(㈩*㈩)<今更だけどさ、プレイヤーの育成高校って学科とかあるの?
(#ー#)<ある。戦闘科、技巧科、経営科の三つは何処もある。
(#ー#)<それと、道立光ヶ星は特殊科も含めた四つだな。
(#ー#)<まあ一般の科目とか、共通する科目は一緒に学んで、
(#ー#)<専門科目で別れる感じだな。
(㈩*㈩)<へえ。
(・▽・)<この特殊科って何です?
(#ー#)<戦い、生産者、補助者以外だよ。
(#ー#)<研究者とか学者とかの育成だな
(#ー#)<まあ他三つと比べると比率が少ないから、光ヶ星にしかない。
(#ー#)<因みに大学も付属してる。
一見すればレイリが押しているようだが……
ミユがポツリと呟く。
「下がってる?」
レイリは徐々に下がっていった。
そして、壁際に到達した所で。
「あ……」
遂に下がれなくなるレイリ。
マリアはそのまま距離を詰め、零距離に持ち込む
そして。
「記念に貰っておきなさい」
「うぐ」
マリアのワンインチパンチが、レイリの腹部に炸裂。
レイリは巨大斧を落とし、腹部を押さえてうずくまる。
「レイリ!」
「待った」
駆け寄ろうとしたイヌコを止めるオウカ。
そこへミユが説明する。
「大丈夫です。手加減してるようですから」
「アレで!?」
「ええ」
ミユには――元殺し屋である彼女にはわかる。
アレはほとんど力を込めていない。
(血どころか、胃の物も吐いていないもの……)
その考え通り、レイリはどうにか起き上がる。
「ふう……。痛かったです!」
結構元気そう。
そんな様子にオウカはイヌコに言う。
「アイツが本気だったら……」
「「ら?」」
「いや、言わないでおこう」
「「言えよ!?」」
ツッコミを貰うもオウカは言わない。
なので、カヤが代表してマリアに問いかける。
「ええと……マリアさん」
「はい。何でしょうか?」
「今の一撃、本気だったら彼女はどうなっていたの?」
「えっと……」
マリアの目線がオウカを向く。
なので、視線で伝える。
『自分の判断で』
なのでマリアは説明する事にした。
「お腹に穴が空くか、臓物をぶちまけながら破裂します」
「え!?」
「「……!」」
驚いたマリア、絶句するしかない一同だった。
それにオウカは捕捉する。
「マリアは五体が凶器だから」
先天性の体質により、冥刀の補正や強化がなくても、生半可な攻撃すら通さない強度と、戦車を持ちあげる凄まじい力を持つ。
それが、戦闘技術を身に着けた事により、鬼に金棒以上の事になっている。
「それ誉め言葉?」
そんな彼の言葉にクインが首を捻って疑問を投げかけた。
「ああ、当り前だろ」
「照れます……」
その称賛を素直に受け取るマリア。
だが、直ぐに表情を引き締め、レイリの方を向く。
「レイリさん……でしたね」
「はい」
「貴方のそのパワーは凄まじい。ですが、予備動作が丸わかりです」
「ワンコちゃんにもよく言われてます」
空気を読みツッコミを入れないイヌコ。
「だから脱力と、斧が振るえない距離での戦闘を何か覚えた方が良いですね」
「はい!」
その言葉にレイリは元気よく頷いた。
そんな訳でマリアとレイリが下がり、次はどうするか? という話になる。
真っ先に否定するのはイヌコ。
「私は戦闘専門じゃないわよ。クラフターだもの」
「アクセサリー作ってくれてるんですよ」
レイリの捕捉に、全員がへえ~となる。
プレイヤー専門高校は戦闘者を育成するだけでなく、武器や装備の製作・修理をおこなう技術者、プレイヤーの生活や地位を支える会社などの業務者や経営者などの育成もおこなう。
因みにクラスは他の学科の人と混ぜこぜで、授業事に分かれる方式。
閑話休題。
次に否定したのはミユ。
「私もご遠慮させてください」
理由は二つ。
自分の手札は隠しておきたい事と、仕事のために消耗は少なくしておきたい。
「そう。残念」
オウカは、となると……とクインを見る。
「やるかい?」
「ん」
親指を上げサムズアップ。
やる気があって何より。
「じゃあ、相手はどうするか……」
最悪自分がやる、と周りを見渡す。
その時だった。
銀の腕が上がる。
「サク」
「ん?」
「ウチがやる」
それはヒナタだった。
……
…………
………………
そして向かい合う二人。
双方共に得物を構える。
クインは身の丈以上の双大剣、ヒナタはハンマー。
二人共に大型重量武器。
マリア(ナチュラルにオウカの隣にいる)が呟く。
「二人共、パワーファイターなのですかね?」
「いや、スピードもある」
双方の戦闘スタイルを知っているオウカがそう言った。
クインは重力を活かしてパワーやスピードを引き上げている。
ヒナタはパワーファイターだが、邪眼のチカラでスピードを相手と同等に出来る。
「さて、どうなるかね?」
何か色々得体が知れないクインと、修羅場や鉄火場を潜り抜けているヒナタ。どっちが勝つかオウカにもわからない。
そして、合図と共に――双方同時に動く。
クインは重力操作で一気に間合いを潰す。
ヒナタは外套を帯状に伸ばし、地面に固定。スリングショットの応用で飛び出す。
速度は同等。中央で二人の武器がぶつかる。
「……ん」
「……」
そうして斬撃と打撃の応酬となる。
どちらも大型重量武器とは思えないスピードで振るう。
(ハンマーを小枝みたいに振ってる)
(大剣を片手で二本ずつ振るうなんて)
感嘆した二人。
同時に、ここのままでは埒が明かないと察する。
なので――
((使うか……))
他の手札を切る事を双方共に決意した。
クインは重力操作のリソースの分配を変える。
重量操作や移動に使っているものを更に防御に回す。
必然的に双大剣の動きが遅くなり、ハンマーがクインに当たるが……
「……!」
重力バリアに遮断され体には届かない。
その隙へ、クインは右手の大剣の斬撃をねじ込む。
その攻撃をヒナタは外套を使い防ぐ。
「危ない……」
そこへ外套を刃のようにして、クインへ突き刺すが、
(駄目か)
クインの纏う重力障壁に阻まれる。
暫くの間、お互い隙を見て攻撃をねじ込み、攻撃を防御を繰り返すが、どちらも鉄壁で通らない。
((どうする……))
双方思考を巡らす。
どちらも突破する手段はあるが……
((下手したら相手が死にかねない……))
因果な事に同じ理由で躊躇う二人。
こういう模擬戦では、後遺症が残るものや、致死性の高い攻撃は禁止になっている。
だが他の選択肢もない。ならば……
「ん。ソラナキ」
「何かしら」
呼び捨てで呼びかけた│後輩《クイン》だが、│先輩《ヒナタ》は気にしない。
「死なないで」
「そっちもね。クイン」
使うしかない。
幸いにもどちらも使おうとしているので、それなら大丈夫。
……多分。
「んんん~」
クインは大剣を空に掲げる。
そして、重力障壁を解除する。今からおこなう奥の手は全てのリソースを費やさないと使えない。それどころかチカラ全てを振り絞らないとならない。
「ふう……」
ヒナタが息を吐く。
そして、外套にストックしてある能力を束ね合わせる。実はこれ、制御を手放すと外套が弾けて彼女は全裸になる。
「〈黒穴〉」
クインの言葉。
それを合図に、大剣の先に漆黒の球体……否、穴が出来る。
「〈八岐大蛇〉」
ヒナタの言葉。
それを合図に、外套から獣のような顎が出て来る。その数は八本。
その獣の首が伸び、巨大化する。もはや獣伸びアギトではなく大蛇……否、竜の顎。一本一本色は真っ黒だが、形は違う。
角が有るもの、複数持つもの、無いもの。眼が三つ以上あるもの、眼がなくのっぺらぼうようなもの、眼の所に羽が生えているものと様々。
その光景に観客達は三つに反応に分かれる。
「何アレ……?」
「ここを壊す気ですか?」
唖然とするイヌコとキョウコ。
「凄い!」
感嘆するレイリ。
「マリア」
「ええ、わかっています」
何か決めたような顔するオウカとマリア。
★☆★☆★
奥の手、切り札、鬼札、必殺技、畢竟、最終奥義。
言い方は様々だが、中堅以上のプレイヤーなら、そういう逆転の一手となるモノを持っている……事が多い。
それは冥刀などのアーティファクトだったり、クロスのようなスキルだったり、
オウカは勿論持っていたし、チカラを一度失ってからも試行錯誤の末、再び手に入れた。
そして、今の友人達も、全員何かしら持っており、現在進行形で増やしている者もいる。……カナタとか。この間の模擬戦では、オウカが初見のものが結構あった。
更に、異世界で出会った友達・仲間達、戦って来た強者達も、色々持っている。……まあ敵によっては出させずに倒した時もあるが。
******
クインとヒナタも持っている。
クインの〈黒穴〉は重力操作の極致。
全てのリソースを攻撃に回し、重力の化身となる事で、ブラックホールを作り出し、それをポンポン放り投げる。
自らも身体能力が爆増しているので、双大剣で切り込みに行くパターンもある。
因みにこれ、彼女が開発した技ではない。重力操作を手に入れた時に付属して来た。
ヒナタの〈八岐大蛇〉は外套にストックしたクロスの複合。
かつて手に入れた《グリーンクロス〔八岐大蛇〕》を核に、他のクロスを混ぜ、異形の八ツ首の竜を作り出す荒技。勿論、【カリュブディス】のチカラは使えるため、空間ごと噛み砕ける。
因みにこれ、復讐を果たし、意識不明が回復してから、作り出した。
この二つの技はとてつもなく強力なのだが、欠点がある。
どちらも長時間維持出来ず、反動があり、暫くどちらも能力を使用出来なくなる。
それでも両者共に、出す事を決意していた。
命がかかっている訳ではないうえ、負けても失うものはない。
だが双方共に……
『『やるんだったら勝ちたい』』
だからこそこうなった次第である。
■□■□
クインは生成したブラックホール(勿論小さい)をヒナタ目がけ投擲。
それにヒナタは顎の一つをブラックホール目がけ伸ばす。
中央で両者激突。
牙がブラックホールを噛み砕こうとするが、ブラックホールは顎を吸収しようとする。
拮抗する二つだったが……
「ん」
「あれま」
両者消滅。凄まじい衝撃波を放った。
それに対し、二人の行動は早かった。
クインはブラックホールを生成、ヒナタは顎を奔らせる。
再び激突、拮抗、消滅。
それが七回繰り返される。
(痛い、苦しい、辛い……)
ブラックホールを生成しながら、クインは内心顔を顰める。
かなりの体力と気力を消耗している。
これが破られたら、重力のチカラは暫く使えなくなる。
それ以外の手札は二つあるが、一つは暗殺や諜報用なので使いにくい。もう一つはバレるとかなり面倒臭い事になるので隠して起きたい。
(後一本……)
鎌首を擡げる顎を見ながら、ヒナタは内心顔を顰める。
体力と気力はまだ平気だが、使えるモノが少ない。
これが破られたら、外套は暫く使えなくなる。
義肢は元々補助なので、この状況では使いにくく、残る手札はハンマーのみになってしまうのだが、こちらには問題がある。
だからこそ!
((これで決める!))
お互いの意見が一致する。
クインは今までで一番大きいブラックホールを作り出す。
ヒナタは残りの顎に全てのチカラを込める。
そして、両者が激突……かと思われた時だった。
「「そこまで!」」
乱入者が現れる。
オウカとマリアだった。
オウカは前に出る事で攻撃を止めさせ、マリアはパイルバンカーでブラックホールを砕いた。
「!? な、何してるの!?」
ヒナタはどうにか攻撃を止める。
「ん!?」
クインは無表情が崩れ去る程、驚愕する。
両者共に驚いている。
それに二人は答える。
「このまま続けたら、場所が持たん」
「それにどちらか死にますよ?」
更にマリアは微笑んでから続ける。
「後、お二方隠して起きたいモノを使う事にもなりますよ?」
「「……」」
両者沈黙。
そして、戦闘状態を解除した。
「……わかった」
「ん」
そうして模擬戦は終わった。
……
…………
………………
その後、解散となり帰り道。
オウカはヒナタと歩いていた。
因みに他の面々は道が違ったり、何かしら用事があったりする。
マリアは一緒に帰ろうとしていたが、カヤに呼び出されていた。
と言う訳で二人きり。
「不完全燃焼……」
ぼやいたヒナタにオウカは苦笑する。
「気持ちはわかるけど、あそこで止めてなきゃ、エライことになってたぞ」
「それはわかる」
どっちも止まらなくなっていた。
「それに手札は無闇矢鱈に出すものじゃない」
秘めて置いた方が対策はされないのだから。
【コソコソ話】
(・▽・)<クインさんの重力を使った戦闘スタイルのイメージは
(・▽・)<どこぞの将軍と、小柄の黒い帽子の人。
(#ー#)<わからねえよ。
(㈩*㈩)<ええと、ラ〇ーンと、文〇トの中〇中也?
(・▽・)<それです!
(#ー#)<おい!?