冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<暫くの間、解説が続きます。

(㈩*㈩)<作者曰く、こういう方が書きやすいし、楽しいらしい。


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 ■□■□

 

 

 今の時代、巨大な敵が存在する。

 それは巨大なモンスターだったり、ロボットに乗ったプレイヤーだったりする。

 そして、そういう敵に対抗する手段を熟練のプレイヤーは持っている。

 

 

 ある者はそういう時用の召喚獣を使う。

 ある者は巨大ロボットに乗って戦う。

 ある者は巨大武器をぶん回す。

 

 

 元殺し屋であり、戦闘者であるミユも対抗手段を持っている。

 彼女の場合は……

 

[巨大相手の対抗策持っていたんだ]

[嗜みです]

 

 マユの言葉に涼し気に答えるミユ。

 

 それは奇しくも相手と同じ。

 Ϝ(ディガンマ)のゴーレムに対抗するため、巨大な氷の虎を作り出し、その中にいた。

 

虎虎婆(ここば)

 

 ミユの奥の手の一つ。

 

 虎型の氷ゴーレムを作り出して戦わせる。状況によっては今みたく中に搭乗する場合もある。

 氷や土系統などの物質を操る術で、ゴーレム作成は存在しているが、成長しない、時間経過で消えるなどのデメリットがある。

 なのでミユはそれを強力にするために、それ以外の氷ゴーレムを作らない、数は最大二つまでなどの制限と制約を加えたうえ、アクセサリーで効果を高めている。

 更に今回はマユとネラが補助をしている。

 

 そのため、現在は怪獣大決戦となっていた。

 機械ゴーレムと氷の虎が殴り合い、時に遠距離攻撃をぶつけ合う。

 戦況は互角。

 

(まあ、マユさんとネラさんがいなかったら、キツかったかもだけど)

 

 心の中で呟く。

 

 マユはバフを担当。

 

 彼女が掛けているバフは二つ。

 一つがステータスの向上。

 しかも状況に応じて、特定バフを更に重ね掛けしてくれる。

 そして、もう一つが空間に関する事。

 攻撃に切断、防御には歪曲、移動には転移。

 

 ネラは補助を担当。

 

 機械アリを展開し、術の制御や補助をしていた。

 負担を軽減したり、氷の虎のダメージを肩代わりしている。

 

 これらのおかげで互角だった。

 

 そんな状況下でネラがミユに聞いてくる。

 

[疑問]

[どうしました?]

 

 この言葉使いにも慣れたなと心の中で苦笑するミユ。

 

[相手、偶像、無戦?]

 

 もっともな疑問だった。

 それにミユは答える。

 

[組織のトップは全員下積み時代があります。なので戦えると]

 

 だからこそミユは奥の手を切れなかった。

 ゴーレムを破壊してもまだ本命があるのだから。

 だが、このままでは長引く一方だった。

 

(どうしよう……)

 

 自身の術技を強化できる〈紅蓮鉢特摩〉を使えば、機械ゴーレムには勝てるだろう。

 だが、その場合、中にいるϜ (ディガンマ)を相手に出来るかわからない。

 

 その時だった。

 ふと脳裏にオウカの顔が過る。

 

「先輩……」

 

 恐らく彼はγ(ガンマ)と戦っている。

 勝利すればこちらに来てくれるだろう。

 それに、ζ(双子)もいる。

 あの三人と共闘すればどうにかなるだろう。

 

 ならば……

 

「ここで……使い切る!」

 

 〈紅蓮鉢特摩〉を発動。

 ミユの体に赤い線が入り、眼の色が変わる。

 更に……

 

「出したか……」

 

 Ϝ (ディガンマ)が呟く。

 彼は組織の幹部であったので、その手札は知っている。

 

 蒼色の氷虎が真紅に染まっていく。

 

「最後までさせん」

 

 彼が出たのは掟破り(?)の手段。

 機械ゴーレムから遠距離攻撃手段を放っての変身妨害だった。

 ミサイルとビームが氷虎に着弾、爆発。

 煙で敵の姿が確認出来なくなる。

 

「……やっt、おっと」

 

 やったか、と言いかけ口を噤む。

 フラグになりかねない。

 

 だが、それは遅かった。

 煙から飛び出して来たのは真紅の氷虎。

 そのまま鉤爪がゴーレム目がけ襲い掛かる。

 

『PO!?』

 

 そして虎はそのまま爪のラッシュ。

 

(先程より攻撃力が上がってる)

 

 再生力を上回る連続攻撃。

 それにより機械ゴーレムの体が削れていく。

 

(このままではここまで到達しそうだな)

 

 Ϝ (ディガンマ)が冷静に分析。

 それに取らせた手段は単純。

 

「全火力一斉発射」

 

 機械ゴーレムからミサイル、ガトリング弾、砲弾、熱線、ビームが発射され、駄目押しに液体火薬が振りかけられ発火。

 至近距離なのでこちらもダメージを負うが、構わない。

 向こうの方がダメージは大きいはず。

 

 その火力をミユは……無視して攻撃を続行。

 防御力は向上しているうえ、マユのサポートで攻撃の大部分は遮断可能。

 

「このまま押し切る!」

 

 それにϜ (ディガンマ)は機械ゴーレムに火力掃射だけでなく、近接戦闘をさせる。

 

 そうして壮絶な殴り合いで互いに削り合う。

 そして遂に……

 

「……こうなったか」

 

 氷虎の爪の切先が遂に機械ゴーレムの搭乗部分を掠る。

 ここはかなり頑丈なので、もうしばらくは持つだろうが、このままでは貫通する。

 

「向こうは何かしら支援を受けてるな……」

 

 呟くϜ (ディガンマ)

 こちらは機械ゴーレムだけ、向こうはミユのチカラだけでなく、他の要因の加算もある。

 このままではこちらが先に砕ける。

 

「仕方ない」

 

 そして、彼は機械ゴーレムのスイッチ――透明カバーに包まれているうえ、色合いが毒々しい赤で、髑髏マークが付けられている――を押した。

 

 攻め続ける氷虎。

 真っ先に悪寒を感じたのは――マユ。

 

[何か不味い!?]

 

 空間転移で氷虎を機械ゴーレムから引き離す。

 その途端、機械ゴーレムが大爆発を起こす。

 

「自爆!?」

「自害した? それはないか……」

「絶対にないです」

 

 ネラが驚き、マユはとある可能性に思い至るも否定し、ミユは完全否定。

 

 そんな三人が様子を見る中、煙が晴れる。

 そこにあったのは丸い球体。機械ゴーレムの搭乗席で、緊急用のシェルターでもある。

 恐らくあの中にϜ (ディガンマ)がいるのだろう。

 

「攻撃?」

「……いえ、様子を見ましょう」

「嫌な予感がする」

 

 ネラが攻撃を提案するも、ミユが否定し、マユが悪寒を感じ取った。

 

 そして、丸い球体の一部が開き、そこから一人の男――Ϝ (ディガンマ)が出て来る。

 

「やってくれたな」

 

 そうして、彼は上着を脱ぎ、ネクタイを緩める。

 彼の口から言葉が漏れる。

 

「機械ゴーレムで死なせてやろうと言う慈悲を無駄にするとは……」

「ふざけるなよ。円満退職した奴を引きずり戻して殺して。何を考えている?」

 

 ミユが前から気になっていた事をぶつける。

 それにϜ (ディガンマ)は平然と答える。

 

「逆に聞こう。お前らこそ何を考えている?」

「は?」

「闇に生きる者が光の中で生きれると思っているのか?」

 

 人は殺してはならない。

 それを破り、沢山の命を踏みにじって来た者が幸せに生きる?

 そんな事は許されない。

 

「お前らは永遠にそのまま。みじめに這いつくばって死ぬのがお似合いだ」

 

 これがϜ (ディガンマ)の考えだった。

 

 それにミユは言い返す。

 

「何が死ぬのがお似合いだ」

 

 その口調は少し荒い。

 

「そもそもそうさせたのは貴方達でしょう?」

 

 普段は比較的丁寧に話すミユだが、感情が高ぶると口調が荒くなる。

 

「職業は数多にある中、殺し屋として教育したんでしょう?」

 

 殺し屋として自分達を教育したのは向こう。

 

「それに、殺し屋だって意味はある。誰彼構わず殺している訳じゃない」

 

 人面獣心の外道、我欲塗れのケダモノ、罪なき者を食い漁る下衆。

 

「殺しているのはどうしようもない悪人だけだ」

 

 自分達が殺して来たのはそういう者達。

 

「悪などない。視方が違うだけ」

 

 それに即反論したϜ (ディガンマ)

 

「こちらからは悪でも、向こうにとっては悪」

 

 かつての経験――悪だと思っていた者が、実は善人だった事がある。

 

「悪も善もこの世にはない」

 

 だからこそ、この考えだった。

 

「……それはそうかもしれないけど、極論すぎ」

 

 ミユはϜ (ディガンマ)の考えを完全否定はしなかった。

 一定の理解は示す。

 だが、彼の考えはあまりに偏っていた。

 下衆の逆恨み等をまるで考えていない。

 

 それに反論しようとした時だった。

 

「フン。ならば考えを変えてみせろ。力尽くでな」

 

 彼は心臓の位置に右手を当てる。

 

「とは言えもう兵もなく、部下も少ない」

「降伏でもする?」

「いや……」

 

 一拍置いて告げる。

 

「俺が――直接ぶちのめす」

 

 そして、拳を固め、自身を叩いた。

 その瞬間、Ϝ (ディガンマ)の体に変化が起こる。

 

 体全体が膨れ上がり、力士のような体型となる。

 ……服はどうやら伸縮素材を使っていたらしい。

 そして、瞳が複眼状になった。

 それは――昆虫人間になったかのようだった

 

 それにミユはとある可能性が脳裏に過る。

 

(あの特徴って……)

 

 それは注意すべき対象の特徴に一致。

 だが、それはありえないと否定する。

 

「ありえない……」

「どうしたの?」

 

 マユが訊ねたがそれに答えない。

 

「だって……アレはあの一族しか使えないんだから」

 

 最悪の想像を振り払おうとする。

 

 Ϝ (ディガンマ)はと言えば、動かない彼女らを気にも留めず、ゆっくりと歩み出す。

 そして。

 

「行くぞ」

 

 その言葉と同時、タックルを仕掛けて来る。

 

「武器も持たずに!」

 

 真紅の氷虎が前足がカウンターで前足を振るう。

 大きさ的にはこちらが断然有利。

 そのはずなのだが。

 

 ぶつかり合いの結果……

 

「「!?」」

 

 砕けたのは――氷虎の前足の方だった。

 流石の三人も驚くも、驚きを捻じ伏せる。

 ミユは虎の口から冷凍ブレスを放射させる。

 今まで隠していた手札であったため、避けられず直撃するϜ (ディガンマ)

 

「これで氷漬けになれば良いんですけど……」

 

 そのままミユは一旦下がり、相手の様子を伺う。

 彼は彼女の目論見通り氷の結晶に閉じ込められている。

 

 ところが、数秒も経たない内に……

 

「フン……」

 

 結晶が砕け散り、そこからϜ (ディガンマ)が飛び出す。

 体にはダメージは全くない、どころか服に汚れすら見えない。

 

((何をした?))

 

 だが、彼女らの疑問はすぐに解消される。

 

 彼の体からオーラが間欠泉のように噴出していた。

 それを鎧代わりに防ぎ切ったのだ。

 

 だが、それに疑問を覚えるマユ。

 

[でも、あんな高出力一人の人間に出せる?]

[裏技、出力、向上]

 

 それにネラが答えた。

 一方、ミユは内心かなり混乱していた。

 

(まさか……まさか……)

 

 先程は否定したとある可能性が再浮上したのだ。

 

 そして、Ϝ (ディガンマ)の体から放出されるオーラが徐々に形を作る。

 ソレは体は前後に長く、触覚が長く、脚が六本ある。

 一番後ろの脚は太く長く飛び跳ねられるかのよう。

 

 それを見たネラが正体を見破る。

 

「直翅、昆虫」

 

 元の所属が所属なので、意外に節足動物には詳しいネラ。

 そのまま種類を見破ろうとする。

 

飛蝗(バッタ)? 蟋蟀(コオロギ)? 螽斯(キリギリス)?」

 

 候補が幾つも浮かぶが、何か違うと思い直し、遂にその正体を見破る

 

「……! 蟋蟖(コロギス)!」

 

 コロギス。

 コオロギとキリギリスの中間型の直翅目の昆虫。

 発声器官を持たず鳴かない。

 

 そして、最大の問題はコロギスの仲間には、娯楽作品で知名度を上げた物がインドネシアにいる。

 体長は約65〜80mmで、夜行性の肉食。

 強靭な顎で獲物を噛み砕いて捕食し、時にはサソリすら喰らう。

 飼育下では、レイアウトを壊す、段ボールを噛み砕いて脱走と、飼育員泣かせの昆虫。

 それが……

 

[と言う事は……リオック?]

 

 マユも正体に辿り着く。

 

 別名“お化けコロギス”。

 ソフトインセクトでは最強とも呼ばれている。

 

 同時に、疑問が湧く。

 

「なんでわざわざオーラで形作るの?」

 

 それが疑問だった。

 

 疑問に答えるのは――ミユ。

 

[それがあの流派だからです]

[流派?]

[特殊モンスターにチカラを貰い受ける一族がいます]

[それっt]

[少待!]

 

 ネラが二人の会話を遮った。

 彼女は元傭兵団所属。

 だからこそ、この世界の注意すべき強者達については知っていた。

 勿論今も情報収集は欠かしていない。

 

[絶対、有得、無筈]

 

 だからこその否定だった。

 だが、ミユは言いにくそうに口を開く。

 

[それは私も同じですよ。否定したいところですけど……]

 

 あの感じだと否定できない。

 それにネラは、

 

[……]

 

 黙り込んでしまった。

 そのタイミングでマユが訊ねる。

 

「それって確かイデア百獣拳から分派した拳法だったよね?」

 

 ミユがコクリと頷く。

 

 百獣寺という寺院が教える特殊な拳法であるイデア百獣拳。

 荒行で心技体を鍛え、霊獣という特殊なモンスターと契約する事で、身体能力やオーラを増強させて戦う。

 皆伝以上の契約者は特に恐れられている。

 

 そんな百獣寺には分派した拳法がある。

 それぞれ共に訳あって霊獣と契約出来なかった者が起こした流派。

 その内の一つ。

 

「バグズ界蟲拳。蟲のチカラを借りる拳法です」




【コソコソ話】
(・▽・)<おさらいです。三奇拳はオーラを使う三つの拳法です。

(㈩*㈩)<北〇神拳、南〇聖拳、西〇月拳みたいな?

(・▽・)<そんな感じですね。後、『ア〇メが斬る』の皇〇寺みたいな感じですね。

(#ー#)<北〇の拳はともかく、ア〇斬るは少しマイナーだろ!
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