外道鎮守府召喚   作:G-20

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 第一話では転移したその日から翌日未明までを描きましたが、今回は転移二日目から七日目辺りを描いていきます。
 因みに転移したその日のクワ・トイネの様子は殆ど原作のままなので本作品『外道鎮守府召喚』では完全にカットされます。そもそも

  「原作から文章を大幅にコピーしていたり、大方のセリフがそのままだった場合は利用規約の禁止事項「原作の大幅コピー」で対処します。」

と明記してあるし仕方無いね。
 それでは盛り沢山な注釈と共に使節団を乗せる部隊の主機を動かすところから食糧及び資源の確保までをお楽しみください。

 そうそう、キャラ自身の疲労を原因としたキャラ崩壊にご注意を。


第二話 クワ・トイネ=サン、クイラ=サン、武力を提供するので食糧と資源ください。(傭兵かな?)

 使節団護衛部隊*1は出撃ドックから曳船(タグボート)に曳航されて錨地に移動してその主機を動かし始める。

 護衛部隊のタービン艦娘達*2は各種油ポンプ*3や冷却水ポンプ*4を起動し、ターニング*5をした後ボイラーへの燃料配管に燃料を送り、ボイラー各所に付いているバルブ開閉をチェックする。

 そうして気醸*6を行いつつグランド蒸気をタービンに送ってタービンへの外気流入を防いで復水器*7内の空気を真空ポンプで抜き*8、その後暖気暖管*9をこなしてから試運転を行い出港に向けた主機の準備が整う。ここまでの作業で半日から丸一日かかる。

 

 一方旗艦アドミラル・グラーフ・シュペーは潤滑油清浄機*10を始動して主機潤滑油*11の清浄と加熱を始め、その21時間後に減速機予備潤滑油ポンプ*12を始動した後各種ポンプの電源を入れる。

 これらの作業をするうちに1時間30分経過して、主機冷却清水膨張タンク(エキスパンションタンク)の水量が適切な範囲内に収まっているかを確認し、主機冷却清水ポンプを始動して主機冷却清水を加熱し始める。そして燃料に関わる装置の電源を入れ、排気管ドレン蓋を閉じて各所の潤滑油の量を確認する。*13そうして指圧器弁が開いているか確認し各部に手差しで注油する。その後予備燃料弁冷却油ポンプの動作テストを行い主機冷却海水*14系統関係諸弁を開き主機予備潤滑油ポンプを始動してAHEAD側にターニングを始める。そうしてA重油清浄機*15を始動してA重油移送ラインを確立、艦橋と連絡し合いながらテレグラフテストを行いFOブースターポンプ*16を始動して主機を動かし始める。

 

 かくして護衛部隊各艦の主機が動き始め、物資を搭載し終えて交渉使節団が旗艦アドミラル・グラーフ・シュペーに乗り込むといよいよ各艦の乗員妖精達は抜錨部署に就いて舵の試運転を行い、各艦各所と艦橋との通信を確立したり揚錨機の試運転を行うなどして抜錨に備える。そして護衛部隊各艦から旗艦アドミラル・グラーフ・シュペーへいつでも出港用意宜しいと報告が上がるや旗艦アドミラル・グラーフ・シュペーから護衛部隊各艦に「出港用意、錨を上げ。」と命令が下り、護衛部隊各艦は抜錨を開始する。錨鎖が揚錨機で巻き上げられて格納されるに従い艦は海底の錨の直上に向けてゆっくりと前に動き*17、そして錨鎖の長さが錨地の深さと同じとなって更に錨鎖が巻き取られて錨が海底から上がる。そうして錨が水面付近まで上がると両舷前進原速を下令して横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)を出発した。

 

 護衛部隊の航海は予想に反して順調に進み、時折飛鷹が艦載機を発着艦させる為に部隊が風上へ全速で航行した時を除いてH8K1飛行艇(二式飛行艇)が発見した港湾らしきものへと真っ直ぐ向かって航行していた。そうして二日後の朝方、飛鷹から発進した索敵機が針路上に陣形を組んだ複数隻の帆船を発見した。陣形を組んでいるということは恐らく帆走艦部隊であろう。旗艦アドミラル・グラーフ・シュペーは、H8K1飛行艇(二式飛行艇)が発見した港湾らしきものへ向かう針路上に展開しているからH8K1飛行艇(二式飛行艇)が発見した港湾らしきものの旗国に所属する哨戒部隊又はH8K1飛行艇(二式飛行艇)が発見した港湾らしきものの旗国の敵国に所属する海上封鎖艦隊かのいずれかであろう。それ故に、帆走艦部隊の機動力や通信能力にさして期待していなかったが、彼等に行動予定及び交渉に於ける要求を伝えて反応を見ることに決めた。

 

 

 謎の飛行物体による領空侵犯から四日経ったの朝方のことである。謎の飛行物体の飛来方向を中心に哨戒を行っていたクワ・トイネ第二艦隊は、マイハーク上空で確認されたのとは異なる形の謎の飛行物体を発見した。よく見ると胴体や翼にはArgent a torteau*18の、恐らく紋章であろうがそれにしては余りにも簡素過ぎる意匠のナニカが描かれている。紋章官が居れば所属が知れたかもしれないが、生憎船上に於いて紋章を確認する機会などそう多くあろう筈も無く、それ故に紋章官がそうそう乗船している筈も無い。ミドリ艦長はそう考えていると、謎の飛行物体がチカチカ光り始めた。その光のリズムにもしや?と思いミドリ艦長は望遠鏡で謎の飛行物体を見る。どうやら四日前の領空侵犯に対する謝罪と称して使者をクワ・トイネ公國に派遣する為にこの謎の飛行物体を放った艦隊がこちらに向かっていて、この後マイハークに入港する予定らしいことと食糧及び鉱物資源の取引を望むことがわかった。早速その旨をクワ・トイネ市に魔信を送ることにした。

 

 その頃、蓮の庭園では四日間にも及ぶ堂々巡りと相次ぐ脱線に見舞われていた。リンスイ卿*19は「今日の朝食美味しかったな。」などと思っているし首相のカナタ卿に至ってはぐで〜と机に突っ伏しながら「疲れた・・・思考を放棄したい。」などとキャラ崩壊著しい失言をするなど最早閣議に集中出来ていないのは明らかであった。そんな彼等に救いの光を齎したのは公國海軍第二艦隊所属艦のピーマからの魔信であった。なんでもArgent a torteauという紋章(?)を翼と胴体に掲げた謎の飛行物体が発光信号*20で「四日前の領空侵犯に対する謝罪と称して食糧と鉱物資源を入手するための通商交渉を行うための使者をクワ・トイネ公國に派遣する為に艦隊がマイハークに向かう」と知らせてきたというのだ。発光信号を使うということは太陽神の使いの関係者或いはその子孫なのだろうか?しかしながら太陽神の使いが来たのは神話の時代であるからしてそれだけで太陽神の使いの関係者或いはその子孫とは断定し得ない。しかし現代では文明圏外の我等も魔信を使うのだから魔信を用いずに発光信号を用いた理由がよくわからない。魔信が使えないというしょうもない理由なら太陽神の使いの可能性が高いのだが北西に魔信が使えない国が居るとも聞く。だが彼等は空を飛ぶという芸当が使えるのだろうか?そういう考えを巡らせているうちに公國海軍第二艦隊所属艦のピーマから第二報が来た。マイハークに向かう艦隊は太陽神の使いの艦隊であり、構成艦はフェンの城のような物を乗せた超巨大船や何故か右舷中央にのみ城壁らしき物が乗った超巨大船、それに巨大な魔導砲(?)を載せた巨大船4隻からなる艦隊であり、その旗章はArgent, a torteau displayed with a Siemens star-shaped halo, the halo has sixteen rays Gules*21なのだという。間違いない、その艦隊は太陽神の使いだ。そして会議はわずか数分前はぐだぐだだったことを信じさせるのが不可能な程活性化する。とはいえ太陽神の使いの使者が何を求めているかは不明であることが唯一の懸念点だが、彼等には太陽神の使いは無体なことをしないだろうという確信があった。それ故にカナタ内閣は公國海軍第二艦隊に太陽神の使いの艦隊をマイハークではなくクワ・トイネ市に誘導することを命じた。また、在クワ・トイネクイラ大使を「これこれこういう要件があるので来ーてくーださい♪(意訳)」という文章を送って呼び出し太陽神の使いとの通商交渉に同席させることを決定した。

 

 かくして転移六日目、クワ・トイネ市に於いて横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)使節団とクワ・トイネ公國及びクイラ王國との通商交渉が行われた。本来であれば実務者協議を入念に行い問題点を一つ一つ潰していくのが定法であるが、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)側に時間的余裕が少ないことや一方のみかつ交渉の前日とはいえ事前に要求事項を通知していたことなどから大まかに要求を満たすことが可能か、そしてその為に何を要求するか程度のことを纏めることが出来ていた。当然ながらクワ・トイネ公國及びクイラ王國の両国は(通商交渉と称する以上)食糧及び鉱物資源の対価を求め、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)はこれに対し要請有り次第直ちに戦力を提供する旨を解答しその日のうちに以下の通りの合意に達したのである。*22

 

 合意内容

  一、クワ・トイネ公國は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)に食糧を提供する。

  一、クイラ王國は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)に鉱物資源を提供する。

  一、 横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)はクワ・トイネ公國及びクイラ王國からの要請有り次第直ちに武力を提供する。

  一、 横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)は上記に加えてクワ・トイネ公國クイラ王國両國國内に於けるインフラの整備を支援する。

 

 そしてアドミラル・グラーフ・シュペーは以上の合意内容が決定したことを横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)に連絡すると麾下の艦艇に可能な限りクワ・トイネ産の農作物を積み込み横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)への帰投針路をとった。

 アドミラル・グラーフ・シュペーがクワ・トイネ市を発った頃、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)では工廠で鋼鉄の箱及び貨物船*23及び油槽船(タンカー)を建造を開始した。なけなしの残存資源を費やして造られるそれは上記の合意に基づき建造されたものであり、それをロデニウス大陸まで魚雷を降ろした駆逐艦で曳航することで港湾を素早く建設するという計画である。また、帰りには艦内各所にクワ・トイネ産の農作物を積み込むことで少しでも横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)への食糧供給を行うことを計画していた。加えてこれらとは別に揚陸艦娘を差し向けて装備した大発動艇にクワ・トイネ産の農作物を満載した馬車やクイラ産の鉱物資源を満載した馬車を積み込むことで迅速な輸送開始をも目論んでいる。

 そこから一ヶ月が経過して、それらの輸送作戦の実施や仮装巡洋艦娘の投入により横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の食糧及び資源の供給に不安が無くなった頃、遂に合意が結ばれたという連絡を受けて立案されたロデニウス大陸開発計画が始動した。

 

第二話おわり

*1
旗艦アドミラル・グラーフ・シュペー、飛鷹、雷、響、暁、電の6隻からなる部隊

*2
使節団護衛部隊のうち飛鷹、雷、響、暁、電の5隻

*3
タービン軸受の潤滑油などなどに油を供給する装置。

*4
復水器だったり各所の過熱防止だったりに使用する冷却水を供給する装置。

*5
タービンをモーターなどでゆっくり回す作業。主機や軸受の動作確認をしたり主機各部を均一に暖めたり潤滑油を各部に行き渡らせたりするのが目的。

*6
ボイラーに火を入れてお湯を沸かして蒸気を作る作業。

*7
使用した蒸気を水に戻す熱交換器の一種。当然蒸気から水になる時にかなり容積が縮む。それにより圧力が下がる為タービンを挟んだ圧力差が大きくなりタービン出力の向上にも繋がる。

*8
空気は沸点が極めて低い気体で構成されているので復水器内に空気が入っているとタービンが正常に動作しないのだそう。

*9
タービンや蒸気配管などを暖める作業。

*10
主機の潤滑油から不純物を取り除く装置。

*11
ディーゼルエンジンのピストンがシリンダー内でスムーズに動くようにする為の油。

*12
減速機というエンジンの回転をスクリューに伝える際にエンジンの早い回転をスクリューに適したゆっくりとした回転に変換する装置をスムーズに動かす為の潤滑油を供給する装置。

*13
潤滑油が足りないと焼き付きを起こす。

*14
主機を冷やすのに使った清水(主機冷却清水)を冷やす為に用いる海水。

*15
A重油から不純物を取り除く装置。

*16
燃料を主機に供給する装置。

*17
錨鎖に引かれて動いているだけです。

*18
白地に赤い丸

*19
外務卿、原作に登場。

*20
嘗て太陽神の使者から伝えられたものの一つ。

*21
白地に16本の赤いシーメンススター状の光背を備えた赤い丸、要するに十六条旭日旗である。

*22
因みに交渉内容に関しては概ね原作通りであろうから本作では省略する。

*23
暫くは輸送する品目が流動的である為一般貨物船を建造することになる。その後バラ積み船(バルカー)やコンテナ船など専門分化した船舶へと切り替えていくことになる予定である。




 漸く状況が動き始めました。何しろあらすじで書いた通り艦娘としての活動はお終いとなる予定なのでエンジンを停止させていたのに急遽艦娘としての活動を再開することになった為艤装のエンジンに火を入れるところから始めなければならなかったので準備に丸一日かかることと相成りました。
 そして前話では3日間の航海で予定を立てていた理由ですが、メタ的には原作でクワ・トイネからの使節団が船*1で来日する際に航海で2日かけていることと、作中では港湾らしきものの場所以外不明な航海である為索敵機やCAPを展開しながら航海する計画として立案されている為です。

 次回予告
  港湾及び海上航路の整備により食糧及び資源の供給を確立した横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)は遂にロデニウス大陸開発計画を発動、事前に製造された鉄道レールや鋼製枕木、各種パイプ及び仮設住宅などが横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)から貨物船や水上艦艇により次々と運び出される。そしてこの活動の結果ロデニウス大陸の東半分に文明開花の波が訪れようとしていた。
  次回、「第三話 ロデニウス大陸開発計画」。

 それでは、今回出てきたオリジナル地名をここで紹介します。
  クワ・トイネ市
   原作でいう公都クワ・トイネのこと。本作では港湾が存在しているという設定となっている。

*1
恐らく民間船なので経済速力での航海だろう。

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