(・▽・)<……よく勝てましたね。レイリさん。
(#ー#)<作中でも述べられたけど、全力ではあったが、本気を出しきれなかった。
(#ー#)<実は……生まれて来るはずだった子供が居た上、
(#ー#)<もし育っていたら、年齢もアイツと同じくらい。
(#ー#)<だからこそ、ああなった。
(・▽・)<……。
******
その後、レイリは倒れて気を失ってしまった。
彼女も無傷ではなく、あちらこちらに傷を負っており、出血も酷かったのだ。
下手をすれば失血死だったが、そこへ丁度引率教師がやって来て彼女を介抱したおかげで助かった。
それどころか、回復薬は回復魔法のおかげで傷は残らなかった。
相手が綺麗に斬った(というか突いた)からこそだった。
だからこそ、念のために一日様子見はしたが、特に異常も見られなかったので、すぐに解放となった。
だが、肉体は良くなったも、精神はまだだった。
◇◆◇◆
高校への行くために歩くレイリ。
だが、その足取りは重い。
トボトボという擬音が聞こえてきそうだった。
「……」
誰かいる時はどうにか笑顔を見せるが、一人でいる時は塞ぎ込んでいるレイリ。
表情も暗い。
その脳裏に過るのは、実習での戦い。
(殺す以外に出来る事なかったかな?)
本当に良い人だった。
だからこそ、殺してしまったのを後悔していた。
事情を知ったイヌコからは……
『貴方は悪くないわ。相手はあんなを殺そうとしたんだから正当防衛よ!』
そう言われた。
でも、後悔が募る。
(本気だったら、わたしはあっけなくやられてた)
しかも部下に加勢させないどころか、部下の攻撃から自分を守ってくれたのだ。
そんな人を殺してしまった事実が重くのしかかる。
考えが堂々巡りしていると……
「ん」
クインが挨拶していた。
……一応これで挨拶である。
「あ、おはようクインちゃん」
「……」
その声を聞き、確実に元気がない、と察したクイン。
とは言え、上手く励ます自身がないので、黙っておく。
「……」
「……」
「「……」」
両者無言。
普段だったら、レイリが積極的に話しかけ、クインが答えると言う構図が出来るのだが……。
そんな中、レイリが口を開く。
「ねえクインちゃん」
「ん」
「クインちゃんはさ……、人を殺した事ってある?」
「!」
思いがけない質問に目を見開く。
それにレイリは慌てて告げる。
「ご、ごめんね、変な事聞いちゃって」
「イヌコから聞いた」
「!」
クインは言葉を続ける。
「アタシはある」
そして、クインは自分のチカラの一端を話す。
それは自身の秘咒。
それを聞いたレイリは呆然。
「そして幾つかチカラを手に入れてから、戦いで幾度も」
「で、でも故意にはやってないんじゃ」
「それでも殺した事には変わりない」
「……」
「大事なのは忘れない事。ちゃんと心に留めて置く事」
言葉を考え選びこう言ったクインだった。
それ以降、二人は何も話さなかった。
そして、学校に着くと、クインはこう言った。
「サクにも話を聞いてみたら?」
「……先輩に?」
コクリと頷く。
「アタシと違ってあまり参考にならないかもだけど」
「?」
クインの言い方に首を捻ったレイリだった。
……
…………
………………
そして昼食時。
普段なら、レイリはイヌコやレイリと食べる事が多く、実習明けからは一人で食べている。
そんな彼女、今日は……
「先輩ここかな?」
屋上に向かっていた。
オウカに話を聞くためだった。
とりあえず、同級生に話を聞き……
『多分あそこだね』
ジンナから、屋上を教えて貰った。
『六、七割で屋上、二割で中庭、一割はその他だね』
との事。
「なんであそこまで詳しかったんだろう?」
少し疑問に思ったが、ツッコミを入れるのは野暮だったので、彼女は何も言わなかった。
『なんでそんなに詳しいん!?』
別の人――タナカはツッコミを入れていたが。
そういう訳で屋上へ行くと、そこには目的の人物がいた。
「おや」
そしてもう一人。
「レイリさん? どうしたの?」
カナタだった。
(そういえば言ってたっけ?)
レイリはジンナの言葉を思い出す。
『あ、そうそう。言い忘れた』
『?』
『八割方、カナタ先輩が一緒に居るよ。後、三、四割でリアとランコも居るからね』
『だから何で知ってるん!?』
ツッコミを入れられていたが。
そんな二人を見てレイリは思う。
(丁度良いかも)
なので、レイリは聞く事にする。
「あの先輩方」
「何かしら?」
「人を殺した事ってあります?」
いきなりな質問にカナタは眼を見開くが、オウカは特に反応なし。
「いきなりな質問ね」
「……いいのか?」
「はい」
「どういう事?」
事情を知らないカナタが首を捻るので、レイリは実習で起きた事を説明する。
それに沈痛な面持ちになるカナタ。
「そう。貴方もなのね」
「え……」
「私、これでもノーブルだから人は殺してきてるんだけど……」
特に辛かった記憶を語る。
「従兄をね、手に掛けたの」
「!」
「カナタ!?」
流石に驚くオウカ。
これはトップシークレットのはずなのだが。
それにカナタは気にしないで、というように語る。
「いいの。レイリさんなら吹聴しないでしょう?」
そして、カナタが語ったのは、去年の出来事。
オウカとカナタが出会う切っ掛けとなるお家騒動だった。
▼▽▼
そのきっかけは――最強の武器を作り出そうとした事。
久遠家の麒麟児、クオン=コナタは、違法な物品を、外法すら使って、最強の妖刀を作ったのだが、逆にそれに取り込まれてしまい、暴走。
それを止めるため、カナタは強い人を探し、その眼にとまったのがオウカだった。
だからこそ、その身を捧げるつもりで、彼に助力を請い、彼も了承。
そして、見事彼は解決した。
……まあ怪我人は結構出たうえに、山が一つ消滅したので、後始末は結構大変だったらしいが。
◇◆◇◆
カナタの話を聞き、レイリは訊ねる。
「……辛くはなかったですか?」
「それは辛いわよ」
実は結構泣いたうえ、その日はずっと塞ぎ込んでいた。
「でも、コナタ兄さんはうじうじしている事を望まないから……」
だからこそ……
「前を向かないとね」
そう言ってカナタは笑った。
そんな彼女の様子にレイリは呟く。
「前を向く……」
その言葉を反芻する。
表情が少しだけ明るくなったレイリ。
そんな彼女にオウカ声を掛けようとする。
後一押しだと思ったのだが……
(アレ? 俺向いてない?)
何かを言おうとしたのだが、言葉にならなかった。
△▲△
クインに語った最初のコロシはともかく、異世界では親友の拷問稼業を手伝ったので、オウカは人を殺しまくっている。
しかも普通に殺さず、生き地獄を見せる。
だからこそ、その凄惨さに並の人間ならやって行けないのだが、オウカは上手くやっていた。
更にそれだけでなく……
『良いですか? サク』
モンセラートは誰に対しても丁寧に話す。
元公爵令嬢だからだろうか?
彼女の足元には縛られ、猿轡されている外道が二名。
『ムー! ムー!』
『フゴフゴ!?』
強盗、殺し、強姦などをやった屑なので、殺しても良心は咎めない。
『今日はこの素材を使って、串刺しをやります』
モンセラートは依頼の時に、オウカに手伝わせるだけでなく、実際に一人でやらせるために教える事が多かった。
しかも……
『まずは肛門と睾丸の間に穴を開けます』
『フグウ!?』
『こうですか?』
『ムウゥウウ!?』
『そして、杭を打ち込みます!』
モンセラートはハンマーをフルスイング。
汚い悲鳴が上がる。
『テメエも貫かれる痛み、味わえよ』
オウカも負けじとフルスイング。
こちらも悲鳴が上がる。
『杭はある程度打ち込んだら、そこからは手で進めていきます。理由はわかりますか?』
『内臓を傷つけないためですか?』
『その通りです』
このように実戦形式が多かった。
そんな環境でもオウカは平然とやっていた。
◇◆◇◆
そんな事を思い出していると……
「サク君、サク君」
「っと」
カナタが声を掛けて来た。
「どうしたの?」
「ちょっと過去の事を思い出して……」
「それって……」
カナタはオウカの過去を知っている。
だからこそ、彼の友達・仲間の問題児っぷりを知っている。
「一体誰?」
「……」
沈黙するオウカ。
とは言えこのままじゃ駄目なので。
「……この状況で似つかわしくない人です」
これだけ言った。
それにカナタは察する。
(多分、殺戮している問題児ね。コジュウロウか、モンセラートさんかしら)
しかも誰かもある程度特定までしている。
因みに、コジュウロウをさん付けにはしないカナタである。
あんなんにさん付けするのが間違っている。
それにレイリが訊ねる。
「えっと……どういう……」
「全く参考にならんから聞かない方がいい」
「聞いたら後悔するわよ」
そう二人に言われ、レイリは聞かない事にした。
そのまま三人は昼食を取った。
………………
…………
……
高校が終わり、帰り道。
レイリの足取りは少しだけ軽くなっていた。
(皆色々あるんだな……)
そんな事を思った。
(オウカ先輩からは何も聞けなかったけど……)
何か参考になるかもと思ったのだが。
……恐らく参考どころか悪影響になるだろう。
レイリはまだ知らないが、オウカの精神性はかなりヤバイ。
先天的異常者が、数多の経験を経て更におかしくなっている。
「機会があったら、オウカ先輩にも聞きたいな……」
そう呟いた。
それと同時に、ふと思う。
「そう言えばクインちゃんとかはサクって呼んでたな」
彼の呼び方を口に出した時だった。
「ねえ、ちょっといいかな?」
声を掛けられた。
「は……い?」
返事をして振り向いたが、その声は少し上ずってしまった。
「聞きたい事があるんだけど」
そこにいたのは女性。
首元程の髪の毛をした、人形のような女性。
病院で着るような衣服しか纏っておらず、傍から見てもおかしい。
なのだが、その人物の事を周りの人間は気にも留めてない。
「今さ、聞き間違えてなければ……サクって言わなかった?」
「え、ええ。言いましたけど……」
「そう呼ばれてる子ってさ、女の子みたいな男の人じゃない?」
「確かに男の娘です。髪も長いですし」
それを聞いて女性は笑みを深める。
更に問いを続ける。
「それで凄く強い人じゃない?」
「はい。もしかしてお知り合いなのですか?」
「うん。何せ彼は……」
そして、衝撃的な一言を言う。
「僕を殺してくれた人だからね」
●○
「サク、
「宅飲みですけど、良い酒とおつまみが手に入ったので」
「ではどうぞ。……良い飲みっぷりですね。サクは酒が強くてありがたいです」
「ディアンも、ヴィーも酒が弱いので、飲みに誘っても来てくれないんですよね」
「来たとしても、ディアンは急患があるかもしれないって、」
「ジュースやお茶しか飲まないですし、ヴィーは缶ビール半分でトマト色」
「なのでつまらないんですよね。アルハラはしたくないですから」
「え? した奴を水攻めした? アハハ確かにそうですね」
「それはともかく、何か話をしましょうか。何か話題あります?」
「勇者についてですか? そういえばサクは異世界出身だから知りませんでしたね」
「良い機会だから話しましょう」
******
「昔の話です。叢雅一門が死んで数十年後。世界は乱れていました」
「好き勝手に振舞う人達のせいで。治安は最悪、まさに弱肉強食」
「毎日誰かしら死んでいく日々」
「そんな日々をどうにかしようと立ち上がったのが一人の女の子」
「まだ七歳にもならない女の子。暮らしていた村を定期的に襲ってくる盗賊団を」
「倒してくると言って、剣を片手に出掛けたそうです」
「普通だったらその少女は、あっけなく死んだでしょう」
「でも、その少女がいなくなってから、襲撃がぱったり止んだそうです」
「まさかと思い、村人達が見に行くと、そこには盗賊団の骸があったそうです」
「そこから快進撃は始まりました。」
「人を、団体を、国すらも相手取っても勇者は勝ちました」
「弱気を助けて、強きを挫く。正に物語から出て来た英雄」
「仲間も出来て、順風満帆な快進撃。正に常勝」
「持っていたチカラも勝利を約束するもの。人々は絶望の中で希望を見出しました」
「でも、終わりが来たんですよ。あまりにも完璧で余りのも凄すぎた」
「だからこそ、妬まれ、恨まれ、死を懇願された」
「あるカルト教団が、勇者の仲間すら引き込んで、死に追いやったんです」
「そうして仲間に裏切られ、罪を着せられ、公開処刑と相成ったそうです」
「しかも酷い事に、彼女の家族や村の住人すら、連座で殺したそうです」
「そうして、彼女はこの世を恨みながら死んだそうです」
「しかも……、あくまで噂なんですけど」
「その魂と死体はその教団に使役されているそうですよ?」
「……せっかくの酒が不味くなりました」
「謝らないでください。話したのは私なので」
【コソコソ話】
(#ー#)<そういえば
(㈩*㈩)<あまり気にしない。よく女装もしているし。
(・▽・)<それってもしかして……。
(㈩*㈩)<元々、メイド師匠の所でメイド服着ていたし、
(㈩*㈩)<リリアーヌが着せ替え人形にしてたから。
(・▽・)<あらまあ。……下着はどうしているんです?
(㈩*㈩)<想像に任せる。詳しく聞きたいならカクヨムサポパスでやるかも。
(#ー#)<そんな酔狂な奴いるか!?
(㈩*㈩)<明日も更新だよ。お楽しみに。