冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:召喚モンスター】
(・▽・)<? 今回出てましたっけ?

(#ー#)<ああ。あの双子と戦ってたやつだな。

(#ー#)<実は召喚系モンスターってのは二種類ある。

(・▽・)<前に言ってたのが確か……

(・▽・)<媒体を元に、形のないモンスター未満に肉体を与える奴ですよね?

(#ー#)<ああ。それはまあガチャなんだが、もう一つは異界から呼び出すものだな。

(㈩*㈩)<異界? ダンジョンの事?

(#ー#)<そっちとは違う。こっちはトピアって呼ばれる空間の裏だな。

(#ー#)<そこに住まう怪物達を呼び出す。

(#ー#)<これを式神化する事もあるな。

(#ー#)<こちらは実力と道具の補助さえあれば、強力なのが安定して呼べる。

(#ー#)<……まあ欠点としてその術が全然普及していない。

(#ー#)<後、道具を作るのにも時間と金と労力が必要。

(#ー#)<一部のノーブルの秘伝となっている。


cⅹⅹⅹⅸ

「俺に質問するな」

 

 会話を打ち切るかと思われたが、

 

「まあいいや答えてやる」

 

 今回は話に応じる。

 

「それはな――なんとなくだ」

 

 その答えに全員ズッコケた。

 流石にγ(ガンマ)は倒れなかったが、ガクンと少しだけ沈み、ミユに至っては転倒する。

 ネラとミユも人間態だったら、転倒していただろう。

 

 素早く起き上がったミユが叫ぶ。

 

「勿体付けてそれなんですか!?」

「説明しづらいものってあるだろう?」

 

 勘が鋭い人物にはそういうのがある。

 それにγ(ガンマ)は肯定する。

 

「ええまあ確かにそうですね。納得しました」

 

 そして、彼は手斧を構える。

 

「では戦いを始めましょう。答えてくれたお礼に先手は譲ります」

 

 それにオウカはミユに目配せする。

 逡巡している彼女だったが、オウカは続ける。

 

「コイツがここに居るって事は、奥に今回の件を仕組んだ奴がいる。決着付けてこい」

 

 それにミユはコクリと頷く。

 そして、そのまま走っていく。

 途中、γ(ガンマ)の近くを通り過ぎたが、彼は何もしなかった。

 ミユはその場から消えた。

 

 そうして、この場にいるのは二人の男。

 ……まあぶっちゃけ片方は髪が長く中性的な顔付なので女性にも見え、もう一方も黒ずくめで全身覆っているので性別不詳なのだが。

 

 まず口を開いたのはオウカ。

 

「手を」

「?」

「出さなかったな」

 

 てっきりミユに攻撃を仕掛けると思っていた。

 それに備えていたオウカ。

 γ(ガンマ)はそれに答える。

 

「無駄な事はしない主義なので。それに隙を晒すのもどうかと思いました」

「なるほどね」

 

 そして、二人は歩み寄って行く。

 

「それにしても、貴方が私を相手にするとは……」

「不満か?」

「いえ」

 

 予想外だったが、これはこれでチャンスだとγ(ガンマ)は思っていた。

 自らの上司は強いが、得体の知れない奴(オウカ)と戦った場合、どうなるかわからない。

 なので、実質チャンス。

 

(私は自分に出来る事をやりましょう)

 

 二人の距離は二メートル程に近づく。

 

 オウカは手に奇妙な得物を持つ。

 それは一言で言うなら、双剣や一対のナイフ。

 なのだが、柄がメリケンサックのようになっている。

 いわゆるメリケンナイフ。

 ……因みに合体武器で出した八つの武器の一つである。

 

 γ(ガンマ)の手斧両腕が膨らみパンプアップする。

 そして、体から紫色の湯気のような、靄のようなモノが出る。

 それが腕に集中していく。

 今から繰り出されるのは最大の一撃。

 

 そして、

 

「「!」」

 

 二人は激突した。

 

 

 ■□■□

 

 

 γ(ガンマ)がいた空間を抜けるとそこは殺風景な部屋。

 その奥にある玉座に一人の人間が座っていた。

 その顔は少しの驚きに染まっている。

 

「ほう、お前が来たか――μ(ミュー)

「その名は捨てた――Ϝ(ディガンマ)

 

 ミユは口調を敢えて強い物にする。

 実は普段の丁寧な口調はあえてそうしているだけ。

 これが素である。

 ……感情が高ぶったりすると、親しい者相手でも出てしまうが。

 今回は敵なのでこの口調である。

 

 そんな彼女にϜ(ディガンマ)は続ける。

 

「ここまで来れるとは思っていなかった」

「なら何か褒美でもくれるの?」

「いいぞ」

 

 意外な返答。

 

「何をくれる訳?」

「チャンスをやる」

「は?」

 

 怪訝な顔になるミユに、Ϝ(ディガンマ)は続ける。

 

「抜けた事は不問にしてやるから戻ってこい」

「馬鹿じゃないの」

 

 戯言を斬り捨てた。

 

「私は自由になるために戦っているの。そんなの願い下げ」

[よく言った]

[其良]

 

 ミユの言葉をネラとマユは肯定した。

 それにϜ(ディガンマ)は特に動じる事もない。

 

「そうか。なら消えて貰おう」

 

 その言葉と同時だった。

 Ϝ(ディガンマ)が玉座ごと沈む。

 そして、その場所から現れたのは――

 

「ゴーレム?」

 

 岩と機械で構成され、樹木を背中に生やし、全身に砲口を生やした巨大なゴーレムだった。

 

『POPOPOPOPOPO』

 

 鳴き声を上げ、胸部の発行体からレーザーを放つ。

 それをミユはギリギリ回避。

 

[サポートお願いします]

 

 恐らくあのゴーレムはかなり強い。

 一人では勝つのは難しいと判断し、助けを求めた。

 それにネラとマユは答える。

 

[了解]

[わかった]

 

 ネラはミユのサポートに回る。

 マユはミユにバフを掛ける。

 

 ステータスを引き上げたミユはゴーレムに迫る。

 それにゴーレムは砲口からミサイルを放つ。

 直線攻撃が駄目ならと、範囲攻撃を放つ。

 防ごうとするミユだったが、

 

[構うな! 突っ切れ!]

 

 マユの言葉に信じてそのまま進む。

 ミサイルは誘導機能を持っており、ミユ目がけ迫るが……

 

「ほう……」

 

 ゴーレムの内部のコックピットに搭乗したϜ(ディガンマ)が声を漏らす。

 ミサイルはミユに届かず、直前で軌道が曲がり、ぶつかり合い爆発。

 結果、一発も当たらなかった。

 しかも、爆発のダメージすら届かない。

 

(今のは空間歪曲か。何かしらのアクセサリーか……、別の要因か……)

 

 思考しながら、有効な手を考えていく。

 

 戦いはまだ始まったばかりだった。

 

 

 ******

 

 

 ζ(双子)と大魔神の戦いは膠着していた。

 最初に矢の腕を壊したまでは良かったのだが、そこからがダメージを与えられなかった。

 多少の手傷は与えられるのだが、自己修復機能を持っているのか、回復されてしまう。

 しかも厄介な事に破壊された左腕の一番下が少しずつ直り始めている。

 

((搦め手や特殊なチカラはないようだが……))

 

 大魔神の戦い方は単純。多数の腕で武器を振るう。

 魔法や呪いを使ったり、特殊な能力や搦め手は持っていない。

 なのだが、力と技があり、速さを持っている。

 そして、防御力が高く、魔法や属性攻撃に対する耐性が高く、自己修復を兼ね備えている。

 

((デバフが通りにくい……、恐らく状態異常にも強そうだ))

 

 こういうシンプルな敵も厄介。

 このままでは潰れるのはこちら。

 大技を放ちまくっているので当然の帰結。

 

 ならばどうするか?

 答えは単純。

 

「「一気に決める!」」

 

 鬼札を切り、一気に沈める。

 それしかない。

 近くで戦っていたζ(ゼータ)ζ(ツェータ)が更に近づく。

 そして、ζ(ゼータ)の右手とζ(ツェータ)の左手が合わさる。

 

「「〈融合(フュージョン)〉!」」

 

 その言葉と同時だった。

 二人の体が光に包まれる。

 そして、二つが一つになる。

 そこにいたのは……

 

『お色直し……という奴だ』

 

 一人の女性だった。

 どことなくζ(双子)の面影はあるが、 まるで違う。

 全長が三メートル程になり、体付きが女性らしくなっている。

 

「さあ。ここからが本番だ」

 

 これがζ(双子)の奥の手だった。

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 モンスターを討伐した場合、死体が遺る。

 ゲームのようにアイテムを残して光の塵にはならない。

 ……まあ、種類によって――霊系や妖怪等――はそうなる。ゲームみたいにオブジェクトが遺る場合もあり、稀にアーティファクトになるが、それは例外。

 鳥獣魚蟲や竜龍などの生物、暴走兵器や人形などの無生物はちゃんと遺る。

 ……自爆して残らないのもあるにはあるが、それは例外。

 

 では、死体の後始末はどうするか、と言えば、大部分が有効活用される。

 

 皮、爪、牙、骨は――武器、防具、アクセサリーの素材になる。

 ……勿論上手く作ればだが。稀に失敗して裁判沙汰になる事例がある。

 

 魔石は――燃料電池になる。

 物によっては時間経過で、エネルギーが回復する。

 

 そして、内臓――心臓と脳――スキルストーン(もしくはスキルオーブ)へ加工する。

 コレを使えば、何かしらのスキル――が身に付く。

 そのスキルストーンを使うと――そのモンスターの持っていた、持つはずだった能力が身に付く。

 ただしどんな能力になるかは完全ランダム。

 言ってしまばガチャ。

 ……本当に人間はガチャが好きである。

 

 例えば、 下級モンスターから作った場合――攻撃、防御、補正などのスキルが身に付く。

 ないよりはマシだが、そこまでは強くないので、そんなもの使う好きはほぼいない。

 何せスキルは一度覚えたらやり直しはほぼ不可能。

 大外れのスキルを覚えた所で取り消しは出来ない。

 せいぜい封じるのが関の山。

 ……一応、貴重なスキルホルダー、遡行や消去などを持っている人に頼めば、可能な場合もあるが、予約は数年待ちである。

 

 そして、覚える方も無制限に覚えられる訳ではない。

 プレイヤーが持つスロットには制限があり、覚えられるスキルは五、六つ程。少ない場合もあり、特にノーブル――キャパシティが大きい人の場合、その半分以下。一つ二つもザラにいる。

 増やす手段はなくもないが、下手に弄ると元あったスロットが減る事もあるので、そんなもの好きもあまりいない。

 せいぜいクロスのナノマシン投与による副産物で増やす位。

 

 

 なので、スキルストーンを作るならば、上級以上のモンスター、そして――ユニーク、ボス、ネームド、レアのモンスターは確実にスキルストーンが作られる。

 特にユニークモンスターの場合、高い確率でユニークスキルが身に付く。

 それはそのモンスターが唯一無二のチカラ。

 

 

 治癒・再生を持った優しき怪鳥からは、制限により回復・治癒能力を強化するスキルが手に入った。

 マッドサイエンティストが作った十二のモンスターの融合暴走体からは、十二の奥義と十二の命のストックが手に入った。

 平均気温がマイナス二百度という極寒どころではない山に住まう凍竜からは、概念すら凍らせるスキルが手に入った。

 

 

 ユニークスキルが身に付かない場合もあるが、それでも中々に強いスキルが身に付く。ユニークモンスターから作ったスキルストーンは高値で取引される。

 通常のモンスターのから作られたスキルストーンだったら、五桁程度だが、ユニークモンスターの場合、値段が一桁違う。下手をすると倍の桁にもなる。

 ……まあ極稀に大外れがあるにはあるが、滅多にない。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 ζ(双子)が組織に居た頃。とある依頼があった。

 それはとある豪邸に住みついてしまったモンスターの討伐。

 ……こういう事も受けるのが、この組織である。

 

 それは黒と白の二匹の猿――【ミザキカ】と【イワフレ】。

 ……まあ大きさ的にゴリラやギガントピテクスだったらしいが。

 結構珍しい義兄弟である二体のユニークモンスター。

 

 搦め手や初見殺しは持っていないが、高いステータスと高い知能を持っていた。

 そして何より、連携が凄まじく、しかも奥の手として合体し――【ミキイフ】というモンスターとなり、凄まじく強くなる。

 それにより、他のプレイヤーを撃退していた。

 豪邸の主が、組織と縁があったからこそ、依頼が組織に回って来たのだ。

 

 ζ(双子)は死に掛けながらも、どうにか討伐。

 そして、それから作ったスキルストーンをどうするかを悩む。

 売ればかなりの金額になるだろうが、ふと彼女らは思い返す。

 

 それはモンスターとの最後のやり取り。

 

『我らは好き放題暴れた』

『討ち果たされるのは当然』

『だがまあ、我らの最後の敵が』

『お前達で本当に良かった』

 

 敵同士ではあったが、友情のようなものが芽生えた。

 だからこそ――

 

『彼らは許されない事をした』

『でも、きっと忘れてはいけない』

『だからこそ、あたし達で使おう』

『運試しだ。どうなるかな?』

 

 使った。

 

 その結果身に付いたのが――〈融合(フュージョン)〉というスキルだった。

 それは黒白猿が持っていたモノ。双子を融合・強化させるチカラ。

 個々の元あった能力すら強化され、合わせる事すら可能。

 なのだが、勿論欠点がある。

 

 

 一つ目。使おうと思ってすぐに使えるものではない。

 チャージタイムが必要。

 とは言え、戦闘前にしておく事も可能なので、いつもそうしている。

 

 二つ目。制限時間とインターバル。

 維持可能時間は二十分、インターバルは二十時間。

 軽々しく使えない。

 

 三つ目。変身の維持。

 二人が息を合わせなければ、戦闘行動や術技発動どころか、歩く事すら不可能。

 だからこそ、この二人は常日頃から独特な口調で喋る。

 

 四つ目。消耗。

 合体解除後は、立って歩くのもやっとの消耗となる。

 そもそも無理な態勢で戦っているようなものなので当然と言えば当然。

 

 だからこそ、二人はそれ滅多に使わない。

 使う時は、二人掛かりでも叶わない相手に対しての奥の手としていた。

 

 今回はそれしかないと判断したからこそ使ったのだ。




【コソコソ話】
(・▽・)<今回出て来たスキルストーンの具体例の三つ。

(・▽・)<一番上と一番下は既出です。

(㈩*㈩)<ええと、リアとミユ?

(・▽・)<はい。そして、実は怪鳥さんは討伐されてません。

(㈩*㈩)<はい?

(・▽・)<……月の兎の話って知ってます?

(㈩*㈩)<知ってるけど、それg……は? まさか?

(・▽・)<はい。とある国で大飢饉が発生した際、

(・▽・)<自ら身投げして食料になりました。

(・▽・)<その一部を≪聖霊教≫が買い取ってスキルストーンにしました。

(㈩*㈩)<人と理解し合えるのもいるんだ……。

(・▽・)<そりゃあそうですよ。心があるんですから。
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