外道鎮守府召喚   作:G-20

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 今回は閑話です。
 前々回に大江作戦参謀が提案した機関車がどういう経緯で結局どうなったかをやっていきます。

 因みに今回は結構辞典みたいな構成です。


閑話1 失敗作たち

マレー式蒸気機関車

 明石は幾つかの機関車の設計し終えていた。しかしながら大江作戦参謀が提案した1E2の蒸気機関車の設計に苦戦していた。何しろ動輪が5軸ある蒸気機関車は日本では極めてマイナーな存在であり*1、しかもその運用実績からレールにかかる横圧が強いことが予想されていたためである。明石は陸戦妖精(鐵道第一聯隊)や陸戦妖精(鐵道第二聯隊)に丁度良さそうなサンプルはないかと尋ねてみた。その問いに対して彼等が出したのはK2型蒸気機関車という鐵道聯隊で実際に使用されていた蒸気機関車であるが、軽便鉄道用の機関車である上に巧妙な構造の動輪を使用する機関車であるため整備が十全に行えるか疑問であったしそもそもK2はタンク式であったから大江作戦参謀が求めていたものとは大幅に異なることは間違いない。

 そう考えていると、自身が設計した客車や貨車を見てあるアイデアを思いついた。それは機関車の足回りを2つ縦に並べて内前方を機関車本体から独立させる構造である。明石はこのやり方なら上手くいくのではないかと思い設計を始めた。しかし、そこには大きな誤算があった。というのも前方の足回りが首振りするのだがその上にあるボイラーは後方の足回りに固定されている。そしてそれがレールに対して建築限界を超えて左右に動くのである。結果ボイラーを建築限界に影響しない範囲で短縮することになった。前方足回りへの配管は貨車や客車の連結器周りの配管を参考に設計された。

 かくして1BC2のマレー式蒸気機関車が設計されたのだが、いざ試作してみると30.0 kg/cm2の蒸気を使用出来ない本機はその出力や牽引力が幹線用汎用蒸気機関車はおろか幹線特別急行用蒸気機関車にも劣るという有様だったので改良が必要と判定された。しかしながら原因が原因故に改良も上手くいかない中で横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)が交戦状態に突入したことで開発が中止されたのである。

 

 そしてその後、ある種類の火砲を運用した経験を積むことで、ロデニウス大陸最強機関車の座を争う蒸気機関車として君臨する恐るべき化け物へと発展することになるのだが、それはもう少ししてからとしよう。

 

 

DD-1形ディーゼル機関車

 蒸気機関車よりも高い効率と高い出力を求めて横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の燃料事情の改善に伴い設計開発されたディーゼル機関車である。

 本車は高い出力を要求されたことから艦艇用ディーゼル機関である22号内火機械10型1基をほぼそのまま搭載し、それを減速ギアを介して動輪に動力を伝える構造となっていた。しかしながらこのディーゼルエンジンはそもそも出力が2基合わせても4,700馬力しか無いためそもそも4,000馬力以上を有する幹線用蒸気機関車群を置き換えることが不可能であった。そのため本車は失敗作とされたのだが、それでも取り扱いが簡便であることから一部の普通列車の牽引や入れ替え作業に重宝された。とはいえ割と貴重な重油*2を使用することから少数生産に留まる。

 

 

試作ガーラット式蒸気機関車

 大東洋戦争*3の後に設計が再開されたマレー式蒸気機関車だったが、ある種類の火砲を運用した経験や技術の向上に伴いボイラーと足回りを完全に分離するという奇策を用いた結果上記のマレー式蒸気機関車で生じた問題点を全て解決することに成功した。しかしながら装備したボイラーや火室の巨大さ故に運転台からの視界は最悪であり、運転台から前方を直接視認することは殆ど不可能だったという。そのため車体番号が大きくなれば大きくなるほど運転台側面の窓が大型化し、とうとう窓から運転台に出入りできるほどの巨大窓を装備することになった上、それでも前方視界が悪いために試作最終号機に至っては前方窓が廃止され潜望鏡*4と第二次世界大戦後期に投入された戦車のような間接視認装置が組み込まれたという。とはいえ史上最多の試作機数を誇りながら*5結局採用には至らなかった。とはいえロデニウス最強の機関車の一角を占める存在であることから割と国外から注文されたのだが前方視界の悪さに起因する転落事故*6や衝突事故をよく起こしたという。なお本車は普通のガーラット式である。

 

 

試作ガーラット・マレー式蒸気機関車

 前方視界問題でボツになった試作ガーラット蒸気機関車ではあるが、その出力は魅力的であったことからどうにか採用を勝ち取れないかと考えた結果魔改造じみた大規模変更が行われた。試作ガーラット式蒸気機関車からの変更点で最も大きなものはフランコ・クロスティ式ボイラーの採用であろう。というのも蒸気機関車の設計に際して前後を決定する基準は国鉄から其儘引き継いでおり、それ故に煙突がある方が前ということになっていたからである。そのため煙突の位置が変われば前後を入れ替えることが可能なのではないかという考えの下フランコ・クロスティ式ボイラーが採用された。但し採用目的が採用目的であるため煙突の位置や形状が三段空母時代の加賀などを参考にした極端な誘導煙突になっており、そのため煙路がものすごいことになっている。果たしてキルシャップエグゾーストがまともに機能するのだろうか?

 なお煙突の向きが大日本帝國海軍の航空母艦を参考にしてしまったが故に横向きとなっている*7ことから駅では煙をホームに向かって吐き出す形となった模様。当然非難轟々の末にボツとなった。*8

*1
何しろ国鉄では三種類、4100形と4110形及びE10形のみであり、加えて使用路線も限られていたからである。但し鐵道聯隊では割と多用されていたそうだ。

*2
それもA重油

*3
或る國とパーパルディア皇国との間で行われた大規模戦争。本篇の話なので今回はこの程度で収めておく。

*4
なお煙のため使い物にならなかった模様。

*5
なんと試作として30輌も製造された。

*6
試作車でも機関士が身を乗り出しすぎて運転台から落ちることがよくあり、それ故に試作最終号機では窓が小型化されて間接視認装置及び潜望鏡が装備されることになった。

なお輸出車ではマニュアルに命綱をつけるように記載されていたが余り守られなかった模様。

*7
何故横向きにしたし。

*8
残当




 という訳で閑話でした。

 明石設計の機関車群も本篇で登場するような傑作ばかりでは無いというわけです。まあ海軍の明石にとって鐵道自体専門外だし仕方ないね。

 それでは次回予告。
  ロデニウス大陸で鐵道が開業してから一月が過ぎた。鐵道開通により横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の資源状況は更に好転し、ロデニウス大陸の経済が活性化していた。小規模ながらクワ・トイネ資本の民営発電所*1が開設され、彼等はますます自信を深めていく。そんな中、ロウリア王国との国境から異変を知らせる報告がクワ・トイネ政府に届く。
  次回、「対ロウリア王国防衛会議」。

 という訳で次回はいよいよ外道鎮守府が外道に片鱗を見せ始めます。

*1
横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)が余り関与していない発電所。一応技術的助言をしたりタービン及び発電機を輸出したりしたが殆どクワ・トイネ人の手で作り出された。

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