(・▽・)<このイムロンさん、ザンカさんがお金出してこの商売を始めました。
(・▽・)<腕が良いので、お金はあっという間に返し終えました。
(・▽・)<そして、今は依頼の仕事と、趣味で武器や防具を作ってます。
(㈩*㈩)<素材とかはどうしているの?
(・▽・)<ザンカさんやジンナさんに頼んで、様子を見るついでに届けてます。
(・▽・)<貴方方みたく、その辺の石ころを金属には出来ませんよ。
(㈩*㈩)<それもそうか。
(#ー#)<何かさらりと語られた!
それからオウカはジンナに手伝って貰って様々な武器を冥刀化していく。二手に別れて行動して、付いている説明文を読みマシそうな物を冥刀にしていくのだが、一向に成功しない。
……とは言え何の成果もない訳ではなく、ぎゅうぎゅうとしていた倉庫が片付き始めていた。
(流れ作業になってる……)
心の中で呟くジンナ。
少し離れた所にいるオウカを見てみると、彼は無表情になっている。
(大丈夫かな?)
同時にある事を思う。
(失敗作も色々あるな……)
実は冥刀化する際に、ちゃんと武器の説明を読む二人。
最初の試した重すぎるナイフ、防御出来ないレイピア以外も色々あった。
光熱照射が可能だが、振るった人も光熱ダメージを喰らう斧。
燃費が悪すぎて数秒しか維持出来ないエナジーブレード。
製作コストが高すぎて使い捨てとして使うにはあまりに勿体ない投槍。
攻撃を倍返しで跳ね返すが、ダメージはそのまんま喰らってしまう盾。
ステータスバフはなく、修復機能もない、頑強さしか取り柄のないモーニングスター。
鞘から引き抜くと、敵味方(自身含む)無差別に腐毒をまき散らす片刃剣。
どれもが跡形もなく消えた。
(頑張れば利用出来そうなのもあったけど)
そんな事を思ってると、ふと壁に掛けられた武器が眼に入る。
「何これ……」
ジンナが呟くのも無理はなかった。
それは一言で言うなら二枚の刃を持つ大鎌。……因みに色々問題がある武器――携帯性もイマイチなうえ、刃が内側なので使いにくく、刃から手元にかけては死角になる――なので、今の時代でも、冥刀が生まれた世界でも使い手はかなり少ない。
それだけでも使いにくいだが、他の武器も合体しており、更に使いずらくなっている。
ハルバードのように槍と斧が鎌側の柄にくっつき、逆の柄は金砕棒に鉄球がくっついたようになっている。
そんな凶器の塊の説明文にはこうあった。
『バイオレンス』
特殊能力はないが、代わりにステータスバフ極高。凄まじく頑丈なうえ、自己修復機能も持つ。
本来であれば、軽く扱いやすくなるはずだった。
それ相応の重さになったうえ、重心が滅茶苦茶になり、持ち手がなくなってしまった。
「駄目じゃん!?」
思わずツッコミを入れたジンナだった。
そんな彼女の元に、オウカが寄って来た。
「どうした?」
「あ、ああ、この武器がね……」
「ん?」
ジンナの指先が示す方を見たオウカだったが……
「あ……」
視線が固定され、動かなくなった。
「サク君?」
しかも目から涙が流れ始める。
ただ事ではない様子にジンナが心配する。
「ど、どうしたの? 大丈夫?」
「あ、ああ、悪い」
涙を拭いてオウカは答える。
「リリの武器に似てたから……」
「リリって確か……槍使いの人?」
「うん」
ジンナは色々オウカから聞いているので、心当たりがあったのだが……
(アレ?)
思い出したのは去年の対校戦で再現されたオウカの友達。
その中に槍使いはいたのだが……
「光の槍がメインウェポンじゃないの?」
「そうなんだけど……ちょっと特殊な槍なんだアレ」
「もしかして……冥刀?」
「おう」
銘は【ブリトマート】。
使い手がいない状態ではただの槍なのだが、選ぶと持ち主と融和し、光の槍を自在に出せるようになる。
しかも変形自在であり、リリことリリアーヌは短槍二本にしたり、網にしたり、クレーンゲームのようにしたり、釣竿にしたり、やりたい放題やっていた。
「アイツは普段から使ってたんだけど……」
手札は伏せて置いた方が良い。
それに投擲した場合、再度作り出すのにタイムラグがあり、生み出すのに気力が必要。コスパはかなり良いのだが、それでも消耗はあるから、普段使いの武器を作った方が良いとオウカは彼女に勧めた。
「だからヴィーに頼んで得物を作って貰った」
その結果生まれたのが最高欠作の槍……と言えるかは微妙な物。
「コレに似てるの?」
「これより凄い」
『バイオレンス』にプラスして
どう見ても使いずらい変態武器……というかキワモノ凶器なのだが。
「リリは平然と使いこなしていたけど」
「器用な人だったんだね」
器用な上にパワーとスピードも兼ね備えていた。
何より凄まじいのは戦闘センス。
戦いの中で相手の動きすら取り込み、ドンドン強くなっていく。
「会ってみたいな……」
そんな言葉を漏らしたジンナにオウカは忠告する。
「やめとけやめとけ」
「何で?」
「アイツ百合」
男嫌いの女好き。
しかもセクハラや性的に手を出す事もある。
「そのせいで、他の面々には結構嫌われていた」
「前言撤回。会いたくない」
真顔でジンナはそう言った。
発言を百八十度翻したジンナに、オウカは苦笑しながら壁の凶器に触れる。
「〈チェック〉」
すると凶器は光輝いて……消えなかった。
「やっと当たりか……」
そのまま指輪に収納する。
そして改めて出す。
軽く振り回して色々確かめていく。
(補正が高め、可変は微妙、能力は……)
ニヤリと笑みを浮かべるオウカ。
そして、仕舞う。
「うん、悪くない」
「どんな能力になったの?」
「内緒」
「えー、教えてよ」
それにオウカは少し考えてこれだけ言う。
「そこまで凄い能力じゃないけど、これには相性が良い」
「?」
流石にこれだけでは分からない。
だが、オウカは答えず、そのまま近くにあった十文字槍を手に取って冥刀化する。
しかし……
「駄目か……」
跡形も無く消えた。
………………
…………
……
倉庫の武器が粗方片付いた(若干文字通り)頃、倉庫にイムロンが戻って来る。
右手にはカステラと抹茶が置かれた盆、左手には手提げ鞄を持っている。
「食べるか?」
「頂きます!」
「いいの?」
食い気味のオウカと対照的に、訊ねるジンナ。
イムロンは答える。
「構わん。それに倉庫片付けをして貰っているような感じだからな。無償では気が引ける」
「そっか。なら貰う」
そういう訳で小休止する二人。
イムロンが訊ねる。
「それで? どうだ?」
その言葉にオウカは肩をすくめて答える。
「ぼちぼちです」
「まだ余裕はあるか?」
「あります」
十二のスロットの内、九つ程埋まった。まだ三つ程余白がある。
それに埋まっているのも「使えなくはないが……」というのがある。
なのでここの答えだった。
それにイムロンが左手に持った鞄を前に出す。
「これも使え」
「……良いんですか?」
「良い機会だからな」
そう言ってイムロンは鞄の口を開け、下にする。
すると武器が次々と出る。あっという間に片付いて来た部屋が埋まる。
「「……」」
あまりの分量に沈黙するオウカとジンナだった。
……
…………
………………
そして、全てを終えオウカとジンナは帰宅する。
「貴重な休日が丸一日潰れた……」
「アハハ」
げんなりしたオウカにジンナは笑う。
そしてフォローする。
「でもさ全部埋まったんでしょう?」
「それはまあ……」
「それにさ、バイト代もらえる事になったでしょう?」
実はこの二人、後日バイト代を貰える事になっていた。
価値は現金ではないが、時給分を遥かに超える。
「だからいいじゃない」
「……ああ」
どうにか納得したオウカだった。
★☆★☆★
月日は流れて行く。
本当に平和な日々が続いていた。
何かに巻き込まれる事もなく、自ら飛び込んでいく事もなく、オウカは過ごしていた。
その間は色々やっていた。
前に約束したリアとデートに行った。
『次はあっちに行きましょう!』
『おう』
因みに尾行者が結構いる。
『……あのプランどっちが考えたんだろう?』
『サク君だと思う。ソルさん曰く、百合女に仕込まれたんだって』
『何なんだろう……あの人』
『次はどこに行くのかな?』
『……なあ帰ってええ?』
『駄目に決まっているだろう』
そうしたら羨ましがった他の面々ともデートする事になったりした。
『わたくしとデートコースが違う……』
『ソルさん曰く、百合女の教えなんだって』
『本当に何なんだ……あの人』
『…………なあ今すぐ帰ってええ?』
『駄目。道連』
『酷い!?』
勿論遊ぶだけではない。模擬戦をしたりもした。
『脱力ぅー、脱力ぅー』
『うん。出来てる出来てる』
レイリとは稽古のような模擬戦になった。
伸びしろがあるのか、彼女はドンドン強くなっていった。
なぜかオウカも強くなったが。
『んー』
『ハッ!』
クインとは殺し合い一歩手前まで行った。
使いたがらない手札も見せて貰った。
そのおかげでなんで使いたがらないか、オウカは理解した。
『オウザキ=レイリです! 宜しくお願いします』
『ん。クイン』
『私も変人の仲間入りか……』
そう言う訳でレイリやクインがオウカがつるむ面々に加わった。……イヌコは道連れ。
『他の人と行ったのなら、ウチも』
『ああ、いいよ』
ヒナタともデートした。
『やっぱりコースが違う……』
『リリアーヌさんの教えが生きてるんだ……。何なんだあの人』
『あの二人どこまで行くんだろう?』
『下手すると最後まで……』
『……帰りたい』
『どんまい』
勿論追跡者はいる。
バイカと模擬戦をした。
『出来る、なった』
『流石』
彼女は出来る範囲を増やし、強くなった。
……それに付随してオウカも強くなっていった。
そして、新しい友達だけでなく、古い友達とも交流した。
『平和ですな、婆さん』
『そうですね、爺さん』
マリアともデートしたり、
『悪いな、付き合って貰って』
『構いませんよ』
模擬戦……と言う名の殺し合いをした。
『やっぱり修羅場に赴かないと牙が鈍る』
『……この世界は平和なのですから、それで良いのでは?』
『いや、駄目だ。アイツとの誓いだからな』
◇◆◇◆
平和が続く、そんなある日。
一年生にとっては最初の行事はやって来た。
学外実習である。
「やるんだな……」
去年あんな事があったのにと呆れていると、答える声があった。
「それはそうですわ。大惨事があった翌年もやったそうですし」
聞き覚えのある声に振り向くオウカ。
「経験を積む機会ですわ」
「ベニバナ……。もしかして?」
「お察しの通りですわ。
ベニバナだった。いつものハイカラさんスタイルをしている。
天ノ角高校を卒業し、プレイヤーとして活動していると聞いていたが、どうやら引率プレイヤーとして雇われているようだった。
(今年も結構プレイヤーがいるな……)
チラリとオウカが少し遠方を見る。
そこにはザンカがジンナを抱きしめていた。
かなりの力で抱きしめているらしく、ジンナが苦しそうに必死にタップをしている。
オウカの視線に気づいたのか、ベニバナがその視線を追って苦笑する。
「……相変わらずですわね」
「でも実力はあるから呼ばれたんだろうさ」
そんな会話をしていると、後ろから声が掛かる。
「サク様、おはようございます」
「おう、おはよう」
マリアだった。
いつもの改造シスター服のせいで、一目を引いているが、全く気にしていない。
「マリアさん! お久しぶりですわ」
「はい。確か……ハナヤマ=ベニバナさんですね」
マリアはちゃんと人の名前を覚える。
オウカの知り合いならば猶更。
「マリアさんも雇われたのですわ?」
「ええ。キョウコさんから頼まれまして」
「というかお前の場合、五校全部だろう?」
「ええ!?」
流石に驚くベニバナ。
それに澄ました顔で答えるマリア。
「はい。四つの高校の引率は無事終わりました」
「トラブルは?」
「これと言って特には」
そういうマリアだが、実のところ多少はあった。
行方不明者や危険なモンスターが迷い込んだりなどはあった。
だが、どれもすぐに解決したからこその言葉だった。
特にモンスターはマリアと殴り合ったが、最終的には敗北した。
「……平和に行くといいな」
「「はい」」
オウカの言葉にしみじみ頷く二人。
ふとオウカがザンカとジンナの方へ視線を移すと、ジンナが動かなくなっていた。
「不味!? ジンナが動いていない! 助けて来る」
オウカが走って行った。
残された二人は目配せし合い
「頑張りましょう」
「ええ」
そう言った。
【コソコソ話】
(・▽・)<少し歯抜けなので捕捉します。
(・▽・)<イムロンさんの報酬は何かしら武器や防具を作るというものです。
(㈩*㈩)<サクとジンナ、余裕で元取れてるね。
(#ー#)<なあ、“アイツ”って誰?
(・▽・)(㈩*㈩)<……。
(#ー#)<また二人して黙り込んだ!? もしや……“勇者”?
(㈩*㈩)<そう。今のサクの性格って色々な人との交流で出来たんだけど……
(・▽・)<外〇人格ですね。
(#ー#)<ほとんどの人がわからねえ例えすんな!?
(㈩*㈩)<その中でも比率が大きいのが、この拷問士と……
(・▽・)<イエイ♪
(㈩*㈩)<百合女や修道女の割合も大きいけど、
(㈩*㈩)<この勇者の比率も大きいから。……交流時間は一時間もないのに。
(#ー#)<なるほど。(嫉妬だな。)