冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:クモタ=サワアキ】
(・▽・)<≪紅露御刃亜≫の真のリーダー。その存在を知っているのは……

(・▽・)<表向きのリーダーのイガラシ=ヒビキだけですか……。

(#ー#)<ああ。元々、この二人が始めた組織。

(#ー#)<クモタがあまり目立たないから、イガラシが表立って動いていた。

(#ー#)<クモタは特殊なスキルで素材や魔力からモンスターを作れる。

(#ー#)<更にクロスでそれをカード化し、複製まで出来る。

(㈩*㈩)<ヴァイオレットのカードとコピー機?

(#ー#)<そうだ。Dクルセイダーの同系統。なのでバレにくい。

(#ー#)<コピー能力は右手で触れた物体を左手に出す。

(#ー#)<精巧で見分けは付きにくいうえ、同じ性能を持っている。

(#ー#)<ただしある程度使用すると消える。使い捨てだな。

(#ー#)<それを上手く使って戦う。

(#ー#)<習得スキルは配下強化系で埋めている。


cxxxⅰ

 完全に戦闘向けで、重力操作以上のチカラを振るう事が可能。

 倒せる可能性も高い。

 だが、このチカラはバレると不味い。

 かなり面倒な事になるので、クインは隠している。

 先輩であり友人でもあるオウカには見せたが。

 

(でも……)

 

 ふと思う。

 相手も自身の存在を隠したがっている。

 それに殺せば隠蔽可能。

 そして何より……

 

(勝手に飛び出したのだから、倒さないと赤っ恥)

 

 クインは決意する。

 隠蔽したモノを使う事を。

 そして、彼女は立ち止まる。

 

「……?」

 

 クモタはそれに怪訝に思い、どうするかを考える。

 攻撃を仕掛けるか、様子見か。

 

(気になるから見てみるか……)

 

 後者を選択。

 とは言え、見るだけではもったいないので、回復をする事にする。

 

 そして、クインは行動を進める。

 重力操作を解除し、それと同時に大剣を仕舞う。

 代わりに出したのは四つの装備。

 拳鍔(メリケンサック)籠手(ガントレット)脛当(グリーブ)鉄靴(サバトン)

 それを装着する。

 

(武器を変えた? 格闘の方が強いのか?)

 

 クモタはふと疑問に思う。

 

 徒手空拳で戦う系のプレイヤーは使う場合がある。とは言え、四つ全部は珍しく、大抵は腕系一つ、足系一つが多い。

 素手や裸足の方が威力が上がるスキルを取っている場合は使わないが。

 

 そして、クインは構えを取る。

 それに既視感を感じるクモタ。

 

「あの構えは?」

 

 思い出そうとするクモタ。

 そして、思い出す。

 

(そうだ。ミナミダと同じ。同門か?)

 

 ミナミダはとある拳法寺で、“三奇拳”の一つである、とある流派の修行をしていた事がある。

 なのだが、人格の問題から途中で破門されたとの事で、中伝で終わってしまっている。

 だからこそそれを補うためクロスに手を出した、と酒の席で聞いた事がある。

 

(だが、あの寺の修行は相当壮絶と聞く)

 

 そこの使い手は一目置かれるどころか、恐れられる。

 逃走するだけでなく、死亡者や怪我人も出ると聞く。

 普通に考えて十代の少女が彼以上の使い手とは思えないが……。

 

 すると、それに答えるようにクインの小さな体からオーラが出る。

 その色は赤、青、黄、白、黒の五色が混ざり合っている。

 そして、そのオーラが背後霊のように形を取る。

 それは獣。――猿、虎、狸、鶫、蛇の五種類。

 それらが咆哮を上げる。

 

「馬鹿な!?」

 

 それを見て絶句するクモタ。思わず叫んでしまった。

 あのオーラを使える時点で確定した。

 彼女はミナミダと同門どころか、恐らく中伝……否、皆伝以上の実力者。

 つまり……

 

「お前……イデア百獣拳の獣拳士だったのか!」

 

 もう絶句するしかないクモタだった。

 

 ★☆★☆★

 

 

 “三奇拳”

 そう呼ばれる徒手空拳の流派がある。文字通り三つ。

 それぞれ共通項として、(拳と蹴)(投げ)(関節技や締め技)などの体術一辺倒ではなく、オーラ操作による近中遠距離技や、属性を使った魔法のような技を使う。

 分類としてはシャーマンに当たり、モンスターのチカラを使う。

 

 その中で、霊獣と呼ばれる実体のないモンスターと契約、その体に宿す事で超常的なチカラを振るう事が出来るのが――『イデア百獣拳』

 残り二つの源流でもある最強の拳法。……諸説あり。

 その使い手を獣拳士と呼ぶ。

 

 それを教えているのが百獣寺。

 他の二つ――片方は一族にしか伝えず、もう片方は言うは易く行うは難し――と違い、門徒は広く開かれているため、誰でも門下生にななれる。

 ただし正式な獣拳士――霊獣と契約出来るのは皆伝以上、つまり大勢の中の一握り未満。

 そもそも壮絶な修行を乗り越え体と技を鍛えねばならない。……乗り越えればスキルと見まがうような身体操作が可能になるが。

 そして、それを乗り越えたとしても、心も重要視するため、幾ら技と体が優れていて、才能があったとしても、契約は許されない。

 特に、“とある事件”のせいでそれは更に厳しくなっている。

 だからこそ、ミナミダは中伝が限界だった。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 驚くクモタだったが、ある違和感が浮かぶ。

 

(……?)

 

 それがクインのオーラの色と、契約している霊獣の数。

 五色五匹。

 

(おかしい。本来百獣拳は一種類の獣と契約するはずだ)

 

 複数と契約した者など聞いた事がない。

 

(百歩譲って二匹なら良い。なのに……五種類?)

 

 これは確実におかしい。

 なにかトリックがある。

 なので。

 

「これはどういう事ですか?」

 

 直接聞く事にした。

 

 その問いにクインは……

 

「……」

 

 沈黙で返す。

 その顔は優れない。

 

「言いたくないか……」

 

 これで確信する。

 恐らくこの少女は正式な獣拳士ではない。

 ならば幾らでもやりようはある。

 

「では力づくで聞き出そう」

 

 そうして戦いが再開した。

 

「小手調べだ」

 

 クモタが召喚したのは――トロール。

 機動力は低いが、再生力と高い防御力が売りのモンスター。

 

『BUGOOOOOO!』

 

 右手に棍棒を持って襲いかかって来る。

 

 それにクインは少しだけ顔を顰める。

 

(嫌な事思い出した)

 

 首を少し振って気持ちを切り替える。

 そして、襲いかかってくるトロールに繰り出したのは右の貫手。

 彼女の腕の長さでは届かないはずなのだが……

 

「ん」

 

 肩、肘、手首の関節を外す事でリーチを伸ばす。

 その手はトロールの首を貫く。

 首を半ばまで断つ一撃。普通なら致命傷なのだが……

 

『BUGO!』

 

 トロールは空いている手で頭を押さえ無理矢理接合。

 棍棒をクイン目掛け振るう。

 

 それを彼女は、貫手を繰り出した手とは逆の手で受け止める。

 そして、関節を戻した右手をの掌底を打ち込む!

 

 トロールに変化はなさそうだったが……

 

『BU……』

 

 眼、耳、口などの穴という穴から血を噴き出し倒れた。

 

 その様子を見ていたクモタは分析する。

 

(相手の力を利用してのカウンター。しかもかなりの練度)

 

 どう見ても一朝一夕に身に付いたものではない。

 

「だったら数で押すだけ」

 

 複数のカードから様々なモンスターを沢山召喚。

 全てをクインに向かわせる。

 一番早いモンスターが迫る。

 

「ん」

 

 虎のような構えを取る。その爪が長く伸び、モンスターを串刺しにする。

 そのまま流れるようにモンスターを斬り刻んでいく。

 

 そして、飛び上がる鳥のような構えを取って、飛び上がる。

 サマーソルトキックで空にいたモンスターを蹴り砕き、そのまま空中を走り空にいるモンスターを撃破していく。

 

 空に敵がいなくなると、地面に着地するクイン。

 猿のような構えを見せてから、凄まじい速さの突きの連打を繰り出す。

 パワーとスピードを兼ね備えた連撃は、正確にモンスターの首を跳ね飛ばす。

 

 そこへ複数のモンスターがブレスなどの中距離を仕掛けてくる。

 接近戦では勝てないと思ったのだろう。

 それにクインは髪の毛を足元より長く伸ばす。それらが蛇のようになり。中距離・遠距離のモンスター達の命を刈り取る。

 

 そして、髪を戻したクインの姿が消えた……否、消えてはいない。 気配が無くなる。

 それはまるで化狸のよう。

 そして、彼女を見失った残りのモンスター達を仕留めて行った。

 

 モンスターが倒されていくのをクモタは見ていた。

 とは言え、ただ見ていた訳ではなく、バフを掛け、分析を進めていた。

 妖精が掴まる肩とは逆の方に、眼のようなモンスターがいる。

 これが解析・分析用モンスターだった。

 

(オーラ操作と身体操作が完全に極まっている)

 

 どう見ても一朝一夕に身に付いたものではない。

 練度はミナミダ以上かもしれない。

 関節外しや内臓曲げくらいは出来たが、髪や爪を伸ばすのは彼も出来なかった。

 

(そして、一番の問題。それは……どうみても五種類の霊獣と契約している事)

 

 正式な獣拳士は一体の霊獣と契約をするのが普通。

 友や兄弟弟子から受け継ぐなりして、二体、三体宿す拳士もいるらしいと、風の噂では聞いた事がある。

 だが、流石に五体は無理だろう。

 

(キャパシティやスロットが持たんだろう……。どうなっている?)

 

 こればっかりは考えてもわからない。

 なので別の問題を考える。

 それは――この相手をどうするか、である。

 

(手札はまだある。倒せない事もないだろうが……)

 

 こちらは切りたくない手札を切らねばならないかもしれない。

 何より、相手にも増援がある可能性がある。

 

(どうする?)

 

 考え事をしてる時だった。

 

 クインが両手をだらりと下げ、構えを解く。

 そして、話しかけて来る。

 

「ここまでにしない?」

「何?」

 

 それは提案。

 

「お互い見せたくない手札を出し合った。捕まえた人達を解放するなら追いかけない」

「……そっちの事も黙っていろと?」

 

 コクリと頷くクイン。

 そして、続ける。

 

「このまま続けたら、お互いにとってろくでもない事になる」

 

 だから、退いて欲しいと頼むクイン。

 その提案にクモタは――首を横に振る。

 

「無理だな」

「どうして?」

「こっちはかなりの数が死んだ」

「それはこっちも同じ」

 

 前とは違い、今回は死傷者を出している天ノ角高校。

 

「それでもだ。それにプライドがある」

 

 組織の長としての。

 更に一番引けない理由を告げる。

 

「ここで引いたら、死んで逝ったアイツらに顔向け出来ない」

 

 これが最大の理由だった。

 

 それにクインは少し悲しそうな顔をする。

 だが、その顔はすぐに無表情に戻る。

 

「じゃあどちらかが死ぬまで戦うしかない」

 

 そうして構えを取る。

 

 そんな彼女に対し、クモタは決意する。

 

(あまり使いたくなかったが、仕方ない)

 

 とっておきを使う事を。

 彼が最初に出したのは六本の刀剣。

 どれも一目で業物だとわかる。

 だが、神々しさよりも禍々しさを感じる。

 恐らく聖剣や名刀と呼ばれる物ではなく、魔剣や妖刀と呼ばれる類の物であろう。

 それらが彼の周囲に突き刺さる。

 

 次に懐から出したのは一枚のカード。

 普段なら両腕に仕込んだカードケース状の匣から、即時出せるようにしているのだが、今回はそうしていない。

 

(あまり使いたくなかったが……)

 

 懐に入っているのは特性のモンスター達。

 貴重な素材を使い、大量に魔力を込めて作られている。

 更に幾つも制限を掛ける事で、その性能を極限まで強化している。

 だからこそ、他のモノ……複製を使っている大多数と違い、これは破壊された場合、もう替えが効かない。

 完全同一個体を作る事は不可能。

 

「来い」

 

 そして、出て来たのは――鬼。

 逞しい肉体を持つ、三面六臂の怪物。

 実際の身長は二メートルないだろうが、凄まじいプレッシャーで大きな巨人に見える。

 

『……』

 

 そして鬼は周囲に刺さった刀剣を手に取り構える。

 

 それに対するクインも虎のような構えを取る。

 そんな彼女は、ある事に気づいていた

 

(召喚していたモンスターが消えた)

 

 モンスターに騎乗していたクモタが地面に降り立っている。そして、バフの妖精、飛行の鳥、解析の単眼がクモタの周りから居なくなっていた。

 

(同時運用は出来ないのか)

 

 そう思った。

 

 そして両者、その場から動かず睨み合う。

 

「……」

『……』

 

 そして、

 

「『!』」

 

 同時に飛び出し、爪と刃が激突した。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

「僅差だったな」

「……」

 

 クモタの言葉にクインは無言。

 

 クインと鬼は互角に戦っていた。

 だが、時間が経つにつれて、鬼に勝利の天秤が傾いた。

 

 この鬼はクモタの切り札の一つ。

 コンセプトは――ハイリスク・ハイリターンの武器の運用。

 この六本の刀剣はどれもが高いステータスバフと何かしらの能力を持つ強力な魔剣や妖刀。

 だが、どれもが重篤なデメリットを持っていた。

 攻撃の余波が使い手に及ぶ、体が溶ける、状態異常に掛かる、呪いに犯される、体力と気力減少、術技使用不可。

 なのだが、これらのデメリットを無効化するモンスターを作る事でそれらを運用していた。

 純粋に地力も高く、長時間の戦闘も可能。

 

 一方、クインの手札はどれも制限時間がある。

 だからこそ、鬼に粘られた結果、制限時間一杯になり、解除されてしまったという訳だった。




【TIPS:三奇拳】
(#ー#)<捕捉説明。オーラを使うプレイヤーは少ない。理由はわかるか?

(・▽・)<難しいから?

(#ー#)<ああ。鍛錬が必要で、開化するのも結構時間がかかるんだ。

(#ー#)<そのうえ、出力は地力に左右されるからな。使い手も少ない。

(#ー#)<だからこそ、この三つはオーラを増強させて使用する。

(#ー#)<なんでも、竜の氣に着想を得たらしい。

(#ー#)<だから出力が弱い奴でも、中々な破壊力は出せるんだ。

(・▽・)<なるほど。

(㈩*㈩)<ところで、この残り二つって?

(#ー#)<……出て来るの先だからな。ちょっとだけ言うか。


イデア百獣拳:下記二つの源流でもある。契約。
 紀元前からあった。皆伝以上で契約可能だが、現在はかなり厳しく、正式な獣拳士はかなり少ない。

バグズ界蟲拳:分派。破門された拳士が作った。受領。
 江戸時代くらいに確認。とある一族のみが使用可能。そのため人数は一番多い。

ドラグ真龍拳:分派。偶然生まれた。簒奪。
 いつの間にかあった。ある条件を満たさなければならず難易度はドエライ事になっている。現在正式継承者はいない……と思われる。


(㈩*㈩)<……何か気になるワードが出てる!?

(・▽・)<契約、受領、簒奪……。チカラの入手手段がまるっきり違いますね。

(#ー#)<詳しくは追々。
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