冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<今回蟲毒に参加したモンスター、頭の良さはまちまち。

(・▽・)<もしかして、協力してくれたのって……。

(#ー#)<ああ。察しの通り。人間の言葉が理解出来る奴らだな。

(#ー#)<このまま戦うより、生存率が高い方に掛けた訳だな。

(㈩*㈩)<じゃあ死んだのって……。

(#ー#)<ただ暴れる奴らだな。


cⅹⅹⅹⅶ

 ■□■□

 

 

 思い返すミユ。

 すると……

 

[あ、解除された]

 

 マユがこの空間の封鎖が解除されたのを感じ取った。

 それと同時に、彼女の元に誰かが来た。

 それは……

 

「先輩……」

「よ」

 

 サクヅキ=オウカだった。

 その恰好はメイド服を着ている。

 しかもかなり似合う。

 

「……」

「どうした?」

「本当に似合ってますね」

「誉め言葉として受け取って置く」

 

 そんな彼にミユは訊ねる。

 

「先輩は何をしてたんですか?」

「うん? ああ、悪趣味な下衆にちょっとな」

「「ちょっと?」」

 

 マユと言葉が重なった。

 絶対ちょっとではない。

 それにオウカはこう言う。

 

「今頃、クルージングを楽しんでいるさ」

 

 そして、笑った。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカはミユが乗り込む客船に乗り込んでいた。

 まず、給仕をする人を探す。

 そして、面倒そうにしているメイドに声を掛ける。

 

『はあ、面倒ね~』

『なあちょっといい?』

『何です?』

 

 そして、いきなり札束を渡し……

 

『面倒なら変わってくれない?』

『え』

『今日のバイト代なら払うからさ』

『はあ……』

『ああ、そうそう。この事は黙っていた方が良いよ?』

『は、はい(。言ったら不味い事になる……)』

 

 そういう訳で快く(?)変わって貰う。

 そして、銭豚(客達)がいる大広間で、手際よく働きながら、気を伺う。

 その後、ミユが奥の手を使い、空間に氷樹を伸ばした際に、ここにもそれが通じる。

 それに客達は慌てる。

 

『何と言う不手際だ!』

『に、逃げるぞ!?』

『おい、貴様ら私を守れ!』

『リスクを負ったらどうする!?』

 

 皆が混乱する中、大広間にハチのモンスターが現れる。

 

『KITIKITIKITI』

 

 歯を鳴らしながら、辺りを見渡す。

 

『数は有利だ!』

『全員でやるぞ!』

 

 護衛がハチを倒そうとする中、オウカが動く!

 

『外道を守る奴は外道だ』

 

 手に双剣を持ち、体を低くして、一気に突撃。

 

『生きる価値はない』

 

 護衛の足を切って行く。

 

『ギャア!?』

『ホゲエ!!』

 

 そのままオウカは、その刃を殺し合いを楽しむ悪趣味な下衆に向ける。

 

『金持っていたら、何しても良いと思ってるのか?』

『イヤアアアアアア!』

『お前らのような外道に、アキレス腱が付いているのが許せないんだ』

『ギャア!?』

『変態ニコイチ』

『痛い!?』

 

 アキレス腱を切って行く。

 老若男女容赦はない。

 そして、その場で立っている(?)のはオウカとハチだけになる。

 後は……痛みに呻く人達。

 

 オウカはハチに視線を向ける。

 

『護衛はあげる。銭豚共には用があるんだ。譲ってくれないか?』

『……』

 

 それにハチは理解したかのように頷いた。

 こうしてハチは足を失った護衛達を、脚や顎で持ち、数人は針で串刺しにしてその場から離れた。

 恐らく肉団子にしてから食べるのだろう。

 

 そして、オウカはアキレス腱を切断され、痛みに呻く下衆共を見下ろし訊ねる。

 

『お前らさ、何も罪もない人を殺し合わせて何とも思わないの?』

 

 親友の教えで、殺す前に相手を理解するようにしているオウカ。

 だからこそ、聞いたのだが、返って来た答えは……

 

『何も思わないのかだと? ふざけるな!』

『あん?』

 

 案の定酷いもののオンパレード。

 

『私は下民のために政治をしているのだ。少しくらい死んだところで何だと言うのだ!』

『そうよ。程度が低い奴らは掃いて捨てる程いるんだから、有効活用してあげてるのよ!』

『我々はこの国に利益を齎しているのだから、使い潰せばいいのだ』

 

 オウカは聞いた事を後悔していた。

 そして、主催者もこう言う。

 

『太古から下民の死を富豪が楽しむのは定番だ! 何が悪いのだ!』

 

 誰も彼も全く反省の色がない。

 それにオウカは……凄絶に笑う。

 

『いいだろう。そんなに言うなら、俺がお前らを使い潰してやる』

 

 オウカは用意しておいた縄で外道共を縛る。

 そして、船の甲板に逆さ吊りにする。

 

『ガボボボ……』

『ダズゲ……』

『私、泳げnグボア』

 

 これはキールハウリングという拷問。

 

 発祥は十七世紀のヨーロッパ諸国で、海軍が捕まえた海賊におこなっていたもの。海賊自体もおこなっていそうだが。

 方法は、罪人を縄などで船に括り付けた状態で海に放り投げ、引き摺るというもの。

 これにより水で呼吸が困難になるばかりでなく、船が止まったりした際に船底に張り付いたフジツボに身体が当たり削られることになる。

 

 しかも今の時代はそれだけではない。

 海にはモンスターがいるので、当然血の匂いに引き寄せられて、色々寄って来る。

 鳥、虫、小魚が体を齧って行く。

 

『ギャア!? 眼をつつくな!?』

『私は、餌じゃn』

『消える! 体が消え……ガボ!?』

 

 そして、トドメに……

 

『GAAAAAA!』

『ダズゲ……ギャア!』

『GGUOOOOOO』

『ジニダクn!!』

 

 鮫のようなモンスターと首長竜のようなモンスターに食べられた。

 クルージングを楽しんだ(?)末、胃の中で海の旅を楽しめば良い。

 そうして外道の始末を終えたオウカはボソリと呟く。

 

『もっと苦しませるべきだった』

 

 反省するように言って、その場を後にした。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 そして、オウカはミユをおんぶして、その場から離れる。

 戦い続けたうえ、奥の手を使い消耗しているミユ。

 大人しく背負われている。

 

「すいません……」

「謝らなきゃならないのはこっちだよ。遅くなっちまった」

 

 オウカとしてももっと早く来る予定だったのだが、色々手間取ってしまった。

 

[それを言うならわたしも]

[同右]

 

 いつもの定位地である、オウカの髪と肩に戻ったマユとネラも申し訳なさそう。

 

 すると、そこへ数人の人間が近づいて来る。

 赤シャツの金髪の男と、男にも女にも見える双子。

 

 まずは金髪が声を掛けて来た

 

「よお。そっちも無事に脱出できたようだな……」

「ええ。お陰様で」

 

 そして、双子の視線がオウカに向く。

 

「「その人が助っ人?」」

「はい」

「ども」

 

 軽く頭を下げたオウカ。

 それに双子も頭を下げる。

 

 そこへ金髪が話しかけて来る。

 

「そういや、乗客がいなかったんだが、アンタがやったの?」

「俺はやってません」

 

 一拍置いて続ける。

 

「船から海に吊るしただけです。そしたら消えました」

「「それを世間ではやったというんだ」」

 

 双子がツッコミを入れる。

 そんな三人に、ミユが訊ねる。

 

「そういえばγ(ガンマ)は見つかりました?」

 

 その言葉に三人の顔が曇る。

 

「まさか……」

「……見つからない」

「「さっき他の面々にも聞いたが、いないそうだ」」

 

 何でも全員(モンスター含め)で虱潰しに探しているのだが、いないそうだ。

 

(逃げた……はねえな。そもそも転移封鎖がかかってる。どこにいる?)

 

 オウカが考える中、他の面々が話し合う。

 

「封鎖と遮断の装置は?」

「「四人とモンスター二体に守らせている。幾らアイツが武闘派でも流石に突破は無理だ」」

「随分と厳重やりましたね……」

「そりゃあそうだ。逃げられたら終わりだ」

 

 殺し屋の面々はわかっていた。

 ここでγ(ガンマ)、そして、来ているであろう上司――Ϝ(ディガンマ)を殺さなければ、また同じことが起こる。

 

 ネラがマユに訊ねる。

 

[何処? 先輩(マユ)、心当]

[……]

 

 沈黙して考えていたマユ。

 少しして声を発する。

 

[ここにはいないのだと思う]

[?? 何言]

[異空間とか空間の裏に潜んでいるんじゃない?]

 

 冥刀には空間そのものに作用するモノがある。

 特に、虚空叢雅の作品は別空間を作り出す。

 だからこそ、思いついた答えだった。

 

 その会話を聞いてオウカは行動を開始する。

 

「行くぞ」

 

 そう言ってどこかへ向けて歩き始める。

 マユが訊ねる。

 

「ど、どこに行くんですか?」

 

 それに金髪と双子も付いて来た。

 

「もしかして心当たりあるのか?」

「「わかるのか?」」

 

 三人も訊ねて来る。

 なので、オウカは答える。

 

「ここにいるのにいないって事は……いるけどいないって事」

「「……?」」

「……空間の裏か、別の位相にいるんだよ」

「「!」」

 

 その言葉に納得する三人。

 金髪が呟く。

 

「なら次元や空間の攻撃をぶつけりゃいい訳か」

「持ってるの?」

 

 ミユの疑問に金髪はニヤリと笑う。

 その態度から持っていると察するミユ。

 だが、双子がこう言う。

 

「「だが、広範囲をやる訳にはいかない。どの辺にいるかは特定しなければ……」」

「だな。この船破壊する訳にはいかねえし」

 

 金髪も肯定した。

 それにオウカはこう言う。

 

「それについては大丈夫。感知できるから」

 

 元々、オウカは冥肌鏤骨(オストラコン)のおかげで、空間の揺らぎにはかなり敏感。

 現在は、冥肌鏤骨(オストラコン)は消えてしまったが、それでも残滓はある程度残っている。

 戦闘経験と技術がそれにあたり、空間感知もそれだった。

 

 暫くあちらこちらを歩き周り、オウカはとある場所で立ち止まる。

 

「ここらへん」

[じゃあやる?]

 

 マユが空間破壊の準備をしようとするので、オウカは補助として何かしらの刃物を出そうとした時だった。

 そこへ金髪が声を掛けて来る。

 

「おーい、そこの男子?」

「俺ぇ?」

「おう」

 

 そう言って前に出る。

 

「俺がやる。下がってろ」

「……じゃあお願い」

 

 オウカは素直に下がった。

 それに、金髪は前に出る。

 口元に浮かんでいた笑みが消える。

 

「さてと、やりますかね」

 

 軽く右手を振るうと、そこに現れたのは――奇妙な形の武器。

 強いて言えば、大振りの分厚いナイフ。

 ただし、刃が鮫の牙のようにギザギザしている。

 まるで小型のチェーンソーのような、電動カッター。

 

 それを見たマユが反応する。

 

[【マカブイン】……]

[誰品?]

 

 気になったのか、訊ねるネラにマユは答える。

 

[恒河沙]

 

 その言葉にオウカも驚く。

 表情には出さないが。

 

 恒河沙叢雅は生粋の鍛冶師。

 叢雅一門の創始者でもある、無量大数に鍛冶を教えた師匠でもある。

 その作品はあくまで刀剣の延長。

 身体強化や切断系のチカラを持っている。

 搦め手の能力は持たないが、代償も軽いため、生粋の剣士からは好まれている。

 

 金髪の男――現在の名前はミスミ、元のコードネームはΔ(デルタ)――は口から言葉を紡ぐ。

 

「刃金の誓い、今此処に」

 

 その言葉に剣が震える。

 

「刃よ、回転(まわ)れ」

 

 鋸刃がゆっくりと回り始める。

 

「きれ、キレ、切れ、斬れ、断れ、裂れ」

 

 そのスピードが加速していく。

 

(あめ)(つち)(わだつみ)(あらし)(ほむら)

 

 凄まじい音を立てる。

 

過去(きのう)を、現在(いま)を、未来(あした)を」

 

 ナイフの刃が下に向ける。

 

「光へ堕ちろ、闇を照らせ」

 

 右腕の筋肉が隆起する!

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《切斬断・笑青江(ニッカリアオエ・マカブイン)》」

 

 言葉と同時、ナイフが振り抜かれる!

 そして――空間に断裂が走る。

 大きさは、丁度人が通り抜けられそう。

 それを確認すると、ミスミは床にへたり込む。

 

「ふ~。後は~任せるわ」

「「おいおい、一撃しか放ってないぞ?」」

 

 双子が呆れる中、ミスミは力なく答える。

 

「俺の【マカブイン】(コレ)は燃費悪いんだ……」

 

 それに続くようにマユが捕捉する。

 

[なんでも切れる分、体力と気力をかなり消耗するから。空間なんて切ったらそりゃそうなるよ]

[なるほど……]

[でもその代わり、その傷は本人が許可しないと塞がらない]

 

 治癒力、復元力、修正力すら妨害するのだから、コストは重くなるのは当然だった。

 とは言えここまでお膳立てして貰ったのだから、後は進むだけ。

 

 なのだが、ふと疑問が湧いたので聞く事にするオウカ。

 

「なあ。その冥刀は相手に知られてない?」

「ない」

 

 断言するミスミ。

 

「手に入れたのは組織を抜けて以降だし、本気で使ったのは数える程しかない」

 

 口では言わないが、使った相手は全員殺しているミスミ。

 つまり、最後の手段だった訳だ。

 

 納得したオウカは早速出発しようとする。

 

「じゃあ行くか」

 

 オウカはおんぶしていたミユを降ろそうとする。

 

「ミユはここで待っててくれ」

「私も行きます。このままで」

「おいおい……」

 

 呆れるオウカ。

 とりあえず問いただす。

 

「大丈夫か?」

「休みましたので。それに……」

 

 一拍置いて続ける。

 

「これは私の問題です。だから私が決着付けたい」

 

 その言葉に逡巡するオウカ。

 

(どうする……? 今から入るのは相手の領域)

 

 出来れば置いておきたい。

 そんな事を考えていると……

 

「「あたしたちも行こう」」

 

 双子が名乗りを上げる。

 

「「この女の気持ちは痛い程わかるからな」」

「……わかった」

 

 そう言う訳で四人で突入する。

 とりあえずミスミに声を掛けるオウカ。

 

「他の面々が来ても突入は待ってもらってくれ」

「あいよ」

 

 そしてオウカ達は裂け目に飛び込んだ。




【TIPS:マカブイン】
(㈩*㈩)<恒河沙の作品。彼らしく切断の能力を持っている。

(㈩*㈩)<しかも物質だけじゃなく、実体がない物、空間、概念すら斬れる。

(㈩*㈩)<そして、使い手が許可しないと治らない。これが厄介。

(・▽・)<その部位削り取っても駄目なんですか?

(㈩*㈩)<うん。その部位はそのまま。

(#ー#)<代償は体力と気力か……。軽いのか?

(㈩*㈩)<軽いと思う。それに対象によって消費は増減するし、

(㈩*㈩)<アイテムで軽減は可能。実は彼、もう戦える。

(・▽・)(#ー#)<おいおい……。
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