冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:ダンジョン】
(・▽・)<確か……ファンタジーのアレで良いんですよね?

(#ー#)<大雑把に言えばな。魔力によって変質・出現した空間・領域だな。

(㈩*㈩)<変質? 出現?

(#ー#)<森、洞窟、地下牢とかが変質する場合と、

(#ー#)<亜空間が生み出されて出現する場合がある。

(㈩*㈩)<納得した。


117

 ******

 

 

 そうして見送りの後、オウカは学校を出て街を散歩をする。

 この日は連休初日なので、学校はない。

 

(今日はどうしようかな……)

 

 そんな事を思いながら、歩いていると、前方に見知った人影を発見する。

 昴咲高校のブレザーと三つ編みにした髪の毛が特徴的な少女。

 

(確か……シワス=ミユだっけ)

 

 あの模擬戦以来、会っていない。

 だが、ヒナタとバイカがどういう行動しているのか伝えてくれる。

 普通に高校生活を送っているそうだ。ただ、偶に休んでいるらしい。

 

(まあ、人に事情に深い入りする気はないけど)

 

 こちらに飛び火する場合、助けを求めて来た場合、何か放って置けない時は別だが。

 

(軽く挨拶でもしとこう…)

 

 足を速め、追い抜く。

 

「よっす」

「あ、サクヅキさん?」

「……覚えていたか」

 

 てっきり忘れられたと思っていた。

 そんな彼にミユは苦笑して続ける。

 

「忘れられませんよ。印象強いですから」

「そうか?」

「はい」

 

 自分が変人で狂人だと分かっているオウカだが、他の友達や仲間(現在はともかく)よりマシだとは思っている。……実質五十歩百歩である。

 

「サクヅキさんはどうしたんですか?」

「散歩だな。そっちは?」

「私は」

 

 言葉が止まる。

 そして、何かを考えている様子。

 少しして、口を開く。

 

「サクヅキさん」

「何?」

「連休の時間を私に貰えませんか」

「わかった」

「勿論報酬h」

 

 言葉が止まる。

 目をパチクリをさせた後、続ける。

 

「あの……今了承しました?」

「したな」

「な、何で……、怪しいとは思わなかったですか?」

 

 唖然として問いかけるミユにオウカは答える。

 

「何か困ってる感じだから放って置けない。それに……」

「それに?」

「飛び火したら困るから、小火のうちに火は消しておく」

 

 その答えに思わず笑ってしまうミユ。

 暫く笑った後、表情を戻して告げる。

 

「じゃあ来てください。詳しい話を詰めましょう」

「わかった。ところで何処へ?」

「私の家です」

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

「どうぞ上がってください」

「おう」

 

 普通の一軒家に靴を脱いで上がり、リビングに通される。

 

「お茶とコーヒー。どっちが良いですか?」

「まだ午前中だからコーヒーで」

「砂糖とミルクは?」

「お願い」

 

 コーヒーを淹れにミユがキッチンに向かった。

 その間、オウカは辺りを見渡してみる。

 かなり綺麗に片付いた部屋。

 

(物がないのか……、元々片付けをする人なのか……)

 

 因みに両方である。

 

(それと……用事か……)

 

 恐らくは前のカナタの似たような事だろう。

 

(問題はどこで何と戦うか……だな)

 

 そんな事を考えていると、盆にコーヒー、角砂糖とミルクの容器、シュークリームを乗せてミユが戻って来た。

 

「どうぞ」

「ありがとう」

 

 コーヒーに角砂糖とミルクを入れて混ぜ一口飲む。

 

「美味しい」

「インスタントだけど?」

「それでもさ」

 

 変な物を売らないだろうし、淘汰されていく。

 

 オウカはシュークリームを食べてから、残りのコーヒーを飲み干す。

 そして、ミユを見る。

 

「じゃあ、話を聞かせてくれ」

 

 その言葉にミユは少し間を開けた後、意を決して話を始める。

 

「ダンジョンの攻略を手伝って欲しい」

「どこの?」

「名無しのだ」

「未登録か……」

 

 ダンジョンは、発生原因――ボスやアイテム――を倒せば消滅するものと、消えないモノがある。後者は登録され、管理されるようになる。

 だが、ダンジョンはオブジェクトの宝庫。だからこそ個人所有する人もいる。しかも未登録で。

 

「地下室が変異したモノで、今までは裏の人間雇ってどうにかしてたみたい」

「それが手に負えなくなった?」

「まさしく」

 

 ダンジョンは定期的にモンスターを倒さないと、外へ侵食していく。

 その果てがスタンピードだ。

 

「だからバレないように内密に処理したい」

「……一ついいか」

 

 依頼を聞き、オウカは気になった事を訊ねる。

 

「何でしょう」

「ソレはお前がやらなきゃならない事なのか?」

 

 その問いにミユは目を伏せる。ややあって口を開く。

 

「ええ」

 

 その答えにオウカは――ニヤリと笑う。

 

「わかった。出発はいつだ?」

 

 あっさりと引き受けたオウカに驚くミユ。

 

「いいのですか?」

「ああ。騙す気はなさそうだし、本当に困っているようだからな」

 

 その答えにミユは少しだけ笑う。

 

「ありがとうございます。恩に着ます」

「ああ。で?」

「出来れば今すぐが望ましい」

「わかった。じゃあ家にちょっと戻る」

 

 そう言って立ち上がり、ふと何かを思い出したかのようにオウカは訊ねる。

 

「……なぁ二人程助っ人を呼んでもいいか」

 

 その言葉にミユは苦い顔をする。

 

「漏れる口は少ない方が良いからやめて欲しいんだけど」

「大丈夫。絶対漏れないし、傍から見れば二人だから」

「どういう意味?」

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 そうしてオウカの家にやって来たミユ。

 

「……なるほど」

 

 彼が言った意味を彼女は理解した。

 

「久しぶりにこの体勢」

「同意」

 

 オウカの髪には(マユ)、肩には機械蟻(ネラ)

 因みに人形態で自己紹介と事情説明済み。

 

 そうして準備を整え家を出る四人(傍目には二人)。

 現地まで移動する。

 

「急に悪いな」

「大丈夫」

「右同」

 

 そう答えた二人。

 

 その光景を見ながら呟くミユ。

 

「それにしても……人型の冥刀なんてあったのね……」

 

 正確にはネラは完全な冥刀と言う訳ではないが、ややこしいうえ、完全な間違いではないので訂正はしない。

 

「それにしても……役立つの?」

 

 もっともな疑問だが、それにオウカは即答する。

 

「ああ。……まあマユは今回は微妙かもしれないが……」

 

 マユはバフを相手に掛けられるが、本来の武器は冥刀の知識。今回の相手(モンスター)ではあまり使えないと思ったのだが。

 それに彼女は笑う。

 

「それは大丈夫」

「もしかして最近の別行動に関係ある?」

「お楽しみに」

 

 そんな会話をする相棒同士(オウカとネラ)

 もう一方はと言えば、ネラは自身の分体をミユに渡す。

 

「渡置」

「これは?」

当機(わたし)、分体。通信、等々、可能」

「ありがとうございます」

 

 役に立ちそうなので受け取り懐に仕舞っておく。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 徒歩、電車、バスなどを使って付いたのは郊外にある別荘。

 

「……結界が張られてる」

 

 人払い、透明化、内部遮断。

 これでどうにか誤魔化して来たらしい。

 

「もう限界が近いらしいわ」

 

 元々、塩漬けになっていた依頼。

 限界寸前だそうだ。

 そんな彼女にネラが問いかける。

 

「一聞」

「何でしょう?」

迷宮(ダンジョン)階梯(スタージ)?」

 

 ダンジョンは状態をステージで表す

 

 

 ステージⅠは大量発生。普段より生息数が多くなっている状態。数体ならどうにか捌き切れても、数が十倍にもなれば大変。

 ステージⅡは生息場所が滅茶苦茶になる。要するに深い所にしかいないモンスターが浅い所に出て来ると言った具合。

 ステージⅢはボスが徘徊し始める。下手をすれば、いきなりエンカウントとなりかねない危険な状態。

 ステージⅣは浸食。ダンジョン内の環境がこちらにも表れ始める。こうなると早い対処が必要。

 ステージⅤは出現。遂にダンジョン内のモンスターがこちらに出て来る。それの果てがスタンピードである。

 

 

 問いかけに暫し沈黙したミユ。ややあって口を開く。

 

「最後に確認した時はステージⅡだったそうだ」

「最後? 何時?」

「……半年前」

「……(絶句)……」

 

 あまりの放置ぶりに、ネラが啞然としていると、その言葉を聞いていたらしいオウカが質問する。 

 

「その間は何も出来なかったの?」

「元々違法だからどうにか内密に処理しようとしたみたい」

 

 だが、ボスモンスターがかなり厄介でどうにもならなかったそうだ。

 

「だからこそ強力な結界は張ったみたい。……そうして放置」

「臭いものに蓋じゃないんだから……」

 

 臭いものと危険度が段違いである。

 次にマユが質問する。

 

「それであなたがやれと?」

「……ああ。私だってやりたくはない」

 

 資料を見る限り自分と相性が悪いモンスターがいる。

 

「だが、やらなくちゃならない」

 

 それにマユは考える。

 

(口振りから察するに何かしらの組織の命令かな? 何か受けなくちゃならない事情があるみたい)

 

 そして質疑応答をしてから突入と相成る。

 結界を壊さないように転移で突入する。

 

「準備はいい?」

「ああ」

「大丈夫」

「了承」

「行きます」

 

 そして四人は突入する。

 

 

 ******

 

 

 転移場所は屋内のリビングだったはずなのだが……

 

「マジ、か」

 

 いきなり襲ってきたスケルトンを、黒腕で作った鉈で斬り捨てるオウカ。

 

「完全にステージⅤ……」

 

 火狐が放つ火炎弾を、氷の盾を作り出して防ぐミユ。

 

「完全、不味」

 

 空中から羽攻撃を仕掛けて来る鴉を、属性弾で撃ち落とすネラ。

 

「どうすれば止まる?」

 

 問いかけながら、味方にバフとリジェネを掛けるマユ。

 

 その問いかけに答えたのはミユ。

 

「ダンジョンのボスを倒して、最奥にあるコアを破壊すればいい」

「「……」」

 

 その言葉に沈黙するマユとネラ。

 ボスを倒せばダンジョンの浸食は止まり、コアを破壊すればダンジョン自体を破壊可能。

 ……口で言うのは簡単だが、実際におこなうのは難しい。

 

 だが、そんな状況下でオウカは笑う。

 

「面白くなって来た。そうでなくっちゃあな!」

「……狂ったのですか?」

「サク……頭大丈夫?」

「頭狂? 元々」

「失礼な事言っていると怒るぞ?」

 

 三人にオウカは言う。

 

「ピンチはチャンス。困難な状況程楽しんだ方が良いんだよ」

 

 そう言って彼は残りの敵を片付けにかかった。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 敵を一掃し、小休止する四人。

 食べ物を食べ、飲み物を飲んで、回復していく。

 

「「……」」

 

 黙々と食べて行く四人。

 少ししてから、オウカは口を開く。

 

「それで? どうするの?」

「どうするとは?」

「方針だよ」

 

 待ちの態勢で行くのか、ダンジョン内部を探索するのか。

 その問いにミユは暫く沈黙してから口を開く。

 

「進む」

「平気? 敵側、領域」

 

 ネラの懸念も最も。

 相手が有利な空間に飛び込んでいくようなものである。

 

「そっちが良いかと考えた。けど、待ちだと時間がかかる。だったら……」

「突入した方が早く終わるか」

 

 与えられた期間は連休中。

 その間に決着を付けねばならない。

 

「そうだな。それで行こう」

「サクがそう言うなら」

「反論、無言」

 

 そうして立ち上がり、ネラとマユは所定の体勢に戻り、出発しようとした時だった。

 

「「!!」」

 

 凄まじい圧を感じた。

 ナニかがこちらに近づいて来る。

 

「……これはもしや?」

「ああ。おそらくボスの一体だ」

 

 情報曰く、このダンジョンにはボスクラスが五体いるとの事。そのうち四体まではある程度の情報が存在する。

 

(問題は最後の一体……このダンジョンのボスが不明らしいけど)

 

 わかっている事は四体のボスを従えている事、ソイツを倒さないとボスを再生させる事。

 結構な犠牲の末分かった情報である。

 

(さあ、鬼が出るか、蛇が出るか)

 

 そして現れたのは――四足歩行の獣。

 象程の大きさの巨大な獅子。ただし体には虎柄の縞模様があり、口から剣歯虎のように牙が二本飛び出している。

 付けられた名前は……

 

「【サーベライガー】か」

 

 ユニークボスモンスターである。

 

「確か……特殊能力はないんだっけ?」

「そのはず。でm」

 

 最後まで言えなかった。

 

 【サーベライガー】が襲いかかってくる。一瞬で間合いを潰し、前足を振り下ろす。

 それを二手に別れ、横っ飛びに回避する二人。

 ギリギリ避ける事は出来たものの、振り下ろしの衝撃波で二人はゴロゴロ転がる。

 

(ただの一撃でコr)

 

 起き上がったオウカへ【サーべライガー】は追撃を仕掛ける。

 

『GARRRRRR!!』

 

 サーベルのような牙が迫る。それをオウカは咄嗟に鉈を二本のロングナイフにして防いだが……

 

「重!?」

 

 そのままオウカは押し倒された。




【コソコソ話】
(#ー#)<ダンジョンの成長? 深度? の度合いはステージⅤまでで表すが、

(#ー#)<あくまでアレは大雑把な分け方だ。

(#ー#)<例えばステージⅤで、雑魚クラスが出て来るならまだマシ。

(#ー#)<ダンジョンボスが進出してきたら、もう末期。

(・▽・)<だから管理されているんですね。

(#ー#)<まあな。……まあ違法に所持している奴もいるけど。

(㈩*㈩)<メリットが大きいからね。

(#ー#)<ああ。
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