(#ー#)<ぶっちゃけ一般高校と変わらねえな。
(#ー#)<学園祭とか、学外実習とか、修学旅行とか。
(㈩*㈩)<あるんだ……。
(・▽・)<体育祭とかないのですか?
(#ー#)<あ、それはねえな。……まあ対校戦ともう一つがそれだな。
(・▽・)<もう一つって?
(#ー#)<これについてはいずれ。というかある章で本格的にやる。
◇◆◇◆
そして翌日。
「今日で連休は終わりか……」
リビングに、愛用のビーズクッションを置いて、その上で寝そべる、オウカが呟いた。
「戦って終わった」
テーブルに様々な道具を並べ、手入れをしている、マユがそう言った。
「来年、休暇。休憩、取得」
機械アリ複数体に、お菓子とお茶を乗せてやって来た、ネラが言った。
「だと良いですね」
適当にチャンネルを回しながら、テレビを見ていた、ミユが呟く。
連休最終日のこの日、四人はダラダラと過ごしていた。
因みに……
『暫くお世話になります』
『お世話します』
『急に決まった!?』
『唐突!?』
ミユは暫くの間、オウカの家で居候となった。
近くの方が守りやすいからだ。
そんな感じで過ごしていたのだが……
「ん?」
何か音がする。
連続して響く、何かを叩く音。
「ネラ」
「了解」
機械アリが索敵すると。
「窓側、何居」
そう言うので、窓へ向かうオウカ。
そこには折り鶴が嘴で窓をノックしていた。
「アシヤ先生の式神だ」
窓を開け、折り鶴を掴む。中は手紙になっており、それを読んでいく。
読み終えると、オウカは身支度を始める。
ミユが訊ねる。
「どうしました?」
「学外実習で問題があったらしい」
それにネラが反応して問いかけて来る。
「問題?」
「そういえば今日って、一年の実習最終日だった」
マユが思い出したように言う。
「私の方は特に何もなく終わりましたけど……」
ミユがそう言う。
プレイヤー養成高校は全校おこなう学外実習。場所は様々で、時期もバラバラ。
昴咲高校の実習はもう終わっており、平和に終わったそうだ。
因みに、ミユの班はちゃんとクリアした。
「此方、去年、大変」
ネラの言葉にミユが興味を示す。
「何があったんですか?」
「緘口、令出」
「ちょっと! そこまで言って言わないの無しですよ!」
そんなネラとミユの会話を聞きながら、オウカは身支度終え、玄関に向かう。
その前に、振り向く。
「ネラ!」
「言悩。……! 了解」
機械アリを一匹、オウカに渡す。
通信妨害の中でも電話をしたり、映像や音声をリアルで送る事が可能。因みに発信機付き。
アリを懐に入れるオウカへマユが問う。
「わたしはどうする?」
「ここに居てくれ。ミユの事もあるし」
「わかった」
そして、オウカは家を出た。
彼の家から通う高校は結構近い。
歩きながら考える。
(何が起こった?)
手紙には――実習で問題が発生したから、その解決のために来て欲しい――とだけあった。
詳しい事は現地で説明するとの事。
(またモンスターでも出て来たか?)
これは余談だが、前回の反省――転移封鎖したせいで、逃げられなくなった――を踏まえ、一部に転移可能ポイントを作ったり、特殊な転移の道具を用意したらしい。
「でも、今回は手練れもいるだろうし……」
ザンカやベニバナだけでなく、マリアまでいる。
生半可なモンスターなら倒せると思うのだが。
そんな事を考えている内に学校に到着。
中に入り、校庭へと行くと、そこは……
「は?」
思わず声が漏れた。
そこは野戦病院のように怪我人が溢れていた。
それは生徒、教師、引率者問わずに。
「何が起こった?」
その呟きに答える声があった。
「襲撃があった」
「クイン」
振り向くとそこには、いつものヘッドホンをしたクインがいた。
彼女が着ている服には特大の大穴が空いており、臍が丸見えだった。
……何かで腹部をぶち抜かれたとした思えない。
「お、お前、それ……」
「ん?」
「腹、お腹、腹部」
「……もう治ったから平気」
どこからどう見ても、致命傷だったようにしか見えないが、綺麗サッパリ治っている。
つまり……
「……使ったのか?」
オウカはクインの秘咒について知っている。だからこその問い。
それにクインはコクリと頷く。
「大丈夫なのか?」
それでも心配そうなオウカに、クインは軽く微笑む。
そこへ……
「サクヅキクン〜、見っけ〜」
間延び口調が響く。振り向くと、そこにはアシヤ=キョウコがいた。
「先生! 一体何が? 襲撃があったと聞きましたけど」
オウカの問いかけに、キョウコは無表情になる。
そして答える。
「マフィアが襲撃してきた」
いつもの間延び口調はない。
「目的は?」
「人身売買」
流石に絶句するオウカ。
少しして問いかける。
「何考えてるんですか、そいつら」
「学外実習中ならやりやすいって思ったみたい」
何でも山かけで罠を張っていたらしい。
そして、見事に天ノ角高校が引っかかったという訳である。
「そして、目撃者は異常発生したモンスターに殺されたって言う体にするはずだったけど」
「手練れがいた」
コクリと頷いたキョウコ。
「ベニバナさんとザンカさん。そしてマリアさん」
三本の指を立てる。
「誰か欠けていたら、もっと酷かっただろうさ」
★☆★☆★
プレイヤー養成高校の実習は毎回違う場所が選ばれる。
昨年度の実習は、傭兵団の襲撃を受け、大惨事一歩手前となってしまった。
死者や重傷者が出なかったのは、本当に奇跡としか言いようがない。
そういう訳で前回の反省を踏まえ、策を取った。
一つ目が転移。
転移事故を防ぐためとは言え、全域に転移封鎖をするのはやり過ぎという事で、一部だけにして、更に転移が用意なポイントも作った。
これで何かあっても、生徒をすぐに逃がす事が出来る。
二つ目が引率。
今回はキョウコとイオリのツートップは別件で引率出来ない。
その代わり、腕利きを何人も雇った。特に結構高名なプレイヤーであるクロガネ=ザンカ、卒業してすぐさま頭角を出したハナヤマ=ベニバナ、アシヤ=キョウコが推薦したシスター・マリア。
この三人がトップレベル。
三つ目が事前準備。
場所は念入りに見て周り、危険そうなモンスターは間引き、罠は潰した。
これだけやれば安全だろう。
そう思っていた。
なのだが……
▼▽▼
実習当日の早朝。
誰も通らないような路地裏で、二人の人間が何かしらの取引をしていた。
「こ、これで借金は帳消しなんだよな……」
彼が渡したのはUSBメモリ。
それを受け取った男は、それには答えず端末にメモリを刺し、中身を見て行く。
暫くしてから口を開く。
「これだけわかれば十分だ」
「じゃ、じゃあ……」
顔が明るくなる男に、端末の男はにっこりと笑う。
「ああ。ほら」
何かを投げる。
それは……
「小銭?」
昔の小銭だった。
彼は知らなかったが、知っている人ならこう言った。
六文銭と。
「あの世に行った時に使え」
男は流れるようにナイフを出して、呆けた表情の男を始末した。
「さ、始めるか」
そうして作業を始める。
………………
…………
……
暫くして……、そこには先程死んだ男が立っていた。
足元には、服と皮を失い、筋組織むき出しの死体があった。
「さて、行きますか」
そう言ってから、燃やした紙を死体に落とす。
その火は死体に燃え移り、跡形もなく死体を燃やし、残ったのは僅かな燃えカスのみ。
それを確認すると、男はその場を何食わぬ顔で立ち去った。
★☆★☆★
幾ら対策をしようとも、情報が漏れていたり、内部に協力者がいる場合は意味がない。
こういう時は想定外を起こさねばならない。
オウカの友人であるメイドならこう言っただろう。
▼▽▼
そうして実習は始まった。
今回の場所は、都内にあるダンジョン。
かなり広いうえ、危険度の高いモンスターも出ないので、実習には持ってこいという訳で選ばれた。
その入り口には、生徒、教師、プレイヤーなど大勢がいる。
そんな生徒の中に、一際目立つ存在がいた。
背には折り畳まれた巨大斧、腰の左右と後ろには小斧を差した少女――オウジマ=レイリだった。
(楽しみだな〜)
実は彼女は、この実習を楽しみにしていた。
不安な人も多いが、経験者にとっては結構温い物になるからこそ。
とはいえ……
(いけないいけない。油断しないようにしないと)
犬のように首を横に振り、気持ちを引き締める。
かつて、モンスターの転移事故で、生徒の大半が死亡する事があり、去年も大惨事一歩手前になりかけた。
事前注意で言われ、│幼馴染《イヌコ》にも言われ、│先輩《オウカ》にも言われた。
「頑張ろう」
そう呟いた。
******
一方、クインの方はと言えば、いつもと変わらない表情と服装。
ヘッドホンと制服姿。
彼女の得物である、大剣二刀と鉤爪大籠手はブレスレット状の匣に入れている。一つ二つしか物を入れられない代わり、出し入れのスピードはかなり早いモノ。
そんな彼女は緊張したり、楽しみにしている様子も感じられない。
ただただいつも通り。
(頑張ろう)
物静かにそう思っていた。
******
そして、引率するプレイヤーの中に一際目立つ存在がいた。
しかも二人。
改造して胸元や太腿が剥き出しになった修道服を着た女性。
着物袴の、大正ロマンを表したような格好をした女性。
マリアとベニバナだった。
周りの視線に気にした様子も無くおしゃべりしていた。
「そうですの。だから様付けで呼んでいるのですわね」
「はい。あの人がワタクシの生きる意味なので」
「……ところで聞いて良いですの?」
「何ですか?」
「マリアさんはサクの事をどう思ってますの?」
実はベニバナはオウカの女友達全員にそれを聞いている。
カナタやジンナだけでなく、なんとソルドアットにも聞いた。
そんな彼女の答えは……
『好きだよ。LOVEじゃなくてLIKEだけど』
とのこと。
そして、マリアの答えはと言えば。
「ワタクシはサク様を愛しています」
ド直球な答えだった。
更に……。
「請われれば、全てを差し上げます。チカラも体も」
一拍置いて続ける。
「しかし、サク様は体は求めて来ませんけどね。これでも名器だと自負しているのですが……」
この答えには流石のベニバナも驚き、思わず顔を赤らめてしまう。
それにマリアは少し呆れる。
「……自分で言って置いて、何で赤くなっているのでしょう?」
「そこまで言うとは思ってなかったですわ!」
小さく咆えるベニバナ。
そして、コホンを咳払いして気を取り直す。
「それに……流石にぼかして言ったり、LIKEの方だと言うと思ったのですわ」
前者はカナタ、後者はソルドアットである。
「まさか普通に答えるとは、思いませんでしたわ」
「そういうものですか?」
「そうですわ」
ベニバナの言葉に、マリアは訊ねて来る。
「そう言えば、ベニバナさんはあの世界についてどれだけ知っていますか?」
「サクやソルドアットさんからある程度は聞きましたけど……」
積極的に話したい事ではないのか、偶に出て来る程度。
「あの世界の住人は大なり小なり狂ってますから」
ワタクシ含め、とマリアは微笑する。
それにベニバナは思う。
(そうは思えませんですわ……)
ソルドアットやマリアはそこまでではないと思う。
前者は戦闘では止まらなくなるが、後者はそこまで狂っているようには見えない。
それに彼女は静かに続ける。
「まともな人は自死するか、狂うか、堕ちるかして、災厄をまき散らすようになりますから」
少し間を開けてマリアは言う。
「ワタクシもそうでしたし」
「……何をしたんですの?」
「沢山沢山殺しました」
事もなげも答える。
「色々あり過ぎて、この世には救いがないと思いまして」
「そ、それは正当防衛とか、相手が外道だったのですわよね?」
ベニバナの言葉に静かに首を横に振るマリア。
「最初はそうでした。でも……」
目を伏せる。暫くしてポツリと呟く。
「……まあ実際コジュウロウさん? と言う方と変わりありません」
「!」
大問題児であるコジュウロウの事は、オウカと交友ある面々なら全員知っている。
全知的生命体抹殺を掲げたイカレ野郎。……野郎?
「衝動が止められないのです。理性より本能を優先するようになる」
そう言って悲しく笑う。
「まあワタクシはサク様が優先事項なので、普通に見えるだけですよ」
そして、マリアは黙り込んだ。
それにベニバナも声を掛けられなくなった。
【コソコソ話】
(・▽・)<レイリさんはサクの助言で、巨大斧だけじゃなく、
(・▽・)<コンパクトな接近戦用の小斧二つと、
(・▽・)<投擲用の斧を携帯するようになりました。
(㈩*㈩)<クインは特に変わらない。
(㈩*㈩)<戦闘では、気配を消して、巨大鉤爪籠手を使うか、
(㈩*㈩)<重力操作と、大双剣で蹴散らすか、
(㈩*㈩)<■■■■を使うか。
(#ー#)<この三つ目、未だに伏せているな。バレると不味いから隠しいるんだよな。
(㈩*㈩)<うん。実はサクは見せて貰って模擬戦した。
(㈩*㈩)<この章で出るけど、ちょっとヒント出す。
(㈩*㈩)<ベニバナに近い。