(#ー#)<お前はソイツと面識あるんだな。
(・▽・)<ええ。依頼人ですので、よく覚えてます。
(・▽・)<大抵、私の仕事は戦闘、確保、拷問、処刑、始末がセットなんですけど……
(#ー#)<嫌なセット。
(・▽・)<確保はやってくれていたので随分と楽でした。
(・▽・)<因みに、炮烙と凌遅刑のミックスで一週間苦しめて地獄に送りました♪
(#ー#)<……どんな拷問かわかんねえ奴はググってくれ。ただし覚悟を決めてからな。
◇◆◇◆
話が終わったタイミングで食事の時間となる。
そういう訳で食べる事にする。
メニューはハンバーグ、ビーフシチュー、サラダ。パンと御飯の両方がある。
「どちらでもどうぞ」
「両方、許可」
そういう訳なので、オウカはパンと御飯の両方を取る。残りの三人は、パンがミユとネラ、御飯がマユとなった。
「「いただきます」」
食べ始める四人。実はこの四人、少なめでも平気だが、あればあるだけ食べられる。
「「……」」
空腹だったのか、無言で片付けていく四人。
そうしてあっという間に皿と鍋が空になった。すると、ネラが機械蟻を使って、デザートを持ってきた。
「果物ゼリーか……」
「今日の夕飯は随分本格的ですね」
「時間があったから」
「明日、期待」
スプーンで掬って食べていると、ミユが頭を下げて口を開く。
「何か色々すいません」
「「?」」
「今回の件です。ダンジョン探索に付き合わせた挙句、食事まで作って貰っちゃって」
それに首を振る三人。
「いいさ。暇だったし」
「特に予定はなかったから」
「其通」
そして、マユが代表して問いかける。
「それで? 詳しい事情は話してくれるの?」
「はい。……もう半ばバレているので構いません」
そうしてミユは、ここまでの経緯を話し始めた。
自分が殺し屋だった事、どうにか円満に抜けた事、組織内での内部抗争のせいで、方針が変わって、組織を抜けるのが許されなくなった事、過去に抜けた者は任務を受ければ、許される事。
全部聞き終え、オウカは――顰め面をする。
「それ最終的に消されるパターンじゃない?」
相棒二人も同意する。
「だよね」
「絶対、始末」
それにミユは苦虫を嚙み潰した顔をする。
「わかってます。わかってはいますけど、……どうしようもないじゃないですか」
「「……」」
それに顔を見合わせる三人。
そうして顔を突き合わせて相談する事にする。
「どうする?」
「とりあえずこの任務は手伝うしかない」
「其後、任務、介入? 乱入?」
「……それしかないな」
「骨を折りますか」
「色々、準備」
「物理的に折るかもしれないな」
そして、三人は改めてミユに向き直る。
「つーわけで、手伝う」
「無事に足抜けさせてあげる」
「相手、絶望」
そんな三人の言葉にミユは黙って頭を下げた。
■□■□
そうして食事を終え、身支度をしてから、もう寝る事にする。
「見張、任置」
「わたしたちは寝なくても活動に支障はない」
見張りはネラの機械アリとマユがやってくれるらしい。
なのでオウカとミユは寝る事にする。
持っていていた寝袋に包まり眠る事にする。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
寝つきが良いので二人共あっという間に夢の中。
それを確認すると、マユとネラは見張りを開始。
ネラは機械アリをあちらこちらに配置する。
(情報、怪物、隠密。注意)
ステルス持ちのボスがいるらしいので、注意をしておく。
少しの力を込めただけで引き千切れる糸を辺りに張り巡らし、機械アリにそれを咥えさせておく。
こうすれば見えず、聞こえず、匂いもない相手でも感知可能。
(極稀、通抜、怪物、存在)
まあそれでも潜り抜けて来るのがいるが、そういうものはどうしようもない。
一方、マユは辺りを警戒しながら考える。
(今日は順調にいった)
チラリと寝息を立てる二人を見る。
(幸いコストが重かったり、インターバルが長い術技は使ってない)
消耗したのは、体力と気力くらい。明日には回復しているだろう。
(中ボス二体はどうにか、今日みたく倒したいけど……)
ふぅ、と息を吐いてマユはボソリと呟く。
「上手くいくといいな」
その言葉が聞こえたのか、ネラがやって来て問いかける。
「何話?」
「明日の攻略」
「納得。後三」
「うん。情報がある二体はまだ良いんだけど……」
「最後……」
このダンジョンの最後のボス。情報がほとんど無いのだ。
「わかっている事は、四体のモンスターを従えていて、蘇生も可能」
「其大、丈夫?」
「?」
「二体、撃破。無駄」
「ああ、それは平気らしい」
情報に拠れば、ボスの蘇生は時間がかかるとのこと。
「後、これは予想だけど、攻略中肌は考えなくて良い」
「其心?」
「例えばだけど、ネラは特殊な機械アリ作りながら戦闘出来る?」
その問いかけにネラは少し考えてから答える。
「難思」
「でしょう? だから」
「納得」
ダンジョンボスも戦闘しながら、中ボス蘇生は難しいだろうという判断だった。
「まあ長くは掛けられないと思うけど」
「出来、早終」
「そうね」
そして二人は見張りを再開した。
外敵は無く、夜は平和に過ぎて行った。
………………
…………
……
翌朝。
二人は夜明けと共に起き出す。
「おはよう」
「おはようございます」
身支度をしてから、朝食となる。メニューは山盛りパンケーキ。
「偶に食べたくなるんだよな〜」
メープルシロップを掛けた物を切り分け食べていくオウカ。
(幸せそうに食べますね)
そう思いながらも、ミユもパンケーキを、小さく切り分け口に運ぶ。
「あ、美味しい」
「自信作です」
パンケーキはあっという間に無くなる。
そうして、ひと心地付きながら予定を話し合う。
「それで? どうする?」
「昨日の場所からスタートしましょう。出来るならボスは二体撃破で」
「了解」
出発前にコーヒーを飲む事にする四人。
流石にドリップする時間はないので、インスタントを淹れる。オウカはブラック、マユは砂糖、ミユはミルクを入れ、ネラは砂糖とミルクの両方を入れる。
「アレ? 先輩、前両方入れてましたよね?」
「朝はブラックって決めてる」
ブラックコーヒーを飲むオウカにマユが捕捉説明をする。
「サクって変なこだわり多いから」
「……変とは失礼な」
「其通」
「ネラ……」
「微妙」
「こいつめ~」
オウカはネラ(人型状態)にコブラツイストを掛ける。
「痛痛!」
「口は禍の元って言うのを、その身に教えてやろう!」
その二人を後目にミユはマユに訊ねる。
「どういう事ですか? 変で微妙って」
「例えば――」
朝は水を一杯飲む。春はオレンジ、夏はライム、秋はレモンの水、冬は柚白湯。
朝食は和食。週に一度ならパンケーキも可。
週に三回は麺類を食べる。
三食欠かさず食べ、七時間以上は眠る。
トレーニングは毎日欠かさずおこなう。
睡眠用具は高級品を使う。
「――こんな感じ」
「……」
沈黙してしまうミユ。
暫くして絞り出した言葉は――
「健康にはなれそうですね」
これだった。
……
…………
………………
そうして探索を再開する。
二手に別れた道の【ソウオロチ】がいた所とは逆を進む。
道中、モンスターは出て来るが、やっぱり雑魚ばかり。
「残り二体がどう出るか……だな」
“獣”は歩き回っていて、“蛇”は自分のテリトリーから動かなかった。
ミユがそれに答える。
「残り二体も似たような感じらしいです。動き回るのと、動かないの」
「つまりそろそろエンカウントするかもしれないか……」
「ですね」
噂をすれば影だった。
「……」
一番先に気づいたのはオウカ。
数多の経験が警鐘を鳴らしたのだ。
だからこそ立ち止まり、ペンダントを指輪と腕輪に変える。
「……」
「警戒」
それに相棒である二人は何が来ても良いように警戒態勢を取る。
一方、ミユはまだ何も感じ取れていなかったが……
「(先輩は私よりも勘が鋭い。何かに気づいたのかもしれない。)ならこうしよう」
氷晶で剣と盾を作り出し構え、前方の地面を凍らせる。
少しして変化が現れる。
薄い氷が張っていた地面が割れ始める。まるで見えないナニカが歩いているかのように。そのナニカは幾つも足があるらしく、歩く度に二足や四足歩行では付かない足跡が付く。
「透明、状態」
「だったら出て来なさい」
ミユは氷塊を幾つも作り出し、飛ばす。
一発一発破壊力があり、着弾すれば相手を氷漬けにする効果がある。
その攻撃にナニカは透明状態を解除する。
そして、現れたのは巨大な蟹だった。鋏の腕が四本あり、その内の一つはシオマネキにように巨大。全身が棘で覆われ、背中の甲羅には、まるで星型のよフジツボが数多に張り付いている。
蟹は前方にバリアを張り、氷塊を防いだ。
「蟹?」
「出歩く方が来たか」
このモンスターの名前は【スターキャンサー】。中ボス四体の中では一番の技巧派。
『KIIIIII!!』
軋むような唸り声をあげ、蟹は四つの鋏を上空に掲げて大きな火球を出す。それを幾つも分裂させ、辺りにばら撒く。
「うお!?」
「わあ」
「危険!」
「なら……」
オウカは飛び退き、ミユは氷の盾で防ぐ。
だが、分裂火球は中々の火力であり、オウカは少し焦げ、ミユの盾は溶ける。
このままでは持たない。
「だったらこっちからだ!」
オウカが出したのは、胸部で抱え込むように装備する、巨大な大砲。
鬼の鍛冶師は、剣や鎧だけでなく、こういう鉄砲や大砲も作れる。
大砲から発射されたのはエネルギー砲弾。属性の無い無色のエネルギーが蟹に着弾。咄嗟に突き出した鋏を破壊した。
『KIIIIII!!』
叫び声をあげる蟹。だが、二発目以降はバリアを張って防ぎ切る。
そして遂に大砲が赤熱し、撃てなくなったタイミングでオウカは大砲を仕舞う。それを見計らうように蟹はバリアを解除して、鋏を再生させた。
オウカが砲弾を撃っていた間、ミユは遊んでいた訳ではない。
極低温の白霧を散布させていた。触れたら生半可なモノならアウト。
それに【スターキャンサー】は鋏の再生を終えた途端、体を振動させ高熱を纏い、凍結を防ぐ。
そのままミユに目がけて巨大な鋏を振り下ろす。振動により威力が高くなった一撃。それをミユは辛うじて避け切る。
その顔には笑み。
「芸達者ね。でもこういう事だって出来るのよ?」
空中に雷雲が浮かぶ。気圧変化によって雷雲を作り出した。
〈
落雷が蟹へ襲い掛かる。
『KI!』
それに蟹は振動を止め、体を変色させる。すると雷が吸収される。
一瞬驚くミユだが、すぐに切り替える。
「ならこれは?」
蟹の上に浮かんでいるのはオーロラ。そこから虹色の破壊光線が放たれる。
〈
だが、蟹には全く効いていない。
「え!? これも!?」
流石にショックを隠せないミユだった。
それにオウカは鎖鉄球を出して咆える。
「エネルギー吸収状態! 物理をぶつけろ!」
「そういう事か!」
ミユは氷晶で氷の棘付鉄球を作り出し、オウカと同時に放つ。
だが、それを蟹はテレポートで避けた。意外に早い。
そんな二人にネラが呼びかける。
「
今までの攻防を辺りに設置した機械アリで、各所で見ていた。
「色々、可能。一種、切替」
彼女は見破っていた。
蟹の弱点を。
この【スターキャンサー】は数多の術技を持っている。
攻撃、防御、移動、再生、補助などなど。
だが、一つずつしか使えず、切り替えが必要。
それを聞いて二人はすぐさま行動を開始。
「手札を切ります」
「好きにやれ。フォローしてやる」
二人は動き出す。
ミユは手を合わせ合掌。そして。
「〈
氷の蓮を六つ展開する。
それが空中を飛び回り、蟹に冷凍光線を放つ。
どうにか撃ち落とそうとする蟹だが、速く撃ち落とせない。
なので、光線吸収状態になるも、そこへ蓮が物理攻撃を仕掛けて来る。
『KII!?』
〈
しかも……
『K……I……』
相手を凍らせるオマケ付。凍り付いていく蟹。体を赤熱化させようとするも……
「遅い。判断ミス」
その隙を見逃さないオウカ。
鎖鉄球を大鎌と合体させ、威力を上げ、遠心力と重力を味方に付け振り下ろす!
それは蟹を粉々に砕いた。
【TIPS:スターキャンサー】
(・▽・)<三体目のボス。技巧派です。条件を満たした術技コピー・ストックができます。
(㈩*㈩)<もしかして……背中の星型のフジツボが?
(・▽・)<はい。ストックした数を表してます。
(・▽・)<因みにこのダンジョン、最初は結構色々なモンスターがゴロゴロしてました。
(#ー#)<コイツが全部倒した訳か……。
(・▽・)<はい。それが吉のも凶にもなった訳です。
(・▽・)<因みにフジツボを壊せば使えなくなりますが、今回は無視して突破ですね。
(#ー#)(㈩*㈩)<脳筋……。