仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ HEROEZ MISSION 作:志村琴音
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。
仮面ライダーとユーザー達、2対2の戦いが幕を開けた。
ディクリードはプロトミノタウロスユーザーに対して次々と両手でパンチを繰り出していく。
元々格闘家として戦っていた彼には、そんなこと朝飯前であるのではあるが、全く手応えが無い。まるで鉄の塊のように硬い敵の身体を叩く度に、逆に自分がダメージを負っていってしまう。
するとプロトミノタウロスユーザーが左手で反撃をしてきた。
両腕をクロスして防御するのだが、その一撃はあまりにも重く後退してしまい、腕が折れてしまうのではないかと思ってしまう程である。
「だったら、これだ!」
ベルトの右側に着いているカードホルダーの中から1枚のカードを取り出し、ディクリードライバーに翳して吸収させる。
『カメンライド! ダブル!』
ディクリードの左手に、4つのスロットがある盾──メモリシールドが現れる。
そこにプロトミノタウロスユーザーが再びパンチをお見舞いしようとするのだが、それを盾で防いだ。防御力はそれなりにあるらしく、多少の衝撃が来るものの全く攻撃は届かない。
更に攻撃が来るのであるが、それを全て盾で受け止めて防ぎ、反撃のチャンスを見る。
師匠の元で同じ門下生達のミット打ちを手伝っていたのだ。これくらい造作でも何でもない。
「そうですか。では、これならどうですか⁉︎」
プロトミノタウロスユーザーは立ち上がると、突如として右手の中に巨大な銀色のハンマーを出現させた。
そしてディクリードの方へ走り、彼目掛けて振り下ろす。
何とか自身の盾で打ち返すのだが、その際の反動を利用され、今度は上に掬い上げる形で叩かれた。
吹き飛ばされるディクリード。
ハンマーで殴られるなど初めての経験であったため、寧ろ面白くなってきたようだ。
「手強いな……。じゃあこれだ!」
『カメンライド! キバ!』
再びカードを読み込ませると、ステンドグラスのように神々しい鎧──ドガバキアーマーが上半身に装着される。
ドッガハンマーと呼ばれる巨大な紫色のハンマーを両手の中に召喚し、再度ハンマーで殴って来ようとするプロトミノタウロスユーザーに対し、強烈なカウンターを喰らわせた。
「タァッ!」
「グッ……!」
吹き飛ばされた敵の方に対し、ディクリードはドッガハンマーの掌の部分を開き、中にあった大きな目で観察をさせると、様々な情報が頭の中に流れて来る。
それを見たディクリードは仮面の下でニヤリと笑った。
「何となく判ったぜ。お前の弱点がなぁ!」
一方のブートレグはというと、プロトマーメイドユーザーと一進一退の戦いを繰り広げていた。
舞踊染みた攻撃の仕方は今まで戦ったことの無いタイプであったため、最初こそ苦戦していた。
まるで踊るかのように回りながらキックや張り手を繰り出し、ブートレグを後退させる。
しかしブートレグも負けてはいない。
攻撃が来る瞬間、飛蝗の如く跳躍力が強化されている両脚を使ってプロトマーメイドユーザーの背中側へとジャンプ。
振り返った彼女が繰り出す回し蹴りを同じく回し蹴りで防御し、その弾みを使って一回転。右手で彼女の顔にパンチを喰らわせた。
それによってプロトマーメイドユーザーは地面を転がり、少ししたところで立ち上がる。
「やるじゃない……! けどこれならどうかしらっ⁉︎」
するとプロトマーメイドユーザーは全身を水の塊のように変形させて纏わりついてきた。
どうせただ単に撹乱するだけなのだろうと思っていたが、その際に何やら毒物らしきものが出ているらしく、徐々にブートレグは苦しくなってきた。
なので戦法を変えるため、意識を失いそうになりながら別のガジェットをドライバーに装填する。
『
ホーンセクションが鳴り響く中で、すぐにレバーを下げた。
『変身シークエンスを開始します』
再び身体が黒くなり、その後草色のトゲトゲとした見た目へと変貌を遂げた。
『CACTUS』
「ハァッ!」
カクタスフォームに変身をしたブートレグは、身体に付いた棘を全て伸ばし、纏わりつくプロトマーメイドユーザーを攻撃した。
「ッア……!」
全身に棘が刺さったプロトマーメイドユーザーは身体を元に戻しながら落下。
ブートレグは棘の付いた左足でサッカーの要領で彼女を遠くへと蹴り飛ばした。
これによって二体のユーザーは倒れながら並ぶ状態となる。
片方は弱点を知られてしまったらしい上に、もう片方の相手は中々の強敵であることから、二人は下した決断はただ一つであった。
「……ここは、一時撤退とさせていただきましょうか……」
「そうね……。じゃあ、またね」
「! おい待て!」
ディクリードの言葉に耳を貸すことなど無く、身体を粒子状にしてその場を退散して行った。
追い掛けようとするのだが、もうその時には既に消えてしまっている。
仕方が無いかとブートレグは自身の身体を同じように崩壊させ、意識を元の身体に戻す。
同時にディクリードもベルトからディクリードライバーを取り外して変身を解除した。
目を覚ますと海来が手を伸ばして立ち上がるのを手伝ってくれる。大きな石があって危ないこの場において、この行動は凄く有り難い。
「有り難うございます……」
「おう。良いってことよ」
屈託の無い笑顔を見せる海来。
「どうして、僕のドライバーをお持ちだったんですか……?」
「まぁちょっとな。事情は後で説明するから、一旦一緒に来てくれ」
「? はい」
────────────
「「ハァッ!」」
さて、アクトとリベードが戦闘員達を倒すのに掛かった時間がどのくらいか、想像に難くないだろう。
黒い剣──ディスペルクラッシャー ソードモードを振り回し、粗悪なナイフを打ち落として次々と斬り裂く。
全ての兵士を倒した彼等の剣が真っ直ぐに自身の所に来ると、プロトヘルハウンドユーザーは寸前で爆発を引き起こして二人を吹き飛ばした。
「「ッ⁉︎ アァァッ!」」
これだけで終わらずに次々に地面から爆発を起こした。
ただ避けることしか出来ず、攻撃をする隙を生ませてくれない。
「あっつ!」
「何これ⁉︎」
「ハハハ。良いだろ」
まさかの攻撃に驚くアクトとリベードの姿に笑いが止まらない。
数多の敵と戦ってきたとはいえ、こんなに爆発が起こることは初めてに等しかった。
しかし彼等は言わばプロだ。なので爆発を避けながらベルトにあるカードホルダーからカードを取り出し、取り外したトランスフォンに挿し込んだ。
『"RYUKI" LOADING』
『"WIZARD" LOADING』
電源ボタンを押すと銀色の鎧が解除され、上に先と同じようなゲートが出現。そこから赤色のドーナツ型のオブジェと、同じく赤色の龍が現れる。
同じタイミングでトランスフォンをドライバーに再び装填した。
『『Here we go!』』
二つのものが分解され、鎧となってアクトとリベードに装着をされる。
それによって新たな姿へと変貌を遂げるのだ。
『Come across, Participate, Fight each other! You cannot survive without fighting! FLAME RYUKI! I will never die.』
『Witchcraft, Activate, Bibi de bob de boo! I’ll be your last hope. MYSTERIOUS WIZARD! It’s showtime.』
竜騎士のような姿の龍騎シェープになったアクトと、まるで魔法使いのような姿であるウィザードシェープになったリベード。
アクトは剣を地面に刺して再度カードを取り出し、ドライバーに挿さったトランスフォンの裏側にかざす。
『GUARD VENT』
次々と爆発が起こる。
しかしそれを両手に現れた盾で全て防ぎながら前進をして行く。
『"EXTEND" please』
プロトヘルハウンドユーザーの目の前にやって来たアクト。
寸前で再び爆発を引き起こそうと目論んだのであるが、彼はいきなり右の方へと逸れた。
「?」
「ハァッ!」
代わりにお見舞いをされたのは、リベードが魔法陣によって伸ばした左腕から繰り出されるパンチであった。
その速度は急速であり、とても爆発を起こして対抗しようなどと思い立つ時間は無い。
しかし代わりにプロトヘルハウンドユーザーは突如としてその場から姿を消した。
戸惑うアクトとリベードに、姿を現さずに次々と攻撃を喰らわせていく。
「これ、多分凄い速さで動いてるね……」
「ああ。かなり厄介だ……」
「他のに変身する?」
「いや、もっと良い方法がある」
「……オッケー。じゃあそれで行こう」
「了解」
そう言うと二人は新たなカードを読み込ませた。
『"CONNECT" please』
『STRIKE VENT』
地面と宙空、そしてアクトの目の前に赤色の魔法陣が大量に出現をする。
何が起こるか分からないプロトヘルハウンドユーザーは、警戒をしながらもアクトとリベードに攻撃を仕掛ける。
リベードが剣で攻撃を防いでいる中、アクトは自身の左手にあるパーツを龍の頭部を模した形状に変形。そこから魔法陣に向けて勢い良く炎を噴射した。
すると魔法陣を通った瞬間に、他の魔法陣から火柱が上がり、プロトヘルハウンドユーザーを直撃した。
「ガァッ……!」
高速で動くことが難しくなってしまった彼に対し、更に炎を浴びせる。
このままでは確実に負けてしまうのがオチだろう。
「これは一旦逃げるのが得策かぁ……」
プロトヘルハウンドユーザーは自身の身体をバラバラにし、炎が着いた状態で宙空を滑空しながらその場を去って行った。
炎が浮いているかのような光景を見送ったアクトとリベードは共に変身を解除する。
そこに物陰に隠れていたレナがやって来た。
「お疲れ様です」
「……ああ。お疲れ」
春樹の語気と碧の目線から察するに、どうやら自分は警戒されているらしいとレナは気付く。
それもそうかと受け入れ始めた彼女に、碧が話し掛ける。
「色々と話したいことがあるんだけど……」
「そうですよね。それについては全てお話しさせていただきますので、一緒に来てください」
────────────
優司が海来に連れて来られたのは、先の河川敷とは何もかもが違う大都会の中であった。
辺りを見渡せば上米町の1.5倍以上程の人で溢れ、道路の標識には見たこともない都市の名前が書かれている。更に道に沿って建っているビルは高く、圧迫されているような感覚を覚えるのだ。
一体ここは何処なのかまるで見当もつかない状態の優司と共に歩いていた海来は、大通りから少し外れた所に行って何かを見つけ、「ここだな」と呟いた。
それは古めかしいノスタルジックな見た目をした喫茶店であった。
先程見ていたビルの群とは打って変わった目の前の建築物は、自身が住んでいる家のような安心感を与えてくれる。
「ここ、喫茶店、ですか……?」
「そう。Hamelnって名前だ。じゃ、入ろうぜ」
「え、でも……」
扉に『今日と明日臨時休業し〼』の張り紙が貼られていることに気が付いた優司は入ることを躊躇うが、海来は容赦無く入店をして行ったため、戸惑いながらも後に続く。
「あれ? またいらっしゃった」
「本当だ」
外観通りの内装をしている店内では、この店の主である
そしてレナに椎名夫妻の三人も中で座っていた。
「これで皆さん揃いましたね」
レナが立ち上がり、優司と海来に空いている席に座るよう勧めてきたのでそうする。
「ねぇ、お兄ちゃんも仮面ライダーなの?」
すると章太郎が話しかけてきた。
いきなり何事かと思った優司は、上手く言葉を発することが出来ずにただ頷くだけである。
「紹介させていただくと、まずこの店の店長の藤堂権兵衛さんとその甥っ子の章太郎君。仮面ライダーアクトこと椎名春樹さんにその奥様で仮面ライダーリベードこと椎名碧さん。で、今いらっしゃった金髪の方が仮面ライダーディクリードこと千草海来さん、そして違う方が仮面ライダーブートレグこと梶本優司さんです」
補足するかのように全員分の他己紹介をしてくれたところで、春樹と碧は彼女の言葉に引っ掛かりを覚えた。
「ブートレグって……」
「まさか……!」
「やっぱり、覚えていらっしゃいましたか」
優司本人や章太郎に権兵衛は知ったことではないのだが、春樹と碧は嘗て夢の中で変身をした優司にあったことがあるのだ。
ゴリラユーザーが戦闘員達と共に襲い掛かって来たところを救われ、倒したところで気が付けば家のベッドから現に戻った。
しかしまさか実在しているとは思わず、驚愕を隠せない様子である。
「そのことも含めて、まずは一からご説明させていただきます」
そう言うとレナは言葉通り、全員にこの一件の詳細を全て語り始めた。