冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:スライム】
(#ー#)<捕捉説明。実はノーマルな個体は益獣ならぬ益モンスター。

(#ー#)<ゴミとかも食ってくれるからな。

(#ー#)<ただ、金属系はその金属を食うから……

(㈩*㈩)<害獣じゃない。

(#ー#)<まあな。そして、雑魚もいるが、滅茶苦茶ヤバイのもいる。

(・▽・)<リ〇ルとか、ゼ〇スとか、六〇鏡子みたいな感じなのですか?

(#ー#)<一部マイナーなの混ざってる!? まあ合ってるけど!

(㈩*㈩)<一応全部アニメ化作品だけどね。

(・▽・)<二番目の彼に至ってはアニメに出てきてませんし。

(#ー#)<そういう話をここですんな!


141

「!?」

 

 不味い、避けられない、と判断した│γ《ガンマ》は、即座に纏うオーラを前面に集中させ、合金スライムを鎧のようにする。

 

 それにオウカは拳を引く。

 いつの間にか、武器が変わっていた。

 メリケンナイフが獣顎グローブになっている。

 そして――

 

「チェストぉ―!」

 

 掛け声と共に放たれたのは、殴撃。

 鎧とグローブの相乗効果により破壊力が増した一撃。

 勿論、数多の技術と経験を動員した事で、発勁や浸透勁などが複合された拳。

 

「ーーーーーー!」

 

 その結果、声無き悲鳴を上げ、│γ《ガンマ》が吹き飛んだ。

 

 そこへ更にオウカは追撃を仕掛ける。

 

「オラァ!」

 

 いつの間にか足に装着された脛当(グリーブ)鉄靴(サバトン)のチカラで蹴撃を強化し、γ(ガンマ)を蹴り上げる。

 そして、一瞬で敵の上に移動し……

 

「地獄へ堕ちろォー!」

 

 踵落とし!

 轟音を立てて地面に激突!

 

 傍目にはなすすべもなく地面に叩きつけられる……ように見えたが。

 

「おい」

 

 オウカは声を掛けた。

 

「いつまで死んだふりしてんだ?」

 

 少しすると、地面の裂け目から黒い手袋を付けた手が出て来る。

 そして、黒ずくめが姿を現す。

 

「死んだふりとは失礼な」

 

 多少服は汚れているが、大きな怪我はない。

 

「これでも結構ダメージ受けたのですよ?」

 

 涼しい顔で言ったγ(ガンマ)

 それにオウカは白い目を向ける。

 

「白々しい。モンスターに肩代わりさせた癖に」

 

 テイマーやサモナー系プレイヤーのモンスターが、偶に覚える事があるスキル。

 文字通り、プレイヤーのダメージをモンスターが肩代わりする。

 だからこそ、γ(ガンマ)やピンピンしていた。

 

「それでも完全に防げた訳ではありません」

 

 肩を竦めるγ(ガンマ)

 

 実はそれほど余裕がない。

 オウカの攻撃の威力があまりに高すぎたため、手持ちモンスターの()()全てが死んでいた。

 

(どうしますか……)

 

 ここからどうするかを思考する。

 

(ホワイトの方が見切られている。ヴァイオレットを切り替えるか……)

 

 実はγ(ガンマ)D(デュアル)クルセイダー。

 普段は特注特性のカラーコンタクトで偽装している。

 

 ホワイトは物質。

 特定条件――足裏で触れ、魔力を流した――を満たした物質を自在に操れる。

 凝った細工は出来ないが、大雑把な広域殲滅が可能となる。

 

 ヴァイオレットは薬。

 摂取した事がある薬なら完全再現が可能。

 普段は回復薬でリジェネしたり、増強薬でステータスを上昇させている。

 

 これ以外の手札はあるにはあるが、リスクが大きい。

 とは言え。

 

(是非もない)

 

 そして、手札を切った。

 γ(ガンマ)は服装を変える。

 匣には、〈服装交換〉や〈早着替〉などの機能が付いている物がある。通常の匣より高価だが、買える人は買う。

 

 彼が付けていた帽子、コート、手袋が消え、それどころかその下に着ていた服――ダークスーツもズボンを除いて消えた。

 その結果、上半身と裸足の足が露わになる。

 そのおかげで彼の顔立ちと体付きが露わになる。

 

 顔は整ったイケメンと評される顔。その眼はクルセイダー特有の白黒反転目。

 身体ははかなり筋肉質。外からは痩せた体型に見えたのだが、どうやら着やせするタイプだったらしい。

 そして、オウカは肌の一部の僅かな色の差からある事に気づく。

 

(やっぱり人工皮膚か……)

 

 どうやら体の一部を機械化しているらしい。

 

(下手をすると、それ以外も色々弄ってそうだな)

 

 そう思っていると、更に変化が起こる。

 結膜が白になり、光る十字架が消えた。

 つまりは能力(クロス)を解除したという事だった。 

 

「?」

 

 その行動に疑問に思ったオウカだったが、その答えはすぐに明らかになる。

 目の周りにひび割れが浮かび、威圧感が増した。

 

(ドーピング?)

 

 そう思ったが、何かが違う。

 その時だった。

 

「行キ(マス)ヨ?」

 

 先程とは違う口調と同時に、今までで一番のスピード……どころか数倍以上の速さでγ(ガンマ)は間合いを潰し、手斧を振り下ろす。

 

「!」

 

 それに下がる事で避けるオウカ。

 だが、完全に避けられず、皮一枚掠る。

 

(受け止めたら潰される……)

 

 そこへγ(ガンマ)は追撃。

 それはシンプルに左右に持った手斧を交互に振り下ろし、振り回す。

 単純だが、それが斧の乱舞、刃の竜巻、鋼の暴風とでも言うべき攻撃を繰り出す。

 

(威力と速度が桁違い……)

 

 オウカは受けるのは無理、動きを阻害すると判断し、一旦付けていた武器防具を一つを除き仕舞う。

 残ったのは│鉄靴《サバトン》。蹴撃上昇より、機動力上昇を狙う。

 

 更にポケットからメリケンサックを出して装着。

 イムロン製であり、この間に貰った物。

 実は失敗作・欠陥品の倉庫にあった物ではない。

 

 使ってみてくれ、と渡された。

 冥刀化はしていないが、コンパクトで持ち運びしやすいので、そのまま使っていた。

 そうして、身軽となり……

 

「やっぱり戦闘はインファイトだろう!」

 

 敵目掛け突っ込んで行った。

 ……彼も十分脳筋である。

 

 そうして間合いが狭まり、

 

「オオオオオオ!」

「アアアアアア!」

 

 咆哮と絶叫。

 そのまま近接戦となる。

 

 オウカは斧の猛攻を避けながら、拳を的確に叩き込んでいく。

 正に――蝶のように舞い、蜂のように刺す――だった。

 γ(ガンマ)は、攻撃を喰らいながらも左右の手斧を振るう。

 こちらは損傷を全く厭わないので、狂戦士(ベルセルク)のよう。

 

 そんな状況が続く中、勝利の天秤は徐々に傾き始めていた。

 それは……オウカの方だった。

 

(オカシイ? 何故コウモ攻撃ガ通ル?)

 

 彼のメリケン付の拳は着実にγ(ガンマ)を削っていた。

 だが、それはおかしい。

 実の所、彼は最後に残った一体のモンスター――透明スライムを纏う事で防御力を上げていた。

 コレは見えない鎧のようになって、ダメージを軽減・削減する事が可能。

 オブラートより薄いが、防御力は遥かに上昇している。……その代わり、傍目には露出度が上がったように見える。

 

 そのはずなのだが……

 

(ダメージガ確実ニ浸透シテイル。メリケンサックノセイカ)

 

 それは正解だった。

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 大転換。

 大規模に渡るダンジョンとモンスターの出現現象。

 この日を境に色々変わった。

 

 出現したモンスターに警察や軍隊など、治安維持をおこなう者達が対抗したのであるが、黎明期はとある要因でかなりの被害が発生した。

 それが――物理攻撃が効かないモンスターがいる、と言う点である。

 主に霊系やスライムなどが該当する。

 

 その体には、銃火器の弾丸や刃物の刃、それどころか、人間の拳すら効かない。

 あの時代の闘争の主役――銃火器――は物理攻撃なので、是非もない。

 

 とは言え、ある程度経つと対抗策が出てくる。

 ……と言うか、武器や格闘主体ノーブルは、そう言う技術を昔から確立させている。

 

 炎や雷などの属性攻撃だったり、闘氣操作、特殊な術技などなど。

 とは言え、そういうモノを覚えられない人もいる。

 だが、そういう場合は何かしらの装備で補えば良い。

 

 という訳で色々なアーティファクトが開発された。

 もしくは歴史の古いノーブルの倉庫から引っ張り出したり、徴収した。

 

 例えば――

 

 

 特定の属性や特殊なスキルを付与した武器、もしくは付与出来る腕輪。

 

 特殊な金属を、特殊な製法を使って製作された武器。

 

 特殊なモンスターを利用して作った妖刀や霊刀。

 

 

 などなど。

 

 そして現在。

 そういうモンスターはいるので、プロプレイヤーのなると何かしら持っている事が多いため、現在も作られている。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 ある時、鬼の鍛冶師イムロンはそれを作ろうと思い立った。

 そして……

 

『……これが限度か』

 

 丁度あった素材から作れたのは七種類七つ。

 大剣(クレイモア)、十文字槍、鎚斧、三節棍、鎖鎌、短刀(ドス)、拳鍔。

  

 この七つに共通するのが直接ダメージ機能。

 攻撃力を引き上げる機能はなく、防御力に対しては引き算がおこなわれるが、物理攻撃に対する耐性――無効・吸収・反射を突破してダメージを与える。

 要するに、ゴーストやスライムを武器攻撃で殺せるようになる。

 

 とは言え、貴重な素材を使っている訳ではないので、素材さえあればまた作成可能。

 なので、幾つか作って売りに出そうかとも考えているため、試作品の意味合いが強かった。

 

 そうして作った訳だが、問題が発生した。

 それは……

 

『誰に使わせよう?』

 

 イムロンは正体がアレなので、交流しているのはジンナとザンカの姉妹のみ。

 なのだが、この二人は自身の得物があるので頼みずらい。

 そんな時に、ジンナが連れて来たのは一人の少年。

 聞くところによれば色々な武器が使えるらしい。

 

 なので、休憩のタイミングで声を掛ける。

 

『ちょっといいか?』

『? なんです?』

『これを使ってみてくれないか?』

 

 そういう訳でオウカに預けた。

 因みにそのままで渡さず、匣に入れて渡す。

 

『対物理無効相手の武器だ。やる』

『……どうも。おいくらですか?』

 

 オウカは結構手持ちがある。

 元々金使いはそこまで荒くないうえ、色々やって増やしている。

 

『金はいらん。使い心地を教えてくれ』

『良いんですか?』

『ああ。誰かに使って試して貰わないとな。なのだが、あの二人はな……』

『ああ。冥刀使いですものね』

 

 あの二人はデュナミスト。

 冥刀には意志があるため、他の武器を使った場合、拗ねるので使いにくいし、頼みにくい。

 

『ある程度は許容してくれるモノもありますけど……』

 

 あの二人が使う【ウルナッハ】と【エスペ・アヴァンチュルーズ】は代償は試練系。

 なのだが、試練の難易度がそこまでもない代わり、他の武器をあまり使わせない。

 実際、今の二人は武器をコレしか使っていない。特にザンカは武器はそれしか使っておらず、鍛錬すらソレを使っている。

 

 なので。

 

『わかりました。色々使ってみます』

『頼む』

 

 そういう訳で色々試し、使い心地をイムロンに伝えていた。

 今回は、拳鍔の試しと言う訳だった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 殴と斬のぶつかり合いで、γ(ガンマ)は悟っていた。

 このままでは削り潰される。

 

(コノママデハ負ケル)

 

 実は彼、結構追い詰められていた。

 

 一気呵成に決めるために、奥の手を切ってしまったため、手札がもう僅か。

 その奥の手は――〈捨真死虎〉

 自身の装備とスキルに制限と封印を掛ける事で、戦闘に関わる何か一つ――ステータス、装備、スキルを限界を超えて強化可能。

 これを使う事で、冥刀――【ラビリス】を強化して戦っていた。

 そこに最後のモンスターを使う事で、攻守ともに整えてから挑んだのだが、追い詰められていた。

 

(ナラバ!)

 

 【ラビリス】のオーラを最大出力で放出し、オウカを吹っ飛ばす。

 

「ッ!」

 

 思わぬ抵抗をモロに喰らい、かなり距離が離れる。

 だが、幸いダメージは少ない。

 そのまま態勢を立て直して、相手に向かおうとするが。

 

「んな!?」

 

 オーラで作られた巨大な斧が振り下ろされる。

 かろうじて、避けるオウカ。

 

「モウ近ヅケサセナイ!」

 

 そのままオーラの巨大な斧が連続して振り下ろされる。

 それをどうにか避けながら、相手がどうなっているかを確認する。

 

(【ラビリス】の由来通りか……)

 

 γ(ガンマ)の体を覆うようにオーラが展開されているのだが、それが牛頭の怪物の上半身を象っていた。

 両手には巨大な斧を持っている。

 

(なるほど。近付けさせないで仕留める気か……)

 

 戦闘では敵の嫌がる手をやるのは効果的である。

 

(さてどうするか……)

 

 恐らくオーラ使い方では長時間は持たない。

 ならば、時間切れを狙うのも手だろう。

 だが。

 

(それは雑魚の思考だ。正面から潰す)

 

 やっぱり脳筋である。

 

 オウカはバックステップで更に距離を取る。

 そして、メリケンサックを仕舞い、代わりに出したのは槍。

 それを上空に放り投げ……

 

「オウラァ!」

 

 蹴り飛ばす。

 貫通が込められた一撃は極限まで加速。

 それにオーラの牛は、双斧を一つの巨大斧にして対抗。思いっきり振り下ろす。

 激突。

 暫くの拮抗後……砕けたのは両方。

 

 そのままオウカは一気に間合いを詰める。

 選んだ武器は――刀。

 γ(ガンマ)もそれに対抗。

 こちらも双斧を一本にして威力向上。

 

 刀と斧。

 互いの一撃が交差し、互いの位置が入れ替わる。

 その結果は……。

 

「ここまでですか……」

 

 γ(ガンマ)の体が斜めにズレる。

 幾ら体の大半が機械でも致命傷だった。

 

「私の負けですか……」

 

 そのまま彼は倒れた。




【TIPS:γ(ガンマ)
(#ー#)<飄々とした男で、Ϝ (ディガンマ)の側近。

(#ー#)<ソイツの護衛とか、執事とか、メッセンジャーの真似事ばかりしているが、実際滅茶苦茶強い。

(#ー#)<体を鍛え、術を覚え、古武術を習い、

(#ー#)<クロス、冥刀、スキルなどを習得している。

(#ー#)<更に、体を改造している。半分以上が機械化。

(・▽・)<機械化なんてしてるんですね。というかそんなのあるんだ……。

(#ー#)<ああ。生身に何かしら問題ある奴がしている事もある。

(#ー#)<メンテナンスとか色々問題はあるがな。これに付いては追々。

(・▽・)<そうですか。でも、冥刀複数持ちはやっていないんですか?

(#ー#)<やろうとしたが、出来なかった。

(㈩*㈩)<軽々しく出来るモノじゃない。それに手に入らない。

(#ー#)<そういう事だ。手持ちにまで影響でそうだからやめた。


(㈩*㈩)<明日も更新だよ。
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