(・▽・)<確か……ファンタジーのアレで良いんですよね?
(#ー#)<大雑把に言えばな。魔力によって変質・出現した空間・領域だな。
(㈩*㈩)<変質? 出現?
(#ー#)<森、洞窟、地下牢とかが変質する場合と、
(#ー#)<亜空間が生み出されて出現する場合がある。
(㈩*㈩)<納得した。
******
そうして見送りの後、オウカは学校を出て街を散歩をする。
この日は連休初日なので、学校はない。
(今日はどうしようかな……)
そんな事を思いながら、歩いていると、前方に見知った人影を発見する。
昴咲高校のブレザーと三つ編みにした髪の毛が特徴的な少女。
(確か……シワス=ミユだっけ)
あの模擬戦以来、会っていない。
だが、ヒナタとバイカがどういう行動しているのか伝えてくれる。
普通に高校生活を送っているそうだ。ただ、偶に休んでいるらしい。
(まあ、人に事情に深い入りする気はないけど)
こちらに飛び火する場合、助けを求めて来た場合、何か放って置けない時は別だが。
(軽く挨拶でもしとこう…)
足を速め、追い抜く。
「よっす」
「あ、サクヅキさん?」
「……覚えていたか」
てっきり忘れられたと思っていた。
そんな彼にミユは苦笑して続ける。
「忘れられませんよ。印象強いですから」
「そうか?」
「はい」
自分が変人で狂人だと分かっているオウカだが、他の友達や仲間(現在はともかく)よりマシだとは思っている。……実質五十歩百歩である。
「サクヅキさんはどうしたんですか?」
「散歩だな。そっちは?」
「私は」
言葉が止まる。
そして、何かを考えている様子。
少しして、口を開く。
「サクヅキさん」
「何?」
「連休の時間を私に貰えませんか」
「わかった」
「勿論報酬h」
言葉が止まる。
目をパチクリをさせた後、続ける。
「あの……今了承しました?」
「したな」
「な、何で……、怪しいとは思わなかったですか?」
唖然として問いかけるミユにオウカは答える。
「何か困ってる感じだから放って置けない。それに……」
「それに?」
「飛び火したら困るから、小火のうちに火は消しておく」
その答えに思わず笑ってしまうミユ。
暫く笑った後、表情を戻して告げる。
「じゃあ来てください。詳しい話を詰めましょう」
「わかった。ところで何処へ?」
「私の家です」
……
…………
………………
「どうぞ上がってください」
「おう」
普通の一軒家に靴を脱いで上がり、リビングに通される。
「お茶とコーヒー。どっちが良いですか?」
「まだ午前中だからコーヒーで」
「砂糖とミルクは?」
「お願い」
コーヒーを淹れにミユがキッチンに向かった。
その間、オウカは辺りを見渡してみる。
かなり綺麗に片付いた部屋。
(物がないのか……、元々片付けをする人なのか……)
因みに両方である。
(それと……用事か……)
恐らくは前のカナタの似たような事だろう。
(問題はどこで何と戦うか……だな)
そんな事を考えていると、盆にコーヒー、角砂糖とミルクの容器、シュークリームを乗せてミユが戻って来た。
「どうぞ」
「ありがとう」
コーヒーに角砂糖とミルクを入れて混ぜ一口飲む。
「美味しい」
「インスタントだけど?」
「それでもさ」
変な物を売らないだろうし、淘汰されていく。
オウカはシュークリームを食べてから、残りのコーヒーを飲み干す。
そして、ミユを見る。
「じゃあ、話を聞かせてくれ」
その言葉にミユは少し間を開けた後、意を決して話を始める。
「ダンジョンの攻略を手伝って欲しい」
「どこの?」
「名無しのだ」
「未登録か……」
ダンジョンは、発生原因――ボスやアイテム――を倒せば消滅するものと、消えないモノがある。後者は登録され、管理されるようになる。
だが、ダンジョンはオブジェクトの宝庫。だからこそ個人所有する人もいる。しかも未登録で。
「地下室が変異したモノで、今までは裏の人間雇ってどうにかしてたみたい」
「それが手に負えなくなった?」
「まさしく」
ダンジョンは定期的にモンスターを倒さないと、外へ侵食していく。
その果てがスタンピードだ。
「だからバレないように内密に処理したい」
「……一ついいか」
依頼を聞き、オウカは気になった事を訊ねる。
「何でしょう」
「ソレはお前がやらなきゃならない事なのか?」
その問いにミユは目を伏せる。ややあって口を開く。
「ええ」
その答えにオウカは――ニヤリと笑う。
「わかった。出発はいつだ?」
あっさりと引き受けたオウカに驚くミユ。
「いいのですか?」
「ああ。騙す気はなさそうだし、本当に困っているようだからな」
その答えにミユは少しだけ笑う。
「ありがとうございます。恩に着ます」
「ああ。で?」
「出来れば今すぐが望ましい」
「わかった。じゃあ家にちょっと戻る」
そう言って立ち上がり、ふと何かを思い出したかのようにオウカは訊ねる。
「……なぁ二人程助っ人を呼んでもいいか」
その言葉にミユは苦い顔をする。
「漏れる口は少ない方が良いからやめて欲しいんだけど」
「大丈夫。絶対漏れないし、傍から見れば二人だから」
「どういう意味?」
………………
…………
……
そうしてオウカの家にやって来たミユ。
「……なるほど」
彼が言った意味を彼女は理解した。
「久しぶりにこの体勢」
「同意」
オウカの髪には
因みに人形態で自己紹介と事情説明済み。
そうして準備を整え家を出る四人(傍目には二人)。
現地まで移動する。
「急に悪いな」
「大丈夫」
「右同」
そう答えた二人。
その光景を見ながら呟くミユ。
「それにしても……人型の冥刀なんてあったのね……」
正確にはネラは完全な冥刀と言う訳ではないが、ややこしいうえ、完全な間違いではないので訂正はしない。
「それにしても……役立つの?」
もっともな疑問だが、それにオウカは即答する。
「ああ。……まあマユは今回は微妙かもしれないが……」
マユはバフを相手に掛けられるが、本来の武器は冥刀の知識。
それに彼女は笑う。
「それは大丈夫」
「もしかして最近の別行動に関係ある?」
「お楽しみに」
そんな会話をする
もう一方はと言えば、ネラは自身の分体をミユに渡す。
「渡置」
「これは?」
「
「ありがとうございます」
役に立ちそうなので受け取り懐に仕舞っておく。
……
…………
………………
徒歩、電車、バスなどを使って付いたのは郊外にある別荘。
「……結界が張られてる」
人払い、透明化、内部遮断。
これでどうにか誤魔化して来たらしい。
「もう限界が近いらしいわ」
元々、塩漬けになっていた依頼。
限界寸前だそうだ。
そんな彼女にネラが問いかける。
「一聞」
「何でしょう?」
「
ダンジョンは状態をステージで表す
ステージⅠは大量発生。普段より生息数が多くなっている状態。数体ならどうにか捌き切れても、数が十倍にもなれば大変。
ステージⅡは生息場所が滅茶苦茶になる。要するに深い所にしかいないモンスターが浅い所に出て来ると言った具合。
ステージⅢはボスが徘徊し始める。下手をすれば、いきなりエンカウントとなりかねない危険な状態。
ステージⅣは浸食。ダンジョン内の環境がこちらにも表れ始める。こうなると早い対処が必要。
ステージⅤは出現。遂にダンジョン内のモンスターがこちらに出て来る。それの果てがスタンピードである。
問いかけに暫し沈黙したミユ。ややあって口を開く。
「最後に確認した時はステージⅡだったそうだ」
「最後? 何時?」
「……半年前」
「……(絶句)……」
あまりの放置ぶりに、ネラが啞然としていると、その言葉を聞いていたらしいオウカが質問する。
「その間は何も出来なかったの?」
「元々違法だからどうにか内密に処理しようとしたみたい」
だが、ボスモンスターがかなり厄介でどうにもならなかったそうだ。
「だからこそ強力な結界は張ったみたい。……そうして放置」
「臭いものに蓋じゃないんだから……」
臭いものと危険度が段違いである。
次にマユが質問する。
「それであなたがやれと?」
「……ああ。私だってやりたくはない」
資料を見る限り自分と相性が悪いモンスターがいる。
「だが、やらなくちゃならない」
それにマユは考える。
(口振りから察するに何かしらの組織の命令かな? 何か受けなくちゃならない事情があるみたい)
そして質疑応答をしてから突入と相成る。
結界を壊さないように転移で突入する。
「準備はいい?」
「ああ」
「大丈夫」
「了承」
「行きます」
そして四人は突入する。
******
転移場所は屋内のリビングだったはずなのだが……
「マジ、か」
いきなり襲ってきたスケルトンを、黒腕で作った鉈で斬り捨てるオウカ。
「完全にステージⅤ……」
火狐が放つ火炎弾を、氷の盾を作り出して防ぐミユ。
「完全、不味」
空中から羽攻撃を仕掛けて来る鴉を、属性弾で撃ち落とすネラ。
「どうすれば止まる?」
問いかけながら、味方にバフとリジェネを掛けるマユ。
その問いかけに答えたのはミユ。
「ダンジョンのボスを倒して、最奥にあるコアを破壊すればいい」
「「……」」
その言葉に沈黙するマユとネラ。
ボスを倒せばダンジョンの浸食は止まり、コアを破壊すればダンジョン自体を破壊可能。
……口で言うのは簡単だが、実際におこなうのは難しい。
だが、そんな状況下でオウカは笑う。
「面白くなって来た。そうでなくっちゃあな!」
「……狂ったのですか?」
「サク……頭大丈夫?」
「頭狂? 元々」
「失礼な事言っていると怒るぞ?」
三人にオウカは言う。
「ピンチはチャンス。困難な状況程楽しんだ方が良いんだよ」
そう言って彼は残りの敵を片付けにかかった。
……
…………
………………
敵を一掃し、小休止する四人。
食べ物を食べ、飲み物を飲んで、回復していく。
「「……」」
黙々と食べて行く四人。
少ししてから、オウカは口を開く。
「それで? どうするの?」
「どうするとは?」
「方針だよ」
待ちの態勢で行くのか、ダンジョン内部を探索するのか。
その問いにミユは暫く沈黙してから口を開く。
「進む」
「平気? 敵側、領域」
ネラの懸念も最も。
相手が有利な空間に飛び込んでいくようなものである。
「そっちが良いかと考えた。けど、待ちだと時間がかかる。だったら……」
「突入した方が早く終わるか」
与えられた期間は連休中。
その間に決着を付けねばならない。
「そうだな。それで行こう」
「サクがそう言うなら」
「反論、無言」
そうして立ち上がり、ネラとマユは所定の体勢に戻り、出発しようとした時だった。
「「!!」」
凄まじい圧を感じた。
ナニかがこちらに近づいて来る。
「……これはもしや?」
「ああ。おそらくボスの一体だ」
情報曰く、このダンジョンにはボスクラスが五体いるとの事。そのうち四体まではある程度の情報が存在する。
(問題は最後の一体……このダンジョンのボスが不明らしいけど)
わかっている事は四体のボスを従えている事、ソイツを倒さないとボスを再生させる事。
結構な犠牲の末分かった情報である。
(さあ、鬼が出るか、蛇が出るか)
そして現れたのは――四足歩行の獣。
象程の大きさの巨大な獅子。ただし体には虎柄の縞模様があり、口から剣歯虎のように牙が二本飛び出している。
付けられた名前は……
「【サーベライガー】か」
ユニークボスモンスターである。
「確か……特殊能力はないんだっけ?」
「そのはず。でm」
最後まで言えなかった。
【サーベライガー】が襲いかかってくる。一瞬で間合いを潰し、前足を振り下ろす。
それを二手に別れ、横っ飛びに回避する二人。
ギリギリ避ける事は出来たものの、振り下ろしの衝撃波で二人はゴロゴロ転がる。
(ただの一撃でコr)
起き上がったオウカへ【サーべライガー】は追撃を仕掛ける。
『GARRRRRR!!』
サーベルのような牙が迫る。それをオウカは咄嗟に鉈を二本のロングナイフにして防いだが……
「重!?」
そのままオウカは押し倒された。
【コソコソ話】
(#ー#)<ダンジョンの成長? 深度? の度合いはステージⅤまでで表すが、
(#ー#)<あくまでアレは大雑把な分け方だ。
(#ー#)<例えばステージⅤで、雑魚クラスが出て来るならまだマシ。
(#ー#)<ダンジョンボスが進出してきたら、もう末期。
(・▽・)<だから管理されているんですね。
(#ー#)<まあな。……まあ違法に所持している奴もいるけど。
(㈩*㈩)<メリットが大きいからね。
(#ー#)<ああ。