ヴィラン名「ヴィランジェノサイダー」 作:宮田
須田恭也は、一人、焼野原を歩いていた。
いや、一人ではないかもしれない。そばにはずっと、美耶子がいる。いなくても、天国で見守ってくれているかもしれない。
彼の後ろには、焼け落ちた建物がある。多数のヴィランの死体もある。恭弥の炎に焼かれたヴィランは、死体すら無い。
後、何人のヴィランを殺せばいいだろう?もう多くのヴィランを葬ってきた。だが、ヴィランは世界中にいる。二・三日で、終わる数ではないだろう。。
――………も……ヴィランも……全部消して。
そうだ、約束したのだ。破らない、破りたくない。美那子の願いを..
空を見上げる恭也。
濃い雲に覆われているが、雨は降っていない。だがそれは途轍もなく遠い、実際の距離以上に遠く感じた。
ただ、空の向こうに、皆がいるような気がした。
行かなくては。自分のために
消さなくては。あの子のために
すべて、終わらせなければ。今度こそ破らないために
それが美耶子との……約束だから……。
約束は終わらない。彼女の言葉は呪いとなった。呪いは続く。どこまでも続く。永遠に...
☆
その、?日後――。
あるヒーローは、山の中にポツンとある建物の前にいた。
――ここが、奴のアジトの一つか...お師匠の敵討ちだ。待っていろオールフォーワン..
男はいつでも戦闘できるように身構えた。しかし不可解な事に気配がない。しかし周りには車もあったし、それは無いのだ。不気味な様子だ。
……何をやってんだ奴らは。籠城戦と来たのか?はあ。ため息が出る。こもられると厄介だ。
まあいいや。とりあえず、「デトロイトスマッシュ!」。全て消し飛ばす。
今は無き玄関から中に入った。
中にあったものを見て男は少し脅え、後退りする。
建物内には死体が積まれていたのだ。それに焼け跡が多数。
――成果なし、そう思った。
静かに腕を下ろす。ヴィランを殴って一般人が居れば連れていこうと思っていたが、ヴィランとは言え人間だ。生きたヴィランを殴るなら何のためらいもないが、死体を殴るのはさすがにしない。
男は軽く頭を下げた。
顔を上げる男。相変わらず誰も居ない。まあ、それも仕方がないだろう。きっと、オールフォーワンに口封じされたのだろう。
男は拳を握った。「待っていろ、オールフォーワン」
そう言って出ようとした。が。「..誰か..」声が聞こえた。とても小さな
ある少女は、道なき道を歩いていた。「ここはどこ?」
ずっと昔に誘拐され実験されていた少女は今、どこにいるのか判らない。知らない場所だ。たとえ知っている場所だとしても、どこを見ても木でいっぱいだ。
一人で、ずっとここまで歩いてきた少女。
怖かった。心細かった。
でも、もう泣かなかった。
あの男の人と約束したから。もう泣かない、もうあきらめない、と。彼はヒーローの様だった。だから決意した。私もヒーローになると。だから泣かない。泣くものか。
周りは木に囲まれていて。空しか見えない。雨は降っていない。空には、雲ひとつ無かった。
誰かの気配がした。
少女の方に近づいて来る。
とっさに、陰に身を隠そうとする少女。
「――もう大丈夫!」
なんで、もう大丈夫なのだろうか。そんな顔が見えていたのだろう。
何故って?
私が来た!」
低い、けれど透き通るような声だった。ヒーローのようだ。
「助けに来たんだ。怖がらなくていいから、出ておいで」
少女が隠れたのを見て、気を使っているのだろう。決して、向こうから近づこうとはせず、その場で待っている。
ゆっくりと、近づいた。
「こんにちは」
見たことがない男の人が、にっこりと笑っていた。青が多い服を着て、髪はに方向に立っている。クマみたいに大きな男の人だった。笑っているが、なんとなくぎこちない。普段は笑うことなんてない、真面目な人なのかもしれない。
でも、不思議と、怖いとは思わなかった。このおじさんは、あの男の人と同じだ。見た目はそうでなくても、本当は、とても優しい人。
ヒーローは、少女と同じ目線にしゃがんだ。「名前はや、じゃなくて『オールマイト』っていうんだ。お嬢ちゃんの名前、教えてくれるかな?」
「??..??です」
「ありがとう、??少女。どこか、ケガをしたり、痛い所とか、あるかい?」
「大丈夫、です」
「そうか。それは良かった。じゃあ、????の、住んでるお家の住所とか、学校のクラスとか、判るかな?」
「おうちは、...覚えてないけど、多分遠くです」
「うん。偉いね。??少女、ちょっと、待っててくれるかな」
そう言うと、おじさんは横を向き、肩に取り付けてあるトランシーバーみたいな機会に向かって、いま百が話したことをそのまま告げた。トランシーバーからは《了解》と、ノイズ交じりの返事が返ってきた。
おじさんは、また少女を見た。「いま、ひとりかな?」
少女は、黙ってうなずく。
「みんなを助けに来たんだ。君みたいに帰れない人が困ってると思って。??少女。もし、話したくないならいいんだけど、他の人たちはどこにいるのか判るかな?」、
「一緒に逃げ出そうとした子は死にました。他の人は、判りません。ともだちも……」
「そうか……ごめんね……イヤなこと訊いて」
少女は、小さく首を振った。「大丈夫。聴いてほしいから」
「……そうか」
「あの人は、あたしを護ってくれたの。友達が死んで、他の人もいっぱい死んで、次は私の番だって思った。けどぜんぶ、あの人がやっつけてくれた」
「――――?」
「でも、全部が終わった後に、どっかにいっちゃって。一人になっちゃった」
おじさんは、話を、頷きながら聞いていた。余計なことは何も言わず、ただ、笑顔で聞いている。
「最後にシガラキって人が来たけど、あのひとも戻って来てくれて助けてくれた。」
おじさんは、優しく??の頭を撫でてくれた。「――怖い思いをしたんだね。頑張った」
??は、大きく頷く。「一人で怖くて、寂しくて、何回も泣いたけど……でも、もう泣かないの。約束したし。だからあたし、もう泣かないの。あきらめないの。どんなに怖くても、どんなに寂しくても、絶対泣かない。約束だから、それにヒーロー志望だからね。」
そこで、言葉を止めた。
おじさんは、笑顔のまま、??の言葉を待っている。
「でも……」
優しく微笑むおじさんの顔が、ぐにゃりと、歪んだ。
「でも……もう……みんなには、会えないんだよね」
いつの間にか、目に、涙がいっぱい溜まっていた。いい環境ではなかったが、それでも大切な人が居た。
「もう、会えないんだよね」
涙が伝う。
おじさんは何も言わない。否定も、肯定も、しなかった。
泣いちゃダメだ。泣いたら..約束したんだ。絶対絶対絶対泣かないって、約束したんだから。
でも、涙は、もう止まらない。
おじさんが、少女を、そっと抱きしめてくれた。
泣いちゃダメだ。泣いちゃダメだ。泣いちゃダメだ。
そう、思えば思うほど、涙が止まらない。泣き続ける。もう、二度と会えない、人たちのことを思って。
泣いた。泣き続けた。
「おじさん。」「なんだい?」「私ヒーローになれるかな。」「...もちろんさ!」決めた。周りの人たちも泣かせない。そんなヒーローに私は。
どのSIRENキャラが欲しいですか?
-
竹内と安野
-
宮田と恩田
-
志村
-
八尾
-
その他