(・▽・)<はい。そういう訳で推奨BGMは……
(㈩*㈩)<『It Has To Be This Way』でしょう?
(・▽・)<はい♪ つまり……
(#ー#)<アレじゃねえか!?
とは言えこのまま攻撃し続けていても、こちらが消耗するばかり。
(このままだと先にこちらが力尽きる)
オウカと│ζ《双子》は終わり次第来てくれるだろうが、それまで保たない。
ならば方法は一つ。
〔マユさん、ネラさん〕
〔何?〕
〔如何?〕
〔無茶しますので、フォローお願いします〕
ならば勝つつもりでやるのみ。
ミユの言葉に二人は無言で首肯。
「感謝します」
その言葉と共に、ミユの体を紅の氷が覆い、虎の形を作っていく。
それに
「さっきと同じか? 芸が無い」
それに何も答えないミユ。
そのまま紅の氷を編み上げる。
すると……
「さっきとは違うようだな」
そこには獣人のようになった紅の氷虎がいた。
接近戦特化の形態。
そして、氷虎が一気に間合いを詰め、鉤爪を振るう。
それを
彼がいた場所に鉤爪が通過。完全に避け切れず掠り傷を負う。
すぐに塞がる傷を見て思う。
(オーラの防御を抜けた。空間ごと斬ったか)
ゴーレムの時も使っていたからこそ見破れた。
更に氷虎はそのまま連続して鉤爪攻撃を放つ。
それを下がって回避する
暫くされるがままだったが……
「見切った」
「!?」
カウンターの拳がねじ込まれる。
「攻撃が単調過ぎる」
もう一撃。
二発で紅の氷に罅を入る。
だが、それはミユも織り込み済み。
「ほう……」
右腕が着弾面から離れない。
更に、ドンドン凍って行く。
オーラで防いでいるのにこの結果。
「(長時間は接触はこうなるか。)仕方ない」
このままでは全身が凍り漬けになると判断した
右腕を左手の手刀で斬り落とす。
全く躊躇いがない。
そして、間髪入れずに右腕が生えて来る。
それにミユは顰め面。
[節足、動物、手足、再生]
[厄介な……]
[押し切るしかないですね]
三人は会話をして決めた。
そうして殴り合いが始まる。
お互い損傷を無視して殴り合う。
どちらも再生はしているが、勝利の天秤は傾き始めていた。
それはスタミナの問題。
元々、ゴーレムとの戦いで消耗しているうえ、〈紅蓮鉢特摩〉は時間制限がある。
もう紅の蓮の花弁は数輪もない。
(こちらは持久戦は望むところ)
彼の持つ《バグズ界蟲拳〔
(苦労してB細胞を手に入れて良かった)
そんな事を思っていた。
ミユとしては先程のように凍らせて動きを止めたかったのだが……
(オーラの出力のせいで凍りづらい)
着弾面のオーラの出力を上げ、更に触れるのは一瞬なため凍らない。
ドンドン氷虎は削られていく。
そして、ミユの背後の紅の蓮の花弁が一つとなる。
[時間、後僅……]
[不味い……]
焦るネラとマユ。
(勝ったな……)
内心勝ち誇る
彼……というか組織の人間はミユこと、
時間制限がある事も知っていた。
そして、遂に最後の花弁が散った。
それと同時、ミユが元の姿に戻り、紅の氷虎が消えた。
彼女はどうにか地面に着地するが、手を地面に付き、息も絶え絶え。
それに
「……どうやら
「!」
それに少しだけ表情を緩めるミユ。
(先輩……流石)
「ここも直に崩れる。もう少しは持つだろうが……」
この空間は
事前に素材を使ってあるので、彼が死んだとしてもある程度は維持可能。
「だからこそ提案だ。もう一度俺の元で働くか?」
部下を失ってしまったからこその提案。
だが、それにミユは……
「べーっだ」
あかんべえを返す。
それに
「では――死ね」
そして、拳を振り下ろした。
[[不味!?]]
ネラとマユが何かしらの防御手段を取ろうとしたが、間に合わない。
だが、拳は寸前で止まった。
それに訳が分からないのはネラとマユ。
マユが真っ先に気づく。
[え……?]
[如何?]
[死んでいる……]
[意味、不明]
ネラが機械アリを使い確認する。
外見変化はなさそうだが、地面に倒れもしない。
まるで凍り漬けになったかのよう。
何が起こったのかわからない二人。
そこへ今まで黙っていたミユがボソリと呟く。
「上手く行きましたか……」
それに二人は問いかける。
「……どういう事?」
「説明!」
そんな二人にミユは力なく笑う。
「後で話します。今は脱出しましょう」
こう言ったが、二人は納得しない。
「手早、説明」
「……そんな言い訳が通じるt」
「はっきり言って」
言葉を遮り、ミユは続ける。
「もう意識を保っているのも限界なんです。だかr」
最後まで言えなかった。
ミユはそのまま崩れ落ち意識を失った。
△▲△
その後……。
戦闘も大変だったが、後始末もあった。
あの後、異空間で
すると、そこには倒れたミユ、介抱するネラとマユ、立ったまま死んだボスがいた。
なので意識を失ったミユを担ぎ、異空間を脱出。
そして、今回の被害者達と合流し、船から脱出した。
こういう時のために用意しておいた船に乗って、客船から離れ。
『ぽちっとな』
仕掛けていた爆弾を起爆。
客船は大爆発を起こし、跡形もなく消え去った。
『回収と美化費用は組織が出せば良い』
『『もう存在しないよ!?』』
そして、陸地に上がり、解散となった。
因みにモンスター達は、元殺し屋の一人が預かる事になった。
数で押すテイマー系のプレイヤーなので丁度良かった。
因みに……
『『ちょっといいか?』』
去り際に
『?』
『『連絡先を交換しよう』』
『あ、オレもいいかい?』
そう言う訳で何人かと連絡先を交換した。
そして、なんとか戻って来た訳だった。
◇◆◇◆
組織の主催した、客船での催しの次の日。
オウカは自宅でくつろいでいた。
愛用のビーズクッションに寝っ転がっている。
「はあ、疲れた」
そんな彼にマユが盆に乗せたお茶とお菓子を持って来る。
「お疲れさま」
「本当に疲れた」
今日のおやつは和。
どら焼きと抹茶。
どら焼きを齧り、抹茶を飲む。
「沁みる……」
「それは良かった」
フフフと笑うマユ。
そんな顔を見て、ふと気になった事を訊ねる。
「そういえば……ミユは?」
「まだ寝てる。今ネラが見てる」
気を失った彼女はまだ起きて来ない。
少し心配そうなオウカ。
「……相当無茶していたらしいな」
「うん。それに最後何したかもわからないし」
気づけば相手が死んでいた。
「後で問い詰める」
「人の手札を聞くのはマナー違反だぞ?」
「やられるかと心配したから」
それにオウカは少し苦笑した。
………………
…………
……
そのままゆっくりしていると人が近づいて来る気配がした。
そして、ドアが開き、そこから一人と一機が入って来た。
「……おはようございます」
「起床」
それはミユとネラだった。
ミユはパジャマ姿をしており、その肩にはネラが乗っている。
そんな二人にオウカは訊ねる。
「体の調子は?」
「少し怠いくらいです」
「普通」
……どうにか大丈夫そうだ。
そこへマユがお盆に朝食を乗せてやってくる。
「冷めちゃったけど食べる?」
それは朝食。
マユは四人分作り、朝食時に起きて来なかったミユのために残しておいたのだ。
メニューは白い御飯、野菜の味噌汁、焼き魚、漬物。
上にはラップがかかっている。
それを見たミユのお腹から音が鳴る。
「……」
少し恥ずかしそうな顔をしてから頷く。
そして、卓の上に乗せた朝食を食べていく。
全て食べ切ったどころか、御飯はお冷を解凍したのをおかわりした。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様」
マユが食器を回収して、キッチンに引っ込む。
人心地ついてお茶を飲んでいるミユにネラが訊ねる。
「聞良?」
「なんですか」
「昨日、最後」
「え、あー」
バツの悪い顔をしたミユ。
そして、ペコリと頭を下げる。
「すいません。心配かけて」
「別良」
「それはいいけどさ」
そこへマユが戻って来た。
「一体最後何をしたの?」
再びの問いかけ。
どうしても気になったのだ。
それにミユは少し悩むような表情を見せた後、意を決して口を開く。
「アレは私の最後の、最後の、最後の奥の手、八寒地獄の最後です」
「大紅蓮地獄、もしくは摩訶鉢特摩地獄か」
オウカの言葉にミユは首肯した。
★☆★☆★
ミユは奥義に八寒地獄の名前を付けている。
・氷の結晶で武器や防具を作る〈
・白霧を散布し、雷雲を呼び、光線すら撃つ〈
・条件凍結〈
・冷凍ビーム〈
・氷の虎を作る〈
・青い睡蓮を作り操作する〈青蓮
・ステータスと奥義強化である〈紅蓮
・上記の更なる強化である〈大紅蓮
と周囲には伝えているし、共闘した者もそう認識している。
だが、実は
それは最後の奥義。
〈大紅蓮
言うなれば即死技。発動すれば相手の生命活動を問答無用で停止させる事が出来る。正に必殺技。
だが、強力な技なだけであり、発動させるためには条件がある。
〈紅蓮
そして、その状態で時間切れに持ち込むか、ミユ自身の生命活動が止まるしかない。
だからこそ、ミユはこの最後の奥の手を隠している。
使う時は……もう負け寸前か、死んでいる時なのだから。
■□■□
「――という感じです」
「「……」」
ミユの説明を受け、一同沈黙。
暫く誰も何も言わない中、オウカが口を開く。
「……良かったのか?」
「何がですか?」
「お前の切り札だろう?」
プレイヤーは基本、手札――能力・術技・武器――を隠しておく。
ダンジョンとモンスターの大発生が落ち着いて来た当初は、国に申告する事になっていた。
ところが、とある事件――個人情報が流出し、プレイヤーが殺される事件が発生したので、余程のヤバイモノでない限りは、申告義務はなくなっている。
「馬鹿正直に言って良かったの?」
その問いかけにミユは少し笑って答える。
「心配かけましたし、知った所で対策不可能ですので」
「「確かに」」
知った所でどうしようもない術技はある。
「それに……」
一拍置いて答える。
「貴方達なら知ってもいいかなって」
そう言う彼女は、湯呑でお茶を飲んでから、口を開く。
「そういえばあの後どうなったんですか?」
「「今更!?」」
「だって私気絶してましたし」
そういえばそうだった。
そういう訳で説明していく三人。
聞き終えると、ミユがある事を呟く。
「そういえば……、アイツなんで界蟲拳使えたんでしょう?」
「知らない」
「同感」
知る訳がないマユとネラ。
だが、そこへオウカが答える。
「とりあえず情報屋に当たる。調べて貰って後日聞こう」
そんな訳で四人はこの日をのんびりと過ごした。
●○
「や。わかったから伝えに来たよ。旦那」
「え? 言ったら出向いた? いいさ、こういうのも偶には悪くない」
「向こうさんが界蟲拳を使ったトリックだけどB細胞を使ったんだ」
「なんでも蟲灼晃而一族の体の一部や、死体を集めて」
「培養して特殊な処置を施した細胞を作った。これがB細胞」
「これを移植すれば誰でも界蟲拳を使える。種類はランダムだけどオーラは使用可能になる」
「……まあ適合できればだけど。とある企業が開発していたものの試作品」
「〈外甲殻〉と〈毒身〉が使えるモノも開発していたらしいよ?」
「ん? 過去形なのはどうしてかって? ……旦那ならわかるんじゃないの?」
「そうさ。蟲灼晃而一族がそんなの許す訳がない。関係者一同と研究資料は全削除」
「元々体の一部や死体が消えて、墓が荒らされる被害があってね」
「その犯人をあの一族は血眼で探していて、自分にも依頼が来てたんだ」
「旦那のおかげで助かったよ。手がかりがなかったからね」
「あ、そうそう。だから今回はかなり稼げたから、情報代はタダでいいよ」
伍ノ章 Fin. Next 陸ノ章……
【TIPS:B細胞】
(・▽・)<これって……柱〇細胞とか。G〇胞ですよね?
(#ー#)<……。
(・▽・)<沈黙の肯定ですね。
(#ー#)<うるせえ。
(㈩*㈩)<あ、そうそう。次話から新章に突入。
(㈩*㈩)<何をやるか迷っていたけど、決めたらしい。
(・▽・)<何をやるんです?
(㈩*㈩)<幾つかの話を複合する。ええと、少なくとも……
(㈩*㈩)<「■■復活」、「目覚める■■」、「過去の因縁」
(㈩*㈩)<これらが複合。……もう一つか二つ混ざるかもしれないけど。
(・▽・)<何かヤバそうですね。
(㈩*㈩)<あ、そうそう。この章でやりきれなかったとあるキャラについてもやる。
(・▽・)<? ……あ! そういえば! 一人触れていない!