冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<お前はソイツと面識あるんだな。

(・▽・)<ええ。依頼人ですので、よく覚えてます。

(・▽・)<大抵、私の仕事は戦闘、確保、拷問、処刑、始末がセットなんですけど……

(#ー#)<嫌なセット。

(・▽・)<確保はやってくれていたので随分と楽でした。

(・▽・)<因みに、炮烙と凌遅刑のミックスで一週間苦しめて地獄に送りました♪

(#ー#)<……どんな拷問かわかんねえ奴はググってくれ。ただし覚悟を決めてからな。


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 ◇◆◇◆

 

 

 話が終わったタイミングで食事の時間となる。

 そういう訳で食べる事にする。

 メニューはハンバーグ、ビーフシチュー、サラダ。パンと御飯の両方がある。

 

「どちらでもどうぞ」

「両方、許可」

 

そういう訳なので、オウカはパンと御飯の両方を取る。残りの三人は、パンがミユとネラ、御飯がマユとなった。

 

「「いただきます」」

 

 食べ始める四人。実はこの四人、少なめでも平気だが、あればあるだけ食べられる。

 

「「……」」

 

 空腹だったのか、無言で片付けていく四人。

 そうしてあっという間に皿と鍋が空になった。すると、ネラが機械蟻を使って、デザートを持ってきた。

 

「果物ゼリーか……」

「今日の夕飯は随分本格的ですね」

「時間があったから」

「明日、期待」

 

 スプーンで掬って食べていると、ミユが頭を下げて口を開く。

 

「何か色々すいません」

「「?」」

「今回の件です。ダンジョン探索に付き合わせた挙句、食事まで作って貰っちゃって」

 

 それに首を振る三人。

 

「いいさ。暇だったし」

「特に予定はなかったから」

「其通」

 

 そして、マユが代表して問いかける。

 

「それで? 詳しい事情は話してくれるの?」

「はい。……もう半ばバレているので構いません」

 

 そうしてミユは、ここまでの経緯を話し始めた。

 自分が殺し屋だった事、どうにか円満に抜けた事、組織内での内部抗争のせいで、方針が変わって、組織を抜けるのが許されなくなった事、過去に抜けた者は任務を受ければ、許される事。

 

 全部聞き終え、オウカは――顰め面をする。

 

「それ最終的に消されるパターンじゃない?」

 

 相棒二人も同意する。

 

「だよね」

「絶対、始末」

 

 それにミユは苦虫を嚙み潰した顔をする。

 

「わかってます。わかってはいますけど、……どうしようもないじゃないですか」

「「……」」

 

 それに顔を見合わせる三人。

 そうして顔を突き合わせて相談する事にする。

 

「どうする?」

「とりあえずこの任務は手伝うしかない」

「其後、任務、介入? 乱入?」

「……それしかないな」

「骨を折りますか」

「色々、準備」

「物理的に折るかもしれないな」

 

 そして、三人は改めてミユに向き直る。

 

「つーわけで、手伝う」

「無事に足抜けさせてあげる」

「相手、絶望」

 

 そんな三人の言葉にミユは黙って頭を下げた。

 

 

 ■□■□

 

 

 そうして食事を終え、身支度をしてから、もう寝る事にする。

 

「見張、任置」

「わたしたちは寝なくても活動に支障はない」

 

 見張りはネラの機械アリとマユがやってくれるらしい。

 なのでオウカとミユは寝る事にする。

 持っていていた寝袋に包まり眠る事にする。

 

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 

 寝つきが良いので二人共あっという間に夢の中。

 それを確認すると、マユとネラは見張りを開始。

 

 ネラは機械アリをあちらこちらに配置する。

 

(情報、怪物、隠密。注意)

 

 ステルス持ちのボスがいるらしいので、注意をしておく。

 少しの力を込めただけで引き千切れる糸を辺りに張り巡らし、機械アリにそれを咥えさせておく。

 こうすれば見えず、聞こえず、匂いもない相手でも感知可能。

 

(極稀、通抜、怪物、存在)

 

 まあそれでも潜り抜けて来るのがいるが、そういうものはどうしようもない。

 

 一方、マユは辺りを警戒しながら考える。

 

(今日は順調にいった)

 

 チラリと寝息を立てる二人を見る。

 

(幸いコストが重かったり、インターバルが長い術技は使ってない)

 

 消耗したのは、体力と気力くらい。明日には回復しているだろう。

 

(中ボス二体はどうにか、今日みたく倒したいけど……)

 

 ふぅ、と息を吐いてマユはボソリと呟く。

 

「上手くいくといいな」

 

 その言葉が聞こえたのか、ネラがやって来て問いかける。

 

「何話?」

「明日の攻略」

「納得。後三」

「うん。情報がある二体はまだ良いんだけど……」

「最後……」

 

 このダンジョンの最後のボス。情報がほとんど無いのだ。

 

「わかっている事は、四体のモンスターを従えていて、蘇生も可能」

「其大、丈夫?」

「?」

「二体、撃破。無駄」

「ああ、それは平気らしい」

 

 情報に拠れば、ボスの蘇生は時間がかかるとのこと。

 

「後、これは予想だけど、攻略中肌は考えなくて良い」

「其心?」

「例えばだけど、ネラは特殊な機械アリ作りながら戦闘出来る?」

 

 その問いかけにネラは少し考えてから答える。

 

「難思」

「でしょう? だから」

「納得」

 

 ダンジョンボスも戦闘しながら、中ボス蘇生は難しいだろうという判断だった。

 

「まあ長くは掛けられないと思うけど」

「出来、早終」

「そうね」

 

 そして二人は見張りを再開した。

 外敵は無く、夜は平和に過ぎて行った。

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 翌朝。

 二人は夜明けと共に起き出す。

 

「おはよう」

「おはようございます」

 

 身支度をしてから、朝食となる。メニューは山盛りパンケーキ。

 

「偶に食べたくなるんだよな〜」

 

 メープルシロップを掛けた物を切り分け食べていくオウカ。

 

(幸せそうに食べますね)

 

 そう思いながらも、ミユもパンケーキを、小さく切り分け口に運ぶ。

 

「あ、美味しい」

「自信作です」

 

 パンケーキはあっという間に無くなる。

 そうして、ひと心地付きながら予定を話し合う。

 

「それで? どうする?」

「昨日の場所からスタートしましょう。出来るならボスは二体撃破で」

「了解」

 

 出発前にコーヒーを飲む事にする四人。

 流石にドリップする時間はないので、インスタントを淹れる。オウカはブラック、マユは砂糖、ミユはミルクを入れ、ネラは砂糖とミルクの両方を入れる。

 

「アレ? 先輩、前両方入れてましたよね?」

「朝はブラックって決めてる」

 

 ブラックコーヒーを飲むオウカにマユが捕捉説明をする。

 

「サクって変なこだわり多いから」

「……変とは失礼な」

「其通」

「ネラ……」

「微妙」

「こいつめ~」

 

 オウカはネラ(人型状態)にコブラツイストを掛ける。

 

「痛痛!」

「口は禍の元って言うのを、その身に教えてやろう!」

 

 その二人を後目にミユはマユに訊ねる。

 

「どういう事ですか? 変で微妙って」

「例えば――」

 

 

 朝は水を一杯飲む。春はオレンジ、夏はライム、秋はレモンの水、冬は柚白湯。

 朝食は和食。週に一度ならパンケーキも可。

 週に三回は麺類を食べる。

 三食欠かさず食べ、七時間以上は眠る。

 トレーニングは毎日欠かさずおこなう。

 睡眠用具は高級品を使う。

 

 

「――こんな感じ」

「……」

 

 沈黙してしまうミユ。

 暫くして絞り出した言葉は――

 

「健康にはなれそうですね」

 

 これだった。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 そうして探索を再開する。

 二手に別れた道の【ソウオロチ】がいた所とは逆を進む。

 道中、モンスターは出て来るが、やっぱり雑魚ばかり。

 

「残り二体がどう出るか……だな」

 

 “獣”は歩き回っていて、“蛇”は自分のテリトリーから動かなかった。

 

 ミユがそれに答える。

 

「残り二体も似たような感じらしいです。動き回るのと、動かないの」

「つまりそろそろエンカウントするかもしれないか……」

「ですね」

 

 噂をすれば影だった。

 

「……」

 

 一番先に気づいたのはオウカ。

 数多の経験が警鐘を鳴らしたのだ。

 だからこそ立ち止まり、ペンダントを指輪と腕輪に変える。

 

「……」

「警戒」

 

 それに相棒である二人は何が来ても良いように警戒態勢を取る。

 

 一方、ミユはまだ何も感じ取れていなかったが……

 

「(先輩は私よりも勘が鋭い。何かに気づいたのかもしれない。)ならこうしよう」

 

 氷晶で剣と盾を作り出し構え、前方の地面を凍らせる。

 

 少しして変化が現れる。

 薄い氷が張っていた地面が割れ始める。まるで見えないナニカが歩いているかのように。そのナニカは幾つも足があるらしく、歩く度に二足や四足歩行では付かない足跡が付く。

 

「透明、状態」

「だったら出て来なさい」

 

 ミユは氷塊を幾つも作り出し、飛ばす。

 一発一発破壊力があり、着弾すれば相手を氷漬けにする効果がある。

 

 その攻撃にナニカは透明状態を解除する。

 そして、現れたのは巨大な蟹だった。鋏の腕が四本あり、その内の一つはシオマネキにように巨大。全身が棘で覆われ、背中の甲羅には、まるで星型のよフジツボが数多に張り付いている。

 蟹は前方にバリアを張り、氷塊を防いだ。

 

「蟹?」

「出歩く方が来たか」

 

 このモンスターの名前は【スターキャンサー】。中ボス四体の中では一番の技巧派。

 

『KIIIIII!!』

 

 軋むような唸り声をあげ、蟹は四つの鋏を上空に掲げて大きな火球を出す。それを幾つも分裂させ、辺りにばら撒く。

 

「うお!?」

「わあ」

「危険!」

「なら……」

 

 オウカは飛び退き、ミユは氷の盾で防ぐ。

 だが、分裂火球は中々の火力であり、オウカは少し焦げ、ミユの盾は溶ける。

 このままでは持たない。

 

「だったらこっちからだ!」

 

 オウカが出したのは、胸部で抱え込むように装備する、巨大な大砲。

 鬼の鍛冶師は、剣や鎧だけでなく、こういう鉄砲や大砲も作れる。

 大砲から発射されたのはエネルギー砲弾。属性の無い無色のエネルギーが蟹に着弾。咄嗟に突き出した鋏を破壊した。

 

『KIIIIII!!』

 

 叫び声をあげる蟹。だが、二発目以降はバリアを張って防ぎ切る。

 

 そして遂に大砲が赤熱し、撃てなくなったタイミングでオウカは大砲を仕舞う。それを見計らうように蟹はバリアを解除して、鋏を再生させた。

 

 オウカが砲弾を撃っていた間、ミユは遊んでいた訳ではない。

 極低温の白霧を散布させていた。触れたら生半可なモノならアウト。

 それに【スターキャンサー】は鋏の再生を終えた途端、体を振動させ高熱を纏い、凍結を防ぐ。

 そのままミユに目がけて巨大な鋏を振り下ろす。振動により威力が高くなった一撃。それをミユは辛うじて避け切る。

 その顔には笑み。

 

「芸達者ね。でもこういう事だって出来るのよ?」

 

 空中に雷雲が浮かぶ。気圧変化によって雷雲を作り出した。

 

 〈尼剌部陀(にらぶだ)――雷電〉

 

 落雷が蟹へ襲い掛かる。

 

『KI!』

 

 それに蟹は振動を止め、体を変色させる。すると雷が吸収される。

 一瞬驚くミユだが、すぐに切り替える。

 

「ならこれは?」

 

 蟹の上に浮かんでいるのはオーロラ。そこから虹色の破壊光線が放たれる。

 

 〈尼剌部陀(にらぶた)――極光〉

 

 だが、蟹には全く効いていない。

 

「え!? これも!?」

 

 流石にショックを隠せないミユだった。

 それにオウカは鎖鉄球を出して咆える。

 

「エネルギー吸収状態! 物理をぶつけろ!」

「そういう事か!」

 

 ミユは氷晶で氷の棘付鉄球を作り出し、オウカと同時に放つ。

 だが、それを蟹はテレポートで避けた。意外に早い。

 

 そんな二人にネラが呼びかける。

 

主人(サク)

 

 今までの攻防を辺りに設置した機械アリで、各所で見ていた。

 

「色々、可能。一種、切替」

 

 彼女は見破っていた。

 蟹の弱点を。

 

 この【スターキャンサー】は数多の術技を持っている。

 攻撃、防御、移動、再生、補助などなど。

 だが、一つずつしか使えず、切り替えが必要。

 

 それを聞いて二人はすぐさま行動を開始。

 

「手札を切ります」

「好きにやれ。フォローしてやる」

 

 二人は動き出す。

 ミユは手を合わせ合掌。そして。

 

「〈嗢鉢羅(うばら)――六青蓮〉」

 

 氷の蓮を六つ展開する。

 それが空中を飛び回り、蟹に冷凍光線を放つ。

 どうにか撃ち落とそうとする蟹だが、速く撃ち落とせない。

 なので、光線吸収状態になるも、そこへ蓮が物理攻撃を仕掛けて来る。

 

『KII!?』

 

 〈嗢鉢羅(うばら)〉で展開される蓮は、自立行動して様々な事が可能。冷凍光線を撃つだけでなく、物理攻撃も仕掛けてくるうえ、威力が高い。

 しかも……

 

『K……I……』

 

 相手を凍らせるオマケ付。凍り付いていく蟹。体を赤熱化させようとするも……

 

「遅い。判断ミス」

 

 その隙を見逃さないオウカ。

 鎖鉄球を大鎌と合体させ、威力を上げ、遠心力と重力を味方に付け振り下ろす!

 

 それは蟹を粉々に砕いた。




【TIPS:スターキャンサー】
(・▽・)<三体目のボス。技巧派です。条件を満たした術技コピー・ストックができます。

(㈩*㈩)<もしかして……背中の星型のフジツボが?

(・▽・)<はい。ストックした数を表してます。

(・▽・)<因みにこのダンジョン、最初は結構色々なモンスターがゴロゴロしてました。

(#ー#)<コイツが全部倒した訳か……。

(・▽・)<はい。それが吉のも凶にもなった訳です。

(・▽・)<因みにフジツボを壊せば使えなくなりますが、今回は無視して突破ですね。

(#ー#)(㈩*㈩)<脳筋……。
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