冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<前も説明したが、モンスターってマジで範囲が広い。

(#ー#)<妖怪、妖魔、魔物、幻獣、怨霊、妖精、神仏、天使、悪魔などなど。

(・▽・)<女〇転生の悪魔みたいですね。

(#ー#)<……まあモロにそれだな。そんで前に説明した漂うモノがいる。

(㈩*㈩)<確か下位の精霊だっけ?

(#ー#)<それ以外にもいるにはいるんだ。形がなく、自我も薄い奴が。

(#ー#)<それらがきっかけを経てモンスターになるんだが……

(#ー#)<召喚モンスターとかはこれを利用するんだ。

(・▽・)<へえ……

(㈩*㈩)<それはわかったけど、何でこのタイミングで?

(#ー#)<……察しろ。


百二十三

 そんな状況にオウカは告げる。

 

「ネラの意見採用! 相手が倒れ伏すまで攻撃!」

 

 そう言うと彼が出したのは――弓。両端は翼のような装飾がある。

 それを背に装着すると巨大化し翼となる。

 それを使い空へ舞い上がり、手に鉤爪のような武器を出し、ボスへ攻撃を仕掛けていく。

 

『GIGIGI』

 

 唸りながら手を使い振り落とそうとするボスだが、かなりの速さで飛んでいるので触れる事すら敵わない。

 

 その様子に三人も本格的に動き始める。

 

 ミユは両手を合掌させ目を閉じる。

 

(使いますか……。出し惜しみはなし)

 

 心に決め、開眼!

 

「〈鉢特摩(はどま)紅蓮〉」

 

 その言葉と同時、ミユの背後に紅の蓮が咲く。

 それと同時、彼女の目の結膜が黒く、角膜が真紅に染まる。

 更に身体中に紅の線が通って行く。

 

 〈鉢特摩(はどま)紅蓮〉

 シワス=ミユこと、殺し屋であるμ(ミュー)の三つの奥の手、その二番目。

 ……最後の奥の手はまだ出した事ないうえ、実質隠しているのでコレが最後の奥の手だと思われている。

 これを使うと見た目に変化が起こるが、それだけではなく……

 

「〈頞部陀(あぶだ)〉」

 

 氷晶で器具を作る術技を発動。作り出したのは剣、槍、斧などの数多の武器。

 本来なら、氷の色である透明や薄青色になるはずだったが、現れた武器は血の様な紅。

 

「行け」

 

 射出される武器群。攪乱するオウカに当たらないように調整されている。

 それがボスの体に突き刺さる。

 

『GIRIRIRIRIRIRI!?』

 

 驚愕するボス。

 氷攻撃には耐性が出来ているはずなのに、突破してきたからだ。

 

 これが〈鉢特摩(はどま)紅蓮〉の真骨頂。

 ミユが持つ全ての術技すら強化する。

 勿論、これまでの攻撃に耐性が付いたとしてもそれすら突破……どころか、耐性があった方がダメージが上がる鬼畜使用。

 

 ここまで聞けば強力な奥義……なのだが弱点がある。

 

「……フウ、……フウ」

 

 息を吐くミユ。

 その顔には汗がにじむ。

 まず第一に消耗度合が半端ではない。

 

(後、数分持つか……)

 

 チラリと背後の蓮に視線をやる。

 その花弁が時間が経つ事に散っていた。

 そして、この術技は蓮が全て散った時点で終了。

 インターバルも存在するため、連続使用は出来ない。

 

(どうにか時間内に削り取る!)

 

 ミユは息を吸い込む。そして、口を窄め吐息を撃つ。

 

臛臛婆(かかば)

 

 氷のブレスがボスの尻尾に直撃した。

 

 

 ******

 

 

 マユは走る。

 そしてある程度近づいたタイミングで、片手を向け……

 

「〈飛斬〉」

 

 斬撃を放つ。

 ただの斬撃ではなく、次元ごと斬り裂く一刀。

 

 ボスはそれを上への移動で避ける。

 だが、完全には避けきれず、先程ミユに氷漬けにされた尻尾が斬れた。

 地面へと落下し、粉々に砕ける。

 

『GIGIGI!』

 

 叫び声をあげるボス。

 尻尾は再生しない。

 

 その様子にマユは分析していく。

 

(再生はしない。……出来ない? いやしない?)

 

 中ボスの能力を全て持っているなら、再生は出来るはず。

 なのに、今はしない。

 

 そして。

 

(バリア使わなかった)

 

 先程の攻撃はバリアで防がれた。しかも、次元切断の一撃すら防ぎ切る凄まじい代物。

 だが、今は使っていない。

 

 この二つの理由は明白。

 

(あの蟹と同じで、攻撃と防御は同時に出来ない?)

 

 ボスは遠近から攻撃を仕掛けてくるオウカとミユの対処に、全身から棘をミサイルのように放って対抗している。

 

 そんなマユ目掛け、ミサイルが飛来。

 

「あら」

 

 転がるように避けた。

 そして起き上がりざま、斬撃を撃ち続ける事で、ボスを削っていくマユだった。

 

 

 ******

 

 

 ネラは巨大な機械アリに搭乗し、周囲に機械アリの軍団を編成。

 精霊を使役し属性攻撃をぶつけていた。

 

 ネラはプレイヤーの分類ではシャーマンとデュナミストの兼業。

 とは言え、デュナミストとしての冥刀の能力はサポート系なので、戦う際は専らシャーマンとして精霊を使役する。

 周囲を漂う下位精霊のチカラを借りる事で、己の術技の強化も出来るが、相手が強敵だったり、火力が必要な時は正規契約を結んでいる精霊を呼び出す。

 その属性は、火、氷、風、雷、光、闇の六属性。

 これで、大抵の相手に対抗可能。

 

 なのだが、今回は光は無理をさせ過ぎたせいで暫く使えず、氷は効かない。

 なので、残りの四属性で攻めたている。

 火焔、雷電、暴風、暗黒が形を変え襲い掛かる。

 だが……。

 

(効目、悪低)

 

 ダメージはあるだろうが、見た限り低い。

 

(属性、攻撃、魔法、攻撃、軽減?)

 

 ネラの分析。

 実際それは正しい。

 このボスは属性攻撃と魔法攻撃は軽減・減衰してしまう。

 

(如何?)

 

 思考、思考、思考。

 

(方法、存在)

 

 実はネラにはこういう相手に対する手札がある。

 だが、今は()()()()で使えない。

 

「現在、出来、少削」

 

 今は待つしかない。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 四人が戦い続けて、どれ程経っただろうか。

 出し惜しみは(あまり)せずに戦っていたが、ボスは倒れなかった。

 

 このボス――【デウス】は自らが作り出した中ボス四体の能力を使い、倒された場合、経験をフィードバックしてくる。しかも、地力が高い。

 だからこそ、四人の猛攻で防御や回復に費やせずとも、活動出来ていた。

 

『GYAGAGYAGAGYAGA!』

 

 口から火球を上空目掛け放つ。それは拡散して周囲に炸裂。

 四人は、避け、防ぎ、曲げ、相殺する。

 

 今のような、炸裂火球だけでなく、攻撃手段がかなり多彩。

 ビーム、ミサイル、羽爆弾、衝撃波、電撃などなど。

 しかも、普通に四本腕で殴って来たり、羽根で薙ぎ払いまでおこなってくる。

 

(一体、何時、迄戦)

 

 補助を中心にするようになったネラが心の中で呟く。

 

 まずはオウカに視線を向ける。

 こちらは変わりなく戦闘継続中。

 至近距離で全力で飛び回っているが、スタミナの消耗も無さそうで、動きに陰りもない。

 色々な武器を出して、ボスを削っている。

 空中を飛び回るための翼を常時展開しながら、黒腕、腕輪、指輪から武器をとっかえひっかえしている。

 その顔には笑み。

 

(未大、丈夫)

 

 こちらは暫くは大丈夫。平気だろう。

 

 次にマユに視線を向ける。

 こちらも変わりなく戦闘継続中。

 至近距離で削るオウカと違い、マユは一定距離を保ち、攻撃を仕掛けている。

 こちらも体力消耗は無さそうで、元気に(?)駆け回っている。

 斬撃を放ち、着実にボスを削っている。

 

(次元、切断、耐性……)

 

 実際呆れるべきはボスの方。

 マユの斬撃には次元ごと断つ効果があるので、生半可な防御は突破される。

 だが、このボスは【サーベライガー】にトドメを刺した次元切断の攻撃に対して耐性を手に入れているため、この程度で済んでいた。

 

(平気……)

 

 こちらもまだ行けるだろう。

 

 そして、視線をミユに向ける。

 こちらも特に低下は見られず、紅の氷を使い縦横無尽に立ち回っている。

 だが、実のところかなり消耗しており、機械アリ複数体が、体力消耗を肩代わりしているから動けているだけ。

 背更に、背後に浮かぶ蓮の花弁が、残り数枚になっている。

 

(時間、僅少)

 

 ミユが力尽きるか、ボスが倒れるかのチキンレースだった。

 

 そして、結果が現れる。

 

『GI……GA……』

 

 先に力尽きたのは――【デウス】。

 マユの放った一刀が翼を切断した事で、地面に落下した。

 そして――それを見逃す彼らではない。

 

 オウカがシャウトする。

 

「行くぞぉーー! 力を振り絞れ野郎共!」

 

 それに三人は答える。

 

「「誰が野郎だ(性別、女性)!」」

 

 ツッコミを入れながら、総攻撃。

 

「もう空には飛ばせない!」

 

 ミユが氷の鎖を出してボスを雁字搦めに縛り付ける。

 

「私の手足は武器」

 

 マユはボスに近づきざま、手刀を作り振るう。

 斬撃で放っていた物をそのまま放つ。

 威力減衰はなくなった最大限の一斬は、ボスを真っ二つにした。

 

「俺が上をやる」

当機(わたし)、下部」

 

 そこへオウカとネラは分かれて飛び出す。

 

 オウカは思考速度を極限まで加速させ考える。

 

(さて、どうするか……)

 

 必要なのは、大火力の一撃。相手を跡形もなく消し去る攻撃。

 

(派手に行く……? いや駄目だ)

 

 出し惜しみはしないと決めていたが、嫌な予感がする。

 とは言え、それ相応の火力が必要。

 ならば……

 

「だったらこれだな」

 

 オウカはバックステップで距離を取る。

 そして、出したのは先程も使っていた大砲。

 チャージをおこない、全てを絞り出す事で次の一撃の威力を最大にする。

 

 ネラは今までの仕込みを全解放。

 自身の攻撃が効きずらいと分かってから、仕込んでいた物。

 〈属性強化〉、〈魔法強化〉、〈一撃強化〉、〈防御低下〉、〈耐性突破〉、〈耐性減衰〉など。

 それらを多重化させ、連結させ効果を向上させ、魔法陣として展開。しかもそれは平面ではなく球体状の立体魔法陣。

 

 そもそも彼女は補助が専門。

 傭兵団に居た頃も、専らサポートが主だった。

 戦闘をする際は色々準備をして、仕込みをしなければ、超一流と渡り合う事は出来ない。

 だが、逆を返せば、準備(それ)さえ出来れば、彼女は凄まじい火力を発揮可能。

 

良時(ナイスタイミング)。丁度、光霊、使用、可能)

 

 実はとある術を使うため、光の精霊が使用可能になるのを待っていた。

 

 そして、奇しくも両者の一撃は同時に放たれる。

 

「塵と化せ」

 

 オウカが大砲から放ったのはエネルギーの極光。

 今までの比較にならぬ破壊力と規模。

 だが、それと引き換えに、砲身は発射と同時に爆発した。

 ……直に大砲自体が崩れる。

 

「〈属性崩壊〉」

 

 ネラが放つのは六属性を混ぜ合わせた攻撃。

 凄まじい破壊力を誇り、耐性すら突破するが、少しでも配分をミスすれば自分諸共消し飛ぶ。

 彼女が持つ制御力あっての術。

 

 エネルギー二閃はボスを消し飛ばした。

 

 それとほぼ同時、ミユの背後の蓮の花弁が散る。残り一枚状態。

 奥義を解除する。

 

「フウ……」

 

 眼が元に戻り、肌の赤い線が消えた。

 

「ギリギリだった……」

 

 膝を付いたミユ。

 消耗が激しいので、使用後の戦闘もままならない。

 ネラのサポートが無ければもっと早くに力尽きていた。

 

「感謝します……」

「……礼及」

 

 そう言うネラも消耗している。

 こちらは精神的な疲れであるが、機械アリも本体のみになり、人間形態は解除している。

 

 そんな二人に対し……

 

「あーあ……、せっかく全部揃ったのに……」

 

 オウカが溜息を付く。

 

 彼は体力的にも、気力的にもまだ余裕がある。

 だが、砲身が無くなった大砲は、崩れて塵となった。

 その場所の指輪も色褪せてしまっている。

 暫くは使用出来ないだろう……。

 

「まあ、また集めれば良いでしょう?」

 

 マユがオウカの近づき、慰めるように肩を叩く。

 

 彼女はオウカ以上に、体力・気力に余裕がある。

 しかも、これと言ってコスト消費すらしていない。

 そもそも彼女は人であると同時、武器である。

 それに加え、本業は刀工。

 体力・気力共に自信はある。

 

 そんなマユに恨めしそうな視線を向けるオウカ。

 

「そう簡単に言うけどな……」

「わたしも手伝うから」

「……ならいいけど」

 

 まだ不満そうなオウカへ、マユは出したチョコバーをオウカの口に入れる。

 

「モゴ!?」

「はい、あげる」

「……モグモグ。ゴクン。あげてから言うn」

 

 ツッコミを入れたオウカへ、間髪入れずに二本目を口に突っ込む。

 

「「……」」

 

 そんな様子を生暖かい目で見守っていたミユとネラ。

 だったが……。

 

「「ッ!」」

 

 突如、雰囲気が張り詰める。

 全員の視線が向いたのは、【デウス】がいた場所。

 跡形も無く、消滅させたはずだったが……

 

「まさか……」

 

 オウカの呟きに答えるように、光が集まり形を成す。

 そして、現れたのは怪物。

 巨大形態から人型に小さくなり、両肩からは蛇、背からは翼、両腕は鋏になった獣人。

 

『GAAAAAA!』

 

 咆哮を上げるボス第二形態。

 戦いは終わっていなかったのだ。

 

「嘘でしょう……t」

「絶句……」

 

 即座に戦闘態勢を取ろうとするミユとネラ。

 だが、碌に動ける状態ではない。

 

 一方、オウカとマユは即座に行動。

 

「予測済みだよ!」

「その通り」

 

 駆け出すオウカにマユは櫛形態となり、オウカに装備される。

 そして、オウカは隠しておいた手札を切った。

 

「〈アンパッサン〉」

 

 そして、暫しの戦闘後、戦いは決着した。




【TIPS:デウス】
(・▽・)<このダンジョンのボス。ラスボスです。

(・▽・)<高いステータス、幾つも術技を持ち

(・▽・)<四体の中ボスのデータがフィードバックされていますので

(・▽・)<かなり倒しにくい。しかも第二形態持ち。

(㈩*㈩)<……倒させる気ないでしょう。

(#ー#)<稀にこういう鬼畜使用なモンスターが出て来るんだよな……。
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