありませんし、今ここで斬ったところで敵対行為とみなすつもりもありません。

……そう言えば、シャドウが放ったあの一撃をアーティファクトの暴走だとか言っていましたねぇ……?」

 

アイリス「っ!?話まで聞いていたのかっ!」

 

ウルティオ「もしアーティファクトだと思うのなら、私の全身を存分に斬り刻んで見せたまえ。

…そうすれば、アーティファクトなどという玩具を使っているかどうか理解出来ますし、何よりアイリス王女の鬱憤も晴らせる、一石二鳥ではありませんか」

 

アイリス「……そう仰るのなら、遠慮なくっ!」

 

アレクシア「姉様っ!駄目っ!!!」

 

アイリス「ハァアァアアアア!!!」

 

 

 

度重なる挑発を受けてアイリスもプツンと来たのか、ついに彼女が俺に斬りかかる。

 

それはあの日、教団によって実験台にされた悪魔憑きのミリアを斬り刻んだ以上に、俺の全身に剣を走らせた。

 

が、俺は『黒霧化』を使ってそれらの攻撃を擬似回避していく。

 

アイリスがまだ霧化してない部分を隅から隅まで斬り刻んでいく、いい、いいぞ!この方がわからせやすくなる!

 

そうして俺の生身の部分が、全て黒霧となった……。

 

 

 

「……――――!?」

 

アレクシア「そ、そんな……身体全てが、黒い霧に……!?」

 

 

 

アイリスは絶句し、アレクシアは驚愕する。

 

アイリスは確かに、ウルティオの全身を隅から隅まで斬り刻んだ。

 

だが…その隅から隅全てが黒い霧となった。

 

アーティファクトを使っているのなら、彼女の攻撃で壊れてもおかしくない。

 

例え壊れてないとしても今の攻撃で落とし、その音が鳴ってもおかしくない。

 

ところが黒霧のままになっているところを見ると、彼の姿はアーティファクトによるものではないということになる。

 

俺は黒霧を集約させて元の身体に戻っていく。

 

 

 

ウルティオ「……気は済んだかな?アイリス・ミドガル?」

 

アイリス「そんな……そんな、馬鹿な……!?」

 

ウルティオ「これで理解したかね?私の力も、シャドウのあの一撃も、アーティファクトなどという玩具のものではないと言う事を。

そもそもそんなものを作る暇があるなら常日頃鍛錬して研鑽を重ねればいい」

 

アイリス「……くっ!」

 

ウルティオ「その様子だと、理解こそすれど納得出来ない、と言ったところでしょうか。

まあそれだけでも充分です、さて本題に入りましょうか」

 

アレクシア「貴方達シャドウガーデンの目的は何……!?」

 

ウルティオ「知れた事を、世界各国に潜み陰で世界を支配する《ディアボロス教団》をこの世から根絶やしにする事。

そして……奴等の実験台にされた3人の英雄の子孫……つまり、悪魔憑き達を元に戻して行く、現状目的はこの2つだけだ。

……前者が達成すれば、後は後者に徹するしかないが」

 

アイリス「その為にミドガル王国や……他の国がどうなってもいいというのかっ!!」

 

ウルティオ「私個人としてはなるべく被害を出さないようにしたい、と言いたい所だが……そもそもこんな事態になったのも、教団を抹消しようとせず、知ろうともしない、他の国のお偉いさんを含めたお前達愚者共が招いた結果だ。

クラウス国王ですら、自らが教団に対抗するべく秘密裏に結成した組織『十三の夜剣』が教団と繋がっているのを……知ってるか知らないかは定かではないが、有耶無耶にしたままだ。

お前達さえしっかりしていれば、我らが表舞台に現れる事はなく、アレクシア王女も誘拐される、などという事態は起こらなかった、違うかね?」

 

アイリス「くっ……!」

 

 

 

俺に正論を言われてアイリスは反論のしようがなかった。

 

確かに教団の存在をもっと早く知っていれば、こちらで対応出来ていたかもしれない。

 

 

 

アレクシア「じゃあ、貴方は私達だけで、この国に潜む教団の者を全て仕留めれば、現れないと言うの?」

 

ウルティオ「貴様らが出来たら、の話だ。

レベリオ・ヴェンデッタも奮戦してはいるようだが……奴やお前達が思っているより、この国には遥かに教団の刺客が潜伏している。

故に……休んでる暇はないぞ」(アイリスに指を指す)

 

アイリス「……!」

 

ウルティオ「うちの大将はそれ程気が長くないのでね。

あまり悠長にしているとこの国ごと、滅ぼしてしまうかもしれん。

……忠告はしたぞ、後はお前達次第だ」

 

 

 

そうして俺は身体を黒霧化させ、その場を去ろう……と、思ったが、折角なのでアイリスをもっと煽っていこうw

 

というわけで上半身だけを霧化せずに残してさらに言葉を続けていく。

 

 

 

「しかし、レベリオ・ヴェンデッタも可哀想な男だ……。

貴様のような力ずくでしか解決しようとしない脳筋女と共に過ごす事になるとは……」

 

アイリス「何……!?

貴様がレベリオ君の何を知ってる!?」

 

ウルティオ「知っているとも、奴の今の実力も、秘めている力も、その甘さもな……。

奴から甘さが抜ければ、我らに匹敵する程の力を今頃は持っていた……こんな所で腐るような男ではない」

 

アレクシア「ウルティオ……貴方何が言いたいわけ!?」

 

ウルティオ「つまりだ、お前たちの怠慢が教団にミドガル王国をいいようにされ、本来もっと強くなれる筈のレベリオは大して強くなれなかった……。

やはり、無理にでも《シャドウガーデン》に入れるべきだった、あれ程の男と敵対するのはなんとも惜しいものよ……」

 

アイリス「当然です!レベリオ君が貴方達の味方になるわけがない!」

 

ウルティオ(・・・一応本人なんだけどなぁ)

「ハッハッハッハッ……奴も同じ事を言っていたな……。

何度も剣を交え、勧誘しては同じ事をな……。

その言葉を聞く度、どれだけ惜しいと思った事か。

まあいい、さっきも言ったがあまりのんびりしてる暇はないぞ、万が一シャドウが本格的に動いてしまったら……もう俺も止まれない。

この国も、お前達も、レベリオ・ヴェンデッタも……終わるだろう……。

ではさらばだ、精々頑張るがいい……」

 

 

 

そしてウルティオは2人の王女の前から黒い霧となって消滅した……。

 

 

 

アイリス「好き勝手な事を……!

奴にこの国を……レベリオ君も…!好きにはさせない!」

 

アレクシア「悔しいけど…ウルティオの言う通りね……。

早めに国内にいる教団の刺客を殲滅しないと……」

 

アイリス「わかっているわ!わかって……」

(……でも、どうしたらいいの……?

レベリオ君……こんな時貴方ならどうしていたの……?)

 

 

 

口では自分を奮い立たせながらも、アイリスは今この場にいないレベリオに助けを求めていた。

 

 

 

 

 

 

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