冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS】

錬師克蝕(オルガノン)
(㈩*㈩)<物品に<冥刀>の特性を付与できる。

(㈩*㈩)<わたしの自衛手段。

(㈩*㈩)<でも、普通の物品だと一回で塵。

(㈩*㈩)<業物でもあまり持たない。

(㈩*㈩)<欠点まみれ。ハア。


【ダニルウ】
(・▽・)<弓型の<冥刀>。能力は矢の分裂・隕石化。

(・▽・)<広域殲滅に有利。


【ミストルティン】
(#ー#)<剣型の<冥刀>。能力は防御無視・防御零化。

(#ー#)<ただし自分の防御も低下するデメリットあり。


ⅩⅡ

「う~」

 

 オウカは大鎌を支えにしゃがみ込む。実の所、今の技は消耗が大きい。とは言え回復可能な範囲ではある。

 

(何か食べよう)

 

 そう思ってオウカは大鎌を仕舞い、食べ物を出そうとすると。

 

「食べる?」

 

 いつの間にかやって来た、カナタが渡したのは特大のチョコバー。それをオウカ有り難く受け取り食べる。数秒で無くなる。そんな彼に更に、

 

「はい、どうぞ」

 

 こちらもいつの間にか傍にいた、マユがジャーキーを渡す。それも有り難く受け取り食べる。これもあっという間に消えた。

 

「飲む?」

「どうぞ」

 

 二人が渡したのは飲み物。カナタはノンカフェインのお茶、マユは甘めのスポーツドリンク。それも飲み干し。

 

「ふぃ~」

 

 一息付くオウカ。そして、礼を言いながら立ち上がる。

 

「ありがとう二人とも」

 

 二人とも大した事ないと言う。

 少しだけ雰囲気が弛緩した。それは隙を生む

 

「隙あり」

「「!」」

「!?」

 

 第三者の声。

 咄嗟に反応したのはオウカとマユ。だが、

 

「え」

 

 その相手が狙ったのは反応出来ないカナタだった。その相手は左手に持っていた太刀を振るう。

 

「不」

 

 振り下ろされる刃からオウカは庇うが、

 

「味」

 

 首が飛んだ。

 

「い」

 

 そのまま崩れるオウカの体。それにマユが叫ぶ。

 

「サク!」

「お前は邪魔だ」

「ぐ」

 

 駆け寄ろうとするが、こちらは袈裟に斬られたが。マユはその体で受け止める。

 

「離さない……」

「? 手応えがおかしいな」

 

 太刀を手から離す。

 

「まあいい」

「ぐふ」

 

 腹部を蹴られ吹き飛んだ。

 

「まあいいか」

 

 その人物がカナタの方を向いた。その人物を彼女は知っていた。

 

「コナタ……兄さん?」

 

 クドウ=コナタだった。

 先程現れた鬼達よりも人間に近い。角が生えている事、肌と髪の色以外は、カナタの知っているコナタそのものだった。

 

「カナタ会いたかったよ」

 

 その笑みも彼女が知っている彼そのもの。だが、

 

「その体を、ずっとずっと犯したかったんだ」

 

 その口から出た言葉は生ゴミ以下の戯言だった。

 コナタの言葉が信じられないカナタ。彼女が知っている彼はとても優しい人だった。

 

「に、兄さん?」

「何だ? 僕が善人とでも思っていたのか?」

 

 嘲る様に言葉を紡ぐコナタ。

 

「そんな訳がないだろう! 全てお前を絶望させるためだ!」

「え」

「どうしてあの日を狙ったかわかるか? 全てこうするためだよ!」

 

 左角を左手で引き抜く。すると、角が太刀に変形する。それが振るわれる。

 その刃はカナタの服だけをボロボロに斬り裂く。ついでに刀を付けたベルトも落ちて武装解除させられる。

 

「!?」

 

 咄嗟に襤褸切れ同然の衣服で体を隠すが隠しきれない。

 

「本当に、良い体だな……」

「こ、来ないで……」

 

 迫るコナタ。後ずさりするカナタ。

 全てが()()の思い通りに行った。

 だが、予想外の助っ人のせいで予定が狂ったがどうにか軌道修正出来た。

 そう思った時だった。声が聞こえた。

 

「離れなさい」

 

 それと同時に、先程の太刀が飛んできた。しかも炎と雷を纏っている。

 

「む」

 

 一太刀で斬り捨て、粉々にする。だが、その一瞬の隙に攻撃を仕掛けた主は、目的を果たす。カナタを回収した。

 

「大丈夫?」

 

 それはマユだった。斬り傷は痛々しいが特に動きに支障はなさそうだった。

 

「それはこちらのセリフよ。マユさん! 大丈夫なの!?」

「ええ」

 

 生憎とその程度では死ねないと心の中で付け足すマユ。

 そもそもマユの正体は<冥刀>。しかもかなり特殊なので、細切れ位ならどうにでもなる。

 

「チッ。邪魔が入ったな」

「外道の思い通りに行くわけないでしょう?」

 

 そう言いながらマユは、カナタを庇うように、いつの間にか回収していたオウカの段平を構える。

 

「こんな事なら、木っ端微塵にしておくべきだった」

「出来ない事をほざくな。弱く見える。下衆」

「酷い言い草だな」

 

 マユの毒舌に苦笑するコナタ。

 

「そもそも僕は久遠家の当主だぞ? 殺していいと思っt」

「……違うでしょう?」

「え」

 

 マユの言葉にカナタの顔が驚きに染まる。

 

「あなたは(だあれ)?」

 

 その言葉にコナタ、否、コナタの外側(ガワ)を被った誰かが笑い始めた。

 

「ハハハハハハ!」

 

 そしてマユの方を見て訊ねる。

 

「なぜわかった?」

「わたしの眼は誤魔化せない。(中身)が乗っ取られている」

 

 叢雅一門の刀工全員が持つ<スキル>がある。それが《魂魄操作》である。魂を視認し、特に自他の魂魄を切り分け繋げる。それが出来なければ<冥刀>は作れない。

 

「刀工を甘く見るな」

「「どこが!?」」

 

 カタナとコナタ(誰か)のツッコミがハモった。

 

「……オホン。それで誰なの?」

「僕……いや、もう隠す必要はないか」

 

 その言葉と同時、額に角が生え、耳が尖り、犬歯が鋭くなる。

 

「我は鬼童丸」

「え!?」

 

 カナタの顔が驚きに染まる。知っているのかという顔をするマユにカナタは答える。

 

「かつて久遠家一同で倒して、<妖刀>に封印した鬼よ!」

「理解した。つまり目的は復讐?」

「そうだ。そもそも我を封印する事自体、おこがましい」

 

 その言葉にマユは眼を細める。

 

「……本当に?」

「……」

 

 その眼に見つめられた鬼童丸は笑い始める。そして、理由を話し始める。

 

「理由などない。そもそも鬼とはそういう生き物だ。殺したいから殺し、犯したいから犯す。それだけよ」

 

 今回は偶然外に出れた。ならば塵殺し、強姦するだけ。

 

「そう」

「聞きたい事は聞けたか?」

「ええ」

「そうか。まずは貴様からだ」

 

 達磨にすれば大人しくなるだろう。

 圧を出して迫る鬼童丸だが、マユは冷静に答える。

 

「わたしが戦ってあげてもいいけど、あなたにはふさわしい相手がいる」

「……何?」

「後ろにいる」

 

 その言葉に悪寒を感じた鬼童丸。その時聞こえたのは歌。

 

「この世に生きる喜び~」

 

 後ろを振り向くとそこには、

 

「そして、悲しみの事を」

 

 サクヅキ=オウカが立っていた。

 圧と覇気が大きくなっているオウカ。そのままゆっくりと歩み寄る。

 

「ッ!」

 

 無意識に一歩下がってしまう鬼童丸。だが、どうにか二歩目は下がらず問いかける。

 

「首を斬ったはずなのに、なぜ生きている?」

「生憎と外道の攻撃は無効なんだ」

 

 そう答えながらもオウカは歩みを止めない。そんな彼の様子に驚く気配もないマユ。彼女はそのトリックを知っていた。

 

(あなたの思いは遺っている)

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 オウカはある理由から、<冥刀>の複数保有が可能。

 それに目を付けた人がいた。

 

『ねえ? その体を診させて頂戴』

 

 闇医者である『ディアン』。

 元は表社会でも有名な名医だったのだが、色々あって裏社会へと堕ちた女性。少しマッドな所はあるが、それ以外はそこまでイカれてないオウカの友達の一人。旅の途中、死に掛けたオウカを手術し、肉体と代替するタイプの<冥刀>を幾つも移植しその命を繋いだ人。

 

 そして、そんな彼女は実は武闘派であり、《冥刀》の使い手でもある。

 持っているモノは【クリドゥノ・アイディン】。

 糸型の<冥刀>であり、体に憑依している。これにより戦闘では攻撃、防御、拘束、形成、移動、再生をおこない、本業でも診察、縫合、治療などに使用していた。

 

 なのだが、その真骨頂は情報の習得による〈剣威模倣(ミメーシス)〉。

 情報を取り込んだ<冥刀>のチカラをコピーする。しかも戦闘経験すらコピーするので、その戦闘力は凄まじかった。しかも自分の情報を糸にバックアップしており、致命傷からの再生すら可能。疑似的な不死すら実現していた。

 だが、そんな彼女も、

 

『医者なのにこんな最後か……』

 

 病には勝てなかった。死の間際、彼女は〈冥肌鏤骨(オストラコン)〉として【クリドゥノ・アイディン】をオウカに託した。そして、静かに息を引き取った。

 

 それは使い手の死と、オウカに残っていたあるチカラにより変質。糸は細くなり、身体中に、骨、神経、血管、筋肉、皮、臓器などに満遍なく巻き付いた。そして、それらは疑似的な循環器系と神経にもなった。しかも、別次元から巻き付いているので寸断は不可能。これのおかげでオウカは部位欠損しても、薬と合わせればすぐに手足を繋げる。しかも首や重要な臓器すらも再生可能。

 

 だからこそ、オウカは死にづらい。流石に木っ端微塵はアウトだが、サイコロステーキ位ならどうにか命を繋げるようになった。

 ……とは言え、再生にリソースを割き過ぎたせいで、戦闘で使える部分はオリジナルと比べると低くなってしまった。だが、それでも十分に強力。オウカのチカラとなり、今も彼を助けている。

 ディアンの意志は、

 

『手の届く範囲にいる、救いを求める人は助けてね?』

『ああ』

 

 遺っている。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 マユは段平を指差してオウカに問いかける。

 

「サク、いる?」

「いらない」

 

 段平を渡そうとしたが、それを受け取らないオウカ。そんな彼はカナタを見る。そして何かを言おうとするのを、カナタは遮って叫ぶ。その顔は半泣きだった。

 

「先p」

「生きていたなら言いなさい! 死んだと思ったわよ!」

「す、すいません」

 

 素直に謝るオウカ。そして改めて問いかける。

 

「先輩。コイツ倒して良いですね」

「……」

 

 眼を閉じ少し沈黙する。そして、答える。

 

「ええ。跡形も無く消して頂戴」

 

 それにオウカは笑って答える。

 

「心得た。さあ覚悟しろ! お前は前世は殺した、今世で殺す、来世でも殺す。」

「ほざけ! 前世の記憶はないわ!」

 

 オウカは左掌に右手の拳を当てる。まるで抜刀するかのように。

 

「まさか……」

 

 マユの顔が引きつる。

 そして、オウカの右手は一本の刀を左掌から引きずり出した。

 

「綺麗……」

 

 その刀に華麗さに、ほうと息を漏らすカナタ。だが、マユの顔は完全に白くなっている。そして、カナタに何かをお願いする。

 

 オウカが持つのは、刃以外の柄、鍔、目貫などが銀色の定寸の刀。ただ刀身だけは漆黒に染まっている。

 

「おい、いつまで寝てる?」

 

 その刀にオウカは声を掛ける。

 

「起きろよ」

 

 その呼びかけに目を覚ましたのか、刀身が青白く光っていく。それに鬼童丸が反応。

 

(何かが不味い!)

 

 すぐさま間合いを詰めようとするが、遅かった。

 オウカが右手に持った刀を一閃。そこから放出されたのは青白い斬撃。どうにか避けようとする鬼童丸だが、完全に避けきれない。

 右手の肘から先が青白い光に呑み込まれ、跡形もなく消え失せた。しかもそれでも熱線は止まらず、進路方向にあった岩や樹木すら消し飛ばした。

 そして、どうにか致命傷を避けた鬼童丸だったが、

 

「グウ……」

 

 消し飛んだ右腕の断面に激痛が走る。しかも、痛みは浸透していき、細胞が破壊されていく。

 

「チィ!」

 

 鬼童丸は躊躇わず肩口から斬り落とし、痛みと細胞破壊を抑え込んだ。再生は始まっているが、心なしか遅い。思わず呟く。

 

「何だ、その刀(ソレ)は?」

 

 答えがあると思っていなかったが、オウカは答えた。

 

「【コラーダ】。貫通力なら最強の<冥刀>だよ」

 

 そうして片手で構える。

 

「さあ、絶滅だ」

 

 先に仕掛けたのはオウカ。地面を踏み一気に間合いを詰める。それを鬼童丸はどうにか迎撃する。

 

「フン!」

「ハア!」

 

 そしてぶつかり合う刀。奇しくも同じ武器同士。そのまま斬り合いへと移行。

 

(馬鹿め! 斬り合いなら我が有利だ!)

 

 先程まで戦わせていたのは、自分の分け身や分体とでも言うべきもの。その戦闘経験は自分に還元されている。だからこそ自分に負ける要素はないのだが、

 

「やるね。だったらテンション上げてこう」

「!?」

 

 その言葉と同時、オウカの攻撃の威力と速度が増す。どうにか鬼童丸は防いでいるが、

 

「チィ!」

 

 青白く光る刀身が厄介だった。掠るだけでも痛みと継続ダメージを与えて来る。このままでは潰される。

 

(だったら!)

 

 鬼童丸の頬が膨らむ。

 

(……〈ブレス〉? 炎? 毒?)

 

 オウカは今までで一番威力の高い一太刀を放ち、その一撃で下がる。

 そこへ。

 

「カア!」

 

 放たれたのは衝撃波。しかも鎌鼬が大量に内包されている。喰らえば斬り刻まれる攻撃。だが、

 

「甘い」

 

 斬撃が放たれそれを搔き消した。

 

「糞が!」

 

 何かしらダメージは与えられる。そう踏んでいたが駄目だった。だが、距離は離せた。

 

(このまま遠距離で仕留める)

 

 あんな威力のある攻撃が、連射できるはずがない。そう思っていた。

 そこからは中距離戦へ移行。

 コナタは分体が使っていた斬撃で攻めたてるも、オウカの斬撃には歯が立たない。

 そんな状況に歯噛みしていると、マユが声を掛けた。

 

「持久戦しかけるのはやめた方が良い。幾らでも連射可能だから」

 

 それは絶望の一言。

 

「【コラーダ】はね、刀身内部で核分裂を起こしているの」

「か、核!?」

 

 隣のカナタが叫ぶ。因みに今は戦闘服に換装される前の、制服を着ている。使い物にならないならまだ制服の方がマシである。

 

「そして放射する斬撃熱線は核分裂光の性質がある」

 

 まあ欠点もあるけどと心の中で付け足す。

 

 【コラーダ】の欠点。それは使い手もその反動を受ける事。要するに被爆する。使い続ければ燃え尽きて死ぬ。

 だが、オウカは【ティルヴィング】のチカラで自傷・反動ダメージ無効化を願った。だからこそ、比較的安全に扱える。因みに【コラーダ】自身その事は気にしていなかった。使ってくれる人がいる事が嬉しかったのだから。

 だからこそ、

 

「さて、そろそろフィナーレといこう」

 

 跡形も無く消してやる、とオウカは笑い、刀を上空に翳す。すると、青白く光っていた刀身が白くなっていく。オウカの眼も白く光る。

 それを見たマユは叫ぶ。

 

「カナタ!」

「わ、わかってるわ!」

 

 カナタが出したのは転移の呪符。そのまま二人は山から消えた。

 その様子を見た鬼童丸も不味いと感じる。

 

(に、逃げなくては……)

 

 オウカに背を向けて走る。恥や外聞など知るか。今は生き延びる事だけを考える。

 

「〈転移〉は……糞が!」

 

 使えない。正確には鬼童丸には使用不可能となっている。山に張られた結界のチカラだった。

 

 そして、オウカは一撃を放つ。

 

畢竟(アリストテレス)

 

 その言葉と同時、鬼童丸は白い光に呑まれ、跡形もなく消えた。




【コソコソ話】
(・▽・)<闇医者のディアン。実は私の紹介で知り合ってます。

(#ー#)(㈩*㈩)<そうなの!?

(・▽・)<私の友達でもあり、主治医でもあります。

(・▽・)<結構強いですよ。糸使いとしても上位の部類ですね。

(㈩*㈩)<例えるなら?

(・▽・)<ド○ラミンゴ、ロ○・パラミア、リ○テンス。

(㈩*㈩)<二番目は近いような?

(・▽・)<ですかね。

(#ー#)<二番目は少しマイナーだし、三番目はもっとマイナーだろ。

(・▽・)<「O○E PIECE」、「B○ECH」、「鋼○のレギオス」

(・▽・)<どれも長いシリーズ物なのに……。
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