外道鎮守府召喚   作:G-20

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 前回のアンケートですが、最多得票がまさかの「遊びに来た。」(2票)なのは笑えました。

 今回はRed October氏のキャラが一人出演しています。また、Red October氏には彼の登場シーンの監修をして頂きました。
 この場を借りて感謝致します。

 さて、前回では伏せていましたが、いよいよ開戦です。

 やっぱりかと思われるかもしれませんが、そもそも戦争を回避する理由が何処にもありませんからね。そして前回会議で松永先任参謀が発言した大量の武器の正体が、今回明かされます。まあ如何に外道鎮守府と云えど供与武器はマスケットなんてケチくさいことはしませんけどね。まして隣国が物凄い精度のライフルドマスケット作ってましたからますますマスケットにする意味など無い訳で。

 という訳で原作片手に読むことが推奨の『日本国召喚』二次創作作品である『外道鎮守府召喚』。クワ・トイネ=ロウリア戦争の緒戦をお楽しみください。因みにギム攻防戦が原作から結構変わっていますが、戦力差が戦力差なので・・・。*1おまけに外道鎮守府から独ソ戦の教訓に基づく戦術を仕込まれていますから色々悲惨さも原作より増えている訳で。

 それでは対ロウリア戦争、いよいよ開戦でございます(二回目)。





 あと予定していた海上戦闘ですが、字数が字数なので次回となります。申し訳ありませんでした。
 それでは引き続き『外道鎮守府召喚』をよろしくお願いします。

*1
というのもクワ・トイネ側は原作より一個飛龍隊減少しているのにロウリア側は兵力が倍なので、ねえ。




第六話 開戦

 中央歴1639年3月22日、ロウリア王国はジン・ハークのハーク城にて御前会議が開かれる。

 「それでは王陛下、これより御前会議を始めます。よろしいでしょうか?」マオス宰相が御前会議を始めるかロウリア王*1に尋ねた。

 「うむ、始めよ。」ロウリア王は御前会議を始めることを承認した。

 「それでは各部より王陛下に御報告がございます。」そう言ってマオス宰相はロウリア王国政府の各部門からの報告を促す。

 そして各部門から前回の御前会議で決定されたことの実施状況が報告される。ロウリア王国民部尚書*2はパーパルディア皇国への負債の大きさに眉を顰めるものの、ロデニウス大陸統一の悲願成就が優先されたことや怪しい黒フードの人物の存在からそれ以上のことを為し得ずにいる。

 そんななか御前会議は夜まで及び、いよいよパタジン将軍が報告する番となる。

 「ロウリア王国大将軍たる臣パタジンが報告致します。王陛下、ようやくロデニウス大陸統一の準備が整いましてございます。」パタジン将軍が報告を始める。

 「そうか。だがパタジンよ、未だかつて我が国は2カ国を相手に回して戦をしたことが無い。にも関わらず此度はクワ・トイネクイラ両国を纏めて相手取ることになる。それで勝てるのであろうな。」ロウリア王はパタジン将軍に尋ねると、「王陛下、此度の二カ国は一方が農民ばかりの国であり、もう一方も不毛の地に住まう者の国にございます。加えて両国とも亜人が多い国だとか。これで負ける謂れがどこにありましょうや。」などと()()()()()()()()()()()()()農民や不毛の地に住む者をバカにして「慢心せずして何が王か」(英雄王)とばかりに答える。

 

 残念ながらパタジン将軍は農民の恐ろしさや不毛の地に住まう者の凶悪さなどを御存知無いようである。

 というのも或る3代に渡る開拓農民出身の某親父殿は信じ難きほどの頑強さを誇り、その娘(漫画家)は夜の牛舎にて牛の息を熊の息と勘違いして鎌で刺し違えようと試み、フィクションでは何代も続く農家に産まれた農民の娘(ライザ)は僅か三ヶ月で一廉の“錬金術士”となって凶悪なる魔物(フィルフサ)を統べる女王を倒したのを皮切りに、その僅か3年後には伝説に残る魔物を統べる王をフルボッコ、その翌年にはある一派が築いた一大城塞都市(万象の大典)を、ある理由で無人と化していたとはいえ、一軍どころか精々下士官が率いる程度の人数で完全に消滅せしめるし、史実中世日本では旧国一つ支配下に置き、有力諸侯を含む周辺諸勢力を追放してその首都(当時)周辺を支配下に収め、日本統一を成した天下人が封じた諸侯に反抗して日本統一を成した天下人が封じた諸侯を処刑せしめ、ある時などは当時の政府軍の総大将を討ち取るなどしているし、藤吉郎という名の農民(豊臣秀吉)に至っては最終的にEmperor(天皇陛下)の代理人*3となって日本全国を支配下に置くとその軍事力で海外侵略を行い(その成否は諸説あり)、その実績を以って当時世界最強国家(スペイン)が置いた総督を脅迫することで、ある新興国家(イングランド王国)*4との交戦で海軍戦力が大打撃を被ったり破産したりしたという背景はあれど、その当時世界最強国家(スペイン)をして日本への侵略や日本の植民地化を断念させるという世界史レベルの暴れっぷりを見せたりしている。

 不毛の地に住まう者たちは、その日本における代表例が薩摩人であるという時点で読者の皆様はその凶悪さをお察し頂けることだろう。*5

 

 ロウリア王はマオス宰相に「ところで一ヶ月前、我が国に接触して来おった者共が居たが、アレは何者か調べはついたか?」と尋ねる。するとマオス宰相は「はい、王陛下。彼等はロデニウス大陸の北東辺りの距離1,000km程に拠点を構える、ヨコスカチンジュフなる水上傭兵集団兼船乗り集団にございます。その距離故に此度の戦には殆ど干渉出来ぬかと思われますが・・・」と語尾を濁らせながら答えると、ロウリア王は不審に思い、「何か気になることでもあるのか?」と尋ねた。マオス宰相は「はい、なんでもそのヨコスカチンジュフですが、どうもロデニウス大陸と第三文明圏との間で直接交易を行なっているそうです。それ故に海上では少々厄介なことになるやもしれません。しかしながら我が国にも勇名を轟かせた商船乗りも居ります故警戒を促すだけで十分にございましょう。」とマオス宰相は答える。実際横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の本領は海上戦闘であり、その点においてマオス宰相の考察はかなり正確な方ではあった。だが、一つ読み違えたことがあるとすれば、彼等の任務が深海棲艦との戦争激化に伴い「海軍」の枠を超えて拡大したために能力的には(やろうと思えば)独力で戦争することも不可能ではない存在と化していたこと*6。そしてその司令部に謀略やえげつない手が大好きな人間が司令長官や参謀、時に連絡武官という名目で集まっていたことだろう。*7ロウリア王は、頼みとするマオス宰相が行った考察の大穴*8に気付かないまま頷くと、マオス宰相は続けて「また、彼等は我が軍のワイバーンを見て初めて見たと驚いておりました。恐らくワイバーンを知らぬもの*9と思われます。」と報告した。そしてパタジン将軍が引き継いで、「ワイバーンのおらぬ軍は一方的にワイバーンの火炎弾に晒され続けます。そうなれば如何に精強な将兵といえど心を折られることでしょう。それ故に大したこともございますまい。」と解説した。尤も西暦世界ではワイバーンの火炎弾どころではない航空攻撃に晒されながら頑強に戦い続けたばかりか反攻に出てみたり逆襲かましたりさえした陸戦部隊が幾つも実在したのだが、それをロウリア人が知る由も無い。

 それらを聞いたロウリア王は「ようやくか。ようやく・・・ようやく!このロデニウス大陸が統一されて、忌々しき亜人どもが根絶やしにされる日が来るのか!」と歓喜した。だが、怪しい黒フードの人物はその歓喜に無礼にも、「大王様、統一の暁には、あの約束も、お忘れ無く、 クックック」などと無礼にも*10水を差した。当然ロウリア王はブチギレて*11「解っておるわ!」と怒りを露わにしながら返す。(ロデニウス大陸を統一した暁にはフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ。幸い奴等の水上戦力の矛先を向けさせる水上部隊の当てもある。一度門前払いした傭兵の力を借りるのは業腹ではあるが、それであの無礼者どもに鉄鎚を下せるなら安いものよ。) ロウリア王は思った。

 

 そんな中、パタジン将軍は「王陛下、此度の作戦を説明致しますがよろしいでしょうか?」とロウリア王に伺いを立てた。ロウリア王はパタジン将軍の伺いに一先ず機嫌を直して「よかろう。パタジン、説明せよ。」と改めて命じた。「はい、王陛下。此度は90万人を動員し、内80万を東方討伐軍として編成してクワ・トイネに雪崩れ込ませます。この軍の将はパンドール将軍が指揮致します。」パタジン将軍は作戦の説明を始めた。まずは投入する陸戦兵力を説明する。「うむ、このロウリアでも一二を争う智将の“忠実なる“パンドールであれば間違いはあるまい。」ロウリア王は指揮官に関してコメントを挟んだ。

「一方クワ・トイネ公國の兵力ですが、彼等は7万しか兵力がございませぬ。すぐに動かせる兵力は1万数千程度にございましょう。此度我等が用意した兵力の前には如何に小賢しき策を弄しようともまずまともな戦にはなりますまい。」パタジン将軍はロウリア王はクワ・トイネ公國の戦力を説明した。「6年もかけた戦支度がようやく実を結ぶな。」ロウリア王はパタジン将軍の説明を受けて笑みを浮かべる。

「クワ・トイネでの作戦ですが、まず国境に近いところにございます人口10万の都市であるギムを占領致します。その後は城塞都市エジェイ前面に展開し、後続の攻城兵器が到着するのを待ちましてこれを攻略致します。エジェイを抜きましたればそのままの勢いに任せて首都クワ・トイネを一気に物量をもって制圧致します。彼等は城塞都市エジェイを除き我が国のような、町ごと壁で覆うといった城壁を持ちません。せいぜいが町の中に建てられた城程度にございます。籠城されたとしても、包囲するだけで干上がるかと。なお、その間の補給に関しまして、あの国はどこもかしこも畑であり、家畜でさえ旨い飯を食べております故心配御無用でしょう。寧ろ干上がった時に奴等がどのような醜態を晒すかが気になりますな。」パタジン将軍はクワ・トイネ侵攻の陸上作戦を述べた。「どうにもエジェイが厄介そうだ。」ロウリア王はクワ・トイネ公國が建設した城塞都市に忌々しげに言及すると、「確かに飢えを知らぬ奴等故、飢えを知った時どうなるか、見ものではあるな。」ロウリア王はクワ・トイネの城を兵糧攻めにする時のことを想像して笑う。

「続いて彼等の有する航空戦力ですが、我が方と同じワイバーンである上に120〜140騎前後しかおりませぬ。一方我が方にはワイバーンが1,000騎程ございます故で十分対応出来ましょう。」パタジン将軍は彼我の航空戦力を批評して問題無しと太鼓判を捺した。「そこまで差があるのであれば対応出来る程度では済むまい。」ロウリア王は慢心した様子を見せた。「王陛下、敵は数に劣る故卑怯な手も用いましょう。ゆめゆめ油断召されるな。」パタジン将軍はロウリア王に忠告した。

「また、それと時を同じくして我が国の誇るシャークン海将率いる総勢5,800隻の大艦隊を用いて北より迂回を行い、うち4,400隻にて首都クワ・トイネを、残りの1,400隻にて経済都市マイハークをそれぞれ制圧致します。」パタジン将軍はクワ・トイネ公國に対する作戦を説明した。「なるほど。“冷静なるシャークン”がそれだけの船を率いれば勝ちは揺るがぬであろう。」ロウリア王は自信を深めた。

「クイラは食料を完全に輸入に頼っております故、クワ・トイネからの輸出を止めるだけで、干上がりましょう。」パタジン将軍はクイラとの戦争計画を説明する。ロウリア王は静かに、しかし何度も頷いた。

 少しの間議場は沈黙した。そうして、「よかろう、クワ・トイネクイラ両国との戦を承認する。者共!クワ・トイネクイラ両国、見事陥して参れ!」ロウリア王は開戦を宣言した。ハーク城に鬨の声が満ちた。

 

 

 「そもそもロウリア王国首脳部は、農民や不毛の地に住まう者の本質的な強さを理解していなかったのではないでしょうか」

 

 後にクワ・トイネ大学の歴史学者サカイ教授は、残された史料を基にこう語った。

 

 「クワ・トイネ公国は農業立国です。作物というものは実るまでに時間を要しますし、実ったとしても予想通りに豊作になるとは限らない。加えて疫病や天候不順などの不確定要素によって、収穫量が左右されることもあります。そういう艱難辛苦を知っていたクワ・トイネの民は、当時のロウリア側の表現でいう『雑草魂が強い』…言い換えれば打たれ強かったのです。

また、砂漠という不毛の地に暮らしていたクイラの人々は、非常に我慢強く、その強靭な精神力でもって容易ならぬ戦局を乗り切る根性と、器用な手先を活かしてあり合わせの物から有用な道具を生み出す知恵がありました。

こうした土台の上に、横須賀鎮守府によるインフラや軍事技術の支援が加わった結果、クワ・トイネ人やクイラ人は恐るべき戦闘集団へと変貌を遂げたのです。当時のロウリア王国軍では、とても対抗できるものではなかったと言えるでしょう。いえ、当時の第三文明圏に存在していた文明国の軍隊ですら、一方的に叩き潰されていた可能性が高いと考えられます。」

 

 

 

 中央歴1639年4月初頭、パンドール将軍率いるロウリア王国軍80万はロウリア=クワ・トイネ国境付近に展開する。これを確認したクワ・トイネ公國は対ロウリア王国防衛会議が開かれる。そして中央歴1639年4月8日、モイジ団長とその決議及びそれに伴いロウリア王国に派遣される使者が横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)で早期に「開発」されてその基地航空隊に配備されたキ76(三式指揮連絡機)により空輸されてきた。

 キ76(三式指揮連絡機)は駐屯地の僅かな平地に着陸すると、彼等を降ろしてまた僅かな平地から飛び立った。彼等は決議の内容を伝えると、使者は直ちにギムを発ってロウリア王国との国境に向かい、翌日ロウリア兵に伴われてロウリア王国軍の本陣に向かった。

 

 「さて御使者殿、此度の用向きは何ですかな?些細な件であれば魔信で済みましょう。にも関わらずわざわざ貴殿が参ったということはかなり重大な要件かと存じますが。」そうパンドール将軍はクワ・トイネ公國から派遣された使者に要件を問うた。

 「はい閣下、此度は貴軍の行動に関してその御真意をお伺いしたく存じます。」使者は将軍の問いに答える体で要件を切り出した。

 使者の要件を聞いたパンドール将軍は心中で(これは面倒なことになりおった。これはクワ・トイネに余程の知恵者が居るものと見える。下手を打てばクワ・トイネを奇襲出来ぬ。そうなればエジェイを勢いで抜くこと叶わぬやも知れぬ。さりとて、ここで虚言を弄しようともそれを利用されれば思いもよらぬ一手を打たれよう。そうなればクワ・トイネを攻めるどころか本国が危うくなりかねぬ。はてさてここはどうしたものか。しかもこのような用向きでは部下に相談すること能わぬ。)と思考を巡らせた。しかし答えが出てこない。しかも長考すれば暗に侵略意思を教えることになろう。そんな中、(そうだ、簡単なことでは無いか。そもそも私がここまで軍を率いて来たのは王陛下の命に拠るものではないか。)彼は一つの答えを閃いた。

 パンドール将軍は使者にこう答えた。「此度我等が兵を率いてここまで来るはロウリア王陛下の命である。それ故、貴殿をジン・ハークのハーク城に居る王陛下の元まで送ろうではないか。」そう、パンドール将軍は敢えて使者をジン・ハークまで送ることで侵攻開始までに生かしたまま帰さねば良いのだと考えた。

 だが、パンドール将軍がクワ・トイネに居ると考えた「知恵者」はパンドール将軍よりも一枚上手であった。つまり使者はパンドール将軍の申し出に対してこう返答したのである。「御心遣いは誠に有難いのですが、結構にございます。その答えで十分分かり申した。それではこれにて失礼致す。御免!」そして使者は本陣を退出し、ロウリア兵に伴われてクワ・トイネ公國に向けて帰途に就いた。パンドール将軍は思わず「これは不味いことになった。」と呟いて急ぎ麾下の将軍全員を本陣に召集した。

 

 アデム将軍はこのタイミングでの召集命令に違和感を覚えた。はて?開戦予定日はまだ先の筈だ。そう思って彼は国境付近からパンドール将軍の本陣に向かう。その最中、彼は帰途にあるクワ・トイネ公國からの使者を認めた。(なるほど、魔信を無視されたものだから焦れて使者を送って撤兵させようとしたのだな。つまりクワ・トイネが早速仕掛けてきたに違いない。奴はその斥候だ。)そう考えたアデム将軍は使者を呼び止めると随伴のロウリア兵に命じて使者を捕縛させた。そしてアデム将軍は付近のロウリア兵を何人か呼び使者を国境付近まで引き摺らせるとそこでクワ・トイネの行いを詰って惨殺するように命じると何食わぬ顔で本陣に出頭した。

 

 「君、遅かったぢゃないか。お陰で我が方の作戦に差し支えを来たしかねん。」パンドール将軍はアデム将軍を非難する。

 「クックックックック。何が起きたかは存じませんが、今しがた敵の間者を処しました。全く亜人共、碌でもない手で我等を攻めようなどとは。」などと韜晦した。

 パンドール将軍は完全に頭を抱えた。クワ・トイネ奇襲が不可能となった今、使者が死者となっては困るのは我が軍なのにコイツは一体何やってるんだ。

 そう考えていると、「パンドール閣下、一体何用で我等を呼び集めたのかお教え頂きたい。」ジューンフィリア将軍がパンドール将軍に問うた。そこで已む無く最初の要件を話すことにした。

 「実は、だ。我等の意図がクワ・トイネにバレた。」否、爆弾を投げつけることにした。諸将はどよめく。そして「閣下、我等に一言御相談なされれば良いのにどうして・・・」と一人の将軍がパンドール将軍に問うた。「致し方無かろう。彼等は我等がここまで行軍してきた意図を尋ねて来たのだ!」パンドール将軍は正直に答えた。「なん・・・だと・・・」諸将は完全に頭を抱えてしまった。そんな状況で麾下の将軍に相談などしようものなら総大将が軍を掌握出来ていないなどというバカらしいことにされてしまう。それにロウリア単独での行動ならば多少の悪評を覚悟で韜晦することも出来るだろうが、今回はパーパルディア皇国による支援の下で準備をしてきたのだ。そうなれば下手な韜晦は国を崩壊の危機に晒しかねない。そうなるともはやバレることを前提に動くしかない。

 「閣下、愚図愚図するのは悪手にございます。今すぐ動かせる兵のみで攻撃を開始しましょう。エジェイを抜くのは難しいでしょうが、少なくとも焦土作戦だけは避けられましょう。」そうジューンフィリア将軍は善後策を提案した。そしてパンドール将軍は決断する。「すぐ動かせる兵のみでクワ・トイネを攻める!皆、エジェイ前面にてまた会おうぞ!」

 かくして中央歴1639年4月10日(軍隊は急には動けません。)、ジューンフィリア将軍率いるロウリア王国東方討伐軍の先軍10万はクワ・トイネ公國への侵攻を開始した。西部方面騎士団戦闘団*12は住民を急ぎ避難させつつ麾下の第一飛龍隊を出撃させ、残余は対ロウリア王国防衛会議の決議通りにギムの頑丈そうな建物に十数人単位でバラバラに布陣しそれぞれで籠城する。

 

 第一飛龍隊はエジェイより西に展開した中では唯一横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)から直接訓練を受けた戦闘集団である。そんな彼等はギム近郊の基地を離陸してから地を這うかのような低空飛行を続けている。彼等は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)から受けた訓練指導を回想していた。

 

 

 彼等に訓練を施した教官はまず高度33フィート未満で飛べなどととんでも無いことを言ってのけた。曰く「敵機は高度が低すぎるとまともに狙えないんだ。何故なら悠長に狙いを定めていたら海面なり地面なりにキスすることになるからな。」そして彼等に最終的に高度10フィート以内を150ノット以上で飛ぶというとてつもない低空飛行訓練を施した。エジェイの城壁の見張りを見上げながらワイバーンを飛ばすなど今までの経験に無かったが、彼等はどうにかついていった。

 

 

 「教官が言った通りでしたね。奴等どうも尻込みしているようです。」部下から報告を受けた第一飛龍隊隊長は部隊を高度10フィートを120ノットで飛行させたまま次の()()()()を待っていた。

 実際のところワイバーン部隊第一次攻撃隊を率いるアルデバランは自身より遥かに低い高度で飛ぶクワ・トイネ公國軍第一飛龍隊のワイバーンを攻めあぐねていた。何しろ目標の高度は僅か10フィートなのだ。変に突っ込もうものならワイバーンが()()()()()()()()()()()()()()()()()()という醜態を晒しかねない。一応空間制圧射撃という手も無いではないが、それも目標の高度が僅か10フィートしか無いという事実がそれを躊躇させる。というのも空間制圧射撃だとワイバーンを面に並べる都合上自由な運動が出来なくなる。そんな状態で引き起こすのは案外難しい。そうなるとそれなりの数のワイバーンは地面に降り立ってしまうだろう。そしてそれは、例え一時的であったにせよ、それなりの数のワイバーンが戦線から離脱することを意味する。そんなに相手の高度が低いなら地上襲撃と同じようにやれば良いだろうと思われるかも知れないが、よく考えて欲しい。この世界でワイバーンが襲撃するであろう目標は、

 1、重装歩兵

  彼等は兵科の性質上密集隊形を組むから兎に角遅く、ほぼ固定目標と言って差し支えない。

 2、軽装歩兵

  彼等は俊敏な方かも知れないがあくまでも人の足で走れる速度でしか動けない。

 3、騎兵

  彼等は確かに機動戦力ではあるが、地上部隊の常として航空戦力より遅い。

なのである。つまり、高度僅か10フィートを120ノットで飛行するワイバーンという割と高度な偏差射撃技術が必要な目標に地上襲撃など出来ないのだ。もしこれが空中戦なら割と簡単にやってのけるだろうが、高度10フィートではそもそも敵を捉えるより先に地面にぶつからないかが先になってしまう。*13かくしてロウリア王国の75騎ものワイバーンを率いるアルデバランは12騎のクワ・トイネのワイバーンに対して完全に攻めあぐねてしまっていた。だが、一部の龍騎士は上空に別の敵機を認めると、「隊長、眼下の敵ワイバーンは恐らくあれに誘導されているものと思われます。撃墜すれば何騎か上がってくるかと。」とアルデバランに提案する。その提案を聞いたアルデバランは何騎かを派遣して撃墜に向かわせた・・・のだが、「クソ!なんて高さだ!」という悪態が間も無く聞こえてきた。加えて「おいおい嘘だろ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ!」という悲鳴まで聞こえる。アルデバランは直ちに合流を命じると、(俺たちは一体何を相手にしているのだ?)という疑問を抱いた。

 

 その上空の敵機はというと、「現在高度20,000フィート。奴等、この高さまで届かないんで諦めていきました。」そう副操縦士が報告する。「ああ、どうやらそのようだ。しかしまさかクワ・トイネ公國とロウリア王国とで高高度性能が同じ13,100フィートちょいとはな。」機長が答えると、「機関士!エンジンの調子は?」と航空機関士に尋ねた。「現在第一から第四まで油温回転数共に異常なし。燃料残量も問題無し。まだまだ飛べます。」そう航空機関士は答えた。「それは良かった。まだ第四エンジンに愛着があるからな。」そう機長は答えて冗談を言うと機内は笑いに包まれる。そうして「まさかこんなバカ烏が安全に前線で活動できようとは。」などと呟いた。そう、ロウリアのワイバーンが攻撃を仕掛けたのはG5N(深山)である。この機体の大きさであれば距離の目測を誤るのも無理は無い。そしてワイバーンの限界到達高度よりも7,000フィート上空を飛行しているG5N(深山)には手も足も出ないことになる。そんな彼等の元に周辺を飛行するキ46(一〇〇式司令部偵察機)からロウリア軍地上部隊や第一飛龍隊の位置や速度が入ってくる。そしてそれを元に第一飛龍隊に通信を入れて誘導しその横腹を突かせて即離脱させるのである。彼等はこれならかなりの時間足止めできるだろうと見込んでいた。そして出来れば西部方面騎士団戦闘団を生還させたいとも思っていたのである。

 

 

 アルデバランは眼下の敵ワイバーンが向きを変えたことを認めた。彼は森に向かった敵ワイバーンの後を追わせると、念の為本隊に魔信で警報を送る。とはいえこれでは木に激突するか上昇したところを火炎弾で絡め取られるかの二択になる、そう思っていた。だが、アルデバランは敵ワイバーンの行き先に割と広めの道を見つけると「いかん!これ以上敵ワイバーンを行かせるな!」そう命じて強引に空間制圧射撃を行うことに決めた。これで恐らく半数は地面に降り立ち何騎かは木に激突してしまうだろうが、敵ワイバーンによる襲撃を止めるには他に方法が無い。そうして空間制圧射撃を強引に行い敵ワイバーンを撃滅せんとしたが、クワ・トイネ公國軍第一飛龍隊は、信じられないことに、更に加速して火炎弾を全て躱して森の割と広い道に突っ込んでいった。アルデバランは隊の下半分にすぐ不時着するように命じると上半分を率いて追撃する。

 

 

 第一飛龍隊隊長は「地上襲撃でそんな低空をとんだら矢弾で射抜かれてしまいかねないのでは。」と質問していた。だが教官曰く「地の利を活かし切ればそもそも撃たれん。というより撃てねえのさ。見えた時にはもう目の前で火炎弾を撃とうとしているんだ。そんな状況で撃ってくるのは余程狂ってるか全身が肝っ玉で出来ているか、とってもよく訓練されているか、さもなくば火炎弾を撃たれる前に落とせる確信があるかだ。そしてロウリアに居るとしたら前者2種だけだ。おまけに狙いをつける時間も無え。つまり余程の天才でも無い限り当たらねえ。だから高度を下げる方が被害が少ねえのさ。そして、位置が分かれば予め準備してすぐ撃てるから大抵撃たれる前に仕留められる。但し余り欲はかくなよ。撃ったらすぐ飛び去るんだ。」

 

 

 「間も無くだ。次のカーブを30度左に曲がった先に重騎兵大隊。」()()()()が入る。「火炎弾用意!」第一飛龍隊隊長は号令した。そして「見えたらすぐ各個撃ちかかれ。撃ったらそのまま離脱する。鑓に引っ掛かるなよ。」と追加で指示を出す。

 

 「何だと?敵のワイバーンがこっちに来るのか?たかが12騎相手に何をやっている。それにワイバーンは空を飛ぶ生き物だぞ。道を走ってなんて来るものか。」重騎兵の隊長は魔信でアルデバランと交信すると、「全隊!左へ!恐らく有翼騎兵だ。備えろ!」と号令して隊列を左に向けて鑓を構えた。

 そしてロウリア王国軍重騎兵隊の前に、正真正銘のワイバーンが現れた。

 

 「撃ち方始め!」第一飛龍隊は射撃を命じた。火炎弾が次々とワイバーンの口から放たれロウリアの重騎兵に着弾する。ロウリアの重騎兵は忽ち混乱し、火炎弾に呑み込まれて壊滅した。ワイバーンはその低い高度を保ったまま飛び去っていく。「クソ!なんてこった。このままでは我等を残して我が軍は壊滅するぞ!」アルデバランは自軍の重騎兵隊が壊滅したのを見て悪態をついた。そして「奴等を追い続けろ!なんとしてもここで奴等を潰すのだ!」アルデバランは自隊に命令を下す。そして悪態をつきながら出したその命令は第一飛龍隊を追い詰めることになる。

 

 第一飛龍隊はその後何度か襲撃を繰り返してロウリア王国軍先軍に出血を強い続けた。しかしながらアルデバラン麾下のロウリア王国軍ワイバーン部隊による追跡を受け続けた結果第一飛龍隊のワイバーンは飛び続けることを強いられた。そして、遂に彼等は限界を迎える。

 「いかん。速力が落ちてる。」第一飛龍隊隊長は異変に気付いた。本来120ノットで飛ぶつもりであるところ、どうも100ノットも出ていない。「隊長、もうそろそろ限界かと。」隊員は第一飛龍隊隊長にこれ以上の戦闘が困難であることを報告する。しかし、「上空にロウリアのワイバーンがいる。これでは休んだところを襲われることになる。どうにか振り切るまで飛び続けるしか無い。」第一飛龍隊は交代しながら上空に展開し続けるロウリア王国軍のワイバーンにより彼等は補給も休息も出来ないでいたのである。第一飛龍隊隊長がどうするか迷っていると、一人の隊員がヨタヨタと高度を上げ始める。「何やってる!高度を下げろ!」「隊長!奴等は私が引きつけます!今のうちに補給へ!早く!」第一飛龍隊隊長は部下に促される形で分散しての帰投を命じる。そして、ロウリア王国軍のワイバーン部隊は囮となるべく高度を上げたクワ・トイネ公國軍のワイバーンは瞬く間に撃墜すると「隊長、奴等バラバラになって逃げていきます。」アルデバランに報告した。

 

 報告を受けたアルデバランは「分かった、直ぐに向かう。何があろうと、森を焼き払ってでも1騎たりとも見失ってはならん!但し地上に降りた奴は単騎で攻撃しても構わんが、一対一での空戦だけはなんとしても避けろよ。」そうワイバーン部隊に命じた。そうしてクワ・トイネ公國軍の第一飛龍隊は一騎、また一騎と地上に降り立つことを余儀なくされたところで地上撃破されていき、間も無く全滅した。

 

 

 ようやく敵ワイバーンを撃滅したという報告を受けたジューンフィリア将軍はやっとかと思いながら緊張を解いてふうと溜息を吐いた。これまでいつ司令部が襲撃されるか分からなかったが、ようやくその危険も無くなった。ワイバーンの上昇限度より上に何機か敵機が居るが、今まで何か仕掛けるでも無くただただ飛んでいるだけであるようであるから余り危険は無さそうだ。尤もあれらが敵騎兵を誘導して奇襲を仕掛けてくる可能性は無い訳では無いが、少なくともその危険はワイバーンの奇襲より遥かに少ないだろう。

 そうしてロウリア王国軍の先軍は敵を警戒しながら前進していたのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

何事も無くギム外縁部に到達した。それこそ伏兵も無ければ防衛線も無く、それどころか斥候にすら出会わなかった。

 余りにも何事も無さすぎて拍子抜けだったが、敵ワイバーン部隊の品性のカケラも無い低空飛行からの奇襲に何度も晒されたジューンフィリア将軍は警戒を命じながら交代で休憩をとらせた。

 そして、「恐らく敵はギムの街中で我等を待ち伏せしているに違いない。ここで下手にギムに立ち入れば敵の術中に嵌ること相違無し。故にギムは後続に任せて我等は前進する。」と麾下の将兵に告げると魔信でギムに少数の監視を残して先行する旨を告げて出立した。

 

 数時間後、ジューンフィリア将軍率いる10万が越境してから半日後に出発したアデム将軍率いる第二陣10万がギムに到達、そのまま攻撃を開始した。彼等はクワ・トイネ公國軍の狙撃兵や頑強に拠点を死守するクワ・トイネ公國軍西部方面騎士団戦闘団の将兵及び市内各所に設置されたバリケードに悩まされ攻勢が停滞するや直ちに包囲に移行し、ワイバーン部隊による航空攻撃でギムを取り残された住民諸共全て焼き払った。かくしてギムはロウリア王国軍が越境したその日のうちに陥落し、西部方面騎士団戦闘団は玉砕した。また、ギム住民もその人口12万のうちロウリア王国軍のギム到達までに避難出来た2万を除く10万のうち5万が無差別攻撃により犠牲となり、残る5万もアデム将軍が命じた暴虐の犠牲となったのである。だが、ロウリア王国軍は知る由も無かった。彼等の上空を飛行していた航空機の所属やその()()()()()を、そしてそれがもたらす事態の深刻さをも。

 

 

 

 「中央歴1639年4月10日午後7時発表。本日未明ロウリア王国軍はその意図を確認する使者を惨殺して越境せり。我が西部方面騎士団戦闘団は敵軍に対して奮闘し敢闘せるも、本日夕刻ごろ敵の卑劣非道なる攻撃を前に遂に玉砕せり。然るに敵軍は我が無辜を残虐無比に暴虐し予め避難せるを除きその悉くを虐殺せり。その後敵軍は更なる暴虐の標的たる無辜を探索して更に前進せるものなり。」クワ・トイネ公國政府は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)所属の航空機により撮影された映像と共にその夜発生した事態を公表する。そして「クワ・トイネ公國政府発表。クワ・トイネ公國政府は先に発表せる敵軍の残虐無比なる暴虐より無辜を守るべく中央歴1639年4月10日午後8時、公國全土に対し総動員令を布告せり。」カナタ首相は総動員令を発令した。その翌朝、総動員令の発令に伴いクワ・トイネ公國の若者が次々とその兵営に向かい、そしてクワ・トイネ公國政府はその大半に「残念ながら武器が足りないので工場での作業に割り当てる」旨を言い渡さざるをえなかった。そうして幸運にも兵となることを認められた者は横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の手による訓練を受けることになる。

 

 その後彼等は二週間程度の基礎訓練が修了すると、大半が支給される武器の説明を受けた。その武器は先端がなんか丸っこく、そこから細い柄が伸びたような形をしている。とても殴るのに良さそうな見た目だ。恐らく棍棒なのだろう。だが、教官によれば暴発するといけないからこれで殴ってはいけないらしい。そして動員兵たちは渡された武器の説明を聞いて皆一様に思った、(()()()()()()()()()()()()()()()()とはこれ如何に・・・)と。

 その武器は、名前を「パンツァーファウスト」と云い、本来であれば対戦車戦闘に用いるのが定法であるのだが、その生産性の良さから史実では銃が行き渡らなかった国民突撃隊においても一人一本支給されて多用された携行型対戦車兵器である。*14

 そうして彼等は更に二週間の訓練を受ける。また、動員兵のうち一部は九九式短小銃を支給される。彼等もまたパンツァーファウストのみを支給された動員兵と同じく二週間の訓練を受ける。

 

 かくして訓練期間僅か一ヶ月という即席訓練を受けた即席戦列歩兵たち60万はクワ・トイネ公國各地から徒歩或いは列車でクワ・トイネ市へと向かい、そこから軍用列車に乗ってエジェイ方面に向かい、出来上がった線路の端で降りてそこから徒歩でエジェイに入城する。だが、彼等がエジェイに全員到着するまでに訓練完了から更に二ヶ月を必要とし、先に到着した即席戦列歩兵はダイタル*15平原に構築された基地で再び扱かれて練度を上げていく。そうして小銃を支給された兵のそのまた一握りはエジェイ攻防戦までに即席狙撃兵*16となって、クイラ傭兵程ではないにせよ、戦場で猛威を振るうのである。

 

 だが、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)がクワ・トイネ公國に供与した武器は九九式短小銃とパンツァーファウストだけにとどまらなかった。何故なら、対ロウリア王国防衛会議前にクワ・トイネ公國政府から「ロウリア王国軍はその物量が強みである」旨を伝えられていたからである。この情報を得た横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)がどのような作戦を立案して却下されたかはロウリア王国軍がエジェイ前面に展開する時までとっておく。

 

 西部方面師団に配属された銃兵は、横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)から供与された形がマスケットに似ている武器の説明を聞いてドン引きしていた。何しろ説明では毎分1,200発であり、一度に撃つのは1秒程度に留めるのが望ましいとされていたが、どう考えてもその間に20発発射されるのは異常としか言いようが無い。思わず「弾で敵を斬殺するのか?」などと聞いてしまったが、「まあ、ヒットラーの電動(のこぎり)と呼ばれる位だからなぁ。」と教官は流してくれた。そう、この武器は7.7mm軽機関銃42型(MG42改)といい、かのMG42を九九式実包に適合するように改修した軽機関銃なのである。*17その銃兵は思った。(上手い方というだけの俺でさえこんなに恐ろしい銃が支給されるのだ。俺よりも上手いあいつはもっと恐ろしい銃を支給されているに違いない)

 その銃兵の思いはある意味当たっていた。西部方面師団で最も上手い集団に分類される銃兵に支給されたのはM2という重機関銃であり、その重機関銃はノウ将軍が着ているよりも分厚くて重い、運ぶのに3人がかりとかいう着れる人が思い浮かばない代物を蜂の巣にしてみせた。その上その重機関銃には何故か照準眼鏡が付けられており、なんでもそれを使って敵の指揮官を狙い撃ちに出来るのだという。その銃兵はこんなものの前では戦列歩兵など自殺以外の何物でも無いだろうなと思った。*18

 だが、そんな兵たちの感想をよそに横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)更に強力な武器(迫撃砲)やらえげつない罠(跳躍地雷)やらをクワ・トイネ公國に供与したのである。

 

 

 

 ところ変わってエストシラント港。中央歴1639年4月9日に入港した護国丸はクワ・トイネ公國各地から出荷された農業製品を艀の助力を得て陸揚げしながら税関手続きを行っていた。パーパルディア皇国の税関職員は彼女の態度に苛つきながらも、埠頭に横付け出来ない程の巨大な船舶を所有していることが効いているのか、或いはいつも真面目に関税を納めているからか、珍しく真面目に手続きを粛々と進めた。

 そして翌日までにはその農作物を売り捌くとクワ・トイネ公國に輸入する品の物色*19していた。だが、彼女がウィンドウショッピングをしていた時、通信兵妖精から知らせを受けた護国丸は直ちに旗旒信号の「P(パパ)」を掲揚するように命じるとすぐさま帰船する。そうして乗員が集まるとすぐさま準備を進めて出港した。

 

 エストシラント港を出港した護国丸は合戦準備を下令してメインマストにトーパ王國国旗を掲揚した。そうして翌日、パーパルディア皇国はエストシラント港に向かうロウリア船籍の航洋帆走商船を発見する。「さあて、通商破壊の時間だぁ。」護国丸は笑みを浮かべてそのロウリア商船を旗旒信号で呼び出した。

*1
ハーク・ロウリアXXXIV世。原作登場人物なので紹介は略。

*2
ロウリア王国で土地の管理やロウリア王国に住まう民の把握、ロウリア王国政府で働く“公務員”の給与査定及びロウリア王国の財政を所掌する役所のトップ。

*3
関白

*4
後の大英帝国である。

*5
そういえば最近|ハリポタ世界で薩摩人を暴れさせるというネットミーム《薩摩ホグワーツ》が流行っていたような?

*6
だからこそ深海棲艦との戦争が終結してすぐに解散することが決定されたのであるが。

*7
実際彼等は対ロウリア王国戦争で大規模焦土作戦を提案しており、もし実現していればロウリア王国軍の作戦はいきなり躓くことになったかもしれない。

*8
尤もこれに気付けというのは無茶振りにも限度があるというものだろう。何しろ彼等は現実で例えるならば満洲事変勃発時の関東軍に1940年代初頭に通用し得る可能性が極めて高い機甲戦力と1940年代頃の大海軍トップスリーのうち一海軍と互角にやり合える程度の海軍戦力及び第二次世界大戦後期でも通用し得る強力な航空戦力を加えたような代物、それも司令官が史実よりも積極的な、だからである。そら平時に戻ったら解体されるわ。

*9
原作では蛮族とか言っていましたが、本作では一部仮装巡洋艦娘の行っていた大陸間交易の結果航海技術の高さを知ったため言い方が少しマイルドになりました。

*10
大事なことなので2度繰り返しました。

*11
当たり前だよなあ。

*12
対ロウリア王国防衛会議の決議で結成された戦闘団で、西部方面騎士団に西部方面隊と第一飛龍隊を配属して編成された戦闘団。戦闘団長は西部方面騎士団団長モイジである。その任務は悲惨そのもので、国境周辺から住民が避難する時間を稼ぐためにギムに籠城して玉砕するのが任務と言っても過言では無いほど。但しギムに城壁は無い(原作準拠)

*13
なおロウリア本土に例外が1名(ムーラ)いる模様。まあ奴はV/STOL(垂直/短距離離着陸)だからね。

*14
但し識別訓練の不足から自軍のヤークトティーガーを誤って撃破するという誤射をやらかしたりもしている。

*15
た〜る♪

*16
運用を考慮すると選抜射手の方が適切だろう。

*17
7.7mm軽機関銃42型(MG42改)は架空武器である。なおMG42を7.62mmNATO弾に適合するように改修した軽機関銃は実在している上に、覚えが正しければ、今でも現役である模様。

*18
なお散兵による銃剣突撃すら自殺行為な模様。

*19
街をぶらぶらしながら良さそうな品を見つけてはクワ・トイネ公國に輸入するのがパーパルディア皇国に於ける彼女達の基本的なルーティンである。




 今回とうとう一話で15,768文字という長さとなりましたが、如何だったでしょうか?
 それにしてもロウリア王国って酷い国ですよね。何たって儀礼に則ってやってきた使者を惨殺するなんて基本的にほぼアウトの所業な訳ですし。当然クワ・トイネ公國の戦争協力度は爆上がりします。そして横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)()()()()()()()*1もあって原作通りにギムは虐殺されました。*2とはいえその様子を()()()動画で撮影出来たのでクワ・トイネ公國の戦争協力度はもはや天井知らずとなっております。とはいえこの様子だと兵員過多による充足割れが心配になってきます。尤も横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)司令部は「国家総力戦なら兵士以外にもやらせること多いしそちらに回って貰えば良いか」位にしか考えていなさそうですが。

 因みにワイバーンの高高度性能が13,100フィートちょいなのは、原作設定におけるワイバーンの最大飛行高度4,000mをフィートに直して100m単位になるように四捨五入した結果そうなっただけで他意はありません。そしてネタバレですがワイバーン類の高高度性能に変化はありません。なので例えオーバーロードであってもF1Mとかいう複葉で水上機な観測機とかでもやろうと思えば高度有利からの一撃離脱で一方的に嬲れます。多分某カタツムリ製惑星の住人なら息をするようにF1M観測機でワイバーンオーバーロードを蹂躙してくれることでしょう。

 そして今回は以下の他作品のネタが多数導入されておりますので是非探してみてください。
 因みに『日本国召喚』二次創作を書き始めるきっかけになった作品に登場するある提督も出演しています。

 追伸 本作品ではナントカN世という名前の場合のNは全て、一切例外無く、ローマ数字表記となります。

 とうとうロウリア王国がクワ・トイネ公國に侵攻する。しかしその際の行動によりクワ・トイネ公國の戦争協力度が極めて高い状態となったことで60万もの兵を動員して*3エジェイにてロウリア王国軍を待ち構える。一方ロデニウス大陸西方沖では開戦を受けて横須賀鎮守府(なお横須賀には無い模様)の特設巡洋艦娘達が跳梁を始めたことで(ロウリア王国船にとって)危険な海と化しつつあった。そんな中ロウリア王国は5,800隻にも及ぶ艦隊を出動させる。
 次回、「第七話 クワ・トイネ=ロウリア戦争 〜海上戦闘〜」

 それでは毎度恒例の紹介コーナーです。
  登場人物紹介
   クワ・トイネ大学の歴史学者サカイ教授
    オリジナルでは無いが原作にも登場しないキャラ。
    Red October氏により産み出されたキャラクターである。また、『日本国召喚』二次創作を書き始めるきっかけになった作品の主人公兼提督を務めている。
    その為その登場シーンにはRed October氏の監修が入る。
    Red Octoberさん、サカイ教授の登場シーン監修をして頂き、ありがとうございます。

  信号紹介
   「P(パパ)
    意訳:帰って来い。
    全ての乗員に帰船するように命じる一字信号。
    所属している船でこの一字信号が揚がっているのを見た場合は速やかに帰船しましょう。

  オリジナル艦娘紹介
   護国丸
    報國丸級貨客船の三番船。しかしながら建造中の情勢変化に伴い海軍艦艇として艤装されて就役した。それ故か性格がかなりサイコパス寄りであり、果たしてまともに民間船をやれるか不安視されていたが割と真っ当に商売出来ていたりする。なお道中遭遇した海賊は皆殺しにされた挙句その屍を13mm機銃でズタズタにされた模様。
    因みにクワ・トイネ=ロウリア戦争では開戦翌日に早くも初戦果を挙げていたりする。詳しくは次回をお楽しみに。

*1
彼我の速度を見誤ったため()()()()()()()上空に到達できなかった。

*2
それも原作通りだからという事由でナレ死という最期を遂げました。

*3
なおまだまだ志願者は居たが、武器が足りなかったので動員を断念した模様。

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