仮面ライダービルドーWe The Oneー   作:K-K

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仮面ライダービルドーWe The Oneー

 スカイウォール。それは日本列島を三つに分断した巨大な壁。『スカイウォールの惨劇』と名付けられた現象を引き起こしたのは、火星で発見されたパンドラボックスと呼ばれるキューブ状のアイテムによるものであり、未知なる力により空からの侵入すら許さない壁は日本に大きな混乱を齎し、日本を東都、北都、西都という三つの独立した政府組織を誕生させた。

 全ての元凶はパンドラボックスの力により星の文明を滅ぼし、星の命を喰らう地球外生命体──エボルト。

 人に憑りつき、暗躍し、多くの者たちの人生を踏み躙って嗤う凶悪なエイリアン。

 その邪悪な牙は地球へ向けられ、今も蝕んでいる。

 しかし、エボルトは知らないことが一つあった。エボルトが地球へ来る少し前、日本に無人宇宙探査機が帰還したことを。

 来るべき宇宙開拓に備えての無人宇宙探査機。当時は話題になったが、帰還した探査機には何も残っていなかったという発表がされ、人々の興味はすぐに失われた。

 しかし、探査機に関わる奇妙な噂があった。探査機の調査の最中に人が行方を眩ませたという噂。

 実は探査機は何らかの兵器実験というもの。黒い噂が囁かれている重工メーカーである難波重工の社員らがうろついていたという。しかし、その噂は失笑された。探査機に難波重工が関わっていることは周知の事実であり、噂が本当である証拠は何処にも無かった。

 色々な憶測が囁かれていたが、その噂も『スカイウォールの惨劇』により誰も囁かなくなる。

 帰還した探査機の中に本当は何が入っていたのか。その答えが明かされたのは十年後のことであった。

 

 

 

 

 その日、戦兎と万丈は奇妙なスマッシュと遭遇した。

 全身が黒く染まったスマッシュ。以前も似たようなものを見たことがあるが、明らかに挙動がおかしい。糸で操られているかのようなギクシャクした動きであった。

 戦闘となり仮面ライダービルとグレートクローズへと変身するが、元からの挙動もあってあっさりと倒してしまう。

 だが、不可思議なことはその後に起こった。

 

「ボトルだけ……?」

 

 素体となっている人間の姿は無く、変身に使用したフルボトルだけが転がっていた。

 

「何だこりゃあ? エボルトの仕業なのか?」

 

 そうだとしても意図の分からない行為に二人は首を傾げる。

 二人は気付かなかった。黒い粘液のような物体が静かに忍び寄り、ビルドの背中に張り付くと吸い込まれるように一体化したことを。

 そして、それを眺めている第三者の存在が居ることを。

 

「仮面ライダーに寄生したか……まあ、それも良いか」

 

 

 

 

 かつては難波重工に仕え、エボルトの強大な力の前に屈して彼につくことを選んだ男──内海成彰。エボルトとから与えられた力で仮面ライダーマッドローグへと変身し、今日もエボルトの指示の下で戦兎たちと戦う──筈であった。

 

『Are you Ready?』

「変身!」

 

 マッドローグと対峙する戦兎はビルドへと変身する。ここまでは普通であった。異変が生じたのは変身後。

 

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!』

「何だその姿は!?」

 

 変身したビルドの体色は青と赤の組み合わせではなく全身が黒。複眼すらも黒く染まっており、それ以外の色が無い。

 

「ハザードトリガーも使っていないのに何で……!?」

 

 似たようなフォルムには成れるが、そのアイテムも使用していない。戦兎からすれば突然ビルドの色が変わったので混乱する。

 

「──まあいい。どれ程の力か確かめさせてもらうぞ!」

 

 ビルドの新しい姿を警戒しながらも実力を測る為にマッドローグはネビュラスチームガンを連射しながら距離を詰める。

 マッドローグの連射に対し、ビルドはそれをいとも簡単に回避しながら一瞬で距離を詰めた。

 

「なっ!?」

 

 マッドローグは咄嗟にスチームブレードを振り抜こうとする。だが、そうなる前にビルドの手がマッドローグの腕を掴む。それだけでマッドローグの腕は動かなくなった。

 

「何だこの力と速さは……」

 

 ビルドは湧き上がって来るパワーに困惑すると同時に高揚感を覚えていた。普段の彼ならばあり得ない戦いを愉しむ心。

 

「貴様……! 一体何を……!」

 

 抗うマッドローグ。そんな彼の抵抗にビルドの精神が昂る。

 

「うるさいぞ」

「があっ!」

 

 ミシミシという音を立ててマッドローグの腕が握り潰されていく。

 

『いいぞ、そのまま捻じ伏せろ。俺達の力を思い知らせてやれ』

 

 頭の中で知らない声が響く。しかし、今のビルドはそれに違和感を覚えない。声が言う通り、マッドローグに力の差を思い知らせる。

 マッドローグが膝を着く。ビルドはビルドドライバーのハンドルを回す。

 

『Ready Go!』

 

 無防備なマッドローグの頭にビルドのキックが打ち込まれる刹那の瞬間、横から飛んで来た光弾がビルドに命中し、ビルドを吹き飛ばす。

 

『大丈夫か?』

「お前は……」

 

 マッドローグの危機を救ったのは見知らぬ怪人。

 額から煙突に似た角を生やし、肩や首回りにもパイプ型のユニットを装備している。胸と顔のマスクには蜘蛛を彷彿させる意匠が施されていた。

 

「トランスチームシステム……何者だ!?」

 

 怪人の姿はマッドローグの知る変身システムによるものだが、既存の変身形態とはどれも違っていた。

 

『こういう時、名乗った方が良いのか?』

 

 機械により変声された声で喋る怪人は、片手にトランスチームガン、もう片方にトランスチームガンの原型であるネビュラスチームガン。二丁拳銃でマッドローグと倒れているビルドを威嚇している。

 

『何て名乗ろうかなぁ……ああ、そうだ』

 

 蜘蛛の怪人は思い付く。

 

『ブラッドイーターとでも呼んでくれ』

 

 

 

 

 

「ブラッドイーター? 随分とふざけた名前だなぁ。それともブラッドスタークからパクったか? どちらにしろ面白くはないな」」

 

 ブラッドイーターの情報を持ち帰った内海に対し、エボルトはやや不機嫌そうに言う。嘗て名の模倣か、それとも意図せずなのかブラッド族という星喰いの一族であるエボルトとに対し、ブラッドを喰らう(ブラッドイーター)という意味を持つ名を名乗っているのは愉快ではない。

 

「それと黒いビルドの件だが。……もしかしたら」

「何か心当たりでも?」

「直接見ないと分からないが……もし、俺の予想が当たったとしたら……」

 

 エボルトは苦々しい表情をする。人間を見下し、小馬鹿にした笑みを張り付けている彼にしては珍しい表情であった。

 

「厄介な奴が紛れ込んだことになるな……」

 

 

 

 

 ある日を境に戦兎の様子が豹変した。普段は飄々としている彼だが、普段は着ないような衣服を纏い、やたら周囲の人間に馴れ馴れしいかと思えば、突如キレて暴力を振るうなど情緒不安定さが目立つ。

 些細な事にも怒りと暴力性を剝き出しにする戦兎に対し、万丈は実力行使を取らざるを得ない状況になり、遂にビルドとグレートクローズは激突する。

 基本フォームである筈のビルドはグレートクローズを圧倒。どう考えてもおかしな状況にグレートクローズの疑念は深まる。

 

「どうしちまったんだよ! 戦兎!」

 

 グレートクローズは叫びながらビートクローザーを取り出す。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 黒いビルドは獣同然の叫びを上げ、ドリルクラッシャーを装備する。

 ビートクローザーとドリルクラッシャー。二つの武器が切り結び、甲高い金属音を打ち鳴らした瞬間──

 

「がああああああっ!?」

 

 ──突如ビルドは苦しみ出し、その体が波打つ。

 

「何だ!? どうなってやがる!?」

 

 ビルドに起きた変異に混乱するグレートクローズ。ビルドの体に生じた波紋は広がっていき、ビルドの体が膨張を繰り返す。

 

「おい! 大丈夫か!?」

 

 グレートクローズが近寄った瞬間、ビルドを覆っていた黒い粘液が飛び出し、グレートクローズへと襲い掛かった。

 

 

 

 

 気絶していた万丈は目を覚ます。離れた場所には同じく気絶した戦兎がいた。近寄ろうとしたとき──

 

『やっと目を覚ましたか、万丈』

 

 聞いた事が無い声が自分の名を呼んでいるので、慌てて声の方を見る。蛇のように蠢く黒い粘液、その粘液には吊り上がった白い眼、鋭い牙、長い舌、と顔があった。

 

「何じゃこりゃああああっ!?」

『何だじゃない。誰だと言え』

 

 万丈のリアクションに不満を言う黒い粘液。

 万丈は慌てて黒い粘液から離れるが、どういう訳か粘液は付いて来る。

 

「離れろよ!」

『引っ張っているのはお前だ』

 

 そう言われて気付く。黒い粘液と自分が繋がっていることに。

 

「うそーん……」

『鈍いな、お前』

 

 

 

 

 何者かが暗躍している。同じく暗躍するエボルトはそれが面白くなく、その人物を探していた。

 しかし、意外なことにその人物は拍子抜けする程あっさりと見つかる。というよりも自分の方から現れたのだ。

 その人物を見た瞬間に内海は驚愕する。

 

「お前は……」

「よお、内海。久しぶりだな」

 

 内海へ気さくに手を振る内海と同年代の男。

 

「知り合いか?」

「……彼も私と同じ難波チルドレンだ」

「同じ釜の飯を食った仲だよな、兄弟」

 

 親し気に声を掛けるも内海は苦渋に満ちた表情をする。

 

「ほお? なら悪いことをしたなぁ。これからお前の兄弟を始末することになる」

「白々しいなぁ。本当に思っているのかよ?」

「これでも人間の感情は勉強しているんだぜぇ?」

「宇宙人如きが理解出来るとは思えないなぁ」

「人間如きすぐに理解出来るさ」

 

 互いに謗り合い、薄ら笑いを浮かべる。

 

「そして、人間如きすぐに消せる」

『エボルドライバー!』

 

 変身ツールであるエボルドライバーがエボルトに装着され、二つのボトルがその手に握られる。

 

『コブラ! ライダーシステム! エボリューション!』

 

 ハンドルを回すと雄大なテンポの音が鳴り響き、ドライバーから伸びたチューブがエボルトの前後に装甲を形成。

 

「変身」

 

 三つの黄金の環が連なり、装甲と共に一つへ重なる。

 

『コブラ! コブラ! エボルコブラ!』

 

 環が天球儀のように重なり合い、その中心でエボルへ変身。

 

『フッハッハッハッハッハッハ!』

 

 コブラの意匠と天球儀を彷彿とさせる姿、仮面ライダーエボルと変わった。

 

「宇宙人のくせにいいセンスじゃないか」

 

 エボルの造形を褒めながら男はトランスチームガンとフルボトルを取り出し、フルボトルを振って活性化させる。

 

『スパイダー!』

 

 トランスチームガンがセットされたフルボトルの名を呼ぶ。

 

「蒸血」

『ミストマッチ!』

 

 トランスチームガンから噴き出す黒い蒸気が男を覆う。

 

『スパイダー! ス、スパイダー!』

 

 体から噴き出した白い蒸気により黒い蒸気は吹き飛ばされ、蒸気同士が混じり合うことで化学反応が生じ、火花が起こる。

 

『ファイアー!』

 

 ブラッドイーターへと変身を遂げた男をエボルは鼻で笑う。

 

「今更トランスチームシステムか」

「試してみたら分かる」

 

 仮面ライダーエボルとブラッドイーターの戦いはその一言で開戦した。

 ブラッドイーターはエボルの予想よりも喰らい付く。既存のトランスチームシステムに独自の改良を施し、性能が底上げをされていた。

 しかし、その程度。エボルを超えるには至らない。

 

『エボルテックフィニッシュ!』

 

 星雲を纏うエボルのキックがブラッドイーターを蹴り飛ばし、変身を解除させる。

 

『チャーオー!』

 

 地面を数度跳ねていく男。全身がズタボロであった。

 

「勝負あったなぁ。いや、分り切っていたことか」

 

 エボルは男を見下ろし、嘲る。

 

「──ああ、こうなことは分かっていた」

『ネビュラスチームガン!』

「何!?」

 

 男は隠していたネビュラスチームガンを取り出し、エボルに何かを撃ち込む。咄嗟にガードするエボルであったが、撃ち出されたそれは黒い粘液であり、エボルの体を覆う。

 

「こいつは!?」

 

 エボルは引き剥がそうとするが黒い粘液は中々離れない。

 

「はぁ!」

 

 全身から力を放出することで粘液を吹き飛ばすエボル。吹き飛ばされた粘液は、男が掲げたフルボトルの中に吸い込まれていった。

 

「やはりシンビオートか……!」

「知っていたか。流石宇宙人。もしかして友達だったか?」

「そいつらと友達になれる奴がいるのなら、顔が見てみたいな」

「確かに」

 

 今まで飄々としていたエボルから飄々さが抜ける。シンビオートという物質がどれ程危険なものか知っているからだ。

 

「なら知っているよなぁ? こいつの特性も? ……コピーさせてもらったぞ、お前の力を!」

 

 ネビュラスチームガンにシンビオートを取り込んだフルボトルがセットされる。

 

『シンビオート!』

 

 そして、既にスパイダーロストフルボトルがセットされているトランスチームガンと交差するように構える。

 

「──血合」

『ファンキーマッチ!』

 

 両銃から黒い蒸気が噴射されると共に無数に分裂したシンビオートが周囲に飛び散る。

 

『フィーバー!』

 

 蒸気内で男が変身した機械内部が露出している素体のような黒いボディに触手を伸ばし、自らを引き寄せて張り付き覆っていくシンビオートたち。装甲が欠損した部分はシンビオートによって補われていく。

 顔面部分にシンビオートを被ることで本来ならば表情の無い鉄仮面が顔のように変化。鋭い楕円型の白い双眼。口部も形成され尖った牙と長い舌が生える。

 胸部中央には共に吸収された蜘蛛の成分を表すかのように白い蜘蛛のマークが浮かび上がり、生物と機械が融合した新たな怪人が誕生する。

 

『パーフェクト!』

 

 変身完了と同時に漂っていた黒い蒸気が火花と共に消える。

 

「──さて、初変身したのは良いが肝心なことを決め忘れていた」

 

 ネビュラスチームガンとトランスチームガンの銃口の照準をエボルに定める。

 

「名前、何が良いと思う?」

 

 最強と最凶が今、激突する。

 

 




頭の中で見たいなーと思っていた妄想を試しに文章にしてみました。
取り敢えずここまでが書ける限界です。
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