冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

122 / 182
【TIPS:冥刀の製造方法】
(#ー#)<滅茶苦茶な金属を加工して、魂の一部を埋め込むのか。

(・▽・)<そう言えば前、例えるならで、劔〇とか、ハ〇ポタのアレって言ってましたね。

(㈩*㈩)<うん。OS代わりね。自我を強くする場合、更に補強素材を入れる。

(#ー#)<どういう事だ?

(・▽・)<付喪神とか、精霊とかですよね。どう使うんですか?

(㈩*㈩)<人工で真珠を作る時って、真珠になりやすいように核を入れるでしょう?

(・▽・)<あ! もしかして魂の一部を核にして、付喪神や精霊で補強するんですか?

(㈩*㈩)<その通り。その場合、自我や精神がかなり強固になる。


百二十二

 ◇◆◇◆

 

 

「――と言う訳だ」

 

 話を終えオウカはフウと息を吐く。

 そのタイミングで機械アリが飲み物を運んできたので、それを受け取り一気に飲み干す。

 

 一方ミユの脳内には色々な疑問が浮かんでいた。

 

 

 なぜ、そんな事を知っているのか?

 なぜ、そんな隕鉄を利用しようとしたのか?

 なぜ、冥刀を無量大数は作り出したのか?

 などなど。

 

 

 そんな彼女にオウカはこう言う。

 

「気になるなら、マユに聞けば良い」

「……マユさんに?」

「ああ。アイツの仕事名は――刹那叢雅」

「! まさか……」

「叢雅一門、最後の生き残りだ」

 

 須臾や虚数の例を見ると、何かしらの形で全員生きてそうだけど、と心の中で付け足す。

 

「最後ってどういう事ですか?」

 

 暫くしてミユが絞り出したのはこの疑問。

 それにオウカは簡潔に答える。

 

「ほぼ全員集合した際に、テロで全滅」

「テロ……ですか?」

「ああ、核爆弾百発ぶち込まれて」

「……」

 

 おこなわれた事のあまりの凄惨さに絶句。

 

「その……一ついいですか?」

「一つじゃなくても幾つでも」

「被害はいかほど……?」

「国が幾つも滅んだ。しかも土地は汚染されて草も生えない」

 

 それはそうだ。

 

「もっと別の手段なかったのですか?」

「一人も残したくなかったんだろうな。だから周りの被害お構いなしにやった」

 

 そうして冥刀は作れなくなった。

 だからこそ、残りの冥刀を巡り争いが勃発した。

 

「いくら何でも酷すぎる……。でもマユさんはどうして無事だったんですか?」

「アイツはある時から、異空間に引きこもっていたから」

 

 どうしても外に出なくてはならない時は、五感共有できる人型の端末を遠隔操作していた。

 

「……どうして彼女は引きこもっていたんですか?」

「やる事があった」

 

 それに本人が答える。丁度夕飯が出来たらしく、その手には夕飯が載った盆を持っている。……流石に一人では持ちきれないのか、機械アリが補助している。

 

「手伝います。――やる事とは?」

「一つ目が、この世界がどうなって行くのか見守る事」

 

 滅ぶのか、続くのか。

 

「二つ目が、この世界をどうにかしようとする者への手助け」

 

 表立っては出来なかった。バレたら全てが水の泡だから

 

「三つ目が、あるモノの保管」

 

 それにミユが何か訊ねたが……

 

「もうない。知っても意味ない」

 

 マユは話を打ち切った。

 

 

 ******

 

 

 そして、夕飯となる。

 メニューはハムステーキ、コンソメスープ、付け合わせの茹でた野菜。パンと御飯はお好みでとなる。

 今回の夕飯はミユが冥刀の気になった疑問を色々訊ねて行った。

 それに答えて行くマユ。時に、オウカが捕捉する。

 そうして夕食が終わりに近づいた時、ネラが聞いた。

 

先輩(マユ)

「何?」

「今更、言良?」

 

 その問いに食事の手を止めて答える。

 

「ちょっと言い過ぎたかも……」

「「おい!?」」

 

 それにツッコミを入れたオウカとミユ。

 それに苦笑してマユは言う。

 

「他言する気はないのでしょう?」

「あ、はい」

「だったら平気」

 

 そもそも│冥刀の《ソウイウ》事を話す人がいない。

 その答えにマユは続ける。

 

「それに……こういう場合、答えられる事は答えた方が良い」

「疑問?」

「でないと……」

 

 一拍置いてからマユは続ける。

 

「余計な事や、間違った事が耳に入るから」

「「……」」

 

 実はこの四人の中で一番年上であるマユ。

 年長者の言葉に、三人は黙り込んだ。

 

 そして、夕飯を終えると、四人は二手に分かれ、見張りと睡眠に入った。

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 次の日。ダンジョン攻略三日目。

 起き出した二人は、見張りの二人と一緒に朝食を取る。

 

「和……ですね」

 

 ミユが呟いた。

 

 メニューは、御飯、味噌汁、煮魚、漬物。

 ふりかけやお茶漬けの素が付いている。

 

 マユが補足する。

 

「インスタントやレトルトだけど」

 

 どれも温めればと食べれる物。

 手抜きだが、今はしょうがないので、文句は言わず腹に収めていく。

 

「今はそういうのでも結構美味しいけど」

 

 オウカが、二膳目の御飯をお茶漬けにしながら呟いた。

 

「同意」

 

 ネラは、味噌汁を飲みながら同意した。

 

「技術は進みますからね」

 

 漬物を噛み砕きながらミユが言った。

 

「……こう言う平和な事だけ進めば良いのに」

 

 しみじみと一体マユだった。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 朝食を食べ終え、食休みの後、探索に入る。

 とは言え……

 

「まあボスがどこにいるかはわかっているんですけどね」

 

 情報に寄れば、一番深奥に閉ざされた場所があったとの事。

 何をやっても開かなかったらしい。

 

「恐らく条件付きで開くのでしょう」

「条件……てのはもしや」

 

 オウカの問いにミユは首肯。

 

「あの四体を倒す事でしょうね」

「順当」

「誰でもわかりそうなもの」

 

 余計な事を言うネラとマユにオウカは握撃。

 

「痛痛」

「潰れる~」

 

 そんな二人にミユは

 

(楽しそう)

 

 そんな事を思った。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 道中、湧いた敵を倒しながら進んでいく。

 特に苦戦はしない。

 

「……」

 

 順調に進んでいく中、オウカは無言だった。

 ある事を考えていた。

 

(出て来るモンスターに共通項がない……)

 

 ほとんどのダンジョンは何が出るかの傾向がある。

 少なくとも、階層にはそれが顕著に出る。

 それはそうだろう。ダンジョンにだって生態系が存在するのだから。

 

 ところが、このダンジョンのモンスターは滅茶苦茶だった。

 出て来たモンスターは多種多様。そのうえ、ミユの情報によれば、もっと種類がいたらしい。

 

(どうなっているんだか……)

 

 そして、気になる事はもう一つある。

 それは中ボス四体。

 

(獣、蛇、蟹、鳥)

 

 これもバラバラ。

 しかも特性・能力までバラバラ。

 

(まるで何かを確かめるt)

 

 ある事にオウカは遂に思い至る。

 

「そうか!」

 

 突如、大声を出して、立ち止まったオウカ。

 三人の視線が向く。

 

「どうしたのですか?」

「何気?」

「何がわかったの?」

 

 その問いかけにオウカは答える。

 

「ボスは測ってたんだ。俺達を」

「まさか……」

「そういえば四体の中ボス計って戦い方がまるで違った」

 

 マユの言葉にオウカは頷く。

 

「│性能《獣》、│再生《蛇》、│技巧《蟹》、│条件《鳥》。データを取っていたとすれば……」

「辻褄」

「雑魚が多彩なのもそういう事ですか」

 

 オウカの言葉に、三人は納得する。それと同時にある事実に思い至る。

 

「つまり……今までの戦い方が通用しない?」

「おそらく」

 

 オウカとミユの表情が曇る中、マユが口を開く。

 

「よかったね、サク」

「何が?」

「隠し立てしてて」

「……」

 

 沈黙するオウカ。

 ミユの頭上に疑問符が浮かぶ中、ネラがある解説する。

 

「│主人《サク》、手札、出惜」

「将棋やっても、取った駒使わないもんね」

 

 マユまでそう言った。

 そんな彼にミユが訊ねる。

 

「じゃあ、まだ大丈夫じゃないんですか?」

「……まあね」

「……まあ、こっちも切り札は残ってますけど」

 

 オウカだけでなく、ミユも隠していた。

 

「そもそも戦いの札は隠しておくものですし。バレたら対策されますから」

「そうだよな。やっぱり」

 

 そもそもあっぴろげにする人が珍しい。

 

「これなら大丈夫かもしれませんね」

「ああ」

「今度は出し惜しみなしですよ?」

「……ん」

 

 そうして進んでいく四人だった。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 そうして彼らは一番奥に辿り着く。

 情報によれば、開かない扉があるはずだったが、そこにはあったはずの扉はなく、細い通路が続いていた。

 そして、そこを潜り抜けた先に……

 

「わお」

「こう来るんだ……」

「ふうん」

「驚愕……」

 

 闘技場があった。

 中々広く、観客席まである。

 古代ローマにあった物に近い。

 ……流石に観客はいないが。

 

「ここで戦うのか……」

「ダンジョンボスがいるんですかね……」

「でも、見た限り何もいませんけど……」

「……」

 

 辺りを見渡す中、ネラは沈黙している。

 そして、オウカの肩からネラが飛び降りる。

 

「どうした?」

 

 オウカの問いに、ネラは答えない。

 

「……」

 

 無言のまま大量の機械アリを辺りに走らせる。

 暫く索敵してから、彼女はこう言う。

 

「注意。精霊、全居」

「え……。マジか」

 

 オウカは流石に驚く中、他の二人が聞いてくる。

 

「?」

「それの何がおかしいんですか?」

「精霊、身近、存在。全然、不居、在得」

 

 精霊は普段は見えないだけで、どこにでもいる。

 自然の中に多いが、街の中だって少ないがいるにはいるはずなのだが……

 

「全く存在しない……のはおかしいんだよ」

 

 オウカもそう言う。

 彼は精霊術に適性はないが、メイド師匠から色々習っているため結構良く知っている。

 そして、マユが訊ねる。

 

「理由は何が考えられるの?」

 

 オウカとネラはそれに考え……

 

「精霊が嫌うモノが存在する……とか?」

 

 オウカの意見。

 

 メイド師匠曰く、精霊を大量に使い捨てにする、戦略兵器の半径数十キロは精霊がいなくなったらしい。

 因みに、その兵器は師匠が完膚なきまでに破壊し、資料全てを焼き払い、データを抹消し、考案者と製作者は一人残らず殺している。

 

 本人曰く。

 

『許容できなかったので』

 

 との事。

 

「精霊、畏怖、存在」

 

 ネラの意見。

 精霊が怯えるナニかがいる場合もいなくなる。

 ソレは危険なモンスターだったり、ヤバいプレイヤーだったりする。

 精霊は危険察知のチカラも高いのだ。

 

 そして、その問いの答えはすぐに示される。

 闘技場の真ん中に光が現れる。

 

「「……」」

 

 四人がそれを無言で見る中、その光は浮き上がり上空で形を成していく。

 そして、形が成した後、実体が現れる。

 

 それは巨大な怪物。

 獣のような頭部、鋏を持った四本の腕、鳥のような翼、蛇の様な尻尾を持っている、巨大な異形なるモノ。

 

『GAGYAAAAAA!!』

 

 そして咆哮を上げた。

  咆哮には敵対者を怯ませる効果がある。

 精神力が弱い者なら、恐怖で動けなくなる。

 だが、ここにいる四人は違った。

 

「散開!」

「「!」」

 

 オウカの声で、四人は散り、ラスボスを囲むようにする。

 今までの戦いで、櫛や蟻だった二人も、即座に人型となり、オウカから離れる。

 ……つまりはそれほどの脅威と言う事。

 そのまま四人は攻撃を仕掛ける。

 

「出し惜しみはなし」

「〈臛臛婆(かかば)〉」

「〈飛斬〉」

「〈雷霆〉」

 

 オウカはエネルギー砲撃、ミユは冷凍光線、マユは飛ぶ斬撃、ネラは雷。

 着弾、爆発。生半可な相手ならひとたまりもないが……

 

(これで倒せたら世話ないな……)

 

 オウカは何かしらの手段で防いだと確信していた。

 そんな中……

 

「やったか?」

 

 マユがフラグを立てる。

 

「「おい!?」」

 

 ツッコミを入れるオウカとミユに、マユは平然と言い放つ。

 

「こういう時って、こう言うものじゃないの?」

「「違う!?」」

 

 再びのツッコミ。

 

 一方、ネラは三文芝居を無視して、敵を観察していた。

 いつもであれば、シャーマンである彼女は精霊を使って色々出来るのだが……

 

(駄目。集合、不可)

 

 ここには精霊がいないうえ、呼んでも来ない。

 自身が契約している六属性の精霊以外使用出来ない。

 

 そして、煙が開けた先には――健在のボスがいた。

  体の周囲に半透明のバリアを張って、攻撃を防ぎ切ったらしい。

 

『GYARIRIRIRIRIRI!!』

 

 そして咆哮をあげ、全身からビームを放つ。

 

「MAP兵器かよ!?」

「ヤバッ!?」

「!」

「不味!」

 

 四人は即座に防御する。

 オウカは大盾を出して半円状のバリアを展開、ミユは氷の要塞を作り出し、マユは空間を歪ませ隙間を作り、ネラは同じ攻撃で相殺。

 どうにかこうにか防ぎきった。

 だが……

 

「流石ラスボス」

 

 オウカが敵を称賛する。

 手で持っている大盾はひび割れていた。かなりギリギリだったのだ。

 

「これ……守勢に回ったら潰れますよ」

 

 ミユが顰め面で言う。

 氷の要塞はほぼ全壊し瓦礫と化している。唯一の救いはミユに怪我はない事。

 

「どうするの?」

 

 マユは相変わらず。

 服の端が焦げたり、無くなったりしている。攻撃の密度がもう少し厚かったら当たっていた。

 

「攻続。相手、撃破」

 

 ネラも特に変わりはない。

 だが、暫く光の精霊は使えない。




【コソコソ話】
(・▽・)<で?

(㈩*㈩)<……何?

(#ー#)<お前が守っていたモノって何だ?

(㈩*㈩)<……。機会あるかわからないし、言っちゃう。

(㈩*㈩)<番外の天剣。

(・▽・)<……。あ! セフィロトのダアト!

(㈩*㈩)<その通り。まあ今はこれだけ。  
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。