(#ー#)<そういえば、冥刀の術技って元からあって解放されていく方式なのか?
(#ー#)<それとも、自分で作り出すのか?
(㈩*㈩)<両方。まあ認められていないとそこまで解放されないけど。
(㈩*㈩)<作る場合も、作っても認めない場合があるし。
(㈩*㈩)<そして、歴代の使い手が作った術技すら継承可能なモノもある。
■□■□
マリアは右腕を伸ばし、横に並行にする。
すると、空間が歪み、その手に巨大なパイルバンカーが装着される。
冥刀【カズィクル・ベイ】。つまりは本気という事だった。
(油断も隙もないね)
それを見ていた教師――今回の責任者が発言する。
「マリアさん! 落ち着いてください」
それに複数の教師が乗る。
「相手から色々聞き出さなければなりません」
「そうです」
「投降して話をするなら、命までは」
「駄目ですよ」
それをやんわり諫め、マリアは続ける。
「こういう輩をワタクシはずっと見てきました」
視線を敵に向けたまま。
「自分以外を道具としか思わず、踏み潰すのを躊躇わない。そんな人は」
マリアの覇気が増す。
「この世から消すしかない」
それを聞き男は悟る。
(ああこりゃ、話し合いは無理だな)
どっちにしろ自分を殺す気であると。
ならば。
「こっちの目的は、生徒の拉致だよ」
「「!?」」
今は時間稼ぎをする事を決意する。
「ほら、未成年は高く売れるだろう?」
バラして内臓を売りさばくも良し、好事家に売るも良し、奴隷にするのも良し。
「特にプレイヤー候補ってのは高く売れるからな」
戦闘に使わせるも良し、デスゲームさせるのも良し、女だったら優秀な子供を産むための母胎にするのも良し。
「使い方は選り取り緑だ!」
あまりに外道な言葉にほぼ絶句する中、
「何でそれを自白したのですか?」
平然として人がただ一人。
それはマリアだった。
「……おや、驚いていないのな?」
「ワタクシも売られた身なので」
「へえ。確かに高く売れそうだな」
その肢体を見る。
顔は美人、胸や尻は出ており、スタイルは良い。
性奴隷にしたら高く売れそうではある。
そんな舐めるような眼つきを気にした様子もなくマリアは訊ねる。
「何故素直に話したのですか?」
「決まっているだろう?」
その両手にいつの間にかあったのはカード。
数は数十枚はある。
「時間稼ぎだよ!」
カードが放り投げられたと同時、そこから大量のモンスターが現れる。
「召喚モンスター!?」
「この規模はおかしいだろう!?」」
他の面々が驚いている中、男は一体のモンスター――猛禽型の背に飛び乗ってから告げる。
「俺は≪紅露御刃亜≫の幹部、イツカワ=タクマ。短い間だが宜しくな」
その声と同時、モンスター達が教師とプレイヤーに襲い掛かった。
それに教師やプレイヤー達が対応しようとした時だった。
マリアが声を掛ける。
「その場から動かないでください!」
それに彼らの動きが止まるのを確認すると、マリアは地面にパイルバンカーを地面に叩きつける!
(不味い!?)
それを見たイツカワは猛禽モンスターに指示をして、高く上昇する。
それと同時……
「〈
引鉄を引く。
すると、紅の杭が数多に地面から飛び出し、モンスター達を串刺しにする。
命を刈り取り、そうでなくても縫い留める。
更に、先程までイツカワが居た場所には特大の杭があった。あのままでは串刺しだっただろう。
(あのままだったら、殺られていた……。とは言え……)
他の面々にまだ生きているモンスターを倒すよう指示し、自身はこちらに迫るマリアを見下ろしながら思考する。
(あんな大技使ったんだ。だったら、暫くは使えない……よな?)
希望的観測もあるが、今はチャンス。
ならば。
「戻れ」
猛禽モンスターをカードに戻し、地面に着地。
そのままナイフを二本抜いて二刀流となる。
それにマリアは片眉と吊り上げる。
「どういうつもりですか?」
「今ならチャンスかと思ってな……」
「そうですか」
マリアはパイルバンカーを仕舞い無手となって構える。
「……パイルバンカーは使わねえのか?」
「今は休んで貰います」
イツカワの勘は当たっていた。
【カズィクル・ベイ】は大技を使い、暫くは何も出来ない。
奥の手の吸血鬼化も使えない。
「そうかい(、ならチャンスかね)……」
そんな事を思っていると、マリアが口を開く。
「マリアです」
「……あん?」
「ただのマリアです」
一拍置いて続ける。
「名乗られたなら、名乗り返すのが流儀ですので」
その辺はオウカや他の面々もそう。
それにきょとんとした顔をしたイツカワは少しだけ口元に笑みを浮かべる。
「そうかい。じゃあ死ぬまでの間、宜しく……な」
一気に間合いを潰すイツカワ。
そして、ナイフを振るう。
「おっと」
マリアはそれを避ける。
「一発で終わる訳ないだろう」
二刀流ナイフの連撃
それをマリアは、皮一枚で躱す。
「速いですね……」
(一発も当たらねえ……。コイツ視力が良いのか?)
マリアは身体能力だけでなく、感覚も鋭い。
五感が生半可な獣以上に効くのである。
とは言え、イツカワもそのままではなく、攻め手を変える。
「オラ!」
上半身に攻撃を集中させてから、下半身を狙いに行く。足を踏み砕きに行く。
だが、それをマリアは事もなげに避ける。
「これも防ぐか……。だったら……」
ナイフの柄を向ける。
(ん? これは……)
そこから催涙スプレーが発射。
だが……。
「残念」
マリアはこれも予想している。
眼を固く閉じて防ぐ。
「知ってるよ」
だが、イツカワの引き出しはまだある。
「それくらい」
彼は少しだけ間合いを取り、口を窄め……。
「フッ」
火炎ブレス。
手札を増やすため、覚えている人も多少いる。威力は人によりけり。
それを催涙スプレーと合わせ、火力を上げる。
炎はマリアの直撃する。
だが……
「火災現場や山火事よりはマシです」
彼女は体を回転させて、どうにかダメージを抑える。
生憎とマリアが纏う服は普通のシスター服。
体は火傷を負い、服は焼け焦げてしまう。
「ふう……」
マリアは起き上がり、相手を見据えて問う。
「……焙りトロになったら、どうする気ですか?」
「知るかよ!」
そのまま間合いを取って二人は相手の出方を伺う。
(色々な暗器を使うタイプですか……)
(未だに攻撃してこないな……)
(まだ引き出しはありそうですね)
(守勢で様子を伺っているのか……)
(……長引けばこっちが有利ですね)
(長引くとこっちが不利だが……)
暗器使いは短期決戦が主。
一方、マリアはスタミナが凄まじい。
だが……。
(状況的に長期戦は無理ですね)
(状況的に短期決戦を選ぶ)
奇しくも両者の意見が一致する。
((ならば、一気に決める))
そして……同時に動いた!
イツカワはナイフを短機関銃を変更して発砲。
(一気に仕留める!)
マリアは皮一枚で回避しながら、間合いを潰しにかかる。
(これでは間合いが詰められない。ならば……)
マリアはパイルバンカーを再び出す。
「あん?」
相手が疑問に思う中、それを盾にして前進開始。
「そう来たか!?」
弾丸はパイルバンカーに弾かれていく。
なので、左手に鎖分銅を持ち……
「シュッ」
「!」
鎖分銅がパイルバンカーごとマリアの腕を巻き取る。
そこへイツカワは電流を流そうとする。
「感電死だ!」
だが、それをマリアはパイルバンカーを仕舞う事で回避。
そのせいで弾丸が体に弾丸が突き刺さった。
マリアの体が硬直する。
だが、それと同時に短機関銃は弾切れ。
幾ら様々な技術を注ぎ込まれていると言っても、弾丸は無限ではない。
(このままトドメを……)
短機関銃を別のに持ち替えようとした時だった。
倒れかけていたマリアが動く。
撃たれているとは思えないスピードで接近する。
「な!?」
「させませんよ」
そのまま手首を掴んで握り潰した。
「ッ!?」
それにイツカワはナイフで肘から先を斬り落として、間合いを離した。
「おや……そこまでしますか」
「するね……、というか」
気になった事を訊ねる。
「何でお前弾丸喰らって生きている……のは百歩譲って良い」
本当は良くない。
銃も弾も対モンスター・プレイヤー用。
「なんで動ける!」
確実に弾丸は貫いたはずなのに。
それにマリアは平然と答える。
「内臓には届かなかったので」
彼女は筋肉を締める事で無理矢理止めたのだ。
特殊な体質を持った彼女だからこそ出来た荒技。
「……それにしても驚きました。生半可な弾丸なら刺さらずに肌に止まるのに」
マリアのコメントに流石に絶句するイツカワ。
だが、それをすぐさま行動を開始する。
「この化け物が!」
手裏剣を投擲。
「化け物?」
それにマリアは平然としたまま手裏剣を掴み取り。
「ええそうですよ。ワタクシはヒトを捨てたのですから」
握り潰す。
そして、
「今度はこっちからです」
マリアの足元が爆発したかのようになる。
スピードで、イツカワとの間合いを潰す。
(コイツ今までのが最高速度じゃなかったかのか!?)
それにイツカワは口を窄め毒霧を散布。
強靭なモンスターでも動きが止まる、麻痺毒。
(この隙にナイフで首を切る!)
なのだが。
「ご生憎様。ワタクシ毒耐性が高いので」
「嘘だろう!?」
マリアは全く鈍らない。
実は彼女、オウカに凶行を止められてから、彼がかつて使った鍛錬方法を真似て毒物摂取をしている。
そのおかげで、即死級の毒でなければ通じない。
そうして近づけてしまった彼の、残された手首を掴む。
「これで両手は使えない」
「! まだだ」
マリアが握りつぶすと同時、刃が飛び出た靴でマリアの腹部を狙う。
だが。
「折れたぁー!?」
彼女の腹筋を貫けず、圧し折れた。
その足をマリアは掴み、こちらも潰す。
「だったら……」
口からブレスを撃とうとするが……。
「吹き芸はもういいです」
「ゴモ!?」
首をマリアは掴み喉笛を掴んで。
「眠ってなさい!」
地面に頭部を叩きつけた。
後頭部を地面に叩きつけた事により、イツカワは意識を失う。
そのまま首を圧し折ろうとしたマリアだったが……。
「待ってください!」
教師の一人が止めて来た。
トドメを止め、そちらを向く。
「モンスターの方は?」
「は、はい。どうにか倒し終えました。お陰様で」
「それは良かった」
ほんの少し笑みを浮かべるマリア。
雰囲気が和らいだ所で教師は言う。
「色々聞き出さなければならないのでその程度で……」
その言葉にマリアは少し悩むような素振りを見せた後……そこからどいた。
「ありがとうございます。拘束手伝ってください」
そして、他の教師とプレイヤーと共に拘束をし始める。
そんな様子にマリアは訊ねる。
「本当に尋問をする気ですか?」
「はい。聞き出さなければならない事が色々あるので」
曰く、彼が名乗った組織の名前は結構有名らしく、聞く事は山とあるらしい。
「……生徒の救出は?」
「今動ける範囲で出しました」
「そうですか……。ワタクシは? どうしますか?」
その言葉に教師は迷う。
この待機場所を守るか、生徒の救出に動くか。
逡巡した後、口を開く。
「ここの防衛を」
「わかりました」
「……理由は聞かないんですか?」
「生徒の保護には人数が必要でしょう」
マリアはわかっていた。
生徒を探すには人が必要。だからこそ、マリアがここを守ればそれだけ多く人を救出に回せる。
「ではお願いします。私は尋問をしますので」
「……一つ忠告を」
「はい?」
マリアは口を開く。
「始末した方が良いと思いますよ」
それに教師は首を横に振った。
……後に教師はこの忠告を聞かなかった事を後悔する事になる。
……
…………
………………
そして、待機場所にはマリア含めて数人を残し、後は全員、生徒達の救出に向かった。
そのタイミングでイツカワの目が覚める。
「……ここは」
まず自分の状況を確認。
拘束されている。
縛られているだけでなく、ご丁寧にスキル封じまでされている。
(確かあのエロシスターにやられたんだよな)
次にどうしてこうなったかを思い出した。
(ありゃ勝てねーわ)
そもそも自分は斥候、偵察、密偵、潜入が主。直接戦闘力は一番低い。
そんな事を思っていると、目覚めた事に気づいた数名が寄ってきた。
それに、今何をやれるかを考える。
(拘束解いても、戦闘は無理)
四肢が使いものにならない。
(逃げるのも無理。だったら……)
イツカワは決断する。
そして、笑みを浮かべ……
「先に逝くぜ。じゃあな」
大爆発を起こした。
【TIPS:紅露御刃亜】
(#ー#)<悪名高いクラン。メンバーはリーダー、幹部が四人、そして戦闘員。
(#ー#)<なんだが……
(・▽・)<何かあるんですか?
(#ー#)<リーダーが不明。全く出てこない。幹部は知っているけど。
(㈩*㈩)<それ本当にいるの? 幹部がいるように見せかけているんじゃないの?
(#ー#)<いや。ある能力で支援しているから、いる。
(#ー#)<今回も来てる。