外道鎮守府召喚   作:G-20

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 クワ・トイネ=クイラ聯合軍70万とロウリア王国軍東方討伐軍74万がとうとう激突の時を迎えます。
 またこの双方が航空戦力を有していることから航空戦力同士が激突する戦いとなる見込みです。

 それではエジェイ会戦、開戦です。


第十二回 クワ・トイネ=ロウリア戦争 〜エジェイの空と大地は血に染まり〜

 中央歴1639年6月19日、アルデバラン率いるロウリア王国軍龍騎隊はギムに展開し終え、薪や石を積み上げて翌日の総攻撃に備えていた。彼等の任務は総攻撃に先んじて制空権を確保し、爾後東方討伐軍にCASを提供することである。

 だが、彼等の大半は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の艦隊を攻撃した際に撃墜され、残余のうちの半数も本土防衛に回されたことからその戦力は恐らくクワ・トイネ公國のワイバーン部隊と互角であろうと考えられていた。せめてもの幸いはクイラ王國がワイバーン部隊を派遣しなかったことであろう。もしクイラ王國のワイバーン部隊が加われば戦力は逆転されて却って劣勢に陥ることが明白であったからだ。*1

 無論、彼等の眼に油断の色は一切無い。というのもワイバーン乗りは一朝一夕には育成出来ない上にギムを巡る攻防では異常としか思えない低空飛行で圧倒的劣勢下にありながらロウリア王国東方討伐軍先軍を幾度も襲撃してきたのだ。まして今回ワイバーン戦力は互角なのだ。

 そこで彼等は世話係に翌日の夜明け前から龍舎を暖房したりワイバーン用の懐炉を用意してワイバーンが早朝でも活動出来るように命じた。それは涙ぐましい努力ではあるが、それにより稼いだ僅かな時間で敵ワイバーン部隊の頭を抑えることにより空中戦を優位に戦えるのは確実であった。*2「見ていろ、クワ・トイネの竜騎士め。小さな工夫の積み重ねこそがこの会戦を勝利に導くのだ。」アルデバランは独り言ちた。

 

 中央歴1639年6月20日未明、世話係が焚いた暖房によりいつもより早起き出来たロウリア軍のワイバーンは暗いうちから離陸の準備を始める。世話係はワイバーンに温かい朝食を与え、滑走路の整備担当は滑走路の整地を行い、竜騎士は装備の最終点検とブリーフィングを行った。

 そしてまだ夜も開けぬうちにアルデバラン率いるロウリア王国軍龍騎隊80騎はクワ・トイネ=クイラ聯合軍を奇襲すべくギムを飛び立った。

 

 

 中央歴1639年6月20日0537(5時37分)、エジェイの城壁に特設された三式一号電波探信儀三型*3が西から飛来する編隊を捕捉、その情報は直ちに有線電話でエジェイ市街に元からあった司令部やダイタル*4基地の司令部に伝達された。

 「方位271より敵機来襲、クワ・トイネ飛行団は直ちに迎撃にあたれ。」ノウ将軍から麾下の航空部隊に指令が飛び、同飛行団の飛行第64戦隊*5が緊急発進した。

 「方位271、距離120kmより敵機襲来。第9戦隊及び第87戦隊に緊急発進(スクランブル)を発令します。」山汐丸は隷下の飛行第9戦隊と飛行第87戦隊*6に迎撃を命じる。

 そうしてダイタル*7飛行場から一式戦闘機42機と二式戦闘機二型丙84機からなる合計126機の戦闘機が迎撃に飛び立った。*8

 

 同日0540(5時40分)、ギム上空に到達した一〇〇式司令部偵察機三型がロウリア王国軍の飛行場と思しき施設を発見し山汐丸に無線で通報する。ロウリア王国軍のワイバーン部隊は敵機の飛行高度がワイバーンの最大飛行高度より高高度であると判断してワイバーンの存在が露顕しないように息を潜める。だが、彼等は知らなかった。大日本帝國陸軍が戦前に恐れていた事態を、そしてその事態の発生を未然に防ぐために陸軍が策定した陸軍航空隊のドクトリンを。「敵飛行場、ですか。」山汐丸は人によっては恐怖を感じる狩人の如き微笑をその顔に湛えると、「すぐに攻撃隊発進準備。二度と使えなくなるように徹底的に潰します。」状況次第では惚れる者が居てもおかしくないとても良い笑顔で攻撃隊の用意を命じる。そして当然のように陣頭指揮を執るべく搭乗員服に着替えようとして航空作戦の調整が円滑に動かなくなることを危惧した参謀たちに止められた。

 

 同時刻、前進準備を整えたジューンフィルア軍18万*9はエジェイへの前進を開始してエジェイへの正面攻撃を始める。対するは城壁上に展開したクワ・トイネ公國西部方面軍集団の志願兵軍団3個及び独立野戦高射砲兵聯隊(八八式七糎半野戦高射砲装備)であり、独立野戦高射砲兵聯隊(八八式七糎半野戦高射砲装備)はエジェイの防空も担当する。彼等は城壁上で敵が有効射程に入ってくるのを待った。

 

 0541(5時41分)、ダイタル*10基地の司令部からの誘導を受ける3個戦闘飛行戦隊計120機*11はジューンフィルア軍の上空高度12,000ft(フィート)を通過してロウリア王国軍ワイバーン部隊に向かう。ジューンフィルア将軍は友軍のワイバーン部隊に敵ワイバーン部隊が高速で向かっていることを通報した。

 

 

 0547(5時47分)、ジューンフィルア軍前衛の将兵はエジェイ城壁の縁辺りに違和感を覚えた。直後その違和感は衝撃に変じた。「クワ・トイネ公國方のワイバーン部隊」が空を覆い始める。

 余りの衝撃にジューンフィルア軍の足が止まった。余りの光景に叱咤すべき指揮官さえも唖然として何も出来ない。

 

 ジューンフィルア軍の中で最も早く衝撃から立ち直ったのはジューンフィルア将軍であった。「緊急で魔信を発しろ!敵ワイバーン部隊接近!空が3で敵ワイバーンが7だ!」ジューンフィルア将軍が命じる。「ここで斃れるのか。」ジューンフィルア将軍は独り言ちると上空を睨む。

 この魔信を受信した誰もがジューンフィルア軍の全滅を確信していた。

 スマール将軍はクイラ王國軍が放つ銃弾の嵐の中で構想の崩壊を予期し更なる前進を命じる。

 パンドール将軍は麾下の歩兵2個旅団に南への展開準備を命じる。

 アルデバランは間に合わないと思いつつもワイバーン部隊の速度を上げる。

 だが、「クワ・トイネ公國方のワイバーン部隊」はジューンフィルア軍を無視してその後方へ飛び去った。そして、ロウリア王国東方討伐軍は誰一人彼等の狙いに気付かない。

 「何だったのだ、今のは。」ジューンフィルア将軍は近くの参謀に意見を求めたが、参謀も何が何だかよくわからなかったけれどもよくわからなかった。ジューンフィルア将軍は疑問を振り払うと自軍の再掌握に努めた。ジューンフィルア軍の士気は間違いなく低下していたが、幸い麾下の臼砲旅団はエジェイ城壁をその射程に収めていたため攻撃自体は不可能とは言えない。そのためジューンフィルア将軍は自軍の主力の前進再開を延期させて麾下の臼砲旅団に砲撃を命じる。対するクワ・トイネ公國西部方面軍集団の志願兵軍団麾下の砲兵旅団も臼砲と三八式野砲を放ち応戦する。

 0549(5時49分)、「敵の砲撃によりレーダー破損!」「再設営急げ!」ジューンフィルア軍臼砲旅団による砲撃によりエジェイ城壁上の三式一号電波探信儀三型が破壊された。そのため横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の地上電探部隊は予備として分解された三式一号電波探信儀三型をエジェイ城壁上に輸送して再設置を試みたが、砲撃戦の只中で工作部隊が大損害を被った上に予備の電探も破壊されて失敗に終わった。一応エジェイ北方の高地にタチ6号やタチ20号も設置されていたが、前線に近い位置であったことから逆探知からの急襲を恐れて停止していたため一時レーダーによる航空隊の誘導に支障を来す事態となる。しかしロウリア王国軍のワイバーン部隊はこの好機を生かすことが出来なかった。

 

 

 0550(5時50分)、「敵騎直上!急降下!」飛行第87戦隊のキ44-II丙(二式戦闘機二型丙)41機がアルデバラン率いるロウリア王国軍ワイバーン部隊に急降下で襲い掛かる。ジューンフィルア軍からの魔信を受けてジューンフィルア軍の上空に展開すべく急いでいる最中一撃離脱が得意な重戦闘機(キ44-II丙)に急降下で襲撃を受けたアルデバラン率いるロウリア王国軍ワイバーン部隊はほぼ一方的に半数を撃墜される。直後飛行第9戦隊のキ44-II丙(二式戦闘機二型丙)39機が離脱する飛行第87戦隊を追うアルデバラン率いるロウリア王国軍ワイバーン部隊に襲い掛かりその殆どを撃墜した。そこに止めとばかりに飛行第64戦隊の一式戦闘機計42機が残存のワイバーンに襲い掛かったためアルデバラン率いる攻撃隊は味方の上空にすら到達出来ずに全滅する。

 だが、ロウリア王国軍ワイバーン部隊の不幸はこれで終わりでは無かった。

 

 

 0553(5時53分)、双方の砲撃は益々激しくなりジューンフィルア軍が用意した偽砲は最優先目標とされて全て破壊された上同軍の臼砲旅団も損害が積み重なってその戦力を急速に喪われていた。それでもジューンフィルア軍はエジェイ城壁への攻撃を続行、前進する歩兵が対する志願兵軍団の迫撃砲により吹き飛ばされる中でも前進を続ける。しかしながら砲戦や迫撃砲の弾幕により高さ25mの城壁を越えるための攻城塔や梯子類竝城門を破壊する為の破城槌を接近させることもままならないため城壁に取り付いたとしても城門を持てる武器で叩く間に落下物により斃れる始末であった。そして0555(5時55分)、ジューンフィルア将軍は攻撃中止を決断して部隊を後退させた。だが、砲戦や迫撃砲の弾幕その他による騒音のため部隊に後退命令を伝えることすら困難であったことや後退すら困難な状況であったことでジューンフィルア軍が射程外に出たのは0613(6時13分)のことであった。そしてこの攻撃で死傷者が1万にも及んだという事実にジューンフィルア将軍の司令部は打ちのめされることになる。しかし再編中の0622(6時22分)、ジューンフィルア将軍の下に凶報が届いた。

 

 

 0618(6時18分)横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)飛行軍*12横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)第二航空艦隊計1,024機はギム近郊の飛行場上空に到達、飛行第85戦隊を始めとするキ84(四式戦闘機)装備の3個戦闘飛行戦隊と三四三空を始めとするN1K2-J(紫電改)を装備した航空隊は迎撃に上がって来たワイバーン40騎を鎧袖一触で蹴散らす。その後まず高速が自慢のP1Y(銀河)を装備した航空隊や戦闘機なだけあって高速なキ45改(二式複座戦闘機)キ43(一式戦闘機)及びキ100戦闘機*13を装備した飛行戦隊による急降下爆撃により龍舎や兵舎の一部を破壊、次いでキ67(四式重爆撃機)キ48(九九式双発軽爆撃機)を装備した飛行戦隊が飛行場や周辺に存在するロウリア王国の軍事施設を小型の爆弾で爆撃する。そしてG4M(一式陸上攻撃機)G3M(九六式陸上攻撃機)を装備した航空隊とキ21(九七式重爆撃機)を装備した重爆飛行戦隊が仕上げに大小の爆弾を使用して爆撃する。

 この一連の爆撃によりギム周辺に集積されていたロウリア王国東方討伐軍の兵糧竝武器弾薬は全滅しギムに駐屯している守備隊も壊滅、その生き残りもアデム将軍麾下の部隊が行った暴虐と爆撃の影響で完全に更地となったギム周辺で寝る場所や食糧を求めて個々に散っていった。

 

 

 0622(6時22分)、ワイバーン部隊全滅の報がジューンフィルア将軍の元に届く。ジューンフィルア将軍は動揺を隠しきれず、それにより隷下の将兵も動揺し始める。そのためジューンフィルア将軍は以降毎晩交替で示威行為を行いエジェイ守備隊の戦意と睡眠時間を削りつつ陽動を行うことを決心する。しかしながら、彼等が夜まで布陣箇所に留まることは無かった。だがそれはまた後の話。

 

 

 

 エジェイのすぐ南にある山岳地帯。

 0542(5時42分)、南方のスマール軍19万が前進準備を終えて前進を開始した。スマール将軍は麾下の聯隊に大隊を編成して分割させたりせずにそのまま前進して相対するクイラ王國軍を押し込むように命じた。「我々はエジェイの側面に出るころにゃ壊滅しているだろう。だが、それでクイラ王國軍を戦闘不能に追い込める。そうなれば敵は南が開放翼となる。そうなればジューンフィルアの奴が右翼を回り込ませて開放翼を横から突き伏せて勝ちだ。それに、我々が全滅してもクイラ王國軍との交換なら悪くない、寧ろ交換比率上我々が得だ。」スマール将軍は独り言ちる。

 対するクイラ王國クワ・トイネ派遣軍は最近クイラ傭兵が実施して大きな成果を挙げている戦法*14で対応した。だが、スマール将軍は事前に指揮継承順序を決めることと例えスマール将軍自身をも含めた指揮官全員が斃れても前進を続けることを命じていた。そしてスマール将軍の捨て身ともいえる前進によりクイラ王國クワ・トイネ派遣軍は予想外の事態に苦戦を強いられて散り散りでの後退を余儀なくされる。*15これにより早くもスマール将軍の構想が実現するかに見えた。だが、クイラ王國軍の真骨頂は山岳での散兵戦である。そして散り散りとなっての後退により生じた空隙にロウリア王国軍が突っ込んだために戦線の各所で自然と半包囲が形成された。クイラ王國クワ・トイネ派遣軍はそこに火力を集中してスマール軍に大きな損害を与えた。

 だが、スマール軍はそれでも止まることなく攻撃を続ける。スマール将軍の猛攻にたまりかねたクイラ王國クワ・トイネ派遣軍は0547(5時47分)、CASを要請した。

 

 0550(5時50分)、エジェイ南方に展開しているクイラ王國クワ・トイネ派遣軍はスマール軍にかなり押し込まれていた。「進め!もう少しでエジェイ城壁の南に到達出来るぞ!」スマール将軍は麾下の将兵を叱咤して攻撃を続行させる。会戦前に前線に展開した歩兵4個旅団(21個聯隊)はとうに壊滅して予備の6個旅団のうち1個旅団も壊滅、残った5個旅団のうち3個旅団を前線に投入して2個旅団が予備として後方に控えている状態である。普通ならば余りの損害に士気が崩壊して総崩れとなる程の損耗ではあるが、伊達にロウリア三大将軍に数えられていないスマール将軍の手腕と複雑な地形、それに何よりクイラ王國の兵を押し込んでいるという事実が彼等の士気を維持させていた。クイラ王國クワ・トイネ派遣軍はどうにか戦線を構築出来ているが、前線に展開したうちの半数弱がその戦線の向こう側に取り残されており、予備に拘置した2個猟兵旅団のうち1個猟兵旅団を前線に投入することで何とか突破されることは阻止していた。そして彼等の下に救世主が現れる。

 0551(5時51分)、クイラ王國クワ・トイネ派遣軍の将兵は旗を掲げた。「見えた。かかるぞ。」飛行第6戦隊の中隊長が麾下の九九式襲撃機9機にロウリア王国東方討伐軍スマール軍の急襲を命じた。

 僅か9機とはいえ急降下爆撃の後に機銃掃射を受けてスマール軍は1個旅団が半壊するという大きな損害を被り暫時足が止まる。そこに飛行第83戦隊の九九式軍偵察機9機が予備の旅団を発見してこれに急降下爆撃を行い機銃掃射したため予備の旅団の片割れが半壊し機能不全に陥り混乱が生じた。その隙を衝いてクイラ王國クワ・トイネ派遣軍は攻撃を行いスマール軍を突き崩して押し戻すことに成功した。さしものスマール将軍もこの事態を前に後退命令を出さざるを得なかった。とはいえ総崩れにはならなかったためにスマール軍は攻撃開始前より前進した位置で体勢を立て直して再攻撃の準備を行う余裕があった。

 そして0615(6時15分)、前回よりも広く展開したスマール軍は再び前進を開始した。延翼運動を行ったクイラ王國クワ・トイネ派遣軍は足止めを図る以上の戦術行動を執り得ないまま押されていく。0618(6時18分)そこに飛行第12戦隊麾下の1個中隊が飛来してスマール軍を爆撃しその一部部隊は大きな損害を被って足が止まり、包囲を恐れた周辺にいる部隊の足も鈍る。クイラ王國クワ・トイネ派遣軍そこに局地的な攻勢を仕掛けて戦線を押し上げつつ前進する他のロウリア王国軍聯隊への側面攻撃を狙う。だが、スマール将軍が聯隊を分割しないことによって自然に形成された極端な縦深陣を突破することが出来ず対する聯隊の先頭を半包囲して潰すのが限界であった。その上スマール軍は先頭を潰されても前進し続けたため趨勢に変化を生じさせることもままならなかった。

 状況に変化が生じたのは0623(6時23分)のことであった。ワイバーン部隊全滅の報を受けたスマール将軍は攻勢を中止して一時後退し再編成を行う旨を命じたからである。

 その命令が伝わりスマール軍は整然と後退を開始した。クイラ王國クワ・トイネ派遣軍にはこれを追撃する余力が無く已む無くこれを見送ることになる。

 

 0631(6時31分)、兵力の再編成を終えたスマール軍は空襲を避けるべく小隊単位で五月雨式の攻勢に出た。小規模な部隊での攻勢はスマール軍に主導権を齎す筈であった。ところが、それはクイラ王國クワ・トイネ派遣軍の思う壺であった。何故ならロデニウス大陸においてクイラ王國陸軍ほど小規模部隊同士の戦闘に練達した軍は存在していない上にクイラ王國クワ・トイネ派遣軍の展開している地域はクイラ王國陸軍が強い地形であったからである。

 攻勢に出たスマール軍部隊はクイラ王國クワ・トイネ派遣軍の猟兵の狙撃により次々と崩れてその機能を喪失していく。その上崩れた部隊が道を塞いでしまったことで次の小隊が前進することが出来なくなる上崩れた部隊を掌握する試みはクイラ王國クワ・トイネ派遣軍の猟兵の狙撃によって無為に終わる。その結果0656(6時56分)にスマール軍の攻勢は頓挫し後退を余儀なくされた。

 0704(7時4分)、エジェイ南方の山地での戦いは小康状態となった。さしものスマール将軍も麾下の将兵を掌握するのに手間取り、それにより部隊の再編に時間を要した結果再び攻勢に出るための作戦を立案するために多くの時間を必要としたからである。

 

 だが、会戦は未だ終わってはいなかった。

*1
なお彼等はエジェイ周辺に横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の航空部隊が展開していることを知らない模様。

*2
但しそれはクワ・トイネ=クイラ聯合軍が制空戦闘にワイバーンを投入した場合に限られるのであるが。

*3
通称13号電探。

大日本帝國海軍が産み出した傑作対空警戒レーダーで、小型軽量でありながら21号電探よりも高性能。

因みに元々地上に設置する移動式のレーダーだったり。

*4
たる♪

*5
一式戦闘機二型後期型と一式戦闘機三型甲乙混成で合計42機

*6
いずれも二式戦闘機二型丙42機

*7
た~る♪

*8
そして二式戦闘機二型丙4機が故障のため已む無く引き返した。

*9
後続の主力に随伴していた臼砲旅団と合流した他、スマール将軍からクイラ王國軍との山岳戦闘ではあまり役に立たない2個騎兵旅団他を譲り受けた上パンドール将軍麾下の数個歩兵旅団を配属されたため。

*10
たるっぽい♪

*11
6機は故障や不調のため引き返した。

*12
5個飛行戦隊欠

*13
キ61II(三式戦闘機二型)の主機を空冷エンジンに変更した戦闘機。由来が由来だけに本作ではキ61シリーズの一種として扱われる。

*14
指揮官狙撃してそこに衝撃部隊を突っ込ませる。

指揮官が狙撃されて麻痺した敵は衝撃部隊の突入に対応出来ずに崩壊する。

 因みに本作品のクイラ王國の騎兵は他国の騎兵が降りられない程の急勾配をごく当たり前のように逆落とし出来る。

*15
「え?無理するなという命令に違反しているって?クイラ王國軍を野放しにする方が危険が大きいと判断しただけだ。」byスマール将軍




 エジェイ前面及びエジェイ南方山地の戦いをお送りしました。
 それにしても、大日本帝國陸軍航空隊の戦闘教義に忠実とはいえ、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)航空隊は中々えげつない方法で制空権を確保しました。ところでどうしてクワ・トイネ公國のワイバーンが空気なのかは次回を読めば明らかになります。

 それでは次回予告です。
次回予告
 エジェイを巡る攻防戦が始まる中、エジェイ北方ではエジェイを迂回してクワ・トイネ公國への騎行を始めようとしていた。
 だが、それを阻止すべくクワ・トイネ公國志願兵軍団は意外な行動に出る。
 そしてその行動は双方が想定していなかった事態を引き起こす。
 次回、「外道鎮守府召喚第十三回 クワ・トイネ=ロウリア戦争 〜恩讐の応酬〜」。
 エジェイ北方でも激戦が始まる。

毎度おなじみ紹介コーナー
 今回クワ・トイネ公國西部方面軍集団に配属された飛行戦隊の紹介
  飛行第64戦隊「戦闘」
   加藤隼戦闘隊の方が名の通りが良い大日本帝國陸軍の戦闘飛行戦隊。艦これでもしれっとキ43-II(一式戦闘機二型)装備で登場した。本作でもジェット機に改編されるまで一式戦闘機で通す予定。その後?そういえば隼って英語で何て言ったっけ。

  飛行第9戦隊「戦闘」
   飛行戦隊という編制が出来る前から存在した航空部隊で発足時は飛行第9聯隊という名前だった。
   専ら大陸戦線で活動しており、成都から飛来するB-29の迎撃もしていた。

  飛行第87戦隊「戦闘」
   昭和16年3月に発足。大東亜戦争中盤まで対ソ戦に備えて満洲で待機していたがその後機種改変の上で柏に移動、その後は一時ビルマ戦線に投入された以外はパレンパンの製油所の防空に従事した。

  飛行第6戦隊「軽爆」
   飛行戦隊という編制が出来る前から存在した航空部隊で、発足時は飛行第6聯隊という名前だった。
   大東亜戦争中盤まで朝鮮半島に展開していたが、その後中支や南支に展開して活動した。

  飛行第12戦隊「重爆」
   飛行戦隊という編制が出来る前から存在した航空部隊で発足時は飛行第12聯隊第一大隊という名前だった。
   昭和13年に支那事変で活躍。昭和14年に満洲に戻るもノモンハン事件に参加。昭和16年8月に北支に派遣されて活動するも翌月江東に展開してプノンペンに前進しマレー作戦に参加する。その後ジャワ島やビルマ戦線で活動するも大東亜戦争後期にフィリピンに展開した。


 歩兵だって十人十色。歩兵種別紹介
  軽装歩兵(散兵)
   歩兵の基本形態。戦争が始まった瞬間から存在する世界最古の兵種。
   基本的に飛び道具がメインウエポンとなる。
   因みに防御力はお察しレベル(防具って結構高いんだよね。)。

  重装歩兵
   ギリシアやローマのが有名。基本的には左手で楯を掲げて右手に武器を持ち、密集隊形で戦う歩兵。
   密集隊形で戦うことから基本的に戦術機動力はかなり低いのだが、マラトンの戦い*1のように敢えて陣形維持を無視したりスパルタのように意味不明な程訓練すれば結構動ける。
   実際のところ結構継戦時間は短い。

  パイク兵
   上の重装歩兵に憧れを抱いたルネサンス期のヨーロッパ人が重装歩兵を真似たもの。
   楯や矢が高いのと矢鱈強い重騎兵が主要仮想敵となったので楯捨てて長鑓持った。
   正面から突っ込んでくる重騎兵には結構強い。
   基本的に機動力が無いので金床役を務めることが多い。
   因みにスイスのパイク兵は最高級ブランド傭兵であり、結構高い。

  郎党
   鎌倉時代末期頃まで存在した歩兵みたいなもの。
   主に主人である騎馬武者の護衛を務める。
   鎌倉時代は騎馬武者と郎党で戦闘ユニットを組むのが一般的だが、これを諸兵科連合と呼ぶことは無い。

  足軽(戦国初期)
   起源がよくわかっていない軽歩兵。
   戦場周辺での略奪や攪乱が主任務。
   正直な話よくわからないけどよくわからない兵科である。

  足軽(戦国後期)
   戦国時代の進展により庶民からあんまし支持されない勢力や戦争に弱い勢力が淘汰されていった結果戦国大名と呼ばれる勢力で多用されるようになった。
   結果的に前述のパイク兵や後述のマスケット兵と似た様な形態となるのだが、日本ではヨーロッパとは違い歩兵が洗練しきらないうちに徳川内府さんが戦乱を終わらせて平和にしたので結構中途半端なところがある。

  マスケット兵
   モンゴル帝国が産み出した筒状の火薬武器(小銃)が進化して歩兵の主力武器となった。その進化した小銃をマスケットと呼び、それを装備した兵をマスケット兵と呼ぶ。
   仏蘭西の文学作品である『三銃士』の題を直訳すると「三人のマスケット兵」となる。
   最初は機構の関係でばらけなければならなかったが、燧石式撃発機構(フリントロック)が発明されると密集隊形が基本となった。

  テルシオ
   スペインで生み出された当時世界最強の歩兵部隊にして当時世界最強の歩兵陣形。
   基本コンセプトはいつでもどこでも用意出来る砦で騎兵突撃を食い止めるというものであり、そのため四周をパイク兵で囲み、その援護の下でマスケット兵が攻撃するというシステムとなっている。
   三兵戦術と呼ばれる諸兵科連合戦術でスペインに挑んだある軍は戦闘にこそ勝利したものの、最後までテルシオを破ることが出来なかったとか。
   その機動力は横山氏風に言えば「そんなものはない。」(CV.関羽)であり、魔法使い風に言えば「うごけない・・・」(CV.フェルン)である。

  戦列歩兵
   三兵戦術と呼ばれる諸兵科連合戦術のうち銃兵パートを担当した歩兵。
   誕生から終焉までの間にかなり大きな変化がある。その中でも特に銃剣の発明は非常に大きなものであり、元々槍兵(パイク兵)と組む存在だったのが槍兵(パイク兵)を駆逐して各国の主力歩兵となった。
   最初期はマーチングファイアとよばれる交代射撃戦術が基本であったが予算の都合で訓練を切り詰める必要が生じたため2列か3列に並んで敵の白目と黒目が識別出来る距離まで歩いて行ってどちらかが崩れるまで撃ち合い、崩れたら銃剣突撃して止めを刺すのが一般的な戦術になった。
   その後長い間主力歩兵の地位を占めていたが、軍用制式ライフルの普及により消滅していった。とはいえ練度低くても使い物になるという利点が存在するので本作ではクワ・トイネ公國陸軍の数的主力を構成することになる。
   因みに学校の授業でやる集団行動や軍事パレードで歩兵の皆さんがやる行進、最近では東側諸国名物として有名なグースステップなどに戦列歩兵の名残が残っている。

  擲弾兵
   擲弾とは手で投げられるサイズの小さな爆弾のことであり、またの名を手榴弾ともいう。
   元々手榴弾を敵の戦列に投げ込む歩兵のことなのだが、小銃の発達とともに精鋭歩兵部隊の称号となった。とはいえ称号化する前の擲弾兵はさぞかし兇悪であったことだろう。(集団行動している只中だとか人が密集しているところに爆弾投げ込まれたらどうなるかを想像すればさぞかしその兇悪振りがお分かり頂けることだろう。なので爆弾を勝手に作るのは止めようね。因みに爆発物の取り締まりの根拠法令は現役の太政官布告である『明治十七年太政官布告第三十二号』(かの大日本帝國憲法より古い)だったり。)
   因みに称号化後の擲弾兵としてはドイツの「装甲擲弾兵」が有名である。

  散兵
   元々は戦列歩兵を支援する為の軽歩兵であり、それ故に陣形を組まずに戦う歩兵である。
   そのために比較的早い時期からライフルが支給されることになる。
   陣形組んでないので騎兵に弱いという重大な弱点が存在する。
   因みに幕末の日本では洋式軍備の大半がこれであり、戦列歩兵は幕府しか保有していなかった。ところがそんな状態で長州藩が征討軍に勝利するわ肝心の戦列歩兵は殆ど活躍せずに終わるわとなった結果日本では戦列歩兵が駆逐される結果となった。
   実はライフルを装備した散兵は戦列歩兵に強かったり。

  猟兵
   元々猟師を雇って歩兵とした存在で民兵の一種なのだが、歩兵として雇われた猟師は日常生活で銃を使用していたために最終的に精鋭軽歩兵の称号となった。
   本作のクイラ王國は山岳地帯である国境付近で敵を食い止めるのが基本戦略であることから歩兵部隊に「猟兵」の名を使用している。
   称号化後の猟兵ではドイツ陸軍の「山岳猟兵」や「戦車猟兵」、ドイツ空軍の「降下猟兵」が有名である。

*1
ペルシャ戦争の会戦で、戦闘終了後本国へ捷報を伝えた伝令の逸話がマラソンという競技の基になった。

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