仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ HEROEZ MISSION 作:志村琴音
以下のイメージOPを流しながら読むと平ジェネみたいになります。
アクト:PEOPLE 1 - 銃の部品
ブートレグ:WONK - Passione
ディクリード:AK-69 - Forever Young feat. UVERworld
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。
「もうここまで来たか……」
白髪を肩まで伸ばした老人が一人、窓から僅かな日光が差し込むだけの暗い部屋の中でモニターを見つめている。
そこには廃墟の周りにて戦いを繰り広げる戦士達の姿が映し出されていた。それを見ながら老人──ディー博士はニヤリと微笑む。
「この身体とも、おさらばだな」
口を開くディー博士の目に光は一切無く、日光によって照らし出された身体は正に満身創痍と言うのが似合う状態であった。
そして彼の背中から何か透明なものが微かに浮かんだが、すぐに彼の中へと消えていった。
────────────
誰も通らない広い道路の上で戦闘を繰り広げるのは、アクトとリベードだ。
取り出したディスペルクラッシャー ソードモードを振り回し、戦闘員達を斬り裂いていく。
アクトが剣を横に振るうと、持ち手である右腕をリベードが踏み台にして高くジャンプ。反対方面にいる戦闘員達を一刀両断した。
更にリベードがアクトの左手首を掴んでアクトを引っ張る。
その勢いを利用してアクトは戦闘員達を蹴り飛ばすと、リベードの背中を転がり、目の前の敵に斬りつけた。
これで戦闘員全員を瞬殺したことになる。
10年以上連れ添っている二人にとって、全く統率の取れていない彼等を相手にすることなど、造作も無いことだ。
「やるじゃねぇか。だったら、俺の相手もしれもらおうかっ!」
そこに現れたのは、昨日戦ったプロトヘルハウンドユーザーであった。
彼が地面に次々と起こしていく爆発を軽やかに避けていくのだが、やはり規模が大きいだけではなく威力も高いため、二人は途中爆風に怯んでしまう。
爆煙の中からプロトヘルハウンドユーザーが迫って来た。
持っている剣を盾のようにして防ぐのだが、更にそこからパンチを次々と繰り出して来るため、徐々に後退を始めてしまう。
「言っておくけどな、俺達は暇じゃねぇんだよ!」
この状況を何とか打破しようと、高速で繰り出される攻撃を左右に散らばることで避けた。
急には止まれなかったプロトヘルハウンドユーザーは、結果として何も無い空所にパンチをするだけの虚しい結果となる。
「じゃあ、そろそろ本気出そうかな。ね?」
「ああ……!」
リベードの言葉に、アクトはクラックボックスと呼ばれる黒い箱を取り出すと、それに外したトランスフォンをかざす。
『CONNECTING US』
アクトの手の中からクラックボックスが消える。
同時に二人のドライバーのプレートが消失したのだが、代わりにクラックボックスが設置される。
更に目の前に、上部にパーツの付いた透明なカードが現れたのでそれを掴み、トランスフォンのスロットに装填した。
『『"REVE-ED'N'ACT" LOADING』』
電源ボタンを押すと、二人の鎧が解除される。
『『Let's "UNITE"!』』
それぞれが透明な容器に閉じ込められると、その中でドライバーに再度トランスフォンを変形。
パーツが降り、クラックボックスが変形をして変身の準備を始める。
『『Here we go!』』
するとリベードの身体が青色の液体と化し、パイプを伝ってアクトの容器の方へ来る。
そしてクラックシェープという黒い獣のような姿となったアクトの中に入り込むと、彼の身体に緑色と青色が付け加えられるのだ。
『Release all and unite us! We're KAMEN RIDER REVE-ED'N'ACT!! It's just the two of us.』
仮面ライダーリベードンアクトの誕生である。
「あ⁉︎ 何だよこれ⁉︎ 気持ち悪ぃ……」
「気持ち悪くて悪かったな」
「こっちは数年間ずっとこれでやってきたのよっ!」
リベードンアクトの姿が突如として消えたかと思えば、瞬時にプロトヘルハウンドユーザーの前に現れる。
高速で動くことの出来る彼ではあるが、あまりにも速い動きに対処が出来ず、敵に殴られるがままとなってしまう。
「ッ……!」
やられてばかりでは駄目だとパンチを喰らわせようとしたのだが、またも空振りに終わってしまう。
また瞬間移動でもされたのかと思った。しかし、
「「ハァッ!」」
「ガァッ……⁉︎」
左右から蹴りを入れてきたアクトとリベードによって、想定外の手を取られたことが分かった。
再び一つの身体に戻った二人。
2日連続で強敵と戦ったために、そろそろ疲れが見え始めてきた。
「決めるぞ」
「オッケー!」
クラックボックスをトランスフォンの方に押し込む。
『Are you ready?』
トランスフォンを押し込むと、リベードンアクトの前の地面に赤色の円が現れた。
それを踏んで上空高く跳ぶと、プロトヘルハウンドユーザーの周りにはアクトとリベードを模した虚像が大量に出現。キックを繰り出そうとしているかのような状態で取り囲んでいた。
爆発を起こして消し去ろうと企むのだが、一向に消えない。
『OKAY. "REVE-ED'N'ACT" UNITE EXPLOSION!』
戸惑うプロトヘルハウンドユーザーに虚像達が次々とキックを喰らわせる。
「「オリャァァァァ!」」
「グァァァァッ!」
更に間髪入れずにリベードンアクトが両足を突き出して蹴りをお見舞いし、敵を吹き飛ばした。
あまりにも威力が高く、両足の裏が当たった瞬間に彼の身体は崩壊をしてしまう。
それは第一関門とも言えるところを突破した証拠であったため、リベードンアクトは大きく息を吐いた。
『Rest in peace. 次の人生に、ご期待ください』
────────────
広い広場のような場所にて、ブートレグは自慢の脚力を駆使し、戦闘員達が繰り出してくるナイフを蹴り飛ばしながら攻撃を繰り出していく。
例え刺さったとしても何とも無いのだが、言わば保険のためにカウンター攻撃をお見舞いしていくのだ。
次々に襲い掛かる者どもを払い除け、ナイフが刺さったとしてもお構い無しに反撃をする。
自分の集中力が切れたり、今の身体を形成するライドボットに異常が出ない限り、自分がピンチに陥ることは滅多に無い。
なので所詮は簡単なゲームだ。
そろそろ勝ち目は無いと思い始めたのか、戦闘員達が一斉に襲い掛かって来た。
それに対しブートレグは、高くジャンプをして彼等を踏み台にするかのような形で蹴っていき、そして全員を爆散させた。
言ってしまえば全く手応えの無いことだと、思わず溜息を吐いてしまう。
すると、
「やっぱり実力は本物ね。私もお手合わせ願おうかしら」
プロトマーメイドユーザーが華麗にターンをしながら右足で回し蹴りを喰らわせようとして来た。
それを上手く避けると、今度は裏拳を繰り出してきたので、自身の腕で防いで足で逆にキックをお見舞いする。
張り手を繰り出した彼女の攻撃を、ブートレグは高くジャンプして避け、浮かんでいる間に何発も上半身にキックを炸裂させると、怯んで後退ってしまう。
「ッ……! けどこれには勝てないでしょ?」
プロトマーメイドユーザーは自身の身体を液状化。そうしてブートレグの身体に纏わり付いた。
上手く身動きが取れなくなってしまったブートレグ。試しに自慢の跳躍力やアクロバティックな動きをして篩い落とそうとするのだが、しぶとくしがみついているのだ。
「だったら……これだ……!」
そう言ったブートレグの右手の中に、烏賊の形をした秘色のガジェットがやって来た。
器用にその脚と頭部を仕舞うこととドライバーからホッパーガジェットを取り出すことを片手で行い、右手の中のガジェットを装填する。
『
すぐさまレバーを押した。
『変身シークエンスを開始します』
黒色のなったブートレグの形状が変化をすると、そこに色が付けられる。
秘色の身体に白色の鎧や帽子が着けられ、更にスカートのように白濁とした触手が伸びている。
『SQUID』
スキッドフォームに変身を遂げたブートレグは触手を地面に伸ばすと、それを使って高速に回転を始めた。
あまりの勢いに、プロトマーメイドユーザーも耐えられなくなってしまい、元の状態に戻って地面に倒れてしまう。
「ッ……!」
更にブートレグは触手を立ち上がったプロトマーメイドユーザーに次々とぶつけ、一切の隙を生ませない。
「こんな手を隠し持っていただなんてね……!」
「……これで、決める……!」
再度レバーを下げると、触手がブートレグの前に結集。その先から次々とエネルギーが集まっていく。
『SQUID FINISH』
「ハァァッ!」
そのエネルギーは赤色の光線となって発射をされた。
あまりにも火力や温度が高いためか、もろに喰らったプロトマーメイドユーザーの上半身が溶けてなくなってしまった。
そうして残った下半身もガジェットを残して崩壊をし、これにて落着する。
『Rest in peace. 次の人生に、ご期待ください』
────────────
そしてディクリードは次々と戦闘員を殴り飛ばしていっていた。
同じく素手で戦っているブートレグが次々と技を繰り出して数で圧倒をしているのに対し、ディクリードは手数以上に一発一発に籠めた強い力で戦っている印象である。
しかし手数が少なかったとしても、正確に相手の急所を狙って攻撃するため、スピード自体は一番速いと言っても過言ではない。
元々1対1で自分と互角、またはそれ以上の相手と戦っていた身としては、こんな雑魚共を相手することは単純作業に等しいことである。
次々と繰り出す攻撃によって、戦闘員達は全て倒された。
周りで起こる爆発を見たディクリードは一安心する。
だがこれで終わりではない。
「そろそろ、此方の相手もしていただきましょうか?」
「望むところだぁっ!」
それぞれの方に向かって来て、拳をぶつけ合うブートレグとプロトミノタウロスユーザー。
力としてはほぼ互角であり、互いに退くことは無く、ただ周囲に衝撃波が飛ぶだけだ。
プロトミノタウロスユーザーが再度自身のパンチを喰らわせる。
両腕で防御をしたのは良いものの、あまりの強さに骨が震えるような感覚を覚えてしまう。
怯んだところに巨大なハンマーで吹き飛ばされてしまったディクリードは、何とか立ち上がって敵の方を見る。
どうやら相手は余裕そうで、ハンマーの方に重心を傾けながら前を見据えている。
「やはり、武器を持っている私の方が有利ですね」
「おいおい、忘れたのかよ? 俺はお前の弱点もう判ってるんだぞ!」
するとディクリードはカードをドライバーにかざした。
『カメンライド! ウィザード!』
腕の方へと伸びている大きなブレスレット──エレメントハンドが右手に装着をされる。
道具を着けた右手を前に向けると、赤色に青色、緑色の丸い魔法陣が出現をした。
まず緑色の魔法陣から雷が放出され、次に赤色の魔法陣から炎が、青色の魔法陣から水流が立て続けに出された。
全てがプロトミノタウロスユーザーに激突した際、彼の身体は全く動かなくなってしまった。それだけではなく、硬い体表に次々とひびが入っている。
「⁉︎」
「まず電気で痺れさせて、炎と水で爆発を起こして身体をボコボコにする。これが昨日知ったやり方だよ!」
昨日、ドッガハンマーの機能によって判明したプロトミノタウロスユーザーの倒し方は、今ディクリードが言った通りだ。
ライドボットは強い電力に弱い。そのため雷の一つでも打てば全く活動が出来なくなってしまう。
更に水蒸気爆発を起こすことによって、身体を覆う鎧を崩壊させる。
いつもの彼であれば使わない、かなり手間のかかるやり方だ。
『カメンライド! アギト!』
「これで終わりだぁぁっ!」
右腕を青色、左腕を赤色に変えたディクリードの手の中にそれぞれ武器が収められる。
それらを大きく振るって斬撃を放ち、プロトミノタウロスユーザーを3等分した。
そうして身体は完全に崩壊をして、ガジェットだけがその場に残り、ディクリードはガッツポーズを決めた。
『Rest in peace. 次の人生に、ご期待ください』
────────────
刺客達を全員倒した四人は通常形態に戻って廃墟の中に足を踏み入れる。
いよいよラスボスとの対面というわけだ。
錆び付いていて重たい扉を開くと、その中はあまりにも暗く湿ったものであった。
差し込んで来る僅かな日光によって、奥で椅子に腰掛けている白髪の老人の姿と寂れた内部の全体像がようやく見えるという形になっている。
「お前がディー博士ってやつか?」
「……いかにも。私がディー博士、だな」
しかし何処となく詰まった言い方に、その場の全員が何か違和感を覚えた。
「貴方の目的は何? 何かとんでもないこと企んでいるみたいだけど」
それにディー博士は答えない。
なのでブートレグとアクトが吹っ掛けてみることにした。
「なぁ。お前の目的って、本当にただこの世界を征服するだけなのか?」
「……どういう意味だ?」
「僕の世界のショッカーはただ軍事兵器を販売するだけの組織です。なので顧客の要望に応えるのが仕事ではありますけど、世界征服だなんてざっくりとした目的のために、新型のガジェットを渡すだなんて到底思えないんです。なのでもっとあるんじゃないかと思って……」
暫く間が開いた。
その後ディー博士が一切変わらない能面のような表情を浮かばせる皺だらけの顔を使い、彼等の問いに答え始めた。
「ご明察。その通りだよ。そもそもの話だが──」
「私はね、ディー博士じゃないんだ」
全員の頭の中で疑問符が浮かぶ。
特にディクリードに関しては、今まで追っていて相手にそんなことを言われたのでは混乱するだけである。
突如としてディー博士が立ち上がった。
何をし始めるのかと身構えていると、彼は静かに語り始めた。
「ディクリード、君がショッカーの本拠地を急襲した際、ディー博士は既に死んでいたんだよ。だからそれを利用させてもらった。私には実体というものが無いんだよ。こうして誰かの身体を通してしか行動をすることが出来ない。……けれども、この身体は所詮死体だ。もうすぐ腐る。そこで、優秀な肉体を持つ仮面ライダーの諸君を私の器として利用させてもらうために、わざとショッカーの残党達を使って君達を誘き寄せたというわけだ」
何とも身勝手なことであるために、ディクリードは思わず言った。
「よく解らねぇけどよ、俺達はお前に加担するつもりはねぇぜ」
「そうか……。では、半殺しの状態にでもして、新鮮な肉体を手に入れるとでもしよう……!」
すると外からカサカサと何かが大量に迫って来る音が聞こえ始めた。
同時にディー博士の身体が倒れ、そこから無色透明な何かが姿を見せる。彼等が知る由は無いが、その名は『ゴーストデリーター』というらしい。
そして大量のライドボットが室内に入って来たところで、それが音の発生源であることがすぐに判った。
ゴーストデリーターの周りに集まったライドボットは一つの形を成していく。
着色も何もされていない黒い人型の化物。章太郎が持っていた雑誌に載っていた、所謂ダブルライダーを模した身体に異様に長い両腕が備わったその姿は、言わばゴーストデリーターの強化形態である。
新たな敵、というより裏ボスの登場。
即ち、最後の戦いの幕開けということだ。