(#ー#)<そういやさ。
(㈩*㈩)<何?
(#ー#)<
(㈩*㈩)<知ってたはず。何か晩酌している時に話してくれたんだって。
(㈩*㈩)<その時にサクも自分の過去について話しているから
(㈩*㈩)<お互い知り合っている。だから結構あの二人仲良いんだよね。
▼▽▼
今回の実習で天ノ角高校の生徒達は、≪紅露刃亜≫の襲撃を喰らった。
襲撃者は幹部四人とボス(表向きと真)だけでなく、構成員達やこの時のために雇った半グレなど、合わせるとかなりの人数になった
幸いにも、 引率した教師やプレイヤー、そして、救出に迅速に動いたおかげで、幸いにも生徒の死亡者はゼロだった。
とは言え、それは肉体の話。精神は別問題だった。
レイリはその時、一人奮闘していた。
「鳥のように飛びなさい!」
「トリィイイ!?」
「イヤアアア!?」
自分の班員を逃がし、足止めをおこなっていた。
愛用の巨斧を振り回し、戦っていた。
とは言え反撃を受けるのだが……
「よっと……」
巨斧を器用に回し防ぎ、時に避け、どうしようもない時はオーラを集中させて防ぐ。
そうして暫くすると……
「痛い痛い……」
「あ、あばらがあああ」
「手が、足が」
辺り一面死屍累々。
と言っても死んではいない。
上手く手加減して、再起可能程度の損傷で済ませた。
そんな様子にレイリは思う。
(これでいい。問題はこれで終われば良いけど……)
それはないと即座に否定。
恐らくこいつらの背後にいる者もいる。
『お、俺達は≪紅露刃亜≫だぞ!』
『俺達をやればボスや幹部が黙ってないぞ!』
そんな事を言っていた。
まあそんな奴らも……。
『問答無用です!』
『へぎゅ!?』
『とりあえず峰打ちです』
『意味ないぃー!?』
ボコボコにはして置いた。
そうしてそいつらを放置して別の場所に向かおうとした時だった。
「あらあらまあまあ」
場にふさわしくない声が聞こえた。
その声にレイリは振り向く。
そこにいたのは一人の男性。
「だらしないわねえ……、一人にこんな大人数で挑んで」
一言で言うなら――女装をした男性。
ロングスカートを着ている男で、普通なら違和感マシマシ。
だが、顔立ちが良いため、不思議と違和感がない。
その両腰には細い剣が二刀一対佩刀されている。
それを見たレイリは即座に警戒。
身のこなしからわかる。
この人は強い。
(敵? 味方?)
引率プレイヤーか? 敵の幹部か?
その答えはすぐに明らかになった。
倒れ伏した数人がその顔を見て明るくなる。
「ヒ、ヒカリヤさん!」
「来てくれたんですね!」
答えは敵の幹部だった。
四人の幹部の(自称)紅一点。
ヒカリヤ=サエ。
戦闘力は幹部でもトップクラスの実力者である。
ヒカリヤは死屍累々を見渡してから、レイリに視線を向ける。
「アナタがアタクシの可愛い部下をやったのね」
「……はい。すいません」
答えるか、答えないか、で迷ったレイリだったが、直感を信じて答えた。
ついでに謝っておいた。
そんな彼女の態度にヒカリヤは苦笑して続ける。
「別に怒っている訳じゃないのよ、お嬢さん」
「え……」
「手を出したのはこちらからだもの。だったらこうなってもしょうがないわ」
そう言いながら、ヒカリヤは腰の得物を抜いた。
それはやはりレイピア。しかも二刀流。
「でも、こちらは上司として敵は取らなくちゃならないし」
そして部下達に告げる。
「アナタ達! わかってるわね?」
「「はい!」」
これは邪魔をするな、という事。
幹部の中で一番優しく人格者であるヒカリヤだが、これを破るとエライ目に合う事になる。
なので、おとなしくする部下たち。
そして構えるヒカリヤ。
「じゃあ、戦りましょうか」
そんな彼女(?)にレイリは訊ねる。
「あの……お兄s」
「あぁん?」
ドスの効いた声にレイリは訂正する。
「お姉さん!」
「素直な子は好きよ」
ウフフと笑うヒカリヤ。
「引いてくれませんか?」
「それは無理」
レイリの言葉は却下された。
「仕事だもの。やりたくなくてもやらなくちゃならないわ」
こういうシノギは彼女(?)は嫌っている。
だが、それでもやらなくてはならない、今は。
それにレイリはこう言う。
「世知辛いですね」
「まったくね」
ヒカリヤがやれやれと肩を竦める。
そしてレイリは巨斧を構える。
「じゃあ、行きます!」
「来なさい!」
そして、二人は激突した。
******
その様子を見ていた部下達には、少女――レイリの足元が爆発したように見えた。
そのままレイリは間合いを詰める。
ヒカリヤも同じように間合いを詰めに行く。
互いの距離が近づく中、レイリが巨斧をぶん投げた!
「いきなり投擲!?」
予想外をやられ、急停止するヒカリヤ。そのまま仰け反るようにして、巨斧を避ける。
そこへ│小斧《フランキスカ》の二刀流となったレイリが迫り……
「ハア!」
二刀の斧を振るう!
ギリギリで回避したので、流石のヒカリヤでも避けられない。
だからこそ……
「舐めんじゃないわよ」
左腕を盾に防いだ。
刃が食い込み、骨の半ばまで達するが、筋肉でどうにか止める。
「離れなさい!」
ヒカリヤは蹴りを叩き込みレイリを引き剥がした。
******
そして離れた二人は自らの調子を確認。
まずはレイリ。
蹴りを喰らってしまったものの、咄嗟に
おかげで消耗は少ない。
だが、完全に無傷ではない
(斧が……)
ぶん投げてしまった巨斧、手放してしまった
そのせいで今手元にあるのは最後の一本。
言ってしまえば
片手でも両手でも使える品。
(使い慣れてないけど……何とかするしかないか)
そんな事を思ったレイリ。
一方、ヒカリヤ。
斧を抜いた左腕を見る。
(この戦闘では使い物にならないわね)
状態を確かめながら止血する。
(つまりは一本で戦わなくちゃならないか……)
そしてレイピアを見て思う。
(条件……満たしてないわね)
表情に出さずに溜息を吐く。
実は彼女(?)が使っているレイピアの片方は冥刀。
……もう一方は似たような物を特別に作らせた。
銘は【メルヴェイユーズ】。
能力が条件を満たして発動するタイプで、その制限自体が代償となっている。
ヒカリヤは知らない事だが、実は那由他の作品である。
こういうタイプが結構あるのだが、この【メルヴェイユーズ】はかなり厳しい。
おかげで現在は装備しての補正位しかチカラを貸してくれない。
(まあやるだけやりましょう)
そして互いが自身の状態を確認したところで……
「調子は大丈夫ですか?」
「あら、心配してくれるの? 優しいわね。そっちはどうなの?」
「……まあまあです」
互いに状態を確認し合い。
「じゃあ行きます!」
「来なさい!」
再び激突。
レイリは片手半斧を両手で振るい、ヒカリヤは右腕でレイピアの突きを繰り出す。
そのままお互い、至近距離での戦闘となる。
攻撃を繰り出し、相手の攻撃は避け、自身の武器で弾く。
これが続く。
その状況は……互角。
本来ならその状況はあり得ない。
レイリとヒカリヤでは戦闘力はかなり違う。後者が格上。
技術も、経験も、密度も。
だが、ヒカリヤは、ベストコンディションではない事、いつもの戦闘スタイルが使えない事、冥刀のチカラが使えないなど、悪い条件ばかり当てはまっていた。
しかも相手が子供なので、無意識に手加減してしまっていた。
一方、レイリはそこまでコンディションは悪くない。更にオウカとの訓練で格上との戦闘には慣れていた。
そして、自分自身も気づいていないが、彼女の秘咒がバフを施していた。
これらの要因で状況は拮抗していた。
(この子……ドンドン強くなっていない?)
ぶつかり合う中、ヒカリヤは思っていた。
(戦いの中で成長しているのかしら?)
このまま続ければ、自分より強くなる可能性がある。
(それにしても斧を小枝みたく振るうわね)
レイリの剛力に感心する。
(おそらく師事してる人の教えが良いのかしら)
技の継ぎ目がほとんどなく、繋がっている。
(認めましょう。相手は戦士と)
その時、ヒカリヤの雰囲気が変わる。
それに気づいたレイリは、嫌な予感を感じてバックステップする。
間合いが開く。
「……」
「……」
「「……」」
沈黙したまま相手の出方を伺う中、ヒカリヤがレイピアを下げて告げる。
「貴方強いわね」
「いえ、そんな事ないですよ」
「そう? 近い年齢のこの中でも中々の方だと思うけど?」
「自分より強い人なんて幾らでもいます」
オウカ然り、カナタ然り。
同年代のクインだって強い。
そんな謙遜にヒカリヤは苦笑。
「周りに恵まれたのね」
そして、彼女(?)は宣言する。
「今からアタクシは甘さを捨てる。アナタも殺す気で来なさい」
その言葉と同時に、ヒカリヤのレイピアに玉虫色の光が纏わりつく。
そして、今までで最高のスピードで間合いが詰まる。
「!?」
それにレイリは咄嗟に斧を盾にしたが……
(多分駄目!)
ほぼ同時に下がる。
その勘は正しかった。
レイピアが斧を貫通。
そのまま斧は分断される。
これがヒカリヤの奥の手であるユニークスキル。
レイピアに纏わせた光に触れた物を貫通する。
そのままレイリは逃げと回避に徹する。
時には地面に転がる。
「どうしたの! 逃げてばかりじゃ勝てないわよ!」
ヒカリヤの言葉にレイリは答えない。
(どうにかあそこまで……)
攻撃を喰らい、傷を負いながらある場所を目指す。
それに勿論ヒカリヤも気づいている。
(何か狙っているわね……。まあいいわ)
乗ってみる事にする。
ヒカリヤは突く。
それをしゃがんで避けたレイリ。
何かを握っていた。
「! それは!?」
レイリの手にあったのは巨斧。
そのままオーラを昇華し、全力の一撃を見舞う!
それをヒカリヤはレイピアで迎撃。
巨斧は幾つにも分断される。
だが、それはレイリも織り込み済み。
必要だったのは……昇華したオーラによる強化。
そのまま零距離に彼女は持ち込む。
その手には
ぶん投げ、手放したのを一本だけ拾って置いたのだ。
「あの時の!?」
「ハア!」
斧の一撃はヒカリヤを断ち斬った。
それは命脈を断ち斬る一撃。
これに怒り出したのはヒカリヤの部下達。
「お前ー!」
「よくもヒカリヤさんを!」
≪紅露刃亜≫がレイリに襲い掛かろうとしたが……
というか遠距離攻撃がレイリ目がけ襲い掛かった。
だが……
「やめなさい!」
ヒカリヤはレイリの盾となり、その身で攻撃を受け止める。
そのまま、部下達を静止させる。
「アタシの仇を取ろうとしたのには礼を言うわ。でもダメよ?」
「で、でも……」
「正々堂々やって負けたのだからいいのよ。ここから引き上げなさい」
「え、ですが」
「いいから。最後の命令よ。ここから離れなさい。多分ここにも敵が来るわ」
その言葉に部下達は引き上げ始める。
そして、改めてレイリの顔を見て、苦笑する。
「アナタ、アタクシに勝ったのだから喜びなさいよ」
その言葉にレイリは叫ぶ。
「喜べる訳……ないじゃないですか……」
声に悲しみが混ざっている。
と言うか涙を流している。
彼女は本気で悲しんでいる。
それにヒカリヤは問いかける。
「もしかして……コロシは初めて?」
「当たり前じゃないですか!」
「あらそう。なら良かった」
「何がですか!」
ヒカリヤは微笑んで告げる。
「慣れて置いた方が、容赦なく殺れるでしょう?」
「……」
「良い事? よく聞いておきなさい」
ヒカリヤはレイリに告げる。
人生の先達者として、敵であったが、どこか通じ合えた者同士として。
「アナタがプレイヤーとして生きるなら、戦い殺す時が来る」
それは自分の経験談。
彼女が殺人への快楽に溺れ無さそうだからこそ。
「殺すのを躊躇ったがために、自分の大事なヒトを失う事だってある」
真っ当なプレイヤーとして生きていた自分が、悪に落ちたきっかけを話す。
「だから、武器を持ったら、殺す事を躊躇っては駄目。いいわね?」
その言葉にレイリは涙ぐみながら頷く。
その時ふとヒカリヤは思い出す。
「そういえば、まだ聞いてなかったわね」
「……何がですか?」
「アナタの名前」
「わたしも聞いてないですよ……」
「それもそうね」
そして、二人は改めて自己紹介をする。
「アタシはヒカリヤ=サエよ。お嬢さん」
「わたしは――オウジマ=レイリです。お姉さん」
その言葉にふっとヒカリヤは微笑み……
「嬉しい事言ってくれるじゃない。レ……イリ」
崩れ落ちた。
彼女はレイピアをレイリに渡し……
「サエさん!」
「フフ。この子は……アナタ、あげ……る。好きにしな……さ……い」
そして、ヒカリヤの生命活動は静止した。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<今回出て来た冥刀。
(㈩*㈩)<解説は後々でやります。
(・▽・)<……(つまりそう言う事?)。
(#ー#)<そして、今回出て来た幹部の一人。
(#ー#)<おネエで、ガタイが良いから近寄りづらいが
(#ー#)<人格者だからこそ、部下から慕われてる。
(#ー#)<飴と鞭の飴担当だな。
(・▽・)<もう今年も終わり。
(・▽・)<なので連続更新です。
(・▽・)<明日もお楽しみに♪