〈
(㈩*㈩)<物品に<冥刀>の特性を付与できる。
(㈩*㈩)<わたしの自衛手段。
(㈩*㈩)<でも、普通の物品だと一回で塵。
(㈩*㈩)<業物でもあまり持たない。
(㈩*㈩)<欠点まみれ。ハア。
【ダニルウ】
(・▽・)<弓型の<冥刀>。能力は矢の分裂・隕石化。
(・▽・)<広域殲滅に有利。
【ミストルティン】
(#ー#)<剣型の<冥刀>。能力は防御無視・防御零化。
(#ー#)<ただし自分の防御も低下するデメリットあり。
「う~」
オウカは大鎌を支えにしゃがみ込む。実の所、今の技は消耗が大きい。とは言え回復可能な範囲ではある。
(何か食べよう)
そう思ってオウカは大鎌を仕舞い、食べ物を出そうとすると。
「食べる?」
いつの間にかやって来た、カナタが渡したのは特大のチョコバー。それをオウカ有り難く受け取り食べる。数秒で無くなる。そんな彼に更に、
「はい、どうぞ」
こちらもいつの間にか傍にいた、マユがジャーキーを渡す。それも有り難く受け取り食べる。これもあっという間に消えた。
「飲む?」
「どうぞ」
二人が渡したのは飲み物。カナタはノンカフェインのお茶、マユは甘めのスポーツドリンク。それも飲み干し。
「ふぃ~」
一息付くオウカ。そして、礼を言いながら立ち上がる。
「ありがとう二人とも」
二人とも大した事ないと言う。
少しだけ雰囲気が弛緩した。それは隙を生む
「隙あり」
「「!」」
「!?」
第三者の声。
咄嗟に反応したのはオウカとマユ。だが、
「え」
その相手が狙ったのは反応出来ないカナタだった。その相手は左手に持っていた太刀を振るう。
「不」
振り下ろされる刃からオウカは庇うが、
「味」
首が飛んだ。
「い」
そのまま崩れるオウカの体。それにマユが叫ぶ。
「サク!」
「お前は邪魔だ」
「ぐ」
駆け寄ろうとするが、こちらは袈裟に斬られたが。マユはその体で受け止める。
「離さない……」
「? 手応えがおかしいな」
太刀を手から離す。
「まあいい」
「ぐふ」
腹部を蹴られ吹き飛んだ。
「まあいいか」
その人物がカナタの方を向いた。その人物を彼女は知っていた。
「コナタ……兄さん?」
クドウ=コナタだった。
先程現れた鬼達よりも人間に近い。角が生えている事、肌と髪の色以外は、カナタの知っているコナタそのものだった。
「カナタ会いたかったよ」
その笑みも彼女が知っている彼そのもの。だが、
「その体を、ずっとずっと犯したかったんだ」
その口から出た言葉は生ゴミ以下の戯言だった。
コナタの言葉が信じられないカナタ。彼女が知っている彼はとても優しい人だった。
「に、兄さん?」
「何だ? 僕が善人とでも思っていたのか?」
嘲る様に言葉を紡ぐコナタ。
「そんな訳がないだろう! 全てお前を絶望させるためだ!」
「え」
「どうしてあの日を狙ったかわかるか? 全てこうするためだよ!」
左角を左手で引き抜く。すると、角が太刀に変形する。それが振るわれる。
その刃はカナタの服だけをボロボロに斬り裂く。ついでに刀を付けたベルトも落ちて武装解除させられる。
「!?」
咄嗟に襤褸切れ同然の衣服で体を隠すが隠しきれない。
「本当に、良い体だな……」
「こ、来ないで……」
迫るコナタ。後ずさりするカナタ。
全てが
だが、予想外の助っ人のせいで予定が狂ったがどうにか軌道修正出来た。
そう思った時だった。声が聞こえた。
「離れなさい」
それと同時に、先程の太刀が飛んできた。しかも炎と雷を纏っている。
「む」
一太刀で斬り捨て、粉々にする。だが、その一瞬の隙に攻撃を仕掛けた主は、目的を果たす。カナタを回収した。
「大丈夫?」
それはマユだった。斬り傷は痛々しいが特に動きに支障はなさそうだった。
「それはこちらのセリフよ。マユさん! 大丈夫なの!?」
「ええ」
生憎とその程度では死ねないと心の中で付け足すマユ。
そもそもマユの正体は<冥刀>。しかもかなり特殊なので、細切れ位ならどうにでもなる。
「チッ。邪魔が入ったな」
「外道の思い通りに行くわけないでしょう?」
そう言いながらマユは、カナタを庇うように、いつの間にか回収していたオウカの段平を構える。
「こんな事なら、木っ端微塵にしておくべきだった」
「出来ない事をほざくな。弱く見える。下衆」
「酷い言い草だな」
マユの毒舌に苦笑するコナタ。
「そもそも僕は久遠家の当主だぞ? 殺していいと思っt」
「……違うでしょう?」
「え」
マユの言葉にカナタの顔が驚きに染まる。
「あなたは
その言葉にコナタ、否、コナタの
「ハハハハハハ!」
そしてマユの方を見て訊ねる。
「なぜわかった?」
「わたしの眼は誤魔化せない。
叢雅一門の刀工全員が持つ<スキル>がある。それが《魂魄操作》である。魂を視認し、特に自他の魂魄を切り分け繋げる。それが出来なければ<冥刀>は作れない。
「刀工を甘く見るな」
「「どこが!?」」
カタナと
「……オホン。それで誰なの?」
「僕……いや、もう隠す必要はないか」
その言葉と同時、額に角が生え、耳が尖り、犬歯が鋭くなる。
「我は鬼童丸」
「え!?」
カナタの顔が驚きに染まる。知っているのかという顔をするマユにカナタは答える。
「かつて久遠家一同で倒して、<妖刀>に封印した鬼よ!」
「理解した。つまり目的は復讐?」
「そうだ。そもそも我を封印する事自体、おこがましい」
その言葉にマユは眼を細める。
「……本当に?」
「……」
その眼に見つめられた鬼童丸は笑い始める。そして、理由を話し始める。
「理由などない。そもそも鬼とはそういう生き物だ。殺したいから殺し、犯したいから犯す。それだけよ」
今回は偶然外に出れた。ならば塵殺し、強姦するだけ。
「そう」
「聞きたい事は聞けたか?」
「ええ」
「そうか。まずは貴様からだ」
達磨にすれば大人しくなるだろう。
圧を出して迫る鬼童丸だが、マユは冷静に答える。
「わたしが戦ってあげてもいいけど、あなたにはふさわしい相手がいる」
「……何?」
「後ろにいる」
その言葉に悪寒を感じた鬼童丸。その時聞こえたのは歌。
「この世に生きる喜び~」
後ろを振り向くとそこには、
「そして、悲しみの事を」
サクヅキ=オウカが立っていた。
圧と覇気が大きくなっているオウカ。そのままゆっくりと歩み寄る。
「ッ!」
無意識に一歩下がってしまう鬼童丸。だが、どうにか二歩目は下がらず問いかける。
「首を斬ったはずなのに、なぜ生きている?」
「生憎と外道の攻撃は無効なんだ」
そう答えながらもオウカは歩みを止めない。そんな彼の様子に驚く気配もないマユ。彼女はそのトリックを知っていた。
(あなたの思いは遺っている)
☆★☆★☆
オウカはある理由から、<冥刀>の複数保有が可能。
それに目を付けた人がいた。
『ねえ? その体を診させて頂戴』
闇医者である『ディアン』。
元は表社会でも有名な名医だったのだが、色々あって裏社会へと堕ちた女性。少しマッドな所はあるが、それ以外はそこまでイカれてないオウカの友達の一人。旅の途中、死に掛けたオウカを手術し、肉体と代替するタイプの<冥刀>を幾つも移植しその命を繋いだ人。
そして、そんな彼女は実は武闘派であり、《冥刀》の使い手でもある。
持っているモノは【クリドゥノ・アイディン】。
糸型の<冥刀>であり、体に憑依している。これにより戦闘では攻撃、防御、拘束、形成、移動、再生をおこない、本業でも診察、縫合、治療などに使用していた。
なのだが、その真骨頂は情報の習得による〈
情報を取り込んだ<冥刀>のチカラをコピーする。しかも戦闘経験すらコピーするので、その戦闘力は凄まじかった。しかも自分の情報を糸にバックアップしており、致命傷からの再生すら可能。疑似的な不死すら実現していた。
だが、そんな彼女も、
『医者なのにこんな最後か……』
病には勝てなかった。死の間際、彼女は〈
それは使い手の死と、オウカに残っていたあるチカラにより変質。糸は細くなり、身体中に、骨、神経、血管、筋肉、皮、臓器などに満遍なく巻き付いた。そして、それらは疑似的な循環器系と神経にもなった。しかも、別次元から巻き付いているので寸断は不可能。これのおかげでオウカは部位欠損しても、薬と合わせればすぐに手足を繋げる。しかも首や重要な臓器すらも再生可能。
だからこそ、オウカは死にづらい。流石に木っ端微塵はアウトだが、サイコロステーキ位ならどうにか命を繋げるようになった。
……とは言え、再生にリソースを割き過ぎたせいで、戦闘で使える部分はオリジナルと比べると低くなってしまった。だが、それでも十分に強力。オウカのチカラとなり、今も彼を助けている。
ディアンの意志は、
『手の届く範囲にいる、救いを求める人は助けてね?』
『ああ』
遺っている。
◇◆◇◆
マユは段平を指差してオウカに問いかける。
「サク、いる?」
「いらない」
段平を渡そうとしたが、それを受け取らないオウカ。そんな彼はカナタを見る。そして何かを言おうとするのを、カナタは遮って叫ぶ。その顔は半泣きだった。
「先p」
「生きていたなら言いなさい! 死んだと思ったわよ!」
「す、すいません」
素直に謝るオウカ。そして改めて問いかける。
「先輩。コイツ倒して良いですね」
「……」
眼を閉じ少し沈黙する。そして、答える。
「ええ。跡形も無く消して頂戴」
それにオウカは笑って答える。
「心得た。さあ覚悟しろ! お前は前世は殺した、今世で殺す、来世でも殺す。」
「ほざけ! 前世の記憶はないわ!」
オウカは左掌に右手の拳を当てる。まるで抜刀するかのように。
「まさか……」
マユの顔が引きつる。
そして、オウカの右手は一本の刀を左掌から引きずり出した。
「綺麗……」
その刀に華麗さに、ほうと息を漏らすカナタ。だが、マユの顔は完全に白くなっている。そして、カナタに何かをお願いする。
オウカが持つのは、刃以外の柄、鍔、目貫などが銀色の定寸の刀。ただ刀身だけは漆黒に染まっている。
「おい、いつまで寝てる?」
その刀にオウカは声を掛ける。
「起きろよ」
その呼びかけに目を覚ましたのか、刀身が青白く光っていく。それに鬼童丸が反応。
(何かが不味い!)
すぐさま間合いを詰めようとするが、遅かった。
オウカが右手に持った刀を一閃。そこから放出されたのは青白い斬撃。どうにか避けようとする鬼童丸だが、完全に避けきれない。
右手の肘から先が青白い光に呑み込まれ、跡形もなく消え失せた。しかもそれでも熱線は止まらず、進路方向にあった岩や樹木すら消し飛ばした。
そして、どうにか致命傷を避けた鬼童丸だったが、
「グウ……」
消し飛んだ右腕の断面に激痛が走る。しかも、痛みは浸透していき、細胞が破壊されていく。
「チィ!」
鬼童丸は躊躇わず肩口から斬り落とし、痛みと細胞破壊を抑え込んだ。再生は始まっているが、心なしか遅い。思わず呟く。
「何だ、
答えがあると思っていなかったが、オウカは答えた。
「【コラーダ】。貫通力なら最強の<冥刀>だよ」
そうして片手で構える。
「さあ、絶滅だ」
先に仕掛けたのはオウカ。地面を踏み一気に間合いを詰める。それを鬼童丸はどうにか迎撃する。
「フン!」
「ハア!」
そしてぶつかり合う刀。奇しくも同じ武器同士。そのまま斬り合いへと移行。
(馬鹿め! 斬り合いなら我が有利だ!)
先程まで戦わせていたのは、自分の分け身や分体とでも言うべきもの。その戦闘経験は自分に還元されている。だからこそ自分に負ける要素はないのだが、
「やるね。だったらテンション上げてこう」
「!?」
その言葉と同時、オウカの攻撃の威力と速度が増す。どうにか鬼童丸は防いでいるが、
「チィ!」
青白く光る刀身が厄介だった。掠るだけでも痛みと継続ダメージを与えて来る。このままでは潰される。
(だったら!)
鬼童丸の頬が膨らむ。
(……〈ブレス〉? 炎? 毒?)
オウカは今までで一番威力の高い一太刀を放ち、その一撃で下がる。
そこへ。
「カア!」
放たれたのは衝撃波。しかも鎌鼬が大量に内包されている。喰らえば斬り刻まれる攻撃。だが、
「甘い」
斬撃が放たれそれを搔き消した。
「糞が!」
何かしらダメージは与えられる。そう踏んでいたが駄目だった。だが、距離は離せた。
(このまま遠距離で仕留める)
あんな威力のある攻撃が、連射できるはずがない。そう思っていた。
そこからは中距離戦へ移行。
コナタは分体が使っていた斬撃で攻めたてるも、オウカの斬撃には歯が立たない。
そんな状況に歯噛みしていると、マユが声を掛けた。
「持久戦しかけるのはやめた方が良い。幾らでも連射可能だから」
それは絶望の一言。
「【コラーダ】はね、刀身内部で核分裂を起こしているの」
「か、核!?」
隣のカナタが叫ぶ。因みに今は戦闘服に換装される前の、制服を着ている。使い物にならないならまだ制服の方がマシである。
「そして放射する斬撃熱線は核分裂光の性質がある」
まあ欠点もあるけどと心の中で付け足す。
【コラーダ】の欠点。それは使い手もその反動を受ける事。要するに被爆する。使い続ければ燃え尽きて死ぬ。
だが、オウカは【ティルヴィング】のチカラで自傷・反動ダメージ無効化を願った。だからこそ、比較的安全に扱える。因みに【コラーダ】自身その事は気にしていなかった。使ってくれる人がいる事が嬉しかったのだから。
だからこそ、
「さて、そろそろフィナーレといこう」
跡形も無く消してやる、とオウカは笑い、刀を上空に翳す。すると、青白く光っていた刀身が白くなっていく。オウカの眼も白く光る。
それを見たマユは叫ぶ。
「カナタ!」
「わ、わかってるわ!」
カナタが出したのは転移の呪符。そのまま二人は山から消えた。
その様子を見た鬼童丸も不味いと感じる。
(に、逃げなくては……)
オウカに背を向けて走る。恥や外聞など知るか。今は生き延びる事だけを考える。
「〈転移〉は……糞が!」
使えない。正確には鬼童丸には使用不可能となっている。山に張られた結界のチカラだった。
そして、オウカは一撃を放つ。
「
その言葉と同時、鬼童丸は白い光に呑まれ、跡形もなく消えた。
【コソコソ話】
(・▽・)<闇医者のディアン。実は私の紹介で知り合ってます。
(#ー#)(㈩*㈩)<そうなの!?
(・▽・)<私の友達でもあり、主治医でもあります。
(・▽・)<結構強いですよ。糸使いとしても上位の部類ですね。
(㈩*㈩)<例えるなら?
(・▽・)<ド○ラミンゴ、ロ○・パラミア、リ○テンス。
(㈩*㈩)<二番目は近いような?
(・▽・)<ですかね。
(#ー#)<二番目は少しマイナーだし、三番目はもっとマイナーだろ。
(・▽・)<「O○E PIECE」、「B○ECH」、「鋼○のレギオス」
(・▽・)<どれも長いシリーズ物なのに……。