ヴィラン名「ヴィランジェノサイダー」   作:宮田

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後日04:44 須田恭弥

須田恭也は、一人、焼野原を歩いていた。

いや、一人ではないかもしれない。そばにはずっと、美耶子がいる。いなくても、天国で見守ってくれているかもしれない。

彼の後ろには、焼け落ちた建物がある。多数のヴィランの死体もある。恭弥の炎に焼かれたヴィランは、死体すら無い。

後、何人のヴィランを殺せばいいだろう?もう多くのヴィランを葬ってきた。だが、ヴィランは世界中にいる。二・三日で、終わる数ではないだろう。。

 

 

 

 

 

 

 

 ――………も……ヴィランも……全部消して。

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、約束したのだ。破らない、破りたくない。美那子の願いを..

空を見上げる恭也。

濃い雲に覆われているが、雨は降っていない。だがそれは途轍もなく遠い、実際の距離以上に遠く感じた。

ただ、空の向こうに、皆がいるような気がした。

 行かなくては。自分のために

 

 

 

 消さなくては。あの子のために

 

 

 

 すべて、終わらせなければ。今度こそ破らないために

 

 それが美耶子との……約束だから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約束は終わらない。彼女の言葉は呪いとなった。呪いは続く。どこまでも続く。永遠に...

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 その、?日後――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あるヒーローは、山の中にポツンとある建物の前にいた。

 

 ――ここが、奴のアジトの一つか...お師匠の敵討ちだ。待っていろオールフォーワン..

 

 

 

 男はいつでも戦闘できるように身構えた。しかし不可解な事に気配がない。しかし周りには車もあったし、それは無いのだ。不気味な様子だ。

 

 

 

 ……何をやってんだ奴らは。籠城戦と来たのか?はあ。ため息が出る。こもられると厄介だ。

 

 

 

 まあいいや。とりあえず、「デトロイトスマッシュ!」。全て消し飛ばす。

 

 

 

 今は無き玄関から中に入った。

 

 

 

 中にあったものを見て男は少し脅え、後退りする。

 

 

 

 建物内には死体が積まれていたのだ。それに焼け跡が多数。

 

 

 

 ――成果なし、そう思った。

 

 

 

 静かに腕を下ろす。ヴィランを殴って一般人が居れば連れていこうと思っていたが、ヴィランとは言え人間だ。生きたヴィランを殴るなら何のためらいもないが、死体を殴るのはさすがにしない。

男は軽く頭を下げた。

顔を上げる男。相変わらず誰も居ない。まあ、それも仕方がないだろう。きっと、オールフォーワンに口封じされたのだろう。

男は拳を握った。「待っていろ、オールフォーワン」

 

 

 

 そう言って出ようとした。が。「..誰か..」声が聞こえた。とても小さな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある少女は、道なき道を歩いていた。「ここはどこ?」

 

ずっと昔に誘拐され実験されていた少女は今、どこにいるのか判らない。知らない場所だ。たとえ知っている場所だとしても、どこを見ても木でいっぱいだ。

一人で、ずっとここまで歩いてきた少女。

怖かった。心細かった。

でも、もう泣かなかった。

あの男の人と約束したから。もう泣かない、もうあきらめない、と。彼はヒーローの様だった。だから決意した。私もヒーローになると。だから泣かない。泣くものか。

周りは木に囲まれていて。空しか見えない。雨は降っていない。空には、雲ひとつ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 誰かの気配がした。

 

 

 

 少女の方に近づいて来る。

 

とっさに、陰に身を隠そうとする少女。

 

 

 

「――もう大丈夫!」

 

 

 

なんで、もう大丈夫なのだろうか。そんな顔が見えていたのだろう。

 

 

 

 

何故って?

私が来た!」

 

 

 

 低い、けれど透き通るような声だった。ヒーローのようだ。

「助けに来たんだ。怖がらなくていいから、出ておいで」

少女が隠れたのを見て、気を使っているのだろう。決して、向こうから近づこうとはせず、その場で待っている。

ゆっくりと、近づいた。

「こんにちは」

 見たことがない男の人が、にっこりと笑っていた。青が多い服を着て、髪はに方向に立っている。クマみたいに大きな男の人だった。笑っているが、なんとなくぎこちない。普段は笑うことなんてない、真面目な人なのかもしれない。

 

でも、不思議と、怖いとは思わなかった。このおじさんは、あの男の人と同じだ。見た目はそうでなくても、本当は、とても優しい人。

 

 

 

ヒーローは、少女と同じ目線にしゃがんだ。「名前はや、じゃなくて『オールマイト』っていうんだ。お嬢ちゃんの名前、教えてくれるかな?」

 

「??..??です」

 

 

 

「ありがとう、??少女。どこか、ケガをしたり、痛い所とか、あるかい?」

 

 

 

「大丈夫、です」

 

 

 

「そうか。それは良かった。じゃあ、????の、住んでるお家の住所とか、学校のクラスとか、判るかな?」

 

 

 

「おうちは、...覚えてないけど、多分遠くです」

 

 

 

「うん。偉いね。??少女、ちょっと、待っててくれるかな」

 

 

 

 そう言うと、おじさんは横を向き、肩に取り付けてあるトランシーバーみたいな機会に向かって、いま百が話したことをそのまま告げた。トランシーバーからは《了解》と、ノイズ交じりの返事が返ってきた。

 

 

 

 おじさんは、また少女を見た。「いま、ひとりかな?」

 

 

 

 少女は、黙ってうなずく。

 

 

 

「みんなを助けに来たんだ。君みたいに帰れない人が困ってると思って。??少女。もし、話したくないならいいんだけど、他の人たちはどこにいるのか判るかな?」、

 

 

 

「一緒に逃げ出そうとした子は死にました。他の人は、判りません。ともだちも……」

 

 

 

「そうか……ごめんね……イヤなこと訊いて」

 

 

 

 少女は、小さく首を振った。「大丈夫。聴いてほしいから」

 

 

 

「……そうか」

 

 

 

「あの人は、あたしを護ってくれたの。友達が死んで、他の人もいっぱい死んで、次は私の番だって思った。けどぜんぶ、あの人がやっつけてくれた」

 

 

 

「――――?」

 

 

 

「でも、全部が終わった後に、どっかにいっちゃって。一人になっちゃった」

 

 

 

 おじさんは、話を、頷きながら聞いていた。余計なことは何も言わず、ただ、笑顔で聞いている。

 

 

 

「最後にシガラキって人が来たけど、あのひとも戻って来てくれて助けてくれた。」

 

 

 

 おじさんは、優しく??の頭を撫でてくれた。「――怖い思いをしたんだね。頑張った」

 

 

 

 ??は、大きく頷く。「一人で怖くて、寂しくて、何回も泣いたけど……でも、もう泣かないの。約束したし。だからあたし、もう泣かないの。あきらめないの。どんなに怖くても、どんなに寂しくても、絶対泣かない。約束だから、それにヒーロー志望だからね。」

 

 

 

 そこで、言葉を止めた。

 

 

 

 おじさんは、笑顔のまま、??の言葉を待っている。

 

 

 

「でも……」

 

 優しく微笑むおじさんの顔が、ぐにゃりと、歪んだ。

 

「でも……もう……みんなには、会えないんだよね」

 

 いつの間にか、目に、涙がいっぱい溜まっていた。いい環境ではなかったが、それでも大切な人が居た。

 

「もう、会えないんだよね」

 

 涙が伝う。

 

 

 

 おじさんは何も言わない。否定も、肯定も、しなかった。

 

 

 

 泣いちゃダメだ。泣いたら..約束したんだ。絶対絶対絶対泣かないって、約束したんだから。

 

 

 

 でも、涙は、もう止まらない。

 

 

 

 おじさんが、少女を、そっと抱きしめてくれた。

 

 泣いちゃダメだ。泣いちゃダメだ。泣いちゃダメだ。

 そう、思えば思うほど、涙が止まらない。泣き続ける。もう、二度と会えない、人たちのことを思って。

 

 

 

 泣いた。泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おじさん。」「なんだい?」「私ヒーローになれるかな。」「...もちろんさ!」決めた。周りの人たちも泣かせない。そんなヒーローに私は。

 

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