外道鎮守府召喚   作:G-20

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 前回ロウリア王国海軍は壊滅状態な上ロウリア王の食卓から海産物が消滅するという事態となりました。
 しかしながらロウリア王国海軍だってやられっぱなしではありません。無い無い尽くしの中で有効と考えられる目標へ反撃を開始することになります。

 果たしてロウリア王国海軍がロデニウス大陸東方沖で見るのは希望か絶望か。それでは、反撃開始です。


第十回 クワ・トイネ=ロウリア戦争 〜海上護衛戦〜

 「頭、ロウリア王から私掠状が届きやした。」一人の海賊が海賊の長に報告した。「おお!来おったか!これで手下を殺した奴等に、我等を甜めた報いをくれてやれる。」海賊の長は報告を受けると感慨深げに語る。

 

 

 それはロウリア王国がクワ・トイネ公國に侵攻するより前の中央歴1639年2月半ば頃のことである。2隻の海賊船がアルタラス島よりロデニウス大陸に向かう1隻の商船を発見した。2隻の海賊船は即座に襲撃を決意し、海賊旗を掲げてLine Abreast(単横陣)を形成して両舷から挟み込むように船を進めた。だが、その商船は襲撃者をなんとも思っていないかのように悠然と針路を保っていた。そしてそんな有り様でありながら2隻の海賊船は距離を詰めることが出来なかった。「おかしいぞ。あんなに大きい船なのにどうして距離が縮まらないんだ?」一方の海賊船の船長は魔信でもう一方の海賊船の船長に疑問をぶつけるが、「俺が知るか。」もう一方の海賊船の船長は当然そう答えた。しばらくそのまま進んでいると、突如として商船が右に回頭した。陣形の右側に占位している海賊船は慌てて右に回頭し、左に占位している海賊船はそれを見て最短経路となるように右転した。すると商船が突如発砲して先に針路を安定させた左に占位していた海賊船を撃沈し、ほぼ同時に右に占位していた海賊船を蜂の巣にした。そして海賊船の残骸に捕まっている海賊に向けて発砲しこれを撫で斬り*1とした。

 

 その後ロウリア王国海軍にも追われることになり戦力保持にすら事欠く事態となっていたが、クワ・トイネ=ロウリア戦争によって追跡が緩むと再びその勢力を拡大した。そして遂にロウリア王から私掠状が届いたことで大手を振ってクイラ王國竝クワ・トイネ公國の沿岸部で補給(略奪)が出来ることになったのである。とはいえクイラ王國での補給は低調であった。*2そのため海賊団はクワ・トイネ公國沿岸部やクイラ王國行きの商船により補給することを決心した。

 

 

 そして、ロデニウス大陸東海岸沖を目指したのは件の海賊団だけでは無い。他にも地理的な要因により沿岸襲撃ペースが低いロウリア王国南岸部の小港湾に所属する小型帆船や漁船、それにロウリア王国が掌握出来ていないロウリア主力艦隊残党もまた命令や私掠状によりロデニウス大陸東海岸沖を目指したのである。

 だが、「おいおい何だあれは、あんな大船団襲ったら返り討ちではないか!」彼等が見たのは第二次世界大戦後期の聯合国もかくやの隻数を誇る大船団であった。*3ロウリア王国が搔き集めた海賊集団も隻数だけなら第二次世界大戦後期に大西洋を横断した護送船団に匹敵する大船団を前に手出しを控えざるを得なかった。*4しかし待てども待てども大船団しか通らない。そこで海賊の長は一つの決心をした、魔信で他の海賊やロウリア王国海軍艦艇及びロウリア王国私掠船を呼び寄せてから大船団を襲撃することを。だが、海賊の長はそれが破滅への第一歩であることを気付く由も無かった。

 

 

 中央歴1639年6月9日、クワ・トイネ公國海軍海軍本部の一室。その中心には余りにも巨大な、船舶に持ち込むには余りにも巨大過ぎる海図が敷かれており、あるクワ・トイネ公國海軍の海尉がその周りを資料を抱えてパタパタと走り回り、またあるクイラ王國海軍の海尉が先に板がついた長い棒を使って駒を動かす。その奥で、海図の前に一人の艦娘が映画『沈黙の艦隊』の海江田艦長のように仁王立ちしていた。彼女の名は大淀、歴史上最後の大日本帝國海軍聯合艦隊旗艦である。*5彼女は駒が置かれた海図を睨みながら報告を聞き、傍らの海軍士官や別室の通信室を通して輸送船団やハンター・キラー部隊の指揮を執っているのである。*6

 

 

 中央歴1639年4月27日、クワ・トイネ公國宮殿にてロデニウス大陸沖海戦の勝利を祝う式典が行われた。その席で北條提督や海戦に参加した六名の艦娘に勲章が授与された。

 その席において北條提督はクワ・トイネ公國海軍との連携強化を目的として同海軍本部の一部の借用及び改造を願い出た。そして許可が出ると早速海軍本部の大部屋を作戦室に改造し、その部屋に隣接する部屋を建物を拡張する形でそれぞれ無線通信室や魔信傍受室に魔改造した。

 この改造によりクワ・トイネ公國海軍の指揮能力は大幅に拡張された。そしてクワ・トイネ=ロウリア戦争戦後にこの一区画はクワ・トイネ公國海軍本部の司令部中枢となり、クワ・トイネ公國滅亡の日までクワ・トイネ公國海軍の指揮はこの一区画から行われることになる。

 

 

 中央歴1639年6月9日1532(15時32分)、その作戦室に魔信傍受室からクワ・トイネ公國海軍の海尉が回覧板みたいなのを持って大淀の元に駆け込んできた。「報告します!魔信傍受情報、クワ・トイネ=クイラ国境東端より方位102距離5マイル*7、ロウリア私掠船団、QYK0806163903護送船団*8群狼戦術(ウルフ・パック)にて襲撃する模様!」「QYK0806163903護送船団に群狼戦術警報(ウルフ・パック・アラート)発令!周囲でハンター・キラー中の晴風、時津風、天津風及びアドミラル・グラーフ・シュペー竝哨戒中の伊201は直ちにQYK0806163903護送船団の援護に向かえ!」「QYK0806163903護送船団に群狼戦術警報(ウルフ・パック・アラート)を発令します!」「晴風、時津風、天津風及びアドミラル・グラーフ・シュペーにQYK0806163903護送船団の援護命令を発令します!」「伊号第二〇一潜水艦にQYK0806163903護送船団を襲撃する私掠船団の襲撃を命じます!」報告を受けた大淀が指令を出すと、船団運航担当のクワ・トイネ公國海軍の海尉艦長と横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)に幕僚として配属されて異世界転移に巻き込まれた一等海尉及び香取(艦娘)が命令を復唱しそれぞれの部隊へ命令を発信した。

 

 

 同時刻、QYK0806163903護送船団司令船。「ふっふっふ。見よ、これだけの大船団。この船団を襲えるものなどこの辺りにはおらん。そこに海賊もおるが、後をつけるばかりで襲おうとする気配も無い。まさかこんな簡単に海賊から身を守れるとは思わなんだ。」QYK0806163903護送船団の船団長は紅茶を飲みながら壮観な風景に酔いしれていた。「ええ。まさかヨコスカとやらがこんな簡単に海賊から身を守れる方法を知っていたとは思いもよりませんでした。どうして今まで彼等がそれをやろうとしなかったのかがわからない。」船団長付が紅茶を飲みながら船団長の話に相槌を打つ。「なに、あいつらは海賊を返り討ちに出来るだけの重武装*9をしておるから独航しておるのだ。どうしてああいうやり方を知っていたのかは気になるが、海賊が襲うのを躊躇うということはそのやり方が上手くいっているということだ。多少海賊が群れたところでこの船団を襲える訳無かろうて。」船団長は船団長付の疑問に答えると紅茶に口を付ける。そこに慌てた様子の通信士が紙を持って駆け込んできた。「船団長!船団運航司令部より緊急通信!我が船団に群狼戦術警報(ウルフ・パック・アラート)!」通信士が船団長に報告する。「船団長!」司令船の船長が船団長に判断を促した。だが、「問題無い。我が船団が襲撃を受けるなど、例え天地がひっくり返ろうとありえないことだ。」船団長はどういう訳かその警報を無視した。

 

 

 「ありえない話です。群狼戦術(ウルフ・パック)による襲撃が予告されているのに、それを無視するなんて到底考えられません。私なら直ちに変針を命じて襲撃の回避を試みた事でしょう。実際あの時、クワ・トイネ公國海軍海軍本部は襲撃の予兆を完全に掴んでいました。魔信方位測定、傍受した魔信の内容、そのいずれもが群狼戦術(ウルフ・パック)による襲撃を示していましたし、だからこそクワ・トイネ公國海軍海軍本部は群狼戦術警報(ウルフ・パック・アラート)を発令したのです。」マイハーク商船大学のカモ=アイ教授はこのように語り、QYK0806163903護送船団の対応が如何に異常であるかを示した。

 

 

 中央歴1639年6月9日1642(16時42分)、QYK0806163903護送船団を追尾していた海賊団が帆をさらに展張し速力を上げてQYK0806163903護送船団に接近を始めた。時を同じくしてロウリア主力艦隊残党のうちキャラベル2隻がQYK0806163903護送船団の針路方向から、全く別の海賊集団がQYK0806163903護送船団の右舷方向から接近し、更に左舷方向からも漁村で造船施設を用いずに建造された小型漁船の群れがQYK0806163903護送船団にそれぞれ接近する。

 

 同日1651(16時51分)、QYK0806163903護送船団はロウリア王国海軍の私掠船部隊に全方位から攻撃されていた。同船団を護衛するクイラ王國海軍第2艦隊第6戦隊*10は商船を護るべく奮戦したものの、想定を上回る物量を前に押し切られて壊滅する。

 そしてQYK0806163903護送船団の右舷方向から接近したロウリア私掠船の1隻が下から風を受けているかのような帆の膨らませ方をさせながら突出して護衛を喪ったQYK0806163903護送船団に切り込んでいく。その私掠船長の名はルーフルと云い、普段はロウリア北方の群島を根拠地として活動していた海賊だった。しかし彼はニュージャージー任務群によるトマホーク攻撃を受けて同任務群の艦砲射撃を受ける前に出帆してロデニウス大陸南方に避難、そこでロウリア王からの私掠状を受け取りロデニウス大陸東方沖に進出したところで今回の襲撃に参加したのである。彼がいつも乗る船はパーパルディア皇国からロウリア支援のために貸し出されたケブリンIV級戦列艦であり、彼はそれを移乗攻撃(アボルダージュ)により入手したのである。その武装は下段砲列甲板に42ポンド魔導加農26門、上段砲列甲板に32ポンド魔導加農28門及び500ポンド魔導カロネード8門、艦尾甲板に24ポンド魔導加農6門及び500ポンド魔導カロネード8門、船首楼甲板に24ポンド魔導加農6門及び68ポンド魔導カロネード6門となっている。ルーフルは愛用しているその船を駆ってQYK0806163903護送船団内部に突入し船団司令船と思しき商船のすぐ脇につけると、艦尾側に装備された8門の粉砕者(スマッシャー)と3門の68ポンド魔導カロネードを発射して船尾楼を()()()()()()()()()()()()()させてマストを根本の甲板諸共吹き飛ばした。そしてその商船に横付けすると同船に移乗攻撃(アボルダージュ)切り込みを敢行し指揮系統を破壊された同船の乗員を殺傷して戦意を奪うと、搭載している貨物を奪った後同船に搭載された火薬に火を放って爆破する。司令船が爆破されたのを見たQYK0806163903護送船団残存船舶は散り散りになって逃走を始めるも、その殆どがロウリア私掠船団の包囲に絡めとられて海賊に蹂躙された。

 ルーフルは司令船を爆破した後、何かを感じとったのか散り散りに逃走するQYK0806163903護送船団残存船舶に紛れて逃走を始める。ルーフルの船はその素早い判断が功を奏して、途中晴風に発見されるも同艦が船団救出を優先したことで一切攻撃を受けること無く離脱に成功する。

 

 

 同日1711(17時11分)、晴風はQYK0806163903護送船団の方向から逃走する帆船を発見した。「間違いない、船団が襲撃されている。救援を急がないと。第一戦速(だいいちせんそーく)!」晴風は発見した帆船の様子を見ると増速してQYK0806163903護送船団の救援を急ぐことを決心すると12ノットから18ノットに増速した。そして対潜戦闘用意を下令した。天津風、時津風及びアドミラル・グラーフ・シュペーも続けて増速し、陣形の間隔を開くと対潜戦闘用意を下令する。

 

 

 同日1657(16時57分)、伊号第二〇一潜水艦はQYK0806163903護送船団の予想避航針路と仮想旧針路の中間付近で息を潜めていた。数分前まで周辺を行動する船舶は存在する可能性がある潜水艦と駆けつけて来る有軍艦を除いて帆船であるため、全周を潜望鏡で警戒することを余儀無くされていた。だが、仮想旧針路方向からの爆発音を聴知したことからQYK0806163903護送船団が一切避航せずに直進したのではという仮説を立て、その仮説に基づき伊号第二〇一潜水艦は高速潜水艦の本領とも言うべき高速を以て1701(17時1分)にQYK0806163903護送船団周辺、深度200ft(フィート)へと再展開を果たした。そして息を潜めてパッシブソーナーで敵潜水艦が居ないかを探る。1713(17時13分)、伊号第二〇一潜水艦は付近に敵潜水艦無しと判断して深度50ft(フィート)に浮上して潜望鏡で周囲を索敵する。「酷い混戦ね。これじゃ救出は無理ね。離脱する敵艦を襲撃する。

魚雷戦用意。それから付近の僚艦に、付近に敵潜水艦無しと伝えて。」伊号第二〇一潜水艦は潜望鏡で状況を確認すると襲撃を終えて離脱する私掠船への襲撃に絞ることにして、同時に対潜戦の必要無しとの連絡を行った。そして晴風、時津風、天津風及びアドミラル・グラーフ・シュペーの四隻を発見して慌てて北に離脱しようとする私掠船のうち比較的大型な私掠船を九二式魚雷で雷撃する。

 

 

 1714(17時14分)、晴風、時津風、天津風及びアドミラル・グラーフ・シュペーの四隻は敵潜水艦の不在を僚艦からの通信で知ると第三戦速(24ノット)まで速力を上げてQYK0806163903護送船団を襲撃する私掠船団を急襲する。ロウリア私掠船団は300余隻を数えたとはいえ、その大半は造船施設を用いずに建造された小型の漁船であったことからその大半が晴風の機銃掃射により投降を余儀なくされることになる*11*12。また、私掠状に基づき海賊行為を働いた海賊は抵抗を試みるも28 cm/52 SK C/28をはじめとする艦砲により残らず撃破され、或いは処分したいから使ってと支給された九二式魚雷の雷撃により轟沈することになる。

 

 1958(19時58分)、ロウリア私掠船団は壊滅した。しかしQYK0806163903護送船団が壊滅したことでクワ・トイネ公國及びクイラ王國の両国は100隻近い商船を喪失した。横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)はこの想定を遥かに上回る損害に頭を悩ませることになる。そして何を思ったのかDWT(載貨重量トン数)30万トン級戦時標準船の計画を始動する。*13とはいえそのような大型船は建造に時間がかかる*14上に30万トン級商船に対応した港湾がロデニウス大陸に存在しないことから小型のDWT(載貨重量トン数)1万トン級商船やDWT(載貨重量トン数)500トン級商船の設計建造に踏み切ることになるのだが、それは別のお話。

 

 

 中央歴1639年6月20日、ロウリア王国海軍の壊滅を確信した横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)を率いる北條提督は大江作戦参謀や武藤水雷参謀に黒田潜水参謀、仁淀や播磨、USSインディアナポリス及び大和等と共に新たな海軍作戦の立案を開始した。その海軍作戦はかなり大規模な作戦であり、そのためエジェイ攻防戦終了後に陸上で作戦行動中の神州丸を除く全て艦娘を呼び戻すことを決定した。制海権を喪失しかつ航空戦力の質で横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)に対して大幅に遅れを取るロウリア王国にこの作戦を阻止する能力は存在し得ないと判断された。そしてこの海軍作戦に附随する地上作戦やこの海軍作戦に連動する地上作戦及びこれらの地上作戦の総仕上げとなる攻城作戦も同時に立案されることになる。とはいえエジェイを抜かれた場合かなり難しい状況となることが明白であった。そのため北條提督以下横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)司令部はエジェイ攻防戦を注視することになる。

*1
皆殺しにすることをオブラートに包んだ表現。本作では基本的に皆殺しを撫で斬りと表現する。

*2
何しろ少数とはいえ“あの”クイラ兵が九九式軽機関銃や国産前装狙撃銃を携えて駐留しているのである。

*3
なお商船のサイズと速力

*4
大船団組んだ原因?ロウリア主力艦隊残党がバラバラで海賊行為に奔ったからですが何か?

*5
読者の中にはこの部屋の様子を見て映画『空軍大戦略』やスペシャルドラマ『坂の上の雲』のワンシーンに似ていると思う方もおられようが、実際系譜を遡ればそれらで行われていることに行きつくのだから似ているのは当然と言えよう。

*6
因みに妹の仁淀には不可能な芸当なのだとか。

聯合艦隊旗艦として広大な作戦領域に展開した海軍部隊の指揮を執った経験やそのための改装が生きているのだ。

*7
ここのマイルはノーティカル・マイル、つまり海里である。因みに航海士はよく海里のことをマイルと言うそう。

因みにこの言い方で米英が多用する方のマイルと混同しないのは「太陽神の使い」の所為だったり(異世界に投入された輸送船の士官(商船学校出身)が広めました)。

*8
護送船団コードは先頭から順に、出発地コード、行き先コード、出港日、出港月、出港年、出港順から構成されている。詳細は後書きにて。

*9
なにせ本作に登場する報国丸級は仮装巡洋艦なのでね。

*10
総数は16隻。

*11
晴風の対空兵装は主砲として3基のMark39砲塔に装備された5"/54 Mark 16が3門と九六式二十五粍単装機銃が4挺のみであったが、今回はそれが却って活躍の要因となったのである。

*12
投降した漁民は海賊としてアドミラル・グラーフ・シュペーに収容された後海賊として沿岸国のクワ・トイネ公國に引き渡されました。

*13
当然クワ・トイネ=ロウリア戦争の終結に間に合わなかった、どころか同計画に基づき建造された船舶が最初に就役したのが中央歴1941年である。

*14
何しろ「景気が良くなったので発注されたコンテナ船が就役する頃には景気がピークを過ぎている」が当たり前に起こるのが造船業なのだ。なおこれでも昔と比べて建造がかなり素早くなった模様(白目)。




 今回も想定を上回る難産となりました。

 ロウリア王国海軍の反撃ターンは護送船団1つがざっと300隻位のロウリア私掠船に群狼戦術(ウルフ・パック)されて潰滅する結果となりました。そして反撃により私掠船団は壊滅しました。
 この後ロウリア王国海軍は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の海軍作戦や王国沿岸部の離反により活動すること自体が困難となり、そのまま敗戦を迎えることになります。

 さて、クワ・トイネ=ロウリア戦争の海洋戦争回は今回で中断し、次回からはロデニウス大陸に舞台が戻ります。何しろこのまま突っ走ると戦争の趨勢がわかりにくくなってしまいますのでね。
 加えて(第一次世界大戦でもそうでしたが)戦争している二箇国が陸続きの場合基本的に主戦場が陸上になるため海上作戦が戦争の趨勢に与える影響は結構小さいです。
 そのためエジェイ攻防戦が終わったら断続的に海洋戦争回となりクワ・トイネ=ロウリア戦争集結まで一気に進んでいきますます。それでは次回予告です。

 ロウリア主力艦隊潰滅。その報は程なくロデニウス大陸に広がっていった。だが、クワ・トイネ公國と陸続きのロウリア王国はその侵攻を止めることは無い。そしてジューンフィリア将軍率いるロウリア王国東方討伐軍の先軍に所属するホーク騎士団第15騎馬隊は遂にエジェイ前面に到達した。そして彼等が目にしたものは何か。
 次回、「第十一回 クワ・トイネ=ロウリア戦争 〜エジェイへの道〜」
 そして両軍はエジェイに向かう。

 解説コーナー
  用語解説
   船団コード
    輸送船団を識別するためのコードで、輸送船団の識別を容易にする目的で設定される。
    但しクワ・トイネ=ロウリア戦争で用いられたコードシステムは転移前にコンピュータを使って処理する前提で決定されたものであり、そのため異世界転移後は処理するのが面倒という本末転倒な事態となっている。
    出発地コード、行き先コード、出港日、出港月、出港年、出港順により構成されている。
    地名コードはそれぞれYKが横須賀、Qがクイラ、KTがクワ・トイネ、MHがマイハークとなっている。
    また、異世界転移後は年がグレゴリオ暦*1からクワ・トイネ公國及びクイラ王國との聯合作戦の便を目的として中央歴に変更された。
    なおクワ・トイネ=ロウリア戦争終結後に即改訂された模様。

   群狼戦術警報(ウルフ・パック・アラート)
    潜水艦による襲撃法の一つに群狼戦術(ウルフ・パック)というものがあるのだが、それは無線通信を多用する方法であるためそれを傍受することで襲撃の予兆を知ることが出来る。また、方位測定*2や暗号解読*3などで位置が分かれば襲撃が行われる水域が判明すればその水域の船団に襲撃が行われることが分かる。
    それを利用して船団襲撃の予兆を船団やその周辺の部隊に通知することにより、その船団が大きく迂回したり周辺の部隊が船団襲撃に集まった潜水艦を狩ったりすることが可能となる。
    当然ながら似たようなやり方で襲撃を試みる場合にも応用が利き、本作では魔信を傍受してその方位を特定するのを複数個所で行うことで魔信の発信元の位置を割り出して船団襲撃の予兆を知ることが出来た。加えて襲撃に使用する魔信が平文そのままだったためこの後どう行動するかは完全にもろバレだったそう。(つまりQY0806163903護送船団は船団長のクソみたいな驕りと油断により大打撃を被ったことになる訳で。)
    但し周辺部隊の行動の齟齬を重く見た結果警報区分の変更が行われることになり、同警報は潜水艦群による船団襲撃にのみ用いられることになった。
    因みに列強だったりそれと同等かそれ以上に強い相手なら暗号を使ってくるから解読する分行動を読むのに余計な時間がかかる見込み。ところで大日本帝國の暗号って米海軍にサクサク解読されていたアレが最新なのでしょうか?(もしそうだとするとお互いに暗号使ってるつもりで・・・というコメディ化不可避案件に。)

  オリジナルキャラクター紹介
   マイハーク商船大学のカモ=アイ教授
    本編から半世紀位経過した頃にマイハーク商船大学の教授となった船乗り。
    海上におけるテロ対策が専門。
    因みに彼の曽祖父は海賊をやっていて、護国丸の機銃掃射によりミンチにされたそう。

  オリジナル装備紹介
   ケブリン級戦列艦
    元ネタはRed October氏のケブリン級80門級戦列艦。
    74門2層戦列艦として開発された艦級でパーパルディア皇国皇軍海軍主力艦の数的主力であったのだが、ルディアス即位後はその海軍戦術の急激な変化から急速に陳腐化が進んでいる。
    サブタイプは以下の通り
     ケブリン級戦列艦
      ケブリン級戦列艦の原型であり、パーパルディア皇国皇軍が手にした初の主力艦。
      中央歴1639年現在では全艦が下記のケブリンII級に改装されたか解撤されたことから現存艦は存在しない。
     ケブリンII級戦列艦
      ケブリン級戦列艦の甲板に風神の涙を埋め込んだもの。風神の涙により風向きとは関係無く行動することが可能となった。実は本級の大半がケブリン級戦列艦からの改装艦だったり。
      中央歴1639年現在パーパルディア皇国監察軍の主力艦として運用されている。
      最近の改装により艦首に小振りな衝角(ラム)が装着された。
     ケブリンIII級戦列艦
      ケブリン級戦列艦を一回り大型化させた80門2層戦列艦。
      その戦闘能力はケブリンII級戦列艦よりも強化されたものの、その登場と相前後してルディアスが即位したことから当初からパーパルディア皇国監察軍の主力艦としての運用とされるなど扱いが不遇である。
      最近の改装により艦首に小振りな衝角(ラム)が装着された。
     ケブリンIV級戦列艦
      今回登場した、ケブリンIII級戦列艦の図面を流用することで安価な実験艦として開発された戦列艦。そのため本級は全て新造されている。
      従来艦に比べて甲板強度が大幅に強化されたことで大型の魔導カロネードの運用が可能となったほか、艦首に構造材と一体化した立派な衝角(ラム)が装着された。(なお海賊には要らない装備だった模様。まあ海賊は船沈めるのではなく船を襲って荷や船そのものを奪う存在なのでね。)
      実験艦としての役目を終えた後はパーパルディア皇国監察軍で運用されたり国家戦略局を通して他国に貸し出されたりしている。

  オリジナル艦娘
   播磨
    A-150という名目にて計画艦娘枠での登場。モデルはA-150の85,000トン案を基に副砲を2基追加搭載したり副砲塔をあちこち強化したりしたものである。
    因みに北條提督の配偶者でもある。

   USSインディアナポリス
    米海軍の条約型巡洋艦で、第二次世界大戦では第5艦隊の旗艦を務めた。第二次世界大戦集結直前、極秘の原爆輸送任務を終えフィリピン方面に向けて航行中に艦長のクソみたいな驕りと油断から伊号第五十八潜水艦の雷撃により撃沈される。極秘任務での航海であったことから撃沈されてから暫くその事実に気付いて貰えず、その間に乗員がサメの餌となってしまう。
    なおクソみたいな驕りと油断をした艦長は軍法会議送りとなった模様。

  艦これ未実装装備紹介
   九二式魚雷一型
    大日本帝國海軍が開発した電池とモーターで動く日本製電気魚雷(電気ウナギ)
    艦これに登場する大日本帝國海軍の潜水艦用魚雷は全て九五式魚雷であるため未実装装備としてここで紹介する。
    実際のところ安かろう悪かろうな装備品であり、駛走すれば駛走するほど電池がヘタレて速力が落ちるという欠陥があったとか。因みに書類上の雷速は30ノット。
    深海棲艦相手の時にはそんな欠陥品使えるかということで横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)だと倉庫に(うずたか)く積まれていたのだが、クワ・トイネ=ロウリア戦争にて木造帆船相手だし流石に倉庫片づけたいという理由から主に処分するのが目的で潜水艦部隊により使用された。但し出番が無さ過ぎたのか海魔を絶滅させんばかりに海魔退治に多用されることになった。
    因みに改良型の二型はドイツのG7eをベースにする予定であったがなんやかんやで中止された。

   Mark39砲塔に装備された5"/54 Mark 16
    米海軍が第二次世界大戦期の主力高角砲(Dual Purpose Gun)である5"/38 Mark 12の後継として開発された高角砲(Dual Purpose Gun)
    しかしながら採用された数はかなり少なく、米海軍で本砲を実際に装備して就役したのはミッドウェー級航空母艦のみである。
    Mark39砲塔は5"/54 Mark 16用の単装砲塔である。
    因みにMark41連装砲塔も計画上存在していた。しかしながら搭載予定であったモンタナ級が起工すらされずにキャンセルされたため実現しなかった。

   28 cm/52 SK C/28
    ドイツ國が開発した主力艦用の主砲で、ドイッチュラント級装甲艦に装備された。
    そもそも艦これの戦艦主砲装備の最小口径が12インチで巡洋艦主砲の最大口径が8インチという。
    因みにシャルンホルスト級戦艦の主砲は本砲の改良型である。

*1
時の教皇グレゴリウスXIII世の命でそれ以前に西洋で用いられていたユリウス暦から実際の太陽年とのズレを補正する目的で策定された暦であり、要するに現用の西暦。1582年に使用が開始され、日本では明治6年に前年12月2日を大晦日とする形で導入された。

*2
こちらはHF/DFとして知られている。

*3
こちらはウルトラと呼ばれる。

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