冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<結局この糞野郎の手札って何だったんです?

(#ー#)<糞野郎って……。

(㈩*㈩)<糞に失礼。

(#ー#)<ディスるなあ。まあ当然か。

(#ー#)<んじゃ取り敢えず説明だな。

(#ー#)<奪って来たクロスと、アイツから奪った〈剣威模倣〉と〈冥肌鏤骨〉。

(#ー#)<ただ……前者はともかく、後者は一部しか使えてない。

(・▽・)<どうしてです?

(#ー#)<完全に奪えなかったんだ。前に本文で少し述べたけど、

(#ー#)<戦闘技術と戦闘経験は奪えなかった。

(#ー#)<だから、使い方がわからない、わかっても使えないのばっかり。

(#ー#)<本人強がっていたけど、結構後悔してる。

(・▽・)<自業自得。

(㈩*㈩)<奪う奴は何も手に入れられない。


CⅢ

 先程の攻撃と引き換えに、弓は消滅し無手となるオウカ。

 だが、それで十分。隙は作れた。

 

 オウカとマリアは眼を合わせる。

 

(一気に決める)

(はい)

 

 以心伝心。

 その状態のまま、自身を抱えるマリアに声を掛ける。

 

「じゃあ頼む」

「はい。ですけど本当によろしいのですか?」

 

 確認するマリアにオウカは首肯。流石にやり方がやり方なので躊躇があったが、それを振り払い彼女は、矢の攻撃で怯むワクイ達に目がけ……オウカを思いっきりぶん投げた。

 

「狙いぃぃぃ通おりぃぃぃぃぃぃ!」

 

 投擲されたオウカはスレッジハンマーを出す。

 そして、思いっきりフルスイング!

 その一撃でスレッジハンマーは消滅し、オウカも着地に失敗し派手に転がるが、烏賊蛸バッファーを木っ端微塵に砕いた。

 

 残り四体。 

 

 オウカをぶん投げたマリアは、相手に向かう。こちらの狙いは空中を飛び回る昆虫合成体。

 とは言えあちらも翅を出して対抗する。

 

「蝶のように舞い、蜂のように刺す」

 

 様々な昆虫のチカラを持つワクイと対しながら呟くマリア。

 

「でしたら……」

 

 彼女は攻め方を変える。

 動きをコンパクトに、予備動作を小さくする。

 彼女はかつてオウカに敗れてから、弱点克服を努力をした。それを完全に思い出していた。

 

「蠅のように死んでください」

 

 間合いを潰し、零距離からワンインチパンチを放った。

 その一撃は、昆虫合成体を蠅叩きで潰された虫のようにした。

 

 残り三体。

 

 オウカは撃破終了と同時に起き上がり、一番近い相手に向かう。選択した武器は鯨包丁。

 

「ハア!」

「おっと!」

 

 柄を伸ばし多腕馬人に向けて振るったが、その一撃は避けられる。だが、それは織り込み済み。

 

「海老みたく避けるね。でも……薙刀には下段があるんだよ?」

「ギャア!」

 

 振り直しの一撃が、先程の一撃を遥かに超える速度と威力で馬の足を薙ぎ払い圧し折る。転倒するワクイの頭部に容赦なく鯨包丁の刃を振り下ろす。

 

「ギャア!」

 

 残り二体。

 

 そして、マリアは空中から急降下。その先にはオウカが狙う者とは別の個体。

 それに気づいた竜戦車は火器兵器を乱射する。

 だが、それはマリアに当たらない。

 そして、そのままマリアは落下の威力を乗せた蹴りを放つ!

 一撃で竜戦車は砕ける。

 

 残り一体。

 

 

 ■□■□

 

 

(何で、何で何で何で! 何でこうなった!?)

 

 最後の一体、ロボに搭乗しているワクイの内心は困惑で一杯だった。

 追い詰めているのは自分のはずだった。

 それが今はどうだ? 自身の手駒――四騎士と分身体は全滅し、追い詰められている。

 

(……落ち着け。まだどうにかなる)

 

 こちらは自己修復を働かせていたおかげで、全快に近くなっている。だが、向こうはボロボロ。

 特に女……マリアは地面に手を付いて荒い息を吐いている。吸血鬼状態が解除されており、角と翼は無くなっている。

 

(それにアイツに至っては……)

 

 オウカに視線を移す。

 こちらもあちらこちらから血が出ているうえ、指輪と腕輪の幾つかが色褪せている。

 

(戦い方を見る限り、武器の威力を上げる代わり、消費している。もう僅かしか残っていない。行ける!)

 

 ロボットの腕から出て来たのは巨大な刃の蛇――【マッネ・モショミ】。

 自身を奮い立たせて攻撃を仕掛ける。

 

「死ねぇ!」

 

 蛇の牙がオウカに迫る。

 それをオウカは回避する。

 だが、一度で終わらず、連続攻撃が仕掛けられる。それすらも避けて行くオウカ。

 しかも……

 

「まだ手はあるぞ!」

 

 蛇が口を大きく開ける。

 そこから光線が吐き出される。回避を許さぬよう幾つにも拡散している。

 

「チッ」

 

 避けきれず喰らってしまうオウカ。

 だが、ダメージを最小限に抑え込む。

 

 オウカは相手の出方を見て、思考する。

 

(相手はなりふり構わなくなっている。つまりアレで最後)

 

 だったら、全てを使い切る……と思ったが。

 

 ――オウカ。戦う時は視野を広く持ちなさい

 

 師匠の言葉が脳裏に過る。

 なんでこのタイミングで? と思ったが、周りを見渡し……

 

「そうだな。目的はアイツを止める事だ」

 

 ニヤリと笑う。

 

「〈チェックメイト〉!」

 

 その言葉と同時、色褪せてない指輪が光り、武器が現れる。

 ドス、刀、アパッチピストル、ガンストックウォークラブなどなど。合計十本。

 それらが宙に浮かび陣を描く。その図形は――セフィロト。

 セフィロト陣が消えると同時、一振りの刀がオウカの元に落ちて来た。

 それを掴みオウカは笑う。

 

「さあ使い切ろうか!」

 

 刀を振るう。

 オウカに襲い掛かった刃の蛇が真っ二つになった。

 

「な!?」

 

 絶句するワクイにオウカは刀を突きつけ告げる。

 

「結末は俺が決める」

 

 

 △▲△

 

 

 時間はオウカ達が須臾叢雅に会い、冥刀の説明を受けている所まで戻る。

 【ムジョルニア】の説明が終わり、次は肝心要の【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】の説明を始める。

 

『君達は知っていると思うが、冥刀……その原点である天剣は儀式のための儀礼剣なのだよ』

「「全く知らないんですけど」」

「今は置いておいてください」

 

 知らない面々にルラが注意する。

 話の腰を折られては堪らない。

 

 須臾は説明を続ける。

 

『そして、叢雅一門でなくても優秀な刀工はいる。それらの武器を利用できるようにと作ったのだが……』

 

 溜息を吐く須臾。

 その様子にシロは察する。

 

「代償が重かった?」

『重いというか厄介でね。欠点系なのだよ』

 

 欠点の代償というのがある。

 奥義を持っていても、使用に条件があったりするのが入る。

 

『そうだな……。サクヅキ君。そこに落ちているスコップがあるだろう?』

「これですか?」

 

 何の変哲もないスコップ。

 因みに以外と便利であり、槍代わりの武器としてどこぞの元殺人鬼は使った事がある。

 

『それを冥刀化してみてくれ』

「……わかりました」

 

 スコップに触れて発動。

 

「〈チェック〉」

 

 その言葉と同時、スコップが輝き、消滅した。

 

「は?」

「へ?」

「うん?」

「わふ?」

「ござんす?」

「ああ、そう言う事か……」

 

 ほぼ全員思っていたのと違う結果に、変な声を出してしまう中、シロだけが察する。

 そして須臾に確認する。

 

「確実に冥刀化できる訳じゃないんですね?」

『その通り』

 

 須臾曰く。

 【グウェンゾライ】は冥刀でない武器・道具に、補正・変形・能力を付与し、疑似的な冥刀にする。

 ただし、確実に冥刀化できるとは限らず、失敗すれば消滅する。

 オウカが恐る恐る訊ねる。

 

「ええと、どれくらいの確率ですか?」

『概算は一%くらいだね』

「「低!?」」

 

 その場の全員ツッコミを入れる。

 

『まあ、腕の良い刀工の作品なら確率が上がるし、それより低い物もあるけど』

「最大でどれほどでしょうか?」

『一割』

「「やっぱり低い!?」」

 

 【ルンペルシュティルツヒェン】以上の問題作と言った意味を理解した一同。

 だが、問題はそれだけではなかった。

 

『しかも……』

「「まだ何かあるの!?」」

『補正・変形・能力は過去・現在・未来の冥刀からランダムに選出される。当たりもあれば外れもある』

 

 つまりは使える武器になるかは完全運次第。

 

「ガチャじゃねーか!?」

 

 ジョージのツッコミに一同頷いた。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 そういう訳で、オウカはカチコミの日まで冥刀化できる武器・道具を探していたのだ。

 ホームレスから貰ったり、あちらこちらカチコミして手に入れたり、ルラ達が持っていた要らない武器などを冥刀化させていった。

 だが、やはり確率の低さがネックになるうえ、どんな風になるかもランダム。なのでかなり手こずっていた。

 

 だが、決戦前日にようやく揃ったのである。

 すると、奥義が解放された。

 それらはチェスの用語を元にしたモノ。

 

 

 ポーンにあたる武器を他の駒の武器に変える〈プロモーション〉

 幾つかの制限を持つ簡易転移〈キャスリング〉

 武器を一つ消費して、他の武器の性能を引き上げる〈ギャンビット〉

 ナイトとビショップにあたる武器を合体させ性能を上げる〈フィアンケット〉

 武器の消滅と引き換えに限界を超えて強化させる〈ステイルメイト〉

 武器十本を生贄に疑似神刃を作り出す〈チェックメイト〉

 

 

 これらを使い燃やし奮闘していたオウカ。

 とは言え、もう残りは疑似神刃のみ。

 しかも時間制限があり、反動で【グウェンゾライ】は暫く使用不可。

 

 決着は――もう間もなく。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカが作り出した疑似神刃のチカラは至極単純。

 変形機能は一切ないが、身体能力と自己再生能力を爆増させ、刃の切れ味が凄まじい事になり、斬れないモノすら斬る。

 

 それを使いオウカはロボと戦闘をおこなっていた。

 巨人と小人の死闘。普通に考えれば大きい方が有利だろうが、今回は違う。

 

「糞!」

 

 巨人――ワクイは数多の武器をとっかえひっかえして攻撃を仕掛ける。だが、それを小人――オウカは剣で斬り伏せ、拳で捻じ伏せる。

 もうロボはズタボロで、自己修復が追い付いていない。しかも手札もごっそり減っている。

 

 荒れているワクイだったが、内心以外と冷静だった。

 

(落ち着け。この状態は長く続かない……)

 

 オウカが手に持つ刀が消え始めている。

 そして、オウカの動きも鈍り始めている。

 

(耐え切れば……俺の勝ちだ!)

 

 そう思っているワクイ。

 だが、相手の思考を

 

「このままなら勝ち! とでも思ってるんだろ?」

「!?」

 

 オウカはわかっていた。

 だからこそ……

 

「これで決める!」

 

 オウカは飛び上がる。

 刀にエネルギーが集まっていく。

 

「チェストォー!」

 

 上段からの振り下ろしが炸裂した。

 

 それに拳で対抗するワクイ。

 

「オオオオオオ!」

 

 選択したのは――【レギンナグラル】。確実に仕留めるために威力の高いモノを選んだ。

 だが、彼は知らなかった。その冥刀はオウカが借りていただけなのを。本当の持ち主がそこにいたのを。

 

「【レギンナグラル】!」

 

 マリアが呼びかけた。左手をロボに向けて翳す。

 

「元の持ち主のところへ戻ってきなさい!」

 

 彼女は自身の相棒を信じる。例え死んでいたとしてもナニかが残っていると信じる。

 

「死んでいたとしても答えなさい!」

 

 無茶を言う。

 

 だが、その無茶に残滓は答えた。

 ロボの左腕から光の塊が飛び出し、マリアの腕に戻った。

 それと同時、ロボの動きが鈍る。

 

「んな!?」

 

 予想外の事態に慌てるワクイだが、もう遅い。

 オウカの刀はロボの拳から刃を入れ、真っ二つにする。

 

「くっ……」

 

 ワクイの決断は早かった。

 すぐさまロボを乗り捨て脱出。

 だが、それすらもオウカは織り込み済み。

 

「想定内だよおぉぉ!」

「!」

 

 そのまま間合いを潰し――

 

「死ねやぁー」

「ヒ!」

 

 ワクイを両断しようとしたが……

 

「ゴフッ……」

 

 時間切れ。

 刀がワクイの皮一枚を斬って消え、オウカは前のめりに倒れた。

 

(反動か……)

 

 遂にオウカは力尽きた。生きてはいるが、暫くは動けない。

 そんな状態にオウカに、ワクイは笑みを貼り付ける。

 

「は……ハハハ! 残念だったな。俺の勝ちだ!」

 

 勝ち誇るワクイにオウカは――笑う。

 

「いや、俺の勝ちだよ」

「は? 何を負け惜しm」

 

 最後まで言えなかった。

 誰かがワクイの後ろにいた。

 

「こういう時は、ボク達の……だよ。サク君」

 

 そこにいたのはボーイッシュな少女。

 その手にはサバイバルナイフ。隙だらけのワクイを斬る。

 

「ギャアアア!」

 

 なすすべもなく斬られ倒れるワクイ。

 だが、生きている。この少女が狙ったのは手足の腱。

 これでワクイはもう動けない。

 

 そこへ更に追撃がかかる。

 

「ワタシは前に言ったよ」

 

 声と同時、大量の折紙の鶴が現れ、ワクイの周りを囲む。

 

「許さない、逃がさない。絶対に目にもの見せるって」

 

 そして、鎖を射出してワクイを拘束する。

 

「ぐ、苦じい……」

 

 グルグル巻きにされ藻掻くワクイ。

 それに近づくのは、狩衣を纏う女性。

 

「苦しい? どの口が。えい」

「ポギュ!」

 

 蹴りを決め、ワクイの意識を刈り取った。

 

 助けてくれた二人をオウカは知っている。

 

「ジンナ! 先生!」

 

 クロガネ=ジンナとアシヤ=キョウコだった。




【コソコソ話】
(#ー#)<……(絶句)……。

(・▽・)<これ私の愛刀を遥かに超える問題作じゃないですか?

(㈩*㈩)<うん。だからあの変態も仕舞っていた。それを戦闘狂が見つけた。

(・▽・)<【ルンペル】は石ころすらも冥刀に出来るのに……。

(㈩*㈩)<まあこれも出来なくはない。確率凄く低いけど。

(㈩*㈩)<でも……その分かなり強力になる時もある。

(㈩*㈩)<後、一つずつじゃなくて複数一気も可能。

(・▽・)<十連ガチャみたいですね。天井とかないんですか?

(㈩*㈩)<ない。

(#ー#)<糞ガチャじゃねーか!?
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