一応、このシリーズの幼少期編にはない話もありますが、幼少期編で登場したセリフの丸々使い回しが一部あるのはご了承ください。
レベリオ「普通幼少期編の後に書いて投稿しないか?これ?」
作者「いやぁ実は初め、学園襲撃事件編と同時期に誰かの視点から始まるからここでいいのよ」
レベリオ「成る程ね」
閑話・真の実力を隠す僕の相棒
それは、転生した後も、ただ盗賊やならず者といった悪人を陰で狩るだけの僕にとって運命の出会いだった。
魔力伝達率99.9%のスライムを扱い、スライムソード、スライムボディスーツの実験を始めて、盗賊狩りを終えた時の事だ。
シド「あーあ、もう終わっちゃった。
もう少し試したかったんだけどなー、まあいいや、盗賊なんていくらでも出てくるし試しようあるでしょ。
さてさて、今日も盗賊達が奪った物を有効活用有効活用、『陰の実力者』となる僕の為に、ね?
………あ〜〜ちょっと期待外れか、殆ど金貨しかないや」
その日も夜中に家を抜け出し盗賊を狩っては盗賊達が集めていた金貨や物資を頂戴するという、同じ事の繰り返し。
金貨をかき集め収納していた僕はそう思っていた………そう、収納し終えるまでは。
「!」
盗賊達が集めていた物を全て収納し終えると、そう遠くない物陰の方からほんの少しの魔力を感知した。
感知した魔力は僅かだけど、その僅かな魔力の密度が凄かった、これは間違いない、最近盗賊とかが既に殺されて物資がなくなってるけど、僕と同じ事をしてる人だろう。
転生してからは表向きモブ貴族として過ごし、陰では剣や魔力の扱いによる鍛錬、大して強くもない盗賊狩りの繰り返しだったから、ようやく手応えのある相手と戦えそうだ!
あ、割と強かったら『陰の実力者』である僕の右腕か相棒にしようかな?
よし、そうと決まれば……。
「よかった、もう一人いてくれて。
しかもあの魔力……かなり濃い、まだまだ試せそうだね」
???「……っ!」
こちらの視線に気づいたのか、物陰に隠れていた人は高密度の紫色の魔力を纏ってその場から、森の方向へと逃げ出した。
折角この世界で強そうな人を見つけたんだ、追う以外の選択肢はない。
金貨がかなり重いけど……なんとか追えそうだ。
僕は急いで後を追う。
そして暫く逃げていた人の魔力を追っていると、ようやく見つけた。
さて、お手並み拝見だ、僕はスライムソードを伸ばしてその人の背後を刺しにいく。
シド「魔力の量や密度はかなりのものだね、是非とも戦ってみたいものだ………っねっと!」
???「がぁあ!?」
シド「!
へぇ……『魔力』で作った『分身』か……」
1度刺した途端、その人は悲鳴を上げ、人型の魔力となって霧散した。
逃げている間に魔力で作った分身を産み出して、それを追わせるように仕向けたわけか。
いや、これはあれだ、珍しい強者が現れてちょっと興奮したせいで、どれくらい魔力があるのか感知してなかった僕も僕だね。
「逃げるだけとはいえ『魔力分身』を産み出して操作するなんて………やっぱり、只者じゃないね。
分身に使った魔力もかなりの質と量だ、いいね、これでノリさえよかったら間違いなくなれそうだ!『陰の実力者』である僕の相棒か右腕に………!
さてさて………本体は………あっちだな、金貨が重いけどなんとか追えるでしょ」
僕はまだそこまで遠く逃げてない相手の魔力を辿り、また走り出す。
転生してから鍛錬以外でこんなに走った事あったっけ?
なんて考えるくらいは余裕はあった、金貨が重いだけだしね。
そう考えている内に、そう遠くない距離、少し身なりの整った、あの高密度の魔力を持っていた人を見つけた。
???「―――――十分距離は取れた、どっか別の国に行って魔力と気配を消して………」
シド「やり過ごす、いい手だよね。」
???「うむ、やり過ごしてなんとか逃げることにせいkヴェェぇぇぇえええ!?」
その人が追いかけてきた僕に気づくと、まるでカー◯ゥーンのように目玉を飛び出してこちらに視線を向ける。
カー◯ゥーンはどうかと思うけど、割とノリも良さそうだ。
シド「『魔力分身』は悪くない手だった、逃げるだけとはいえ操作出来るのも素晴らしい」
(魔力の消費が激しいから、まだ僕は使わないけど……彼は魔力が僕より遥かに多いから使える、いいね)
「でも、もう少し早く作るべきだったね、こうして視界に入るまで追いついちゃったよ」
(金貨無かったらすぐに追いつけるんだけどね)
???「くそったれ!!!」
そしてそのまま彼との追いかけっこは続く。
僕としてはまたスライムソードで攻撃してもいいけど、さっきから彼の魔力の量がどんどん多くなってるのが気になっているため、敢えてここは追うだけにした。
「………やはりお前は凄い、だが、このまま追いつかれると思うなよ………!
うおおおおぉぉぉおお!!!」
シド「おぉー、魔力がさらに濃くなってく…逃げてる間に魔力を練り込んでたのかー。
……って……」
(あれ?お前は凄いって……?今日で初対面だよね?)
???「この魔力で可能な限り全 力 で 逃 げ る!!!
うがあぁぁぁぁあぁぁあああ!!!」
シド「おぉ、早くなってく!
こりゃ金貨持ったまま追いつくのは無理だなー。
っま、魔力と気配覚えたからなんとかなるでしょ、それにこのままいくとどっかにぶつかりそうだし」
彼の言っていた言葉を少し気にしながらも、距離が離れていく彼をそのまま追った。
速くなったと言っても猪突猛進の如くそのまま逃げてるだけだからね、あれじゃあどっかにぶつかるパターンだ。
そうなると間違いなくそこで止まる、なので追うスピードを上げる必要はない。
って言った先からやっぱりぶつかってるし、でもアレかな、壁をぶち破って登場とかしたかったのかな。
うん、ここは僕も同じ登場をしよっか。
僕も魔力を纏い、彼と同じく岩壁に突撃して穴を開ける。
岩壁だけど壁から現れる『陰の実力者』とかやってみたかったんだよね。
前世だと綺麗な分厚い壁を一発で破ってサッと参上は出来なかったから。
そして岩壁を突き破って見ると、そこには彼と、怪しげな格好をした、変わった盗賊達がいたのだった。
「ふう………せっかくだから同じ事してみたけど、あれ?こいつら君の仲間?」
???「なわけねーだろ、こんな怪しげな奴ら。
つか何でお前まで壁突き破って来るんだよ」
シド「え?珍しい強者を追いかけてみたら新たな盗賊のアジトだったからカッコよく登場するとこでしょ?」
???「壁を突き破って登場するのはカッコイイのか………?よくわからん」
変わった格好の盗賊A「ま、またアジトの壁が………」
変わった格好の盗賊B「へっ、たかがガキが二人に増えただけだ!さっさとkぐぇっ!?」
僕と彼の会話に盗賊達が割り込んで来る。
だがなんと、彼も僕と同じスライムソードを使って盗賊の1人の両手首と首を斬り飛ばした。
スライムを使っているって事は彼も転生者なのだろうか?
だって僕が転生したのが田舎の男爵貴族とはいえ、スライムを武器に使ってる人を他に見たこと無いし。
と言ってもあれか、スライムを扱うだけで転生者だと決めつけるのは早計だ、どうやら彼の戦いを見れるみたいだし、諸々後で考えよう。
???「あのさ、喋ってる最中に口を挟まないでくれるか?ただでさえ機嫌が悪いんだ俺は………」
変わった格好の盗賊C「なっ……バカな、いつの間に………」
シド「へぇ………君もスライムソードを使うんだ」
???「……使っているのはお前だけじゃないと言う事だ、
……『シド・カゲノー』男爵」
シド「えっ、何で僕の名前知ってるの?」
(僕名乗って無いんだけど?)
???「……カゲノー男爵家の領地から少し遠いとこに、ヴェンデッタ伯爵家の領地がある。
……俺はその伯爵家の1人息子なんでな、周辺の情報は知ってて当然。
なにより他に盗賊狩りをしているのに気づいてるのはお前だけではないと言う事だ」
シド「成る程ね」
(あ〜そうか、それでこの辺りの盗賊達が最近バッサリ殺られてる事が多々あったわけだ。
……でもおかしいな、僕の名前を知ってるだけならまだいい、逃げる時に言っていた『やはりお前は凄い』……僕の事を知っている???
でも僕は彼を知らないしなぁ……あ、でもあれか、強者の情報を集める事も、『陰の実力者』としては必要かな……?
だとすると彼も……?)
「つまり君も『陰の実力者』に?」
???「…それとは少し、目的が違うが…
とりあえずまずはこのゴミ共を片付けないか?話はその後でも遅くはない」
シド(これは彼の言う通りだ、話は盗賊達を殺した後でもゆっくり聞ける。
となれば、彼の実力を見つつ、盗賊狩りといこうかな)
「そだねー、これまでの盗賊と違ってなんか高価な物持ってそうだし」
変わった格好の盗賊B「ぐえっ!?」
彼の言う事に同意して僕もスライムソードを使って盗賊の1人を斬り刻む。
なんかどっかの宗教にいそうな格好をしてるけど、普段狩っている盗賊と大して変わらないので、表向き共闘と言っても、僕は適当に相手しつつ、彼の戦いぶりを見ることにした。
その後、盗賊の1人が魔力を封じるアーティファクトを使ったけど、彼が新たに出した『液体金属』によってあっさりと殺された。
大した実力がない盗賊が魔力を封じた程度だから、僕ならそのまま体術で撲殺するんだけど、まあそれ以外に魔封対策を持っているというのはいい事だ。
さて、盗賊が片付いたのでようやく彼と話が出来そうだ。
シド「君には僕の相棒になるくらいの実力がある!今日確信した!」
???「・・・は?」
シド「逃げるだけとはいえ魔力分身を操作出来る程の魔力の扱い、スライムソードだけに頼らない体術と剣術、そして魔力が練れなくなったときの戦闘手段、極めつけはまだまだ強くなれそうな感じ。
(しかもノリ良さそう!)
間違いない、君には僕の……『陰の実力者』の相棒という称号を与えてもいい!」
???「いや、おいちょっと待て。
流石に相棒は過大評価過ぎるだろ」
シド「そうかな?じゃあ右腕からってことで。
そして今後の実力の向上次第では相棒に………」
???「意地でも相棒にする気かいっ!」
シド「えー、いいじゃないか、君だって僕と同じ転生者の筈だし」
???「………!」
僕が転生者というワードを口にすると彼の表情が強張る。
あ、これ図星だ、彼も転生者確定。
と言っても僕は本当に彼の事を知らない、住んでる所が違うのか、あるいは僕とは別の世界から転生して来たか、だ。
ただ前者の方が確率高そうな気がする、どうやって知ったのか知らないけど、当時『スタイリッシュ暴漢スレイヤー』と名乗っていた僕の姿を陰で見ていたくらいかな、そうじゃないと彼が僕に言ってた『やはりお前は凄い』のセリフに納得がいかない。
いや、それともこの世界の未来から来た、というのもあり得るのかな?う〜んどうなんだろ?どっちなのかわからないのでそれは置いといて話を続けよう。
シド「この世界の人間はスライムという魔力伝達最高の物があるのに何故か使おうとしない、でも君はそれを軽々と使いこなせている。
おまけにさっき一緒に戦った時、君が使っていた体術と剣術、あれ間違いなく僕がいた世界の物と同じだったんだよね」
???「………それで?」
シド「しかも、僕は君の事を全く知らないのに、君は僕の事を知っているように見える。
だって僕から逃げてた時に言ったじゃん、『やはりお前は凄い』って」
???「………!」
シド「どうして僕の事を知ってるのかは知らないけど、裏を返せば君は僕の『陰の実力者』の果てを知ってるって事になる」
(まあ僕は数百年生きるつもりだけどそれでも終わりは来るものだからねー)
「でもそれらを知ってる人間が右腕もとい相棒だったら色んな意味で頼りになるし、ただでさえ実力者である自分を支える存在は必要不可欠だからね!しかもカッコイイ!」
僕はビシッと指を指して言う。
すると彼は何か考えてから口を開いた。
???「……えらいポジティブな考えだな」
シド「そりゃね、物語に陰ながら介入し実力を見せつける『陰の実力者』になるために日々前向きに修行してるからねー」
???「………俺はお前と違って最強に興味はないぞ?」
シド「えー?その割には相当強かったじゃん、特に『魔力分身』は極められたら僕でも勝つのが難しいくらいだ。
“魔力量”だけなら君は僕より強いと見た、右腕は絶対、いつか相棒に欲しいくらいだ」
(僕の魔力量であれ程の『魔力分身』やったら凄い魔力消費するから他の魔力トレーニングが出来なくなってとても出来ないんだよねー。
いつかは出来そうだけど今は基礎を鍛えるのが先かな)
???「わっーた!わっーたよ、どうせお前の事だ、断っても付き纏いそうだ」
シド「わかってるじゃん、決まりだね。
いやー自分以外に転生者、それも僕の事をよく知ってそうな人間が相棒かーこりゃ楽しくなりそうだ、これが運命ってやつだね」
???「これが運命だとしたら、運命というのはなんとも奇妙なもんだよ」
シド「おおっ、いいねその感じ。
参考にするよ。
………あ、そういえば僕まだ君の名前知らないや」
???「レベリオだ、ヴェンデッタ伯爵家ってのはもう聴いたな?」
シド「うん、じゃあこれからよろしく、相棒」
レベリオ「右腕からじゃなかったのか!?」
シド「細かい事は気にしない気にしない」
こうして、僕はノリが良くてそこそこ強そうなレベリオを『陰の実力者』の相棒として加えることに成功した。
最強に興味がない、というのは本当なのかどうかわからないけど。
いや、多分あれだ、研鑽を重ねてたらいつの間にか最強になってましたムーブをやりたい感じなのかもしれない。
どっちにしても今後の彼には注目しておかないと。
もしかしたら、僕より強くなるかもしれない……というのは流石に大袈裟かもしれないけどね。
それから多分1年以上経ったかな。
それまでにレベリオが先に見つけた悪魔憑き……即ち魔力暴走を治したアルファを筆頭に徐々に集まり、僕のでまかせで言った『シャドウガーデン』の組織も僕を含めて7人になっていた。
でも1年以上経っても、本気の勝負がしたくてレベリオに挑んでるけど、彼はちっとも本気を出さず、モブを演じている僕のようにとまではいかないけど負けていってる。
うーん、まだ真の実力は隠しておいていつか見せる感じなのかな?それとも僕にも実力を隠す『陰の実力者』を演じているのだろうか?
あ、ちなみに7人というのは今後『陰の実力者』として動く僕こと『シャドウ』、その相棒として動くレベリオこと『ウルティオ』、あとはアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロンと、僕とレベリオがそれぞれ悪魔憑きとは表向きの魔力暴走を治していった5人の女の子達の事だ。
そしてこの日もアルファから得た悪魔憑きの情報を元に盗賊達の下へと向かった。
だけど残念な事に、レベリオに先を越されてしまった。
と、ここまで聞けば僕はしまったと少し頭を抱えてたんだけど、その現場に駆けつけた時………。
ウルティオ「死ねよっ!!このグズ共があぁァァァァァア!!!」
変わった格好の盗賊数十名『グアァァァァァア!!!?』
既に盗賊狩りをしていたレベリオを見て、その嘆きは吹っ飛んだ。
レベリオが纏い、扱っている魔力は僕も見たことのない、ドス黒い色の魔力だった。
あんな密度の高すぎる魔力は見たことがない、レベリオは僕の知らない間にいつの間にあんな魔力を身に着けたんだろうか?
あれが僕に隠していたレベリオの真の実力なのだろうか。
でも、僕と同じくらい魔力の扱いに優れているレベリオにしては珍しく、その黒い魔力を扱えてない。
ただ感情の赴くままに、その魔力を、力を振るっているだけ。
とはいえ僕もレベリオのあんなに感情的になる所は見たことがない。
アレかな?僕の魔力を感知したから、真の実力を隠すために敢えて僕の知らない魔力を扱えてない『フリ』をしてる感じかな?
だとしたら納得だ、なんて考えてたら猫の獣人の死体の側にいた、ちょっと肌色寄りの白い髪の獣人の子を見つける。
リリム「凄い…あいつら…皆、死んでいく……。
私にも……あんな力があれば……!」
シャドウ「そうか、力が欲しいか」
リリム「…!?誰…!?」
シャドウ「我が名はシャドウ。
陰に潜み……陰を狩る者。
力が欲しいか?」
リリム「……欲しい……!」
(この人も……強い……!私も、この2人と同じ位に……!)
シャドウ「良かろう、ならばくれてやる」
その子も魔力暴走によって『悪魔憑き』を発症していた為、僕はその子の魔力暴走を沈める事にした。
あとはベータとガンマ、イプシロンにした事と同じなので省略。
それらを終えると、盗賊達を狩っていた筈のレベリオが近くからいなくなっていた。
リリム「あれ……?あの人、何処に……?」
シャドウ「……まだ遠くには行っていないか」
(あ〜レベリオが捕まえてるので最後っぽい、これは今日技を試せそうにないか……残念。
でもあの黒い魔力、気になるんだよね、ちょっと様子を見に行こう)
僕はレベリオを追うと、猫の獣人の子も一緒に行きたいと言ったので、仕方なく連れて行くことにした。
そしてレベリオを見つけると、既にレベリオは最後の盗賊を捕まえていた。
リリム「あ…あれも……魔力、なの……?」
シャドウ(うわぁ……凄いなぁ、あの黒い魔力、具現化して相手を捕まえる事も出来るのか)
ペトス「ぐっ……うぅっ……!!」
ウルティオ「キサマは楽にハ死なさん……!
この手ににギり潰され、圧死すルがいい……!!」
ペトス「ぐっ!オォ!アァァァァァァァァ!!!」
そして最後の盗賊はレベリオの具現化した黒い魔力の巨大な手によって握り潰されて死んだ。
巨人と言ってもあれだ、上半身だけの存在だ。
なんか何処かで見たことがある気がするけど。
ウルティオ『……ろす……』
シャドウ「む?」
リリム「……え?」
ウルティオ『……ろす…!ころす…!ころす!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!コロスッッッッッッッ!!!』
唐突にレベリオが殺す殺す言って、こちらに視線を向け襲いかかってきた。
凄いなぁ、僕がまだ試せてない技があるのを知ってはいるけど、真の実力を全部見せるわけにはいかないからわざと暴走してるフリして、僕に技を試せと言っているように感じ取れる!
暴走した相棒を止めるイベント
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
これなら、試せていない技とか試せそうだ!
折角レベリオがお膳立てしてくれたんだ!彼の真の実力の一端を見つつ、色々試そう!
シャドウ「下がっていろ」
リリム「う、うん……」
ウルティオ『ウガァァァァァァァア!!!』
シャドウ「やれやれ……では始めるとするか」
レベリオならそう簡単には死なないから…そうだ!まだ未完成だけどあの技を試してみよう!
僕は距離を取って魔力を込めた剣を構える。
シャドウ
「アイ・アム・アトミック―――……もどき」
そして黒の魔力によって暴走してるフリをしているレベリオに、僕が核になる為に生み出した技『アイ・アム・アトミック・もどき』をぶち込んだ。
レベリオはその直撃をモロに受ける。
まあまだ未完成だから死なないでしょ、現にそんなにクレーター大きくないから。
そして技の自己評価だけど……これは60点だね、こんなんじゃまだ核にはなれないや。
なんて考えていると、アルファが駆けつけた。
アルファ「シャドウ、証拠の方は片付いたわ」
シャドウ「……そうか」
(相変わらずの演技だね〜アルファ)
アルファ「ところで……この有り様は……?
それに……先に行ってたウルティオは何処に……?」
シャドウ「ああ、ウルティオなら――――――」
ウルティオ『―――――ガァァァァァァァア!!!』
アルファと話していると、黒い魔力を纏って未だに暴走してるフリをしていた、無傷のレベリオが僕に襲いかかってきた。
シャドウ(え、嘘、全く効いてない?
あの具現化した黒い魔力で全部防がれたのか、やっぱり60点の核じゃダメだったか……)
「……あれを喰らって無傷とは……!」
アルファ「ウルティオ!?どうしたの!?」
ウルティオ『コロスッ!!コロスコロスコロスッ!!コロスーーーーーー!!!』
僕はウルティオの魔力の爪を受け止める。
うーん、これはこれで他にも試せそうだけど、先にアルファとあの獣人の子を下がらせないとやりにくいかも。
演技のリアリティ凄いなぁ、下手をするとアルファとあの子にまで攻撃の余波が届きそうだったよ。
シャドウ(いくらなんでも迫真の演技が過ぎるでしょ……。
ほら、アルファも困惑してるって)
ウルティオ『ゴァァァァァァァァァア!!!』
アルファ「待ってウルティオ!一体何があったの!?」
リリム「……わたしの、せいだ……」
アルファ「え……?」
リリム「私が、弱かった、から……あの人が……あんな、風に……!」
シャドウ「アルファ、その子を連れてここを離れろ」
アルファ「シャドウ……。
わかったわ、ウルティオをお願い」
シャドウ「うむ」
流石に守りながら戦うのはやりにくいので、アルファには僕が助けた獣人の子を連れて離れてもらう事にした。
これで後は、まだ真の実力を隠したくて、敢えて力に飲まれて暴走してるフリをしてるレベリオ相手に試しまくれる。
そして試す事1時間、ようやくレベリオの黒い魔力が収まり倒れた後、魔力が切れて疲労しかなりの手傷を負った僕も、うつ伏せに倒れた。
鍛錬以外でこんなに傷を負って、魔力全部使ったのは始めてだ。
もしレベリオが真の実力を出していたら、僕はこの世界に生まれて、初めて負けていたかもしれない。
これはあれだね、いつか真の実力を出すレベリオと戦える日が楽しみだ。
そう思いながら、僕の意識は途絶えた……。
それから僕が助けた肌色寄りの白い髪の獣人の子に、アルファはゼータと名前を与え、それからしばらくしてレベリオが助けたイータを加えてから色んな事があったかな。
姉さんを拐った盗賊を狩りに行って、レベリオの真の実力の一端もまた見れた。
魔力の細菌は凄いアイデアだ、あの様子じゃレベリオの魔力細菌で死んだ人はその細菌を体内から駆除出来ずに死んでいった感じだった。
あれ僕が喰らったらどうなるんだろうか、よし、レベリオと本気で戦ってみよう。
と思ったら七陰の皆が去った後、レベリオも修行の旅に出ると言って旅立ってしまった。
まあでも、僕も僕で更に力を付けて、『陰の実力者』を目指さなければならない。
というわけで全力のレベリオと戦えるという楽しみは後で取っておく事にした。
それから魔剣士学園入学の2ヶ月前、ついに……そのチャンスは訪れた。
まあ、さらに1ヶ月前から帰ってきてたんだけど、レベリオはアイリス王女の婚約者になっていて、アルファ達と色々やってて多忙だった為になかなかチャンスは巡って来なかったのだ。
でもようやくそのチャンスは来た、ここを逃したら多分次はそうそうないかも知れない。
僕はガンマの用意したコーヒーを半分飲んだ後、言う。
シャドウ「ふむ………」
ガンマ「主様?新しい珈琲はお気に召しませんでしたか?」
シャドウ「いいや、中々の味だ」
アルファ「じゃあ、何か悩みがあるのかしら」
シャドウ「いや……本人がこの場にいるなら丁度いい」
アルファ&ガンマ&イプシロン
『?』
シャドウ「そろそろ、ウルティオと全力で戦いたいと思ってな」
アルファ&ガンマ&イプシロン
『なっ!?』
ウルティオ「…………。
いつか、こんな日が来るとはわかってはいたが……」
シャドウ(え、わかっていたの?
と言うことは……今度こそ見れるかな?レベリオの……真の実力!)
「お前も旅で強くなったのだ、そろそろ互いに全力を出して戦うのも良かろう」
ウルティオ「それはいいけど、場所はどうする気だ?
俺とお前が全力で戦えば、アレクサンドリアの訓練所なんて10秒も持たんぞ」
アルファ「それなら、いい場所があるわ。
貴方がセルゲイを倒した後、ガンマやカイ、オメガを筆頭にベガルタ帝国の内情の調査をお願いした過程で見つけたのだけど……」
ガンマ「あそこなら、主様とウルティオ様の戦いでも問題ないかと」
ウルティオ「・・・」ジロッ
イプシロン「ウ、ウルティオ様!?私は何も言ってませんわよ!?」
アルファ「とにかく……幸いにもゼータは部屋で休んでるし、ベータもそろそろ帰ってくるから、七陰全員で戦いを見れるわ。
ガンマとイプシロンは他の七陰に伝えて、私はもう1人、連れてくるわ」
イプシロン「もしかして……ラムダですか?」
アルファ「ええ、彼女は今日休暇の筈よ。
休みを大抵他の構成員の鍛錬にしてしまってるから、この際いい機会だと思ってね」
ガンマ「確かに……主様とウルティオ様の戦いを見た方が、ラムダにとってもより有意義な休暇を過ごせますね」
シャドウ(え、七陰の皆にラムダも見に来るの?
まあでも、僕とレベリオの戦いを見て皆が強くなるきっかけを得られるにはこれもいいかもしれないね)
「ふむ……なら我とウルティオは先に行くとしようか」
ウルティオ「・・・」
こうしてレベリオの真の実力を見るべく、僕とレベリオの戦いのカウントダウンが開始したのであった。
いやー、レベリオの真の実力をようやく見れると思うと楽しみだ!
シド・カゲノー/シャドウ
陰実原作主人公かつ、この閑話回のメイン主人公
原作よりも1年早くスライムボディスーツ(シドの場合はスライムロングコートも含む)、スライムソードの開発、実験を完了している、このシリーズ初登場時は9歳。
高密度の魔力を持ったレベリオの実力、そして自分の事をおそらく知っているであろうことに興味を持ち彼を右腕もしくは相棒にすることに成功。
その後レベリオの鍛錬に付き合い、当時の彼に関しては近接戦闘の技巧の伸びがイマイチ(とはいえ後にシャドウガーデンに加入するガンマやデルタに比べたら遥かにマシな方)だが魔力制御力の伸びはほんのちょっとコツを教えただけで急激に伸び、下手をすると数年後、自分を超える程と簡易的評価をしている。
ちょいちょいレベリオに真剣勝負を挑み実行しようとするが、レベリオがモブに徹している自分とまではいかないものの、簡単に負けている所を見て、本当は『陰の実力者』になりたいか、真の実力は隠しておいて、鍛錬していたらいつの間にか強くなっていたムーブをやりたいんじゃないかと勘違いしている。
※『オーバードライブ』(シドの目が赤くなるやつ、人によってはシャドウモードと呼んだりする)を使用してレベリオの潜在してる魔力だけでも覗き見しようとしたが、その魔力量だけでもシドが測定出来ない程の底知れぬ量を見た上に、後に判明する『黒』の魔力すら見えない程だった為に勘違いしても致し方ないが。
後にアルファからの作戦で、盗賊狩りをしようとしたらウルティオとなったレベリオに先を越され、現場にたどり着いた時にはこれまで自分が見なかったレベリオの『黒』の魔力を使って戦闘している所を見ると、真の実力を全て見せるわけにはいかないから暴走してるフリをしてると勘違いしている。
※実際にレベリオは暴走していたが、シドはレベリオの魔力制御力を考慮すると暴走はあり得ないと思っていた為。
ちなみに、当時のレベリオは『黒』の魔力を制御出来てないため、当時のレベリオ本人の実力とは言えない。
そして盗賊からの襲撃で生き残っていたリリム(後のゼータ)の悪魔憑きを治し、最後の盗賊を殺したレベリオを発見すると、暴走ムーブをして黒の魔力を纏った(実際には暴走している)レベリオに攻撃されて交戦、『アイ・アム・アトミックもどき』が全く効かず、汎ゆる技を試して1時間、ついにレベリオの『黒』の魔力が収まって彼が倒れた後、重症を負っていた自身も倒れる。
※とはいえ『オーバードライブ』によって、当時のシドの肉体の限界を超えた負担等による影響もあった。
これによりいくらか勘違いしたままレベリオが隠しているであろう真の実力にますます興味を持ち、全力勝負を望むも、レベリオがまだ真の実力を隠すムーブがしたいのだと勘違いして見送り、それから約3年の時が経ち、学園入学2ヶ月前辺りになった所で全力勝負を望み、レベリオも承諾した事で内心ガッツポーズしている。
レベリオ・ヴェンデッタ/ウルティオ
言わずもがな、この陰実シリーズのオリジナル転生者主人公
まだシドと出会ったばかりの頃は『黒』の魔力を制御出来ておらず、本来の実力も当時のシドの50%強程度しかなかった為、シドからの教えを授かりつつも、真剣勝負になるとあまり実力を出さずに負けていた事から、真の実力は隠しておいて、鍛錬していたらいつの間にか強くなっていたムーブをやりたいんじゃないかとシドから勘違いされる事に。
アルファから金豹族の獣人達が『教団』に襲撃されてると言う情報を聞き、間違いなくゼータ(当時はリリム)の一族だと悟った彼は真っ先に現場に向かうも1足遅く、既にリリム以外の金豹族が殺された所を目の当たりにしてしまう。
それを見た本人は自身の無力感と『教団』への怒りという負の感情に支配され、その影響によって溢れ出た『黒』の魔力を制御しきれず、破壊衝動に支配されて暴走、教団員を次々に皆殺しにし、原作でラウンズ第十席となったペトスを殺害した後も止まらずにシドと交戦してしまう。
そして次に目を覚ますとシドやアルファからの話で『黒』の魔力が露見した事を発覚した為に、本格的に『黒』の魔力の扱いに励み、クレア誘拐事件解決後までは少しは使えるようにはなったが……。
『黒の逆鱗』
レベリオの膨大な、主に怒りの負の感情に『黒』の魔力が呼応してなる強制技。
※技というよりは単なる暴走。
本人の全身に『黒』の魔力が纏われ、身体能力、攻撃、防御、速度が爆発的に上がるものの、当の本人は破壊衝動に支配され無差別に命ある者を殺し続けるようになる。
そのスペックは『アイ・アム・アトミックもどき』をまともに受けても無傷、幼少期ではあるもののシドを相手にしても無傷でいられ、逆に本人に重症を与える程。
尚、この一件によりシドがさらなる研鑽を重ね、クレア誘拐事件前には『アイ・アム・アトミックもどき』が『ライジング・アトミック』レベルの威力にもうアップデート出来ていたとか……。
※『ライジング・アトミック』とは、『七陰列伝』第2部の終盤にてシドがセルゲイ・ゴーマン相手に放った『アイ・アム・アトミックもどき』と『アイ・アム・アトミック』の中間に位置する技である。
第2部終盤は時系列的にクレア誘拐事件の推定、約半年後辺りと個人的には思われる。
シドはこの『ライジング・アトミック』を74点と自己評価している。