(・▽・)<新章開幕。新年度ですので新入生が出てきます。
(#ー#)<俺の後輩にあたる奴らか……。
(㈩*㈩)<退学した奴がどの口で……
(#ー#)<うるせー!
(・▽・)<それと出て来るのはまだ先ですけど、
(・▽・)<別校のヒナタさんの後輩にあたる人も出てきます。
■□■□
四月。
新学期が始まる。
天ノ角高校にも新入生が入学する。
「ランララーン♪」
ここにも一人。
「確かこの辺だよね?」
キョロキョロと周りを見渡す少女。
この学校指定のセーラ服を纏う普通の女子学生……なのだが、背中に折りたたまれた巨大な斧を背負っている。力自慢の人すら引きずる事すら出来無さそうだが、彼女はそれを軽々と背負って平然と動いている。
誰かを探している様子の彼女へ声が掛かる。
「こっちよ、レイリ」
声の先にいたのはこちらも女子学生。眼鏡を掛けている
「あ、ワンコちゃ~ん」
「ワンコ言うな! イチコよ! それと先輩なんだから先輩を付けなさい」
この二人家が近くの幼馴染同士なのだが、三月生まれと四月生まれなので学年が違う。眼鏡の方が先輩である。
「うん。わかった! ワンコちゃん!」
「全っ然わかっていないわね……」
溜息を吐く眼鏡の少女。
彼女の名前はアサギ=イヌコ。通称ワンコ……本人は全否定しているが。
そして、大斧を背負った少女の名前はオウザキ=レイリ。今年から天ノ角高校に通う事になった新入生である。
先輩(一カ月差)なので、学校の案内をする事になっていた。
「……はあ。まあいいわ」
そうして案内を始める。
そんな中、彼女は言うべき事があるのを思い出す。
「あ、そうそう」
「? どうしたの?」
「貴方に言っておこうと思って」
一拍置いて続ける。
「この学校にはね、危険人物がいるの。近づいちゃ駄目よ」
「危険人物?」
「ええ」
曰く。
イヌコとは同学年なのだが、違うクラス。
決闘で対戦者を達磨にしたり、人を落ち武者にしたり、ガスバーナーで焙ったり、膝と肘を逆にしたり、舌を切ったりなど、やりたい放題の人がいるとの事。
「裏じゃコロシまでやってるらしいわ」
「何で退学になってないの?」
レイリの素朴なツッコミにイチコは答える。
「自分からは手を出さないから」
今まで起こした暴力事件全て、相手から先に手を出しているか、相手が完全に悪い場合しかない。……まあやり過ぎだが。
「だから絶対に近づいちゃ駄目y」
「ねえワンコちゃん」
「ワンコ言うな。まだ話の途中なんだけど……」
「その人ってもしかして……」
レイリが指差す方にいたのは、四人の人間。正確に言うならボコボコにされ倒れる二人の人間と、それを見下ろす一人の少年と、それに庇われるように立っている一人の少女だった。
その少年――男子の制服を着ているので性別は男なのだが、背が低く、顔が中世的なので、セーラー服着たら女子生徒と言っても通用しそう――は手袋をした左手に真っ黒なロングナイフを持っている。器用にクルクル回しながら、倒れている二人に話しかける。
「ねえ、足二本切断するか、真ん中の足を切ってオネエになるか、選んで?」
「え、選べましぇん……」
「た、たしゅけて」
最悪最低の二択にボコボコにされた二人は、当然の如く選べる訳がない。
だが、この少年は全く容赦しない。
「そ。ならそれは勘弁してあげる」
「「!」」
ボコボコにされた二人に希望が宿る。
だが、それは早計だった。
「代わりにお前はザビエルだ~」
「ギャー!?」
容赦なく髪の毛を剃り上げる。
その光景にもう一人は這う這うの体で逃げようとするが、
「おいおい逃げるなよ」
「ひ!?」
足を掴まれる。
逃げられる訳もなく……
「お前は落ち武者だ~」
「ナニガチガウ!?」
髪の毛を大量に引っこ抜かれ、落ち武者となった。
その光景を見ていたイヌコは、レイリの方へ向きながら言う。
「ね? だから近づいt」
言葉が途中で止まる。
そこには誰も居ない。
「……レイリ!? どこh」
キョロキョロ辺りを見渡していると、少年は落ち武者の禿げあがった頭部をナイフで何かを彫ろうとしている。
「サービスにヘリポートにしてやる~」
「ギャー!」
そうしてナイフを頭に付けようとした時だった。
「何をしてるんですかぁー!」
レイリがそこにいた。
巨斧を振りかぶり、少年目がけ振り下ろそうとしている。
そして。
「ハア!」
巨斧が少年目がけフルスイングされる。……一応殺さないように配慮しているのか峰打ちにしている。とは言え、これでも喰らえば怪我はするだろう。
だが、その一撃を少年は片手で受け止める。
「おっと」
完全に威力は殺せず、地面に亀裂が走る。
「中々の膂力だな」
感心した彼にレイリは照れたように笑う。
「ありがとうございます。……って、そうじゃなくて!」
表情を切り替えレイリは言う。
「何でそんな事をしているんですか!」
「そんな事って……コレ」
ザビエルと落ち武者を見て言う少年。
「それ以外にないでしょう!」
プリプリ怒るレイリに少年が答えようとした時だった。
彼の背後にいた女子生徒が前に出てきて答える。
「この人がアタシを助けてくれた」
「へ?」
予想もしない言葉にレイリの眼が点になった。
なんでも男二人が少女に無礼を働こうとした所を、偶然通りがかった彼が助けてくれたそうだ。
「女の子を大事にしない奴は、豚以下だから足を切って良いって友達も言っていたし」
彼の友達の暴論に野次馬は……
((物騒過ぎる!?))
こう思った。
「なるほど。納得しました!」
(納得しちゃった!?)
明らかにおかしい理論を納得してしまったレイリ。巨斧を下げる。
それに野次馬達は心の中でツッコミを入れる。
そんな時だった。
「またやったの~? しかも新入生に~?」
間延び口調が聞こえた。
そこに現れたのは狩衣を着た女性。
在校生はその正体を知っている。
「「アシヤ先生!」」
アシヤ=キョウコ。
この学校の双璧と呼ばれる強者。人格者でもあるので慕われている。
彼女は辺りを見渡し、溜息を一つ。
「サクヅキくん」
「……はい」
手袋した少年――サクヅキ=オウカが返事をする。
「やり過ぎは駄目だよ~」
「どこかですか?」
「……はぁ。まあいいや~。今度は何があったの~?」
溜息を吐いたキョウコ。事情を聞いて思考する。
(どうしようかな~)
話を聞く限り向こうが悪い。まあ、やり過ぎな所があるが。
その時、ふと妙案を思い付く。
「まあ〜、どちらも反省したよね〜」
「「はい!」」
「返事だけは良いね〜。じゃあ君達は暫くそのままで反省〜」
「「え」」
暫くの間、ザビエルと落ち武者で過ごす事が確定した哀れな新入生。
「サクヅキくんは〜、ちょっとやってもらう事あるから〜」
「? わかりました。じゃあまた後で会おう」
「ん」
そういう訳でオウカは、助けた女子生徒に一声かけてから、キョウコと共に立ち去った。
それを見送るレイリはボソリと呟く。
「何か凄い人だったな……」
それにオウカに助けられた女子生徒がこう言う。
「悪い人じゃない」
「それは私にもわかるよ」
話してもわかった。アレは完全な善人という訳では無いが、悪人でもない。
するとそこへイヌコがやって来た。
「ちょっと! レイリ! 何してるの!」
「え、この二人助けようと思って」
そんな必要はなかったが。
その回答にため息を吐くイヌコ。
「あのね、彼……サクヅキ=オウカとはあまり関わらない方が良いわよ」
クラスメイトや友人達は普通に接するが、やはり交流の無い面々のオウカの印象は――敵対者には容赦ない責め苦を与えて、裏では物騒な事をやっている――最悪だった。
それに反論したのは、オウカが助けた女子生徒。
「人を噂だけで判断しない方が良い」
「貴方は?」
イヌコが少女を見る。
高校生としては平均的な自分達より小柄な少女。
短めな髪の毛をしており、ヘッドホンを付けている。
「わたしはクイン」
「じゃあクインちゃんで。あ、私はレイリ。宜しくね」
「宜しくレイリ」
二人の自己紹介が終わったタイミングで、イヌコの番となる。
「私はアサg」
「それでこの子はワンコちゃん」
「イヌコよ! それと先輩だから!」
因みに彼女はツッコミ役である。
「……そうなの?」
「一応ね。私と一カ月差なんだけど」
「納得した」
クインはイヌコを見上げこう言う。
「宜しく。ワンコ」
「呼び捨て!?」
ツッコミが炸裂した。
………………
…………
……
その後、一旦イヌコと別れ、自分達のクラスへ行く事になる。
「同じクラスだね」
「……うん」
そして、担任の挨拶があり、様々な連絡事項が話された後、オリエンテーションとなる。
一学年全員が広い部屋に集められる。
「結構広い所だね」
「ん。頑丈みたい」
「誰か戦ったりするのかな?」
そんな事を思っていると、主任による説明が始まる。
「さて、どうしてこんな部屋に集められたのか疑問に思っているでしょう」
曰く。
歓迎として、在校生の模擬戦がおこなわれるとの事。
毎年の行事らしい。
「今回はこの二人を選びました」
その言葉と共に入室したのは二人の生徒。
「あ!」
「……!」
「「ギャー!?」」
その姿に見覚えあるのか声があちらこちらで上がった。
……悲鳴も上がった。
そこにいたのは……
「サク君一体何したの?」
「ザビエルと落ち武者を作っただけです」
「何が違うの!?」
片方は金髪の女子生徒。
三年のクオン=カナタ。
もう片方は灰色の長髪の男子生徒。
二年のサクヅキ=オウカ。
この二人が選ばれていた。
△▲△
時間は少し戻り、オウカがキョウコに連れられたのは職員室。
「新入生のオリエンテーションがあるんだけど~、模擬戦に出てくれない~?」
単刀直入のお願いにオウカは少し嫌そうな顔をする。
元々、手札を伏せて置くのがオウカ。それに加え、チカラを失ってまもないため色々不足がある。
「頭剃り上げはそれで勘弁してあげるから~」
「俺以外に居ないんですか?」
「いるにはいる~、けど相手が君が良いって」
「相手?」
首を捻るとタイミングよく入って来たのは……
「私よ」
カナタだった。
「色々試行錯誤の結果見せたいし、貴方も色々試せるわよ?」
その言葉にオウカは引き受ける事にした。
◇◆◇◆
そして、二人は五メートル程離れて向かい合う。
両者共に無手状態。
ちなみに│観客《生徒》がいる場所には、結界が張られ、対戦者二人はV.F.は展開済み。
「刀は出さないの?」
オウカの問いにカナタは答える。
「すぐに出せるから、いちいち出さない事にしたの」
前まで佩刀していたが、変わったらしい。
そういえば両手に長手袋をつけている。
(何かしらアップデートしたのかな?)
そう思ったオウカに、カナタが問いかける。
「そういう君は?」
「色々あったので」
現在のオウカは、チカラを奪われた際に、匣まで奪われたので、武器や暗器を前までのように仕込めなくなっている。
(まあ代わりはあるけど)
手袋に包まれた左手に視線を送る。
軽い雑談を終え、両者沈黙。そして――
「始め!」
審判代わりの主任の合図。
真っ先に動いたのはカナタ。
一瞬で両手に刀を二本出す。そして右の刀を振るう。すると刀が鞭のように伸びて撓りオウカに迫る。
「ウルミか……」
「流石に知ってるわね」
ウルミ。インドの武術、カラリパヤットで使われる剣。柔らかい金属で作られており、鞭のように撓る。
「これは【大蛇丸】。大蛇のモンスターの素材を活かして作ったのよ」
それを器用に避けるオウカ。
カナタはその刀を連続して振るう。だが、オウカは全部回避。しかも……
「……クインちゃん。気付いた?」
「オウカその場から動いていない」
レイリとクインは気づいているが、他に気づいている人は少ないだろう。
オウカはその場所に留まったまま、蛇の様に襲い掛かる刃を避けている。
暫くそれが続く。だが、カナタは行動を変える。
「想定済みよ。ならこれは?」
そこへ左の刀を振るい斬撃を放つ。しかも丁度飛び跳ねたタイミング。普通では避けれないが……
「フッ」
オウカはそれを漆黒の長ドスで斬撃を撃ち落とした。
それにカナタは眉を顰める。
(今の武器……いつ出したのかしら?)
あちらこちらに色々武器を仕込み、高性能の匣を持っていたのは知っているが、それでもタイムラグがあるはず。
その答えは――本は勿論とある人物は気づいていた。
「作った」
クインが呟いた。
「へ? どういう事?」
レイリの問いにクインは答える。
「一瞬であの剣作った。だから取り出すより早い」
「そう簡単に作れる物かな?」
「今は色々あるから」
「それもそうか!」
レイリはクインの言葉に納得した。
【コソコソ話】
(・▽・)<女の子を大事にしない奴は豚。
(・▽・)<言ったのは百合女です。
(#ー#)<暴力シスターじゃなかったのか?
(・▽・)<あの人の場合、足切断じゃなくて、金的による骨盤破壊か内臓破裂ですから。
(#ー#)<何でシスターやってる奴の方が物騒なんだよ!?
(#ー#)<ん? ところで、あのシスターってどうしたんだ?
(㈩*㈩)<追々語る。元気にやってるから安心して。
(#ー#)<……(安心していいのか?)……。