転生したら陰実の世界にいた件   作:リベリオンβ

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vsローズの戦闘シーンがpixiv版と少し違いますが、物語の進行に影響はありません。


選抜大会を通しても……

 

 

 

夜中の王都郊外の廃墟にて、《ディアボロス教団》の伝令担当の構成員と、1人の鎧を纏った教団の幹部『痩騎士』、さらにヘラヘラとしている教団構成員、ディアボロス・チルドレン『1st』の1人『叛逆遊戯』の『レックス』がいた。

 

 

 

教団員「本日も人形31人……連絡が途絶えました」

 

レックス「オイオイマジかよ、いくら『3rd』つっても、まともに人斬りも出来ねぇのか?」

 

痩騎士「………」

 

レックス「えっと確か…シャドウガーディアン…」

 

痩騎士「《シャドウガーデン》だ、『レックス』」

 

レックス「そうそう!人斬り事件がそのシャドウガーデンだって噂も聞かないし……どうすんよ痩騎士さんよ?」

 

痩騎士「何故シャドウガーデンがやったという噂が出ないのかは不明だが……既に例のモノの所在がわかった。

今はその回収が最優先だ」

 

レックス「んじゃあ、そこに行って『我等はシャドウガーディ』……じゃなかった、ガーデンって言やぁ、今度こそ人斬り事件はシャドウガーデンの仕業ってなるなぁ」

 

痩騎士「ああ、かなり『3rd』をやられたが、それはいくらでも替えは効く。

近い内に事を起こすぞ」

 

???「フフフフ……やる気だな、『元ラウンズ』さんや」

 

 

 

近日中に、事を起こすと言った矢先、3人の前に1人の男が突如現れた。

 

 

 

レックス「おっとこりゃ…最近ラウンズの第十席になったマーオウ様じゃないですかぁ…」

 

痩騎士「マーオウ…様、何用で?

ここはフェンリル様の管轄ですが……?」

 

 

 

最近ラウンズ第十席になった『マーオウ・スーキ』が、3人の前に現れたのだ。

 

マーオウは不敵に笑いながら、痩騎士に話しかける。

 

 

 

マーオウ「フフフ…R…いや失礼、痩騎士と呼ぶべきか。

随分時間がかかってるようだから、手助けをと思ってね」

 

痩騎士「心遣い感謝する、マーオウ様……。

しかし既にアレの所在は判明してます故……」

 

マーオウ「だから問題ない、と?

貴様も元とはいえラウンズだったんだから、もうちょい念押ししろよ……?

アレを手に入れたからと言って、貴様の病気は治らねぇんだからよ」

 

痩騎士「……」

 

レックス「ま、まさか、マーオウ様自ら……?」

 

マーオウ「んなわけねぇだろ、あの方からの指示でな……『悪魔憑き』と新しい魔人の細胞と力を合成した実験体を試せと言われてな。

……で、貴様らが悠長にやってるから、その実験体に手助けさせて、実験データを取る、ってわけなのさ。

さて……今呼び出してやるよ」

 

 

 

マーオウは魔力を練り始め、自身の後ろに魔法陣を展開する。

 

そしてその直後、3体の、身体中を鎖に縛られた2m強の大きさはある異形の存在が現れた。

 

その2体は、身体から黒に近い灰色の魔力を発していた。

 

 

 

3体の怪物「「「オォォォォォォオオオ……」」」

 

レックス「うぉお……こりゃエグそうだなぁ。

痩騎士さんより強いんじゃねえか?」

 

痩騎士「……力はともかく、持っている魔力だけならそうかもな。

だが、よもやアレを使ったら弱くなる、というわけではありませぬな?」

 

マーオウ「そこは問題ない、汎ゆるアーティファクトを使って、そっち系統の耐性はつけてある。

後は、こいつらをどう扱うか貴様らの腕に掛かってるってわけさ」

 

レックス「うひょー……」

 

マーオウ「では後は任せる。

まあ、ラウンズに返り咲いたところで貴様の席は俺より下だがな。」

 

 

 

そしてマーオウは3体の異形の怪物を残して去っていった。

 

 

 

痩騎士「……余計な事を……。

……まあいい、これでついでにシャドウガーデンの奴らもやれるというのなら、それを手柄にして立場を判らせてやれるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、チョコ配りから数日、俺はブシン祭選抜大会にて原作でもあったシドvsローズを見るわけだが……。

 

 

 

レベリオ(・・・モブ式奥義って言うけど、俺から見たらある意味目立ち奥義何だよなぁ……止めても良かったけど、そうしたらローズがシドに好感持たなくなっちゃうし)

 

 

 

シドvsローズの試合が始まって早々、ローズの剣がシドの腹のド真ん中に直撃。

 

するとシドは斜め上に回転して飛んでいった。

 

端から見て明らかに出血多量レベルの血を出して。

 

実際は素早く破いた血液袋からの血なのだが、そこはバレないようにしている。

 

壁に激突した直後、またバレないように血液袋を破いて、端から見たら多量出血してるように見せかける。

 

これで終われば「なんだただのモブか」ってなったのだが……。

 

 

 

(いやダメだって、モブでいたいならそこで立ち上がっちゃダメだってマジで言いたい。

あと、嗤うな、それはアカン)

 

 

 

何故かシドの奴立ち上がりやがった。

 

人工血液ではあるが、端から見たらその血の量、致命傷だからな?

 

こいつのモブの概念マジでおかしい。

 

その後もシドのモブ式奥義ならぬ目立ち奥義は炸裂。

 

端から見たら、派手にやられて、立ち上がり向かい、やられて、立ち上がり向かい、やられる繰り返し。

 

痺れを切らしてイラついた俺はこっそり超小型のスライムドラグーンを展開してそのスライム弾をシドに当てようとする。

 

勿論俺の観客席からだ。

 

そして12回目にやられると同時……。

 

 

 

(えいっ)

 

シド「ブヘェ!?」

 

 

 

ローズの剣がシドの左胸部を突いたと同時に、同じ箇所に1ミリもないスライム弾を撃ち込んだ。

 

超小型だけど貫通力特化、しかも魔力もそこそこ練ってるから青紫の魔力を纏ってないシドならこれで簡単に貫通する。

 

ていうか刺されてるんだから、身体に風穴開けろ。

 

その方が自然だろ?

 

そして13回目………。

 

 

 

「まだだっ!まだ僕はやれるっっつ! ――ごはぁ!」

 

 

 

ローズがシドの右の腹目掛けて剣を振ったので俺もそこにスライム弾を撃ち抜く。

 

14回目。

 

 

 

「まだだぁあ!まだまだァア! ――がばぁっ!!」

 

 

 

今度はシドの左のコメカミに撃った。

 

普通の人間なら撃ち抜かれて即死だ、まあシドなら大丈夫だろ。

 

15回目。

 

 

 

「まだだァァァァァァァ!!! ―――んギャッ!!!」

 

 

 

同じ様な事をしてはモブ式奥義などという変に目立つ事をするシドにスライム弾を撃つ。

 

スライム弾の軌道を蛇のように曲げて、他の奴にバレないようにシドに命中させるのだ。

 

とはいえ1個しか展開してないから、児戯にすらならないんだよな。

 

ていうか立ち上がった後のセリフ、どんどんワンパターンになっていくんだが。

 

ただまだまだぁ!って言うだけでいいのか、いや、あ〜…いいか、一応モブには相応しいセリフだし。

 

 

 

学生A「おおっ!また立ち上がったぁー!」

 

学生B「やっぱただのレベリオ君の金魚の糞じゃなかったのか!?」

 

学生C「頑張れー!一撃でも当てろー!」

 

 

 

あ、アカン、ただでさえ本来俺とよく一緒にいるのに、一部の学生が俺の名前出しやがった。

 

おい、いいのかシド、お前、マジでモブになれてねーぞ?

 

ほんまそれはあまりにも強すぎる相手に意地でも倒れない、どっちかと言うと主人公ポジやで?

※原作主人公です

 

見ろよローズのあの表情!?原作通りまだ立ち上がれるの?ってめっちゃ思ってるやん!?

 

シド?お前それでえーのか?って言いたいが、当の本人はまだモブ式奥義は残ってる!(端から見たらまだ戦える!)と言わんばかりの表情だった。

 

だが、試合場の舞台は、どこにでもいる人から見たらシドの血(実際は血液袋や血潮等の人工血液)で一杯だ。

 

流石に審判もこれ以上は失血死すると思い――――

 

 

 

審判「勝者!ローズ・オリアナ!!」

 

 

 

試合終了の合図を出したのだ、結局この世界でもモブ式奥義は半分も出せなかったなシド。

 

俺としては12回目からスライム弾撃ち込めて少し愉悦感を感じて、もう少し撃ち込みたかったと少し残念に思っていたが。

 

 

 

モブD「おおっ!レベリオ君が嬉しそうだ……!」

 

モブE「日頃一緒にいる奴が、ローズ先輩の攻撃を15回も耐えてよく戦ったからか!?」

 

レベリオ(え、ちょ、何勘違いしてんだこいつら)

 

 

 

この様に他の奴らからしたら、いつも俺と一緒にいる奴がよく戦ったなと喜んでる様に見えている。

 

どんだけこいつらの頭パッパラッパーなんだよ。

 

 

 

シド「えっ!?そんなっ!?

僕はまだ戦えますっ!!奥義はあと三十三も残って―――」

 

審判「その出血量で何を言ってるんだ!おーい!誰か!担架持って来い!」

 

シド「待ってくれェェェエエエエエ!せめてあと九……この試合で半分使わせてくれえぇぇぇえええ!!!」

 

審判「いかん!錯乱しているっ!無理矢理運べっ!!」

 

シド「嫌だっ!嫌だァァァァァァ!!僕の晴れ舞台がァァァァァ!!!」

 

 

 

結局シドは審判含めて他の奴らに無理矢理運ばれたのであった。

 

……うん、まあそうなるよね。

 

俺は何も言わん、言わんぞ……。

 

シドが変なのは今に始まった事じゃないんでな。

 

おっと、次の試合そう言えば俺だった、さっさと支度してこよっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり俺は前回のブシン祭優勝者という事で俺が登場した時の周りの歓声がとんでもなかった。

 

こうなると、ほんとわざと負けるのは無理だ、かえって不自然に思われてしまう。

 

そんなわけで1回戦、2回戦の相手を瞬殺させて終わらせた。

 

……だって実力もモブレベルだったから、いちいち覚えてられないレベルだったから。

 

魔力なしでも充分勝てるのよ。

 

というか、自分のやりたい事考えながらでも勝てる、マジで。

 

まあ結局決まらなかったんだが。

 

さて、気を取り直して、次の3回戦目の相手が………。

 

 

 

クレア「今日こそアンタをたたっ斬って見せるわ……!」

 

レベリオ「まあまあ、そんなカリカリなさらずとも、気楽にやりましょうよクレアさん」

 

 

 

シドの姉、クレア・カゲノーだった。

 

そう言えば剣を交えるのって彼女が誘拐される少し前だったから、ざっと2年ぶりなんだよな。

 

俺は学園に入学した後、すぐに家に帰ってアイリスと過ごしてるから、クレアと剣を交える機会なんて全然ない。

 

旅が終わって、アイリスと毎日同棲しても、彼女の寮には近づいてないから入学前もその機会はなかった。

 

 

 

クレア「そんなに余裕そうにして、後で怪我しても知らないから!」

 

審判「それでは、レベリオ・ヴェンデッタ対クレア・カゲノー!試合、開始!」

 

クレア「行くわよっ!」

 

 

 

開幕から全力でクレアが踏み込んで、選抜大会用の鉄の剣を振るう。

 

俺はその剣を軽々と、自らが持っている同じ鉄の剣で受け止める。

 

当然それだけでは終わらず、即座に彼女が追撃していく。

 

クレアの剣を直に見るのも2年ぶりなので、ここで彼女の剣を受け、見ているのも悪くない。

 

とはいえただ受けに回るだけでは観客受けしないので俺も少し攻めに転ずる。

 

1分程防戦した後、彼女と同じくらいの速度で剣を振るう、このくらいなら彼女も防いでくる。

 

が、問題はその後、クレアがこちらの剣を防いだと同時、彼女の右手首目掛けて素早く、左腕に力を込めて手刀を振る。

 

一撃で終わりじゃないのが戦闘だからね。

 

 

 

「…っ!」

 

レベリオ「……次、三の手」

 

 

 

右手首をやられた彼女は競り負け、押されていく。

 

そこから俺は素早く、追撃の突きを放つ。

 

………アイリスに放った突きと同じ速さでね?

 

 

 

クレア「くっ!?」

 

 

 

その突きの速さにクレアは右肩を少し深めに斬られてしまう。

 

事前に回避行動は取ったようだが、あまり躱せなかったようだ。

 

これでまだ終わりじゃない、四の手だ、突いた剣をそのまま右にゆっくり振る。

 

俺にとってはゆっくりでも、普通の魔剣士からしたら相当速い剣だ。

 

クレアは左後方にバックステップしてそれを躱していく。

 

敢えて追撃はせず、彼女の次の攻めを待つ。

 

 

 

「はぁ…はぁ…なんか…前より強くなってない?」

 

レベリオ「安心してください、クレアさんと同じくらいの力しか出していません」(^^)

(右肩の傷……骨まではギリギリ届かなかったか。

まあ、この程度で戦闘不能になるようじゃあ、シャドウガーデンの構成員を鍛える方が有意義なんだけど)

 

 

 

この言葉は決して嘘ではない。

 

事実、彼女はこれくらいの剣速を出せる程のポテンシャルはあるはずなのだ。

 

アレクシアもそうなんだけど、クレアも鍛え方次第ではアイリスより良い線行くと思う。

 

ただ悲しいかな、彼女と実力が拮抗している相手がこの学園だとローズくらいのせいか、そのポテンシャルが出せないでいるのだろうか?

 

……わからん。

 

 

 

クレア「っ!ホント、その余裕そうな態度ムカつくわね……!」

(でも、やっぱり強いわね……。

あの体勢……カウンター狙い……と見せかけて、攻めて来る……?

右肩の傷…剣で防ぐのはキツイわね…魔力で治せるけど、その隙を攻められたら詰みだわ。

攻められる前に…こっちが攻める!せめて一撃入れてやるんだから!)

 

レベリオ(さて……どう攻めて…って、突っ込んできたか。

折角なので、あれを試して終わらせるか)

 

 

 

ある1つの技を試して終わらせようと考えていた矢先、クレアが魔力を込めて突っ込んで来る。

 

骨には届いてないものの、肩の傷からして、隙を突かれるとマズイと思ったのだろう、俺との実力差も理解してる。

 

だからせめて一撃いれる、彼女が考えそうな事だ。

 

そして彼女の剣が振るわれた、その刃が俺に近づいてくる。

 

その刃を――――――

 

 

 

(確か名前は……)

「……『刃崩し』」

 

クレア「なっ――――!?」

 

 

 

上下左右に小刻みに素早く、こちらの剣で叩いて弾き飛ばした。

 

いやぁ、実際の剣でもやれるもんだなぁ。

 

かなりの手首の力がないと出来ないって言われていたが、まあ普段鍛えてりゃ問題ない。

 

多分慣れれば今のクレアでも出来る。

 

2年前よりは剣の腕は鋭くなってるからな。

 

などと内心呟きながら、剣を弾き飛ばされたクレアに俺は剣を向けていた、そしてそれが……。

 

 

 

審判「勝者!レベリオ・ヴェンデッタ!」

 

 

 

試合終了の合図となった。

 

審判から見ても、剣を弾かれた上に、相手から剣を向けられては、もう勝負ありと判断するしかなかったのだろう。

 

もし判断しなかったら、こちらが剣を振って、かなりの血を見ることになる。

 

やはりあれか、1回戦目のシドの二の舞にしないようにするためか。

 

 

 

クレア「……アンタ、何よ、今の『刃崩し』って……?」

 

レベリオ「……あれ?もしかして聞こえてました?」

(しまった、声に出していたか)

 

クレア「聞こえてたわよっ!?アンタどうやって私の剣を弾いたのっ!?」

 

 

 

過去に手合わせした時とは、まるで違う剣の弾き方だった為か、クレアがこちらに詰め寄ってきた。

 

まあ、まだ彼女が学園に入学する前に手合わせした頃は、大体こちらが攻めて彼女の剣を弾いてばっかりだったからなぁ。

 

しかも、俺手首しか素早く動かしてないからどうやって弾いたのか多分見えていないのだろう。

 

 

 

レベリオ「えっと……剣を正面に構えて、相手の剣を素早く上下左右に剣で叩いて弾く技、ですよ」

 

クレア「はぁっ!?そんな弾き方あったの!?」

 

レベリオ「別に驚く事はありませんよ、慣れればクレアさんも出来ます。

言いましたよね?『クレアさんと同じくらいの力しか出していません』と」

 

クレア「……だったら、今度、私にもやり方教えなさいよ」

 

レベリオ「ええ、構いませんよ。

それと、対戦ありがとうございました」

 

クレア「ええ、ありがとう」

 

 

 

こちらと同じくらいの力しか出していないと信じているのか、今度やり方を教えるように言われる。

 

まあ、実際表舞台の俺は相手と同じくらいの力しか出さない、あんまり出し過ぎてシャドウガーデンの『ウルティオ』だとバレたら事だし。

 

バレなくても、魔力なしで戦っても、半分以上の力を出してしまったら、クレアやローズ辺りならなんとか多少深い傷で済むだろうが、そんじょそこらのモブ魔剣士だと最悪殺しかねないからなぁ。

 

ちなみにクレアは割と突っかかってくるが、真面目に接していれば、この様に素直になる事もあったりはする。

 

その結果、初めて会った時と比べて、結構丸くなってるような気がする。

 

 

 

レベリオ「ところで、肩の方は大丈夫ですか?」 

 

クレア「このくらい、魔力で治せるわよ。

骨まで届いてないから、簡単にね」

 

レベリオ「左様ですか」

 

クレア「……アンタ、このまま勝って優勝するんでしょ?」

 

レベリオ「どうでしょう?

他の優勝候補といえばローズ先輩でしょうか、彼女の実力を知りませんので」

 

クレア「ホント、会った時から思ったけど謙虚ね」

 

レベリオ「未知の相手程、強いと感じますからね。

旅の経験です」

 

クレア「……ま、頑張りなさいよ。

次こそは一撃入れてやるんだから」

 

 

 

はたして何十回目になるのか、これまで俺が勝った後と同じ様な事を最後に言ってクレアは退場していく。

 

うん、ほんと、初めて会った時と比べてマジで丸くなってるよなぁ。

 

……ヤバい、時折クレアが本当に姉だったらってマジで思ってしまう。

 

なんて考えていると、約2名のク◯の声が聞こえる。

 

 

 

ヒョロ「おっしゃー!!!やっぱレベリオが勝った!儲け儲け!」

 

ジャガ「でも倍率低いせいでなかなか儲からないのです」

 

ヒョロ「バカ!儲からないよりはいいだろ!」

 

 

 

……俺は賭け事する奴の気持ちはわからん。

 

ただこれだけは言える、最低だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ローズ

 

 

 

ローズ「やはり……強いですわね、レベリオ君…。

彼と一緒にいるシド君があれ程の強い心を持つのもわかります」

 

 

 

観客席で、私はレベリオ君とクレアさんの試合を見ていました。

 

彼女の攻めを簡単に防ぎ、いなしていき、隙を見て素早く攻めていく。

 

クレアさんは間違いなく特待生の中でもかなりの実力者、でもそれを簡単にあしらうレベリオ君も凄い。

 

流石前回のブシン祭でアイリス王女を、魔力を使わずに倒して優勝しただけの事はあります。

 

1回戦、2回戦と、彼の試合を見ましたが、いずれも扱う剣術は異なるもの。

 

ですがいずれも速く、何より綺麗……。

 

それ故に、私はこう思ったのです。

 

 

 

(もしかして…彼が『あの人』なのでしょうか?)

 

 

 

かつて私は幼少の頃、盗賊によって攫われ人身売買されそうでした。

 

ところが、突如見慣れない被り物を被った人が現れて私を攫った盗賊達を次々と、容易く打ち負かした。

 

声からして、私とあまり歳が変わらない男の人でした。

 

その人の振るう剣が華麗と言うべきか、綺麗と言うべきか、それ以外に言葉が見つからない程の剣術だったのです。

 

オリアナの姫として、相応しくなろうとするために芸術に傾倒していた私は、その次の日から剣術に勤しむ毎日を送ってきました。

 

例えオリアナにとっては異端であろうとも……あの人の様に強くなる道を選んだのです。

 

そして選んだ道を極め、いつかあの人に会う為に……!

 

 

 

「……!いけない!そろそろ私の試合でしたね……」

 

 

 

昔を思い出していると、そろそろ私の試合が始まることを思い出し、私は進みました。

 

決勝で、レベリオ君と戦えるのを楽しみにしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

クレアとの戦いを終えた後は、自分が何になりたいのかを考えながら、次々と勝ち進んでいった。

 

ていうかさ、考え事してて、割と今の俺隙ありまくりなのに一撃も当てられないってどうなのよ?

 

これが本当のモブか、あいつもこいつらの動きを見て参考にして欲しいものだ。

 

色々考えている内に、決勝戦、ローズ・オリアナとの戦いの舞台に来てしまっていた。

 

 

 

レベリオ(俺のなりたいもの……)

 

ローズ「あら?レベリオ君でも緊張なさるのですか?」

 

レベリオ(違う、そうじゃない、って言いたい。

……今考えても仕方ないか、試合に専念しよう)

「……まあ、そうですね。

ローズ先輩とは一度も剣を交えてないので」

 

ローズ「ふふ、前回のブシン祭優勝者と言われてるレベリオ君も、人の子ですね。

リラックスして、正々堂々戦いましょう」

 

レベリオ「正々堂々、ですか。

はたして、私の剣がローズ先輩のお眼鏡にかなうかどうか……」

 

ローズ「そんなに謙遜なさらずとも、これまでの試合を見てきましたが、レベリオ君の剣は素晴らしいものでしたわ」

 

レベリオ「それは何より。

ところで……どうでしたか?シドとの戦いは」

 

ローズ「ええ、まさに不屈の精神、どれだけ身体の限界を迎えても立ち上がり、絶対に負けられないという心の強さに、剣の勝負は勝ちすれど、心の勝負は負けてしまいましたね」

 

レベリオ「アレは間違いなく強くなる、ローズ先輩もそう思いましたか?」

 

ローズ「ええ、それはもう。

また戦う時、強くなったシド君と戦えるのを楽しみに―――」

 

審判「お、オホンッ!そろそろ始めてもよろしいでしょうか?」

 

レベリオ&ローズ「「あ、すみません……」」

 

レベリオ(ついつい話が長くなるんだよなぁ)

 

ローズ(もう少し話したいところですが……今は選抜大会の最中。

レベリオ君、胸を借りるつもりで参りますよ!)

 

 

 

審判の一声によって話を中断されてしまった俺とローズは、それぞれ剣を構える。

 

俺は勿論片手で剣を構える、幼い頃からだけど、この方がしっくり来るんだ。

 

もう片方の手が空いてる方が、色々手段があるからね、二刀流ならともかく、両手で剣を取るなんて、戦う手段をいくつか捨てているようなものだ。

 

両手持ちのパワーなんて、隠してるフィジカルで別に補えるからね。

 

 

 

審判「それでは、選抜大会、決勝戦!

ローズ・オリアナ対レベリオ・ヴェンデッタ!

試合、開始!」

 

 

 

そしてローズとの戦いが切って落とされたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

シド「ふぅ……さて、決勝戦はレベリオとローズ生徒会長か……」

 

 

 

レベリオは前回のブシン祭で優勝してしまっているから、多分ここで負けると家の名前に関わってしまうからやむを得ず勝ち続けてるけど……。

 

このままだと、ブシン祭でまた勝って優勝してしまうんだよね、それはいただけない。

 

あ、でもあれか、僕がいかにも弱そうな一般人になりすまして一般でブシン祭に出場すればいいか!

 

そうすれば陰の実力者プレイ出来るし、何より今のレベリオの近接戦闘技術がどれ程か確認出来る!

 

半年前のあの戦いからどれだけ強くなってるか見ものだね。

 

こういう表舞台じゃあ『赤』の魔力しか見れないのは残念だけど、魔力だけが全てじゃないから。

 

 

 

(あ、魔力といえば……レベリオ、あれから『黒』の魔力はどう扱っているのかな?)

 

 

 

そう、レベリオが何になりたいのかを考えているのかも気になるけど、レベリオが持っている『黒』の魔力も気になる。

 

今は『黒紫』の魔力をメインにしてるけど、これからも魔力を扱った技を中心にして強くなっていくのなら、あの『黒』の魔力も完全に使いこなさないといけない。

 

あれを半年前、久しぶりに見た時は、僕も手が震えた。

 

そしていざあの魔力を浴びたら、転生前の、陰の実力者になりたい僕に対して色々言ってくる人達の声、死んでいった人達の怨嗟、何と言うか……ありとあらゆる負の感情が僕にぶつかって来た。

 

転生直後からあんな魔力をずっと抑えてるのも納得だ、あれは使い方を誤れば、世界が終わると言っても過言じゃない。

 

それだけに、レベリオがあの魔力の扱いに慎重になるのも納得がいった。

 

でもおかしいよね、『悪魔憑き』になったゼータを助けた時に初めてあの魔力を僕が見た時は、手が震える程のものじゃなかったのに。

 

 

 

(うーん、本人に聞いてみても『わからない』の一言なんだけど……旅をしてる時に何かあったとしか考えられない。

いくらなんでも、あんな魔力の性質の変化は僕も見たことないしなぁ……)

 

 

 

なんて考えながら、レベリオとローズ生徒会長の戦いが始まって2分が経過していた。

 

そして、お互いに距離をとって少し様子を見ていた所、レベリオが剣を鞘に収めた

 

 

 

(………?あれは……居合……?この距離で……?

魔力も感じないし……もしかして!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side レベリオ

 

 

 

 

ローズとの戦いが始まって2分が経過した。

 

今扱っているのは選抜大会用の鉄の剣だが、やはり斬るよりも突き攻撃特化のレイピア型の剣を普段使っている故か、彼女が放つのは突き系統の攻撃が多い。

 

故に…戦いとなると彼女から見て俺との相性はやや悪い。

 

何故なら俺も、どちらかと言うと斬るよりも突く方が好きな部類だ、その為こちらの狙いをつけられない、あるいは通常では回避がし辛い身体の部位を所々突いてきても俺は軽々と防ぎ、避けられる。

 

こういうのは、分身使っていくらでも訓練して来たからな。

 

最初の何撃かでそれを理解したのか、斬撃を最初の2、3回程放ってこちらの僅かな隙を本命の突きで突いてくる。

 

まあ、あちらの斬撃を回避に専念して、本命の突きを剣で防いだ後、後ろにバク転して距離を取って、突っ込むか様子を見るか選べる余裕はあるけどね。

 

さて、どうやって倒そうかを考えてはいたが……『自然の剣』『神速の剣』『風神の剣』はレベリオとしての俺が使うわけにはいかない。

 

そうなると、前回のブシン祭と今回の選抜大会を合わせるとなぁ……片手で剣術はちょっとマンネリ気味だ。

 

かと言って両手で剣を持つ気にもなれない。

 

うーん、やっぱ、『裏ブシン流』しかないか……?

 

いやいや、シドが見てるから、あれは出来ればあんまり見せたくない。

 

まあでも……『奥義』を使わなければいいのか……?

 

いや……通常の技と奥義は明らかに違うし、何より『裏ブシン流』は俺とアイリスだけの秘密にしてるから誰も知らない。

 

うん、1つか2つだけ、しかも奥義を使わなければ大丈夫だろ。

 

意を決した俺は鞘を取り出し左手に構え、右手に持っていた剣を収めて居合の体勢に入る。

 

この剣は選抜大会用の剣だからアーティファクトと誤解される事もないから問題なかろう。

 

 

 

 

ローズ「………?」

(この距離で居合の構え……?)

 

レベリオ「さて、ここでローズ先輩に質問です」

 

ローズ「な、何でしょう……?」

 

レベリオ「ローズ先輩は飛ぶ斬撃を見たことはありますか?」

 

ローズ「と、飛ぶっ…!?」

 

レベリオ「今見せましょう、『裏ブシン流』……!!!」

 

 

 

俺はローズと距離が離れたまま、居合の斬撃を放とうとする。

 

普通なら距離が離れ過ぎて当たるわけがない。

 

だけどね……修行の旅をして来た俺にそんな常識は通用しない……!

 

 

 

「『真空』……!」

 

ローズ「!?」

 

 

 

居合の斬撃を放った途端、『飛ぶ斬撃』がローズを襲う。

 

某海賊漫画に出てくる剣士の飛ぶ斬撃を、魔力を使わずにやりたくて修行の旅で結構練習してたからね。

 

しかもこの剣も鞘も選抜大会用に支給されてるからアーティファクトと疑われる事なし!

 

なんならアイリスに聞けば問題ない、彼女もこの技が使えるからな。

 

ローズは何とか剣でそれを受け止める。

 

さてさて、突然の事で会場がざわざわしだした。

 

 

 

モブA「な、なんだ今の……?」

 

モブB「ただ、凄い風が吹いたとしか……」

 

モブC「ローズ先輩が突き飛んだ…?」

 

モブD「『裏ブシン流』ってなんだよ……!?」

 

 

 

まあ、『王都ブシン流』と似てる名前の流派があるなんて誰も知るわけないからな。

 

これは俺が『王都ブシン流』をベースに独自に生み出した剣の流派、つまり我流の剣だ。

 

アイリスにもいくつか教えてる、彼女の事だから『王都ブシン流』をベースにって言ったらあっさり教えを請いて来たよ。

 

おっと、それはまたの話にしよう、追撃だ、あんまり時間掛ける気はない。

 

ローズの剣を折ってしまおうか、ていうか彼女が接近して来た。

 

 

 

ローズ「魔力を使わない飛ぶ斬撃、お見事です。

ですが、隙を見せてはいけませんよ!」

 

レベリオ「……わざわざ剥き出しの隙を見せると思いますか?」

 

ローズ「!?しまっ……!?」

 

レベリオ「『裏ブシン流・刀破(とは)』」

 

ローズ「っ!?」

 

 

 

ローズの突きの剣に、カウンターして、彼女の剣の側面を突く。

 

次の瞬間、彼女の剣は折れてしまった。

 

そして俺は彼女の折れた剣を素早く弾き、剣を向ける。

 

 

 

レベリオ「これで終わりですね」

 

ローズ「こ、降参、します……」

(隙を狙ったつもりが、剣を折られるなんて……!)

 

審判「しょ、勝者!レベリオ・ヴェンデッタ!」

 

 

 

ローズが降参した事により、選抜大会の優勝が俺に決まった。

 

多数の観客から色々な声が聞こえるが、何を言っているか詳しくは聞こえなかった。

 

『裏ブシン流・刀破』も本来は折る程度じゃなく、剣を粉々にする程の技に設定して、実際出来たのに、まさか剣を折る程度になっちゃうなんてなぁ。

 

成る程、これは重症だなぁ。

 

これはアカン、後は対戦ありがとうございましたと言って早々に去ろう。

 

 

 

レベリオ「ローズ先輩、対戦ありがとうございました」

 

ローズ「こちらこそ、『裏ブシン流』……ほんの少しでしたけど、かなり強い流派ですね」

 

レベリオ(……彼女から見たらそうだろうけど……)

「……ですが、私はこれで納得はしていない」

 

ローズ「!?」

(まさか、今の試合でも、自分の強さに納得していないと!?

……確かに、今日のレベリオ君は元気がある、とは言えませんでしたが……やはり、選抜大会程度では自分が強くなったと実感しないのですね……。

これが…これが、アイリス王女を倒した……前回のブシン祭優勝者の……)

 

レベリオ「……それでは、今日はこれで失礼いたします」

 

 

 

俺は一度お辞儀して、さっさと試合の舞台から去っていった。

 

途中ローズが、「待ってください!まだ聞きたいことが……!」とか言ってはいたが、最後まで聞かずに去った。

 

……というか、原作の流れ的に、あまり親密になり過ぎるとマズイからな。

 

この辺りは抜かり無い俺であった。

 

 

 

 

 

 

 

結局選抜大会を終えても、俺の気分は晴れなかった。

 

ゼノンのアレクシア誘拐事件、チョコ作り、選抜大会……いずれのイベントをこなしても、自分が何をやりたいのか、見つからなかったからである。

 

 

 

レベリオ「……はぁ……」

 

???「あ、あの……!」

 

レベリオ「……ん?君は……?」

 

 

 

ため息をつきながら歩いていると、こちらに声をかけてくる者が現れた。

 

振り向くと、そこには数日前に俺が手作りチョコを上げた女性の1人、シェリー・バーネットがいた。

 

 

 

シェリー「レ、レベリオ君…ですよね…!」

 

レベリオ「……そうだが?」

 

シェリー「し、試合、見てました!物凄く綺麗で…カッコよかったです!」

 

レベリオ「……そうか」

(こういうの、前回のブシン祭の後でいくらでも聞き慣れてるんだよな……)

 

シェリー「そ、それで……その……この間のお返しというのもあるんですけど……レベリオ君の為に、クッキーを作ってきたんです!受け取ってください!」

 

 

 

すると彼女の手作りらしきクッキーの入った袋を差し出された。

 

……あ〜そう言えば、確かに、手作りチョコ渡したな。

 

そうだ、俺の手作りチョコを食べた時の味も聞いてみよう。

 

流石にやりたい事の相談は出来そうにはないが、手作りチョコの味以外にも色々と話せる事はある筈だ。

 

 

 

レベリオ「……じゃあ、一緒に食べませんか?

俺のあげた手作りチョコの味や、他にも聞きたいことがありますし……」

 

シェリー「!は……はいっ……!」

 

 

 

何故かシェリーが嬉しそうに答えた。

 

・・・おかしいな、顔を合わせるのはこれで3回目だけど、まともに会話するの、これが初めてだよね?

 

そんな俺の疑問など知らずにシェリーがまた話しかけてくる。

 

 

 

(レベリオ君といえば、アイリス王女の婚約者だけど……)

「あ…あの…その…レベリオ君が、もし、よかったら……」

 

レベリオ「?」

 

シェリー「お、お友達に…なってくれませんかっ!?」

 

レベリオ(・・・俺なんかとお友達って……変わってるな……いや、確か研究一筋のせいか、友達以前にほぼ同年代の子と関わることがなかったんだろう。

……まあ、いいんじゃないかな)

「……別にいいけど」

 

シェリー「ほ、本当ですかっ!?やった!お義父様!お友達になれました!」

 

レベリオ「…!ルスラン副学園長……」

 

 

 

シェリーと同じ視線を向けると、そこには表向きシェリーの義父兼ミドガル魔剣士学院の副学園長、その正体は《ディアボロス教団》元ラウンズ現幹部の『ルスラン・バーネット』がいた。

 

……感じる、こいつからはゼノンとは比にならないくらいの、悪と欲望の感情を……。

 

表向きは優しい副学園長兼シェリーの父親をやっているだろうが……お前の欲望は、転生前のこの世界の知識を知らなくても何となくだがわかる。

 

こちらの内心など知らずに、ルスランがこちらに話しかけてくる。

 

 

 

ルスラン「レベリオ・ヴェンデッタ君だね?試合を見させてもらったよ。

選抜大会を軽々と優勝するとは、流石、前回のブシン祭の優勝者だ」

 

レベリオ「いえいえ、所詮は学園の生徒同士の戦いですし……いざ今年のブシン祭に行ったら、前回と同じように優勝出来るかわかりませんよ。

例えば、今年は全盛期の副学園長と同じくらい強い人が現れたりして」

 

ルスラン「ははは、レベリオ君は随分口上手なようで。

シェリーが友達になりたいというのもわかるよ、この子は研究熱心で禄に友達がいなくてね…」

 

シェリー「お…お義父様!」

 

レベリオ(―――――)

「はぁ……」

 

ルスラン「今はこうだが、昔は色々あったんだ」

 

レベリオ(……アンタがシェリーの母親を殺したからだろって言いたい)

 

ルスラン「娘と仲良くしてやってくれ。

これは副学園長ではなく、1人の父としてのお願いだ」

 

レベリオ「……はい」

(コミックやアニメだけだとアレだったが……実際の所は……)

 

 

 

ルスランの、本心なのかどうかわからないお願いを俺が了承すると、彼は去っていった。

 

また、俺とシェリーの2人きりとなった。

 

 

 

「じゃあその…シェリー先輩」

 

シェリー「は、ははは、はいっ!?」

 

レベリオ「取り敢えず、どこか落ち着ける所に行きたいんですけど」

 

シェリー「はい!ええっと、じゃあ―――――」

 

 

 

一先ず、俺とシェリーは場所を変えることにした。

 

そして1つの部屋にたどり着いて、俺は彼女が作ったクッキーを食べる事にした。

 

よくよく考えたら誰かの手作りなんてアイリスと『七陰』くらいじゃないかな。

 

アイリスなんて、元が負けず嫌いなせいか、婚約者になって4ヶ月目にこっちが手作りのお菓子作って食べさせて以降……。

 

 

 

アイリス『絶対!いつかレベリオ君のよりも美味しいお菓子作ってみせますからねっ!』

 

 

 

なんていう始末である。

 

おっと、話を戻して俺はシェリーのクッキーを食べつつ、以前渡した俺の手作りチョコの味と、シェリーのクッキーの味の感想をそれぞれ言い合った。

 

どうやらあちらも俺のチョコを美味しく食べてくれたようだ。

 

……まあ、やりたい事が決まらな過ぎて、気晴らしに作っただけに過ぎないんだが。

 

なんて言うはずもない、そう思っていると、シェリーが別の話題を持ってくる。

 

 

 

シェリー「あの……レベリオ君は、アイリス王女と、そ、その……こ、婚約者、なんですよね?」

 

レベリオ「ん?ああ……」

 

 

 

シェリーが俺とアイリスが婚約者である事の話をして来た。

 

何か気になる事があるのだろうか、もじもじしながら聞いてくる。

 

 

 

シェリー「その……2人はどういう経緯で、婚約を……?」

 

レベリオ「誰にも言わないと言うのであれば構いませんが」

 

シェリー「誰にも言いません!」

 

レベリオ(………なんでこんなに必死なんだ)

「……ではシェリー先輩、先輩は前回のブシン祭の事をどこまでご存知で?」

 

シェリー「は、はい……確か、開催前にアイリス王女が、自分を打ち負かした人と婚約すると言って、決勝戦でアイリス王女を負かして優勝したレベリオ君と婚約したと……」

 

レベリオ「……事の始まりはそのブシン祭の数日前。

私は修行の旅の許可を得るために、自分のお父様とお母様に許可を求めたのですが……条件をつけられまして。

その条件が、ブシン祭の優勝だったのです」

 

シェリー「え!?じゃあ、アイリス王女の婚約者になったのは、偶然なんですか!?それで婚約を……?」

 

レベリオ「まあ、完全に偶然の賜物ですね」

 

シェリー(じゃあ、レベリオ君は事前にアイリス王女の、自分を打ち負かした人と婚約するという話を知らなかった……!)

「えっと……じゃあ、その……お二人は、お互いに好きという関係ではないんですか!?」

 

レベリオ(やけに食いついてくるな……)

「…どうでしょうね。

何せ、婚約してから21ヶ月、1ヶ月に1度会いに行ったとはいえ私も旅をしていましたので。

実質、一緒に過ごしたのはざっと半年以上ですか」

 

シェリー「レベリオ君は、アイリス王女の事を好きなんですか!?」

 

レベリオ「まだ通算1年も過ごしてない以上、なんとも言えませんよ。

恋愛の好き嫌いは、婚約が決まってすぐに決まるものではありませんから」

(アイリスから好意は持たれてるけど……俺自身、彼女が好きなのかどうか判らん。

……ディアボロス教団がいない、もしくは本当にこの世界の人間だったら、そうだったんだろうか……)

 

シェリー「そ、それじゃあお二人は両思いというわけではないんですね!?」

 

レベリオ「まあ、そういう事になるかと。

……シェリー先輩、随分嬉しそうですが……人によっては先輩の発言と表情で傷付く人がいるかもしれないので控えたほうがいいかと。

私は別に構いませんが」

 

シェリー「あっ!す、すみません……」

 

 

 

俺が注意すると、シェリーが少し俯いてしまった。

 

人見知りのようだが、彼女の発言は事と次第、人によって傷つく事になりかねない。

 

研究熱心なのはいいが、その辺りも理解しておかないと、いずれ大人になったら人付き合いが上手くいかなくなる。

 

前世の俺のようにな、まあ前世の俺の場合は、8歳の時点でもう当時の環境がうんざりしてどれだけ内心死にたいと言った事か。

 

かと言って自殺する気も無く、ただただ可能な限り自分を満たすために犯罪行為はしない程度にあれこれやっていた。

 

それで人によっては心にも無い事を言ったことも度々ある、まあ昔の話だが、シェリーが本当に友達を作りたいと言うなら、前世の俺みたいに、言葉を選ばずにものを言うなんてことはしてはいけない。

 

 

 

レベリオ(…前世の俺と、デルタを躾けてた頃を思い出すなぁ……)

「まあ、わかってくれれば何よりです。

それより、他にも色々と話しませんか?」

 

シェリー「はいっ、私で良ければ!」

 

 

 

こうして俺はこの日、シェリーの手作りクッキーを食べつつ、彼女と色々な話をして過ごした。

 

この日も自分のやりたい事こそ決まらなかったが、なんか少し元気が出た、彼女の中の人が『Enga◯e Ki◯s』のキ◯ラと一緒だからか。

 

髪の色も一緒だしな。

※そこは関係ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

選抜大会が終わった数日後の昼。

 

俺は屋上で、ぼんやりと景色を見ていた。

 

 

 

レベリオ「………………」

(結局……まだ何も決まらず、か。

ヤバいなぁ、このままだと俺、腐る一方だ……)

 

???「ほい」

 

レベリオ「ん?」

 

 

 

ぼんやり景色を見ていると、俺の視界にパンが入ってくる。

 

そして少し視線を動かすと、それを持ったシドがいた。

 

 

 

シド「これ食べなよ、レベリオお昼何も食べてないでしょ」

 

レベリオ「……すまんな」

 

 

 

俺はシドに差し出されたパンを受け取って食べ始める。

 

 

 

シド「いいって、ほぼ日頃食堂の一番高いコースの料理頂いてるから。

それにネームドに貢ぐモブというのもやってみたかったし」

 

レベリオ「それモブっていうか、俺が言ったらパシリじゃねえか」

 

シド「言ってないからただのネームドに貢ぐモブだよ」

 

レベリオ「ブレないなぁ、お前は」

 

 

 

俺は苦笑する。

 

コイツは何と言うか、いっつも平常運転だな。

 

だがそんなコイツでも、誰も見てない所で1人で今の俺と同じ様に悩んだりする事もあるんだろうな。

 

そしてそれをスパッと自力で解決していく。

 

……あれ?なんか俺この世界の住人と同じ頭になってないか?

 

なってないなってない、危ない危ない。

 

 

 

シド「まだ、やりたい事で悩んでる?」

 

レベリオ「だな、あんまり悩んでいると、腐っていくのは判っていてもな……」

 

シド(レベリオの中では、もう答えは出てると思うんだよね、だから……)

「うーん、レベリオのやりたい事なんだけどさ」

 

レベリオ「……ん?」

 

シド(ここは1つ、悩める相棒に助言をする!)

「多分、近い内にすぐ決まると思うよ」

 

レベリオ「……どういう意味だ?」

 

シド「いずれ判るよ。

まあ結局は自分の中にあるやりたい事の候補をやってみろって事。

じゃあ、先に戻ってるね」

 

 

 

意味深な事を言って、シドは屋上の扉へと向かって去っていった。

 

 

 

レベリオ「……近い内に決まる、ね……」

 

 

 

この時の俺は、まだその言葉を理解していなかった。

 

そしてパンを食べ終えてぼんやりして暫くすると……空が夕焼けに染まり始めていた。

 

 

 

「……はっ!?ヤバい、午後の授業すっぽかしてしまった……。

選択式で、尚且つ決めて無くてよかったよ……とはいえ、教室に今更戻るのも気まずいし……ん?この感じ……来たか……!」

 

 

 

教室に戻るのを気まずく感じていると、魔力を阻害され、徐々に吸収される感覚が走る。

 

来たか、痩騎士一派!

 

 

 

「『強欲の瞳』の制御装置を狙い、性懲りもなくシャドウガーデンの名を騙ろうとする愚か者共……思い通りにはさせるかっ!『単語殺し(ワードキラー)』『単語操り人形(ワード・パペット)』!!」

 

 

 

俺は極めて微細に魔力を扱い、『単語殺し』と、新たな呪い技を放つのであった。

 

 

 

「お前達の命の鼓動、負の感情、欲望は感じ取れる。

……この感知術の前には魔力や気配の阻害、遮断も無意味、後は悪意を持つ者達に『単語殺し』や『言霊操り人形』を使って、言い放とうとする言葉を操作し、《ディアボロス教団》だと白状させてじっくり…殺す。

何もかも先回りされて潰される、その恐ろしさを……たっぷり味わえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

 

お昼が過ぎて、午後の授業が終わった後、生徒会選挙の演説の為に僕を含めた生徒達は残る事になった。

 

が、レベリオは午後の授業が終わっても教室には戻らなかった、鞄が置いてあるということは……まさか、まだ屋上で悩んでいるのだろうか。

 

ヒョロがまだ帰れないのかと文句を言ってる所を、ジャガからの説明を受けて不貞腐れていると、教室にローズ生徒会長と、生徒会役員の1人が入ってくる。

 

そして演説が始まり、その途中ローズ先輩の視線を感じたが気付かないフリをした。

 

その直後、やたらヒョロが「生徒会長俺の事見たぜ」みたいな事を言ってくるが、適当に返事をする。

 

レベリオもいない為、退屈なので魔力の訓練をしようと思った矢先―――――――

 

 

 

シド(何者かに魔力の流れを阻害されている……!この教室全体もだ。

しかも、何かここに近づいてくる)

「来る……ッ」

※何となく呟いただけ

 

 

 

何となく呟いた次の瞬間、教室の扉が突然爆発し、クラスの生徒は唖然としたり悲鳴を上げたり、何事かと各々リアクションを起こしていく。

 

直後、剣を手に取っている黒ずくめの男たちが教室に入ってくる。

 

 

 

シド「おい、嘘だろ」

 

黒ずくめの男「全員動くな!手を上げろ!!!

我らはs―――――!?」

 

シド「?」

(あれ?噛んだのかな?いや……これは…)

 

 

出口を固めた黒ずくめの男の集団の1人が名乗ろうとした直後、何故かそこから声が出なくなった。

 

シドは男達が噛んだのかと直後に思ったが……。

 

 

 

???(我らはsザッザザッ――――ディアボロス教団)

 

黒ずくめの男「わ、我らは《ディアボロス教団》この学園を選挙するっ!!!」

(な、何故だっ!?何故シャドウガーデンと言おうとしたのに、教団の名を!?)

 

シド「―――――え?」

(な、なんでその名前が出るの?)

 

生徒A「ディ、ディアボロス教団!?」

 

生徒B「それって、この間の深夜に王都を襲撃した――――!?」

 

 

 

シドを除く生徒達が、ディアボロス教団という単語を聞いてさらに騒然とする。

 

一方のシドは、ハンマーで後頭部を叩かれたような顔をしていた。

※普通の人間だと意識を失うがシドはそうはならない

 

それはそうだ、彼にとってディアボロス教団というのは、お伽話から取ったでっち上げの設定で生み出した組織名なのだ。

 

それが、何も知らない黒ずくめの男が言い放ったのだ。

 

まともな人間ならここで「まさか、本当に実在していたのか!?」みたいになる―――――筈だったが、当のシドは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シド(……そうか!レベリオが雇った、やられ役の素人エキストラか!

表向きやりたい事に悩んでおいて、こういうやられ役を雇うなんて、やっぱりレベリオは『陰の実力者』になりたいんだ!

よくこんな悪そうな奴らを見つけたものだね)

※違います

 

 

 

襲撃して来た黒ずくめの男を、レベリオが雇ったやられ役の素人エキストラと勘違いしていたのであった。

 

 

 

 







レベリオ・ヴェンデッタ


チョコ作り、選抜大会やシェリーとのやり取りが気晴らしにしかならずも、シドの一言で自分のやりたい事が掴めるキッカケが得たようなそうでないような、迷走から脱出寸前?の黒紫の髪と瞳を持つ転生者オリ主

尚、こんな状態でもそこらのモブ魔剣士を一撃で倒し、クレアやローズをレベリオ自身が無傷で倒すなど、こいつ本当に悩んでいるのかレベルの強さを発揮している。

『強欲の瞳』が起動した事を確認すると、学園内にいる《ディアボロス教団》の構成員を特殊な感知術を使って全員感知し、『単語殺し』と『言霊操り人形』を駆使して《シャドウガーデン》の名前を出すのを阻止し、逆に《ディアボロス教団》の名前を言わせようと動く。

ちなみに『強欲の瞳』や『聖域』の対策は当たり前だが修行の旅でバッチリ完了。



シド・カゲノー


原作通り、選抜大会にてモブ式奥義を駆使して、端から見たら派手にやられたモブを演出するも、それがローズ王女ラブコメルートのフラグになる事に全く気づいてないイカれた原作主人公

未だやりたい事が決まっていないレベリオに助言をして教室に戻っていった。

その後、《シャドウガーデン》の名を騙ろうとする《ディアボロス教団》の構成員が襲撃して来たが、襲撃者たちがレベリオの『言霊操り人形』によって《ディアボロス教団》の名前を発し、シドがでまかせで言っていた組織が実在するのか?と感づくと思いきや、レベリオの雇ったやられ役の素人エキストラだと勘違いしている。



ローズ・オリアナ


選抜大会にて1回戦でシド、決勝戦でレベリオと戦ったオリアナ王国の王女兼ミドガル魔剣士学園の生徒会長。

シドとの戦い及びやり取りは原作通りなので省略。

決勝戦にて、レベリオと戦うことになり、2分程あちらも『お遊び』レベルの実力で戦っていた為、ある程度拮抗する勝負が出来たものの、途中レベリオが鞘を左手に持って剣を収め、そこから彼の放った『裏ブシン流・真空』を受け止め、隙を見て反撃するもレベリオの『裏ブシン流・刀破』によって剣を折られ、レベリオに剣を突きつけられた事で降参した。

試合終了後、レベリオがかつて彼女を助けたあの人かを問おうとしたが、素早く去っていった為に結局聞けなかった。



シェリー・バーネット


レベリオの手作りチョコを貰ったお返しにクッキーを作り、その翌日の選抜大会で彼の試合を見て感動していた、お友達になって下さいと言ってはいるが実はレベリオの事を異性として気になっているキャラ。

試合終了後に前述のやり取りの後に自身の手作りクッキーを互いに食べている最中、レベリオとアイリスの関係が気になって彼に尋ねると、レベリオはあくまで修行の旅に出る条件がブシン祭優勝と提示され、本人は偶然アイリスと婚約する事になり、さらにそこまで深い仲ではない、みたいな返答だった為に嬉しそうにしている。

その後他にも彼と色んな話をして1日を過ごした。



『言霊操り人形』(ワード・パペット)


相手の魔力と精神を操作して、相手に言わせたい言葉を強制的に言わせる、『単語殺し』と同じくレベリオ曰く呪い技。

強制的に言葉を言わせて命を削らせ魔力も消費させられる為、色々言わせまくって殺す事も可能だが『単語殺し』よりも魔力制御力が必要な上に、そもそもそこまでやる必要がない。
※どの道直接殺すかシドや七陰、ナンバーズやその他SG構成員が殺す為

学園に襲撃して来た《ディアボロス教団》の、痩騎士とレックス以外の全員にこれを使い、例として「我らは《シャドウガーデン》」と本来言う所を「我らは《ディアボロス教団》」と言わせる事で事実上、相手が言おうとした言葉を書き換える事も可能。



『裏ブシン流・真空』


剣を鞘に収めて居合の構えを取り、魔力を使わずに飛ぶ斬撃……風の刃を飛ばす技。

修行の旅をしてる頃、この技の為に1週間かけたとか……。


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