さあさあ、ついにあのキャラが登場しまっす!!!
side アレクシア
レベリオ「Zzz……Zzz……」
アレクシア「……まさか先を越されてるなんてね、しかもレベリオ……」
『女神の試練』の当日の早朝、アレクシアが朝の温泉に入ろうと、露天風呂の戸を開けた時、そこには先に入り、何故か湯に浸かって眠っていたレベリオがいた。
先客がいたのは気配でわかっていたものの、それがレベリオだとは思ってもいなかった。
それもその筈、本来ならレベリオは里帰り中だった筈だからだ。
まあ、里帰りしているからといって、どこかに行ってはいけないわけではない、だが……。
(大司教の代理が出て、さらに『女神の試練』の当日のこのタイミングでレベリオがここにいる……やっぱり、何かあるわね)
そう、レベリオがリンドブルムにいるタイミングに、アレクシアは疑惑を抱いていた。
如何に1度、レベリオとウルティオ、2人がいるところに自分がいたとはいえ、学園襲撃事件の結末で彼女はレベリオ=ウルティオだとより思うようになった。
それは、かの事件が終盤に差し掛かる頃、突如放送が流れ、レベリオとルスランの会話の後、シェリーが現れて、会話の内容が学園中に伝わっていたとレベリオがネタバレしたタイミングで放送が止まり、その後ウルティオが現れたとの情報があったからだ。
これによって、1度はひっくり返ったアレクシアのレベリオ=ウルティオ説が再び浮上したのである。
シャドウとウルティオ、あれだけの実力、そして魔力の扱いに優れていれば、表社会に自然に溶け込んでいてもおかしくない。
が、シャドウの方は彼女が誘拐された事件以来、学園襲撃事件でも1度しか会っておらず、自身と同じ『凡人の剣』くらいしか手がかりが無い為、調べるには時間がかかり過ぎる。
となれば、シャドウと一緒に登場し、自分に『シャドウガーデン』創立の事を少し教えたり、自分が『教団』と交戦していた時、自分とアイリス、2人きりの時に会い、会話したウルティオから、アレクシアは調べる事にした。
ところが前倒しの夏休みになった直後、レベリオが里帰りをアイリスに頼んだ為にアイリスも快諾してしまい、結果レベリオは里帰りした為、アレクシアは事件の関係者に聞き込み、痕跡調べくらいしかやる事がなかった。
ところがどっこい、まさかの正体を暴く、とまではいかないが、手がかりが掴めるかもしれないチャンスが到来したのである。
しかし、この時のアレクシアは……。
「……それにしても、可愛い寝顔ね、姉様はいつも見てるのかしら」
そう、レベリオの寝顔をじっと見つめていたのだ。
それは自身の姉であるアイリスよりも強いとは思えない程の、柔らかく可愛い寝顔。
1人で『教団』と戦っていたとはいえ、まだ自分と同じ歳の子供のような可愛いさが残っているのか。
姉はいつも、この寝顔を見ているのだろうか。
アレクシアはゆっくりと、レベリオの寝顔を間近で見ようと近づいた。
しかし次の瞬間―――――――
???「……あれ?」
アレクシア「!?」
なんと露天風呂の戸が開かれ、そこにはかつて、罰ゲームで自分に告白しておきながら、自分が誘拐された事件の後、自分をこっぴどく振ったシドが、現れた。
side シド
僕は、好き嫌いが少ない方だ。
大抵のものはどうでもいい。
ただそれでも、好き嫌いは出てくる。
別に大切なものでもないのに、好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いだ。
僕はそれらを、どうでもいい好きなもの、どうでもいい嫌いなものと分別している。
どうでもいい好きなものの1つ。
それが、温泉……え?
シド「……あれ?」
アレクシア「!?」
レベリオ「Zzz……Zzz……」
ええっと、なんか予想外な光景を見たから色々と省くけど、心に余裕を生むために、早朝に温泉に入って事実上の貸し切りを狙おうとしていたら、先客が2人いた。
うん、気配でわかってはいたんだけど、まさかアレクシアがレベリオに顔を近づけているとは思わなかった。
それ以前に2人の関係上、割と交流があるとは思ってたけど、まさか一緒に温泉に入る仲だとは思っても見なかった。
あ、いや、もしかしたらこの腹黒王女の事だ、レベリオが寝てる所を偶然発見して、何か弱みを握ろうとしているか、作ろうとしているかもしれない。
なんならレベリオ、寝てるからね、十中八九睡眠薬盛って実行してるかもしれない。
折角の温泉だけど、ここは……。
シド「………ごゆっくり」
触らぬ神に祟りなし。
温泉は名残惜しいけど、巻き込まれるのは御免なので僕は素早く露天風呂から出ていこうとした。
しかし……。
アレクシア「待ちなさい」
シド「ぐえっ!?」
アレクシアに首根っこを掴まれてしまった。
なんか掴み方が姉さんと似てるなぁ、あれ?アレクシアと姉さんって面識あったっけ?
物凄い殺意が籠もった目で僕を睨みつけてくる。
アレクシア「貴方は何も見てなかった、いいわね?」
シド「ハイ、ボクハナニモミテマセン」
アレクシア「よろしい」
シド「……でも一応聞くけど、なんでレベリオとお風呂に?」
アレクシア「レベリオ君が先に入ってた所に後から私も入ったのよ。
そしたら彼、寝てたから……」
シド「弱みを作って握ろうとしたと?」
アレクシア「するわけ無いじゃない!姉様の婚約者なんだから、そんな事したら姉様が悲しむわ!」
シド(あ〜……一応、そういう所はあるんだ。
てっきり誰彼構わずに弱みを作って握って言いなりにさせてるものかと)
アレクシア「……今、何か失礼な事考えてなかったかしら?」
シド「カンガエテナイヨ」
アレクシア「……ならいいけど」
シド「いやー、でもあんな無防備なレベリオを見るのは何ヶ月ぶりかなぁ」
アレクシア「……あなたも、彼のそういう所をあまり見ないの?」
シド「うん。
たまにこっそり見に行っても、研鑽を重ねててね」
(と言っても、これはレベリオの分身体の1人の行動に過ぎないんだけどね)
アレクシアにレベリオの話を少しだけする。
レベリオの“分身体”の1人が普段どんな事をしてるかの話だけどね。
レベリオは『魔力分身』を24時間ずっと維持できる。
その為、基本分身する7人の内2人は1日中この世界の何処かで睡眠を取って睡眠時間の確保、残りは鍛錬やら知識集めやらその他諸々している。
要するに他の人と比べて人生の数倍時間がある、多少のんびりしてる所もあるとはいえ、成長速度が凄まじいのもその為だ。
じゃあ、お前も使えばいいじゃん、と言われてもそうはいかない。
今から半年以上前、真の実力を見せたレベリオの技の1つによって、僕はレベリオが使う技やスライム兵器のコピー&ラーニングが出来なくなってしまった。
これにより、サクッとコピーしたレベリオの『魔力分身』も封じられ、レベリオと同じようなやり方での鍛錬は望めなくなってしまった。
レベリオの『領域展開』をなんとかしようにも、圧倒的な魔力量と、僕と同等以上の魔力制御力によって弄ることも上書きする事も出来ない。
いや、あの戦いの後、すぐに弄ろうとしたんだけど、僕の力を持ってしても弄ることすら出来なかった。
しかもあの時のレベリオと全く同じ、もしくはそれ以上の魔力量をすぐに練り込んで、放出するのも無理だから、同じ量の魔力を使って同じ事をするのも無理。
その内、僕はレベリオの技をコピー&ラーニングするのを諦めて、僕は僕で研鑽を重ねる事にした。
例えレベリオの技をコピー&ラーニング出来なくても、僕は僕なりに研鑽を重ねていくつもりだ。
あ、そう言えば次は順番的に魔力なしの勝負になるけど、何時にしようか?そしてレベリオの接近戦の技術はさらに上がっているのか?気になる事が盛り沢山だ。
レベリオはあまり戦いが好きじゃないみたいだけど、それでも現状、全力の僕と互角に戦える唯一の相手だから、全力で戦う、そしてレベリオの成長を見られる、という点では楽しめる。
アレクシア「そう………」
シド「それで君は、なんでリンドブルムに?」
アレクシア「『女神の試練』の来賓よ、あなたは?」
シド「友達に、楽しいイベントがあるって誘われて来たんだ」
アレクシア「その友達ってレベリオ君?」
シド「違うよ、もしそうなら僕と一緒に温泉入ってるでしょ」
アレクシア「………」
アレクシアが何かまた考え事をしている。
まあ友達と聞くと真っ先にレベリオを思い浮かべるだろうから、彼女にとっては予想外だったのかもしれない。
シド「イベントは多分『女神の試練』の事なんだと思うけど……。
どんな事するんだろ」
アレクシア「はぁ……そんな事も知らずに来たのね。
『女神の試練』は、年に1度、聖域の扉が開かれる日に行われる戦いの儀式よ」
シド「戦いの?」
アレクシア「聖域から、古代の戦士を呼び覚まして、挑戦者はその記憶の戦士と戦うの」
シド「ようは、幽霊と戦うって事かな」
(アルファが言ってたのがそれか…面白そうだ。
そして、レベリオがここにいる理由も納得した)
アレクシア「参加したいと思ってるなら遅いわよ?
事前の申請が必要だもの。
(最も、私なら推薦して参加させるのは容易だけど)
古代の戦士は、自分に相応しい挑戦者の呼び掛けにしか答えないわ。
挑戦者より少し強い古代の戦士が選ばれる事は多いわね。
毎年数百人が参加して、戦えるのは10人程度。
何年か前に、流浪の剣士ヴェノムが、英雄オリヴィエを呼び出して話題になったけど……」
シド「勝ったの?」
アレクシア「負けたらしいわ。
ただ私は見てなかったから、実際はどうだったか…。
呼び覚まされた戦士が、本物のオリヴィエだったかわからないし」
シド「ふーん……」
(アルファかレベリオだったら、英雄を呼び出せるだろうか。
あっ、そう言えばレベリオも『女神の試練』に参加するのかな?もしそうだとしたら……久しぶりにレベリオを『陰の実力者』の引き立て役に出来そうだ)
シドはまた、レベリオを『陰の実力者』の引き立て役に出来ると思うと内心盛り上がる。
というのも、実は過去にレベリオから「『レベリオ』としての俺を『陰の実力者』の引き立て役に出来る機会があったら、存分に活かすといい」と言われてる故に、実際何度か彼を引き立て役としている。
レベリオも表向きは主人公になっててもおかしくないくらいだ、そうでなくても表向き強者ネームドなので、シドはレベリオからの承認込みで、強者ネームド、もとい主人公クラスのキャラを圧倒する『陰の実力者』として動いている事がある。
等と、考えていた矢先だった。
レベリオ「ふぅ、いけないいけない、すっかり温泉で眠ってしまった……って……」
シド&アレクシア「「あっ」」
レベリオ「………」
レベリオが、露天風呂から上がってきたのだ。
side レベリオ
レベリオ「……やべえな、うっかり眠った挙げ句のぼせたな…そろそろ上がるかねぇ」
寝落ちしてしまった俺は、さっさと湯から上がって露天風呂を出る。
しかしそこにはなんと、タオルのみしか纏ってないシドとアレクシアがいた。
「ふぅ、いけないいけない、すっかり温泉で眠ってしまった……って……」
シド&アレクシア「「あっ」」
レベリオ「………」
2人が同時に声を出す。
……あれ、おかしいな、仮初めだったとはいえシドってもうアレクシアとはそういう関係じゃないんだよな?
だとしたら、これは何だ?
シドの新たなムーブか?それともアレクシアがシドを誘って温泉に来たのか?
いやいや、前者は兎も角後者はないだろ、しかしそうなるとこの状況……全く読めない!
まあでもあれだ、同じ空間にいるという事は……。
「仲いいなお前ら」
アレクシア「ち、違うわよっ!」
シド「ううん、全然」
アレクシア「は?」
シド「え?」
シドとアレクシアが見事にハモった。
そしてアレクシアがシドの返答に疑問を持ったその隙に……。
レベリオ(退散!触らぬ神に祟りなし、だ!)
俺はその場からささっと退散した。
しかし、この後すぐ、俺は温泉で寝落ちした事を少し後悔する事になったのだ。
さて、ちょっとしたアクシデントはあったが、俺は『女神の試練』の観客席に1人……とはいかず……。
ローズ「まさかレベリオ君も『女神の試練』に参加するのですか?」
レベリオ「いえいえ……私はただの見学ですよローズ先輩」
アレクシア「…………」
アレクシアに見つかった事で、俺は彼女の近くの観客席に座ることになってしまった。
何か企んでる顔してるよ、何となく何を企んでるかは察しはつくのだが。
そんな彼女の視線をスルーした俺は同じく『女神の試練』目的で来たローズと会話している。
俺が来るという事はそう言うことなのだろうか、彼女は俺が試練に参加するものだと思っていたようだ。
ちなみに俺の隣にローズ、ローズのさらに隣にアレクシア、そしてアレクシアとハゲソンの間に………。
観客「ナツメせんせぇーーー!!!
応援してまぁぁぁすー!!!」
ナツメ「あはは〜!」
観客に応援されている『ナツメ・カフカ』ことベータがいた。
………ある意味、最悪だ、俺は1人密かに『女神の試練』を見物するつもりでいたのだが、まさかこんな目立つ観客席に座ることになろうとは。
やはり温泉で寝るモンじゃないな。
とはいえ露天風呂なんてかなり久しぶりだから致し方ない。
……まあでもあれだ、もし何かあったとしても、ある程度の力を出す程度にしてやり過ごそう。
うん、それが一番だ。
もう早速アレクシアがベータの足を踏みつけている。
うん、まあ……ベータはあれだ、シドから聞いた前世の、ありとあらゆる物語を、アップデートせずにそのままコピーして小説にしてる報いって事で、受けてもらおう。
俺は干渉しないでおく、変に関わって互いの裏の顔が割れたら面倒くさい。
そんなある程度原作通りに物事が進んでいくと、ジャック・ハゲソンによって『女神の試練』の開催が宣言される。
出てくる戦士も大したことはないので、俺は上の空の様に視線を向ける。
アンネローゼも出ては来るが、俺がビアへロだった時に戦って実力は大体わかった、原作でのブシン祭での彼女の実力込みで考えてもあまり大きな実力の向上は期待できないだろう。
原作でシドもテキトーに見ていた所を見ると、他の奴らからも学ぶ事は何もない。
というわけで、暫く俺は上の空の状態になり、このままやり過ごそうとしたのだが……。
司会者「次っ!ミドガル王国魔剣士学園から!
―――――――レベリオ・ヴェンデッタ!!!」
レベリオ「・・・」
(はぁ……やっぱこうなるよな………)
司会者の口から、俺の名前が出てきた。
それと同時にアレクシアが、こちらをニヤニヤと悪そうな笑顔で見つめていた。
うん、やっぱり君かアレクシア。
そんなに俺=ウルティオだと確信を持ちたいのかな?
アレクシア「あらぁ〜?どうしたのレベリオ君〜?
次はあなたの番よ〜?」
※推薦した犯人
ローズ「やはり……!レベリオ君も『女神の試練』に参加なさるのですね……!」
ネルソン「ほぉ……?
魔剣士学園の生徒、しかもアイリス王女の婚約者であるレベリオ殿ですか…確かに、相当な実力があると聞いてはおりますが……」
ハゲソンまで何か言ってるよ。
やめてくれ、おい、他の観客達も。
そんな盛大に黄色い声を出さないでくれ。
レベリオ「いや〜……これは、その……」
アレクシア「ほらぁ、さっさと行きなさいよ」
ローズ「レベリオ君、応援してます!」
ナツメ「応援してますね〜!」
おいおい、表向き応援してるって言ってるベータまで「これも何かの作戦……?」みたいな目をしてこちらを見ているぞ……?
ヤバいな、シドの時と違って、『ウルティオになって有耶無耶にする』作戦も使えない。
はぁ……まあ元はといえば、温泉で寝落ちしてしまった俺の失態だから致し方ない。
程よくやって、シドの出番がくるのを待ちますかねぇ。
レベリオ「あっと……それはいいんですけど、ここから飛び
降りても良かったりしますか?」
ネルソン「大丈夫ですとも、ささ、レベリオ殿」
アレクシア「なんでもいいから早く行きなさいよ」
レベリオ「こういうのはあんまりやった事ないので、あんまり期待しないでくれるとありがたいのですが」
ローズ「大丈夫ですよ、レベリオ君ならきっと古代の戦士を呼び覚まし、勝つはずです!」
レベリオ「……だといいんですがね……。
それじゃあ、行ってきますか」
これ以上司会者や観客を待たせるのもあれだから、俺は観客席から飛び降りて、舞台に上がる。
少々派手な登場だが、まあ俺ならそこまで問題にならないだろう。
原作シドに比べりゃ幾分かマシだ。
……とはいったものの、どうしたものかねぇ。
参考にならないと思って、他の参加者のやり方とか見てないぞ……?
参ったな、アンネローゼのやり方でも見ておけばよかったぜ。
えっ、ちょっと……!?マジでどうしたらいいんだよ!?
俺、シドのやり方しか知らないんだけど!?
もし同じやり方やってアウロラ出てきたらどうすんだよ!?
※でもアウロラはいい女だ
……いや!大丈夫だ!『黒紫』の魔力を使わなければいいんだ!
『赤』の魔力を程よく練り込んで、程よくやればいいんだ!
あとは聖域編のシドと同じセリフを言わないようにし、俺は『赤』の魔力を程よく練り込み、シドの『アイ・アム・アトミック』のモーションだけを真似ていく。
だが、この後俺は思い知る事になる。
この考えが、如何に安直だったのかを。
「……聖域に封じられし、
今、我によって解き放たれ、顕現せよ……!」
そして俺は『赤』の魔力を籠めた剣を振り下ろす。
すると、コロシアムに複雑な紅い紋章……ディアボロス教団が付けている紋章や汎ゆる古代文字も中には含まれているのか、その魔法陣らしきものが出現する。
(え?え?ちょっと待って?この紋章は……!?)
ネルソン「何故だ、わしは動かしておらんぞ……!?」
ヤバい。
嘘だろ。
俺、そんなに魔力練ってモーション起こしてないぞ……!?
何で?
何でだよ?
と、思っている俺の事などつゆ知らず、出てきた紋章魔法陣から、俺の知ってる女性が現れる。
生で会うのは初だが覚えてないわけがない、紫のドレスの上に黒いローブ、黒と言うには俺と同じく少し紫色が混ざった……黒紫、あるいは深紫色とも言えるか、その髪色、そして紫色の瞳……。
見覚えのある女性「…………」
レベリオ「……あれぇ……?」
(なんで……!?なんで……!?)
その人物を俺は知っている、というか前世で陰実を見て、調べた以上、知らん方がおかしい。
聖域の縛りさえ無ければ、恐らく全力のシドや俺と互角に戦えていたであろう、『教団』の連中、或いは遥か昔の人類から『災厄の魔女』と呼ばれた……。
ネルソン「バ、バカな……!?あれはまさか……」
レベリオ(うっそだろ……!?なんでここでアウロラが出てくるんだ……!?)
シドが『ヴァイオレットさん』と呼ぶ美しい女性アウロラ、その人である。
おかしい、絶対におかしい。
俺は『赤』の魔力しか使っていないぞ……!?
なのになんで…!?
いや待て、落ち着いて俺の知ってるアウロラの情報を思い出してみる。
彼女が登場したのはこの聖域編と、血の女王編にてクレアの身体を借りてエリザベートと交戦した時だ。
ではその時の彼女の、それもアニメの戦闘描写を思い出してみる。
「……あ」
しまったあァァァァァァァァァ!!!
アウロラがシドの『アイ・アム・オールレンジアトミック』を真似た時、『赤』の魔力、使ってたぁぁぁぁぁぁぁ!!!
でも嘘だろ!?そんな、同じ色の魔力使っただけで呼び出せるモンなの!?
………………。
いや、もちつけ、もちつくんだ。
※いい間違えてる時点で落ち着けてない
起こってしまった事はもう仕方ない。
今は取り敢えずアウロラとの戦いを………。
「……俺なりに、楽しむとするか……。」
というわけでアウロラと戦う事になった俺は、右手に持っていた黒剣『アパラージタ』を右横の地面にに突き刺し、今度はミスリルの剣を抜いて左横の地面に突き刺す。
そしてその後、両手の親指を噛み切る。
『ウルティオ』としての力を出せない俺、聖域の機能によって本来の力を出せないアウロラ。
そう言えば、お互いにハンデありで戦うのは俺も始めてだったりする。
※シドとの魔力なし勝負は含んでいない
さて、あちらも「準備はいいかしら?」と言わんばかりにほんの少し微笑む。
それはまるで、こちらの意図を読んでいるかの様。
……よくよく考えたら、俺はシドとは異なり、こういう『対話』はあまりしていない。
何故なら俺は戦いではなく、相手を蹂躙し断罪するのが好みだからだ。
対話なんて、相手がシド、悪い相手のみ、その相手が苦しみ、命乞いをする時くらいしかしない。
そしてそれをした時に、相手が嫌がるような言葉を言い放ち、蹂躙し断罪する。
そんな対話しか殆どしない。
何故なら、シド並の強者、もしくはそれに近い人なんて出てこなかったからな。
旅をしてもベアトリクスに会えなかったし、結果、こういった戦いにおける普通の『対話』なんてそうそうして来なかった。
……まあ、こういうのもアリと言えばアリか。
それはさておき、彼女も俺と同じ、魔力を扱う中・遠距離タイプだ。
もしかしたら接近戦もこなせるかもしれないけど、どっちが得意かと言われたら間違いなく遠距離戦だ。
故に、お互いの戦闘スタイルは、どちらかが合わせる事なく、既に合っている。
故に戦闘前の対話があんまり必要なかったりする。
準備は整った、俺は頷いてそれに応え、ほんの少しの動きでジェスチャーする。
――――――――そちらからどうぞ。
アニメとかで見たことはあれど、実際に戦ったらどうなるか、お手並み拝見というのもあるが、俺は先手を譲ることにした。
次の瞬間、俺は2歩後ろに下がる。
そして俺がいた足元から紅い刃……長さ的には槍に例えた方がいいか、それが突き出た。
そして紅い刃はそのまま上空に上がったと思いきや四方八方に向かい、最終的の俺の元へ向かう。
無論、俺が何もしないわけがない、四方八方の段階で、俺は地面に突き刺した2本の剣を浮かせる。
2本の剣を浮かせて、アウロラの攻撃を防ぎ、彼女から約20m程度の距離を取り、躱しながらゆっくり右サイドに、彼女の周りを回るように迂回する。
そしてその過程で、噛み切った親指から血が出てくる。
その血を地面に零していく。
剣で防いで、アウロラの操った紅い刃の速度と威力は少しわかった、あとは機動力の確認だ、アニメでも見たとは言えこういうのは実際に見て、戦わないと確実に理解はできないからな。
俺は迂回の過程で両手の親指から、零した血の一部を浮かせて刃に変化させ、彼女の無数の紅い槍を受け止める。
自分と類似する戦い方をしてくるとは思ってなかったのだろう、彼女は少し驚いた顔をしていた。
一方、観客席のネルソン、ナツメ、アレクシア、ローズは……。
ネルソン「ど……どういう事だっ!?一介の魔剣士学園の学生が、何故アウロラと同じ戦い方を……!?」
ローズ「アウロラの戦い方を一瞬で頭に入れ、それを実行するなんて……!」
ナツメ「しかも、2本の剣も魔力で操っていますね……」
(あの『災厄の魔女』の戦い方を一瞬で覚え、そしてそれを、本来の魔力を使わずに真似るなんて……流石ウルティオ様……!)
アレクシア「………」
(この『女神の試練』が、レベリオに相応しい相手としてアウロラを選んだとしたら…。
まずレベリオは、間違いなく世界を滅ぼせる程の力を持っていると言う事。
最も、2人を見る限り、どうにも力だけってわけじゃなさそうだけど…実力面だけを見ればもう間違いないわ、ましてやこの戦い、レベリオが勝ったら尚更ね)
そしてレベリオvsアウロラに戻る。
観客席にいるハゲとそのハゲに見合わぬ美女3人の思惑など知らず、レベリオはアウロラの周囲を回りながら、彼女と交戦し続ける。
彼女はさらに紅い刃を増やしていく。
そしてその刃の1つが…。
レベリオ「っ……」
(まあ、流石に無傷だとアレクシアとかに怪しまれるからな……)
彼女の紅い刃の1つが、俺の頬を掠める。
その気になれば躱せたから、特に表情を崩すことはない。
あちらもこちらの意図を察してくれたのか、表情を崩さず追撃してくる。
俺はそのままゆっくり、地中から、空中から飛んでくる紅い刃を迎撃し、回避しながら、彼女の周囲を回り続ける。
勿論地中からの攻撃を防御、回避の為に側転したり一端1、2歩下がってから一気にある程度走ったり等している。
彼女もこちらの姿を、歩むこと無くしっかりと捉える。
彼女の周りを半周した、だが俺は一周回るまで止まらない。
ただ、向かう紅い刃の勢いは増していく。
それと同じく、最初は細かった刃が丸太の如く太くなっていく。
しかし俺か、或いは何処かで見ているシドだけしか見えないのか、彼女の攻撃の勢いが強くなれば成る程、彼女を縛る紅い鎖の光が強くなっている。
全く、俺は周囲の目が、そっちは聖域に縛られて無ければ、もっと楽しめただろうにと、少し残念な気持ちになった。
……いかんな、戦いなんて大嫌いなのに、シドのきょーじんぶりが少し移ったのかねぇ。
どういうわけか、俺は何としてもアウロラを、完全に解き放ちたくなった。
色々と俺自身の欲込みだが、彼女を解放し、ある手段を使えば、彼女をこの世界に残す事が出来、シドと全力で戦える相手となる筈だ。
そして何より……『ピー』出来るかもしれない。
※最低です
そうと決めた俺は、あと1/4周れば一周になった所で、小さめのジェスチャーする。
―――――ここから出たい?
それを見た彼女は少し驚いた。
すると表情こそそのままだが、彼女の瞳が真剣なものとなる。
―――――出れるものなら、でも、叶わないわ。
レベリオ「!」
実際に口を動かしているわけではないのだが、彼女の瞳がそう言っているように見えた。
それと同時に彼女の瞳から、悲しみを感じた。
俺は歩きながら、彼女の紅い刃を捌きながら、続けてジェスチャーする。
―――――出来るさ、方法はある。
これは決して嘘ではない。
俺には前世で、ありとあらゆるアニメやコミックの知識を得て来た。
それには当然、聖域にいるアウロラを消す事なく、聖域から出す方法もある。
あれと同じようなものだったら、間違いなく出来る。
彼女も俺の眼を見て俺のジェスチャーが嘘でないと悟ったのか、或いはその力の一端があるのか試そうとしているのか、攻撃の手を強めていく。
そして彼女の微笑んだ表情が……。
―――――なら、今の私を倒して見せて―――――
そんな風に言っているように聞こえた。
それに対し俺は―――――――
―――――わかった。
声を出すこと無く、ただ首を縦に頷いた。
こうなれば、戦闘前に言った、シドの出番を待つ、という言葉は撤回だ。
一周するまで、あと少しとなっていた。
side アレクシア
ネルソン「なかなか粘りますな……だが、見た感じ防戦一方。
如何にアウロラの戦い方を真似ようと、ミドガル王国最強の魔剣士たるレベリオ殿でも、あの魔女には勝てますまい……。
おっと、今回の戦い方を見て魔剣士と言うのかどうかはわかりませぬがな」
(アウロラだけでなく、あのお方と似ているから、もしやとは思ったが……この分なら心配はいらぬか)
ナツメ「……」
(いいえ……開始からウルティオ様が地面に零しているあの血……間違いなく何かある……あれは……!)
アレクシア「……どうかしら」
ローズ「アレクシアさん……?」
アレクシア「レベリオは、ただ防戦一方に徹してるだけじゃないわ。
ローズ先輩、コロシアムをよく見てみてください」
ローズ「!?あれは……!?」
ネルソンから見たら、レベリオは防戦一方に徹してるだけに見えるだろう。
アウロラの周囲を回っているのも回避の為だと。
しかし、その回避の為、がミソだった。
そう、レベリオが自分で噛み切った自分の両手の親指から出血し、地面に零れた血が、徐々にアウロラを囲う線のようになっている。
それはまるで血の円を描いている様だった。
アレクシア「レベリオには策があるのよ。
あのアウロラとかいう女を倒す、一撃必殺の策が……」
ローズ「それが、あの血の円……?」
アレクシア「そう、あれを零した血で描きながら、彼はアウロラの攻撃を避けたり捌いたりしている。
最も、あれでどうやって倒すか、私にはわからないけどね」
ナツメ「……」
(…ただの腹黒王女だと思ってたけど、見る目あるじゃない。)
アレクシアは終始レベリオに鋭い視線を向ける。
そして彼女はこう思った。
アレクシア(そろそろ…レベリオが何を仕掛けるかわかるわね)
side シド
シド「う〜ん………」
(参ったな……この『女神の試練』で、レベリオが戦ってる途中に、『陰の実力者』として乱入しようかと思ったけど……これは、邪魔出来ないかなぁ……)
一方のシドは、今のこの光景を見れて良かったのか悪かったのか、みたいな気分になっていた。
初めこそ、古代の戦士を相手に苦戦している(レベリオも実力を隠す以上苦戦するフリをせざるを得ない為)所を途中で乱入して、『陰の実力者』である自分が現れて古代の戦士とレベリオ2人まとめて倒す、といったムーブをやるつもりだった。
ところがレベリオが呼び出した謎の女性の戦い方が、遠距離での戦闘ではあるものの、精密な魔力操作に伴った攻撃であり、一方のレベリオも彼女の攻撃方をコピーして応戦していた。
あれは間違いなく、対話をしながら戦っているのだとシドは悟った。
となればシドにとっては、2つの意味で乱入する事が出来ない。
1つは精密な魔力操作による攻撃を行える、謎の紫の瞳の女性の戦いを見たい。
もう1つは、その女性と交戦しているレベリオの戦いだ。
というのも、シドから見てもレベリオは、戦いにおいてあまり対話をしないタイプだと知っている。
出来ないのではなく、しないのだ、彼は戦いがあまり好きではない故に。
シドにとって、対話をじゃんけんで例えるなら、デルタはグーでチョキもパーもぶち破り、レベリオはパーでグーもチョキも、じわじわと握り潰すようなもの。
最も時と場合によっては、レベリオがまともに戦いの中で対話をすることがある、かつて真の実力を見せてくれたあの戦いのようにだ。
少し閑話を挟んだが、以上の2つが、シドにとっての良い点。
悪い点は勿論……。
(僕も、あの人……名前は知らないから、ヴァイオレットさんという事にして……戦ってみたかったなぁ……)
そう、自分が彼女と今、戦えないという事であった。
side レベリオ
レベリオ(ふっ……随分激しくしてくるねぇ……だけど……)
血の円を描くまであと少しの所で、アウロラの攻撃はさらに激しさを増していく。
その紅い刃はレベリオを槍の様に刺そうと、糸の様に囲おうと、顎のように喰らいつこうとする。
だが………。
(半年以上前に『領域展開・独創至高』を展開したとはいえ、自分が同じ攻撃をするのに、相手がそれをしないわけがない。
俺は常に、汎ゆる事態を想定し、戦う……!
…だが、それとは別に、何処となく楽しく感じる。
同じ遠距離タイプと戦うと、こうも楽しいものか……?)
俺は空中を飛ぶこと無く、2本の剣と、零した血を操り、迎撃と回避を行いながら、一周するべく彼女の周囲を回る。
確かにアウロラの攻撃は激しさを増している、だが、それはアニメでも見た光景、そして俺も類似する技を使える。
自由自在に動かし、相手を一方的になぶり殺す、その戦い方は俺好みだからだ。
互いに手を掲げ、それぞれ紅い刃をぶつけ合う。
(俺が好きな戦い方なのに……俺が対策してないわけがない!)
そう、アウロラの戦い方は俺と同じ、そして俺好みの戦い方。
だからこそ、普段よりも、どう捌けばいいか?どう避ければいいか?
そして、それらの動作をどう小さくすればいいか?
それらを行動にすぐ反映でき、実行出来る。
その気になれば、どう反撃すればいいかもわかる。
故に、飛ぶまでもなく、回避、防御、迎撃、反撃、それらの最適解をすぐに出せる。
そしてもう、血の円が描かれるまで、あと十数cmになった。
彼女の方はと言うと、円が描かれた後どうなるのかわかっているかのように、見た目は微笑んでいても、少し名残惜しさを感じさせるような、或いはこちらの力を見れて嬉しいのか、ありとあらゆる感情が混ざったような複雑な表情をしていた。
そして俺は彼女の周りを一周し終え……血の円を描き終える。
(嗚呼、もう察してしまったんだな。
この対話が、戦いが、もうすぐ終わるのだと……だけど)
やる事を決めた以上、すぐに実行しなければならない。
俺は背中に赤い魔力の翼を展開し、彼女に急接近する。
そのスピードを彼女の紅い刃は捉えきれない。
そしてアウロラとすれ違う直前、俺は彼女の耳元でつぶやく。
「次に戦う時は、互いにハンデなしで戦いたいものだ」
そう呟き、互いに微笑んだ直後、俺は空高く斜め上に飛翔する。
そして俺は指を鳴らす。
次の瞬間、血の円から、無数の赤い魔力のリングが360°回転しながら出現した。
彼女の紅い刃が俺を追おうにも、コロシアムの地中をも削り回転する赤い魔力のリングに阻まれてしまう。
―――――――準備は整った。
そして俺は再度、指を鳴らした。
「『リング・オブ・ヴァニッシュ』……」
そこからは一瞬だった。
回転していた無数の赤い魔力のリングが一瞬で収縮し、無数の紅い刃ごと、アウロラを、収縮したリングで囲み潰した。
潰したと同時、彼女は光となって砕かれた。
そして俺は降下して着地した直後、その場でしゃがみ込む。
今の俺は『レベリオ』だ、故に「ギリギリだった」と思わせないようにしないとマズい。
ただでさえ、アウロラが出てきた時点でアウトっぽいからな。
「はぁ、はぁ……流石に……血を流しすぎたか……」
虚言を口にし、腰を地につけ、へたり込んだ。
……本当、表舞台の名前、邪魔になってきたな……。
side 後の儚い美女仲間3人組
ナツメ「勝った……?」
アレクシア「勝った、わね……」
(まさか、撒いていた血を、無数の魔力のリングに変化させて囲い潰すなんてね……。
あの戦い方……実力だけを見るなら間違いなく確定ね。
あとは…)
ローズ「コロシアムに撒いていた血は、あの魔力のリングを生み出すためだったのですね……」
ネルソン「なっ……ば、バカなっ……!?負けた……!?
あのアウロラが…!?攻めていたのはアウロラだった筈だっ!!!
それが……魔剣士学園の学生にっ!?」
ネルソンが叫ぶ。
そう、普通の人達から見ても、今の勝負は、終始アウロラが優勢だった筈だ。
だが違う、レベリオは彼女の動きを観察し、回避、防御、迎撃、反撃行動をしつつ、一撃で相手を倒す下準備をしていた。
その下準備こそが、最初に両手の親指を噛み切り、そこから出血した『血』である。
その血を使い、彼女の周囲を囲う円を作り、そして完成した血の円を無数の赤い魔力のリングに変化させ、一瞬でアウロラを仕留めた。
ナツメ(相手の動きを観察と同時に、限られた力だけでも、戦闘中に相手に勝つための下準備を行い、それを実行する……。
これが、シャドウ様と互角に戦える、ウルティオ様の強み……)
ちなみにレベリオが1度だけあえて攻撃を受けたのは、自身の正体を隠すためだと知っているのはベータと、今近くにはいないがシドやアルファ、イプシロンとその他のSG構成員のみだろう。
そしてその場にへたり込んでいるのも、その演技の1つ。
実際、コロシアムに撒かれた血の量を見る限りは出血多量レベルなので、普通の人なら呼吸困難やら虚脱状態になったりするため、レベリオがへたり込んでもおかしくはない。
と、残念な事にこれ以上考える時間はくれなかった。
突如として地響きが鳴り、ドームがひび割れ崩壊し砕け散った。
アレクシア「な、何……!?」
気がつけばコロシアムに紋章が浮かび上がった。
そしてそれは瞬く間に変形していき、巨大な扉と化した。
その間、レベリオの姿が消えていた事に、誰も気づくことはなかった。
side レベリオ
レベリオ「はぁ…はぁ…。
………演技はもういいか、大分離れたからな」
俺は聖域への巨大な扉が出現した隙に、なんとか会場から全速力で逃げ出した。
出血多量だったから、ソッコーで輸血しにいった、と言えばまあ聞こえはいいだろう。
さて、これからどうするかだが……まず確実に、俺の前に聖域への別ルートの扉が出てくる。
このままだと完全にシドが置いてけぼりだ、さらに原作を変えてしまうと思った矢先だった。
シド「あ、レベリオ」
レベリオ「おう……シド」
何という幸運か、まさか俺の目の前にシドが現れた。
これで原作から大きく反れる、というのが阻止された。
やれやれ、俺も行き当たりばったりだな。
これじゃ強運で正体バレすること無く、モブじゃないのにモブムーブしてるこいつを笑えやしない。
シド「いやー、それにしても凄い戦いだったね、僕も戦ってみたかったなー」
レベリオ「もしかしたら、お前も戦えるかもしれないぞ?」
シド「え?でも会場はあの巨大な扉が出て、それどころじゃなさそうな雰囲気なんだけど…」
レベリオ「いや……」
シド「?
……!」
シドが驚いたと同時、俺が振り向くと、そこには聖域の別ルートの扉が出現した。
「うわぁ、何この扉。
会場に出てたのとそっくり」
レベリオ「この扉とか言ってやるなって。
ちょっと待ってろ。
………もしかして……さっき戦った人、か……?」
俺は扉に向けて声を掛けてみる。
あり得ないだろうが、こればっかりは何となくだが、応えてくれる、そんな気がした。
何でだろう、原作シドの時はこれといった返事は無かったのに、何で応えてくれる、何て思ったんだろう。
※そもそもシドは扉に向かって話しかけたりしてません
扉の声『……ええ、そうよ』
レベリオ「……まずは、自己紹介しようか。
俺はレベリオ」
アウロラ『私の名前はアウロラ。
まぁ、巷では『災厄の魔女・アウロラ』と呼ばれているわ、まぁアウロラとでもよんで頂戴』
レベリオ「じゃあアウロラ。
この扉を出してくれたって事は……そういう事でいいんだな?」
アウロラ『まだ確証は持てないけど……貴方の力の一端は見せてもらったから、これは合格の印って感じね』
レベリオ「そうか。
(つまり、ここからが正念場というわけか)
……1人連れを連れてもいいか?」
アウロラ『構わないけど……今の私じゃ地上の方まで『魔力感知』が出来ないから、その連れの子がどれだけ強いか知らないわ。
だから、あなたと同じくらい強くないと危険よ』
レベリオ「大丈夫だ、こいつは身体ごとこの世から消滅させなきゃ死なないゾンビみたいなヤツだから」
アウロラ『ぞ、ゾンビって……』
シド「なんかさらっと酷いこと言われた気がする」
レベリオ「え?事実じゃないのか?」
シド「いやいや、流石に僕も心臓か脳、どちらかをやられたら死ぬかもしれないって」
レベリオ「『しれない』の時点で既に怪しいんだが……。
まあ死ぬかもしれないというのは置いといて」
シド(うわ、置いてかれた。
しかもレベリオ、何故か僕を連れてく気満々じゃん。
まあ……聖域とか、いかにもって感じで行くのにワクワクするからいいんだけど)
レベリオ「構わないか?アウロラ?」
アウロラ『………わかったわ』
彼女からの承認を得た途端、聖域の別ルートの扉が少し大きくなる。
それきり、彼女の声は聞こえなくなった、ここより先は聖域に入ってから、という事なのだろうか。
そんな事を考えていると、シドが話しかけてくる。
シド「ねえレベリオ、折角だから勝負しない?」
レベリオ「勝負?このタイミングでか?」
シド「うん、どちらが先に彼女と会うかの」
レベリオ「それなら勝負は見えている、その勝負に賭けがあるなら、お前が先に会う方に賭けるね」
シド「えっ、レベリオは僕が先に……ヴァイオレットさんに会うと思ってるの?」
レベリオ「ああ思ってる。
だからお前のその勝負にそのまま乗ったら、俺が確実に負ける」
シド「ふーん……。
じゃあこうしようか、レベリオが先に会ったら、僕の勝ちって事でいい?」
レベリオ「あくまで勝負する気か……まあいい、じゃあそれで乗った。
確認しよう、シドが先に会ったら俺の勝ち、俺が先に会ったらシドの勝ちでいいか?」
シド「うん、それで行こうか」
なんだかよくわからない勝負を仕掛けられたが、何となくシドの方が先にアウロラに会いそうなので、シドの勝負の勝利、敗北条件を変え
て、その勝負に俺は乗っかった。
そして俺とシドは、共に聖域の扉を開いた……。
レベリオ・ヴェンデッタ
この回でめっちゃやらかしまくってる、たまに何処か抜けてる転生者オリ主
鍛錬後、午前3時に露天風呂に入って寝落ちし、アレクシアに目的されてしまったのが彼の最大のやらかしだろう。
※とはいえレベリオ・ヴェンデッタは表舞台では割と有名人なので、シドや『シャドウガーデン』以外の、彼の事を知ってる人物が彼を見かけて、彼がリンドブルムにいるという噂が広まったら、後述の展開になるのでどの道変わらない
これにより、アレクシアによって『女神の試練』に参加する事になってしまい、この時は程よくやろうと『赤』の魔力を練ってモーションを起こすが、アウロラを呼び出してしまう。
『ウルティオ』としての力を使う訳にもいかず、お互いにハンデありの戦闘となるが、アウロラが自身と同じ遠距離タイプ、しかも前世で陰実を見てアウロラの戦闘スタイルも知っていた為に彼女の攻撃の対処方の最適解をすぐに実行でき、開始前に両手の親指を噛み切って、コロシアムに血の円を描き、彼女と同じ遠距離攻撃スタイルで戦う。
描き終える少し前にアウロラを解放したいという欲求が大きくなり、彼女と対話、対話後に血の円を描き終えた後、赤い魔力の翼を展開し、次は互いにハンデ無しで戦おうとアウロラに告げた後飛翔、『リング・オブ・ヴァニッシュ』で彼女を仕留めた。
その後は聖域の扉が開かれ、会場の混乱に乗じてコロシアムを脱出、シドと合流した後にアウロラが用意した別ルートの聖域の扉が現れ、試しに声を掛けるとアウロラの声が聞こえ、連れを連れて行くことを許可された後シドと共に聖域はと向かう。
シド・カゲノー
この回ではレベリオvsアウロラを観戦したただのモブ……とでも思ったか
露天風呂に入り、先に入っていたレベリオに近づいていたアレクシアを目撃してしまい、面倒事に巻き込まれるのを防ぐ為に退避したもののアレクシアに首根っこを掴まれてしまう。
そしてレベリオが『女神の試練』に参加するかと思ったシドは、彼が本来の実力を発揮出来ない事を知っている為に、レベリオと、彼が呼び出した古代の戦士を纏めて倒そうとする『陰の実力者』ムーブをしようとしたものの、いざ試練でレベリオが呼び出した謎の女性(アウロラ)と彼が戦闘になる所を見ると、お互いに精密な魔力の遠距離攻撃を見て、勝負を邪魔出来ないと思い観戦する事に。
後にレベリオがアウロラを倒した後、コロシアムに聖域の扉が現れた事でもう『陰の実力者』ムーブが出来ないと判断したシドは会場を素早く出る。
その後はレベリオと合流、彼に巻き込まれる形で聖域に行く事になるが、この時、聖域という如何にもな場所に行く事のワクワク感を抱きながら、レベリオに、どちらがアウロラと先に会うかの勝負を持ち掛けた。
アレクシア・ミドガル
ミドガル王国第二王女
露天風呂に入ろうとした所、先に入っていた、寝落ちしてるレベリオと遭遇。
その結果、『大司教の死』と『女神の試練』というタイミングで彼がいる事、さらに数日前の学園襲撃事件で彼に改めて疑惑を抱き、王女権限でレベリオを『女神の試練』に推薦する。
そしてレベリオの番になった時、彼の呼びかけに答えたのはなんとネルソンやナツメから聞いた話曰く、遥か昔に世界に災厄をもたらしたアウロラだった。
そしてその戦いの一部始終を見たものの、実力面を見てレベリオがウルティオである可能性が濃厚となったが、やはり自身の誘拐事件にて、レベリオとウルティオが同時に現れた事が大きな弊害となり、彼がウルティオだと確信はまだ持てなかった。
アウロラ
おいこらハゲソン、訂正しやがれ、『災厄の魔女』じゃなくて『絶世の美女』だろオイ。
※ベータもだぞコラ
……と、私情を挟んでしまったが、彼女が遥か昔、致死性の魔力暴走に掛かった最初の人間にして、魔人ディアボロスだったと思われる人物。
作中ではアレクシアの王女権限によって『女神の試練』に参加させられたレベリオの『魔力』に応えて現れた。
この時レベリオは程よき力でこなそうと『赤』の魔力を使っていたが、残念な事に彼にとっては程よくても『シャドウガーデン』に属する者にとってはアルファ級の魔力を使っていた。
しかも、陰実2期にて、クレアの身体を借りたアウロラが使用していた『赤』の魔力と同じであった為に、アウロラが顕現してしまったのてある。
※最も、レベリオは『黒紫』の魔力の覚醒前に『青』の魔力を全て犠牲にしている為、現状彼の中で最も魔力濃度が低い『赤』の魔力を使うしか無かったのだが。
そして『女神の試練』のコロシアムに現れ、レベリオと互いに遠距離戦をする事となる。
途中でレベリオからの提案を受けた後、今の自分を倒してみせてとジェスチャー、そこからさらに『聖域』によって制限されている状態で今出せる全力を駆使してレベリオを攻撃するも、コロシアムに描かれた血の円から現れた多数の血の輪っかに囲い潰されてコロシアムから消滅する。
その後はレベリオが自身を『聖域』から連れ出せる力があると認め、彼の前に『聖域』の扉を用意、連れを1人連れていいかと尋ねるレベリオの要求を飲んだ後聖域で待っている。
最もこの時点では、レベリオが自分を『聖域』から連れ出せる、もしくは解放してくれると信じているのか、或いは彼女自身の気まぐれなのかは、彼女の心のみぞ知る、である。
『リング・オブ・ヴァニッシュ』
地面に大型の血の円(輪っか)を描き、空中に飛んでそれを魔力で操って魔力の輪っかを複数生み出し収縮させて相手を囲い潰す技。
本来は魔力を直接扱い、複数の具現化した魔力の輪っかを生み出し収縮させて相手を殺す技だが、大衆の目もある為レベリオは自身の血を使用して使った。