冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<今回話の切り方が中途半端ですがご了承ください。


【TIPS:再現系の冥刀】
(・▽・)<対象の能力や術技、チカラを学習し、再現するモノがチラホラあります。

(#ー#)<お前が解説すんの? まあいいけど。確か赤い糸(クリドゥノ・アイディン)とか二十の刃(チャンドラハース)がそうだろう?

(・▽・)<後者は厳密に言えば畢竟なので違いますけど、まあそうですね。

(・▽・)<前に解説した応報系と同じく、同じようでも違いがあります。

(㈩*㈩)<保持限界とか、学習方法とかが。でもとあるルールは共通している。

(#ー#)<何だ?

(㈩*㈩)<チカラが原典以上になる事はない。同等が限界。


CⅡ

「マリア!」

「何だ!」

「こっち来い!」

「?」

 

 疑問符を浮かべるマリアだったが……

 

「いいから!」

 

 強い口調だったので、とりあえず彼の傍に行く。

 

「どうした?」

 

 聞いて来た彼女にオウカは語り掛ける。

 

「借りていた物を返そうと思ってな」

「? 何を?」

「これさ」

 

 オウカは何の躊躇いもなく、左腕を斬り落とした。

 因みに、左腕の指輪と腕輪は右腕に移し、左腕の武器は地面に刺してある。

 

「「!?」」

 

 敵……ワクイは絶句。

 勿論マリアも……。

 

「お、お前何をしている!?」

 

 凄く驚いている。

 

 それにオウカは平然と言う。

 

「ディアンの処置が剥がれてて良かったよ。元はお前の腕だからな」

「何も今じゃなくても……」

「今だからだ。バランス悪いだろう?」

「そ、それは……」

 

 否定できないマリア。

 そこに更に畳みかける。

 

「今必要なのは逆転の一手だ」

「お前は大丈夫なのか?」

「隻腕には慣れてる」

「……」

 

 何とも言いづらい顔をするマリア。

 オウカは笑って左腕を差し出す。

 

「まあ大丈夫。いいから受け取れ。すぐ治るだろ?」

 

 そんなオウカにマリアは……

 

「わかった」

 

 左腕を受け取り、切断面にくっつけた。

 その瞬間だった。

 

「ぐ……」

 

 頭に激痛が走る。

 頭を押さえるマリア。

 

「おい、大丈夫k、ぐ!?」

 

 その様子に心配するオウカだったが、彼にも異変が発生する。

 左腕に激痛が走る。

 

 二人共痛みには慣れている。

 そんな二人でも……戦闘中ですら無視できず、耐え切れない痛み。

 そのまま二人は、意識を失った。

 

 

 ■□■□

 

 

 どことも言えない空間。

 そこに一人の人間が、刀を膝に乗せ、眼を閉じて座禅を組んでいた。

 着流しの性別不詳。右眼には深い傷、右腕はフック状の義手、右足は棒義足となっている。

 

「……出番のようでござるな」

 

 そう言うと、眼を開け、立ち上がり、腰に刀を佩く。

 そして、とある方向を向く。

 そこには繭があった、赤い糸で編まれた巨大な繭。

 それに声を掛ける。

 

「では拙者は行くでござる。其方は行かないのでござるか?」

 

 それに答える声はないのだが……。

 着流しは返事が聞こえたのかこう言う。

 

「そうでござるか。まだ時期じゃないでござるか」

 

 そして、繭に背を向けて、歩き出す。

 

「では御免」

 

 そして、着流しは消えた。

 その場には赤い繭が残された。

 

 彼女の出番はまだまだ先。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカが目を開ける。

 そこは先程まで戦っていた場所ではなく、星を数多に散りばめた夜空のような空間。

 

「ここは?」

 

 周りを見渡すオウカ。

 後ろから声が掛かる。

 

「お主の心象世界……という奴でござるよ」

「!?」

 

 その声に驚く。

 振り向くとそこには、着流しの人物が立っていた。

 

 その人物をオウカは知っている!

 

「コジュウロウ!? な、何でお前が!」

 

 “堕天剣聖”

 最強を目指し、全ての知的生命体の抹殺という過程で、それを実現しようとした大馬鹿。

 家族、友人、剣の師、兄弟姉妹弟子を殺し、戦えない非戦闘員どころか、女子供、赤ん坊すら、相互認識すれば殺してきた者。

 だが、その戦闘力は凄まじいの一言。

 殺戮行脚の行程で、右目を失い、右腕の肘から先を失い、右足の膝から先を失うも、戦闘力は衰えるどころか、強化……否、凶化していった怪物。

 

「お前は俺がトドメを刺したはずだ。なのにどうして?」

 

 最後の戦い。

 コジュウロウは妹弟子であるカスミとの戦いで、遂に死んだ。

 はずだったのだが、一回殺したくらいでは死なず、怪物となって復活し暴れまわった。それを止めたのがオウカだった。

 

 オウカの疑問に、コジュウロウが答える。

 

「然り。ここにいる自分はあくまで残滓みたいなものでござる」

「残滓?」

「あの時、オウカは拙者の一撃を喰らったでござろう?」

「ああ」

 

 未だにあの傷は残っている。

 

「アレに遺して置いたんでござるよ。【レッソワニー】を。種子として」

「は!?」

 

 思い返せば、あの傷治りづらく、痕も濃く残っている。何より、彼が死んだ後、冥刀が残っていなかった。殉死したのかと思ったが、どうやら違ったらしい。

 

「強いて言うなら、ネラ殿と須臾殿に近いでござる」

 

 死ぬはずだったが、冥刀に魂を移植して生き延びたネラ。

 魂の欠片を冥刀に仕込んで憑りつかせていた須臾。

 

「……つまり魂魄の欠片を種子状態で憑りつかせていた?」

「然り。拙者の愛刀を知っているでござろう?」

 

 その言葉に思い至る。

 

 【レッソワニー】は他の冥刀の能力を再現できる冥刀の一つ。

 条件は対象を吸収する事。

 一見、厳しいように思えるが、僅かな欠片、破壊・廃棄されたモノ、更には鍔迫り合いや打ち合いで、エネルギーを吸収しただけでも条件を満たす。

 だからこそ、それを利用して、数多の冥刀をストックしていた。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 【ミストルティン】

 コジュウロウがストックしていたモノの一つ。

 ハイリスク・ハイリターンの不可思議の作品で、あらゆる防御を突破する事が出来る。特殊な防御や条件防御、再生力が高い者や不死身まで突破可能。

 

 強力なように思えるが、勿論代償は存在する。

 それが防御力が零になる。ゲーム風に言うなら、どんな装備をしようが、防御力が零になる。

 下手をしなくても、相手の軽い牽制で死にかねない。

 つまりは回避するか、剣で防御するか、受け流すしかない。

 

 なのだが、【レッソワニー】の場合、再現されるのは、能力だけで、代償はない。……なのでコジュウロウはノーリスクで【ミストルティン】を使っているようなもの。

 

 そして、この【ミストルティン】は使い手を完全に認めると、使い手の体にヤドリギのように取り付き憑依するようになる。

 

 これを利用して、普段のコジュウロウは刀身の存在しない刀を佩刀し、戦闘時に毎回刀身を形成するようにしていた。

 本来はそんな必要ないのだが、見せかけの刀をブラフとして利用しているのだ。

 相手が武器を取り上げたと油断した所をバッサリやる事がある。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「あの一撃に残っていたのか……」

「そういう事でござる。そして」

 

 一拍置いて答える。

 

「コレは冥肌鏤骨(オストラコン)ではござらん。所有者は拙者でござる」

「つまり……奪えない?」

「然り。何かのために取っておいたんでござるよ」

 

 友ならば、何かを友に遺すべき。

 そう思ったのだ。

 

「今がその時なれば」

 

 コジュウロウが両手を翳す。するとその手に刀が二本現れる。

 柄、鍔、鞘、そして外見からは見えないが刀身――全てが漆黒の太刀。

 フック状の義手でも物を掴む位はできるので、器用に左右で持っている。

 そして、義手で持っていた方をオウカに投げる。

 

「おっと」

 

 受け取ったオウカに告げる。

 

「とは言えただ渡すのでは芸がない。戦り合うでござる」

 

 その言葉にオウカは苦笑する。

 

「お前らしいな」

 

 そうしてオウカは受け取った刀を構える。

 

「とは言え、時間もないので、一撃にて」

「ん」

 

 両者奇しくも抜刀の構えを取る。

 お互い睨み合う。そして――

 

「フッ」

「ハッ」

 

 次の瞬間、お互いの位置が入れ替わっていた。

 そして――オウカが膝を付くと同時、コジュウロウの体が消え始めた。

 

「ここまででござるか……」

 

 そして、振り向いてコジュウロウは告げる。

 

「オウカ。其方には拙者の願いを継げとは言わんでござる」

「当たり前だ、お馬鹿」

 

 そんな面倒な事やりたくない。

 その言い方に苦笑しながらコジュウロウは続ける。

 

「だから、その代わりと言ってはなんでござるが……」

「?」

「勝つでござるよ」

「言われるまでもない」

 

 オウカの言葉に、ジュウロウは微笑み消えた。

 

 

 ■□■□

 

 

 マリアの意識が覚醒する。

 

「……ここは?」

 

 周りを見渡すと、そこは教会の礼拝堂のよう。

 

「そう言えば、私はシスターだったらしいな……」

 

 苦笑したマリア。記憶喪失のため、実感が湧かないのだ。

 

「戦っていたはずなのに、一体……」

 

 取りあえず辺りを散策する。そして見つけたのは分厚い本。ただし鍵が掛けられている。

 

「これじゃどうしようもn」

 

 言葉が途中で途切れる。ある事に気づく。自分は左手に何か握り込んでいる。

 拳を開いてみるとそこには鍵があった。

 

「コレか?」

 

 本の鍵穴に挿し込むと、スルリと入る。回すとカチャリと外れた。

 

「ああなるほど」

 

 この時点でマリアは理解した。

 ここは自分の心の中、この本は自分の記憶だと。

 

(読めば、もう戻れない)

 

 逡巡は一瞬。

 マリアは本を開いて、読み進めていった。

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 本を読み終わり、マリアは本を閉じる。

 そして目を瞑る。まるで読んだ事を思い返し忘れないように。

 

 そして開眼する。

 

「私……いえ、ワタクシは」

 

 彼女は全てを思い出した。

 

「サク様を幸せにするために生まれた」

 

 彼の説得を受け、殺戮行脚を辞めた時の誓い。

 

「あの人を助けなければならない」

 

 今の彼は大ピンチ。ここで動かなければ、女じゃない。

 

「今、参ります」

 

 マリアの背から翼が広がる。それは蝙蝠ではなく、漆黒の鴉の翼。

 そのまま彼女は飛び上がり、天井を突き破った。

 

 

 ●○

 

 

(一人は去りて、一人は戻った)

 

(良かった。出番あるかと思ったけど、今回はなさそう……)

 

(それにしても……今回はちょっとヤバすぎたね)

 

(まさかあんな事してくる相手がいるとは……)

 

(似たような事があったから、あの程度で済んだけど……)

 

(下手すると、精神崩壊していたか、敵味方問わずに全滅させてたかも)

 

(意外と脆い所あるから)

 

(さあ、ワタシはもうしばらく微睡ましょう)

 

(おやすみなさい)

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 二人の意識が途切れたのは僅かな間。

 とは言え、ワクイは警戒して、様子見をしていたが、流石に何もしないのではせっかくのチャンスを逃す事になる。

 だからこそ、遠距離攻撃を選択して放った。

 属性攻撃、弾丸、矢が数多と降り注ぎ、着弾、爆発、煙が上がる。

 大抵の戦闘者ならなすすべもなく倒れる。

 

 だが、ここにいる二人はそこに入らない。

 煙が晴れると、そこには……盾のみがあった。

 

「「!」」

 

 六人のワクイは辺りを見渡す。

 右、左、横、縦、下……

 

「「いた!」」

 

 上。

 そこに二人はいた。

 黒い翼を生やしたマリアが、オウカを抱え空を飛んでいる。

 オウカが呟く。

 

「間一髪……」

「はい。そうですね」

 

 マリアの言葉に違和感を覚えるオウカ。

 

「何か変わった?」

「いいえ。戻っただけです。サク様」

「!?」

 

 その返事にオウカは察する。

 飛び上がって喜びたいところだが、今はそんな状況ではない。

 

「再会を喜び合うのは後にしましょう」

「ああ。もう時間も僅かだしな」

 

 実のところ、この二人が今の状態を保っていられるのは僅か。

 

「決着を付ける。因果を未来へは持って行かせない」

「はい」

 

 オウカが出したのは弓。

 だが、すぐに使えない事を思い出す。

 

(あ、片手失くし……あん?)

 

 返して無くなったはずの左腕が生えてきていた。それは艶のない漆黒の腕。【レッソワニー】(コジュウロウの愛刀)を思わせる腕。

 一瞬驚くも、理由に思い至る。

 

「ありがとう。友よ」

 

 チカラを遺していた友に礼を言う。

 そして、オウカは弓の弦を引く。すると矢が現れる。

 

 ワクイはそれに不味いと直感。

 先程と同じように遠距離攻撃を仕掛けた。

 だが、それらは全て避けられる。

 マリアがオウカを抱えたまま、凄まじいスピードで飛んでいた。

 

「攻撃に集中してください。移動はワタクシが」

「わかった」

 

 移動しながら弓矢を射るのは難しい。しかも流鏑馬を遥かに超えるスピードな上、上下軌道もあり、不安定な態勢なら猶更。

 だが、オウカはそんな事を物ともせず、射撃をおこなう。しかも連射されるうえ、矢は分裂し、威力が上昇する。

 それらをワクイ達はどうにか防ごうとするが、無傷で防げるはずがない。

 防御力が低い個体――属性攻撃を使う翼竜が穴だらけになり、倒れる。

 

 残り五体。




【コソコソ話】
(・▽・)<あの馬鹿も色々ストックしているんですけど、

(・▽・)<【ミストルティン】以外のもヤバイのがチラホラあるんですよね……。

(#ー#)<どこぞの戦闘狂みたくにか?

(・▽・)<アレの場合、弱点潰しが多いですから、まだマシなんです。

(㈩*㈩)<具体的には?

(・▽・)<【ジークシュベルト】、【パラシュ】、【ナーゲルリング】などなど。

(㈩*㈩)<……(唖然)……。

(#ー#)<そんなにヤベエのか?

(㈩*㈩)<……取り乱した。全部曰く付きで、完全破壊・廃棄済みだから。

(#ー#)<は!? それってヤバイんじゃ……

(㈩*㈩)<ま、まあ同じ完全破壊・廃棄済みの【スラエオータナ】よりマシ。

(#ー#)<バイオハザード起こして国滅ぼしたのと比べんな。

(㈩*㈩)<簡単に言えば……。まあネタバレ込みだけど――


【ジークシュベルト】黄金剣。敵に対して、バフ、特攻特防、ステータス向上などが時間経過に応じてかかる。使い手は全員嵌め殺しに合って死んでいる。

【パラシュ】斧。殺戮による強化。殺せば殺すだけ補正強化。所持していて十全に使えている場合、危険人物と見なされて即刻討伐対象となる。

【ナーゲルリング】準天剣。『重力剣』の対。力の剣。簡単に言えば……ワ○・フォー・オール。ただし流石にアレらは不可能。それが出来るのはまた別の剣。


(#ー#)<何かサラリと凄い事書かれてる!?

(・▽・)<……まああの馬鹿だから上手く使ってた部分もありますね。
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