仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ HEROEZ MISSION 作:志村琴音
遂にこの時が来た……!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。
「皆さん、本当に有り難うございました。一応、これでディー博士、というより、彼に寄生をしていた謎の生命体の策略は阻止されました。本当に有り難うございました」
喫茶Hamelnの室内に立つレナが一礼をする。
座っている他の四人は同じように他の者達も会釈を返した。
「今日は貸し切りです。なので、思いっきり少し遅いお昼を楽しんでください……!」
昨日と同じように店は貸し切りになっている。
平日のこの時間は章太郎が学校に行っていることから最初権兵衛は苦い顔をしたのだが、「これでお願いします」と高級な紅茶の茶葉やらサイフォンやらを手渡したところ、満更でもない顔で許してくれたのだ。
権兵衛が手を振るって作ってくれた料理に次々と手をつける五人。
海来は次々とフライドチキンにサラダチキンといった肉類を貪り、レナはサラダを小皿に素早く取り分けていく。
春樹と碧は相手が好きそうなものを無言で与え、優司は一人で疲れた脳を癒してくれるデザートを黙々と頬張る。
その中で話題を作り始めたのは春樹であった。
「なぁディクリード」
「あん?」
「お前のタトゥー、何で鷹なんだ?」
「え、入れ墨あるんですか⁉︎」
驚く優司を他所に、口の中に入れ込んでいたものを全て呑み込んだ海来が答える。
「俺の師匠が同じやつ入れてたんだよ。それで俺も真似しようと思って」
「へぇ〜。海来さんのやつってそんな理由だったんですね」
どうやらレナもそのことについては全く知らなかったようだ。
しかし今の彼を形成した男の後を真っ直ぐに追い、それを残すことを何だか彼らしいと微笑む。
「けどどうしてそんなこと知りたくなったんだ?」
「いや……。ただ単に、昔バードウォッチングでひたすら見てたから」
「白樺峠でしょ? 私も帰省した時はそこ行ってた」
まさかの地元トークに盛り上がる春樹と碧。
「私もレジスタンスのアジトとかで見ました」
「俺も大阪城のところで見たな。鷹匠がショーとかやってたんだよ」
海来とレナも言って、再び食事に取り掛かる。
「……何か、こうしてちょっとしたものでも共通点を持っている人達が、ここに集まっているって、結構世界って狭いんですね……」
会話には参加せず黙々と食事に没頭をしていた優司がボソッと呟く。
確かにそうだなと全員がしみじみとする。
そして同時に、自身らが元いた場所が恋しくもなってしまった。
「……そろそろ、帰るか」
────────────
昼食を終えた五人が店外に出ると、海来がディクリードライバーを振る。
すると灰色のカーテンが突如として出現。ゆらゆらと揺れ始めた。
「ここを通れば元の世界と時間に戻ることが出来ます」
「……あのさ、私達の記憶消さなくて良いの?」
「そうじゃないと不味いんじゃないのか……?」
春樹と碧が言っているのは、もしも未来のことを知ってしまってはその先が全くの別物になってしまうのではないかということだ。
このまま元に戻ってしまうことは、優司の生きる時間に影響を及ぼしてしまう可能性がある。
だが、
「うーん……。まぁ、誰にも話さなければ良いんじゃないのか?」
「「……ああ〜」」
何となく意味を察した海来の提案に、春樹と碧が頷く。
あまりにも簡単なことで頭の中から除外をしていたのだが、やはりシンプルなものが選択肢としては最後に残るらしい。
「……これからどうする?」
唐突に春樹が優司に訊いた。
「一先ず、自分の……大切な人の元に戻ります。受験勉強付き合ってもらっているので……。春樹さん達は……?」
「俺も同じだ」
「そろそろ、子供を迎えに行かなきゃいけないからね〜」
笑い合う三人。
彼等の中でしか分からないものを感じ取り、海来とレナも微笑む。
「……じゃあ、また、何処かで」
そう言って優司が最初にカーテンの中に入り、次に春樹と碧が手を繋いで消えて行った。
送り届けるべき者達が全員帰る場所に戻ったことを確認したのか、カーテンは自然消滅をし、戦闘によって荒れてしまった敷地内には海来とレナしかいなくなった。
「さて、私達も帰りましょうか?」
「その前に1個訊いて良いか?」
帰ろうとしたレナに海来が問う。
「どうぞ」と右手を差し出したため、海来は口から疑問を吐き出し始めた。
「何で2027年じゃなくて
暫く何も答えないレナ。
「……実は、どの時間から優司さんを連れて来るのが良いかと思って、試しに2026年11月1日の彼の後を着いて行ったんです。……彼がいた警察署の掲示板に載っていたんですけど、その時に、春樹さんはもう……」
──23日に越谷市で発見された変死体の身元が、椎名春樹さん(33)と判明。殺人事件を視野に捜査を進める。
それ以上は何も言わなかったが、海来は何となく察してしまった。
「マジか……」
「そんな状況の碧さんが戦えるわけが無いと思って、他の時間からお呼びしたんです……」
重たい空気が流れてしまった。
答えた本人であるレナが流れを変えようと試みる。
「私も気になることがあるんですけど」
「? 何だ?」
「ディー博士の遺体に憑いていたよく分からないあれ、一体何だったんでしょう……?」
レナがそう言うということは、本当に彼が何者か判別出来ないということだ。
彼女が知らないのに自分が知っているわけがないと、海来は腕を組んで考えるが全く見当もつかない。
「それに、何かバックにいるっぽいこと言ってたよな……」
「……一先ず、私達も旅を続けましょう。きっと何処かの世界で、情報が手に入る筈です」
「だな。じゃあ行くか」
「はい!」
カーテンが自発的に動き始め、二人の前に黒と金のカラーリングが格好良い大型バイクが出現する。
ヘルメットを被って運転席に乗る海来と、後ろで彼の腰に腕を回すレナ。
そしてエンジンを蒸してカーテンの中へと走り去ることで、彼等の旅はまた再開をしたのだった。
これで戦士達の戦いは全て終わった。
いや。まだこれも序章に過ぎないのかもしれない──。
────────────
「これが、回収した新しいヘキサゴンガジェットです」
数日後に優司はCafe Amigoのテーブル席に、回収したガジェットを全て置き、目の前に座る
ランプブラックの表面に、炎のようなバーガンディーの模様がある『L04』『HELLHOUND』。
マリンブルーの表面に、水面の波紋を模した水色の模様がある『L05』『MERMAID』。
マゼンタの表面に、土煙を模したであろう灰色の模様がある『L07』『MINOTAUR』。
どれもが見たことの無いものであったことから、万太郎は表情に出さないものの確実に驚いている。
「これがか……」
「試しに自分も使おうとしてみたんですけど、何故か全く使えなかったんですよね……」
「じゃあ、何故彼等は使うことが出来たんだ……?」
疑問が頭の中を巡る。
「滝口さん、このガジェットに関して何か情報持ってたりしますか?」
「……いや。西連寺レナからの話でしか知り得ていないからな。それ以上の情報は何も」
「そう、ですか……」
優司が何か言いたそうであったため、万太郎はそのための時間を与えるために暫し沈黙する。
「実はもう1つ、気になることがあって……」
「何だ?」
「ディー博士の目的って、結局は世界征服じゃなくて、自分の新しい肉体を手に入れることだったんですよね? 異世界から来た得体の知れない老人がそんなことを言ったとして、やっぱりショッカーが新型のガジェットを、しかも3つも渡すわけが無いと思うんですよ……」
「そうだとして、君はどうしてだと思っている?」
天を仰いで考える優司。
そうして推論を導き出した。
「……新しいガジェットの実力を測るため。もしくは、何かショッカーには別の目的がある、とか、ですかね……?」
あくまでも推論だ。だから確信が無く、不安そうな表情をしている。
「一先ず、このガジェットは我々が回収させてもらう。ユーザーズドライバーと旧式のガジェット10個に関しては、再び君が持っていてくれ」
「え、良いんですか……?」
「念の為だ。万が一ショッカーの残党が君や周辺を狙ってきた時に、対処出来るようにだ」
確かにショッカーのトップであった野宮を倒した自分や、元々ショッカーに協力をしていた花蓮は大いに狙われる可能性がある。自衛するための力は、不可欠ということか。
「……きっと大変になるのは、ここからだろうな」
そう言う滝口の顔は非常に深刻そうで、優司は思わず唾を飲み込む。
自分に平穏というものは訪れないのではないか。その不安が彼を襲い、心の中を侵食していく。
もしも周りの人々に危害が加わったらどうしよう。
万太郎はともかく、武史や学校のクラスメイト。そして絵麻と花蓮。
自分が戦いに再び赴けば、彼等を危険な目に合わせてしまうのではないか──。
しかし、それは完全なる杞憂であった。
何故なら、
2028年
「イカゲソーっ! この世界でとことん暴れてやるぞーっ!」
烏賊をモチーフとした若干の気持ち悪さを覚える見た目の白い怪人──イカデビルは、ショッカーの戦闘員達を連れて広い工場の中を行進していた。
異色の見た目をした隊列に恐れを成した職員達が逃げて行く様子を見て、イカデビルは快感を覚えた。
どれだけこの光景を待ち侘びていたことだろう。
思えば、元いた世界にて同じ姿の幹部はディクリードに倒され、自身はというとディー博士(彼に乗り移っていたゴーストデリーター)に「こんな陳腐な肉体は嫌だ」と捨てられ、散々な目に遭った。
せめてこの世界ではどうにか活躍したい一心でいるのだ。
「ようやく俺様の出番が来た……! 今度こそ活躍してやるゲソーっ!」
全員を士気をイカデビルが高める。
いよいよ白い悪魔とその部下達による侵略が幕を開けようとし始めた──。
その時、後ろからバイクの走行音が聞こえてきたかと思うと、何かがイカデビル達の横を通り過ぎて、そして彼等の前にて停止をした。
「な、何だ⁉︎」
「『何だ』って言われてもなぁ……。何て自己紹介すりゃ良いんだろう……?」
停止したものは、黒色と銀色のボディに金色のラインが微かに入っているバイクに乗った、仮面の戦士であった。
マラカイトグリーンをベースに赤色とオレンジ色の煌びやかな模様が輝く鎧を胸部と両肩に身に着け、銀色の両腕と両脚は手袋やブーツが装着されているように造形されている。
仮面はブートレグと酷似しているが、色が鎧と同じマラカイトグリーンであることや、口元に銀色のクラッシャーがあること、周りが赤色やオレンジ色の装飾で覆われていること、両耳がヘッドフォンのように丸くなっていることなどの相違点もある。
そしてドライバーは左側が紫色、右側が銀色の左右対称のものになっていて、ユーザーズドライバーのように中央に六角形の透明な部分がある。更に両端には斜めにスロットがあり、ベルトの右側にはガジェットを収めるためのホルダーがぶら下げられていて、5個収納出来る内4つが埋まっている。
バイクから降りた戦士は降車をした上で、イカデビルの質問に答えた。
「そうだな……。一応、仮面ライダーリモデルっていうのが今の俺の名前らしいけど」
名乗られたその名前に、イカデビルは顔を引き攣る。
「また仮面ライダーか!」
「え何? 駄目なの?」
「憎き仮面ライダーに、これ以上俺様の計画を邪魔させるわけにはいかない! ここで倒させてもらう!」
「あれちょっと待って。……もしかしてだけどさ、アンタ、ユーザーじゃない……?」
「そうだが?」
何故か溜息を吐くリモデル。
「嘘でしょ……。これどうすんだよ? また活躍出来るかと思ったのに……」
「何をぶつぶつ言ってるんだ! さっさと倒させてもらうゲソー!」
戦闘員達がリモデルに向かって走り出す。
これがどういう状況かまるで理解していないようであるが、ナイフを持って迫って来る彼等を見て、リモデルは早急に動き始めた。
地面からほんの僅かに足を浮かした状態で進んでナイフを両足で蹴り飛ばし、攻撃を直角に避けてカウンターパンチをお見舞いする。
更に囲い込まれると、ブレイクダンスの容量で身体を逆さにして回転。キックによって一気に蹴散らすのであった。
「こんなもんか」
「⁉︎」
瞬殺をした目の前の敵に驚きを隠せないイカデビル。
危機感を覚えるが、戦わなくては勝ち目も何も無いため、自身の身体から触手を大量に伸ばして攻撃する。
走り出したリモデルは触手を器用に避けながら進む。
流石に量が多いため戸惑いはしたのだが、すぐに敵の前に現れ、腹部に強烈なパンチを喰らわせた。
「ハァッ!」
「イカァッ!」
後退するイカデビル。
まともに戦っては勝てないと思ったのか、突如として右腕を挙げた。
「だったら、これでどうだー!」
「?」
何をしようとしているのかと腕が向く方を見る。
雲一つ無い晴天の中にオレンジ色の靄が数多く浮かんだかと思うと、それらの中央から黒い塊、即ち隕石が大量に降って来た。
「おえええええ⁉︎」
突然のことにパニックになるリモデル。
浮かび上がったオレンジ色の靄の正体が隕石が大気圏を突破する際の衝撃だと気が付いた時には、もう既に隕石は地面に次々と激突していく。
辛うじて避けられはするのだが、あまりの量だ逃げることしか出来ない。
「ゲソゲソゲソゲソ。そのまま潰れて死ねぇ!」
逃げ惑うリモデルの姿に笑いが込み上げるイカデビル。
憎き仮面ライダーが慌てる姿を見ることが楽しくて仕方が無いのだ。
「これどうするんだよぉっ⁉︎」
その時、
『
「別のガジェット⁉︎」
『ほら。こないだ回収したやつ』
「……ああ、あれか」
身体に流れ始めた声によって何かを思い出したリモデルは慌てふためくのを止め、ドライバーの上部の真ん中に設置されている2本の銀色のレバーを両端に戻した。
するとスロットからそれぞれガジェットが放出されたため、リモデルは両手の中に別のガジェットを用意する。
右手の中にあるマゼンタのガジェットには、土煙を模したであろう灰色の模様が描かれていて、『L07』『MINOTAUR』と印字されている。
左手の中の銀色のガジェットはベルトのホルダーにセットされていたもので、ただ『R04』『HANMER』と白く書かれているだけだ。
それらを右手側、左手側の順番にドライバーのスロットに装填していく。
『L:07』
『R:04』
軽快な音楽が流れる中で、リモデルはドライバーを両手で押した。
その瞬間に真ん中の部分に、左側に牛らしき顔、右側にハンマーの絵が表示される。
『変身シークエンスを開始します』
リモデルの身体が黒くなって変形をし、一瞬のうちに着色が済まされる。
胸部と両肩の鎧はマゼンタをベースに、ガジェットと同じような灰色の模様が描かれていて、両腕両脚は一回り程大きくなって重厚感を増している。
そして頭部にある2本の角はそのままなのだが、顔の色がマゼンタになっているだけではなく、複眼の色も緑色になっている。口元は鼻にリングを着けられた牛を元にしているように見受けられ、こめかみの辺りから闘牛のような角が生えていることもポイントだ。
更に耳はハンマーの頭部を模したものへと変化している。
『MINOTAUR with HANMER』
「姿が変わったからといって、一体何になるんだゲソーっ!」
新たな姿となったリモデルに若干の恐怖を覚えたイカデビルは、どんどん隕石を降らせる。
その最中にリモデルの手元に巨大なハンマーが装備され、それを両手で持つと、柄の部分を使ってドライバーを再度押した。
すると次々と力が漲ってきて、重たいハンマーを振り回せるまでになる。
真上に隕石がやって来た。
これまでであれば逃げてしまったのであるが、今のリモデルはそんなことをせず、ハンマーを思い切り振って隕石を粉々に打ち砕いた。
「⁉︎」
そのままイカデビルの方に迫って行くリモデル。
イカデビルは妨害しようと次々に隕石を降らせるのだが、全く効き目が無いためにたじろいでしまう。
そして寸前までやって来たリモデルは、これまで以上に多くハンマーを回転させ、そして勢い良くイカデビルにぶつけた。
『MINOTAUR × HANMER FINISH』
「ライダーボンバー!」
「ゲソぉぉぉぉぉぉぉぉっ……!」
上空へと吹き飛ばされたイカデビル。
一切の姿が見えなくなり、最早生死の確認すら出来ない。
けれども一先ず今回の戦いは終わりを迎えたことは確かであった。
ハンマーを背中の方に回しながら、リモデルはハンマーを背中の方へと回す。
「あれ、結局何だったんだろうな……?」
『……さぁ。とりあえず、もう帰りません?』
「だな。じゃあ帰るか」
リモデルは身体を黒い粒子状に崩壊させて、何処かへと去って行く。
こうして残ったのは穴が大量に開いた地面だけとなった。
その時、遠くの方で車が走り去る音が鳴ったのだが、それを知っている者は誰もいない。
何せこの戦いは、誰にも知られてはいけないのだから。
See you at the next season; 派
【参考】
鷹 - Wikipedia
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%e9%b7%b9)
白樺峠 タカの見の広場|新まつもと物語
(https://visitmatsumoto.com/spot/%e7%99%bd%e6%a8%ba%e5%b3%a0-%e3%82%bf%e3%82%ab%e3%81%ae%e8%a6%8b%e3%81%ae%e5%ba%83%e5%a0%b4/)
イカデビル|仮面ライダー図鑑|東映
(https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/804)
イカデビル(『プリティ電王』)|仮面ライダー図鑑|東映
(https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1322)