カナタの使用した七本の刀
(㈩*㈩)<こんな感じ。
【繚乱】カナタ作成の刀。特殊能力はないが、強度と耐久値が高く、自己修復機能とリターン機能もある。
【斬切風】突然変異で生まれた【鎌鼬】を討伐した事で生成された<霊刀>。斬撃を放つ、刀の周りに爪のように展開する事が可能。
【翼】猛禽系の<ユニークモンスター>が封じ込められた<妖刀>。スピードバフ。加速なしにトップスピードが可能。スタミナ消費。
【雷丸】雷の<モンスター>である【雷獣】、その<ネームドユニークボス>が封じ込められた<妖刀>。雷放射や落雷が可能。気力(ゲームで言うMP)消費。
【助格】とある鍛冶師が作った<名刀>。<スキル>使用時のコストやインターバルを半減。ただし補正やバフは低め。
【薄閃】とある鍛冶師が作った<名刀>。竜種の皮膜が使われている。刀身が伸びる。
【焔火炎】炎を操る【天狗】が封じ込められている<妖刀>。炎を操れるが、自身も熱の余波を浴びる。
(・▽・)<売ればお金になりそうですね。
(#ー#)<まあな。自作以外は数千万~数億程はする。
(・▽・)<格差あり過ぎません?
(#ー#)<しょうがない。材料の希少性によるからな。
******
(サク……)
マユはオウカとコナタの戦いを見ていた。
一見するとオウカが押されているように見える。だが、オウカはまだ手札を全然出していない。
「出し惜しみは治らないか……」
少し呆れていると、
「マユさん……」
声が聞こえた。
声の主はカナタだった。まだ少しショックが抜けきっていないようだったが、言い切った。
「……ありがとう。もう大丈夫よ」
「そう。なら良かった」
「後は、私がやらないと……」
そう言ってオウカとカナタが戦っている所へ向かおうとしたが、マユが止める。
「待って」
「離して。コナタ兄さんは私が止めm」
「違う。そういう事じゃない」
一拍置くと、マユは口を開く。
「教えて欲しい事がある」
******
「
オウカは残滓を引き出す。自身が使い、仲間が遺した<冥刀>を。肌、骨、血、肉に刻まれ、彫り込まれたチカラを。
彼が選んだのは、
「【イーコール】」
液体型の<冥刀>。血液に代替する。チカラは身体強化。一点特化も可能。かつて彼に移植されたモノ。
「行くぞ」
スピード上げ一気に間合いを詰める。
カナタは右腕を触手にして伸ばす。オウカを串刺しにしようとするが、当たらない。
「アアア!」
左腕の刃を振り下ろすがそれも当たらない。それどころか、
「おらよ」
「ア!?」
振り下ろした刃をオウカは踏みつける。それと同時にパワーを上げ刃を固定。そして、左拳を握る。
「【レギンナグラル】」
釘型の<冥刀>。腕に埋め込む内蔵式。チカラは攻撃浸透。防御突破の副産物もある。彼の友が使い遺したモノ。
「チェストォォー!」
拳が胴体に着弾。それと同時に打撃が釘打ち機のように炸裂。
「アアアアアア!?」
絶叫し、木を薙ぎ倒しながら吹き飛ぶカナタ。
「悪いね。無力化無理だった」
左腕をプラプラさせるオウカ。見守っていたマユが訊ねる。
「倒した?」
「手応え的には」
そう言ってオウカはカナタを見る。
「多分まだ息はあります」
「え」
「見に行きましょう」
どうにも嫌な予感を感じるオウカだった。
そうして三人は吹っ飛んだコナタを見てみる。そして、三者三様の反応。
「やっぱり……」
「そういう事」
「……え」
考えが当たったとオウカ。何が起こったのか理解したマユ。状況が理解出来ないカナタ。
そこにあったのは、ボロ雑巾のようになったコナタ。なのだが、どうにも質量が足りない。外だけで中身がない。
「ど、どういう……」
「アレは本体じゃなかったみたい」
オウカが答えを言う。
「そもそも最初から違和感があった。それに殴った感触がおかしかった」
百戦錬磨なうえ、とある理由で経験値は凄まじいオウカ。だからこそ察する事が出来た。
「それに……先輩」
「な、何?」
「マユから聞いたのですけど、生贄の人数は六人ですよね?」
「……ええ」
マユがカナタから聞いた事を念話で伝えたからこそオウカは知っている。
因みに生贄は、全員が精神崩壊している者だったらしい。
「つまりその分、残機として利用したり、分裂出来るんじゃないんですか?」
「!? その可能性はあるわね……」
オウカの考えに驚くカナタ。だが聡明な彼女はすぐにその考えに思い至る。
そこへマユが呟く。
「戦力の逐次投入は悪手。今のが偵察だとするt」
最後まで言えなかった。その途端、攻撃の五月雨の如く降り注ぐ。刺突撃、衝撃波、斬撃、矢、弾丸など。
動こうとしたオウカとマユだったが、
「させない!」
対応したのはカナタ。
即座に十指に呪符を挟み放り投げる。
展開されたのは〈障壁〉。しかも十枚。
生半可な攻撃なら一枚で防げる物を十枚に重ねる。
どうにか攻撃を遮断しきる。
礼を言う二人にカナタは言った。
「ありがとう先輩」
「助かった」
「足手纏いはもう御免よ」
そうして三人は斬撃が降って来た方向を見る。そこには先程オウカが倒した刀鬼がいた。しかも六体。多少見た目と色に違いがある。
数はこちらが三人、相手が六人。こちらが不利。
オウカがある事を提案する。
「どうする? 俺が全部やr」
「わたしも戦う」
「マユさんの言う通りよ。元は私の責任なのだから」
即座に却下を貰う。なので結局。
「じゃあ一人二殺で」
「わかった」
「……ええ」
そうして三人は敵に向かって行った。
******
カナタが相手取った二体。一言で言うなら矛盾の鬼だった
片方は半月状の盾が両腕にくっついていた。つまり両腕を合わせれば丸盾になる。
もう一方は巨大な矛を持っていた。よく見ると右手を融合している。
「矛盾……ですか?」
そう言えばコナタは刀が主体だが、他の武器も扱えたなと思っていると。
「カアァ!」
矛鬼が気合の声と共に打ち込んで来た。しかも一回で終わらない連続突き。
それをカナタは回避。全弾かすりもしない。
じれったくなったのか、矛鬼は溜めを使っての突きを放つ。
「待ってたわ」
引きつけ、ギリギリで回避して、そのままするりと間合いの内に入り込む。そうして刀を振るう。選んだのは【焔火炎】。威力の高さを選ぶ。
「一体目」
だが、その炎の一刀は盾鬼が防ぐ。刀と盾が競り合いを起こす。
「カアァ!」
矛鬼がその隙を狙って連続突きを打ち込んで来た。
それをカナタは【焔火炎】を納刀し、【翼】を抜刀。スピードを上げて回避。因みに【助格】は抜刀済み。コスト削減は大事。
「なるほど」
役割分担がなっている。ならばこそ、どちらかを崩せば止まる。
「ではこうしましょう」
カナタは【助格】を納刀し、代わりに【雷丸】を抜刀。
「「!!」」
その動作に矛盾双方共に不味いという表情になる。どうやら知っているらしい。矛鬼が身を屈め、盾鬼が上空に盾を翳す。そこへ雷が降り注ぐ。
だが、
「ねえ知ってる?」
【雷丸】
この刀は雷を上から降り注がせるだけではない。
「雷って横からも襲い掛かるものなのよ?」
雷が横からも襲い掛かる。しかも四方八方から。
「グギ!?」
「ギャアアァァ!?」
ダメージを受ける矛盾双方。特に矛鬼はダメージが大きかったらしく、黒焦げになって倒れた。
「……残り一体」
ふらりと倒れそうになるカナタ。だがその消耗を、口の中に隠していた回復用の丸薬を噛み砕き嚥下し、即座に回復。そのまま盾鬼へと迫る。
「これで」
カナタは呪符を十枚飛ばす。それらは盾鬼の周囲を囲む。呪符から炎、風、冷気、電撃、光線が放出され盾鬼を削っていく。
「とどめ」
両手に握るのは【焔火炎】その刀身が燃える。その炎は赤から青へ、青から白へ、そして、色が無くなる。
「ハア!」
バーナーブレードとバフを掛けての一刀両断。盾鬼はどうにか防ごうとしたものの、今までの攻撃によって耐久値が減った盾で防げるはずがない。
「グ」
断末魔を一言しか漏らせず盾鬼は真っ二つ。そして炎上した。
******
マユが相手取っていたのも二体の鬼。だが武器が違っていた。無言で攻撃を仕掛けて来る。
「……」
「……」
舞い踊るように攻撃を回避。実の所、叢雅一門自衛の手段を持っており、ほとんどが何かしらの武芸を収めている。ガンスミスが本業であった、弾指叢雅は二丁拳銃で跳弾すら使いこなすのが良い例である。
だが、今回の相手が悪かった。
「どうしよう」
一方は弓鬼。右手が弓になり、左指が矢になっており、五射ずつ射て来る。しかも連続で。
もう一方は銃鬼。右手が機関銃になっており、連射して来る。
しかも両方共、弾切れの様子がない。
「近づけない」
実の所、マユは武芸百般全体的にこなせる。というか使い手であるオウカの技能を使える。だが、現状彼女は飛び道具を持っていない。持っているのは……
「これとこれだけ」
刺身包丁とケーキナイフ。
「今度ちゃんと武器用意しょう」
この二つは、オウカの武器を作った彼女の作品を、マユが更に強化したモノ。生半可な業物以上の切れ味と強度を誇る。
「使うしかない?」
そして、マユにはこの二つを使った自衛の手段がある。だが、制限があるうえ、予想が正しければここで普通に使うのは悪手。対策されても防げないモノを使わなければならない。
だが、このまま時間稼ぎに徹すれば自分の相手を倒した二人が助けてくれるだろう。しかし、あの二人に負担をかけたくはない。
「どうしよう」
考えるマユ。その時だった。
「あ」
彼女が見つけたのは、手に握り込めるサイズの石。
「使おう」
蹴りで石を蹴り上げ、右手で掴む。そして、左指を当てる。
「〈
手札を切るマユ。その言葉と同時、石が光る。その石を大きく振りかぶり、
「わたしの一撃、受け止めて」
投げた。しかも上空目がけ。
「……」
「?」
その動作に呆れ、首を捻る鬼達だったが、それはすぐさま驚愕に変わった。
「!」
「!?」
バスケットボール大の隕石が落ちて来た。しかも大量に。
「!」
「!!」
どうにか撃ち落とそうとする鬼達。だがそちらに意識を割き過ぎた。
「隙あり」
マユは地面を踏み砕き、一気に間合いを詰める。隕石は事前に軌道を決める事で全弾回避。どうにか迎撃しようとした鬼達だったが、少し遅かった。
「〈
彼女はこれでも刀工の端くれ。器具に性質付与ができる。とは言え普通の物では耐久値が減るので一回の使用がせいぜい。だが、この刺身包丁とケーキナイフなら、十回程度は可能。
「【ミストルティン】」
先程の石には矢を隕石にする弓のチカラを付与。
今回の刺身包丁とケーキナイフには防御を零にする剣のチカラを付与。
その結果。
「!」
「!!」
鬼二人は木っ端微塵になった。
******
「ガアアア!」
「グラララ!」
オウカが相手取った二体の鬼。片方は右手が斧、もう片方は左手が鎚になっていた。そしてどちらも生粋のパワーファイター。
それに対しオウカが選んだ戦法は、
「オオオオオオ!」
脳筋丸出し。こちらもパワーでゴリ押す事だった。【イーコール】をパワーに振り両手に握るのは双剣を振り回す。なのだが、あまりに大きく身の丈以上にあるので、双大剣と言うべき物。
そして、それらが激しくぶつかりあっていた。斧と剣、鎚と剣。ぶつかり合うたびに双方の地面が軋み金属音が響く。
一見互角のように見えたが、
(不味いな。飛ばし過ぎた……)
実はオウカが不利になっていた。色々手札が多いのだが、その分、継戦に不安がある。まだ維持は可能だが、持久戦になった場合、先に潰れるのはこっち。
そしてそれよりも問題なのは、
(向こうはもうすぐケリが付く。加勢して貰うのは何か恰好が付かない)
こちらが倒すのが一番最後というのは何か嫌だ。競っている訳ではないが。
なので。
「一気に決めるか」
そういう訳で手札を切る。武器と武器がぶつかり合う衝撃を活かし、間合いを離す。双大剣と入れ替わるように出したのは大鎌。ザンカとの戦いでも出した武器。とあるギミックがあるが、今回は割愛。
「フウ……」
息を吐き精神統一。そして、鎌の刃に〈
(選択、抽出、付与)
〈呪詛〉、〈毒〉、〈次元断〉、〈攻撃炸裂〉
ここまではザンカの時と同じ。だが、ここから更に追加。
「ガ!」
「グラアァァ!」
鬼二体は不味いと判断。斧鬼は耐える態勢を取り、鎚鬼はオウカを潰さんと迫る。
「ん」
だがオウカは動じない。
〈飛斬〉、〈威力拡大〉、〈武器破壊〉、〈多重化〉
無理矢理載せるような物なので安定させるのには精神を擦り減らす。だが、敵は間近に迫るが全く動じない。
そして、間合いに入った鎚鬼が武器を振ると同時、
「グラァ!」
「ハア!」
オウカも、ザンカの時よりも数倍禍々しくなった大鎌を振るう。その一撃は鎚ごと鬼を両断。しかも、そこから鬼は斬り刻まれる。
更に、その斬撃は斧鬼にも迫り到達。
「!?」
末路は同じだった。こちらも斧ごと鬼は両断後に、斬り刻まれた。
【TIPS】
(㈩*㈩)<<冥刀>の置き土産。この世界だとほぼ事例なし。だから皆知らない。
(・▽・)<なぜでしょう?
(#ー#)<テメエらの世界が物騒すぎるからだろうが。
(㈩*㈩)<そして、二パターン存在する。
(#ー#)<二つ?
(㈩*㈩)<ええ。一つ目。破壊されたモノが使い手に何かしら遺す。
(㈩*㈩)<そして、二つ目。使い手と殉じる際に、特定人物に遺す。
(#ー#)<
(㈩*㈩)<両方。実際ここにもいる。
(#ー#)<?
(・▽・)<イエイ♪
【イーコール】
(㈩*㈩)<液体型の<冥刀>。血液に代替する。
(㈩*㈩)<能力は身体強化。切り替え可能。シンプルで強いタイプ。
(㈩*㈩)<しかも代替のモノはその部位を喰らうのが代償だから。
(㈩*㈩)<コレは比較的軽め。一応。
(#ー#)<一応って?
(・▽・)<滅茶苦茶痛いんですよ。喰らわれたり、融合する際。
(#ー#)<……納得。
【レギンナグラル】
(㈩*㈩)<釘型の<冥刀>。体に埋め込み、否、打ち込み使う。
(#ー#)<う、打ち込み!?
(・▽・)<使い手と融合するモノって結構そういうの多いんですよね。
(㈩*㈩)<能力は攻撃、主に、拳の連打炸裂。防御貫通とダメージ浸透効果付。
(・▽・)<釘○ンチ、二○の極み、鐵○断風?
(㈩*㈩)<それが近い。そして、使い手の応用技はもう凄まじいの一言