冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<そういえばあの格闘家、手を伸ばしたりしてましたけど……

(・▽・)<アレって誰でも出来るんですか?

(#ー#)<んな訳ないだろうがよ。実はアイツとある流派で中伝まで取っている。

(#ー#)<その産物の身体操作だ。

(㈩*㈩)<何の流派なの?

(#ー#)<それについては追々。


百二十九

 ******

 

 

 ザンカとミナミダの戦闘が始まった頃。

 別の場所でも戦闘があった。

 

 

 ……………

 …………

 ………

 

 

 とある場所。

 そこでは爆発音が響いていた。

 そこではベニバナが戦っていた。

 

「あああ!」

 

 彼女の叫び声が響いていた。

 戦い……というより狩りに近い。

 ベニバナは一方的に攻撃されていた。

 そのいつもの大正浪漫の服装は襤褸切れ状態で。

 クロスを発動しているため、鱗が生えた肌がかなり露わになっている

 それに傷はついていない……もしくは治ったのだろう。

 だが。

 

「うっとおしいですわあ!」

 

 煩わしそうに彼女は叫んでいた。

 そんな彼女に向けて飛来したのはダイナマイト。

 小規模な爆発を推進力に使って迫る。

 それをベニバナは口からのブレスで爆発させる。

 その足元にコロコロと何かが転がって来た。

 それは――手榴弾。

 

「!」

 

 爆発を起こすそれ。

 どうにかベニバナは体をオーラで包んで防ぐ。

 

「どうしてこうなr」

 

 最後まで言えなかった。

 足元が大爆発を起こし、ベニバナは爆炎に飲まれた。

 

 

 ******

 

 

 ベニバナから少し離れた場所。そこの木の上に男がいた。

 

「これで少しはダメージになっていると良いってハナシ」

 

 今回の天ノ角高校の実習を狙うに辺り、特記戦力となっていたのが、ハナヤマ=ベニバナだった。

 情報によれば――持っているスキルはグリーンクロス、そして特殊な手術で融合したモンスターのダブルドラゴン。

 オーラ、複数のブレス、鎌鼬、雷撃と言った特殊能力も脅威だが、シンプルにフィジカルも高い。勿論再生力もかなりある。

 

「こういうのはミナミダが担当するってハナシだろ」

 

 そんな事を彼――│B《ボマー》・Kは思っていた。

 幹部四人の内、直接的な戦闘をおこなうのが二人、潜入、斥候、偵察などの支援をおこなうのが二人。彼は後者だった。

 勿論、イツカワとKも戦闘は出来るが、あの二人には劣る。

 ただし、勝てない訳ではない。

 

 イツカワは多才な手札があり、Kには爆弾がある。

 罠を大量に仕掛け、ベニバナを誘い込み、そこに追撃を掛けた。

 

「ここまでやれば……」

 

 爆炎が晴れる。

 そこには……。

 

「……」

 

 ベニバナがいた。

 相も変わらず健在。傷もない。

 ただその顔は能面のように無表情。

 見る人が見ればわかる。

 これは完全にキレている。

 

「■■■■■■!!」

 

 言葉で言い表せない咆哮をベニバナは上げた。

 

「な、なんだあ!?」

 

 Kが見る中、ベニバナの姿が変貌していく。

 

 動物(アンバー)昆虫(ヘーゼル)古代生物(アンバー)幻獣(グリーン)のクロスで生物のチカラを発揮する際には、獣人となる場合が多いのだが、その配分は人それぞれ。

 人によっては角や翼が生える程度の変化の場合もあれば、人間の成分どこ行った? と言いたくなる人外変化となる場合もある。

 因みに、練度を上げるとある程度配分自在となる場合もある。

 

 ベニバナの場合、尻尾と角が生え、多少鱗が浮き出るいわゆるドラゴン娘のような姿となる。

 なのだが、今回はそこから更に変貌する。

 

 角が長くなり、巻き角となる。

 髪の毛が足元まで伸び長髪となる。

 手足が鱗に覆われ、爪が伸びる。

 背中からは翼が生える。

 歯が鋭くなり犬歯は口元から少し出る。

 尻尾が1.5倍程長くなる。

 

「■■■……」

 

 変貌したベニバナは唸りながら、辺りをキョロキョロと見渡し、自身をこうした相手を探し始める。

 

(見つからねえってハナシ)

 

 Kはスキルとアイテムの双方で姿を隠している。

 見つかるはずはない……はず。

 

 少ししてベニバナは行動を開始する。

 息を吸いこみ、

 

「■■!!」

 

 上空に目がけブレスを放つ。

 それは上空に上がると花火のように飛び散る。

 そして、光弾が隕石のように降り注ぐ。

 

「いっ!?」

 

 すぐさまその場から離れるK。

 一秒後、光弾がそこに着弾。

 どうにか走りながら回避していく。

 そこへ……

 

「■!」

「見つk」

 

 ベニバナがKを見つける。

 今のKは視えず、聞こえず、匂いもない。

 だが、動けば気流が動く。それをベニバナは感じ取った。

 

「■■!!」

 

 ベニバナは爪を振るう。

 そこから五つの鎌鼬が飛び出す。

 

 それに対しステルス状態を解除し、ダイナマイトを爆発させ鎌鼬を掻き消す。

 その粉塵からベニバナは飛び出し、拳を振るう。

 それはKに直撃……したかに見えたが……

 

「■!?」

 

 拳の着弾場所が大爆発を起こし、ベニバナは吹っ飛ぶ。

 それにKがニヤリと笑みを浮かべる。

 

「まさか使わされるとはな……」

 

 Kの着ている服は、爆発反応装甲(リアクティブアーマー)のようになっており、外部衝撃で爆発する。しかも爆発には指向性があり、相手へのカウンターになるが、自身にはダメージはないという優れものだった。

 そのはずだったのだが……

 

「コフ……」

 

 血を吐くK。

 彼はダメージを負っていた。

 ベニバナの拳の一撃のダメージが大きすぎたのだ。

 

(骨が二、三本皹がいった。内臓も傷付いた……)

 

 口腔に仕込んだ丸薬で傷を治すK。

 

 一方、吹っ飛んだベニバナだったが、平然と起き上がる。

 

「■■■……」

 

 その右腕は肘から先が無かった。

 だが、それに動じた様子はない。

 

(……どう出る?)

 

 その様子を伺うK。

 右手に炸裂弾。爆発力は通常の物と比にならない。

 左手に短機関銃。意志で爆発する特殊な弾丸が撃てる特注品。

 仲間が見たなら、彼が本気だと気づくだろう。

 

 それに対しベニバナはオーラを纏う事で答える。

 そして……

 

「■■■■■■!!!!!!」

 

 咆哮を上げながら突進する。

 その速さは今まで以上。

 

「蜂の巣ってハナシ!」

 

 それにKは下がりながらの弾幕で対抗。

 しかも……

 

「BOM!」

 

 弾丸は爆発を起こす。

 貫通と爆破の二段構え。

 

「これで少しはダメージg」

「■■!!」

 

 最後まで言えなかった。

 飛び込んで来たベニバナ。

 その体には先程とは比べ物にならない密度のオーラを纏っている。

 

(オーラで減衰したってハナシ! だが……)

 

 襲い掛かるベニバナの攻撃をリアクティブアーマーと回避で防ぎながら分析する。

 

(そんなにオーラ使って魔力が持つ訳がない!)

 

 オーラは体力、気力、魔力などを変換して作り出す。

 勿論それらは有限。

 出力を上げれば、消耗はその分が早い。

 そのはず……だった。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 戦いが始まり、結構な時間が経過した。

 

(おかしいだろう!?)

 

 Kは焦っていた。

 

「何で平然と動き続けてる!?」

「■■ーー!!」

 

 ベニバナは暴走機関車のように動き続けていた。

 しかもその動きとオーラに陰りはなく、消耗する気配すらない。

 

(それに……ダメージが減ってねえか?)

 

 ダイナマイト、地雷、炸裂弾などなど。

 多彩な爆弾でダメージを与え続けているのだが、ドンドン効きが悪くなっているような気がしていた。

 

 実はその考察は正解している。

 ベニバナのオーラの技術は深奥に到達している。

 だからこそ、絶対理論である〈心牙〉すら使用可能。

 彼女の〈心牙〉はステータスの強化。攻撃、防御、速度、再生などを強化させる。

 今は防御に対して使っており、爆発に対して耐性が高くなっていた。

 

(時間を掛ければ不利になるってハナシか……)

 

 Kの手持ちの爆弾も一割を切った。

 なのに、ベニバナは一向に消耗しない。

 

「覚悟を決めるしかないってハナシか」

 

 こうなればこちらも傷つく覚悟をしなければならない。

 二枚目の手札を切るK。

 それは粒砂爆弾。一粒一粒が高い爆発力を誇り、連鎖爆破で威力は増大する。

 それをポケット型匣から一掴み取り出しベニバナ目がけ投げる。それと同時に短機関銃を発砲。残り僅かな弾丸を吐き出させる。

 

「■■■ーーー!!!」

 

 それをオーラを使う事で無理矢理突っ切るベニバナ。

 だが、Kはそれは織り込み済み。

 爆破を煙幕代わりにして一時的に身を隠す。

 そして、準備を始める。

 

「使いたくねえが……、仕方ねえってハナシ」

 

 短機関銃を仕舞い、空となったで印を組む。

 それと同時、最後の罠を仕掛ける。

 魔法を発動させる方法の一つであり、印を覚えなければならないデメリットはあるが、それ以外の準備は必要ないため、使う人は結構いる。……カンペを使う人もまあまあいる。

 

 Kはそれを奥の手の使用に使う。

 そして、準備を終えると同時、ベニバナの前に躍り出る。

 

「■■!」

 

 今のベニバナに理性は残っていない。

 ただ敵を完全に殺すまで止まらない狂戦士(バーサーカー)

 策も思考も何もない。

 

「ただの獣ならやりやすいってハナシ」

 

 そして、ナイフを抜き、ベニバナを迎撃。

 爪と刃が激突。一瞬の拮抗後、Kは吹っ飛ぶ。

 そこへ追撃をしかけるベニバナだったが……

 

「!」

 

 その動きが止まる。

 身体中に光の鎖が巻き付いていた。

 最後のKの罠。先程の隙にそれを更に強化していた。

 だが、鎖は軋み始めてる。恐らく五秒と持たない。

 だが、それで十分。

 

「さあ決着ってハナシ!」

「■」

 

 迫るK。動けないベニバナ。だが彼女の胸部が膨らむ。そして口を開く。

 竜で御馴染みブレス攻撃を仕掛けようとしたが。

 

「ドラゴンならそうするよな!」

「!?」

 

 右手をその口に突っ込む。そして、左手のナイフで腕を切断すると同時、最後の奥の手が発動する。

 

「爆!」

 

 ベニバナの口に残した腕が大爆発を起こす。

 あまりの威力に胸部から上が消し飛ぶ。

 普通ならこれで終わりだろう。

 だが……

 

「まだってハナシ!」

 

 残された部分にありったけの爆発物を叩き込む。

 そして、起爆した。

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 一面焼け野原となった空間。

 そこに一人の男がいた。

 B(ボマー)・K。≪紅露御刃亜≫の四人の幹部の一人。

 その装備はズタボロで、腕は片方なく、足は辛うじて動く程。

 手持ちの爆弾は後一つ。コレは実質使えないのでもう無いに等しい。

 

「……勝ったってハナシ」

 

 ベニバナはいない。

 跡形も無く消し飛んだのだろう。

 

「どうにか回収して貰うか……」

 

 他の三人なり、下っ端なりに頼めば良い。

 そう思った時だった。

 

「……一回死にましたわ」

「!!」

 

 自分以外の声が聞こえた。

 恐る恐る振り向く。

 そこにいたのは……

 

「服もないですわ……」

 

 ベニバナだった。

 その体は何も着ておらず、髪の毛を止めていたリボンすらない、生まれたままの姿。流石に恥ずかしいのか手で局部は隠している。

 クロスが解除されており、普通の人間形態になっており、女性の体を晒していた。

 

 それに絶句するK。

 

「……な、何で」

 

 そんな彼にベニバナは説明する。

 

「オーラの深奥である〈心牙〉。(わてくし)はステータスの強化」

 

 そのまま一歩一歩近づいて行く。

 

「そもそもステータスとは何だと思います?」

 

 その言葉にKは答える。

 

「攻撃力とか防御力とかじゃねえの?」

「ええ。その通りですわ」

「(だから爆発が効かなくなっていたのか……)」

 

 疑問が解消された。

 更に続けるベニバナ。

 

「そこを(わてくし)は種類に分けて発動しますわ」

 

 だからこそ、複数の〈心牙〉をベニバナは持つ。

 

「攻撃、防御、移動、回復、特殊。この五つですわ」

「回復……まさか!?」

 

 Kはベニバナ復活の要因に思い至る。

 それは……

 

「〈牙龍天征・命境止彗〉。蘇生技ですわ」

 

 回復魔法に、死んでほやほやなら蘇生可能な術が存在する。

 恐らくそれに近いのだろう。

 

「……まあ欠点もあるですわ」

 

 そもそも死ななければ発動しないうえ、連続使用は不可能。インターバルが一番長い。

 

「なので(わてくし)弱ってます」

(嘘こけってハナシ)

 

 Kが内心で悪態をつく。

 身体に傷はなく、肩で息をしている様子もない。

 対して自分はもうズタボロ。

 

 そんな彼にベニバナは追い打ちをかける。

 

「ここはサクに習いましょう。俳句を詠むですわ」

 

 辞世の句という奴だろう。

 だが、それにKは――

 

「生憎と、出来る事は、まだあるってハナシ!」

 

 最後の奥の手――体内の爆弾を起動。

 

「!」

「道連れってハナシ!」

 

 そして、再び大爆発が起こった。




【TIPS:ベニバナ暴走形態】
(#ー#)<生物系のチカラが使えるクロスの使い手に稀にある。

(#ー#)<完全暴走状態になるんだ。

(・▽・)<ベルセルクって奴ですか?

(#ー#)<ああ。しかもこの女の場合、手に負えない。

(・▽・)<何でです?

(#ー#)<攻撃と速度増大、受けるダメージ軽減、スキルコスト消費零になるからな。

(・▽・)<永久機関じゃないですか……。どうしようもないのでは?

(#ー#)<いや、案外どうにかなる。

(#ー#)<飢えと渇きはあるから、時間が経てば衰弱死する。

(#ー#)<それにターゲットを倒せば止まる。

(#ー#)<だから転移するなりして逃げれば良かったが……。

(㈩*㈩)<出来なかった。

(#ー#)<ああ、そうだな。
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